当方のノウハウでさらに社会に貢献しようと形式知の部分について学会活動も始めました。経験知につきましては、トラブル解析の実務について概略をまとめてみましたのでご活用ください。今後高分子材料の寿命耐久性評価法や破壊に対する考え方についてもまとめる予定でいます。また、セミナーも皆さんのリクエストにより行ってゆきますのでご相談ください。
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カテゴリー : 一般 電子出版 電気/電子材料 高分子
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ある出版社から、多人数共著の書籍について、原稿依頼があった。セラミックスから高分子材料までいろいろな原稿依頼がある。最近は材料関係以外にAIに関する原稿依頼も来るようになった。
最近の生成系AIは、かなり進歩し、ハルシネーションも少なくなった。そこでAIに原稿を書かせてみたところ、つまらない原稿となった。
学生が宿題でAIにレポートを書かせていることが以前話題となっていたが、当方の目にAIの原稿はつまらなく見える。恐らく学生のレポートもつまらない結果しか得られていないと予想される。
同じテーマで質問を変えて書かせてみたのだが、当たり前の原稿しか書いてくれない。間違いではないのだが、この原稿にお金を払う価値があるのかという観点で見ると、今の時代であれば無価値と言わざるを得ない。
仕方が無いので、AIの原稿を事例に、当方の経験知を加えた原稿を作成した。すなわち、AIに質問した回答や科学的な見解を引用し、これでは開発に失敗する、という当方の持っている技術やノウハウを満載した原稿を作成した。
AIの原稿のどこがまずいのか。それは科学的であり、形式知と一部の常識となっている経験知だけで構成されているからである。このような原稿に10万円支払うのかと言えば、誰も支払わないだろう。
当方のセミナーや論文には、研究成果や世の中の技術トレンドに合わせ新しい視点を必ず入れている。すなわち、生成系AIの出す回答とは一味異なるのが弊社のアウトプットである。AIの回答で満足できない方は弊社へお問い合わせください。
カテゴリー : 一般
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混練は、ただ混ぜるだけの操作ではない。練りの動作も必要で、料理でもただ混ぜる動作以外に練る動作が求められる場合があるので皆知っておいた方が良い。
水や液体、油のような低分子であれば混ぜるだけで良い。温度が高ければ拡散速度も速くなるので、短時間で均一となる。但し、水と油のように溶解度係数(SP)の異なる低分子どおしは、混ざってもすぐに相分離する。
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それでも低分子の混合では、高速剪断をかけて力ずくで混合することが可能だ。一瞬、均一に混ざった瞬間を見ることができる。
しかし、高分子量の物質が入ってくると、練りが必要になる。あるいは、低分子と固体でも高粘度の混合物を均一にしようとすると、練りが必要になる。
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フェノール樹脂とポリエチルシリケートとの混合は、高速剪断をかけても、フェノール樹脂相とポリエチルシリケート相が攪拌されながらもきれいな模様を作り、決して混ざらない。
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50年近く前、それでも我慢して均一に混ぜる方法を考えたのは、混練の神様の教えがあったからである。この話はいつか機会のある時に書きたい。混ぜる操作で悩まれている方には参考になる。
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練りをかけず、異種高分子を混ぜる、そのようなことができるのか、当方が書く気になるまで楽しみにしていただきたい。
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面白いのは粉体だけであれば、混ぜるだけの動作で混合できるが、これに濡れやすい低分子の液体が添加されると、練りの動作が無ければ、均一に混ざらない。
日常でも混練についての知識の有無で料理の味が変わるので混練について知識を持っていた方が良い。まず、混練は、「コンレン」と読む。「こんねり」と読みたい時には、「り」という送り仮名をつける。
ゴム会社に入社した時に、コンレンとこんねりでは、後者の呼び方が一般的だろう、と教えられた。また、後者の呼び方の方がゴムのプロセスに合っているとも教えられた。
