高分子材料には、不足する機能を補うために添加剤が練りこまれている。あるいは合成後に必要な添加剤を分散し、モノアゲして成形体とする場合もあるが、添加剤無添加の成形体は極めてまれである。
この高分子に添加された物質が、時間経過とともに表面へ浮き出てくる現象をブルームとかブリードアウトとか呼んでいる。この現象を完全に抑え込むためには、添加剤を高分子に反応させるしかない。
しかし、高分子の側鎖を添加剤で変性し、成形体の機能を無事改善できてもこの現象は起きる。変性された高分子がレピュテーション運動により、表面に浮き出てくるからである。
実は添加剤が添加されていなくてもこの現象が起きているのだが、分子構造が一致しているので検出不可能である。すなわち高分子のブリードアウトという現象を全く起きないようにすることは不可能で、起きていても分からないようにすることが精いっぱいの対策となる。
それをどのように行うのかが技術であり、この問題を多数経験していると、現場で遭遇した時にいろいろなアイデアが浮かぶ。すなわち経験知で対応しなければ解決できない問題である。
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当方はセラミックスから金属、高分子材料まですべての材料を製品設計の立場から扱った経験知がある。また、セラミックスでは、高純度SiCの半導体治工具技術が日本化学会技術賞を受賞している。
高分子材料については、帯電防止技術が印刷学会技術賞と日本化学工業会から技術特別賞、高靭性ゼラチン開発に対して写真学会ゼラチン賞を受賞している。
すなわち、当方の開発した技術が高分子からセラミックスまでそれぞれの代表的な学会から何らかの受賞経験があるので、セラミックスから高分子まですべての材料の経験知と形式知がある、と自己紹介しても許されるだろう。
その経験から高分子材料はセラミックスや金属と比較して難しい材料である、と指摘したい。セラミックスや金属では、まず結晶を理解できれば、材料技術者としての一応の基礎ができる、と思うが、高分子材料では、一次構造を理解しただけでは、「像は鼻が長い動物」と言う程度の理解レベルである。
すなわち、その程度の理解では、高分子製品で品質問題が起きた時にどこから対応したらよいのかわからず、右往左往することになる。当方ならばどのような品質問題でもおおよその見積もりができる。
社会に出てきたばかりの技術者を育成し、当方のレベルまで到達するためには、一日3時間の座学で2か月必要である。なぜこれだけの時間が必要なのか。それは高分子の体系が形式知でできていないためである。
セラミックスや金属ではブラベイ格子を基準に材料の結晶について理解の仕方を身につければ、難しいのはアモルファスのガラスだけとなる。ゆえに基礎となる形式知の体系が明確なのでその上に技術の体系を築くことは容易となる(勉強するコツが存在するが—-)
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昨日高分子材料の電気特性について悩ましい問題、と書いたが、その理由は、現象を理解するための体系が、材料の用途で変化しているような錯覚をするためである。
公的機関のホームページにも誤った考え方が記載されていたりする。例えば「配合と物性が1:1で対応する材料設計」という考え方だ。残念ながら高分子材料ではこの考え方では材料開発が難しい。
セラミックスでも焼成温度で相変化する場合では、配合と物性は1:1で対応しないが、高分子材料では配合が同一でも物性が大きく異なる2種以上の材料が類似の製造条件でできる場合が多い。単なるばらつき(偏差)程度の物性の差異ではなく、同一配合でも明らかに異なる材料として捉えなければいけない。
例えばパーコレーション転移が生じる材料群であるが、パーコレーションを制御できるのか、と驚かれる材料技術者がいるかもしれないが、当方のセミナーを受講していただきたい。配合やプロセシングの組み合わせで制御できるのだ。
この問題については、Pythonによるシミュレーションを中心にしたセミナーと5時間当方の経験知を中心に構成したセミナーと2種類用意している。希望者は9月15日以降の日程でご希望の予定を第一希望から第三希望まで書いて申し込んでいただきたい。
