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2025.06/15 国民民主党候補者の会見

先日開かれた山尾志桜里氏の会見が、話題となっている。しかし、残念なのは不倫に関する話題ばかりで、この方の国会議員としての資質や不倫の過去が問われることを承知で公認とした国民民主党の挑戦が議論されていない。


当方が不思議に思うのは、その後非公認とした国民民主党の情けなさである。ガソリン代のごまかしや公共交通無料パスの不正使用などその他の問題があっても能力の高さから公認とした国民民主党の姿勢は一つの考え方である。


倫理観に多少問題があっても能力が高いので国会議員にしたいという考え方は、日本の国会議員の能力が低くても日本は官僚が優秀なので大丈夫、という長年の国会議員に関する資質問題に対して出した一つの答えでもある。


国民民主党は、玉木氏以外優秀な人がいないので、多少倫理観が無くても党首としたのである。ここは国民民主党の姿勢として、倫理観よりも能力を重視する党の姿勢を明確に打ち出すべきではなかったか。


おそらく、国会議員に対して高い倫理観を求める日本ではそのような姿勢を指示する人は少ないだろうが、今の国民民主党を見ているとそのように感じてしまう。山尾氏非公認だけでは支持率の回復は難しいだろう。


恐らく、山尾氏の人材としての魅力を党がバックアップし、公認取り消しをしなかった方が支持率の落ち方は軽微だったのではないか。今回山尾氏を非公認としたことで、少なからずいた山尾氏のファンがすべて逃げた可能性が高い。


しかし、国会議員は高い倫理観が求められる職業であるが。山尾氏の問題に限らず、文春砲は政治生命までも破壊する威力があるが、これが多くの政治家の学びになっていないことが悲しい。

カテゴリー : 一般

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2025.06/14 心霊現象

ネットの記事には、ときどき日常の勘違いを真面目に書いているときがあり、面白い。例えば、Hという喫茶店に一人で入店した時に、「お二人ですか」と言われてドキッとした、というのがあった。


当方もH以外の店で同様の体験をするが、心霊現象ではなく、店員の皮肉である。一人ならば4人席に座るな、という意味である。


類似の事例は、買い物で「お友達にもう一ついかがですか」というのがある。一人で買い物に来ているのに、あたかも二人連れのような問いかけである。


この問いかけに対して、「君には、亡くなった友人が見えるのか」と応えたところ、店員が突然吹き出したことから、心霊現象ではないことが分かる。


日常のこのような勘違いは、笑って済ませることができるが、高純度SiCの新規合成法を発明した時の偶然は、少し怖い。


無機材研留学中に、昇進試験に落ちたのだが、昇進試験と言っても事前に問題が漏れており、その漏れていた問題が出ていたので、100点だったはずである。しかし、その試験に落ちた連絡が、たまたま無機材研所長室へゴム会社の人事部長から入ったのである。


所長は、試験問題について尋ねてきたので、「あなたが推進したい新規事業について書いてください」という研究所ではよく出る問題でした、と答えている。


そして、そこに高分子から高純度SiCを安価に合成してSiCウェファーはじめ半導体関連事業を始める、という、以前無機材研の面接で回答したようなことを述べた、と説明したところ、1週間チャンスを与えるから、それを実験して見なさいとなった。


そして、フェノール樹脂とポリエチルシリケートとのポリマーアロイを合成してそれを前駆体に用いたプロセスを4日間で成功させるのだが、この成功に至る過程では、ホラーと呼べるような出来事がいくつも重なっている。


フローリー・ハギンズ理論で否定される均一な前駆体が簡単に合成されたり、一発でSiC化の熱処理条件が見つかったり、いくつかの偶然の出来事は、神様のお手伝いが無ければ成功しなかった。換言すれば4日間という短期間で研究がまとまったのは、科学で説明できない出来事が続いたからである。

