すでに弊社とお客様との共同出願による特許が公開されたので少しオリゴマーについて書いてみる。
高分子技術の状況についてはすでに書いてきたが、オリゴマーの技術は高分子技術よりも理解されていない部分が多い。
すなわち、オリゴマーの材料科学における価値やオリゴマーを制御して合成する技術など未開拓である。
このことを御存じない方が多い。これまでオリゴマーは邪魔な存在ととらえていた技術者も多いのではないか。ゆえに弊社とお客様との共同出願特許が公開されてもその意味が理解されないのではないかと思う。
科学の時代において高分子分野におけるこのような存在を不思議に思う方がおられるかもしれないが、これはパラドックスと呼べるような状況である。
すなわち、科学が進歩すればするほど非科学的分野の新規性と有用性が増加してゆくということだ。
高分子材料分野においてオリゴマーはどちらかと言えば邪魔な存在だった。すなわちうまく重合を制御できないとオリゴマー成分が増えて、それが物性に悪影響を与えてきたのでオリゴマーを取り除く方法が高分子合成において重要だった。
しかし、オリゴマーは、うまく分子量制御し合成して用いると、高分子材料の改質に有用な物質にもなりうるのだ。そしてその有用性について科学では処女地と呼べるような分野である。
今回公開された弊社とお客様との共同出願された特許は、オリゴマーの分子量制御とその結果生まれた新規の現象を含む事例である。ご興味のある方はお問い合わせください。
なお、8月30日のセミナーではこの技術の可能性についても少し説明します。まだセミナーの申し込みをされていない方は、少し空席もございますので今からでも間に合います。
カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子
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朝8時からのNHK朝ドラの視聴率が落ちているという。民放のディレクターの意見まで出てきて、原因の解説をさせているが、要は急につまらなくなった、の一言に尽きる。
すなわち8月15日以降の話の展開や主人公のセリフも含め、あまりにも物語の時代と価値観がずれており、それが50代以上の視聴者には安っぽいドラマと見えているのだ。
視聴者が誰も見たことのない時代の話、ちょんまげ時代劇ならば許されるこのような「時代考証のずれ」は、手抜きどころかばかげて見えてくるから不思議だ。
昔ビートたけし監督の時代劇でタップダンスが飛び出して新鮮さを感じたが、あれは監督も述べていたように誰も知らない時代の話だからジョークとして捉えられたのだろう。
誰もが知っている時代の話の中でありえないシーンを展開するためには、その効果に対して高度な考察が必要になる。
これは科学の世界の話でも同様で、PPSと6ナイロンは相溶しないことをその専門家たちは知っている。そこでPPSと6ナイロンが相溶した話をしても「ウソだろ」となり、高度な技術でも理解されない経験をしている。
常識とあまりにもかけ離れると話そのものが嘘っぽくみえてつまらなくなる。だから常識外れの話の展開の仕方などに高度の工夫がいる。
以前STAP細胞の騒動では、騒動になる前に若い研究者に割烹着を着せて理研は説明させていた。生物化学界をひっくり返すような現象の発表なのでそのような演出がなされたのだろう。あれはうまい方法だと感心させられたが。
カテゴリー : 一般
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表題は当方のイニシャルではない。当方はYKである。KYとは空気を読めない、の意味で、その場の雰囲気を忖度せず振舞う人のことを言う。
小泉孝太郎主演のドラマが好調でKYがネットで話題になっていた。インタビューで小泉氏は、俳優として成功した理由を自分のKYな性格にあったと述べている。
すなわち、首相の息子として見られることを承知で芸名もそのままにデビューしている。また、TVが映し出す芸能界においての活動もKYそのものである。
多面評価が主流となった企業のサラリーマン社会ではKYは評価されず給与が伸びない時代である。給与を増やすためには常に忖度が要求される。しかし、いつも忖度をしていてはそれも評価されないので難しい。
その難しさの中で生き抜き組織人として成長してゆく。よく大企業のサラリーマンと中小企業のサラリーマンの違いが論じられたりするが、組織の大きさとそこからくるストレスが原因である。
大企業のサラリーマンでもKYの人は成長しない。ゴム会社に入社し、一年ほどしたときに先輩社員から、「一皮むけたな」と言われたが、早い話が組織環境に慣れて忖度の毎日となっただけである。
ただ忖度だけでは仕事はできない。少なくとも成果を出そうとしたときに忖度が障害となる場合がある。そこにいつ気がつくかにより出世する人とそうでない人の差が出る。
