意思決定と問題解決のシステムエンジニアリングにはビジネスプロセスとヒューマンプロセスの2つがある、と滝谷敬一郎著「行動する意思決定」にありました。不確実性の時代である今日には、ビジネスプロセスの問題解決法だけでは問題解決できず、ヒューマンプロセスの問題解決法と両立させる必要があるとのこと。
この本を読みますと、弊社の「なぜ当たり前のことしか浮かばないのか」や、「問題は「結論」から考えろ!」セミナーで展開しています問題解決法は、ヒューマンプロセスによる問題解決法になります。弊社の問題解決法では、非科学や非論理を問題解決法の中に取り入れることに成功し、その手順を公開しています。
閉塞感漂う今日の日本において、目の前の壁をブレークスルーするためには、斬新なアイデアが必要で、そのアイデアを導き出せるような問題解決法が求められております。ぜひ弊社の「なぜ当たり前のことしか浮かばないのか」や「問題は「結論」から考えろ!」セミナーをご活用ください。また出張講演も受け付けておりますので弊社企画部へお申込みください。
本セミナーは受講者のペースに合わせて進めることが可能です。
ナレーションが無くても資料だけで内容を理解できるように一般のプレゼン資料とは異なる表現を行っています。
弊社ではこのセミナーをエンジンとして用いた研修プログラムを販売しております。
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弊社は技術から芸術までを活動範囲にしておりますので、本日は芸術の話題を取り上げます。
小田急江ノ島線湘南台駅の地下通路に設置されたバルーンアートが、一部住民のクレームで撤去されることになったそうです。作品は、27、28日に開催される「藤沢市民まつり湘南台ファンタジア」を盛り上げようと実行委員会が、バルーンアートで実績のあるアーティストに制作を依頼した空間オブジェで、祭りの人気イベントで恒例のサンバパレードをイメージした作品に仕上げられていたようです。天井からつり下げられた直径数十センチ程度のバルーン50個には、女性の下着に見える手作りのサンバの衣装が着けられており、巨大な下半身型バルーンもセクシーな衣装をまとっている、と新聞記事には報じられておりました。
作者も合意されて撤去に至ったようですが、表現の自由には表現者の責任ならびにそれを許可した人の責任が伴うことを考えると、老若男女誰もが目にするところに、女性の下半身を見上げるような表現を許可した鉄道会社に問題があるように思います。明らかに女性の下半身を見上げるような表現は、その方面の趣味人以外の大半の日本民族にはそれを受け入れる精神構造にはなっていないことを考えるべきであった、と思います。
表現者は、表現の社会へ与える影響も考慮しなければなりません。たとえそれが感覚から生まれたもので斬新な表現として伝えたくても人類の幸福を損なうような表現(今回は不快感ですが)であればその時代の人類の許容できる芸術表現とはならないからです。表現者の責任とはそこまで考えた上で、自分の作品をどのように公開するのか決めなければなりません。表現の自由は大切な概念ですが、それは鑑賞者の存在を考えた時に表現を公開する場所に制約が加わるケースが出てくることを前提にしなければなりません。鑑賞者の幸福を奪う権利を表現者には与えられていないからです。その判断を表現者に求めることが難しい場合には、作品展示を許可する立場の責任は大きくなります。何の制限もない公共施設に展示される芸術作品については、作品展示を許可する立場の方が事前に厳格なチェックをすべきで、それは表現の自由をどのように考えるのかと言う議論とは異なる問題だと思います。
現場で作品を見ていないのに批判ばかり書いてしまい作者には申し訳ないですが、新聞に掲載された写真を見る限り、天井ではなく、床展示だったなら撤去までに至らなかったのではないか、と感じました。床では表現の意味が変わるので、あくまで見上げる位置の展示を希望と言うのであれば、鑑賞者の制限を加えられる場所に展示すべき作品と感じました。おそらく事前にデザインの打ち合わせがあったはずで、そこで誰も今回の事態を想定できなかったとしたならば、表現の自由よりも公共事業者として大きな問題があるように思います。