カテゴリー : 一般

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2025.06/13 基礎研究に対する誤解

昨日配信の女性自身電子版で、「キリノミタケ」の人工栽培に、世界で初めて成功した「日本きのこ研究所」の活動が、『首都圏ネットワーク』の6月9日放送で紹介され、その時のNHKアナが活動をバカにしたような発言をした記事を報じていた。


一橋アナの「あぁ~、7年って言ってましたよね」と驚いた様子を見せ、首を傾げながら「食べられるのか何なのか、何の役に立つのか分かりませんけど。」とした発言が切り取られ拡散している(注)。


これは、バカにした、というよりも「王様の裸」という逸話そのものである。当方は、このような発言が増えることを期待している。これはバカにした発言ではなく、基礎研究を正常に維持するために重要である。


ただし、問題は研究者の中に、このような発言に対し怒りを感じたり、モラールダウンする人がいることである。また、このような研究者は、基礎研究ならば応用分野が不明でも許されると勘違いしている人が多い。


さらに、基礎研究が何に役立つか分からなくても良い、という基礎研究擁護の立場をとる人も未だにいる。個人の資金でやっている限り、これは許されるが、国民の税金で行われる研究において絶対に許してはいけない時代である。


税金で行われる限りは、国民の未来に有益な研究であることが明確に説明できなくてはいけない。屁理屈でも何でもよいから、明確に説明できることが求められる。


仮にそれが夢物語であっても未来に役立つ研究と誰もが認める説明がなされれば、国民の税金で研究を行っても許されるだろう。素粒子物理の研究は、それゆえ多額の税金がこれまで使われて実施されてきた。


宇宙の成り立ちや物質の基本はあらゆる科学の基礎となることを誰もが認めているので、その研究が直接産業に役立たなくても研究テーマとして許されている。


問題は屁理屈の夢物語の中には、本当に屁とわかるようなものまで存在し、時々そのような研究が基礎研究として行われたりする。やはり、臭いということを国民は声を出して言わなければいけない。


かつて、配合で成形体の物性が一義的に定まる技術開発の目的が設定されて数十億もの税金が投入された国研があった。この欄でそのプロジェクトの胡散臭さを説明し、リーダーが合成化学者であり、高分子を良く知らない人間であることを指摘している。


高分子材料は、プロセシングの影響を強く受ける。セラミックスでも熱処理過程で異なる材料ができる事例が知られている。すなわち、配合と成形体物性が1:1に対応する技術目標は、こうした材料の事例を知っておれば、おかしな研究目標であることがわかる。


例えば、PPS/6ナイロン/カーボンの配合では、カオス混合の有無で、異なる高次構造のコンパウンドとなる。また、SiCでは、前駆体や熱処理条件で、粉体の結晶構造や粒度分布などが変化する。すなわちプロセシングのデザインが重要となってくる。


古い話となるが、電気粘性流体の耐久性問題では、ゴムからのブリードアウト物質で電気粘性流体が増粘する問題について、界面活性剤で問題解決できないことを証明する研究テーマが基礎研究で実施された。


そして、あらゆるHLB値の界面活性剤を用いても電気粘性流体の増粘を回復することができない、という結論を科学的に完璧に証明している。


このような否定証明は、それを否定する現象さえ見つかれば、例え科学的に完璧な否定証明であってもひっくり返る。実際に一晩で電気粘性流体の耐久性を解決できる界面活性剤がデータサイエンスにより見つかっている。


この事例では、否定証明を基礎研究のテーマとしていることや、HLB値を科学の形式知の範囲でしかとらえていない問題があり、研究テーマをよく吟味すれば、ダメなテーマであることはすぐにわかる。


この問題では、京都大学や大阪大学の博士号研究者や東大修士の優秀な研究者達が一年かけて完璧な答えを出している。ドラッカーは、その著書の中で、「優秀な人はしばしば成果を上げられない。その理由は、間違った問題を正しく解くからだ。間違った問題の正しい答えほど害のあるものは無い」と明確に語っている。裸の王様には、裸であることを教えなければいけない。但し、それには勇気と純粋な心が必要である。