日本のGDPの伸びが鈍化しバブル崩壊後は停滞していたが、最近少し伸び始めた。日本全体が忖度の弊害に気がつき始めたのかもしれない。
カテゴリー : 一般
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ある皮革加工会社から依頼されて、皮革を難燃化した。予算が少ないので2日間の特別作業だが、何とか技術開発できた。
実は昨年、1年間の契約で同様の依頼を受け、ホスファゼンを使用し革の鞣し工程に使用可能な新技術を開発して特許出願を完了している。
しかし、その後使用したホスファゼンの生産が中止になったため今回は別の技術を開発する必要があった。しかし、予算が無いので2日間の限定で、と依頼されたので、なりふり構わず既製品のハロゲン系難燃剤を使用し、技術を作り上げた。
既製品と言っても、革の鞣し工程用の薬剤が販売されているわけではないので、うまく既存の工程に合うようそれなりの技術開発が必要になる。
あらかじめ界面活性剤を数種用意して取り組んで、無事1日で技術を作り、残り一日で効果の再確認をおこなって引き渡しした。
昔先端技術で高偏差値の研究者が数名一年間取り組み技術開発は不可能と結論が出された電気粘性流体の増粘問題を一晩で解決した「技術開発の方法」を今回用いている。
ただ、昨年は環境対策が技術開発目標としてあったので難燃剤の選択に時間が必要だったが、今回は昨年度の経験を使用でき、そこでなりふり構わず、昨年検討から外したハロゲン系難燃剤を検討することにした。
中部大学武田教授も指摘されているが、ハロゲン化合物+三酸化アンチモンの組み合わせは強力でおそらく何でも難燃化でき、今回も3時間程度でその機能最適化までできた。
ところが、昨年開発したホスファゼンシステムでは、燃焼時に煙が少なく難燃化できたのに、今回の系はいかにもの色をした煙が大量に出る。
カテゴリー : 一般 高分子
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実験は仮説を確認するために行え、は、科学こそ技術開発の唯一の方法と信じられていた時代の考え方である。
企業の研究所において部下をこのように指導されている方は今でも多い。しかし、技術開発において実験の目的はそれだけではない。
むしろ、実験を仮説確認のためだけという考えのほうが間違っている。アカデミアにおける実験ならばそれでも十分かもしれないが、技術者にとって実験は機能確認のために行う場合が多い。
タグチメソッドでは、まさに基本機能のロバストを確認するために実験を計画する。効率を上げるためにラテン方格を利用したりもする。
また、機能を確認するためだけでなく、新しい機能を探すために実験を行う場合がある。
この実験の目的や方法が意外としられていない。昨今の新技術の話題は生化学や通信情報分野が多く、20世紀にあれだけ騒がれた材料分野では、ほとんど新技術の話題が無くなった。
生化学や通信情報分野の新技術に新材料技術も必要なはずだが、例えば高周波対応の材料については従来の素材の科学的に自明の方法による改良技術しか話題になっていない。
10年ほど前に負の誘電率が少し騒がれたが、それに対応した材料技術を特許で探しても公開されてきていない。
実は負の誘電率については1990年代に実験を行い気がついていたが、科学的にあり得ない、と否定されたのでそのままにしていたが、最近面白い実験結果が出た。
カテゴリー : 一般
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仮説を確認するために実験を行うのは科学者だが、技術者は機能を確認するためにあるいは新たな機能を見つけるために実験を行う。
タグチメソッドでは、基本機能の確認をラテン方格を用いて行うが、これは試行錯誤法の一つである。また、故田口先生もタグチメソッドは実験計画法ではないと言っていた。
計画された実験でなければ試行錯誤である。タグチメソッドでは試行錯誤を効率よく行うためにラテン方格を利用しているにすぎないのだ。
だからタグチメソッドで時としてびっくりするような結果が得られたりするときもある。これも故田口先生は、そのために制御因子は大きく変動させるように指導されていた。
さて、実験結果でいつも科学の真理に基づく結果ばかりが得られるわけではない。
例えば電気粘性流体の耐久性問題では、界面活性剤では問題解決できないという科学的に緻密で完璧な論文があったにもかかわらず、界面活性剤を使い一晩で(今ならば荷重労働、さらに残業代も支払われていないので典型的なブラック企業の実験となる)問題を解決している。
この時、科学的に完璧な論文を見せていただいてなかったので、問題解決できても興奮しなかった。住友金属工業(当時)とのJVが立ち上がり高純度SiCの業務に専念したいために余分な仕事を早く解決したいだけだった。
しかし、これまでの人生でビックリするような実験結果は問題解決よりも、「こんな現象が起きたら面白い」という興味半分の実験で得られている。
