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2014.02/14 パーコレーション転移(5)

昨日書いたようにパーコレーション転移は、処方とプロセスに大きく影響を受ける。これら以外の因子として粒子の大きさや、分子の形状なども重要な因子である。パーコレーション転移の因子については、実験を行っていると幾つか見えてくるが、見えない因子もある。


しかし、シミュレーションでパーコレーションという現象を抑えておけば、見えない因子の存在に気づくことができる。材料系でパーコレーション転移を扱った論文を読むときに注意しなくてはいけないのは、その論文のテーマが主要因のごとく書かれている場合がある。もともと科学論文は、一つの真理を明らかにすることを目的にしているので、そのような書き方になることを読むときに考慮すべきである。


ところが昨日簡単に紹介したように二元系のパーコレーション転移でも複数の因子が複雑に絡み合っている。昨日の例で、ラテックスのTgが80℃以上という前提を置いたのは、塗布乾燥過程でコロイド粒子が変化しない、という条件設定である。このような条件を設定しても他の因子の影響をうけてパーコレーション転移はシミュレーションと異なる結果になる。


現象に合わせてモデルを組みシミュレーションを行っても合わないことがある。うまくシミュレーション結果と合致した場合には論文を書くことが可能になる。昨日の例では、酸化スズゾル粒子がうまくネットワークを作っているTEM写真を撮ることができた。すなわちラテックスのまわりに酸化スズゾル粒子が凝集した、きれいな網目の写真をとることができた。


また、塗布乾燥条件を工夫し酸化スズゾルが表面に偏析した単膜を作ることにも成功した。面白いことに、酸化スズゾルの添加量が同じ時にネットワーク状態でも表面に偏析した場合にも同一の表面比抵抗になったことだ。


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カテゴリー : 一般 連載 電気/電子材料 高分子

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