ホスファゼンは、化学修飾して反応型難燃剤として利用すると、最も効率よく難燃剤として機能させることができる。しかし、もしホスファゼンを分子レベルで分散することが可能になれば、反応型難燃剤に変性しなくても同様の効果が得られるはずだ。
ホスファゼンの高分子難燃化機構としてオルソリン酸同様の燃焼時における炭化促進触媒としての機能が仮定されている。実際にホスファゼン変性ポリウレタン発泡体の燃焼後のサンプルを分析してもP=Oに基づく赤外吸収のピークを観察することが可能である。
多くのリン酸エステル系難燃剤の場合にはこの吸収が燃焼後のサンプルに観察されないことから、燃焼時にオルソリン酸となって揮発していることが予想された。また、この揮発があるためにホスファゼンで難燃化したポリウレタンよりも煤の発生が若干多くなる。
ホスファゼンではアラパホメーターで皆無との結果が得られているので、煤の発生は燃焼時に揮発するオルソリン酸の影響とも解釈が可能であるが、燃焼時発生するガスのクロマトグラフィーの結果では、オルソリン酸のピークは観察されたが、リン系有機化合物は観察されてなかったので、詳細は不明である。
科学的ではなくあくまで経験的な結論となるが、ホスファゼンの高分子難燃化機構として、燃焼時の熱で酸化を受けて生成したP=O単位がオルソリン酸同様の炭化促進触媒として働いていると考えている。
このような難燃化機構を仮定した時に、他のリン酸エステル系難燃剤とホスファゼンの併用系は、オルソリン酸の揮発を防ぐ効果が発揮される可能性がある。実際にホスファゼンと一部のリン酸エステル系難燃剤とを混合後、熱分析を行うと、ホスファゼン単独で測定された値よりも多い残渣が熱分析のセルに残る。
以上は40年以上前の当方が新入社員時代の研究成果だが、環境問題が深刻になってくると、臭素系難燃剤の使用は難しくなる。その時経済的な難燃化システムは、という問いに対する回答の一つに、安いリン酸エステル系難燃剤とホスファゼンとの組み合わせ難燃剤がある。
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ニコンがカメラ本体の生産拠点をタイへ集約するという。すなわちもう日本製のニコンカメラは無くなるのだ。かつて、秋葉原を訪れる外国人がmade in JAPANのカメラを探している話題がニュースで報じられた。
すでに高価なカメラ以外は海外生産に移っており、一眼レフでもタイやベトナム製が大半を占めるようになってきたころである。ペンタックスはデジタルカメラになってすべてベトナム生産となっている。
レンズだけが一部日本製だったが、最近は海外生産に移行しただけでなく、他社のOEMでレンズ開発をペンタックスは行うようになった。カメラ市場がシュリンクしているので仕方が無いが、昔のようにじっと眺めていたくなるようなカメラが無くなったことも市場縮小に影響していると思う。
自動車も含めて魅力的な工業製品が無くなったからかもしれないが、いまやmade in JAPANがそれほど重要なロゴではなくなった。
ところでアイバニーズというブランドのギターは、20万円前後まで海外製だが、星野楽器という名古屋に本社があるドラムセットとギターのメーカーだ。楽器メーカーとしては珍しく、最初から自社に工場を持たないファブレス企業である。そのためブランドを大切にしてきた。
ちなみにアイバニーズとは昔スペインに存在したギター工房の名前である。エレキギターの世界では、ギブソンがトップブランドとして君臨してきたが、倒産しかかったりしてブランドイメージが低下してきた。
また、30万円前後のES335がアイバニーズの7万円前後のギターの品質よりも劣っていたことにびっくりしたが、これは日本メーカーが品質管理技術が優れていることを示す典型的な例だろう。
ギブソンは20年ほど前、ギターについて一山いくら的売り方をしていた。すなわち、代理店(当時の日本の代理店は山野楽器)からの注文に応じて注文数をすべて出荷する、というやり方だ。当方が購入したのは、新品訳ありES335をバーゲン価格で購入している。ただしこの新品訳ありでも16万円で下取りされた話を以前紹介している。
これに対して、アイバニーズでは海外生産品でも品質管理を日本人が行っているそうで、その結果今ではギブソンと肩を並べるまでのブランドに育ち、高価格帯のギターの値段は1.5倍になっている。当方の5年前の在庫品としてネゴの末購入したES335同等品の新品ギター(7万円!)は、今では15万円以上の定価がついている。
ニコンもおそらくmade in JAPANの価値よりもニコンブランドの価値が高いと判断した結果かもしれないが、防湿庫に保管していたフィルムカメラのクリップ部分がクリープ破壊していたり、新製品で購入したZ6のストロボシューを購入してすぐに修理に出さなければいけない経験をした当方には、今回の決断を心配に思えてくる。
