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2024.02/01 豊田自動織機で不正(1)

トヨタ自動車グループの源流にあたる豊田自動織機で17年以上前から不正があり、一部の車種で型式認定が取り消されるという。ダイハツに続いて不正が明らかになったことに驚いている。


さらに、この不正もダイハツ同様に現場の判断で行われ、組織的なものではないという。ダイハツの不正が明らかになってから、ダイハツ社内の雰囲気、風土に関するニュースや一部社員のSNSなどの書き込みから、管理職の問題が指摘されている。


すなわち、現場で問題が発生し管理職に相談した時に、「それで」、とか、「どうするの」、とか応えてくるだけで、問題解決の糸口を教えてくれないだけでなく、「あなたの問題でしょう」という答えもあるという。


管理職が部下に責任を押し付けてくる問題は、どこの組織でもあるのだろう。しかし、今回の問題に潜む、この30年間に普及してきたマネジメント手法に疑問を持った。

カテゴリー : 一般

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2024.01/31 データサイエンスのセミナー

2月22日にデータサイエンスのセミナー(時間等他のセミナーと同じです。詳細お問い合わせください。)を開催します。コンピュータを用いてどのように問題解決するのか事例を中心に、Pythonプログラミングの基礎も解説いたします。


詳細プログラムは後日公開しますが、多変量解析と機械学習のPythonプログラミングについても解説予定で、申込を本日から受け付けます。申し込まれますと最初に予習編を配布いたしますので早めにお申し込みください。


当日解説したプログラムコードはサービスで希望者に配布いたします。テキストにコードが書かれていますので、事前配布は致しません。ただ、コーディングが面倒と思われる方のためにサービスとして配布予定でおります。


Pythonが初めてであれば、面倒でもテキストのコードを自分でインプットされることをお勧めします。学習効果が高まります。地道な努力が、プログラミングの学習初期には重要です。


2-3例自分でコードを打ち込んでみて、その動作を確認すると、なるほど、と納得でき、それが大切です。ゆえに、サービスプログラムは、このセミナーに限り希望者のみの配布とさせていただきます。


他のセミナーでは、プログラムを事前配布するのに、このセミナーでプログラムコードを事前配布しない理由を受講していただければ理解していただけるのではないかと思っています。

カテゴリー : 一般

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2024.01/30 燃料ポンプの故障

デンソーなどによると、燃料を吸い上げるための「インペラ」(樹脂製羽根車)という部品を作る金型を変更したところ、樹脂の密度が低いものが生産されてしまったという。広報担当者は「製造後、車両に搭載するまでの環境なども複雑に絡んでいるとみており、複数の要因についてさらに調査している」と話した。  これまで7回のリコールを届け出たホンダの分析によると、樹脂密度が低いインペラが長期間倉庫に置かれるなどして、車両に搭載されるまでの間に表面が乾いてしまい、樹脂が収縮することで細かな亀裂が入ってしまうものがあるという。  (1月27日版朝日新聞デジタル記事より抜粋)


ホンダ車のリコールに関する記事で、1月27日に原因が細かく記載された記事を見つけた。おそらく樹脂はPPSだろうと推測され、燃料ポンプのインペラーについては、東レが特許を取得していた(10年間特許年金が支払われたが年金不払いで権利消滅)のを見つけた。


朝日新聞デジタルとこの東レ特許を読むと、トラブルの原因が見えてくる。2月度(昨日の本欄参照)に高分子のトラブルに関するセミナーを開催予定ですのでご参加ください。少し解説いたします。


また、本セミナーにつきましては、3月にゴムタイムズ社で、4月に技術情報協会でも開催されます。弊社で開催されますセミナーは若干お得な価格設定にしておりますので是非ご利用ください。  

カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子

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2024.01/28 文春砲連発

連日お笑いタレントの引き起こした事件について何らかのニュースが出ている。最近は出たニュースに対して反対意見の見解がニュースになっていたりする。これは、本当に性加害があったかどうかが不明であり、正しい問題が明らかとなっていないためである。


すなわち、何か事件が起きたときに、正しい問題は何か、という議論と正しい問題について行われる議論とが存在するからで、お笑いタレントが性加害を引き起こしたかどうか不明のため、正しい問題を探す議論まで問題として騒がれている状況が生まれている。


もし、実際に性加害があった、と確定したならば、お笑いタレントはアウトである。これについて誰も異論はないだろう。その時には、ごった煮状態は解消され、非難の嵐となる。


ところがこの性加害という問題の場合に、ビートたけしが指摘しているように、「せこい遊び方をしたからダメだ、芸人が遊ぶときにはお金に糸目をつけていてはだめだ」という珍答がでてくる。