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朝のテレビ放送で町の本屋減少の話題を取り上げておりました。1997年に約2万2千件あった本屋が2011年には約1万5千件に減少し、すでに一軒も本屋の無い町が20町村を越えたとのこと。インターネット等情報伝達手段が変わったことによる、との解説がなされていましたが、そもそも本屋の役割は単なる情報販売店だけではなかったはずです。本屋の減少は、日本人が立ち読みも含め読書をしなくなった、すなわち読書人口が減少したためでは、と思っています。弊社では、電子出版を開店するに当たり、単純に本を電子化するだけでは面白くないと思いまして、読書人口減少に歯止めをかけるため、読んで楽しくなる本、例えば声の出る本や読者の質問で成長する本、電子セミナー等提案してまいりました。さらに面白い試みが出来ないかさらに新しい企画を検討中です。
しかし、読書をしなくなった根本の原因が、考えることを敬遠する風潮にあるとするならば、新しい企画も意味のないものになってしまいます。朝の放送でコメンテータがこの意味に近い発言をされた時に、ドキリとしました。「人間は考えるアシである」とはパスカルの言葉ですが、もし考えることを辞めてしまいましたら人類の進歩は無くなります。3.11の大震災以降は問題山積みの状態で、考える作業を止めたならば進歩どころか復興もできません。
退職する前の数年間に気になりましたことがいくつかあり、その中の一つに若い人たちが現場で遭遇する現象について「深く考えない姿勢」というものがあります。研究開発の現場では、仮説で制御された実験あるいは改良するために有効に働く因子を見つけるための実験計画に基づく実験が行われているのですが、必ずしも期待通りの結果になるとは限りません。期待通りの実験結果が得られたとしても実験計画には入っていない不可解な現象が現れたりします。前者の場合には、業務上の義務でもあり問題設定をして一応考えますが、後者の場合に備考欄にメモだけでも書かれていれば良い方で、問題となる現象が無かったかのごとく報告をする人がいます。
退職するまで可能な限り現場に出ることを心がけていましたので、実験計画とは直接関係ない現象について報告しない理由を聞きましたときに、現象に気がつかなかった、という回答には、「よく観察するように」とアドバイスしてきましたが、現象に気がついたが考えるのが面倒だ(とまで、さすがに明確には言いませんが、それに近い無難な言い訳をします)という回答には、何度も絶句させられました。仮にその時の業務とは無関係の現象でも予期せぬ現象がなぜ発生したのか考えておくことは、他の機会にその考えた経験が生きる場合が多いので、それは技術者が成長するために大切な習慣だと思っています。
業務とは無関係という理由とモラールへの影響も考え、注意する程度に終わっていたのですが、朝のテレビ放送を見て、そのような管理者の姿勢を反省しなければいけなかったのでは、という思いに駆られました。32年間、技術者として磨いてきた問題解決のノウハウを「問題は「結論」から考えろ!」という電子セミナーで公開しましたのは、若い技術者の方々に「考える」という作業の参考になれば、という思いからです。本セミナーにつきまして、弊社へお申し込み頂ければ、貴社の風土に合わせたプログラムでご提供するサービスも用意しておりますのでお問い合わせください。
本セミナーは受講者のペースに合わせて進めることが可能です。
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芭蕉の俳句哲学の言葉で、いつまでも変化しない本質的なものを忘れない中にも、新しく変化を重ねているものをも取り入れていくこと、とか不変的な事象と流行変化する事象は、見かけ上は相反するようでありながら、根本的には同質の、表裏一体の事象であるとか様々な解説がありますが、技術開発の戦略にもこの考え方は重要です。
例えば基盤技術を基に時代とともに変化するニーズに応える商品を生み出す活動は、不易流行と通じます。新規事業に進出する時にも基盤技術を基に進出すると成功確率が高くなると言われております。
ところで、基盤技術を活用できない既存事業と全く異なる市場へ参入する場合には、どうすればよいのか、となると意見が分かれるようです。古くからあるマーケットインという考え方で商品に着目して商品企画に力を入れるべきだ、という考え方と、基盤技術を作ってそれから新市場へ入ってゆくという考え方があります。
