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2020.10/05 高分子の難燃化技術無料セミナー

高分子材料の難燃化技術について、2時間の無料セミナーを行う予定でいるが、テキストの購入をお勧めしたい。

 

もちろん無料セミナーなのでテキストの購入は義務ではないが、2時間という短時間では、十分な説明ができない。

 

例えば評価技術については、LOIとUL94規格の簡単な説明程度しかできないので、テキスト付属の予備資料でセミナー後の独習が必要となる。

 

また、混練技術についても説明できないので、予備資料の独習が前提となる。ゆえにこの無料セミナーはテキストを購入していない聴講者にとって少しハードルは高いが、テキストが無くても難燃化技術の勘所はご理解いただけるように解説する。

 

以前2日間コースと1日コースで実施した評価結果では、2日間コースの方が評価が高かったので、二時間コースでは、何だこれ、という結果になるかもしれない。

 

しかし、形式知が少ない分野であり、経験知の伝承の重要性を感じており、2時間の無料セミナーを行うことにした。



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2020.10/04 ブリードアウトの無料セミナー

今月質問の多い高分子のブリードアウトについて、2時間の無料セミナーを開催する。通常6時間ほどの内容からポイントだけ取り出して解説する。

 

高分子初心者のためには、なぜ科学の結果と実務における結果が異なるのか、という視点で解説するので、材料開発の経験が無くても得るものがあると思っている。

 

二時間のセミナーだが、テキストは、補助資料として解説できなかった部分を添付するので購入する価値はあると思う。

 

さて、ブリードアウトを理解するためには、二つの重要なポイントがある。一つは溶解現象とは何か、他の一つは高分子の高次構造である。

 

ブリードアウトという現象は拡散現象であり、その理解は重要だが、実務では拡散現象よりも高分子の高次構造と溶解現象の理解が不可欠である。

 

これは、教科書に書かれている解説と少し異なる。しかし、実務でブリードアウトという現象を扱った経験から、この二つを十分に理解したうえで拡散現象の理解が重要だと思っている。

 

すなわち、拡散現象だけでブリードアウトが制御されているのであれば、品質問題の解決は容易である。しかし、現実は実験室の結果が市場で再現されない。

 



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2020.10/02 ブリードアウトのセミナー他

下記予定で今月WEB会議システムを用いた無料セミナーを予定しています。ご希望の方は弊社へお申し込みください。

 

10月19日(月)13時30分から15時30分  問題解決法

 

10月20日(火)13時30分から15時30分  高分子の難燃化技術

 

10月23日(金)13時30分から15時30分  高分子のブリードアウト

 

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2020.09/25 高純度SiCの発明(1)

セラミックス材料を高純度化する技術はコストがかかる。なぜなら結晶に固溶した不純物を取り除くために一度結晶を壊す必要があるからだ。

 

SiCであれば、BやAl,その他遷移金属は容易に固溶する。これら不純物を除去するには、昇華と再結晶を繰り返さなければいけない。いわゆるレイリー法である。

 

高純度原料を用いて高純度プロセスにより製造すれば、高純度セラミックスができることは、だれでも容易に想像できるが、レイリー法と比較して経済性が優れているのか、という検証は容易ではない。

 

それができたとして、価格を比較することは容易だが、実際にできるのかどうか、すなわち実証実験に費用がかかるからだ。

 

1980年代に高純度SiCの原料として、C(炭素)源は、高純度カーボン、有機物が、Si源は高純度Si,高純度SiO2、有機Si化合物、有機シリケート化合物が知られていた。

 

そして、これら原料の組み合わせ特許とそれを原料として製造する方法の発明がミカンの段ボール箱で15個分出願されていた。

 

このミカン箱の個数は、ゴム会社の知財担当の部長が当方に整理するよう送ってきた個数である。当時はデジタル化されていなかったので、20年分の関係する特許のコピーをこのように集めてそれらを整理することから技術開発をはじめていた時代である。

 

留学中毎朝テニスを一時間、夕方はボールが見えなくなるまでテニスをしてます、と日常を語ったことを後悔したが、段ボール箱15箱を2週間で整理している。

 

整理した結果は、どんぶり調査(ざる調査ではない)の結果と同様であり、エチルシリケート(ケイ素源)とフェノール樹脂(炭素源)の組み合わせ特許が存在しなかった。

 

エチルシリケートと他の炭素源の組み合わせや、フェノール樹脂と他のケイ素源の組み合わせ、並びにそれらを原料とした製造プロセス、応用技術に関する特許はミカン箱2箱分存在した。ただしSiCの製造方法に関係しないノイズ特許もこの中に含まれている。

 

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2020.09/24 高分子の誘電率の不思議体験

新素材を開発する手法として科学で説明できない現象を再現よく発揮できるように創りこむ手法がある。

 

その材料が科学で説明できない現象を再現よく引き起こしてくれれば、現象の研究を科学的に行い、材料に創りこまれた機能を科学的に説明できるようになる。

 