教えられた時に、どちらでもよいのでは、と思っていたが、1週間ほど作業を続けてきて、こんねりと呼ぶ方が自然と感じるようになった。すなわち、混ぜてから練りを入れる動作なので混練ではない。
混練りにおいて練りの効果を知っておくと、餃子のアンやハンバーグをおいしく作ることができる。これらは練りすぎてはいけないのだ。
そもそも、こんねりは、混ぜるだけの動作ではない。混ぜて練る動作が必要になるのだが、ただ混ぜるだけと練る動作が加わった時では何が異なるのか分かっていない人がいる。
練りにより、混ぜようとしている物質どおしの濡れが進行し、物質が凝集体であれば、その凝集粒子径が濡れの進行とともに小さくなってゆくのである。
餃子のアンやハンバーグでは、肉の塊がある程度残っていた方がジューシーさが際立ちおいしく感じる。これが練りすぎるとゴムを食べているような感触となる。
逆にまったく練られていないと、野菜と肉の混ざり具合、ハンバーグならばみじん切りされた玉ねぎだが、これが均一に分散していなくて味気ない。
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生成系AIの進歩が著しい。登場時にはハルシネーションに悩まされて、プロンプトエンジニアリングの重要性が叫ばれたりしたが、ひと工夫するだけでまっとうな答えが出てくるようになった。
形式知と一部の経験知については、ほぼ間違いなく答えてくれる。こうなってくると、アカデミアの存在意義が怪しくなってくる。アカデミアだけでなく学校教育の在り方にも影響が出てくるはずである。
かつて、詰め込み教育が問題となって、ゆとり教育の時代となり、その世代が社会に出てきたら、ゆとり世代の問題が議論され、一部の教育指導要領が昔に戻された。
かわいそうなのはゆとり世代である。しかし、AIの登場はそのゆとり世代への大きなプレゼントとなるのではないか。
詰め込み教育を受けた立場では、ゆとり世代のゆるいと言われたその頭脳がAIの活用で新たな価値を生み出すことを期待したい。
AIを自由に使える時代には、形式知を知っていることは大したアドバンテージとならない。むしろ知らないことに対する気づきが大切であり、AIを躊躇なく味方につける柔軟さこそ求められる。
そのような時代に技術者はどうしたらよいか。実はAIの台頭もDXの一環であり、技術者がDXするコツは今月19日に開催されるゴム協会のシンポジウムで明らかにされる。
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生成系AIの登場で知の意味が明確になりつつある。また、今行われている生成系AIの改良では、第一次や第二次AIブームの時の推論の成果が利用されつつある。
こうしたAIの進歩により、形式知の位置づけが変ってゆく。かつて研究所ブームがあり、日本企業の大半が新たな形式知を求め研究所を設置した。そして学会も多く誕生し、科学の形式知はその体系が作られていった。
バブルの時代には、堺屋太一の「知価の時代」がベストセラーになっている。しかしバブルがはじけ、知価を多く持っているはずの大企業の研究所がその機能を発揮できず、長くGDPの低迷するような状態になった。
一方GAFAの話題がもてはやされたのもつかの間、生成系AIの登場で新たな主役が生まれつつあるが、それは日本ではなくアメリカであり、また中国だ。
ここで注目すべきは中国の台頭とアメリカの新陳代謝の速度である。日本は1960年代にアメリカの研究所に倣って研究所の設立ブームが起きている。一方そのアメリカでは、1970年代にトランスサイエンスのブームとなった。
残念ながら日本の研究所ブームは科学偏重となり、アメリカのトランスサイエンスのブームを見落としている。日本でトランスサイエンスという言葉が見直されたのは21世紀に入ってからである。
すなわち、日本では大学受験も含め形式知偏重の時代が今でも続いている。生成系AIの進歩を見て、そろそろその問題に気づくべきではないのか。
3月19日に開催されるゴム協会のシンポジウムでは、招待講演者として招聘されたので、技術者が今DXすべき方向について当方の体験を基に解説する。
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表題のテーマは1990年前後から無機高分子研究会で議論されるようになった。1980年前後には無機材料関係の研究者の間で貝やサンゴの組織構造が話題になっていた。
無機材料の研究では結晶が主人公となるが、高分子材料では結晶構造が物性を制御している例だけではないので、古くから高分子については高次構造という言葉でひとくくりになっていた。せいぜいDNAのらせん構造が二次構造と呼ばれていたぐらいである。
また、その結晶構造の研究が進んだ結果、高分子で現れる結晶構造はラメラの集合体である球晶であり、無機材料のように多種の結晶構造が出現するわけではない。また結晶成長の速度論はアブラミ一決である。