ファインセラミックスフィーバーが吹き荒れる中、セラミックス市場へ進出しようとしていたゴム会社の方針を決めたのは無機材質研究所(現在の物質材料研究機構)長の、「高純度SiC合成プロセスが開発できたなら、エンジニアリングセラミックス市場にもエレクトロニクスセラミックス市場にも進出できる」という一言でした。すなわち、高純度SiC合成プロセスを基盤技術にすえて広大なセラミックス市場に進出する、という考え方です。この方針に従い、1984年に2億4千万円の先行投資を行い、高純度SiC合成プラントと研究施設を整え、ファインセラミックス市場へ進出しました。その成果はピュアベータという商品名で30年経過した現在でも事業が継続し、高純度SiCが必要なパワー半導体の市場が大きくなりつつあるので、今後も事業は成長してゆくと期待されています。無機材質研究所長の不易流行の考え方は正しかったわけです。
一方不易流行で気をつけなければならないのは、基盤技術を破壊する対抗技術が登場した時です。うまく不易の部分を再構築し、新技術を取り込むのか、不易の部分までも捨て去り事業を撤退するのか判断が難しいですが、デジタル技術の写真業界に与えた影響を見ますと、大胆な判断とスピードが重要と思います。また、技術者一人一人も急激な変化に耐えられるように、幅広い技術分野に耐えられる不易の能力を鍛えておくことが変化の激しい時代には大切だと思います。「高分子材料のツボ」セミナーは、あらゆる高分子技術の不易の部分を整理できるセミナーです。是非ご活用ください。
実務で高分子材料科学を活用する視点でまとめました。 高分子科学の全体像について学べますので、専門外の技術者にも学生にも役立ちます。
本書は高分子に関する知識を持っていない人の為に、写真と絵を中心に分かり易くまとめました。項目毎に穴埋め式の復習問題もあるので、学習内容の確認もできます。
また、電子書籍ならではの特徴として、購読者様からの質問を受け付けその回答が毎月反映されていきます。是非ご活用ください。
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ファインセラミックスフィーバーは、1980年代に旧通産省(現在の経産省)が中心になって推進した「ムーンライト計画」という国家プロジェクトがきっかけとなり起きた材料革命です。このイノベーションは世界中を巻き込みながら、やがて高分子材料も加わりナノテクノロジー開発の動きへとつながりました。1979年にエズラ・F・ヴォーゲル著「ジャパン・アズ・ナンバーワン」が発表されていますから、このフィーバーは、まさに世界中の注目と期待を集めた日本発の材料技術イノベーションと思っています。
ムーンライト計画の目標は、セラミックス断熱エンジンの開発でしたが、1960年代の小ブームで技術開発されたセラミックス圧電素子やICパッケージの成功も加わり、セラミックスとは無関係の1000社以上のメーカーまでも巻き込み、まさにフィーバーと呼ぶにふさわしい状況となりました。このフィーバーの間にセラミックス断熱エンジンの事業化を見ることはありませんでしたが、ゴム会社で半導体用高純度SiCのプラントが稼働するなど、セラミックス事業とは無関係だった企業に新しい事業を育成する波及効果はありました。
無謀なプロジェクトであった、あるいは予算を削って2番をめざしていたら税金の無駄遣いにならなかった、という反省もあるでしょうが、このイノベーションが、目標未達にもかかわらず、長期的に見れば大きな成果をあげたことは、現在の材料科学や産業への影響、例えば自動車の技術一つ取り上げましても歴史的に検証できるのではないかと思っています。
セラミックス断熱エンジンという目標が無謀である、との意見は、プロジェクトの企画当初よりあったようです。そもそもお茶碗に使用される材料技術で過酷な動的部品を設計する発想自体が無茶苦茶、という意見も当時聞きました。しかし、いすゞ自動車の開発したセラミックス断熱エンジンは、アスカに搭載され公道を走ることに成功しております。トヨタ自動車はガスタービンと電気モーターを組み合わせたハイブリッドシステムをモーターショーで発表しています。このハイブリッドシステムは、ガソリン以外の燃料を使用でき、エネルギー効率を40%まで高めることが可能なので、実現しましたらバットマンカーのような車のイメージで電気自動車よりも面白い技術になるのではないかと思っています。
