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2020.10/08 ケミカルアタック

ケミカルアタックという言葉は学術用語ではない。ある種の溶媒が高分子材料に付着し、高分子材料を破壊に至らしめる現象である。

 

ある種の溶媒について、高分子材料を溶解させる溶媒と書かれた説明もあるが、高分子材料を溶解させなくても起きる場合がある厄介な現象である。

 

高分子と溶媒の関係について、溶解度パラメータ(SP値)が知られており、実験室で実験を行うと、SP値最大のところでケミカルアタックが起きやすいという結果が得られる。またそれをグラフ化したデータも公開されている。

 

成形体に何も問題がなければ、SP値を頼りに使用する油に制限を加えれば、ケミカルアタックを防ぐことができる。

 

しかし、ケミカルアタックについては、促進評価法を開発して個々の関係について調べた方が良い。特に成形体についてはそのばらつきについても注意深く実験を行うべきである。

 

例えば、成形体に歪がかかった状態では、SP値と無関係にケミカルアタックが発生することがある。詳細は省略するが、ブリードアウトと同様に科学的に論じることが難しい現象であり、品質問題が発生するとその対策に苦労することになる。科学的というよりも実務的な解決策となる場合もある。

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2020.09/28 高純度SiCの発明(4)

科学の成果として技術がある、という言い方は、一部の当たり前の技術では正しいかもしれないが、高純度SiCの発明については、根性の成果として技術が完成している。

 

技術が完成してから、その技術の成功が科学的に考えて必然だったことを完成した技術を用いて明らかにしている(注)。

 

フェノール樹脂とポリエチルシリケートの分子レベルで均一に混合された前駆体によるSiC生成の反応速度論解析もその一つで、この解析を行うために、2000万円かけて熱分析装置まで開発している。

 

すなわち科学的に厳密な実験を行うために、世界初となる分析装置まで発明したのだ。学位論文には詳細がかかれているので興味のあるかたはそちらを読んでいただきたい。

 

ポリエチルシリケートとフェノール樹脂を分子レベルで均一に混合する技術については根性で見つけているが、SiC化の反応を解析する分析装置についても一度は分析機器のメーカーがギブアップした装置を当方の手作りの部品を使い根性で完成している。

 

前者は鼻歌交じりに行っているが、後者は2000万円がかかっていたので、冷や汗かきながらの作業だった。しかし苦労のかいがあり、2000℃まで1分未満で昇温可能な熱天秤を完成させることができた。  

 

すなわち、技術ができて初めて新しい科学の真理が生まれたのだ。技術の成果として新しい科学が生まれた、と高純度SiCの発明では言える。

 

このような新しい科学を生み出すような技術開発を目指しているのが弊社のコンサルティングポリシーであるが、これがなかなか理解されない。それだけ科学信仰が強いのだろう。

 

当方は科学を否定しているのではない。新しい科学を生み出すような技術開発が重要だと思っている。最初に根性の成果と書いたのは半分冗談だが、新しい科学を生み出すためには、既知の科学のロジックを超えるロジックを適用して初めて成功する。

 

弊社へお問い合わせください。昨日の無料セミナーでもこの点について解説しました。

 

(注)山中博士も同様にヤマナカファクターを見出し、それを用いて科学を展開している。ヤマナカファクターは技術の成果としてまず生まれたことを理解する必要がある。その技術は科学で生まれているので、科学の成果と山中先生は謙虚に言われるが、ヤマナカファクターそのものはあみだくじ方式による技術成果である。くじを引くか根性を使うか、あるいはーーーー。

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2020.09/27 高純度SiCの発明(3)

フェノール樹脂とエチルシリケートの組み合わせを高純度SiCの原料に用いることが新規であることをどのように知ることができたのか。

 

簡単である。大学院時代に在籍した研究室でSiCウィスカーの研究をテーマとしていた研究者が数人いて、彼らの輪講や研究報告会に欠かさず出席していたからである。

 

そこでもフェノール樹脂やエチルシリケートを原料とした方法が研究されており、失敗している。すなわち、この原料の組み合わせは高純度SiCに不向きであることが科学的に証明されていた。