(注)公共財で基礎研究を進めるためには、キリノミタケの研究がどのような役に立つのか、研究者は分かり易く説明する義務がある。番組を見ていないが、おそらくそれがなされていなかったので、NHKアナの発言になった可能性がある。視点を変えれば、取材の仕方が悪い、ともとれて、NHKアナの発言は自己批判ともとれる。

カテゴリー : 一般

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2025.06/12 コーティング技術の応用

富士フィルムが、そのコーティング技術を応用して化粧品業界に参入したことは有名な話であるが、松田聖子と小泉今日子を起用したCMにはびっくりした。


ターゲットが若い人ではなかったからである。最近は男性用化粧品なども登場しており、化粧品業界は、今後も大きく成長する分野と思われるが、先日某国立大学教授の接待問題がワイドショーで紹介されたので、化粧品と高分子について調べてみた。


驚いたのは、まさにコーティング技術の応用分野として高分子技術者が十分に打ち込める面白いネタがたくさんあるのだ。PETやTAC表面のような単純な問題ではなく、皮膚表面には常在菌が大量にいて、善玉菌をうまく生かしながらコーティングしなければいけないのである。


このような分野では、一般の界面活性剤では、常在菌を殺してしまう可能性があるので、高分子活性剤の使いこなしが重要になってくる。


また、30年ほど前にゾルをミセルにしたラテックス重合に成功し、その技術を応用したゼラチン開発で写真学会から賞を頂いているが、こうした小技が必要だ。


善玉菌は殺したり、あるいはその活動を活発にしたりしてはいけないらしく、高分子活性剤や無機微粒子を活性剤として活用する技術が菌に優しい。


コロナが大流行しているときに、キスの問題(注)を論じた記事を読んだが、こうしたカップル間の問題回避にも高分子によるコーティング膜は重要になってくる。


某国立大学の先生の御乱行がきっかけでマイクロバイオームなる面白い話題を見つけた。男性化粧品の次は、カップルスキンケアが話題になるのかもしれない。


(注)10秒間のキスで8000万個の細菌が交換されるそうだ。どのように調査したのかは記事にかかれていなかったのでウソ八百かもしれない。1秒間にすれば800万個だが—

カテゴリー : 一般 高分子

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2025.06/11 DXで技術者の仕事が変った(3)

バブルが崩壊した時にタグチメソッドがアメリカから逆輸入された。写真会社に転職後間もない時に田口の講演を聞き、タグチメソッドの導入を提案している。


3年間直接田口から指導を受けたのだが、ゴム会社の経験談を話したところ褒められた。当方は田口がアメリカでタグチメソッドを普及されているときに、類似の方法で実験を行っていた。


ただし、当方が外側に配置したのはSN比ではなく、相関係数である。直交表の外側に相関係数を配置して実験計画法を行うと、最適条件が正しく求まった。ただし、田口からこの方法は感度重視となるので機能のロバストを追求するタグチメソッドと異なると指導された。


タグチメソッドで大切なことは、システム選択と機能に技術者が責任を負うとともに、機能のロバスト設計が技術者の仕事となったことである。タグチメソッドはDXとともに普及が始まった。


そして、今ではタグチメソッドで技術開発を行うことが常識となった。DXの最終段階では、このタグチメソッドのデータモデルから技術者の仕事を再定義しなければいけなくなった。


詳しくは弊社へお問い合わせください。今月も「Pythonで学ぶタグチメソッド」のセミナーを参加者のご希望日で開催いたします。土日も開催可能です。

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(注)続編ゆえに敬称略

カテゴリー : 一般

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2025.06/10 HLBとSP、χ

表題について書こうとすると、FD事件を思い出してしまう。同僚にFDを壊されたり、ナイフが机上に置かれていたり、そして隠蔽化されたこの事件で同僚3人が転職している。


