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2021.01/31 高分子の難燃化技術を考える(2)

ホスファゼン変性ポリウレタンフォームの企画は、すんなり採用された。10か月後に新入社員発表会があるのでそれまでに1回目の試作の工場実験を済ませる計画が指導社員により作成された。

 

この計画も,ただ言葉が躍っているだけの計画であり、実際の実験については、当方に丸投げされた。そうはいってもポリウレタン発泡体など未体験の技術だったので、指導社員に教えを乞うたところ、発泡体生産現場の技術課に情報をもらいにゆく、と説明された。

 

すなわち指導社員も硬質ポリウレタン発泡体の開発経験はあるが、軟質ポリウレタン発泡体の開発は初めて、ということで現場で指導してもらった。この時、企業において技術は現場に存在することを改めて復習した。

 

新入社員研修の工場実習で技術と現場の関係について散々教育されたから、「復習」である。すなわち、現業の技術は現場が維持改善する使命を担っていた。

 

ホスファゼン変性軟質ポリウレタン発泡体は、ゴム会社では新技術であり、また実用化されれば、ポリウレタンでは世界で初めての技術となる。

 

ホスファゼンの構造については、いろいろなデザイン案が考えられたが、イソシアネートとの反応を考慮して、ジアミノホスファゼンを検討することにした。

 

もちろん当時ホスファゼンなど市販されていなかったので、自分でこの化合物を合成する必要があった。

 

しかし入社前の実験でジアミノホスファゼンについては、4種類合成しており、論文の原稿が出来上がっていた。ゆえにこの作業は経験をそのまま生かせるので朝飯前だった。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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2021.01/10 高純度SiCの開発(5)

ホスファゼン変性ポリウレタンフォームでは、ホスファゼンを2官能のジアミノ体としてデザインしたのでイソシアネート化合物との反応は、科学的に説明しやすかった。

 

 

また、ジアミノホスファゼンとイソシアネート化合物とのプレポリマーとして配合したので反応化学の形式知があれば、ポリウレタン発泡体の研究者には大変わかりやすい技術だった。

 

 

しかし、ホウ酸とジオール類との反応でホウ酸エステルを合成したのだが、単なるジオールでは加水分解が早く使い物にならなかった。このようなことは1日実験を行えば見通すことができる。わざわざ研究するほどの問題ではない。

 

 

また、ジエタノールアミンを用いてNがBに配位したホウ酸エステルを合成すれば耐水性の高い化合物となる、というヒューリスティックな解をすぐに気がつかなければ、大学で配位化合物の形式知を学んだ意味がない。

 

 

そこで、ホウ酸エステルのデザインや、その他の技術について、単なるパーツとみなして、いきなり配合設計をして、ホウ酸エステル変性ポリウレタンフォームを合成したのだが、このようなアジャイル開発手法は、当時まだ知られていない手法だった。

 

 

当方は混練の神様と呼びたくなるような指導社員からこのような配合設計手法を学んでいたので、それを活用しただけだったが、これが上司の反感を買った。なぜ研究をしないのか、という問いかけをされたのだ。

 

 

上司の言い分は、ジエタノールアミンを用いたホウ酸エステルの設計についての研究や、それとイソシアネートとの反応についてなどの研究を行い、科学的に技術パーツの素性を解明してから、ホウ酸エステル変性フォームを開発する流れを想像していたらしい。

 

 

このあたりの上司との対話を機会があればここに書きたいが、研究しなくても自明な技術、あるいはホスファゼン変性ポリウレタンの開発経験から予想される知識までも丁寧に研究することを提案してきた。

 

 

ここは企業の研究所なので、迅速にモノをまず生み出すことが重要ではないか、また、すでに目の前にモノができている、などと当方は研究を後回しにした理由を説明したが、とにかく研究データを揃えろ、と押し切られた。

 

 

仕方がないので、研究の香りがあふれ出すような研究テーマを短期間に企画し、それを手早く行い上司に納得していただいたが、それは上司に指示された各パーツの研究テーマではなく、ホウ酸エステルの構造とホウ酸エステルがどのように難燃剤として機能しているのかを示した、上司の考えていなかった機能中心の研究内容だった。

