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2022.09/23 データサイエンスによる成果とは

データサイエンスにより界面活性剤の候補が絞られ、ゴムからブリードアウトした物質で増粘し機能を失った電気粘性流体を一晩で復活できた。


しかし、その手法は科学的ではない、という。科学的ではないことを当方も承知していたが、それを理由に検討しないというのは、問題解決の手段を狭める、と主張した。


当時アカデミックな研究を唯一の方法として推奨していた研究所は、科学的であることにこだわる硬直した研究者の集団だった。当方は、さらにヒューリスティックな解を示し、このアイデアを用いると現在検討中の電気粘性流体の性能を向上させることが可能、とこの議論の中で答えている。


そして、粒子構造が表面から内部にかけて抵抗が減少している傾斜機能粉体やコンデンサー状のナノ粒子が分散した粒子、ナノ粒子が分散した不均一粒子の3種の粒子を製造し、それらの性能を評価した。


驚くべきことに、それら3種の微粒子から製造された電気粘性流体は、当時世界最高の電気粘性効果を示した。短時間で得られたこの成果で周囲はびっくりして、科学的には怪しいがデータサイエンスで見出された界面活性剤で耐久性問題を解決しようという流れになった。


同時に会議前になると異常な事件が起きるようになった。データサイエンスを用いた問題解決法が非科学的とされた時代の出来事である。


科学と非科学との境界は時代により変化するとイムレラカトシュはその著書の中で指摘しているが、科学という哲学がどのようなものであるのか、あるいは人類が科学誕生以前から営んできた技術的思考による問題解決法を非科学的として封じることの愚かさにようやく日本人は気がついたのかもしれない。


日本人は、ようやくデータサイエンスの重要性に気がつき、義務教育にプログラミング教育を遅ればせながら取り入れた。そしてAIの実現にまっしぐらである。


おそらく、その次に来るのはAIに対する反省だろう。人間の進化の歴史を見るとこのような時代が到来することが予想される。


データサイエンスとAIを直接結び付けると、それを反省する時代が来ると予想されるならば、データサイエンスを人間の頭で結び付ければよいだけである。これが今データサイエンスにおける最先端の方法論だ。それは当方が転職してまでも改良し続けてきた方法論である。


カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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2022.09/22 金をかけずにDX

コロナ禍は、DXを加速させた。弊社のような規模では、その変化をうまくチャンスとしてとらえることができたかどうかで生き残りが左右される。


弊社は、知的サービスの会社としてスタートしているが、起業時の事業である電子出版で大きな失敗をした。すぐにその失敗に気づき業界トップで撤退している。


その後中国ナノポリスを拠点に、日本企業と中国ローカル企業に小生の技術を伝承しながら売り上げを伸ばしてきた。活動の成果については特許を検索していただきたい。しかし、コロナ禍となり一気にその売り上げを失った。


この2年間倒産しないように新たなビジネス展開を模索するとともに、今日のDXによる変化で到来する日本の姿を考察してきた。


かつて、8ビットCPUが登場した時に「花王のパソコン革命」という書籍がベストセラーとなり、大型コンピューターと同様の処理が可能なコンピューターを大衆車一台分の価格で購入できるようになった。


このベストセラーには、20万円以下でパソコン革命が可能と書いてあったので、研究所で購入願を出したら、そのような便利なモノなら自分で購入しろと上司に言われている。


過重労働はじめ個人に犠牲を強いた時代の話をこの欄で以前紹介しているが、当方はローンを組んで独身寮の一室に上司の指示に応えるようにMZ80Kのシステムを揃えている。これがデジタルと小生との本格的出会いである。


このシステムの導入と新入社員研修でIBM3033活用によるデータサイエンスによりタイヤの軽量化問題にソリューションを提案した経験から、業務にデータサイエンスが自然に取り入れられた。


その後、SASから発売されたSSPを使いたくてLATTICE C を購入している。ライブラリー一式そろえて50万円前後の自腹を切っている。コンピューターは16ビットの時代になっていた。


社会人になってデジタル変革と配属されたアカデミアよりもアカデミックな研究所のおかげで500万円近く私財を投入し会社で仕事をするような状態だった。


過重労働と私財の投入はゴム会社で激しかったが、転職によりそれから解放された、と表現するよりもDXの進展により個人の技術者の負担が減少した、と捉えた方が良いのかもしれない。


