樹脂を混練するときの温度について誤解をしている人が多い。例えば、ある学会賞の審査会で、カオス混合によるコンパウンドで製造された中間転写ベルトの技術について、樹脂の溶融温度(Tm)以下で混練している点を指摘し、その温度では混練できない、と頭ごなしに否定され、カオス混合技術は受賞を逃がしている。
学会賞の審査会では、科学的に納得が得られるように嘘を書いてでも世間の常識に合わせて資料を作らなければいけない、などと誤解したくなるような経験だが、樹脂をその溶融温度以下で混練する、とは、そのくらいの認識である。
当方は、この溶融温度以下の混練条件で樹脂を混練する技術について剪断混練と名付けているが、この技術を否定する人はステレオタイプに分子の断裂が起きて低分子量化する問題を指摘する。学会賞の審査会でもこの指摘があった。
この学会賞の審査委員は高分子のことを知らないのか、と突っ込みたくなったが、**学会の審査会だったので高分子の専門家がそろっており失礼になると思って、素直にその場の空気に従ったら落選した。
PIで製造された中間転写ベルトよりも性能の良い複写機部品を製造できた技術なので、当時審査にかけられたライバル技術と比較して遜色がないどころか環境や経済への波及効果は極めて大きかったので、カオス混合技術が落選したのは*******である。推薦してくださった先生に申し訳ないことをした。
さて、このように剪断混練技術は、学会賞で否定されたぐらいの技術だが、この二十年間に当方以外の技術者からも特許が出願されている。ご興味のある方はお問い合わせください。
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混練技術の難しさは、ゴムの混練に携わっている人と樹脂の混練を二軸混練機で行っている人で,その視点が異なることからも理解できる。
高分子という同じカテゴリーの材料を混練していても、混練条件に対する考え方が異なっている、と表現した方が良いかもしれない。
最近でこそゴムの混練に二軸混練機が使われるようになってきたが、40年ほど前には、ゴムの混練はバンバリーとロール混練あるいはニーダーによる混練が常識だった。
樹脂は、コンパウンドが一般に知られるようになったときに二軸混練機で混練されていた。もっとも昔は、練る能力など殆どない二軸押出機が使われていた、といった方が良いかもしれない。すなわち、混ぜることだけを樹脂技術者は経験してきたのだ。
ゴム技術者は、とにかく練ることを考えてきたので、例えば混練温度に対する考え方が樹脂技術者と異なる。樹脂技術者は、混練温度と言えば樹脂の溶融温度しか考えないが、ゴム技術者は、幅広い温度領域で考えている。
それでも15年ほど前にある樹脂技術者から混練について素人は黙っとれ、と恫喝されたが、その方は最後まで顧客の満足できるコンパウンドを製造することができなかった。
ド素人が中古の二軸混練機を買い集めてコンパウンドを生産しなければいけない状態になった経験を思い出すたびに、混練技術では議論さえ難しい、と感じるようになった。
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下記予定で、試験的にWEBで無料セミナーを開催します。受講希望者はお申し込みください。なお各講座6名と人数制限を設けていますので、先着順とさせていただきます。また、テキストは有料(5000円)で、7月16日までにお振込みください。但しテキストの購入は必須ではありません。
1.7月17日(金)9時30分から11時30分
「高分子の混練技術概論」
2.7月17日(金)13時30分から15時30分
「高分子の難燃化を事例にマテリアルインフォマティクス概論」
3.7月18日(土)13時30分から15時30分
「高分子の混練技術概論」
以上
今回のセミナー参加者募集は終了致しました。
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下記予定で、試験的にWEBで無料セミナーを開催します。受講希望者はお申し込みください。なお各講座6名と人数制限を設けていますので、先着順とさせていただきます。また、テキストは有料(5000円)で、7月16日までにお振込みください。今回テキストの購入は必須ではありません。
1.7月17日(金)9時30分から11時30分
「高分子の混練技術概論」
2.7月17日(金)13時30分から15時30分
「高分子の難燃化を事例にマテリアルインフォマティクス概論」