 

論文には書かれていないが、失敗実験のデータとして報告され、その失敗の原因がSP値にあったからである。高分子の世界ではフローリー・ハギンズ理論で否定される組み合わせだった。

 

すなわち、ポリエチルシリケートとフェノール樹脂を均一に混合し安定な前駆体を製造することは、科学的に困難な技術とされていた。

 

よく技術は科学の成果であるから科学の研究に力をいれよ、という人がいるが、科学を信じれば信じるほど技術開発が難しくなる、というパラドックスをそのような人はご存じない。

 

技術開発で少しでも成功体験のある人は、一応周囲への配慮から科学への殉教を誓うが、内心は非科学的でも成功する可能性のある限り、なんでも実行しようという考えを持っている。

 

科学が進歩すればするほど、そのような人でなければ新しい発見ができなくなるから面白い。

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2020.09/26 高純度SiCの発明(2)

大量の情報を短時間にどのように処理するのかは、情報処理が容易になった現代でも重要問題の一つである。

 

最近ビッグデータがよく話題になるが、大半はコンピューターで多変量解析を行った結果である。重回帰分析か因子分析(主成分分析など)が良く用いられている。

 

こうした手法を用いることが最近の成果だと誤解している人が多いが、重回帰分析や因子分析の手法は1970年代にすでに利用できた。

 

ちなみに、当方は新入社員研修で担当したタイヤの軽量化問題について、重回帰分析と主成分分析を駆使して解いている。これらのプログラムがIBMの大型コンピューター3033に付属したソフトウェアーのパッケージに入っていたので、英文の読解力があれば簡単にデータ処理ができた。

 

その時に大きな問題となったのは、データ入力の部分である。最近ビッグデータ解析がよく用いられるようになったのは、文献などの良質なデータがデジタル化されて、それを大量に集めて処理しAIに入力することが容易になったからだ。

 

特許のような文献データについて40年以上前の状況は、まずそれを紙にコピーして整理するところから始めなければいけなかった。そのためそれが作業の障壁となっていた。

 

セラミックスフィーバーの時代にセラミックス業界以外から多数参入できたのは、古典的方法によらないセラミックスの高純度化技術が全くの新規分野であったため調べるべき情報データが少なかったからである。

 

当時「高純度化」という技術は、ファインセラミックス開発の目標の一つであり、経済性の高い高純度化技術はどのようなものでも新規技術になる可能性が高かった。

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2020.09/06 趣味の重要性

ドラッカーの言葉に、二つ以上の世界を持て、という人生に役立つ名言がある。この名言は、「組織の寿命が人の寿命よりも短くなった」という指摘のところに出てくる。

 

これはどのような意味かというと、人間の寿命が長くなったにもかかわらず、企業の定年は伸びていないので、定年退職後知識労働者は、その知識を持て余すことになる。

 

また社会財産として知識労働者を眺めてみても、定年退職した知識労働者を遊ばせておくのはもったいない、というものである。

 

今定年退職後の労働市場には、知識労働者を生かすための人材派遣会社も存在し、定年退職後収入が下がるのを我慢すれば、働き場所を探すのに困らない。

 

また、求人側も知識よりも肉体を求めている企業が多く、強みが無い知識労働者でも運よく採用されれば、70歳くらいまでは働ける労働市場になっている。

 

この運よく、というところは注釈を加えると、退職時の肩書が重要であるということだ。この辺りを理解していない若い人が多くなったが、企業で出世するという意味に、定年退職後の労働市場で有利に仕事を選べる特権がある。

 

この辺り書きにくいこともあるのでここまでにするが、定年退職後は、労働時間は減少する。社会も優しいので爺を長時間働かせるようなことをしない仕組みになっている。

 

だから給与も安い。驚くのは、年金が無かったら働かない方がまし、という労働条件もある。ゆえに、二つ以上の職場で働いている人も稀にいるが、それは体力と知力に恵まれている人だ。

 

若い人は知らないだろうが、50歳になると体力や知力の衰えを意識しなければ、それを維持できなくなる。すなわち、老化を意識しそれが進まないように対策を取らないと確実に衰えるスピードは上がる。

