100円ショップを初めて見たときにその製品品質に驚いた。商品の中には文房具専門店の半分以下の価格で十分実用的な商品があった。
しかし、100円ショップの商品を使ってみてその耐久性の無さに愕然とした。例えば樹脂製ファイルでは1年経過したところで表紙の靭性が低くなっていたのだ。
しかし、最近の製品ではそのようなことはなく、十分に実用に耐えうる商品が増えてきたと思ったら、300円や500円の商品が100円ショップに並ぶようになった。
100円ショップの製品の大半は中国製だが、中国でも人件費が高騰し、昔のような値付けが難しくなったのだろう。
100円ショップの商品が安かろう悪かろうは過去の話で最近は、100円以上の価格がつけられて品質もそれなりに向上している。
最近は本屋も事務商品を扱うようになったので、昔ながらの文房具屋はライバルが増えて大変である。100円ショップは100円でもできそうな事務用品だけ販売していた時代から、事務用品メーカーが販売チャネルの一つとして利用している。
この影響もあって、事務用品関係の樹脂製品の品質が向上したのかもしれない。100円ショップが登場した時よりもその品質が著しく上がり、コストパフォーマンスを他の店と比較できるまでになった。
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原材料の価格には、用途に応じて相場がある。社会人になった時にこの相場の価格を知る重要性を学んだ。ホスファゼン変性ポリウレタンの工場試作に成功し、始末書を書いたためである。
世界初でこれまで世の中に無かったような技術を提案してほしい、と上司から指示を受けてホスファゼン変性技術の提案をして半年で工場試作まで実現したのだが、ゴールを達成しても始末書である。
その始末書で提案したのが、燃焼時のエネルギーでガラスを生成して難燃化する技術である。既存の1kgが1000円未満の安いリン酸エステル系難燃剤を使用してもホスファゼン並みの難燃効果が得られた技術は、大変コストパフォーマンスが優れていた。
この技術はすぐに実用化されたのだが、ホウ酸の環境負荷が指摘されその後廃版となった。難燃剤システムの価格としてみると1kg300円以下であり、大変安い技術だった。
高分子材料の価格は、原料とプロセスが決まれば、おおよその価格が見えてくる。そして市場ニーズとの関係でその価格が決まるのだが、セラミックスのようなブラックボックスではない。
セラミックスの中には、運送費が大半を占めている材料も存在する。その成形体にとんでもない価格がつく場合もあり、高分子材料やその製品に比較し、原材料の相場が見えにくい。
セラミックスの調査を始めたときに苦労したのは、この相場勘を身に着けていなかっただけでなく、公開された価格からテーマの事業性の判断が難しかったからである。それに比較して高分子材料は分かり易い。
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高分子材料が実用化されるためには、用途に応じた最適化が検討される。合成高分子が無かった時代には、飯粒は重要な接着剤だった。紙の接着であれば飯粒が十分な接着剤の役目を果たした。
小学一年か二年生だった時、ボール紙で夏休みの工作として作品を作ることになり市販のノリではなく飯粒で接着した思い出がある。市販のノリを使わなかった理由は、飯粒の接着性に興味があったからである。
今から思えば馬鹿な行為であるが、また、親にもその作業性の悪さを指摘されたりしているが、子供心に飯粒が接着剤として機能することに面白さを感じていたのだろう。
この思い出は悲惨な結果だったので今でも記憶しているのだが、接着部分にカビが生えたのだ。カビを取り除いてもそれが生えていたところは変色していた。
このとき、工作用ノリには防腐剤が添加されていることを学んだのだが、情けないのは大泣きをしたことである。大泣きをした思い出は今でも記憶しているが、その後夏休みの工作がどうなったのか記憶が無い。
そもそも飯粒で紙工作をしようとした発想は、親か兄弟からノリはご飯粒から出来ている、とかいう中途半端な知識を教えられたためで、その時防腐剤が添加されていることを聞かなかった。
そのような経験があり、怪しい新しい知識を百科事典で調べるようになった。当時インターネットなど無く家庭用百科事典ブームであり、子供のいる多くの家庭には1セット百科事典があった。