この小型ガスタービンの開発は、現在でも続けられており、20世末には、タービン入り口温度1350℃、熱効率は42.1%、1200℃1000時間以上の連続運転というレベルまで到達(1)しました。ムーンライト計画は失敗に終わりましたが、その目標は10年以上経って何とか21世紀になる直前に達成されています。1番をめざす技術者の執念の成果です。
バブルがはじけ、このような国家プロジェクトに対する批判も起き、さらに民主党政権になり、技術開発は2番に甘んじても予算を削減しようという思想も出てきて、未来が暗い時代になっています。ファインセラミックスフィーバーが単なるお祭り騒ぎでは無く、材料技術や産業界へ大きな影響を残した事実を冷静に評価しますと、今このフィーバーと同じようなお祭り騒ぎ、例えば創エネルギー大国日本を目標とするような夢のような企画を経済産業省が中心となり推進されたなら明るい未来が開けるのではないでしょうか。創エネルギー大国をめざせる研究の芽は、すでに日本で幾つか生まれていますので一大フィーバーになるのではないでしょうか。ただし、めざすのは1番です。iPS細胞以外に地味ながら燻し銀のような研究が日本で育ちつつあります。
<参考文献>
(1)特集「300kw級セラミックガスタービンを支えた部材開発」、セラミックス(日本セラミックス協会誌),12月号,1999年
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㈱ケンシューを設立して1年半、中国企業を指導した経験から「技術者が欲しかった中国語入門」、中国語の文法書を解析して中国語の基本文型を整理し、その成果を公開した「中国語基本5文型シリーズ」、32年間の研究開発経験においてアイデアの重要性に着目し、アイデア創出を促す問題解決法について提案した「なぜ当たり前のことしか浮かばないのか」、またそのセミナー版「問題は「結論」から考えろ!」、その他アイデアの基本となる基礎知識を短時間に頭に入れるための、「高分子材料のツボ」や「電気化学の要点」、就職前の学生対象に「入社前のTryセミナー」や「就活前のTryセミナー」、「簿記経理入門セミナー」などを販売してきました。また「誰でもわかる高分子」のような一般向けの技術書も「成長する本」という新しいコンセプトで提案しております。
2012年度下期からは、読者参加型の成長する本に力点を置き、「理系女子とめざす!未来技術」や芸術分野に力点をおいた出版を行ってゆきますのでご期待ください。専門分野の電子セミナーも順次新セミナーを公開してゆきますが、弊社の活動範囲「技術から芸術まで」の中で、これまで芸術分野に力を入れておりませんでしたので、下期は芸術を意識した活動を行ってゆきたいと考えています。
最後に(株)情報機構発刊専門書を中心に、専門領域の出版も現在企画中ですので是非弊社の活動にご注目ください。
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アルビントフラーの第3の波は、衝撃的でありました。日本でセラミックスフィーバーが始まる頃に情報技術による産業革命が起きる、という内容の本を読みびっくりしました。あれから30年以上経ち、改めて彼の著書を読んでみると、大枠は外れていませんが細部にはいくつか当たっていないところがあります。しかし、未来予測の大切なことは文明がどちらに向かうのか予測し、現状の体制で問題があるならば、それを是正し、人類の明るい未来を迎えられるように啓蒙することでしょう。おそらく彼の著書で外れている部分は、好意的に解釈をすれば人類が第3の産業革命への対応が遅れたため、と捉えることもできます。
人類の進化のスピードは早まっていますので、そろそろ第4の波が始まる頃ですが、第4の波について、エネルギー革命というキーワードを外せないように思います。昨年の3.11の大地震は、世界中に原子力発電の問題を提起いたしました。おそらくチェルノブイリの衝撃よりも大きかったのではないでしょうか。人為的ミスが重なったとはいえ、自然災害が引き金となっています。これまでの原子力事故の原因との大きな違いです。科学的予測が自然の力の前に無力だったわけです。太陽のエネルギーを人類は手に入れた、と小学生の時に習いましたが、傲慢でした。人類は自然と調和できるエネルギーを手に入れたときに幸せになる、というご託宣を3.11の時に受けたように感じています。
