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2024.09/23 虎に翼

NHKの朝ドラ「虎に翼」は、意外にもハードボイルドの朝ドラだった。朝ドラの最終週といえばたいていは、ドラマのまとめを明るく終わる。主人公が亡くなるか明るい未来を予感させるような筋書きである。


恐らく、今回もそのようなパターンになるのだろうけれど、尊属殺人をどのように明るく終わらせるのだろうか。しかもその事件の内容はここのところ話題となった性加害も含んでいる。


すでにネットではドラマの題材となった実際の事件についての解説が出ており、それを読むと、尊属殺人を定めた刑法が違憲で、被告が執行猶予となっている。


ゆえに、今週の展開はめでたしめでたし、となることが読み取れるのだが、めでたしとしても、日本の家制度の名残の条文を違憲とした画期的判例である。


たまたま大学の教養部2年の時に受講した法学の授業でも紹介されたので記憶している。法学に関心があったというよりも事件そのものが芸能界で起きた事件以上に衝撃的だった。


ゆえに、当方と同じ年齢の人も記憶に残っているかもしれないが、そのような事件を最終週に持ってきて、終わるのである。日本の家制度は戦後否定されたが、法律の中で最後まで生き残ったのが尊属殺人の条文という解説が先週あった。


調査官と最高裁長官とのコメディーとして描かれたのだが、最終週は大法廷の場面になるはずである。コメディータッチではドラマ全体が軽くなってしまう。


しかし、真正面から表現したならば朝ドラとして重すぎるのである。どのように描かれるのか楽しみであるが、このドラマで関心の薄かった法曹界の仕事、とりわけ山田轟事務所の異様な描き方から弁護士という仕事の特異性と社会的位置づけを学ぶことができた。


牧野富太郎のドラマが軽く描かれていたので、このドラマもそのようなドラマかと思っていたら、夜10時から放送しても良いような展開である。

カテゴリー : 一般

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2024.09/22 学歴

小泉進次郎氏の「無理して大学に行くな」発言が炎上している。おそらく小泉氏は大学進学熱が昔の状態と同じ、と勘違いしている。


日本では、20年ほど前から無理して有名大学を目指す風潮は無くなっており、大学浪人数は減少の一途で、予備校が慌てている状態だ。子供の減少スピードよりも速く確実に予備校利用者数は減っている。


無理して大学に行く人はすでに減少しているのだ。問題は、経済的な状況を考えず学歴を捉えていることである。高校無償化が叫ばれた時にも違和感を感じたのだが、義務教育制度を今のままとするならば、高校以上を無償化する施策よりも学びなおし、リスキリングをサポートする施策を検討するべきである。


中卒で社会に出た後、定時制高校で学ぶ、とか定時制大学で学ぶとか、そのような機会を自由に選べる社会とするべきだろう。


今でも遊んでいる大学生は多い。当方も大学3年まで遊んでいたので偉そうなことを書けないが、当方は、アルバイトの収入がゴム会社の初任給よりも1万円ほど多く、自宅通学だったので遊べたのである。


就職して月収が下がり、さらに、上司に言われ、80万円のローンを組んでいたので、経済的に遊ぶことができず、その結果、パソコンでデータサイエンスを研究する以外に楽しむことができなかった。


一番の問題は、個人の経済状態は、その考え方と努力で様々に変化することを誰もが真剣に考えているかどうかである。もし、18歳になって十分な収入を確保できないならば、一度就職し、定時制や通信制の大学で学ぶという手段がある。


「無理して大学に行くな」は、暴言である。大学に行きたいならば経済状態の工夫をできるよう政府も後押しする、と言えば炎上しなかった。

カテゴリー : 一般

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2024.09/21 再生樹脂の力学物性

2022年に施行された法律の効果で、再生樹脂の価格が上がっている。来週広州で再生樹脂に関する国際会議が開催され、その招待講演者に選ばれたので、最新情報を整理していて、その価格にびっくりしている。


バージン材と変わらない価格である。もっとも再生樹脂の生産では、バージン材と異なり生産量の調節を自由自在にできるわけではない。


ケミカルリサイクルも見直され、新たな発想による提案が出てきているが、廃材の収集が律速段階のようだ。中国では20年ほど前から廃材樹脂の再利用が始まっており、再生材ビジネスという視点で見ると日本よりも先行している。