これを珍答とする理由は、お金で性的な行為を行えば法律上売春としてアウトとなるためである。ただし、両者合意の上であれば表に出ず、自由恋愛としてセーフとなる。


いささか怪しい仕組みだが、問題が起きたときに、すぐに解決しておけば問題は無くなる、という人類の知恵がここに働いている。


大切なことは、問題が発生した直後に、それを解決する対応がなされれば、後日その問題が問題として繰り返されることはない、という考え方である。


パワハラやセクハラなど組織内の各種ハラスメントも同様であり、それが発生した時にすぐに手当てをしておけば、後日それが問題となることはない。ゆえに今社会でそのような解決を目指し話題となっている。


ところで、各種ハラスメントや企業の引き起こした問題について、すぐに謝罪すればお金を支払わなくてもそれが解決される事例がある。寛容の精神を社会が認めているためだが、少し注意すべき点がある。


昔は、インチキ麻雀であってもすぐに謝罪し笑ってごまかせた時代であったが、最近はペナルティーを支払わなければ許されない。そして、賭けマージャンであった場合には、あらためてアウトとなる。


ただし、このルールには時効があり、一定時間がたってからそれを問題として明らかにすることを社会は認めていない。しかし、それでも明らかにしようとしている場合では、お金とは異なる問題がそこにある。


その一つに心の問題がある。何か問題が起き、加害者と被害者が生まれると、加害者の対応次第で被害者には大きな心の傷が残る。その心の傷が癒されないまま時がたった時に、問題は解決されていると納得できれば、被害者は心の傷を自分で癒すことになる。


しかし、加害者から謝罪も無ければ被害者をないがしろにして時が経過した場合には、被害者は心の傷を自分で癒しようがないのである。このような場合、社会がそれを認め問題解決しない限り、被害者は訴え続けることになる。


このような問題で次から次へ被害者が現れるのはそのためである。ジャニーズ問題でいわれたように、社会が被害者を否定してはいけないのだ。社会がまず被害者を被害者として認め扱わなければ、二次被害を生み出し問題を複雑化する。

カテゴリー : 一般

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2024.01/26 カオス混合

ロール混練ではカオス混合が起きているという。数㎜の間隔で表面が平滑な二本のロールが対向で回転しているところへゴムを投入すると早い回転のロールにゴムが巻き付き、混練が進行する。


初めてロール混練を体験した時にこの様子に感動している。指導社員は天然ゴムだけ混練されているところへ数粒カーボンを添加し、それがあっという間に分散して真っ黒に変わる現象を前に、伸長流動とリップで起きている剪断流動をよく観察するように言われた。


見るとロールの下に手鏡が置かれ、ロールの真下の様子を観察できるように用意されていた。指導社員がロールで起きている天然ゴムの流動を当方に説明するために手鏡だけでなく、数種類のカーボンまでTEM写真とともに用意されていた。


カーボンのストラクチャーによりカーボンの分散状態が微妙に変化した。そして、疑問に思ったらこの実験をやるようにとのアドバイスをされたのである。


レオロジーの難しい理論ではなく、実際の現象で観察することにより、混練の機構を学ぶ方法を指導してくれた指導社員は、大学院でレオロジーを研究し、ダッシュポットとバネのモデルから導かれた常微分方程式を関数電卓で解くような技術者だった。


餅つきやパイ生地練り、ロール混練で発生している効率の良い練り、カオス混合についても研究されていた。そして、当時イノベーションが起きていた二軸混練機でカオス混合ができるようにするのが当方の宿題となった。


ただ、指導社員と出会って3か月で職場異動となる。宿題はしばらくペンディングとなり、リアクティブブレンドのプロセシングを学ばなければいけなくなった。高速剪断のこの世界はロール混練とは異なり、剪断流動でナノオーダーの混合が進行するとんでもない世界だった。


それから25年経ってカオス混合の宿題を仕上げなければいけない事態になった。2005年8月に単身赴任し、PPS/6ナイロン/カーボンというシンプルな配合で歩留まりが10%前後で低迷していた半導体無端ベルトの押出成形を半年間で歩留まり100%にしなければいけないテーマを担当したのである。


日本のトップメーカーのコンパウンドだから必ずできると言われ前任者から引き継いだのだが、そのトップメーカーの技術サービスから「素人は黙っとれ、勝手に自分で工場を作ってコンパウンドを製造してみろ」と言われた。