もし信頼性工学について不安があるなら当方に相談していただきたい。ニコン製カメラの信頼性が上がるならば、喜んでお手伝いしたい。
(注)ギターの価格は、ブランド力で様々である。アコースティックギターでその相場を例示すると、日本製は20万円前後である。すなわち20万円未満の日本ブランドは韓国、中国、インドネシアなどで生産されている。アメリカブランドの場合に、安価なギターはメキシコ製である。ギブソンの場合にはアメリカ製でもメンフィスとナッシュビルで品質が異なると言われている。日本製でもK/ヤイリやタカミネは、25万円以上の価格をつけている。面白いのはアイバニーズの20万円ほどの定価のインドネシア製ギター。最高品質の木材で製造されて、実売14万円である。木材の品質はトップ板に使用されるスプルースの場合に、木目がそろってまっすぐな材料は最高品質と言われている。また、10万円以上の製品は、テイラーを除き、トップ板スプルースは単板となる。テイラーの場合にトップ板が単板になるのは20万円前後で、20万円以下で表板が単板製のギターではスプルース以外が使用される。最近エレアコが人気だが、ピックアップとアンプ代が2万円ほど価格を押し上げている。こうした情報を基に、ギターを眺めると、コスパが悪いのは、テイラーの高級品、マーチン、ギブソン、タカミネ、Kヤイリ、ヤマハLシリーズ、逆にコスパが良いのはアイバニーズ、アリア、ヤマハのAシリーズである。モーリスは大半がオープン価格となっており、入手先により低価格品では2万円前後、20万円前後の単板ギターでは5万円前後の価格の開きがある。OEM生産が主体のフジゲンは、そもそも見かけることが少なく、よくわからない。テイラー、マーチン、ギブソンは、アコースティックギターのトップブランドと言われているが、その次にヤマハ、タカミネなどが並ぶと言われている。一部ではアイバニーズやKヤイリもトップブランドという解説がある。モーリスやフジゲン、ヘッドウェイの日本製は、海外でも評判が良い、と書かれていたりするが、テイラーやマーチンに次ぐブランドであることは確かだろう。40年前にマーチンギターのOEM生産を行っていた東海楽器は、キャッツアイブランドでもギターを発売しているが、全製品中国製である。昔のキャッツアイはマーチン同等品質として人気を集めたが、最近はあまりその評判を聞かない。いろいろ調査をしてきて思うのは、ギターと言う楽器の面白さである。未だに様々な製品が発売されており、バイオリンなどの形の定まった弦楽器とは異質である。40年以上前の製品がビンテージ品として100万円以上の価格で販売されたりしているが、塗装や接着技術も含めてこの20年間に製造された製品の方が良かったりする。バイオリンではストラティバリウスがとんでもない値段で販売されていたりするが、ギターはそこまでの価格がついていない。とんでもない価格はついていないが、購入するときにどのギターを購入すればよいのか迷う人には、10万円以下で品質が安定している製品を選ぶならば、ヤマハかアイバニーズとなる。目利きがいるならば、キャッツアイやアリアでは、価格以上の製品に出会うことがある。同じ価格帯で迷ったならアリアである。一定のブランド力のあるモーリスやタカミネ、Kヤイリを購入する場合には、20万円以上の製品を購入したい。ブランドにふさわしいギターを入手できる。テイラーやマーチンも同様である。ギブソンは高価格帯でも注意をしないと品質の悪い製品がある。しかし、品質が悪くても下取りでは、高く引き取ってもらえるので安心だが。
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科学的に解くことは難しいが、社会的なニーズがある場合に、とりあえず効果があれば使いましょう、という柔軟な対応を人類は自然界で生きるためにとっている。
例えば、コロナウィルスワクチンもそのような対応で科学的解明がされていなくても、一定人数に対して行われた治験で効果があったので、すでに世界中で1億人以上が接種した。
もうすぐ日本でも接種が始まるが、このワクチン接種の状況を見ても、日本はこのような状況の対応が遅い。これは、日本が世界でもまれにみる科学一辺倒の社会だからだ。
この4月から小学生対象にプログラミング教育がスタートする。このような教育分野において非科学の要素が高い教育の導入は遅れている。
プログラムは論理で作られる、と信じている人がいるが、プログラミングを円滑にできるためには、若干の芸術の素養が必要であることを語る人はいない。