ケミカルリサイクルの検討は行われていないので、廃材をそのまま再利用する方法となるが、汎用樹脂で問題となるのが、成形体の力学物性と外観である。


リサイクル材100%で射出成形を行うと、ほとんどの場合に力学物性が悪い成形体となるのでバージン材を混ぜたりして力学物性を調節したりする。


この原因についてよく言われるのは、再生材の分子量低下であるが、それよりも再生材がバージン材よりも混練しにくいことが知られていない。


換言すれば、二軸混練機にカオス混合装置を取り付けると同一配合でも力学物性が改善される。これが知られていないだけでなく、怪しげなカオス混合装置類似のダイを取り付けて独自技術と主張しているアカデミアの先生がいるから困る。少し特許を勉強してほしい。

カテゴリー : 一般 高分子

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2024.09/20 カオス混合の効果

樹脂のコンパウンディングを二軸混練機で行っている人は理解できないと思うが、ロール混練では非相溶系の組み合わせでも相溶が起きているような現象に遭遇する。


すなわち、ポリマー2成分の混練物のDSCを測定した時にTgが一つになる現象を観察できたりする。もちろんすべての組み合わせで起きるわけではないが、χが明らかに正となるような組み合わせで稀にロール混練では、そのような現象が起きる。


50年近く前に、樹脂とゴムのブレンドを研究していた時に、樹脂がゴムに溶け込んで行く現象に遭遇し、もしかと思いDSCを測定したところ、樹脂のDSCが喪失していた。


それから30年近く経ち、PPSと6ナイロンの混合物を混練するコンパウンド工場を3ケ月で建設しなければならない状況となり、この二成分を相溶できるラインを設計した。


世界初の連続式カオス混合ラインだが、ラインが完成し、PPSと6ナイロンを流したところ、透明な樹液が吐出された。ナイロン種をMXD6や12ナイロンに変更しても透明な樹液となった。


それぞれの試料についてDSCを測定してもTgは一つであり、相溶していることを確認できたのだが、ロール混練と同様の効果があるカオス混合ラインでPC/ABSを混練したところ、透明にはならず、微細組織の分散構造が観察された。


明らかに二軸混練機だけでは実現できないサイズの組織であり、カオス混合が高分子材料の混練レベルを高めることが確認された。


二軸混練機を用いてカオス混合を行うには、混練機の先にカオス混合装置を取り付けるだけでよい。最近この技術を真似て、空間だけのダイを取り付けている例が発表されているが、それを用いるくらいならばカオス混合装置を取り付けた方が良い。


特許が出ているが、弊社に依頼していただければ、特許に抵触しない改良装置を設計いたします。お問い合わせください。

カテゴリー : 一般

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2024.09/19 弊社のセミナー

弊社ではデータサイエンスをはじめ、問題解決するためのノウハウを中心としたセミナーをお客様のご希望に沿って提供しています。その内容は30年以上の実務経験に基づくものです。



データサイエンスの手法は非科学的な側面がありますが、コーチングスキルとして使うと、専門領域の高度な知識が無くても現象を部下にうまく理解できるよう説明できます。ゆえにデータサイエンスのスキルは管理職こそ身に着けるべきと考えています。


今月末に開催される再生材に関する国際会議の招待講演者に選ばれたため、セミナー予約は来月以降となりますが、お問い合わせあるいはお申し込みください。

カテゴリー : 一般

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2024.09/18 読書の秋

毎月1冊も本を読まない人が6割を越えたという。読書離れが深刻だと言われて20年経った。書店の数も1980年代の半分になった。


インターネットの普及の結果だそうだが、ちょっと待て、である。読書とインターネットの情報調査とは目的が異なる。


読書は思索を深めるためであり、インターネットサーフィンでは得られない効果がある。インターネットで電子ブックを読むのも同様の効果があるが、どうも電子ブックも含めて本を読まなくなったらしい。


学生は試験があるので、本を読まなければいけない状況になるのだが、社会人は本を読まなくても生きて行ける。しかし、思索をしない知識労働者は、知識労働者ではない。


意識して思索するかどうかは問わないが、一人の著者が思索をまとめたものに触れ、そこから気づきを得る活動は成長のために必要な食事のようなものだ。


趣味欄に読書と書く人がいるが、読書は趣味ではない。習慣とすべき行為である。音楽家ならば楽譜に触れる、画家ならばオリジナルの絵を鑑賞するように、知識労働者は本を読むのである。