さて、FDを壊した犯人は、HLBを科学の形式知の範囲でとらえ、分子構造を同定した界面活性剤を用いて、電気粘性流体の耐久性問題を解こうとして、解けず、否定証明を行って大論文を書いている。


そして、科学で頭がいっぱいの本部長はそれを世界的研究と持ち上げて、当方に加硫剤も添加剤も入っていない加硫ゴムを開発するように命じてきた。当方はそれに対して、一晩で電気粘性流体の耐久性問題を解決できる界面活性剤を見出している。


データサイエンスの成果であるが、当時界面活性剤を見出すために8ビットコンピューターMZ80Kを用いている。10時間以上耐久する電気粘性流体は無かったので、一晩促進試験を行えば十分だった。


さて、すべてのHLBで検討しても耐久性問題を解けない、とした、研究論文は間違っていたのか。否定証明だったので、科学的には、正しい研究論文だったが、技術の観点ではゴミ論文だった。


40年近く前の実話だが、界面活性剤の議論で使われるHLBは、科学的パラメーターと呼ぶには怪しいパラメーターである。FDを壊した犯人が、分子構造既知の界面活性剤だけで検討を進めた理由を理解できるが、技術開発ではモノを開発しなければいけないことを知らないと、このような間違いを犯す。


高分子界面が関わる問題では、χパラメーターが使用されるが、この実体は自由エネルギーである。ただし、パラメーターを決める方法が問題となる。


SPは、エンタルピーから求められ、低分子から高分子までの混合を議論するときに使われる。最近はHSPがよく適合すると言われており、ハンセン球を用いた溶解性の議論が行われる。また、求めにくいχについて、SPから求める式が提案されたりしている。


HLBもSPやχも、界面が関わる技術の問題では、よく登場するパラメーターであるが、その意味は異なっている。また、いずれも形式知となっているが、怪しいパラメーターであることを知っておいた方が良い。


HLBについては、同僚3人が転職するような事件となった電気粘性流体の耐久性問題が事例としてある。χが0でなくても高分子が相溶した事例は、中間転写ベルトの実用化で実績がある。SPから発想したが、SPでは説明がつかない添加剤PH01の発明がある。


科学で何でも説明できると思っていると、せっかくの良いアイデアをつぶすことになる。この3つのパラメーターが関わるそれぞれの技術開発事例は、トランスサイエンスの問題だった。

(注)本日の話の身近な応用例は、ゼラチンを水に溶かすときに、50-60℃程度のぬるま湯に少し浸漬して膨潤させてから溶解するノウハウがある。このノウハウを用いるとゼラチンを分散した水溶液を容易に作ることができる。ゼラチンは親水性高分子として知られているが、コンフォメーションにより、疎水性の性質を示す。このことを理解できると高分子のSPやχが分子構造やコンフォメーションにより変化することがイメージでき、カオス混合でPPSと6ナイロンを相溶させてからスピノーダル分解が起きるときにカーボンの凝集構造が形成されてパーコレーションを制御できるアイデアが浮かぶ。これはレーザープリンターの部品として実用化されている技術である。

カテゴリー : 一般 高分子

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2025.06/09 高分子の難燃化技術セミナー

米の味が、精米技術や炊き方に依存する話を以前この欄に書いたが、高分子の難燃化技術もプロセス依存性や材料設計技術に依存するトランスサイエンスである。

高分子とプロセスとの関係が科学的に解明されていないので、トランスサイエンスなのだが、この点を理解されていない人は多い。配合と材料物性が1:1に決まると信じている人がいる。同一配合でもプロセスが変われば材料物性がどうなるのかは予測できない。