 

このことに気がつかない同僚を何人も見てきたし、老化をうまく隠すテクニシャンも見てきた。老化をうまく隠すテクニシャンは詐欺の要素を持ち合わせている場合もあるので注意が必要だ。

 

2年ほど前、写真会社の元役員というのが訪ねてきて騙された。その人の再就職先の面接のための資料作りをタダでさせられたのだ。

 

話がそれたが、小生は運よく50過ぎの時にリストラされたので早期退職を決意することができた。早期退職を決意している小生に、早期退職を勧奨する役員もいたので会社というのは面白い。

 

早期退職を決意し、昔の趣味だったギターに再度チャレンジし始めた。ところが、カメラ会社との合併、その結果舞い込んできた中間転写ベルトの仕事で頓挫した。

 

もっとも頓挫した理由は、昔弾けた禁じられた遊びを全然弾けなくなっていて楽しくなかったこともあるが、高価なES335が残った。

 

今の会社を創業してから会社経営が趣味のようになったが、やはりこれは仕事であって、貢献と自己実現を強いられる。人生を豊かに楽しませるためには、貢献など考えなくても良い趣味が必要である。

 

コロナ禍となり、友人たちも暇になったのか、オーディオの趣味の友人とメールを交わすようになった。

 

その一人がクラシックギターを新調するということになり、当方はES335を断捨離で手放した話や、その時に昔の手工ギターがES335よりも安く二束三文だった話をメールに書いた。

 

このメール後、その手工ギターを修理し始めた話やエレアコに改造した話、オークションにアイバニーズの高いセミアコを高い値段のまま出している楽器店の話など書いていたら、紆余曲折は省略するが、禁じられた遊びを弾けるようになり、その高いセミアコを値切って買ってしまっていた。

 

今若い時のようにギターを練習する毎日となったが、趣味は楽しいのである。楽しいから趣味なのかもしれない。同じ趣味の人間が集まる楽しみもある。

 

しかし、コロナ騒動も無ければこのような展開にならなかったのかもしれない、と考えると、今何か新しい趣味を始めるには良いチャンスである。オタク的なものでも構わないと思う。何を趣味としたらよいかわからない人は相談してほしい。

 

セラミックスから高分子まであらゆる材料を開発してきた経験は、趣味についても役立った。二束三文の値段しかつかなかったアコギを修理と改良で、市販品よりも良い音のするセミアコとすることができた。マーチンやギブソンに劣らないジャパンビンテージギターである。

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2020.09/05 ギターの教則本

1970年代、ボブディランやジョーンバエズ、PPM、サイモンとガーファンクルの影響で日本でフォークギターブームが起きた。

 

フォークギターは今でいうところのアコースティックギターで、当時はマーチン社のコピーギターが日本で大量に製造された。安いもので1万円以下から高いもので15万円前後である。

 

当時造られたギターは、今お買い得ビンテージギターとして当時の価格で販売されているケースも見受けられるが、おおむねマーチンやギブソンのビンテージ物に比べると安くて品質が高い。

 

日本製のビンテージギターで注意しなければいけないのは、塗装だろう。当時メーカー間で塗装技術に差があり、ややべたつくビンテージギターも存在する。

 

また、そのべたつきを押さえるために軽く上塗りをしているものも存在するので注意が必要である。当方の所有する、当時6万円松岡良治製のアリアギターは塗装は完璧で50年経っても異常は出ていない。

 

さて、当時ギターを購入しても教則本の少なさに困った。クラシックギター用の教則本(カルカッシ・ギター教則本)はあったが、フォークギター用教則本の種類が少なかった。

 

当時は耳コピで独習するのが習わしだったそうで、それを知ったのは新譜ジャーナルという雑誌が発行されてからである。最初にひたすら禁じられた遊びを練習していた。

 

1,2年して学生のためのフォークギターとかタイトルのついた教則本が売出され、その後中川いさと氏や小室等氏といった面々の名前がついた教則本が発売されていった。

 