当方の家庭にあった百科事典には、料理について食材を混ぜる方法の説明はあったが、ノリに防腐剤をどのように混ぜているのか記述されていなかった記憶がある。
母親から大量に混ぜるので機械を使っているとの説明を受けたが、どのような機械なのかは企業秘密だ、と教えられた。当時母親の答えには企業秘密が多く、世の中は秘密ばかりと不思議に思っていた。
しかし、添加剤を高分子に混ぜる技術には今でも企業秘密にすべき内容がある。このような技術に遭遇された方は弊社にご相談ください。高分子に添加剤を混ぜる方法について、今でも技術の差が生まれる分野である。同一配合でも機能に大きな差が現れる不思議な現象は、この混ぜる技術が関係している。
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高分子の高機能化には一次構造の設計と複合化による設計の2種あり、開発の容易性において後者の方が経済的な視点から優位である。
一次構造の設計では重合条件が障害となる。すなわち机上で理想的な一次構造を設計できたとしても重合できなければ、あるいは側鎖の化学修飾にしても合成できなければその機能性を確認できない。
それに対して複合化による材料設計は、混練機が手元にあればおおよその検討をつける実験を容易にできる。但し、それが量産で再現できるかどうかは別の問題だが、とりあえず機能の確認をするためのモノを作ることができる。
複合化で高機能化が期待できる結果が得られたならば、タグチメソッド(TM)を行うとロバストの高い高機能性高分子ができる。
高分子の重合特許よりもコンパウンディングに関する特許の方が圧倒的に出願件数が多いのはこのような容易性からも説明ができる。
高分子の高機能化において工業的にはコンパウンディング技術が重要になってくるが、実はこの技術に関する形式知は少ない。論文を読んでもそこに書かれた結果を手元の混練機で再現できない場合も存在する。
また混練プロセスにおいて、バンバリーとロールの組み合わせによるバッチプロセスは、連続プロセスよりも高性能のコンパウンディングが可能である。しかし、この経験知はあまり知られていない。また樹脂をロールで混錬すると説明した時に笑う技術者もいるから面白い。
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Pythonを使い始めて変化したのは、エクセルを使用する頻度が激減したことだ。Pythonのエディターを立ち上げておくと電卓も不要である。
昔エクセルをワープロとして使用していた人がいた。議事録などブック機能を利用して整理しておくと便利だからだそうだ。
これは一つのアイデアかもしれないが、エクスプローラを使いこなせばその方法が便利かどうか不明である。エクセルをワープロとして使用するには不便なところがある。
コンピューターのソフトウェアをその主たる目的以外の使い方に気づき、ユーザーが新たな用途を見つける事例はかつてパソコン雑誌の格好の話題だった。ワープロを表計算に利用する、というものもあった。
MS製品はVBAが使えたので、転用はアイデア次第自由にできた。しかし、各ソフトウェアーの機能が充実するようになるとそのような転用は話題とならなくなったように思う。
やはり、ソフトウェアーはその主たる目的のために設計されているからだが、Pythonはどのような目的でもプログラム次第である。
ビジュアル・システム・コード(VSC)は、ジュピターノートブックの機能がついているので大変便利だ。例えばタグチメソッドを行う時にPythonのプログラムにデータを登録しておけば、エクセルファイルに自由にデータを成形して落とすことができる。
これは何を意味するのかというと、かつてエクセルを使ってデータを整理していた人は、Pythonのプログラムファイルでデータ管理すると便利であることを示している。どのような使い方があるのか、希望者があればセミナーを企画する。
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BASICは初心者用言語としてパソコン黎明期に広く普及した。マイクロソフト社の開発したこの言語が多くのパソコンに搭載されたからだ。8ビットマイコンの狭いメモリー空間でもプログラミング言語に必須の機能をすべて備えており、多変量解析のプログラムも動作した。