知識労働者ならば、ぜひ読んでおきたいのは、ドラッカーである。彼の著書を最低10冊は読んでいただきたい。何でもよいから10冊読めば、たいていマネジメントを含む可能性が高い。


このマネジメントは、人生の指南書でもある。断絶の時代も是非読んでいただきたい。当方が高校時代に読んだ本である。技術者ならば、イムレラカトシュの方法の擁護を読んで欲しい。


気楽を望むならば、シャーロックホームズのシリーズを何冊か読んでいただきたい。マッハ力学史は英語版をお勧めする。これらの本から科学とは何か、を考えていただきたい。


つまらないかもしれないが、田口玄一著の統計関係の本は、ある種の偏見を持ちながら読むと面白いはずである。技術者ならば、最低限これらの本に目を通すべきである。


シャーロックホームズを何冊か読んだ後、刑事コロンボを見ていただきたい。何か気づきが得られるはずである。そして、読書の楽しさに目覚めるかもしれない。

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2024.09/17 大学で学んだ知識

当方は学部で有機合成の研究を学び、シクラメンの香の合成その他についてアメリカ化学会誌に投稿している。大学院では、学部の講座が廃止されたためにSiCウィスカーを中心に研究している講座で学んだ。

就職はゴム会社であり、大学で学んだ知識は、高純度SiCの企画で使うことができたが、微々たるもので大半は社会人になってから身に着けた知識で実務を行ってきた印象がある。

それでは大学で学ぶ意味はどこにあるのかと、この年になって振り返ると、知識の獲得の仕方とか、知識の体系がどのように出来上がるのか、あるいはどのようにして新しい知を生み出すのか、を身につけるために極めて重要だった、と気がつく。

その意味では、ややアカハラ気味の講座だったが、大学4年時に在籍した講座は最高の学びの場であった、と思い出される。ここで学んだ知識そのものを使う機会は無かったが、知識を獲得する方法やそれを展開する方法、体系化する方法など、およそ新たな知識を学び身に着ける方法を習得している。

大学院ではそれをフルに生かし、4-6報論文発表している。幅があるのは、就職してからも論文を書いていたからである。大学4年時に在籍した講座がいかにアカデミアとして優れた講座だったのかを示す実績である。

ちなみに、名古屋大学内でもそのポテンシャルの高さは知られており、毎年講座の定員をオーバーする希望者が集まり、くじやじゃんけんで決められていたという。

当方の学年では、閉鎖される噂があり、希望者は当方含め3名で、当方以外は大学院進学を希望していた。当方は教員になる予定でドイツ語も取っていなかったが、教授から大学院進学を勧められ、ドイツ語の猛特訓を直接教授から半年受けた。

その甲斐あって、大学院のドイツ語試験はトップだったらしいが、教授が喜んですごい点だよ、と褒めてくださった。専門や数学はほぼできたので、この語学関係で他の受験者と差がついたのかもしれない。

50点の下駄をもらわなかったが、良い点で進学できている。学問というものは、それなりの根性で身に着ければ身につくものである。頭の良しあしよりも学ぶ意欲の方が、習得率への影響が大きいと思う。

弊社ではリスキリングのための教材も用意しているので、ご相談いただきたい。特にデータサイエンス領域は外部業者開催のセミナー講師として使用した教材を提供できます。

カテゴリー : 一般

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2024.09/16 Pythonの重要性

1980年代にパソコンは、計算機以外に何に役立つのかよくわからない道具だった。ところがいまや生活のいたるところにコンピューターが入り込んでいる。携帯電話には4台も入っているものもある。

当方のノートパソコンには8台稼働しているが、とんでもない時代になった。1990年代にソフトウェアーが普及した時、それを使う人と使わない人に分かれていった。

大学院まで出て、1990年初めにパソコンを使用したことが無い、という新入社員は一人もいなかった、と書きたいが、一人いた。MS-DOSの時代であり、OSの知識も皆無で6年間本当に勉強してきたのかと疑いたくなるような人だった。

今の時代、ワープロや表計算ソフトは常識であり、使用経験なし、などと答えたら、採用試験に落ちるかもしれない時代になった。

プログラミングについては、1990年代MS-DOSのバッチファイルやLOTUS123のマクロを組めるぐらいの人は大学院卒であれば80%以上だったように記憶している。さすがに面接でCのプログラミングが自由にできますという人はいなかった。