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高分子材料は一次構造に導電性の構造が無ければ、その成形体は絶縁体となる。ゆえに電気特性を変えたいならば、一次構造をその目的で設計するか、その目的を実現できる添加剤を添加したコンパウンド設計をしなければならない。
この分野で開発を成功させるためには、一次構造の合成技術からコンパウンディング技術まで幅広く精通していなければならない。当方は高分子の一次構造の設計から合成、さらには生産まで経験しているだけでなくコンパウンディングについては書籍を著している。
当方の強みは高分子材料以外に、ペロブスカイトはじめセラミックスの電気特性まで研究経験があり、ペロブスカイト粉末を高分子に分散した材料の電気特性について研究を行っている。
すなわち、高分子の電気特性について実用化に必要な様々な研究開発経験があるのだが、その機能にプロセシングが関わる問題が多いと感じている。
例えば、同一配合処方でもプロセシングが異なれば成形体の電気特性も影響を受けるが、これがどの程度なのか説明できる形式知が存在しない。ゆえに、この関連した周辺技術でお困りの方も含め弊社へ問い合わせていただきたい。
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ブルームとかブリードアウトとか呼ばれたりするが、高分子成形体表面がべたつく現象といえばご理解いただけるのではないか。もし、この現象でお困りの方は問い合わせていただきたい。セミナーを企画します。
詳細はこのホームページのセミナーのコーナーをご覧ください。なお、開催希望日につきましては9月15日以降として頂きたく。希望日を第一希望から第三希望まで書いてお申し込みください。
写真会社へ転職した時に最初に成果を出したのは、フィルムの帯電防止技術であるとこの欄で書いている。この帯電防止技術では、ブリードアウト問題も起きていた。
詳細はセミナーで説明するが、高分子材料では成形体に求められるスペックを実現するために様々な添加剤が用いられている。高度な難燃化機能を要求される成形体では、15%近くも難燃剤が添加されるのでその選択を誤るとブリードアウトに悩まされることになる。
帯電防止技術では、イオン導電性高分子を用いるときに30%以上の添加が必要になる。界面活性剤を表面にブリードアウトさせる技術では数%の添加で良い場合もある。
転職した時に成果を出した技術ではイオン導電性高分子が用いられていたのだが、イオン導電性高分子を架橋させる硬化剤による工程汚染の問題が大きかった。
長年の研究課題だったそうで、どのように解決したかはやはりセミナーで解説するが、興味を持ったのは当時の担当者の開発課題への対応である。
市場でブリードアウト問題が起きていても、工程汚染の問題解決業務が忙しかったので営業に対応してもらっていた。すなわち、ブリードアウト問題は、フィルムの品質ばらつきとして起きていたので、ブリードアウトしない製品が大半だった。ゆえに営業で対応できたのである。
このような業務の進め方をやっている企業は多いようだが、技術の姿を見えにくくする原因となることを知ってほしい。工程汚染の問題とブリードアウト問題は関係していた。
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先日8月22日,マイクロソフト社からExcel365へPythonが実装されるとの発表があった。すなわちVBAのごとくPythonをExcel上で使えるようになる。当面はTEST参加者だけに絞られるという。
但し、この機能は、旧バージョンでサポートされないという。弊社では6月1日と7月27日のこの欄で、Excelを使用するよりもPythonの方が使いやすい、と書いている。まさかこれをマイクロソフトが読んで今回の実装を決断したとは思わないが、そのような時代になった。
マイクロソフト社がそのような決断をしたなら、弊社は、「PythonでExcelを使いやすくする方法」を提案したい。
すなわちExcelの使いにくいソルバーやVBAの代わりにPythonを使ったり、Excelファイルを自動処理したり、さらには、表計算ソフトの泣き所であるマクロを埋め込んだセルを固定された数値に変えたりといったテクニックを伝授するセミナーを企画する。