今では技術者が個人でパソコンを所有する時代であり、そのソフトウェアーもほぼ無料で手に入る時代である。例えば30年前に登場し膨大なライブラリーを揃えたPythonが無料で活用できる社会など50年近く前には信じられない環境である。


Pythonを使いこなせれば無料で機械学習のソフトウェアーを開発することができる。すなわちAIを無料で手に入れることができるのだ。これに気がつかれている技術者はどれだけいるのだろうか。


弊社ではどのように業務に活用してゆくのか、技術をテーマにしたPythonセミナーを順次公開してゆく計画を立てている。


すでに大手では、データサイエンスを含めてそのスキル実装が個人の技術者で完了したとの噂を聞いている。もし、まだ個人レベルでデータサイエンスのスキル実装が進んでいない企業は弊社のセミナーを活用していただきたい。


高価なSASのソフトを導入する前に弊社の活用を考えていただきたい。先端技術とともに安く研究開発へデータサイエンスの実装を可能とするソリューションを提供いたします。


例えば、今弊社のホームページでは多変量解析のソフトウェアーを無料で開放しているが、これをPythonで個人のパソコン上で処理するスキルは数行のプログラムで可能だ。弊社Webページ上ではJavascriptで作られているが、Pythonへの移植は驚くべきほど簡単である。


さらにその応用展開の解析も簡単である。ただ簡単な自転車の乗り方でも指導者あるいは補助輪が必要だったように、簡単と思えるまでには個人の努力が少なからず求められる。そこを弊社はお手伝いいたします。過酷な労働環境で鍛えられたノウハウで、今の時代に合った優しい指導を目指しています。

カテゴリー : 一般

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2022.09/21 DXの進行と技術者

DXが進行してゆく過程でモノの見方、価値観だけでなく、科学と非科学の境界も変化するだろう。40年前はデータサイエンスという手法は科学でもなく、技術者からも嫌われた。


多変量解析が、統計手法として新QC7つ道具に採用されたのは1970年代のことである。新QC7つ道具に取り入れられ、それを研修コースに採用していた企業の新入社員発表会で、多変量解析による成果発表をしたところ「大馬鹿もん」とCTOに叱られた。


せめて手法をうまく使ったところを褒めてほしかったのだが、実車データが無かった点を諫められた。現物データの重要性を厳しく指導された。大型コンピュータIBM3033を使用して多変量解析を行った40年以上前の出来事である。


30年ほど前でもデータサイエンスは科学的ではないという科学者がいた。しかし、当方はヒューリスティックな解を得る目的でデータサイエンス手法を実務に取り入れていた。これが災いして転職している。


ところが15年ほど前からアカデミアでマテリアルインフォマティクスというデータサイエンスを材料科学に導入する研究が行われ、学会でも堂々と発表されている。


DXにより、科学と非科学の境界が動き始めた。それより前にはイムレラカトシュは「方法の擁護」において、厳密な科学では否定証明だけである、と述べたように、科学における方法の曖昧性は指摘され始めていた。


科学の方法として議論の余地はあっても、技術の方法としてデータサイエンスはDX時代に技術者が身に着けておくべきスキルである。弊社はそのために主成分分析と重回帰分析のソフトを無料で公開している。


使うだけならば難しくない。ソフトウェアーを開発しようとすると、固有値の計算アルゴリズムに何を使うのかといった問題が出てくる。弊社のソフトウェアーはIBM社のソフトウェアーの計算結果が得られるようにそろえてある。


また、弊社ではPythonのプログラミングスキルを技術者に身に着けてもらおうと安価なセミナーを企画している。どのように使うのかイメージを明確にするためにテーマを絞って展開している。


今劣化寿命の問題とパーコレーションの問題のテーマについてセミナー参加者募集を行っている。また、企業での研修の教材も用意できますのでご相談ください。お見積りは弊社のセミナー参加費を目安に捉えてください。


小学校でもプログラミング教育が始まったのである。お父さん、お母さん技術者はPythonぐらい自由に使えなくてはいけない。独身技術者は、もう使えるのが常識である。


独身時代に東村山音頭で有名になった地域にあった恩多寮でMZ80Kを用いて多変量解析プログラムを開発した快感は今でも覚えている。IBM3033と同じことがカローラ一台分の価格(注)のコンピューターでできるようになった瞬間である。