3.7月18日(土)13時30分から15時30分
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今回のセミナー参加者募集は終了致しました。
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コロナ禍でズームが流行しているが、ズムキャバのニュースには驚いた。連日満員と書いてあったが、本当だろうか。そもそも満員とは何を基準に満員としているのだろう。
どの程度の人数を満員と言っているのか大変気がかりである。弊社は今オンラインセミナーのアンケート中であるが、ズムキャバのニュースが本当ならば、オンラインセミナーのアンケートが少ない原因を真剣に考えなければいけない。
痴ではなく知が得られるオンラインセミナーは、ズムキャバよりお徳である。このニュースで、オンラインセミナーにどれだけ集客できるのか不安になってきた。
一度7月無料で5人限定としたオンラインセミナーを開いてみようと思う。5人と限定しているので、5人集まれば満員である。無料で募集しても満員にならなければ、オンラインセミナーをあきらめた方が良いだろう。
とりあえず、高分子材料に悪戦苦闘している高分子の専門外の方々を対象とした「高分子のツボ」2時間バージョンとか、プロセシングで困っている方を対象とした「混練のツボ」とか考えている。
あるいは、時間制限があり難しいが、「高分子の難燃化技術」2時間バージョンとかもチャレンジしたいと思っている。
7月だけの限定なので突然ここで告知をすることになるが、もしご希望のタイトルがございましたらアンケートに書いていただけるとありがたい。提案者には優先して無料券を配布いたします。
満員になりそうな無料セミナーを募集してみたいと思っている。無料セミナーなのでズムキャバより確実にお徳である。アンケート備考欄にご希望を書いていただきたくお願いします。
カテゴリー : 一般 高分子
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混練は混ぜることと練ることのプロセスを表す熟語である。
混ぜることは一般に理解できるが、練ることのイメージをうまく伝えることが難しい。高分子を理解している人に説明するならば、高分子どおしを絡ませてゆくプロセスと言うだけで伝わるが、高分子をよく理解していない人には、絡まることのイメージがうまく伝わらない。
目の前に何本かの紐を用意して、手の中でくちゃくちゃと練ってみる。その時紐はどうなるか、を見ていただくとイメージをつかみやすいかもしれない。
実際の高分子は、回転運動や変角運動、さらにはレピュテーション運動など環境の温度に応じて様々な運動を行っており、練りを加えても紐よりも複雑な状態になる。
そんなことも理解しやすいように本書は努力して書いている。
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学部の卒論には、当時流行歌だったシクラメンの香りの全合成を書いた(JACSにショートコミュニケーションが載っている)のだが、大学院はSiCウィスカーで有名な講座で無機高分子の研究を行っている。専門を聞かれたなら学位論文の中身を考慮すれば無機材料となる。あるいは、セラミックスである。
ゴム会社に入社して、最初の指導社員が優れたレオロジー研究者だったのは幸運だった。当方が無機材料の講座出身ということで3か月間毎朝3時間高分子材料について座学を開いてくれた。
ある時は大学教授のようであり、ある時は事業コンサルタントのようなバランスの取れた講義は、新入社員の指導講座として一つのお手本となるような内容だった。ただ、QC手法には批判的で独自の統計理論をご指導くださったのは役立った。
マテリアルインフォマティックスが今話題だが、データ駆動の高分子材料設計手法は40年以上前からその概念が存在したのだ。この指導社員は、いったい何者だ、という疑惑も生徒の立場として感じていた。
ダッシュポットとバネのモデルによるレオロジーを説明しながらも、このような手法は、あと10年もすれば使われなくなる、と言って分子論に基づく粘弾性モデルを説明してくれたが、どこにも書かれていない難解な内容で理解できなかった。
当時京都大古川先生や東北大村上先生らのケモレオロジーという考え方があった。指導社員によれば、高分子融体のレオロジーを検討するときれいな理論を組み立てられない問題が大きい、と説明してくれた。