今回マイクロソフト社がTEST参加対象としているように、弊社も9月度TEST参加者を募集したい。9月15日以降の開催となるが、参加を希望される方は、セミナー候補日を複数記入して応募していただきたい。参加料はTESTセミナーとして平日でも特別価格1万円としたい。
さて、内容はPythonが初めての方から中級者レベルを想定している。事前にPythonの環境設定方法を配布するので予習が必要となるが、参加者に事前学習をしていただくことでレベル合わせができる、と考えています。是非この機会をご活用ください。
マルチパラダイムのPythonをスクリプト言語のパラダイムで理解しやすくご指導します。すなわち、8ビット時代のソード社簡易言語PIPSのような感覚で使えるようにご指導します。
(注)Pthonは構造化プログラミングを想定した設計で、オブジェクト指向も実装されたスクリプト言語である。ゆえに、これを使いこなすためには、オブジェクト指向の理解が不可欠である。しかし、豊富なライブラリーが無料で揃っているので、エクセルを併用した時に自分でクラスを設計する必要はほとんどない。ゆえに、Pythonを簡易言語として指導する方法でも十分Pythonを活用できる。使用しているうちにオブジェクト指向を身に着ける方法も指導予定であり、世間で行われていないユニークなセミナーとなる。ぜひ、ご希望の日程を複数記入し、応募してください。特別に9月15日以前を希望される方にも対応いたしますが、サービス価格ではありませんのでご注意してください。
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当方の新入社員時代、業務にコンピュータを使っているのはごく少数の専門技術者だけだった。当方は「花王のパソコン革命」という書籍がきっかけとなり、上司の命令でローンを組まされパソコン一式を寮に揃えたので、投資回収のためほとんどの業務にパソコンを使用していた。
すなわち、コンピュータを使って問題解決をしていた。主に使用していたのは統計手法で、多変量解析が中心だった。多変量解析では、現象のモデル化が容易だった。
ただ、使用言語がBASICあるいはFORTHで8ビットCPUだったので計算速度は遅く、かろうじて使用できるレベルで多くの人に進められるものではなかった。
あれから40年以上過ぎた今、世の中は大きく変わった。まずCPUが爆速になり、インタープリター言語とコンパイラー言語の差が小さくなった。
ハードウェアーの低価格化だけでなく、ソフトウェアーはPythonが無料で提供されるなどコンピューター環境が著しく改善されている。
このような時代になると問題解決にコンピューターを使用しないのは時代遅れというよりも無知と言っても良いような状況ではないか。
MS-エクセルではソルバーが充実している。VBAも活用できる。しかし、これらが未だに利用率が低いらしい。40年以上コンピュータを使用して問題解決してきた当方から見ると不思議な光景である。
ただ、いまさらVBAだのソルバーだのを学ぼうと思われた方は、一気にPythonを身に着けることをお勧めする。弊社の休日セミナーを活用して明日からPythonを実務に取り込もう。
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入社時の初任給は10万円程度だった。それなのに会社の業務を行うために上司から命令されて80万円のローンを組んで独身寮にMZ80Kのシステムを揃えた。工人舎のフロッピーディスクは本体よりも高かった。
それに第二精工舎のユニハンマー方式のプリンターも高かった。インターフェースはパラレルカードを購入し自分で作る必要があった。純正品はプリンターに近い価格だった。プロッターやデジタイザーまで揃えている。
ただし、周辺機器はフロッピーディスクドライブとプリンター以外九十九電機の中古サービス品である。当時の秋葉原には、新品同様の訳あり品が店頭に並んでいた。当時のデジタル製品はパラレル接続が中心だったので、コネクターの技術資料さえあればパソコンとうまく接続できた。
しかし、会社のOA用のプログラム開発を行うために部下にローンを組ませパソコンを買わせた上司は、今ならば問題になると思っていたら、ビッグモーターでは新入社員に車一台購入させていた、という記事が目についた。ちなみに80万円でオプションがついていないカローラ1台購入できた時代に社会人になっている。