仕方が無いので、中古機を集め子会社の敷地を間借りして粗末な建屋の中に先端のカオス混合ラインを3か月で立ち上げた。このラインから製造されたコンパウンドで半導体無端ベルトの押出成形歩留まりは100%となった。


ただし、押出成形プロセス条件を従来の条件から何も変更していない。押出成形は「行ってこい、の世界だから」というゴム会社で実習した時の現場の職長(ゴムの押出成形を40年担当していた)から教えられた教訓を守っただけである。


これは実話である。この時行ったパーコレーションの制御技術を題材にパーコレーション転移プログラムを作成しながら学ぶPythonセミナーを2月に行います。明日目次と日程を公開します。1/26に申し込まれますとプログラム付5000円で参加できるだけでなく、2月のご希望の日を指定できます。お問い合わせください。


お申込みを希望される方は下記フォームから希望する日付を入力してください。

送信時に不具合等が起きる場合はinfo@kensyu323.comまでご連絡ください。


    カテゴリー : 一般 高分子

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    2024.01/25 飛行機の難燃化

    羽田の衝突事故でカーボンファイバー製の飛行機について難燃性に対する疑問がニュースになっていた。おそらくこの事故に対する検証が進んできたのだろう。


    今回飛行機が丸焼けになったことにびっくりした人は多いのではないか。もし丸焼けになる前に消火できておれば、一部の荷物が助かったかもしれない、と感じたのではないか。


    一方で燃焼速度が遅かったので問題ない、と捉えている科学者もいるかもしれない。事故直後この飛行機の機体がカーボンファイバーのFRP製であることを当方が知ったのは専門家の談話である。


    その専門家の談話では、今回の燃焼状態は設計目標を達成していたという。当方はゴム会社に入社して1年後に同様の言葉を聞いたことがある。


    某大学の先生が、高分子の不燃化は難しいので変形して火炎から逃げるような難燃化設計は現実的だ、と指導されて設計された天井材で火事が多発したのである。その結果難燃二級という建築評価基準が見直され、簡易耐火試験による難燃化基準が作られた。


    当方はゴム会社から筑波の建築研究所へ派遣されてこの基準作成のお手伝いをしている。ホウ酸エステル変性ポリウレタンやフェノール樹脂発泡体の研究開発を担当していた時で、さらに高純度SiCの事業化企画も立案していた。


    定期的にサンプルとヘルメット、安全靴をもって常磐線に乗り、荒川沖でおりてバスで建築研究所まで通っている。タクシーに乗りたかったが出張旅費としてタクシー代が認められていなかった。


    単なる過重労働ではない。往復に20kg以上の嵩高い荷物を持って、早朝一番電車で通勤する過酷な仕事であり、今なら耐えられない。まさに当時当方以外の誰もできない仕事と上司に言われている。


    しかしこの経験のおかげで、高分子の難燃化技術、高分子の破壊と劣化耐久性、混練プロセス、帯電現象の評価技術、セラミックスの評価とプロセシング技術、有機無機複合化技術、SiCの結晶化研究に関して学位取得、データサイエンスなど多くのスキルを身に着けることができた。


    この身に着けたスキルで、写真会社ではゼラチンの破壊靭性改良技術で写真学会から、酸化スズゾルを用いた帯電防止層の開発で日本化学工業協会から賞を頂いている。


    その他、ポリマーアロイの粘着層、巻き癖のつかないPEN、複合プリンターのキーパーツ開発、カオス混合プラントの建設など写真会社で多くの成果をゴム会社で身に着けた知により上げることができた。


    これらの形式知や経験知をもとに現在セミナーを開催していますので、ぜひ聞きに来てください。またご希望の分野についてリクエスト下されば、格安でセミナーを開催させていただきます。セラミックスから高分子まで是非お問い合わせください。


    この3月に開催される日本化学会年会では、高分子の難燃化設計に関し、ディープラーニングを活用した事例研究を発表します。今でも現役で下記技術について取り組んでいます。下記以外のニッチな技術にもチャレンジしますのでお問い合わせください。例えば皮革の難燃化でも短期間で成果がでております。


    <現在取り組み中の技術課題:下記以外もお問い合わせください>

    1.高分子技術(セラミックスから高分子まで、広い視野で取り組んでいます)

    1.1.プロセシング技術

       混練技術から射出成形、押出成形、成膜技術まで

       コロイド技術から塗布、表面処理技術まで

       発泡体技術

    1.2.高分子の機能化

       難燃化技術、帯電防止技術、熱伝導高分子、導電性高分子、高靭性化、低熱膨張高分子

       光学機能高分子、高誘電体化

       PPSはじめエンプラにつきましてもご相談ください。

    1.3.高分子材料のトラブル対策

       高分子の破壊、高分子の耐久性、ブリードアウト、高分子の寿命予測、シリコーンLIMS

       帯電防止機能の低下、半導体機能の劣化、誘電体機能の劣化

    2.セラミックス技術

    2.1.SiCプロセシング技術(粉体から焼結体、結晶成長まで。学位の一部となったスキルです)