社会に出てから独身寮に入ったこともあり、ギターを弾くのをやめてしまい趣味がテニスに代わったが、2000年頃にリストラされ若いころを思い出そうとギターを弾き始めた。

 

ただ、フォークギターの弦を緩めるの忘れ保管していたので、ギターの下腹部が膨らみ、弦高が3mm以上となり使えない状態だった。そこでES335を購入するとともにジャズギターでも練習しようと入門書を集めた。

 

その中の一冊ジョー・パスの著書にCAGEDシステムによる運指法が載っていた。これはカルカッシの教則本には載っていなかった画期的運指方法である。

 

最近ユーチューブに初心者向けギター教室が多数アップロードされているがCAGEDシステム花盛りである。

 

1970年代はせいぜいコードを押さえギターを打楽器のように扱うのか、クラシックギターの曲を弾くのか、狭い選択肢しかなかったが、今はいろんな奏法の解説がなされている。このような分野でもイノベーションは存在し、進化しているのだ。

 

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2020.09/02 企画を成功させるために(5)

プロジェクトが外部からコンパウンドを購入し成形技術だけを開発するのが目標となって進められているときに、コンパウンド会社の力量はプロジェクトの命運を左右する。

 

だから、コンパウンド会社は国内トップクラスのメーカーとプロジェクトを進めるというのは、一つの判断である。ところがトップクラスの技術力をもってしても解決が難しい問題に遭遇したらどうするか。

 

このとき、トップクラスのメーカーが誠実真摯な技術者集団であれば、難問に対して謙虚に対応してくれるが、誠実真摯な人間は少ない。

 

自分が誠実真摯か、と反省してみても結論を出せるものではないので、ドラッカーは誠実真摯に行動することの重要性を説いている。

 

「素人は黙っとれ」という発言をする人物は、誰が見ても不誠実である。しかし、これまでの経緯をよく理解していないと思われる人間からこれまでの努力を否定されるような話をされたならこのような暴言を吐きたくなる気持ちを理解できる。

 

結局、「それでは私がコンパウンド開発を始めるがよいか。」と同意を求めたら「勝手にやっとれ」となったので、これまでの流れの仕事はすべて課長に任せて当方はコンパウンド開発を始めた。

 

素材調達は外部コンパウンドメーカーと同じものを使用しなければならないので、その供給について承諾していただいた。一部は市販されていない材料で簡単な承諾が得られたのは助かった。

 

最後に二軸混練機のプラントをどうするのか、という難問が残った。見積もりをとったところ自動化ラインを1ライン立ち上げると3億円程度かかるという。

 

金額の問題だけでなく、二軸混練機の納期は8か月必要という回答が決め手となり、中古機を集めて自分でラインを組み立てることにした。

 

しかし、ここで新たな問題が発生した。二軸混練機について詳しい人材が社内にいない。結局自分で0から勉強しなければいけないので、10万円前後の高い本を数冊自腹を切って買い込んだ。

 

軍資金はたまたまゴム会社が旧無機材研に支払った高純度SiCの特許報償を無機材研の先生がくださるというので、それで購入した。ものすごく良いタイミングで勉強のための軍資金が入った。

 

混練セミナーにも参加したが、驚いたのはゴム会社で指導社員からご指導された内容とセミナーや技術書に書かれた内容は大きく異なっていたことだ。無駄な知識にお金を投じたことになる。

 

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2020.08/30 テレワークとワイドショー

コロナ禍でテレワークが一気に普及した。TVのワイドショーもリモートである。このワイドショーを見ていて気がついたことがある。

 

大抵のワイドショーは、リモート参加者とスタジオ(会場)参加者の二本立てで、会場参加者は密を避けるように席が配置されている。

 

この時会場参加者とリモート参加者の顔を見ていると面白い。どちらもライブ感を要求されているはずなのだが、リモート参加者にはそのライブ感をうまく出せないタレントがいる。

 

例えばホラン千秋氏は、最近リモートから現場に戻ったが、リモートの時にうまくライブ感を出していたにもかかわらず、それは現場でのライブ感と異なることを残酷にも映し出してしまった。