7月25日に技術情報協会主催で本技術に関するセミナーが開催されるが、弊社に割引券があるので問い合わせていただきたい。

さて、高分子の難燃化技術の基礎は、1970年から80年代に確立され、当時主だった難燃剤が出そろった。ホスファゼンも1980年代末には大塚化学から市販されるようになった。

しかし、プロセス依存性が大きな技術なので、その内容を正しく理解していないと、コストパフォーマンスどころか力学物性の仕様を満たした設計ができない場合もある。

本セミナーでは、科学的な背景や技術開発のポイントだけでなく、マテリアルズインフォマティクスの視点も解説し、希望者には、タグチメソッドの解析プログラムを吐き出すエキスパートシステムのβ版を差し上げている。

参加希望者は直接技術情報協会へお申込みいただいても良いが、弊社へお問い合わせいただければ割引券をお渡しいたします。また、希望者にはPythonのご指導についてご相談にのります。

カテゴリー : 一般

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2025.06/08 玉木代表は困っている?

7日、佐賀市で開かれた連合佐賀の参院選総決起集会で、「古古古米はニワトリさんが一番食べている。」と立憲民主党の原口一博衆院議員=党佐賀県連代表=が発言したという。(西日本新聞6月7日版)

国民民主党の玉木雄一郎代表擁護の発言らしいが、おそらく玉木代表は困っているに違いない。一方原口議員は、備蓄米を減価償却の考え方で処理すると言った小泉農相の気持ちを理解していないようだ。

すでに市場の現象から明らかになってきたのだが、今回の米騒動は、一部の卸業者が価格を操作している。そのため、米の価格高騰を抑えるために,本来の用途ではない備蓄米を減価償却の考え方で価格設定して放出しようと決めたのである。

分かり易く言えば、国民の主食である米に対して、テロと言ってもいいような行為をしているグループに宣戦布告した、異常事態における苦肉の策である。

そもそも備蓄米は、災害対策として国民が食べるために備蓄されていたのであって、家畜の餌が目的ではないのである。過去においては、米の価格が安定していたので、余った備蓄米を廃棄するのがもったいないので家畜の餌として使用していた。

これはコココ米が人間の食べ物ではないことを意味しない。減反政策の一環として新米の一部を家畜の餌に回していることを忘れてはいけない。

こうした経緯を知ってて、いや国会議員なので知っていてもらわねば困るのだが、家畜の餌発言をした玉木代表は、慌てて謝罪をしたのである。

玉木代表は早く自分の発言を国民が忘れてくれることを願っているのに、原口議員の発言である。このような発言を野放しにしている立憲民主党も国民民主党と同じく国民感覚を理解していない政党なのだろう。

もし、玉木代表が家畜の餌発言を本当に反省しているのなら、立憲民主党にクレームを入れるべきではないか。しかし、それがなされていないことから、玉木代表の謝罪もうわべだけのものかもしれない。

カテゴリー : 一般

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2025.06/07 80万円のローン

初任給の年収が300万円を越える時代に、80万円のローンと言ってもそれほど悲惨には聞こえないかもしれないが、当方の新入社員の時の月給は10万円だったのである。上司の月給は手取りが50万円を越えていた時代である。


すなわち、今の管理職給与は新入社員の年収の2-3倍かもしれないが、当時の管理職は新入社員の年収の5倍以上だった。だから、OA委員長は部下に平気で80万円のローンを命じることができた。


この金額の大きさは、カローラDXが一台買えた金額と言った方が分かり易いかもしれない。一番安価なセリカは160万円である。レビンは120万円だった。


さて、80万円のローンで購入したMZ80Kで最初に開発したプログラムは、実験データをグラフとして打ち出すシステムである。実験データをFDにインプットし、第二精工舎のユニハンマー方式のプリンターでグラフとして打ち出す作業は、約30分かかった。グラフ用紙を使って手で書けば15分である。