      パワー半導体に使用されるSiCウェハーについて新しいアイデアがあります。

    2.2,SiCの応用技術

      SiC成形体について新しいアイデアがあります。

      SiCの応用について

    3.コンピューターを活用した問題解決法

    3.1.生成系AIの実務への応用

    3.2.データサイエンスの実務への応用

     マテリアルズインフォマティクスはじめディープラーニングの手法につきましても扱っております。

     タグチメソッドも新しい視点でご指導しています。

    3.3.Pythonの教育と実務への導入

    3.4.トランスサイエンス時代の品質管理

    カテゴリー : 一般

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    2024.01/24 石破茂

    あまり政治色の強い話を書きたくないが、自民党内におけるこの人の処遇を見ていると自民党という組織の実態が見えてくる。


    すなわち、今の自民党は世論に鈍感な組織になったのだろう。さらに、組織を仲良しグループで運営するという、組織の陥りやすいパターンで政治が動かされている。これでは岸田政権の支持率は上がらない。


    11日に自民党の政治刷新本部の初会合が行われたのだが、派閥解消を巡るこの会合に石破氏は選ばれていない。国民がご存知のように石破氏は自民党内で派閥に所属せず政治活動を行っている。


    その発言内容は、時流と国民の気持ちを組んだものが多く、それゆえ国民の人気が高い。逆に自民党内ではそれが原因で冷遇されている。


    石破氏に自民党内の若手がついていかない理由について、あの二度不倫でも離婚せず辞職した元若手衆院議員金子謙介氏は、インタビューに対し「暗いから」と答えている。


    政治刷新初会合の取材をしていた、あるジャーナリストが、「麻生さんにすごい実権があるのですね」と石破氏に質問したところ、石破氏は「権力というよりもそれなりの魅力があるんでしょうね」と応えている。


    この石破氏の答えも面白い。麻生氏に人望があり自分には人望が無い、と自虐的に聞こえてしまうのである。おそらく石破氏の性格からくる発言内容を国民は応援しているのだが、この人が次期首相という政治の流れにはなっていない。

    当方は、新入社員として12年間ゴム会社の研究所で活動したが、恐らく世間で信じていただけないような出来事ばかりで、写真会社へ転職している。

    ビッグモーターの事件は、街路樹の違法伐採含めおよそ普通の企業と思えない人が多いと思うが、当方は、リーダーがダメな場合の普通の組織として捉えてしまう。やはり、このような事件に驚けるような健全なサラリーマン人生を歩みたかったと思う時がある。

    石破氏も自民党の中でご苦労されているのだろうが、若手がついてゆきたくなるような発言なり、行動がとれないものか。期待している国民もいることを考えていただきたい。



    問い合わせは問い合わせフォームからお願いします。


    (注)電気粘性流体の仕事は、高純度SiCの仕事よりも前に研究開発がスタートしており5年以上研究が行われても、耐久問題で実用化できていなかった。そこで加硫剤も添加剤も何も入っていないゴムケース材料の開発を当方に依頼されたのだが、難しすぎた。恐らく世界中の誰もが開発できないと今でも信じている。そこで、データサイエンスを活用して一晩で問題を解決したのだが、問題解決したところ心臓部分に使われていた半導体微粒子のロバストが無いことが気になったので、1か月かけて傾斜機能粉体や微粒子分散型微粒子、コンデンサー分散型微粒子を開発し、この中の傾斜機能粉体で実用化され日産自動車のスカイラインでテスト走行している。ただシリコーンオイルを使用するので価格が高く、結局テスト販売されたが当方が転職後事業が終わり、担当者は高純度SiCの事業をお手伝いしている。皮肉なものである。

    カテゴリー : 一般

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    2024.01/23 組織の中の異常

    昨年はビッグモーターやダイハツのような、組織として正常な判断がなされなかった、ある意味不思議な大事件が起きている。今年に入って、ダイハツ社長は仕事量を見誤ったかも、などとややおかしな見解を披露している。


    仕事量を見誤ったのではなく、品質管理活動が正しく行われていなかった、というのが社長としての反省の言葉にならなければならない。正しく品質管理活動がなされて仕事量が減るということは起こりうることだ。