ところで物性と構造との関係において、無機材料では、強相関材料が古くから概念としてあったが、高分子では2000年前後に強相関ソフトマテリアルという言葉がようやく使われるようになった。
材料の物性や機能が、構造により制御されていることが明確になれば、その構造設計を行うことで自由に材料の機能や物性を制御できることになる。
無機材料では、結晶構造の制御で機能性材料を創製する技術が進歩したが、高分子材料では、どちらかと言えば氷壁という小説がベストセラーとなってナイロンの結晶構造が社会から注目されたり、私がスキーに連れて行ってもらったら骨折しちゃった(注)という不幸な出来事から組織構造の科学が進歩したように思える。
そして高分子分野では1990年前後から積極的に自己組織化を研究するようになったのだが、これが面白いのは、自己組織化でどのような機能が現れるのか、研究者が明確にそれを保証せず、ただ組織を組み立てることに夢中になっている。
だから30年経っても高分子関係における自己組織化という研究テーマは、セラミックスフィーバーのようなあるいはナノテクブームのような材料のイノベーションの主役となっていない。
どちらかと言えばナノテクブームにおいて便乗商法的な研究が多い。今月のゴム協会におけるシンポジウムではここまでの厳しい表現をせず、考え方のヒントを提案する。
(注)「私スキ」はバブル期1980年代末のヒット映画だが、その直前には、ABS製のスキー靴が簡単に壊れ骨折する事故が多発している。しかし、原田知世の方が有名となったが、ABSスキー靴の問題は忘れ去られた。ABSの改良がなされ、安全でファッション性のあるスキー靴となり、映画がヒットしたのである。
カテゴリー : 一般 高分子
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28日に行われたトランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談が大荒れで、トランプ大統領の怒りが収まらない、という見出しのニュースまで出た。
詳細は昨日までの新聞なりWEBニュースを見ていただきたいが、ゼレンスキー大統領は辛いかもしれないが、ここは自ら変わるか、和平交渉に向けて辞任する以外に道は無いと思う。
これほどの大舞台ではないが、当方も似たような経験があり、当方は自ら変わることができなくて苦労して立ち上げた事業から身を引く決断をして転職している。
ロシアとウクライナの戦争は、明らかにロシアに非がある。しかし、中ロ経済圏が成立している今の世界情勢で、プーチンは戦争継続の意思を持ち続けるので道理を掲げてみてもこの戦争を終わらせることは難しい。さらに中国と台湾の問題が控えており、アメリカにとって中台問題勃発が怖いはずだ。
当方がゴム会社で高純度SiC半導体治工具事業を住友金属工業とのJVとして社長公認で立ち上げしばらくして、研究開発本部長が交代した。新しい研究開発本部長は電気粘性流体に戦力を割くため、立ち上がったばかりの事業をつぶしたかったのだろう。
しかし、社長公認である。当方がギブアップすればよかったのだが、FDを壊されるような業務妨害を受けてもギブアップしなかった。そのうち、当方の業務を手伝っていた新入社員が見るに見かねて転職した。もう一人セラミックスの専門家も会社を辞めると言い出した。
さあどうするとなって、一部始終明るみに出し当方は転職の決断をしている。高純度SiC半導体治工具事業は、ある管理職に引き継がれその後事業として大きくなったが、電気粘性流体はその後事業として成功しなかった。転職の決断をしなければさらに悲惨な末路となっていたかもしれない状況だった。
ロシアとウクライナの戦争の終結もめでたしめでたしでは終わりそうにない。ここはゼレンスキー大統領が豹変するか、それが嫌ならば辞任し、後任に和平交渉を担当してもらうしかないのだろう。
人間の欲が絡むと正義もへったくれもない。ここは、とにかく戦争を終わらせることが重要な問題である。理想は追求すべきである。しかし、トランプ大統領が言うように第三次世界大戦だけは回避しなければいけない。
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昨日ゴム会社の同期から、同期丸山君の訃報を頂いた。ゴム会社には12年勤務し転職しているので、いわゆるゴム会社の社友会からの連絡はない。今回の訃報は、彼が高純度SiC半導体治工具事業を担当した化工品事業本部長だったので、同期が知らせてくださったのだろう。
ところで、ゴム会社の高純度SiCの半導体治工具事業を住友金属工業(当時)とのJVとして立ち上げたのは、浦川取締役(当時)で、もう研究ではないのだから、と両社の契約書に社長印を頂いてくださった。