いくつかあるが自慢話のようになるのでここで書かないが、神がかり的な実験結果を一つ紹介すると、初めて高純度SiCを製造した実験では、必死のお祈りがプログラムコントローラーを暴走させて、その結果最適条件で熱処理され、黄色い高純度SiCが得られた、という冗談のような実験がある。
(これは、当時の無機材質研究所で行われており、多数の目撃者や原因不明の暴走ということで安全委員会まで開催されている。ただし、安全委員会では、必死でお祈りしていたという証言をしていない。)
この30年以上前の体験は、今でも鮮明に思い出すことができる。神の存在を信じることになるのだが、どのような神なのかは無信教なので具体化されていない。
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高分子の材料強度は、経験的に弾性率と靭性の関数、すなわち強度=f(弾性率,靭性)と表現できる。
弾性率はマトリックスとその補強成分で決まり、成形体密度と相関する。しかし、靭性(シャルピー衝撃強度やアイゾット試験データ)は密度に依存しない。
横軸に射出成形体の密度を、縦軸には弾性率((測定値/100)-10)と曲強度、シャルピー衝撃強度をとり、各種ポリマーアロイと混練条件の異なるサンプルについて物性測定された結果をプロットする。
得られたグラフにおいて、Y軸に平行なプロットの群は、ある試作条件におけるサンプルについて曲強度、シャルピー衝撃強度を測定して得られたデータの平均値の1セットである。弾性率データは曲強度のSS曲線から採取する。
ポリマーアロイに配合された成分は皆異なるため、マトリックス主材以外の成分とプロセシングの異なるポリマーアロイに関して強度の密度相関をこのグラフは表している。
弾性率は主にマトリックスとサンプルの密度で決定されるが、同一マトリックスなのでこのグラフでは密度だけに相関している。
曲強度については、弾性率と相関するサンプル群以外に相関しないサンプル群があり、相関しないサンプル群を整理すると衝撃強度に相関している。
すなわち、このグラフから経験知である強度=f(弾性率,靭性)と捉えてよい。
さらに、このデータは、強度のばらつきは弾性率と靭性のばらつきに支配されている、と読み取ることも可能である。
この時、弾性率は密度に依存し、靭性は構造の不均一性(靭性に影響を及ぼすサイズ、800nm以上のサイズ)や欠陥に支配される。
このような考察を進めてゆくと、常に一定速度で押し出されているストランド段階のばらつきは、密度あるいは欠陥のばらつきが正規分布で揺らぐと期待され、人手による射出成形では、そのスキルに左右されたばらつきとなることが予想される。
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13日の夜に「理想の住まい」という講演を拝聴した。実は講演者は同級生で、我が家を建てるときに旭化成ヘーベルハウスにするのか講演者に頼むのか迷ったが、旭化成の営業担当が3000万円台の見積書を持ってきたので旭化成に決めてしまった。
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決めてからびっくりしたのだが、見積内容は外側だけの価格と言われた。内部の設計まで詳細を決めてゆき、最終段階に渡された見積書では、軽く倍になっていた。契約書に判を押した後である。最初の見積書段階で友人に相談すべきだった。
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最初は友人の誠実な見積書の価格が高かったが、内装も含めた最終見積もりでは友人の見積もりが3割以上も安くなった位置づけになる。しかし、その後ローンの手続きやら何やかやを営業担当が親切に進めてくれたので結局旭化成ヘーベルハウスで建てることになった。
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友人には悪いことをしたという後悔は、25年経った今も残っている。講演を拝聴してその思いはますます強くなった。
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後悔の理由について事実のみを書くと、大手メーカーの建築だから安心と言うことではないのだ、という一言に尽きる。杭打ち不正まがいのことも体験する。今なら迷わず久間建築設計事務所に依頼する。
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講演では今も昔も大手プレハブの新築に占める割合は変わらないと説明された。大手の後悔するような建築体験の噂の影響もあるのだろう。
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ヘーベルハウスで遭遇した問題は以下。これは噂ではなく事実である。