科学技術の進化にも面白い動きがあります。石油リファイナリーからバイオリファイナリーへの動きです。石油は中東などの一部の地域に局在しています。その石油を巡り、人類は様々な闘争を繰り返してきました。バイオリファイナリーの動きは、その力関係を変えるインパクトがあります。ジャトロワ以外にも石油代替となる植物がいくつか提案され始めました。コストの問題が指摘されていますが、石油は確実に値段が上がってゆきます。現在提案されているバイオリファイナリーのコストは、それが実現したときに石油同等になる可能性も見えてきました。
再生可能な自然エネルギーを直接電気に変換する技術も普及し始めましたが、自然エネルギーを直接電気に変えた場合には、人類がコントロールしやすいように一度蓄電する必要があります。エネルギー変換と蓄電を各家庭で行えばエネルギー効率はあがりますので、創電家電というカテゴリーも生まれようとしています。このような動きと第3の波の成果をさらに発展させてスマートグリッドがこれから開発が進み普及するものと思われます。
今後30年このようなエネルギー革命が中心となり、文明が進化してゆくであろうと思いますが、この進化の方向を技術開発で制御すれば、日本がエネルギー産出国になる可能性が見えてきます。すなわち第4の波は、日本がエネルギー産出国となるチャンスの産業革命で、弊社ではこれらの変化に対応するために技術から芸術まで提案できるよう準備を進めております。弊社の電脳書店の活動に注目してください。
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商品を技術開発するときに、商品に搭載される技術に関しすべてに精通していることが望ましい。しかし、実際には商品の主要機能が関係する技術分野は広いので、一つの商品を開発するときに必要な技術分野の人材でチームを形成し、商品開発を行う。ほとんどの商品には、高分子材料が使用されているので、メンバーにはたとえ専門家ではなくても高分子に詳しい人材が加わると思います。その方に受講して頂きたいのが「高分子材料のツボ」セミナーです。
転職前セラミックス開発を担当していた講師が、転職後の会社で高分子分野のリーダーを勤めることになりましたので、アカデミアの諸先生方の指導を受けながら研究開発を行いながら作成したメモを基に企画しましたのが、本セミナーです。転職前の会社がゴム会社でしたので高分子に関する知識を持っていましたが、実際に技術開発を担当する場合には力不足を感じていました。関係学会や高分子自由討論会に参加しながら勉強し、技術開発に必要な先端知識も含め、頭の中に入れているとアイデアの基になる知識を中心にメモを作成しました。わざわざ教科書の抜き書きのようなメモを作成した理由は、教科書の内容が間違いではないが、アイデアを出すには不適切な解説の場合が多く、目の前の現象についてアカデミアの先生から直接指導を受けました考え方でメモを作成する必要を痛感したからです。
すなわち高分子科学は、市販されている高分子の種類を見ていると進歩が無いように感じますが、この30年大きく進歩しました。特に高分子物理に関しては分子1本のレオロジーを論じることができるくらいの進歩です。教科書も少しずつ書き換えられてはいますが、教科書という性格から大幅な書き換えは行われていないようです。
また、このような科学の進歩の側面以外に教科書では絶対に説明していない材料の寿命と靱性の結びつきも、実用商品では重要な考え方なのであえて取り上げています。すなわち「高分子材料のツボ」セミナーは、技術の観点でまとめたメモを基にした内容ですので、受講後すぐに実務に生かすことができます。また受講時間も2時間前後ですので、高分子材料の専門家の方も短時間に材料からプロセシングまで知識の整理ができます。是非ご利用ください。
このセミナーへの橋渡し役の本も先日出版しました。「誰でもわかる高分子」というタイトルで、「成長する絵本」というコンセプトで企画しました。すなわち読者からの質問を基に今後この本を成長させてゆく予定ですので、是非ご一読後質問をお寄せください。
本書は高分子に関する知識を持っていない人の為に、写真と絵を中心に分かり易くまとめました。項目毎に穴埋め式の復習問題もあるので、学習内容の確認もできます。