(注)MZ80Kのキット以外に工人舎のドライブ、FDOSにPASCAl、FORTH、HuBASIC(ゲームのハドソンは昔言語開発もやっていた)、アセンブラー、第二精工舎のプリンターを揃えるとこの価格になった。FORTHは面白い言語だった。

カテゴリー : 一般

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2022.09/20 10月11日劣化寿命予測のセミナー

アーレニウスプロットによる時間温度の換算手法、すなわち寿命予測法は、いまや食品や医薬品までに応用されている。


ラーソンミラーパラメーターも同様に普及しているが、これらの手法はそれぞれ経験知である点を正しく理解しているだろうか。


その前に、そもそも実験のやり方も含め、これらの手法そのものが理解できていないという人は、10月11日に開催される弊社のセミナーを受講していただきたい。Pythonを用いたデータ整理手法を中心に講義します。


寿命予測も含め、実験データの整理や解析にエクセルを使われている方は多いと思う。当方もセミナーでデータ解析を指導するときにエクセルのソルバーの使い方など事例を基に講義している。


しかし、エクセルの問題は計算式をセルに埋め込む手間である。さらに使いまわしを行おうとすると少し面倒である。これを便利にするためにVisualBasicを立ち上げるのも良いが、最近マイクロソフトからワードやエクセルのVisualBasicを廃止する方針が発表された。


理由は脆弱性である。この問題以外に、VisualBasicでも再利用という観点で不便である。さらにこの使用方法をご存知の方も少ないと思われる。当方は知っていても使わない。面倒だからだ。


ところがPythonは、かつてのMS-DOS環境におけるプログラミングのように快適である。ぜひ技術者はPythonの使い方を取得していただきたい。GAFAで使われている標準言語、という意味だけでなく、Basicよりも易しく機械学習のプログラミングも可能なのだ。


さらに豊富なライブラリーがあり、劣化寿命の時間温度換算則を用いたデータ整理プログラムなど数行で書くことが可能だ。ぜひこの機会に弊社のセミナーを受講してPythonを身に着けていただきたい。


セミナーの詳細はこちら

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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2022.09/19 ポストコロナ禍

とにかく早期退職してから刺激的な出来事の連続で、あっという間に10年が過ぎ、コロナ禍となってこれまで積み上げてきたものがすべてリセットされた。


連日ワイドショーのテーマとなっている統一教会と自民党の問題は、一見不思議な事件に見えるが、理解が進むと、これも日本ならではの事件として納得できる。


小室直樹著「危機の構造」復刻版はさらに現在の日本の状況を40年前の著書でひも解いてゆく。但しこれは一つの視点であってほしいと願うのは当方だけだろうか。


例によってこの本では、ウクライナ戦争だけでなく他の戦争で日米同盟ができて、などと過激な話が書いてあるが、このくらい過激なことがポストコロナ禍では起きるのかもしれない。


この時もしかしたら日本の浮上できるチャンスが生まれる可能性が高い。先進国で日本経済だけが沈み続けているのだ。チャンスが生まれたらそれをうまくとらえなければ永遠に浮上の機会は無くなる。


この時技術者は今まで通りの仕事のやり方で良いのだろうか。40年前職場にコンピューターが普及した時にそれを操作できる若者とその周りで右往左往する中年社員の問題が生じた。


今職場では誰もがMS-OFFICEを使いこなし仕事をしている。技術者はデータをエクセルで整理しているようだが、これからはPythonでデータの整理と解析、そして過去のデータとリンクしてビッグデータとして新たなアイデアを導き出すような仕事の仕方が求められている。


具体的にどのように進めたらよいのか。それは弊社のセミナーでこれから明らかにしてゆく。すなわち弊社のセミナーは単なるPythonの入門セミナーではなく、新たな技術者の仕事のやり方を提案するセミナーである。


ポストコロナ禍では、おそらくいつまでもエクセルしか使えない技術者とPythonを使いこなし、技術をAIに学習させてアイデアを練る技術者と二分されてゆくだろう。DXが進めば個人の実務のやり方にもその影響が現れる。今から備えるために弊社のセミナーへご参加ください。