 

リモートの時の方が活き活きとしていたのだ。現場に戻り、従来の形に戻った瞬間、単なる女性キャスターに戻ってしまった。おそらく彼女は一人でキャスターをやらせた方が光るアナウンサーなのだろう。

 

これはウェブ会議でも同じである。ライブ感を出そうと思うならばそのための努力が要求される。そしてその要求は、ウェブセミナーでさらに強くなる。モニター相手のライブ感さえ差があるのだ。

 

そしてその差に気がついたときに、学生時代に自分の適職は教師ではないかと真剣に考えたことを思い出した。

 

いくらモニターやカメラの画素が細かくなったとしても、その場の空気感まで演出は難しい。テレワークの会議でも十分だ、という経営者はそのもたらす弊害に気がついていないので心配である。

 

それは高精細画像を見せられて、その場にいる感覚でしょう、と店員に言われたら、その場にいる感覚が欲しければJTBにゆく、と突っ込みたくなる気持ちと似ている。

 

やはりモニター画像と実際の現場とは空気感なる抽象的なものが異なるのだ。この空気感の違いが生み出すポストコロナ禍のビジネスについてご興味のあるかたはご相談ください。

 

特に経営者はその問題に敏感でなければいけない。担当者の立場であれば、成果主義の時代ゆえに発生する空気感の乏しさの危機に対応しなければいけない。

 

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2020.08/23 コンセプトに基づく実験

実験は、仮説を設定して行えと言われていた時代がある。今でもそのような掛け声を企業の中で聞こえたら、この会社には明日が無い、と思った方が良いかもしれない。

 

確かに仮説を設定して行う実験も時には必要になるが、真理の確認よりも新しい技術を生み出すためには、コンセプトに基づく実験こそ重要である。

 

1990年前後から日本でもそのような実験が行われるようになってきた。タグチメソッドはコンセプトに基づく実験をルーチン化したメソッドである。

 

田口先生は、基本機能の選択は技術者の責任、といつも言われていたが、この一言で困惑していた技術者は多い。科学者はタグチメソッドを嫌った。

 

田口先生の言われていた基本機能こそコンセプトの一例である。基本機能というコンセプトに基づき、実験を行うために制御因子やら各種の因子を決めてゆく。

 

これを仮説に基づく実験と勘違いしていると、制御因子として検討すべき因子を見落としたり、間違えて誤差因子に入れたりする。

 

タグチメソッドがコンセプトに基づく実験の一つの方法だと理解していると、各種制御因子を選んだりする理由を自然と理解できる。

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2020.08/22 コンセプト(13)

技術開発におけるコンセプトの意味をお伝えするために中間転写ベルト開発の事例を昨日まで連載した。

 

繰り返すが、コンセプトとは、辞書を引けば概念とその意味を解説しているが、技術開発に限らず、英語ではもっとダイナミックな意味として使われる、とゴム会社の指導社員から習った。

 

英語を指導してくれたわけではない。材料開発にはコンセプトが重要な意味を持ってくる、と言って、その時当方が、どのような概念ですか、と質問したためである。

 

指導社員はコンセプトの説明をあたかも英語の訳が分かっていないかのようにしどろもどろに話し始めた。しかしそれは英語の訳が分かっていないわけではないことが、語源の説明からすぐに理解できて、逆に当方が赤面することになった。

 

その時の思い出を書けば、コンセプトは科学における仮説とは異なりそれがあることで実験の意味を明確にする、仮説を検証するための実験とコンセプトに基づく実験は異なる場合もあるが多くのアクションは一致する、アクションは一致してもコンセプトの有無で得られる情報量が変化する、仮説は正誤の情報すなわち結果を重視するがコンセプトでは経過も重視する、コンセプトは常に意識した方が良い、それにより現象の理解と整理が容易になる、その結果ヒューリスティックな解を得やすい、となる。

 

これを丁寧に15分ほど語ってくれた。それまでコンセプトとは全体像を一口にまとめるぐらいにしか考えていなかったが、まさにアイデアを生みだす意味として重要な言葉であることを理解できた。

 

 

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