 

 

例えばジエタノールアミンはジオールではあるが、アミノ基にも活性な水素があり、3官能と見なすとホウ酸との反応では、多数の構造のエステルができる可能性があった。

 

 

そのためその構造推定を行った研究や50種類ほど難燃剤パーツの組み合わせを変えた発泡体を合成し、得られた難燃性データについて多変量解析を行って、マテリアルインフォマティクスもどきの研究などを行っている。

 

 

この研究ではコンピュータが不可欠ではあるが、独身寮で遊びに使っていたMZ80Kを使用して、休日に多変量解析の計算をしている。しかし、研究報告書を読まれた上司はこのような小生の隠れた努力と過重労働に気づいていただけなかった。

 

 

まとめられた研究報告書を読まれた上司は納得され、すぐに工場試作をしようと言いだしたので、ホスファゼン変性ポリウレタンフォームの悪夢が思い出され、始末書はもう書きたくないと応えている。

 

 

工場試作後、それはこのホウ酸エステル変性ポリウレタン発泡体の開発を始めて半年後となるが、後工程へ移管された。そして工場にはホウ酸エステル合成用の小さな反応釜が設置され、製品が上市された。

カテゴリー : 一般 高分子

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2021.01/06 高純度SiC開発(2)

アチソン法は、SiCの生産方法としてエジソンの時代に開発された生産技術である。石英と炭素、おがくずなどを混ぜて積み上げた山に電気でこの山ごと高温に加熱し、SiC化の反応を行う。

 

このプロセスでαSiCのインゴットを製造後、それを粉砕し粉を製造する。そして何段階かの精製プロセスを経て98%から99%の純度とし、それを昇華法で高純度化するのがレイリー法である。レイリー法ではシリカ還元法で製造されたβSiCも用いることが可能である。

 

それならば、最初に100%の純度の原料を用いてシリカ還元法を行えば、100%の純度のSiCができるのでは、と誰もが考えるので、1980年頃この視点による特許が多数出願されていた。

 

その中には、ポリエチルシリケートと高純度カーボンの組み合わせ(これをA法)や高純度シリカと高純度フェノール樹脂の組み合わせ(これをB法)を原料とする製造法の発明があったが、ポリエチルシリケートと高純度フェノール樹脂の組み合わせ(これをC法)は特許として出願されていなかった。

 

高分子について知識があれば、この組み合わせではフローリー・ハギンズ理論のχが大きいので相分離し、前駆体として用いることができないことに気がつく。

 

これは、科学の視点で当たり前の考え方である。だから特許として出願されていないのだろうと理解し、納得している人は、AIと同じで21世紀において創造的な発明は難しい。

 

また、A法やB法が実用化されていないことから、C法も実用化が難しいだろう、と簡単にあきらめる人は、頭は良くてもおそらくアイデアの出にくい人だ。

 

C法が理想的にできたならば、シリカとカーボンが分子レベルで混合された固体となり、A法やB法で製造された前駆体の状態とは大きく異なる。

 

そしてこの前駆体を用いれば、当時シリカ還元法において誰もなしえていない均一固相反応でSiC化の反応を行うことができる。

 

このことがどれほど科学の世界において斬新かつ重要であったかは、約10年後当方がまとめた研究を勝手に論文投稿したアカデミアの先生がおられたことから理解できるかもしれない。すなわちパイロットプラントができた当時でさえ未発表の内容が数年後でも科学の視点で鮮度を失っていなかった。

 

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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2020.11/17 新コンセプトのPPS用添加剤

高分子用添加剤は高分子の機能性向上を目標にして多数開発されているが、樹脂用添加剤の場合に共通した欠点として可塑化効果のために高分子の耐熱性を下げる問題がある。

 

PPSは難燃性が高くTgも100℃近くであり、コストが下がり始めた耐熱エンプラとして最近注目され使用量が増加している。

 