また、電子書籍ならではの特徴として、購読者様からの質問を受け付けその回答が毎月反映されていきます。是非ご活用ください。
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上司含め3人で無機材質研究所へ訪問しました時に、田中無機材質研究所長と面会し、その時新しい問題解決法を思いついた、と先日書きましたが、その時の状況と問題を選択するときの判断基準について。
高分子の難燃化技術から生まれたセラミックスの前駆体高分子という技術シーズを活用してセラミックス市場に参入する、というシナリオは、ブリヂストン研究開発本部内で認知されていませんでした。また、ファインセラミックスフィーバーの中心の話題はセラミックス断熱エンジンで、エンジニアリングセラミックスの開発にセラミックスメーカー各社は競っていました。しかし、会社内ではエンジニアリングセラミックスではなくエレクトロセラミックスを研究開発すべき、という意見も多く、エンジニアリング分野かエレクトニクス分野かという大まかな方向も決まっていない状況でした。すなわち当時の研究開発本部のセラミックスに関する企画内容は、外部のシンクタンクのレポートをまとめ直しただけで、具体的な研究開発テーマまで絞られていませんでしたので、Y取締役は研究テーマを決めなければならない難問を抱えていました。
無機材質研究所の訪問は、上司にゆっくりと自分の考えているシナリオを説明できる良いチャンスでした。すなわち小平市の研究所から筑波にある無機材質研究所まで1時間半かかりましたので、社有車の中でゆっくりと高純度SiC開発シナリオを上司に説明することができました。
無機材質研究所に到着して驚いたのはY取締役と田中所長が過去に名刺交換された間柄であったことです。田中所長が大阪工業試験所長をされていたときに、ブリヂストンが接着剤の研究に多額の寄付をされたそうです。新しい問題解決法のヒントは、その時の話題に触れた田中先生の石橋氏に対する感謝の言葉にありました。すなわち、「タイヤで日本一になった企業ならば、誰も達成できていないSiCの高純度化技術で世界一を狙うべきだ、そしてブリヂストンならばそれができる。」、という言葉です。さらに、「高純度SiC粉末を開発できれば、エンジニアリング分野でもエレクトロニクス分野でもどちらでも勝者になれる。将来パワートランジスタやLEDが伸びるので高純度SiC半導体技術は、一大市場を形成する。だから、高純度SiCの開発をやるべきだ」と説明されました。
このような「べき論」の発想は、問題を分析的に眺めていても出てきません。そもそも、「問題」は、「あるべき姿」と「現実」の乖離から生まれます。この乖離を無くすことが問題解決ならば、問題を解決するということは、問題を分析的に考えることではなく、「あるべき姿」への道筋を示すことであり、そのためには道筋のゴールである「あるべき姿」の具体化が問題解決に重要な作業である、と気がつきました。
「問題」というものが静的な世界で生じて変化しないものならば、従来の分析的思考の問題解決法で答えを出してもよいのでしょうが、混沌とした世界で動的に変化している問題に対して静的に分析して得られた答えが正しい答えには思われません。そもそも問題そのものが時間の流れの中で変化していますので、静的な分析は答えを求める作業として不適切に思われます。
ところが一般の問題解決法で展開されている分析的思考は静的な分析法と思われます。ファインセラミックスフィーバーのような動的な世界における問題解決では、未来のある時間にゴールを設定し、そのゴールから問題の核心にせまる方法、すなわち未来から逆向きの推論を展開する方法こそ動的な分析法とみなしてもよい方法と考えました。
ところで未来のある時間にゴールを設定した場合には、時間の流れの中の優先順位を考える必要があります。この優先順位については、ドラッカーが、「経営者の条件」の中で「どの仕事が重要であり、どの仕事が重要でないかの決定が必要である」と述べ、次の四つのルールを秘策として示しています。
a.過去ではなく未来を選ぶ。
b.問題ではなく機会に焦点を合わせる。
c.横並びでなく独自性を持つ。
d.無難で容易なものではなく変革をもたらすものを選ぶ。
この四つのルールは問題解決法において課題を選択し順序を決める時の判断基準になります。高分子前駆体を用いた高純度SiC合成プロセスの開発というテーマは、この4つのルールを満たしており、無機材質研究所からの帰り道は、この話題で盛り上がりました。