カテゴリー : 一般

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2022.09/18 ポリカーボネートの代わりにPPS

低価格カラーレーザープリンターには、ポリカーボネート(PC)製中間転写ベルトが用いられている。複写機部品として捉えたときに難燃性や靭性のバランスが良い樹脂だからである。高い難燃性と強度が要求される複写機外装材にもPC系ポリマーアロイが使用されている。


このPCよりもポリフェニレンスルフィド(PPS)は、難燃性が優れているが靭性ははるかに悪い。ゆえに中間転写ベルトのような動的部品に用いるには工夫が必要である。


その工夫として6ナイロン(6PA)を添加して靭性をあげることに成功したが、まさかその対策でパーコレーションの制御が難しくなり歩留まりが上がらないところまで前任者は考えていなかった。


すでに量産試作直前なので、配合処方を変えずに対策を考えてほしい、という前任者の難解な願望のため誰もがゴール実現不可能な仕事だと思っていた。パーコレーションの制御を難しくしている原因が6PAにあることは明らかだった。


これを科学的に考えていては答えが出ない。なぜならフローリー・ハギンズ理論があり、PPSと6PAは相溶しない組み合わせで必ず相分離して海島構造となり、カーボンのパーコレーションを複雑にする。


この問題をどのように解いたかは、今月と来月開催を予定しているパーコレーションを題材にしたPython のセミナーで解説しているのでご興味のあるかたは受講してください。テキスト不要であれば5000円である。


パーコレーション転移シミュレーションプログラムを作りながら学ぶPython入門セミナーの受講者を募集中です。

セミナーについてはこちら【有料】

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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2022.09/17 故円谷幸吉の記事

1964年東京五輪男子マラソンの銅メダリスト故円谷幸吉氏に関する報道で、「自殺に追い込んだ」と雑誌で名指しされた元上司の遺族が14日、記事は事実と異なり名誉毀損だとして、出版元の宝島社(東京)側に計1100万円の損害賠償などを求め東京地裁に提訴したとの記事があった。


当方が自殺してはいけない、と訴えているのはこのような問題が大きいからである。どのような自殺でもその真の原因は、自殺した本人しかわからない。


50年以上生きてきて死にたくなるような経験が一度も無い人は本当に幸福な人である。当方などもう3回ほど死んでいてもいいような人生を送っている。しかし、頑張って生きる道を選んでいるが、それは周囲に迷惑をかけたくないからである。


故円谷幸吉氏にとって上司を恩人と認識しているが、自殺という死の結果ゆえに記事のような事件となるのだろう。また、企業でも若手の自殺が記事になり、会社側の謝罪となるケースが最近多い。


明らかに悪者は職場の特定の人間だったとしてもそのような人間の雇用責任から社長の責任となるのだろうが、社長が謝罪していては、職場で起きていた真の問題を解明できない、あるいは社会でその問題を共有できないのではないか。


当方はそのような組織内の犯罪を社会が寛大だった時代ゆえに、死にたいところだったが犬死になるのを懸念して転職している。被害者が転職するというおかしな状態だが命を大切にするためにはそれしかなかった。異常な状況を示す手紙などの証拠が残っているのでいつか公開したい。


STAP細胞の騒動では理研の研究者が研究所内で自殺と言うショッキングな結末となっているが、宝島社のように書き立てるところは無い。同窓生の死はあまりにも悲しかったが、できればあの騒動を生き抜いてほしかった。そして真の問題の是正に行動を起こしてほしかった。


被害者が自殺してしまうと正しい問題が歪曲される可能性が高い。円谷選手の自殺でも正しい問題はスポーツ選手とりわけ国中から期待のかかっているスター選手が背負う重圧に対してどのように社会がサポートすべきかという問題だったはずだ。


銀メダルをとって「自分を褒めてやりたい」と言った有森選手の言葉は名言である。当時の陸連が有森選手を選んでから彼女に対する重圧は円谷選手同様に大変だったであろうと想像がつく。