ただ、この投資は当方にデータサイエンスを教養ではなく強要する力となった。問題解決をローン期間中だけでも必死にパソコン中心に考える習慣となった。
さらにローン返却のために休日自由にできるお金など無かったので、勉強する以外に時間をつぶす方法がなかった。ビールも夜食もあり食べ放題の独身寮だったので食費を気にすることなく過ごせた。
8ビットのパソコンではあったが、多変量解析のプログラムを動かすことができた。奥野忠一の「多変量解析」を参考書として、重回帰分析と主成分分析のプログラムを開発し、さらに実験計画法も簡単にできるように直交表をいくつか打ち込んだ。
電気粘性流体の耐久性問題は、この時の8ビットコンピューターシステムが活躍した。すでに16ビットのPC9801の時代になっていたが、PC9801とはパラレルインターフェースを介し、MZ80Kがつながっていた。
LOTUS123を使い界面活性剤のデータを一覧表にして、MZ80KへCSV形式でデータ転送し、MZ80Kで主成分分析を行い、その結果をLOTUS123に送り、グラフ化した。そのグラフの結果と、一晩徹夜して実験を行った結果とが一致した。そして1か月後には某自動車会社にテスト納入可能な電気粘性流体が完成していた。
MZ80KとPC9801をつなぎ、MZ80Kで多変量解析を行っていた理由は、PC9801で動作する統計システムが未完成だったからである。LOTUS123があれば、8割ほどの業務はプログラムレスで可能だった。
2割の業務は、MZ80KかあるいはPC9801でCによるプログラムで解決していた。材料設計にコンピューターが必要なのか、と問う同僚がいたが、逆にデータ処理をどうしているか尋ねて失望していた。
2次元グラフ書いておしまい、の仕事では、アイデアの種を半分捨てているようなものだ。当方は捨てられた種を拾い集め考察することが趣味になっていた。ゆえに当時の研究所のテーマにはすべてに精通していた。
各個人が秘密主義の研究所(注)ではあったが、毎月の研究発表会の資料はシュレッダーにかけられず捨ててあった。それをもらい受け多変量解析にかけていた。
科学に固執した担当者のデータは、ある意味ご都合主義でまとめられていた。しかし、科学の視点では気がつかない相関がその中に隠れていた。データサイエンスでは、そのような相関を気づかせてくれる。
(注)高純度SiCの研究開発を続けながら、研究所内の様々なテーマを担当させられた。しかし、毎度決まったセリフは言われたことだけやればよい、で、テーマ周辺の説明は何も無しである。課内会議にも呼ばれないことがあった。会社の業務においてプロジェクト内のコミュニケーションは重要である。転職してゴム会社の研究所内の秘密主義が異常であったことを知るのだが、それでもうまくコミュニケーションできていないケースがあり、製品化直前にドタバタ劇が繰り返されていた。そもそも研究開発者にはコミュニケーションベタが多いので、マネージメントでは他の組織に比較し過剰なぐらいのコミュニケーション促進を行わなければ、技術の伝承さえもできない。写真会社では公となっている典型的な技術の伝承の失敗ケースがあり、機会があればそれをどのように回復したのか紹介したい。日本化学会で講演した内容である。MOTにおけるコミュニケーションの重要性はゴム会社で十分に学ぶことができた。組織内のコミュニケーションは現場でコミュニケーションの必要が生じない限りうまく進まない。ホンダのわいがやが話題になった時にゴム会社の研究所でも管理職が率先してその場を設けてやってはいたが、葬儀場のワイガヤ運動と揶揄した人がいた。表現が当たっていたが、そもそもテーマの奪い合いが問題とされその解決もないまま研究成果を他のグループに秘密にするマネージメントを行いながら、一方で他グループから有識者を集めてワイガヤをやっても活性化するはずがないのだ。
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弊社ではセミナーについて一新しました。受講者のご希望に沿ったテーマで、さらに受講者のご希望の開講日に行えるようにしましたので、セミナー一覧の情報をご覧ください。