ユニハンマー方式のプリンターは、画像を打ち出すこともできたが、その動作は文字よりも遅かったのである。これでは誰も使わないだろう、ということで、熱分析装置からデータを取り出し、それをグラフ化する提案を行っている。しかし、当時A/D変換し、グラフ化するところまで外部に依頼すると、300万円かかった。


測定装置が300万円前後でそのデータロガーが300万円であることを周囲から責められた。熱分析装置をもう一台購入したほうが良い、という意見まで飛び出し、なかなか何をOA化するのか、決まらなかった。


たまたま、安全委員会が消防署から薬品管理について指導を受けたことを聞き、薬品管理システムを提案している。実際にデータベースプログラムをBASICで作成し、寮までOA委員に集まってもらい、動作を見ていただいて、すぐにやろうということになった。


そして、ようやくソードのパソコンシステムを100万円で購入していただいて、薬品管理をそれで始めた。ソードのパソコンには、MZ80Kと同じ、Z80が二個実装されており、プリントしながら入力が可能だった。プリンターの動作も早かった。

OA委員会でアウトプットを出すために、新入社員に80万円のローンを組ませて、会社業務終了後独身寮でOA委員会の仕事をさせて薬品管理システムのアウトプットを出した上司は、大変評価されたが、80万円のローンを組み過重労働を行った担当者は評価されず、その後昇進試験に落ちて高純度SiC半導体治工具事業を立ち上げるチャンスが得られた。塞翁が馬はいい格言である。

降りかかる不幸に腐らず努力を続けることは重要である。働く意味を貢献と自己実現と定義づけたドラッカーは、20世紀の哲人と言われるのも納得できる。この80万円のローンがきっかけとなり、問題解決をコンピューターで行う方法について考えることが趣味となった。

また、当時食費以外手取りが残らない状態だったので、酒を飲み遊ぶこともできず、唯一会社でコピーをとった文献を読むことが暇つぶしとなった。勉強をしたくて勉強をしたのではなく、金が無いので勉強して時間をつぶしたのである。

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2025.06/06 産地名のブランド価値

今回の米騒動で、米の味が産地よりも精米プロセスに大きく依存していることを知った。現在の日本で生産されている米の味は、産地によりそれほど大きく変わらず、また備蓄米でも炊き方でおいしくなることを学んだ。


50年以上前、自主流通米が登場した頃、米屋のインチキがニュースになった。すなわち、配給米を混ぜて自主流通米として高く販売している業者がいた。


当時配給米には、古米や古古米、古古古米が使われていた。ココココケコッコーという古米を扱った漫才まで登場したぐらいで、配給米はまずい、という話題は今回の米騒動同様に国民の関心ごとだった。


当時の不味さの原因は、臭素系の保存剤の影響があったらしい。そして人体への影響がニュースになっていた。しかし、今は米の保存技術も進歩し、コココ米でもおいしく食べられるという。


今回の騒ぎで店頭に並んでいるお米を観察するようになったが、高い値段のブランド米でも色合いが悪い米や割れた米が袋から見えることに気がついた。


これらは十分な精米技術を持っていないところで精米すると発生するという。あるワイドショーでは、精米プロセスの異なる米を炊いて味が変わることを番組で紹介していた。


また、魚沼産のコシヒカリというブランドが書かれた袋に入っていたひどいお米の存在を話題として取り上げ、産地偽造なのか精米方法が悪いのか不明と言う説明をしていた。


今回の米騒動は、日常考えなかった主食の問題を見直すきっかけになったのだが、それにより、産地名のブランド価値が下がった。我が家では農家からコシヒカリを直接購入しているが、魚沼産ではない。しかし、十分においしいのだ。


20年以上前に、炊飯器のイノベーションがあった。当時10万円以上もする高価な炊飯器を購入したが、それで炊いたときのご飯のおいしさにびっくりした。


すなわち、ご飯は、プロセス依存性が大きな工業製品のようなもので、産地よりも米の処理業者の信用が、新たなブランド価値になるのではないか。

カテゴリー : 一般

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