弊社「なぜ当たり前のことしか浮かばないのか」(注)では、この時考えた問題解決法につきまして解説しております。
(注)クリックして頂きますと、弊社「電脳書店」へジャンプできます。
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無機材質研究所へ留学するために最初に猪股先生へおかけしました電話では、セラミックスの研究歴が無い点を指摘されました。猪股先生へのこの最初の電話では、2週間後に開催される学会でお会いする約束をしたかったのですが、そこまでたどり着く前に、断られてしまったのです。しかし、失礼とは思いましたが、学会で名刺交換だけでもさせて頂こうと、先生の発表日に学会へ出席し、名刺交換と自分の売り込みをいたしました。
2週間という短時間でSiCの専門家に認めて頂けるような知識をどのように身につけたらよいか、1日悩みました。当時のセラミックス関係の有名な専門書は、キンガリー著「セラミックス材料科学入門」でしたが、とても2週間で読み切れるページ数ではありません。最低限でも猪股先生の論文を読んでおこう、と思いまして3編ほど最新論文を集め読んで見ました。
3編ともセラミックスの焼結過程を熱力学の観点で論じた論文でした。猪股先生が新しい焼結理論を構築しようとされていることは、緒言を読むと理解でき、従来の理論の問題点も整理されていました。キンガリーの教科書に該当部分が無いか探しましたら、10ページほど古い焼結理論の説明がありました。教科書を読んでいたときには、よく理解できなかったのですが、猪股先生の論文と対比しますと、不思議なことによく分かります。
猪股先生の論文と教科書の該当する部分を比較しますと、セラミックスという学問が、相図などの状態変化を扱いつつも、形態学的な観点で研究されてきたのではないか、という疑問がわいてきました。物理化学を少しかじれば、状態変化は熱力学で議論するのが基本ということを理解できます。猪股先生の焼結理論は、実験結果の整理を熱力学で行う姿勢が明快でした。猪股先生とお話するときには、熱力学を十分に理解していることが重要と思いました。
セラミックスのプロセシングで重要となる焼結について、その理論が議論されている状況という段階ならば、基礎科学の観点でセラミックスという学問が見直しをされているのではないか、という疑問を持ちました。猪股先生のご専門であるSiCについて、どの程度研究されているのか調べましたら、速度論的研究に大穴を見つけました。SiCはシリカ還元法と呼ばれる方法で製造されますが、気相と固相の両者が関わるために反応機構が複雑になります。反応機構についていろいろと提案されていましたが、固相だけあるいは気相だけで進む反応機構を取り扱った論文はありませんでした。
高純度SiCを合成できる高分子前駆体をすでに開発していましたので、この前駆体を用いれば、固相均一反応の取り扱いで速度論を議論できるのではないかと考えました。反応副生成物は、すべてガスですから熱重量分析法でモニタリングできます。熱力学と速度論については学生時代に勉強しましたので、猪股先生の論文を中心に知識の整理をいたしました。不思議なことに、猪股先生の論文を中心にSiCに関わる熱力学や速度論の問題を整理しましたら、セラミックスが分かったような気分になりました。
この時の経験で、必要な知識を短時間で身につけるには、一人の研究者の考え方を整理してみるのもコツではないかと思いました。読み古した教科書ならば短時間に復習できますが、真新しい教科書では短時間に知識を身につけることは難しいように思います。しかし、一人の研究者の論文であれば、たとえそれが難解な論文でも、教科書片手に読み進んでゆくとその分野の知識が、教科書よりも短時間で身につくように思います。これは、一人の研究者の論文は、一人の研究者の哲学で一貫しているから知識が頭の中で整理されやすいのではないか、と考えています。
「高分子材料のツボセミナー」(注)では、この時の経験も取り入れ、高分子材料を実務で扱う時に、とりあえず知識として頭に整理しておきたい事項を教科書とは異なる視点でまとめてみました。2時間前後で知識の整理を行うのに便利なツールをめざし企画しました。
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