    ダメリーダーの問題に、親会社であるトヨタの経営陣も含め誰もそれに気がつかなかったのは驚きである。トヨタのかんばん方式に始まり、トヨタが名の付くQC関係の書籍は多い。


    しかし、ダイハツの社長の毎度の発言記事を見ていると、トヨタは大丈夫か、と心配になってくる。ドラッカーのリーダー論は明快で、次のリーダーを指名するまでがリーダーの責任であり、誠実真摯の人を選べ、と述べている。


    ダイハツの今回の事件で、「仕事量を見誤ったかも」と述べている社長が誠実真摯に仕事をやっていたとは感じられない。例えば、エアバッグの試験にしても担当者は実験をやらずにデータを捏造していたのではない。


    タイマーを使ってエアーバッグの動作を見ていたのである。誤った評価法を行って納期を短縮しているが、仕事を減らしていないのだ。インチキの仕事をやっていたのである。


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    2024.01/22 高分子の破壊

    金属やセラミックスでは、非破壊検査が当たり前に行われているが、高分子の非破壊検査は難しい。非破壊検査とは、材料を壊すことなく寿命を探る方法である。


    トンネルや橋脚をコンコンと検査員が叩いている光景をTVなどで見ることがある。また、ドライブで高速道路を頻繁に利用する人ならば、実際の光景を見たことがあるのかもしれない。


    コンコンと叩いたときに異音が無いのか調べることで構造物あるいは製品の寿命を知ることができるのは金属やセラミックスでフラクトグラフィーという形式知ができているからだ。


    ところが高分子では、ゴムと樹脂で異なるアプローチの仕方で破壊現象が研究されてきた。40年以上経って、ようやく両者の破壊について同じまな板の上で議論できるようになった。


    ただし、それはGriffithの理論の拡張が行われた故であり、その拡張の妥当性も現在議論されている。Griffithの理論とは、線形破壊力学という体系の基になる理論で、セラミックスや金属の破壊に関する形式知はこの理論を基に構築されている。


    壊れる、という簡単に思われる現象でさえ、高分子では未だに研究されている対象であり、高分子がいかに難しい材料であるのか知っておくのは重要なことである。


    身の回りで普及しているから形式知が完成しているとは限らないのだ。科学の時代と言われているが、経験知に基づく技術で実用化されている製品が多いことを知ると、どろくさい品質検査の一つ一つを浅はかな科学的という判断で勝手に効率化できないはずだ。


    ダイハツの事件を知るにつれ、科学的という思いあがった考え方が透けて見えてくる。タグチメソッドは開発設計段階から品質工学を導入できるメソッドだが、今時これを身に着けていない技術者は時代遅れである。


    今週R&D支援センター主催のセミナーが開かれるので、まだ身に着けていない技術者はぜひ参加していただきたい。弊社へ参加申し込みされますと参加費10000円割引サービスとなります。お問い合わせください。


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    2024.01/21 大馬鹿モン(2)

    専務の言われたかったことは、実車による耐久試験が終わらなければタイヤの形をしていても、タイヤという商品ではない、という品質の考え方である。


    科学的にゴムの耐久寿命を導くことができない以上、これは正しいまともな見解である。今でもゴムや樹脂の破壊でさえ、科学の形式知が出来上がっていないので、非破壊検査さえも金属やセラミックスのようにまともにできない。


    ゆえに、専務の当時の説教は40年以上経た今でも正しいのである。そこには、ダイハツで問題となった定まった社内試験を勝手にスキップするようなことは許されない理由も述べられていた。


    すなわち、科学的に正しいと思われても、ゴムや樹脂の破壊について形式知そのものが出来上がっていないので、科学的に完璧な破壊という現象の評価法を作り上げることはできず、製品の品質を保証するためには、市場における経験から築き上げられた体系の中で評価を進めざるを得ない。


    その時、科学的に正しいと思われる簡素化された他の評価法が見つかったとしても、市場の中でその評価法の検証がなされない限り、それを採用することはできない、という現物現場主義の考え方である。


    このような考え方は大学で学ばなかった。科学は現象の一部しか説明していない、という考え方は大変新鮮だっただけでなく、科学と技術の相違や品質の考え方について分かりやすい説明だった。


    科学で説明できない現象の起こる可能性がある以上、品質の信頼性を上げるために実車でn数を稼ぐ実験を行わなければならず、そこで科学の姿勢と同じ「何故」と問うことは良いが、科学で出した答えに満足してはいけない。


    それは現物現場主義のどろくさい考え方だった。ところが研究所に配属されて、この考え方を正しいと信じ研究開発を進めていたら軽蔑されたのである。



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