日曜プログラマーとして50年近くプログラミングで遊んできた当方は、プログラミングにより写真技術が向上したと思っている。
実際に写真を撮る時に、最近はプログラミングの手順から入る。どのような写真を撮るのか、あらあらのアルゴリズムに相当するイメージをもとに撮影してみる。
出来上がった写真のバグ(意図していない写り方)を探して、再度撮りなおす。これを繰り返してよい写真に仕上げてゆくのだが、日曜プログラマーがそうであるように、作っている過程で興味が無くなる時もある。
特にそれが仕事ではないので、興味が無くなればプログラムを作るのを辞める。写真であれば考えていたテーマを棄却する。アマチュア写真家が稀にすごい写真を撮る背景でもある。ハイアマチュアと呼ばれる人たちは興味と言う視点で厳しく写真を撮っている。
実は、高分子の難燃化規格もこれに近い側面がある。1970年代から様々な規格や評価装置が登場している。ゴム会社は研究開発費が潤沢にあったのでわけのわからない評価装置まで買い込んでいた。ほとんどが輸入品である。
上司の主任研究員が好きだったようだ。まるでおもちゃを買うように新しい評価装置を買っていた。配属された日に、たまたま埃をかぶっていたmade in JAPANの全自動酸素指数測定装置なるものを見つけた。
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ドラッカーは30年ごとに事業の再定義の必要性を指摘していた。その意味は彼の著書を読んでいただきたいが、昨年から今年にかけては新規事業を起業するには大変良いタイミングだと思っている。
昨年あるお客さんから技術相談を受けたが、アジャイル開発で今年夏前には製品を出すくらいの覚悟で技術開発を行わないと失敗する、とアドバイスした。
その結果、当方は自分の首を絞めることになり、牛突猛進で元旦から仕事をしている。もっとも実験が趣味なので苦にならないが、お客さんがやるべき実験を秋葉原で調達したジャンク品を改良し昨年暮れから実験をしているので、コンサル料からみれば大赤字である。
しかし、お客様の実験の進捗が遅いので、アジャイル開発を行うためには、正月明けにプロトタイプを作る必要があり、赤字と分かっていても当方が走らなければいけない状態だ。
実験をやりながら、日本の製造業が科学に束縛される問題に気がついた。なぜなら当方の実験は、非科学的だからである。すなわち、機能確認を重視した実験であり、仮説設定などしていないので進捗は早い。
できるかどうかわからない、動作するかどうかわからない機能について、機能が発揮されるように試行錯誤で実験を行っているのだ。
科学のない時代の腕のある職人は、試行錯誤で新技術を開発していたはずである。科学者が登場したので、今の職人は、それをする必要が無くなった。
しかし、日本の製造業の現場には知識労働者と呼べるような職人がいる。もし、そのような人材を集めて新たな機能の製品を開発させたなら、研究所のスタッフでも想像できないような製品を創造するかもしれない。
例えば、退職前にカオス混合プロセスのコンパウンド製造プラントを半年もかけず立ち上げているが、その中心人物は腕のいいカメラの組み立て職人だった。
当方は中途採用の若者とこの職人を組み合わせたチームでマネジメントを行い、Wパーコレーションを制御したコンパウンドを生産可能なプラントを短期間に立ち上げている。
基盤技術も何もない会社で、アジャイル開発によりコンパウンドメーカーよりも優れたプラントを生み出したのだが、成功の要因は人材と絶妙なマネジメントにあったと思っている。事業の再定義を行う時に日本の製造業の現場には優れた人材がいることを忘れないでほしい。
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傾斜構造の粒子をリーダーに話した時に頭で考えるだけならだれでも言える、と言われた。当方は、それを製造するプロセスも考えたうえで話したのだが、笑われた。
当方は住友金属工業とのJVを立ち上げる準備を一人で担当していたので、余分な仕事をするためには残業をしなくてはならなかった。
しかし、笑われた以上残業など認めてもらえないことは明らかだったので、サービス残業で傾斜構造の粒子を合成した。内部は10の6乗Ωcmで表面は10の11乗Ωcmであり、絶縁体ではなかったが、高い電気粘性効果がこの粒子で得られた。
合成には二晩かかったが、最初の実験として大成功だった。傾斜構造の粒子と比較するため、超微粒子分散型微粒子も2種類製造した。
1種類は絶縁体超微粒子が半導体内部に分散した粒子であり、他の1種類は半導体超微粒子が絶縁体に分散した粒子である。
これらの粒子を製造する技術は、高純度SiCを製造する技術について科学の視点で研究を進めた形式知から容易に実現できた。