このPPS用添加剤についてTgを下げず、成形時におけるPPSの流動性と靭性を改善する添加剤を新しいコンセプトで開発した。

 

面白いのは、カオス混合ではコンセプト通りの性能を実現できるが、二軸混練機だけの混練では、十分な性能が発揮されない点である。

 

カオス混合と二軸混練機だけの混合では混練の効果が異なるためだが、カオス混合の特徴を示す良い事例となった。

 

また、この事例により、混練で添加剤が高分子にどのように分散してゆくのか、その結果何が起きるのか想像通りであったことも開発成果と言える。

 

詳細は弊社へ問い合わせていただきたい。来週の問題解決セミナーにおいて時間があれば問題解決事例として説明する。

カテゴリー : 高分子

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2020.11/06 低分子から高分子まで

当方が学生時代に高分子は重合技術が話題の中心にあり、応用化学科のカリキュラムにおいて高分子物性論はわずか特別授業の1単位だった。

 

ゴム会社に入社し驚いたのは高分子物性論を知らなければ仕事ができないのだ。高分子は低分子モノマーが重合して、という話などほとんど役に立たない世界がそこに広がっていた。

 

大学でレオロジーを専攻された指導社員は、自嘲気味にもう10年もすればダッシュポットとバネのモデルを使った高分子物性論は無くなる、と教えてくれた。

 

しかし、その無くなる予定のモデルについて大学ではおさわり程度にも学んでこなかった当方は恥ずかしくなった。

 

4年生の時にシクラメンの香りの全合成を研究し、JACSにショートコミュニケーションが掲載されたが、大学院では無機材料の講座で研究している。

 

但し、研究内容は無機材料の最小構成単位を重合して無機高分子を合成する研究である。2年間に5報ほどかける成果を生み出し、学生時代にショートコミュニケーションも含め3報ほど書いてきた。

 

その講座で博士課程後期まで在籍すると皆が3報書くと聞いていたので、前期だけで3報書いてみようと思い、研究を頑張った結果である。おかげで奨学金にアルバイト料も潤沢に稼いでいたが、遊ぶ時間もなく貯金ができた。

 

セラミックスの研究キャリアの方が1年長かった。高分子など全く知らなかったので、指導社員には無機材料を専攻してきました、と応えている。

 

指導社員も当方のキャリアについては人事情報からご存知で、最初の3か月間の座学を指導計画に入れていた。

 

低分子から高分子に至る指導社員の知についてこの3か月に学んだのだが、レオロジーを核として語られた内容は、大学の授業とは全く異なる世界観だった。

カテゴリー : 高分子

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2020.10/30 マテリアルインフォマティクス

情報技術とAIを活用して新材料を開発しようという研究が盛んである。マテリアルインフォマティクスは、いまや材料開発のキーコンセプトの主流となった印象があるが、新しい概念ではない。

 

当方がゴム会社に入社した1979年には多変量解析を使用したゴム技術開発がすでに行われていた。また日科技連がまとめた新QC7つ道具にはその手法も入っている。

 

それでは、新しい特徴はどこかと言えば、AIの導入ぐらいである。ただしAIの導入と言ってもそのベースとなるのは人間の知であり、情報の論理的結合の効率化に利用しているだけである。

 

今のAIが人間のようにヒューリスティックな解を出せるわけではない。ましてや得体のしれないヤマカンなどAIに要求しても無理である。

 

当方は、世間で話題になっているこの手の研究について、無機材料への応用には有効性を認めているが、高分子材料については懐疑的である。すなわち、当たり前の成果しか出ないのではないかと思っている。

 

ただし、これがAIではなく人間の経験知や暗黙知を活用し、さらにヤマカン迄展開する、という話になれば、おもしろい。ただし、それでは1970年代と変わらない。

 

横文字にして目新しさを主張するぐらいなら、昔からゴム業界の配合設計で行われてきたデータ駆動の材料開発手法に、もう少し注目されたほうがよろしい。樹脂開発にも十分活用できる。昨日の多成分ポリマーアロイはその事例である。