当時のBASICは、機械語とのリンクもサポートされていたのでスピードが遅いルーチンをアセンブラーでプログラミングしてリンクすることにより、複雑なプログラムも作成可能だった。
また、FDOSをサポートしていた某社のBASICはコンパイラーも存在した。しかしコンパイル後のコードは肥大化し、インタープリターよりも扱えるデータ量の制限を受けた。
今流行しているPythonはハードウェアーの進歩に助けられ、インタープリターであっても十分に実用的なプログラムを作成可能である。機械学習で1000件程度のデータを扱う場合でも一晩で答えが出る。
昔MZ80Kで5日間演算に時間が必要だったプログラムを動作させていた時、3日目あたりで暴走しているのではと不安になり、演算途中でリセットした記憶がある。
そしてプログラムの途中に時間を表示させるルーチンをいれたのだが、この時間表示が割り込み処理を使っていたのでプログラム動作が遅くなり1週間もかかってプログラムが終了した時、なぜか当方も疲労感を感じた記憶がある。
オブジェクト指向はコンピューターに擬人化を持ち込んだと言われているが、昔の8ビットコンピューターはその動作の遅さで十分人間的味わいがあったように思い出される。
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AIから適切な回答を引き出す技術者をプロンプトエンジニアと呼ぶ。DXでまた新たな職業が生まれた、と騒がれているが、冷静に考えてほしい。本当によくできた人間に近いAIならば、そのようなエンジニアなど不要なはずだ。
プロンプトエンジニアの需要が伸びているだけでなく、AIから適切な回答を導き出すプロンプトが販売されているそうだ。このような流行は、かつてあった。
50年ほど前、研究情報を収集するために化学系の技術者ならば英語で書かれたケミカルアブストラクトを毎月読破する技能が要求された。そして特定分野に絞ってケミカルアブストラクトのさらにアブストラクトを作成する仕事が存在した。
すなわち情報コンサルティングである。DEMOSというNTTのコンピューターサービスが提供されるようになると電話回線を利用した情報検索サービスが生まれ、特許も含めてうまく適切な情報を検索できるスキルが要求される仕事が生まれた。
過渡期には、ケミカルアブストラクトが良いのか情報検索サービスが良いのか議論が起こり、ケミカルアブストラクトの購入をやめる企業が出てきた。すなわち、電子サービスがアナログ調査よりも優れていると認められたのだ。
このとき化学の専門性の高さよりも、目的とする情報にうまくヒットできる検索式を作成する能力が要求され、企業に情報検索部門を設置したところもあるが、バブルがはじけるととともに消えていった。
さて、AI相手のプロンプトエンジニアの仕事はいつまでニーズが続くのか。恐らくAIが進歩すれば専門のエンジニアなど不要となるに違いない。
質問の意図や背景を具体的に説明したり、要求する回答に近いネット情報を具体的に与えたりするのが今のAIから適切な回答を引き出すために必要となるのだが、このコツを理解できるとにんまりとされる年配の管理職は多いのではないか。
今の若い部下に適切な成果を出させるマネジメントスキルがあれば、AIから適切な回答を導き出せるのだ。むしろChat-GPTから適切な回答を導き出せない管理職は、プロンプトエンジニアを探す前に日々のマネジメントを反省しなければならない。
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プログラミング言語あるいはコンピューター用の言語と人間が会話に用いる言語とは、「言語」の意味が異なっているように思う。コンピューター用の言語とはコンピュータへ指示を出しコンピューターを動作させるための「記号」である。
ゆえに「英語」や「中国語」あるいは「名古屋弁」を学ぶ方法と異なる。日本人が外国語を学ぶときに文法を最初に覚える。プログラミング言語でも文法を学ぶのだが、この時ハードウェアーを意識して学ぶかどうかでプログラミングのコツをつかむまでの期間が異なるように感じている。