科学の長所は、真理を応用した時に必ず真理として現象に現れる点にある。怪しい経験知では、それを展開した時に、再現しないというペナルティを味わうこともある。
ゆえに経験知を獲得したら、可能な限りそれを科学の視点で見直す習慣にしている。科学を道具として使うとは、このような意味である。
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おそらく教育現場の先生は気がつかれているかもしれないが、プログラミング教育では、これまで科学一辺倒だった教育方針を大きく変える必要がある。
あるいは、従来の科学と非科学の境界線を大きく変更するようなイノベーションを教育現場で起こす必要がある。もしここに気がついていない教育者は、プログラミング教育の本質を理解されていない。
かつて、音楽や美術、技術家庭科という科目にその期待をすることができたが、この分野の先生には失礼だが、科学を理解されていない方もおられたので、指導要領では情操に力点が置かれていた。
音楽や美術にもプログラミング教育の要素は含まれている。音楽鑑賞や美術鑑賞では、科学教育を活かせるが、作曲したり、絵をかいたり、彫刻を創ったりするときには、科学教育の範囲を逸脱した教育方針が必要だった。
しかし、そこに気がつかず、芸術科目として教育がなされてきた。絵や彫刻が不得意だった人もプログラミングを学ぶとその能力が飛躍的に改善されるはずだ。
例えば、彫刻が得意でも今は3Dプリンターを使えば複雑形状を容易に創造できる。ただそのためには、3Dプリンターを動かす知識が必要である。
ただパラメーターを入れるだけであるが、どのような形状にするのかを考えなければ入力パラメータを決めることができない。このとき科学的に形状を考え出すには無理がある。
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無料セミナーでプログラミング教育を取り上げたら参加者がいるだろうか。今年から小中学校でプログラミング教育が始まったのだが、教育現場で芳しい結果が出ていないらしい。
一部の知人の情報を一般化したのでは頑張っている先生に申し訳ないが、プログラミング教育がうまくいくと、シナジーで数学の成績が上がるはずである。
当方は社会人になってから、BASICにC、C++,C#,JAVAと日曜プログラマーとして活動してきた。ゴム会社時代には、実験室のOA化に取り組んできた。
写真会社ではシミュレーションやタグチメソッドのプログラムを作成したりした。プログラミングに関する勉強も趣味の領域を超えて現在も取り組み中である。
学校の指導要領を読んでみて、面白い教育のアイデアが浮かんだ。現在それを煮詰めている最中であるが、もし本欄の読者で、小中学生の子弟がおられるならば無料セミナーをリクエストしていただきたい。
もしリクエストがあれば、来年4月開校を目指して1年間の教育プログラムを開発したいと思っている。開講は来年になるが、このようなセミナーのご希望があれば弊社へ問い合わせていただきたい。
対象を社会人ではなく、小学校高学年から高校生レベルを考えている。理由は、プログラミング教育のシナジーを活かして数学の成績向上を狙う目的がある。
毎年大学入試が終わると、数学の入試問題を眺めているのだが、最近の数学入試問題は、昔のような奇抜な問題が出ない代わりに問題がよく練られているような出題がある。
このような問題では、プログラミング教育のシナジーを活かしやすい。昔もプログラミング教育を受けていると簡単に解ける大学入試問題があった。そこに気がついたのは、プログラミングを趣味として始めたころである。
また、ドラッカーを高校生の時代より読み続けてきても気がつかなかったのだが、ドラッカーの著書が問題解決の指南書に見えたのもプログラミングを始めてからである。
科学的に問題を考える、といっても実は非科学的な要素を用いなければ問題を解くときに難解になる。プログラミングを学ぶとこのようなことに開眼する。
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ケミカルアタックという言葉は学術用語ではない。ある種の溶媒が高分子材料に付着し、高分子材料を破壊に至らしめる現象である。
ある種の溶媒について、高分子材料を溶解させる溶媒と書かれた説明もあるが、高分子材料を溶解させなくても起きる場合がある厄介な現象である。
高分子と溶媒の関係について、溶解度パラメータ(SP値)が知られており、実験室で実験を行うと、SP値最大のところでケミカルアタックが起きやすいという結果が得られる。またそれをグラフ化したデータも公開されている。