2000年代にはVBでプログラミングできる人が40%ほどいた。今Pythonを自由自在に扱える大学院卒はどのくらいいるのだろうか。

OCTAを使用した人ならば、Pythonをスクリプト言語として最低限使ってきた人である。その他のシミュレーション経験者であれば、あるいはデータサイエンティストであれば、自由自在に使ってきた人だろう。

これまで様々なコンピューター言語が登場したが、恐らくPythonは今後20年間主流になる言語と思われる。当方も最近はほとんどC#を使わずPythonである。

もし、学生諸君で実務におけるPythonを学びたい人は、弊社に問い合わせていただきたい。無料コースから準備していますので気軽に学んでいただけます。

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2024.09/15 大橋悠依選手引退

佐賀県で国民スポーツ大会が行われているが、昨日の競泳は、パリ五輪で一人しかメダルをとれなかった問題もあり、注目選手がどのような泳ぎをして何を語るのか興味深くTVを見ていた。


あの瀬戸大也選手は無事優勝し、内助の功を感じさせる発言を聞けたのだが、男子の若手が伸びていないことが心配になった。決勝では、もう少し多くの若手と接戦になるのかと期待した。しかし、パリ五輪に出場した瀬戸選手らに次ぐ選手が育っていない。


一方女子は、東京五輪で二つ金メダルを取った大橋選手が優勝できなかったように、若手の台頭があり、彼女は楽しく泳げたという。そして引退の弁を語ったのだが、感極まったのか涙を流していた。


この涙について説明の必要はないと思う。プレッシャーへ誠実真摯に向き合った証であり、その影響もありパリ五輪が終わるまで競泳そのものを楽しむことができなかったという。


昨日は競泳を楽しむことができた、と語っているのだが、優勝できなくてもこのように語る気持ちを何となく理解でき、当方も少し胸が熱くなった。


彼女にとってはラストレースだったので、手を抜いたわけではないだろう。できれば優勝したかったに違いない。それでも、楽しかったのだ。瀬戸選手の明るく軽いインタビューの回答の安心感とは対照的にTVを見ていた当方も感動する「楽しめた」という言葉だった。


昔、「メダル**がい!そんなにメダルが欲しいなら自分で泳いでみろ」と、叫んだ女子水泳選手がいた。代表となった選手が海外で楽しく競技に参加することは悪いことではない。


応援する側もプレッシャーをかけまいと心配している。選手が競技で自分のためだけに頑張っても許されるのである。それを表現した名言を披露したマラソン選手がいた。


ただし、その言葉は「自分で走ってみろ」とは、聞こえなかった。自分を自分で褒めているのだが、むしろ応援している人への感謝の気持ちとして聞こえたのである。


昨日の「楽しめた」も同様にファンへの感謝の言葉として聞こえた。言葉というオブジェクトの不思議な作用なのだろう。選手に与えるプレッシャーの問題を直接表現した千葉すず選手は悪いことをしていない。


しかし、年老いた人間に向かって自分で泳いでみろと言われてもそれは残酷な響きとなる。優れた記録を残しても選手に選ばれなかったが、それはそれで問題となる。


そこで彼女は後進のために日本の曖昧な基準を正す仕事をしている。彼女も瀬戸選手の配偶者も忘れられない選手である。スポーツにはプレイする以外にそこに潜む美しさに触れる楽しみ方がある。岩崎選手の醜聞で金藤選手の金メダルを思い出すように、記憶のトレーニングにもなる。

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2024.09/14 技術の問題

科学の方法で問うことができても、科学で解けないトランスサイエンスの技術をどのように開発したらよいのか。経験知から、タグチメソッドが一番良いと言える。


その他にも、データサイエンスを活用し、データ駆動の方法で問題解決できるが、タグチメソッドが最も簡便である。


何故なら技術の問題では、機能の最適化を行うことが目的であり、真理はともかくロバストを向上することこそ技術開発では重要だからである。


これが分かっていてもタグチメソッドが使われないのは、計算が煩雑であり、面倒なところがあるためだ。誰かがエクセルシートに組んでくれれば使っても良い、と思っている人もいるのではないか。


弊社では、「Python で 理解するタグチメソッド」と称する教材を用意している。このセミナーでは、Pythonのプログラム例と各種SN比の計算をプログラミングしたテキストも配布している。


今、このセミナーで配布しているプログラムをさらに便利にしようと努力していますのでご期待ください。また、セミナーを希望していただければ、いつでも開催し、参加者には完成したプログラムを後日送付いたします。

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