今から思い出すと死ぬ気でこの指導社員の説明について勉強しておけばよかった、という反省になるが、毎日4時間以下の睡眠で死ぬほど樹脂補強ゴムのサンプルを混練していた当方には不可能だった。
指導社員の講義内容をすべて理解できなかったが、手帳に残った講義録をこの10年近く眺めて混練活用ハンドブックとしてまとめ上げた。難解なワラビやゼンマイについては書き間違いもあるといけないので省略し、数式を可能な限り文章で表現する努力をしている。
カオス混合技術については、指導社員から原理を学んだが、その実現方法が宿題とされたので、この本は40年前の卒業論文のような位置づけになる。
カテゴリー : 一般 高分子
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混練技術に関しては、ノウハウとなる部分が多い。樹脂を融点以下で混練すると、分子量低下が起きるから好ましくない、とステレオタイプ的にいう人がいる。高分子の混練技術をよく知らない人だ。
例えばゴムはゴムのTg以上でロールに十分なトルクがあればロール混練が可能である。但しものすごい音がするので慣れていないとびっくりする。
初めて混練実技を教えていただいたときに、温まっていないロールに天然ゴムを絡ませて指導社員が混練を始めた。ロールをクリーニングしているという。見るからにきれいなロールだが、コンタミで実験データがダメになるのは避けなければいけない、と、つねに道具を実験前に洗浄する習慣の大切さを教えられた。しかし、指導していただいている間にものすごい音がしていてハラハラしていたが、そのうちロールの温度が上がり、静かになった。
この本にはこのようなことは書いていないが、幾つか実務で重要なノウハウを体験したまま書いている。ご興味のあるかたは問い合わせていただきたい。
カテゴリー : 一般 高分子
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ウトラッキーにより20世紀末伸長流動装置が開発された。二軸混練機の先に取り付けて使用する仕様になっていたが、生産用として普及していない。
原因はその装置の構造にあり、押出量を増やそうとすると装置が大きくなり、実用的ではなくなるからだ。
この装置はその名前の如く、コンパウンドの伸長流動を促し、ナノオーダーレベルで高次構造の設計が可能だ。
伸長流動装置の発明から10年ほどしてカオス混合装置が開発された。これもウトラッキーの装置同様に二軸混練機の先に取り付ける仕様となっている。
ウトラッキーの装置と異なるのは、伸長流動と剪断流動を発生させる仕組みの段数が2-3段しかないので量産用の装置を設計しても伸長流動装置ほど巨大化しない。
この装置は当方が2005年に発明し、それから15年間半導体ベルト用コンパウンドの量産に使用されているが、パッシブな構造のため故障0の生産用として優れた装置だ。
中国ではこのコピー品が勝手に普及し始めたが、国内の生産用はまだ2社だけである。
テスト機用も当初高価だったため、見積書を提出しても販売に結びつかなかったが、加工賃の安い中国の金型メーカーを見つけたので一気に見積価格を下げることができた。
条件は付くが、仕様さえ合えばテスト機用のTダイよりも安価である。ご興味のあるかたは弊社へお問い合わせください。
もし中国のコンパウンドメーカーに市場を奪われた国内のコンパウンドメーカーがあれば、サービスしたいと思っている。
カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子
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混練技術についてシミュレーションが可能と誤解されてる人は多い。また、そのためのソフトウェアーも市販されているために、その成果に期待し購入後失望するケースもある。
当方も2005年の時に混練技術のシミュレーションを試みたが、シミュレーション結果は役立たなかった。おそらく今でも同様の状況だと思う。
結局混練の経験を積まない限りこの分野の技術を理解することができない。そんな状況を少しでも改善したいと思いまとめたのがこの著書である。アマゾンでは消費税込みで5000円以上の価格がついているが、弊社へお申し込みいただければ、ただいまサービス価格でご提供中です。
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