成形体に何も問題がなければ、SP値を頼りに使用する油に制限を加えれば、ケミカルアタックを防ぐことができる。
しかし、ケミカルアタックについては、促進評価法を開発して個々の関係について調べた方が良い。特に成形体についてはそのばらつきについても注意深く実験を行うべきである。
例えば、成形体に歪がかかった状態では、SP値と無関係にケミカルアタックが発生することがある。詳細は省略するが、ブリードアウトと同様に科学的に論じることが難しい現象であり、品質問題が発生するとその対策に苦労することになる。科学的というよりも実務的な解決策となる場合もある。
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科学の成果として技術がある、という言い方は、一部の当たり前の技術では正しいかもしれないが、高純度SiCの発明については、根性の成果として技術が完成している。
技術が完成してから、その技術の成功が科学的に考えて必然だったことを完成した技術を用いて明らかにしている(注)。
フェノール樹脂とポリエチルシリケートの分子レベルで均一に混合された前駆体によるSiC生成の反応速度論解析もその一つで、この解析を行うために、2000万円かけて熱分析装置まで開発している。
すなわち科学的に厳密な実験を行うために、世界初となる分析装置まで発明したのだ。学位論文には詳細がかかれているので興味のあるかたはそちらを読んでいただきたい。
ポリエチルシリケートとフェノール樹脂を分子レベルで均一に混合する技術については根性で見つけているが、SiC化の反応を解析する分析装置についても一度は分析機器のメーカーがギブアップした装置を当方の手作りの部品を使い根性で完成している。
前者は鼻歌交じりに行っているが、後者は2000万円がかかっていたので、冷や汗かきながらの作業だった。しかし苦労のかいがあり、2000℃まで1分未満で昇温可能な熱天秤を完成させることができた。
すなわち、技術ができて初めて新しい科学の真理が生まれたのだ。技術の成果として新しい科学が生まれた、と高純度SiCの発明では言える。
このような新しい科学を生み出すような技術開発を目指しているのが弊社のコンサルティングポリシーであるが、これがなかなか理解されない。それだけ科学信仰が強いのだろう。
当方は科学を否定しているのではない。新しい科学を生み出すような技術開発が重要だと思っている。最初に根性の成果と書いたのは半分冗談だが、新しい科学を生み出すためには、既知の科学のロジックを超えるロジックを適用して初めて成功する。
弊社へお問い合わせください。昨日の無料セミナーでもこの点について解説しました。
(注)山中博士も同様にヤマナカファクターを見出し、それを用いて科学を展開している。ヤマナカファクターは技術の成果としてまず生まれたことを理解する必要がある。その技術は科学で生まれているので、科学の成果と山中先生は謙虚に言われるが、ヤマナカファクターそのものはあみだくじ方式による技術成果である。くじを引くか根性を使うか、あるいはーーーー。
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フェノール樹脂とエチルシリケートの組み合わせを高純度SiCの原料に用いることが新規であることをどのように知ることができたのか。
簡単である。大学院時代に在籍した研究室でSiCウィスカーの研究をテーマとしていた研究者が数人いて、彼らの輪講や研究報告会に欠かさず出席していたからである。
そこでもフェノール樹脂やエチルシリケートを原料とした方法が研究されており、失敗している。すなわち、この原料の組み合わせは高純度SiCに不向きであることが科学的に証明されていた。
論文には書かれていないが、失敗実験のデータとして報告され、その失敗の原因がSP値にあったからである。高分子の世界ではフローリー・ハギンズ理論で否定される組み合わせだった。
すなわち、ポリエチルシリケートとフェノール樹脂を均一に混合し安定な前駆体を製造することは、科学的に困難な技術とされていた。
よく技術は科学の成果であるから科学の研究に力をいれよ、という人がいるが、科学を信じれば信じるほど技術開発が難しくなる、というパラドックスをそのような人はご存じない。
技術開発で少しでも成功体験のある人は、一応周囲への配慮から科学への殉教を誓うが、内心は非科学的でも成功する可能性のある限り、なんでも実行しようという考えを持っている。
科学が進歩すればするほど、そのような人でなければ新しい発見ができなくなるから面白い。
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