 

このあたりについても希望があれば無料セミナーを実施しようと考えている。希望者があれば、問い合わせていただきたい。クローズドセミナーという有料WEBセミナーも開催可能である。

カテゴリー : 一般 高分子

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2020.10/29 多成分ポリマーアロイ

ABSは3成分のポリマーで開発されたポリマーアロイである。3成分以上のポリマーを用いたポリマーアロイとして当方の開発したPET系のポリマーアロイがある。

 

 

このポリマーアロイは、カオス混合以外の方法ではロール混練しなければ性能が出ないばかりか、二軸混練機の混練だけでは外観不良の成形体となる。

 

 

カオス混合の効果が目視で分かる技術である。この多成分ポリマーアロイの特徴は、PETが80wt%配合されているにもかかわらず、PETとは異なる射出成型性と物性になっている点である。

 

 

今マテリアルインフォマティクスが話題となっているが、樹脂の情報を集めてみても、またAIを駆使してみてもこの配合系は見つからない。

 

 

当方の経験知と暗黙知から材料設計して、データ駆動の実験で基本配合を見出し、タグチメソッドで最適化している。

 

 

おそらく樹脂技術でこのような配合設計手法はあまり世間で行われていないと思われるが、ゴムの配合設計では昔から行われている。ただし、昔はタグチメソッドではなく実験計画法だったが。

 

 

カテゴリー : 高分子

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2020.10/28 カオス混合

40年以上前からカオス混合は知られていたらしい。この呼び名がいつから使われたのか知らないが、餅つきやパイ生地練りで行われている混練方法である。


弊社にご相談いただければ、二軸混練機の先に取り付けるカオス混合装置を提供できる。二軸混練機1台ごとにその性能に合わせて設計している。


ところで、ブリードアウトについてカオス混合に変更して改良された時にびっくりした。LED用熱伝導樹脂を開発していた時の体験である。


10年近く前に熱伝導樹脂のブリードアウトの相談を受けて、カオス混合装置を二軸混練機に取り付けることを提案している。


この方法で改良されるかどうかは、提案してみたものの不安があった。ただ、ブリードアウトの発生状況から混練で改良される可能性がいくつか市場情報として存在した。


ただし、実験データがあったわけではなく、市場における現象と当方の経験知から、コンパウンドの混練ばらつきを疑った。


そして見事に解決したのだ。そもそもブリードアウトしにくい添加剤であったが、促進試験において稀に短時間でブリードアウトが発生する成形体が見つかっていた。


おそらく添加量がばらついているのだろうと考え、添加方法とかいろいろな対策を提案し、その中の一つとしてカオス混合装置があったのだが、促進試験でカオス混合装置の有無の差が出た。


ブリードアウトという現象は、べとつくような現象とか結晶化して表面に析出したりするような目に見える現象でない限り、それが起きていても市場で問題となっていない場合が多い。

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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2020.10/27 ケミカルアタック

ブリードアウト現象と同様に悩ましいのがケミカルアタックという品質問題である。ケミカルアタックとはものすごい呼び名で学術用語ではなく俗称である。

 

当方が子供の頃よりこの言葉は存在した。今井模型が牽引したプラモデルブームの時に、ギアボックスを取り付けたプラモデルでケミカルアタックが多発した。

 

小学校低学年の時に突然壊れたギアボックス部分を購入した店に持って行ったところ、ケミカルアタックと言われ、グリースのつけすぎの注意を受けた。

 

すなわち、グリースはほんの少しだけつけなければだめで、ギアボックスにたくさんつけた当方のミスと言われたのだ。FDを壊された時よりも悲しかったのでよく覚えている。

 

さて、ケミカルアタックとは油成分が樹脂に付着した時に、その樹脂の力学物性を著しく低下させる現象である。ケミカルアタックについては、油成分のSPと樹脂の破壊強度との関係を示すデータが公開されている。

 

それによると、油成分と樹脂のSPが一致した時に発生することになっている。しかし、ブリードアウトと同様で、SPが大きくずれていても発生する時がある。

 