それらをサポートした周囲の存在は、興奮が冷めてから語られている。自殺をこらえて走り切った感激ゆえに「自分を褒めてやりたい」と言う言葉に集約されたのではないか。


重圧に彼女がつぶされていたならば、彼女をサポートしていた人の存在は永遠に語られなかっただけでなく、今回の問題のように逆の展開の可能性が出てくる。


どんなにつらいことがあっても死んではいけないのだ。自ら死を選ばなくてはならないような状況になったら、すべてを捨ててでも生きる道を選ぶべきである。


生きておれば、必ず生きていてよかった、と思える瞬間がおとづれる。生きていてよかった、と思える瞬間があるから生きよ、など無責任なことは言わない。良かった、と思えるのは、ほんの瞬間で、苦しい時は、何故か長時間継続する。


ただ、被害者が自殺したなら正しい問題が見えなくなり、死ぬほどの苦しみの原因が改善されないので、同様の苦しみを残された人が味わうことになる可能性が出てくるかもしれない。死にたいと思っても生き抜いて死にたくなるような原因を社会から取り除く活動をしてほしい。


弊社は職場環境の問題を乗り越えイノベーションを推進するお手伝いも行っています。ゴム会社で高純度SiCを起業した体験を活かし、イノベーションを成功に導く指南をいたします。

カテゴリー : 一般

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2022.09/16 ポリカーボネート基ポリマーアロイの難燃性能

ポリカーボネート(PC)とのポリマーアロイは20年以上前に研究開発が活発に行われ、主要な組み合わせについてその基本特許はすでに切れている状態だ。難燃剤メーカーや樹脂メーカーの技術資料を眺めると面白いことに気がつく。


すなわち、PCと他のポリマーAとのポリマーアロイコンパウンドの難燃性能は、LOIがPC>Aの関係にある時に、PCのLOIは低下し、AのLOIは見かけ上高くなる。


当然のことのように思われるかもしれないが、また、このような性質があるのでAと言う樹脂の難燃性能を改善したいときにPCをブレンドするという技術手段が選ばれるのだが、話は簡単ではない。


Aがナイロン系の樹脂の場合にはPCとのブレンドによりAよりもLOIは低下するのだ。これについて20年以上前に高分子学会で報告があったが、ナイロン樹脂とPCとの燃焼時における反応が原因として説明されていた。


PC/ABSやPC/PS、PC/PP、PC/PET等のLOIは、元のPC単体のLOIよりも低いが、ABSあるいはPS,PP、PET単体のLOIよりは高くなる。ゆえに化粧外観と難燃性能を得たい外装材ではよく用いられるポリマーアロイである。


ただし、この目的にナイロン系のポリマーアロイが用いられない理由は、組み合わせにより難燃性能が低下するため、と言う話はあまり知られていないようだ。

カテゴリー : 一般

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2022.09/15 ポリカーボネート再生材の難燃性について

ポリカーボネートの難燃性は、分子量や変性剤、ポリマーアロイを形成する高分子材料の影響を受けて変化する。その結果LOIが21以下のポリカーボネートも存在する。


このあたりの研究報告例を読んだことが無い。ただし、樹脂や難燃剤メーカーの技術資料にはそのような報告が出てきたりする。


例えば、出光興産のシロキサン変性PCの場合には面白い変化が起きる。すなわち少量のシロキサン変性ではPCの難燃性を向上させる方向に機能するが、量が増加すると難燃性が下がるという。


すなわちポリシリケートによる変性量でLOIが変化し、ある変性比にピークを持つという変化である。これは、シリコーンオイルが可燃性(消防法で第4石油類のシリコーンオイルも存在する)であることを知っておれば納得できる。


シロキサン単位は燃焼すればシリカを生成するので難燃化に寄与してもよさそうだが、以前この欄でフェノール樹脂の難燃性について説明した理由と同様に可燃性ガスを燃焼時に生成する因子は難燃性を低下させる。


ここは科学的に説明しにくい部分も存在するので高分子の難燃化技術の難しい点だが、難燃性の用途に用いられていたPCの再生材に難燃性能が無くなっているのは、今年4月施行された法律を考えると困った問題である。


リサイクルされたPC材料には、再生樹脂を回収するプロセスで他の樹脂が混入するのは避けられない。これは日本の再生事業者の工場を見学すればすぐに理解できる。


中国で樹脂再生を行っている現場を10年以上前に見学したことがあるが、そこは想像を絶する現場だった。今も当時のような作業が行われているかどうか知らないが、日本ならば許可されない作業環境だった。