本日は混練技術のセミナーに関して簡単に宣伝をさせていただきます。ゴム会社に入社時、最初の指導社員はレオロジーの専門家でやや昇進が遅れた方だった。当方が初めての部下であり、大変熱心にゴムの混練技術についてご指導くださった。
そして、毎朝午前中は座学でテーマに関連した形式知と経験知を講義してくださった。応用化学科を修了した当方には初めての内容だった。また、現在混練技術は分配混合と分散混合で解説されたりしているが、この講義では混練におけるレオロジーが中心だった。
それだけではない。当時混合則が主流の考え方だった時代にパーコレーションについて教えてくださった。さらにカオス混合についても独自の見解を話され、連続式混練技術における実現方法については当方の宿題とされた。
それから25年過ぎて、豊川へ単身赴任した2005年に半年後までに押出成形歩留まりを10%前後から100%へ上げなければいけないとんでもないテーマを担当した。
カオス混合によるコンパウンド加工しかない、と判断した当方は、コンパウンド工場を立ち上げ、無事歩留まり100%を実現できるコンパウンドをカオス混合プロセスで生産供給することに成功した。この体験談についてもセミナーで解説する。
高価なエンプラのコンパウンドは、成形メーカーが原材料を調達し、内製化しても経済性が成立する場合が多い。原材料をグローバルで調達すれば、成形体のコストダウンが可能となります。
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故ドラッカーは、「優秀な人ほど成果をあげられない。その原因は、間違った問題を正しく解くからだ。間違った問題の正しい答え程有害無益なものはない。」、と語っていた。電気粘性流体の耐久性問題に対して完璧な否定証明を行った優秀な人たちを見て、故ドラッカーのこの名言を思い出した。
ゆえに、優秀な人たちの完璧な否定証明は、間違った問題が解かれた結果、と捉え、正しい問題を考えた。正しい問題は、電気粘性流体の耐久性問題を解決できる界面活性剤を見つけること、である。
界面活性剤が使えるかどうか、として問題を解くと否定証明をした方が簡単である。優秀な人たちは、同じ給与ならば楽して成果を出そうと考えて、そのような問題を研究したのかもしれない。
イムレラカトシュも方法の擁護の中で完璧な否定証明についてなぜそれが生まれるのか述べている。科学で何でも解決できる、と考えていると否定証明に陥る可能性が出てくる。
トランスサイエンスと言う言葉がサイエンスに掲載されたのは日本でセラミックスフィーバーが起きていた1980年代であり、日本の研究者でこの言葉の重要性に気がついた人はほぼいない。
当時の日本では、いけいけドンドンの科学評論ばかりだった。トランスサイエンスという言葉を生み出したのはアメリカであるが、そのアメリカ人が書いた「Japan as No.1」は、日本でベストセラーになったりしていた時代であり、トランスサイエンスなんて関係ない、と思った研究者もいるかもしれない。
しかし、科学で問うことができても科学で答えられない問題をどのように解くのか、技術者は真剣に考える必要があった。科学で答えられなくても、現象をつんつんとつつくような実験を行えばぴくぴくとデータが得られる。
仮説に基づく実験だけでなく、つんつんぴくぴく実験が必要で、それにより集められたデータから知を取り出す作業がトランスサイエンスの時代に重要になってくる。
ゴム会社で30年続き、今でも愛知県のセラミックスの会社で事業が行われている高純度SiCの半導体治工具事業のエンジンとなっている高純度SiCの新合成法はツンツンピクピク実験で誕生している。
しかも直交表を用いた実験であり、フローリー・ハギンズ理論に反する条件も検討されて、そこから技術が誕生している。すなわち集められたデータについてデータサイエンスで考察し技術を作り上げた事例である。
この成功体験があったので、電気粘性流体の耐久性問題では、あらゆる界面活性剤を用いても問題解決できない、と結論づけられた問題でも、界面活性剤の検討をおこなうツンツンピクピク実験とデータサイエンスの解析をコンカレントで行い、一晩で解決している。
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