このようなことを大学で指導してほしいのだが、大学は科学を教える場なので難しい、とある先生が申されていたが、その先生は、科学技術というものを理解されていない。

 

科学技術には、科学で生み出された技術と科学に裏打ちされた技術の2種類が存在する。後者は創造の過程が科学的に少し怪しいけれど科学で説明できる技術である。

 

PPSにナイロンを分散して絶縁破壊を調べると、一般的な混練プロセスで調整された材料では、絶縁破壊電圧が100Vとなるときがあるが、カオス混合を行った材料では、300Vを超えることがある。

 

電子顕微鏡観察を行うと前者にはナイロンのドメインが観察されるが、後者では単相として観察される。ゆえに絶縁破壊電圧が高くなった、と納得できるが、もう少し研究する必要がある。

 

PPSにナイロンを相溶させてカーボンを10%程度分散した材料でベルトを製造し誘電率を計測してびっくりした体験がある。負の誘電率を再現よく示したのだ。

 

残念ながら中間転写ベルトとしての性能が悪かったのでそれ以上の研究を行っていないが、同一組成なのに負の誘電率になったり正の誘電率になったりする。しかもそれをプロセスで制御できる、という冗談のような体験をした。

 

この体験については、目標とした製品性能が悪かったので十分な研究を行っていないが、もし若ければ、昼休み時間や定時後の時間を使って研究していただろう。

 

若い時の情熱は、お金に縛られないところが良い。不思議なことに爺になると若い時と同じようにお金にとらわれなくなるが、その時には体力がなくなって意欲が空回りする。若返りを目指して最近軽い運動を始めた。

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2020.09/21 多成分ポリマーアロイ

PC/ABSは、PCにABSをブレンドしたポリマーアロイだ。ABSは三成分のポリマーをブレンドし高靭性化に成功したポリマーアロイで、PCは非晶性で透明度が高く高靭性のポリマーである。

 

PC/ABSは、高靭性のポリマーの組み合わせなので、高い靭性とPCの特徴である意匠性の優れた樹脂になる、と信じられている。

 

ところが、PC/ABS以外にPC/PSやPC/PETなどが開発されると、高いPCに安い樹脂をブレンドしてコストダウンを図った樹脂ではないか、と思いたくなる。

 

この視点で、PCに廃材となったいろいろなポリマーをブレンドしてみると、PCが70%以上含まれている限り、そこそこの活用できそうなポリマーができる。

 

PCで簡単にできたなら、廃材であるPETボトルを70%以上含有した樹脂も簡単にできるだろうと思ったら、これが難しく、PETボトルの射出成形体よりも優れた物性の樹脂を作り出すのに3ケ月必要だった。

 

マトリックスを構成するポリマーがPCからPETに代わると、樹脂の結晶化を制御しない限り、高靭性の樹脂を開発できない。

 

結晶化を制御できても樹脂の溶融時の粘度の温度依存性を射出成型に適合するよう制御しなくてはいけない。

 

少なくともこれらの問題を解決しなければ多成分のポリマーアロイを開発できないことが、開発をスタートして明らかになったので、データ駆動型開発手法とカオス混合の両者を用いて3か月で目標となる樹脂を開発した。

 

できあがったポリマーアロイは、難燃材を使用していないのにUL94-V2試験に合格する難燃性を新たな機能として獲得した。ポリマーアロイの面白さである。

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2020.09/19 キワモノの扱い

STAP細胞の騒動は、その後どうなったのだろう。ドイツの科学者がSTAP現象を発見したとのニュースが騒がれた後、週刊誌に小保方氏の私生活が紹介されていた。

 

この手のキワモノ事件は傷つく人が多いので隠蔽化されたりするが、その結果悪者が得をするような状態になる。小保方氏と自死されたその関係者だけが不幸をしょいこむような状態を見ると、やはり触らぬ神にたたり無し、というのは本当だろう。

 

当方が高純度SiCの経済的な合成技術開発をたった4日の無機材研における実験で成功させたとき、無機材研の先生方は冷静であった。

 

当方が企業の研究者であったこと、アイデアがその当方から出ていたが企業は見捨てていたこと、実験のゴーサインとその場の提供は無機材研だったことから、丁寧にそのあたりの調整も進められて、小生は無事(でもなかったが)ゴム会社に戻ることができた。

 

ゴム会社では2億4千万円の先行投資がなされ専用の研究所も建設された。当初こそ20名弱のプロジェクトで動き出したが、住友金属工業とJVを立ち上げるまで一人で死の谷を歩くことになった。

 

JV立ち上げ後電気粘性流体の耐久性問題を一晩で解決したり、傾斜機能粉体はじめ特殊な構造の粒子を3種ほど合成したところFDが壊され始めた。

 

やはり触らぬ神にたたり無し、は本当である。一人でJVの仕事をしていたので大変だったので、電気粘性流体とのかかわりなど持たねば良かったのだが、電気粘性流体の事業化まで程遠い状態を見捨てておけなかった。