言い換えると、ハードウェアーを意識しながらコンピューター言語を学ぶとその言語の特徴を理解しやすい。これは、人間の言語を学ぶときにその背後にある文化や文明、風俗を意識することとは似ているようで異なる。
むしろコンピューターに仕事を命令する時に気遣いを意識する、といった方が分かりやすいかもしれない。実際にプログラミング言語の設計は、人間がプログラミングを容易にできるように工夫されるので、着眼の異なる設計者により様々なプログラミング言語が生まれる背景となっている。
オブジェクト指向の考え方では、プログラミングの世界に擬人化が持ち込まれたのだが、オブジェクト指向で設計された学びやすい記号をそのまま覚えるだけで簡単にプログラミングができるようになる。
これはこれで便利なのだが、プログラミングにはバグがつきものであり、バグの中にはハードウェアーと言語設計について多少理解していないと解決できないケースが存在する。
また、C#のような完成度の高いオブジェクト指向言語でも自分であらたなオブジェクトを設計する必要があり、ハードウェアーを少し意識しなければいけないシーンも出てくる。
オブジェクト指向言語を学ぶときに人間の言語を学ぶようにハードウェアーを意識しない学び方も可能であるが、当方は社会人がコンピューター言語を初めて学ぶときに、やはりハードウェアーを意識して予約語の機能から学ぶ必要があると思っている。
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ゴム会社で30年間続いた半導体治工具事業の基盤技術は高純度SiCの合成法にあり、有機高分子と無機高分子との均一なポリマーアロイを前駆体として用いるプロセスである。
この技術のコンセプトからその後類似の技術が無機高分子研究会の中で生まれているが、有機高分子を前駆体として用いてSiCセラミックスを製造する技術は、元東北大教授矢島先生が最初である。
しかし、この前駆体は高価であるがコストダウンも難しいポリマーだった。そこで安価なフェノール樹脂を前駆体に用いるアイデアを学生時代に思いついたが、技術として完成するまでにもう一つアイデアが必要だった。
なぜなら、フローリー・ハギンズ理論でχが大きい高分子混合体は均一に混ざらないからである。ゾルゲル法によるガラス合成技術が当時知られていたが、これは低分子のアルコキシドを用いる方法なので、そのまま転用できなかった。
フェノール樹脂とポリエチルシリケートを混合してもすぐに分離しゲル化するまで均一状態で安定ではないからである。形式知(フローリー・ハギンズ理論)により技術が否定され、それ以上考える気力が無くなっている。
科学者でも技術者でもこのような経験を誰でもするのだ。すなわち、良いアイデアを思いついても身に着けた形式知でそれを否定する経験である。
しかし、創造への意欲が勝ればそれをブレークスルーできるアイデアを絞り出すことができる。アイデアは突然閃く場合が多いが、閃くためにはそれなりの苦労が必要である。
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1980年代に起きたセラミックスフィーバーの時、様々な粉体商品が開発された。αSiC粉末は、エジソンの弟子アチソンが開発した材料だが、それまで研磨剤グレードの商品だけだったのが、焼結体用やゴム・樹脂のフィラー用として粒度のそろった様々な商品が開発された。
シリカ還元法によりβSiCも開発された。またウィスカーも品ぞろえされ、それらは研磨剤グレードの10倍から100倍の価格で販売された。高純度SiCになると1000倍以上の価格がつけられていた。
21世紀になりこれらの商品も淘汰され、高純度SiCについてはそれが必要な企業では内製化され、通常のサプライチェーンに載っているのは、一部のフィラー製品や焼結体グレードの商品だけになった。研磨剤グレードはその歴史もあり、コモディティー化している。
それでも、お茶碗の原料のように輸送費の方が高い、というようなことは無く、汎用ケミカル製品として100円以上の価格が付いている。
例えば粒度の揃った10μm程度のSiC粉末であると500円/kg前後の価格となっている。弊社ではこれを半値程度で販売してくれるところを見つけた。ご興味のあるかたは問い合わせていただきたい。
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