1.新築直後の雨漏りと、天井の補強板施工忘れ。それでも合格として引き渡された。
2.建築後やれ外壁塗装のメンテやら屋根のシート張替やら、スケジュール通り実施しないと品質保証が受けられなくなる、としつこい営業訪問。
3.2に反して定期補修工事後のクレーム対応が悪い。施工後ヘーベル板の破損や外観不良などのクレームを伝えて半年たっても未だに満足な対応ができていない。
4.外壁の工事でヘーベル板が痛み、ところどころ欠けたり、外観不良があっても点検は合格となっている。
5.外壁工事の時、扉の養生を忘れたために玄関扉が汚れたので、紆余曲折後張り替えたがその料金を支払うことになった。
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大手メーカーはどこでもこのような問題が起きており当たり前のことなのだろうか。扉の養生を業者が忘れた問題から見えてくるのは、クレーム対応では責任回避のためにいかにしてロジックでお客様を説得してお金を支払わせるのかと言う不誠実さである。個人の設計事務所では次の仕事が無くなるような問題である。家を建てるなら個人の設計事務所の方が安心なのかもしれない。料金も決して高くない。家を建てられる方には久間建築設計事務所をご紹介します。
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現代の生活の便利さは科学の進歩のおかげではあるが、身の回りの製品や医学がすべて科学の成果と言うのは誤解である。
例えば、ノーベル賞を受賞したヤマナカファクターは、阿弥陀くじ方式で発明された技術の成果である。
DNAの解析や生命の解析の成果は科学の成果と呼べるものが多いが、それでもヤマナカファクター発見だけを捉えれば、それは技術開発という行為の成果である。
24個の遺伝子を一度に細胞へセットした学生の掟破りの実験やその後のあみだくじ方式によるヤマナカファクター発見の手順は、科学ではありえない考え方である。
身の周りの豊かさの成果はすべて科学のおかげと考えていると、このような発明をすることができない。
かつてゴム会社の研究所は科学こそ命という風土だったが、80%近くを占める製品の開発部隊は、KKDも飛び出す技術重視の風土だった。
ところが転職してびっくりしたのは、科学こそすべてと言う考え方の会社で技術の方法論が否定されるような風土だった。しかし、そのような風土でもタグチメソッドは普及した。
故田口先生が科学的にご指導された結果であるが、SN比の説明を科学でできたとしてもタグチメソッドは技術の優れた方法論の一つである。
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ゆえにタグチメソッドを用いた成果は、科学の成果と言うよりも技術の成果である。基本機能を難しく感じるのは、科学と技術の違いを意識しないためと思っている。
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技術開発において科学の果たした役割は大きい。まず、科学の誕生により技術開発のスピードは急速に高まっただけでなく、その成果の伝承も確実に行われるようになった。
だからといって、科学誕生以前から行われてきた技術開発の方法論が否定されて良いとは思わない。
そもそも科学と技術は、その目的とゴールが異なる。科学は、小学校から習ってきたように真理の追究が目的であり、そのゴールはたった一つの真理となる。
技術は人類に有益な新しい機能を創り出すことにあり、そのゴールは創り出された新しい機能である。すなわち、新しい機能が具現化された「モノ」ができている必要がある。
ここで、まったく新しい機能を創り出すことは、大変難しいが、人類は科学誕生以前からそれを自然界から「見つけ」「取り出す」作業により、実践してきた。
これは、学校でもあまり教えられい、企業で技術開発でも経験しない限り習わない技術の伝統的方法である。この単純な方法で確実にモノができる。
科学の方法は、仮説設定と論理が重要で難解である。難解であるがゆえに小学校からその方法を学んでいる。小学校から学んできてもなかなか身につかないので、ロジカルシンキングの社会講座や高額なセミナーが未だに人気である。
問題は苦労して身に着けてもそれだけで技術開発をするには無理があることを教えていないことである。科学の方法さえ身に着ければモノができる、と言う誤解である。
単純な方法であるが、技術の方法も身に着けない限り、技術開発でモノを創り出すことが難しい。ただし、出来上がったモノについて解析や分析は科学の方法だけでできる。
換言すれば、技術開発の成果が具体化されているときのみ科学の方法でモノを造ることが可能になるが、新しいモノを生み出そうとするときに科学の方法だけではできない場合がある。これを本当に理解している人は少ない。
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