 

転職後、負の誘電率というキワモノと遭遇した。福井大学で客員教授をしながらその扱いを悩んだが、結局インピーダンスに絶対値をつけて材料設計パラメーターとした。

 

このころになると、たたりを避ける道を選ぶようになっていた。科学ではなく化学の世界には化け物が今の時代でも登場する。

 

PPSと6ナイロンの相溶も化け物現象である。これをカオス混合という技術で製品化したが、いまのところ何もたたりが無いがーーーー。

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2020.09/18 負の誘電率

教科書を読むと誘電率は正となることを前提に式が展開されている。しかしロシアの科学者が負となる現象も存在することを予言してから、その存在はタブー視されてきた。

 

STAP細胞と似ている話だ。当方は酸化スズゾルを用いて写真フィルムの帯電防止層を開発していて負の誘電率と遭遇した。

 

従来の評価技術と異なるインピーダンス法(容量法)でサンプルの電気特性を調べていて発見した。しかしキワモノ的現象なので、インピーダンスの値に絶対値をつけてパラメーターとした。

 

これは1994年の出来事だが、2005年には中間転写ベルトの開発を行っていて出くわした。この時は、負の誘電率のベルトでは使い物にならないので廃棄すればよかった。

 

二つの体験は、パーコレーション転移を制御していて偶然発見している。最近この負の誘電率に関し、アカデミアの先生方による特許出願が相次いでいる。

 

すでに11件出願されているが、いずれも概念特許に近いものだ。実際に量産可能なメタマテリアルではない。

 

しかし、当方は量産機で負の誘電率の物質を偶然作り出したのだ。負の誘電率の材料は、帯電防止層には活用できたが、中間転写ベルトでは転写効率が悪いだけでなく画質も欠点が出たのでボツとなっている。

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2020.09/17 PETを難燃化する

PETボトルに使用されているPETや、ポリ乳酸樹脂は、溶融すると粘度が低く燃えやすいので、難燃化が難しい樹脂である。

 

さらにPETは、高温度から温度を下げてゆくときに、結晶化速度が速いので射出成形が難しい樹脂で、フィルムやブロー成型用として用いられてきた。

 

PETボトルのリサイクル材を複写機に環境対応樹脂として搭載しようとすると外装材であればUL94-5Vbレベルの難燃性試験を通過しなければいけない。

 

内装材であれば、やや低いUL94-V2レベルで良いが、それでもリサイクルPETを環境対応樹脂として電子写真機などの電子機器に用いるには、難燃化技術と良好な射出成形体を製造しうる配合設計技術が不可欠である。

 

この時PCという非晶性樹脂に分類されている結晶化しにくいが結晶化する樹脂とのポリマーアロイが重要な機能材として利用される。

 

PCは、50年前「象が乗っても壊れないアーム筆入れ」として有名になったポリカーボネート樹脂のことである。旅行鞄にもこの樹脂が用いられている。ただし、コストダウンのためにPCに30%程度ABSやPSなどの安い樹脂とのポリマーアロイを用いている鞄もある。

 

このPCの優れている点は、靭性が高いだけでなく高分子量体では空気中で燃えなくなる。すなわち難燃性が高く強度の強いマトリックスとして利用可能で、PCをマトリックスに用いて多くのポリマアロイが開発されている。

 

強度と難燃性、コストのバランスを取るとPCは、65%から75%程度含有されている必要がある。電子写真(レーザープリンター)複写機に外装材用に搭載されたポリ乳酸樹脂にはPCが70%前後含まれている。

 

ゆえに外装材用リサイクルPET樹脂は、PCを70%前後含む樹脂として設計され実用化された。しかし、これよりもPETの含有率が高いPET80%を含み難燃剤を含有していなくて、UL94-V2に通過し射出成型性も良好なリサイクルPET樹脂というものも開発されている。

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2020.09/16 PPSの変性

PPSは、電子機器用高分子として売り上げが伸びている。欠点はその脆さである。結晶化しやすいので、容易に結晶成長し脆くなる。

 

押出成形でフィルムを製造すると金属音のような高い音を発するので、弾性率の高さを音で実感できる。

 

このPPSにカオス混合で6ナイロンを相溶させると、非晶質PPSフィルムを製造でき、その音色はボコボコと低い音となる。

 

PPSと6ナイロンはフローリー・ハギンズ理論のχの値が0より大きいのでスピノーダル分解するが、その速度は室温で3年以上と遅い。

 

また、スピノーダル分解したとしても生成する6ナイロンの島相はナノレベルなので、PPSと6ナイロンを通常の方法で混練したコンパウンドから作られたフィルムよりも靭性が高い。

 

PPSと6ナイロンのポリマーブレンドの基本特許は切れているが、カオス混合による変性技術の基本特許は、まだ6年残っている。

 

ただし、この特許抜けを可能とする技術が存在し、まだ出願されていない。ご興味のあるかたは問い合わせていただきたい。

 

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