例えばポリマーアロイでは射出成型時に密度ムラが発生すると、密度の低いところでケミカルアタックがSPに依存せず発生する場合がある。

 

これを一度経験すると、ケミカルアタックは油成分と樹脂とのSPをずらせばよい、などと軽々しく言えない。一度評価試験をやってください、というのが正しい。

 

ケミカルアタックの評価方法は、各社各様である。痛い目に遭ったところは関門を2つ3つ設けたりしている。そのくらい慎重になったほうが良い問題である。

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2020.10/26 ブリードアウト(3)

最近昔ながらの加硫ゴム製の消しゴムを見かけなくなった。紙のケースに入ったTPE製の消しゴムばかりだ。この消しゴムのケースには、紙製のケースを取り外さないようにとの注意書きが小さく書いてある。

 

誤ってこの紙ケースを取り外して使用し、その後放置して事務机の引き出しのポリスチレン製(PS製)のトレイに消しゴムをくっつけた経験はないだろうか。

 

これは、PSと消しゴムが界面で混ざり合って完璧な接着状態になったためだが、この観察を行うとブリードアウトという現象が添加剤の溶解と添加剤の拡散速度の問題だけで考えていてはいけないことに気がつくはずだ。

 

高分子は室温に相当するエネルギー状態で様々な運動を行っている。Tgが室温以上の高分子でも自由体積部分では高分子の一部が運動状態であり、さらに全体にわたって一次構造の方向にレピュテーション運動が行われている。

 

そのため俗称樹脂消しゴムと呼ばれている消しゴムはPSと接着したのである。また、カオス混合装置を用い混練りすると、PPSと6ナイロンは相溶して透明なストランドを作ることができる。

 

ところが、これを室温で放置しておくと失透してきて6年経つと真っ白となる。これはPPSに相溶した6ナイロンがスピノーダル分解を起こし、遊離してくるためである。

 

PPSや6ナイロンのTgは室温よりも高いし、両者は耐熱用途にも使われたりするエンプラだ。それでも室温でスピノーダル分解を起こすことにびっくりするのだが、レピュテーション運動を理解すれば納得できる。

 

面白いのは6ナイロンが遊離してきてもストランドの柔軟性が失われないことだが、6ナイロンが10wt%未満であれば、相溶状態で測定された接触角も変化していない。

 

もっとも接触角の測定誤差は大きいので見かけだけの現象かもしれないが、ストランドの柔軟性が失われていない現象には驚かされる。PPSの球晶もナノオーダーで成長が止まっている可能性がある。

 

カオス混合で製造されたPPSへ6ナイロンが相溶したストランドはブリードアウトについてもヒントを教えてくれるが、二軸混練機にカオス混合装置を取り付けて混練を行わなくてはいけない。

 

かつては蘇州ナノポリスで実験を行うサービスを提供していたが、コロナ禍を機会に中国の仕事を整理した。おりしも米中関係が怪しくなり、中国で働く企業技術者やアカデミアの研究者に対する批判が週刊誌に書かれるようになった。

 

中国軍事産業に直接協力している技術者や研究者はほとんどいないように思っている。当方も民生用樹脂材料の研究開発を指導してきたのだが、民生用の技術が軍事産業へブリードアウトすると言われても責任を持てない。

 

しかしそこを問題としたならば国際協力などできないし、中国人を雇用したり、中国で生産すること自体も軍事協力しているようなものだ。

 

ある週刊誌が実名入りと称し、中国の科学技術に協力する日本の研究者の記事を掲載していたが、その意図がよくわからない。

 

国際協力の問題はブリードアウトより難しいので中国の業務を当面中断するが、どこかでカオス混合の研究の場を提供してくれるところがないのか探している。

 

国の補助金でも頂ければどこかに試作場所を確保するのだが、3回も提案して採用されなかったので蘇州で研究開発をしてきたのだ。7年研究してきていろいろわかってきたことがある。カオス混合は単なる伸長流動ではない。

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