ただ、再生樹脂のコンタミの面では日本のプロセスよりも有利に思われた。人間の手作業で成形体がより分けられていたからである。


さて透明なPC再生材についてかつて分析したことがあり、そのとき何故かポリアクリロニトリルが混入していた。赤外吸収スペクトルで検出されるぐらいだから少なくとも5%は入っていただろうと思われる。その結果、再生PCのLOIは19以下だった。このあたりの話を含めて再生材の難燃化技術というセミナーを企画している。

カテゴリー : 一般

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2022.09/14 データサイエンスの事例

データサイエンスに関して無料セミナーを予定している。事例の大半は30年以上前のゴム会社時代の事例であるが、今でも色あせていない。


例えば、アクティブサスのケースとして用いるゴムからのブリードアウト物で電気粘性流体の増粘が起きた耐久性問題では、界面活性剤でこの問題を解決できない、という科学的に完璧な否定証明の報告書が1年かけた研究の末、発行された。


そして研究所で加硫ゴムについて最も詳しいという理由で、高純度SiCのJVを立ち上げたばかりの小生に、加硫剤などの添加剤が入っていないゴムを開発するよう命じられた。ゴムに詳しい方ならば、ゴム会社でこのようなテーマが立案されたことに驚くかもしれないが、実話である。


小生は、すぐに界面活性剤のカタログを集め、MZ80Kで主成分分析を行い、主成分得点まで求め、それらのデジタルデータをパラレルインターフェースを介してPC9801に転送した。


PC9801ではロータス123が稼働しており、それでグラフを作成して、界面活性剤の性質をHLBは、70%未満しか説明していないことを確認できた。


それだけではない。第一主成分と第二主成分の軸でプロットすると、界面活性剤がいくつかの群に分かれた。60数%の界面活性剤は第一主成分の軸の周りに集まったが、残りの30%以上の界面活性剤には、第一主成分の軸から離れた群に属する化合物が存在した。


おそらく第一主成分の軸はその寄与率が80%以上を示したHLB値だろうとみなし、この軸から離れた界面活性剤を中心に、300種類の界面活性剤を増粘し使い物にならない電気粘性流体に添加して一晩観察したところ、幾つかのサンプルで、粘度低下が起きていることを発見した。


すなわち、データサイエンスにより、1年かけた否定証明の結果を一晩でひっくり返す成果を出したのだ。無料セミナーでは特許に発表されたデータも交えもう少し詳しく説明する。


なお、データマイニングはかつて上司に命じられ自腹で購入したコンピューターシステムで行われた。大衆車1台分の給与をつぎ込んだシステムのため、独身時代は、必死でBASICだけでなくPascal、C, FORTH、アセンブラーなどを勉強している。


余談だがPC9801は、自主的に購入しているが、MZ80Kほど高くはなく、FDまでついて30万円ほどだった。ただ、プリンターとかプロッターはMZ80Kにつながれていたので、PC9801とMZ80Kはパラレルインターフェースで接続され、PC9801のデータをプリントする時にもMZ80Kを立ち上げねばならない不便があった。しかし、恐ろしいほどコンピュータの性能向上速度が速くMZ80Kのハードウェアーとしての資産価値は下がっていったが、ソフトウェアー資産が豊富にあったので、Windows95が発売されるまでMZ80Kは現役として活躍していた。計算時間はかかったが、8ビットコンピューターでもデータサイエンスができたのだ。ただし、小生のMZ80Kには8MHz駆動のZ80が搭載されていた改造品である。当時はハードウェアーの改造などが書籍として発売され、秋葉原には怪しげなプリント基板が多数発売されていた。プリント基板とチップをバラで購入し組み立てる面倒な作業が必要だったが、ハードウェアーの勉強ができた時代である。当方の時代は、モータリゼーション隆盛で車を走らせる若者がいた一方でコンピューターでソフトをいかに早く走らせるかに夢中になっていた若者がいたのである。「花王のパソコン革命」というベストセラーのおかげで両方の文化を享受することになった。


データサイエンスの入門として無料セミナーも準備しました。当方の実績を基にした事例セミナーなので専門外でも理解できます。40年以上前の実績だけでなく最近の事例も紹介します。

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