それまで研究所内でこのテーマは迷走したが、浦川取締役となり無機材質研究所との半導体治工具用高純度粉末として改めて無機材質研究所との共同研究をたちあげ反応速度論の発表(注)を日本化学会で行って軌道に乗り始めた。
その後このテーマ担当は小生一人となり、製造した高純度SiCの粉体を営業することになった。その過程で無機材質研究所猪股先生のご紹介があり住友金属工業小嶋氏と出会っている。
その小嶋氏からは、現在難しい局面にあるUSスチールに関わる見解を賀状として頂き、現在もお元気なことを確認でき、嬉しかった。
この方のおかげでJVとして当方の転職後も事業が順調に立ち上がっていったのだが、ご紹介くださった猪股先生も、またご契約の時の浦川取締役も昨年お亡くなりになられた。このお二人の訃報はご家族の方から頂いている。
余談だが無機材質研究所との関係はドタバタ喜劇から始まっている。当方がアメリカ留学のお話を頂いたときには日本中にセラミックスフィーバーが吹き荒れ、服部社長(当時)がファインセラミックスとメカトロニクス、電池を3本柱にして化工品事業をゴム会社の売り上げ50%にするというビジョンを出された。そして社名からタイヤを外している。
セラミックスフィーバーは、日本初による材料の世界的イノベーションで、これに驚いたアメリカのクリントン大統領(当時)は、ナノテクノロジーと高分子に関わるバイオケミストリーのナショナルプロジェクトを大統領令として発令し立ち上げている。
当方は、セラミックスフィーバーの中心素材の一つSiCが高純度化されるとSiにかわるウェハーを製造できることに着眼し、無機材質研究所への留学を希望した。
この時、当時の上司は、当方をどうしても人事部へ送りたいという理由で、アメリカ留学を無機材質研究所留学に切り替える努力をしてくださった。
この上司については、80万円のローンを組みパソコンを買わされた体験はじめ3年間いろいろあって相談していた友人から2年前訃報の連絡を受けご葬儀に参列している。
ローンの問題だけでなく、サービス残業や本来なら宿泊出張とすべきところを日帰りで通い睡眠が4時間切るような地獄のような日々、思い出せばとんでもない上司だったが、無機材質研究所への修正に関しては、なぜか当方の意見を100%受け入れてくださった。友人とは酒を飲みながら笑い話としてこの経緯を肴にしている。
この友人からは6年前お亡くなりになられた元斎藤部長の葬儀の連絡も受けており、その時にはその友人と一緒に葬儀に参列している。この斎藤部長は、FDを壊されたりその他もろもろの事件が起き、新入社員含め3人が転職した時の高純度SiC事業を当方から引き継がれた管理職である。
某界面活性剤や化粧品で有名な企業からゴム会社へ転職された方で、それもあって、当方とは少し複雑な人間関係だった。写真会社へ転職後もこの方の依頼で高純度SiC業務の指導を行っている。
諸事情あって、友人は一緒に葬儀に同行してくださったのだが、葬儀にはゴム会社のOBも多数参列されたので友人の存在はありがたかった。小生が転職後在職中に脳梗塞を患われ、それが影響し早世されたのだが転職した当方としては申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
そもそも高純度SiCのスタート時にファインセラミックス研究所が東京工場の片隅に建設されたのだが、この建屋の起工式の日に伊良子部長(当時)が胃癌で倒れられ、竣工式の日にお亡くなりになるような出来事があった。
この方の7回忌まで参列したが、7回忌の時には研究所で一人で高純度SiCのテーマを担当するような状態であることをご報告している辛い法事だった。その直後小嶋氏と出会っているので不思議な思いがある。
同期からの訃報で、これまで高純度SiCに関わられお亡くなりになった方々を思い出した。高純度SiCの半導体治工具事業は、現在愛知県にある(株)MARUWAで事業継承されているが、一つの事業が立ち上がりそれが独り立ちするまでに多数の人がそれぞれの思いで関わる。
一方で、大企業では、異業種を立ち上げようと社長が方針を出されてもそれに応えようとしない研究所組織がある。応えないだけでなく、提案が生まれてもつぶそうとする反対勢力がいる。
命が狙われ転職しているが、日本でアメリカのようなベンチャーが大企業で生まれにくい原因のような気がしている。半沢直樹のTVドラマがヒットしていることから想像できるように大企業病は多く存在するのだろう。
大きな事業に限らず、事業が立ち上がるまで様々な人間関係が生まれるのは、事業が単に個人の利益のためだけではない証左だろう。その大切さを共有化できるので皆がその思いを受け継ぎ立ち上がってゆく。
一方で、このような人間関係の反対勢力が生まれるのは、大企業には人材が多く、その中には私心で出世のみを考える輩がいるためではないか。日産とホンダの提携話でもそれが見え隠れしたのでやりきれない。日産は社長はじめ役員だけの会社ではない。日産が倒産してもそれを受け入れるゆとりは、もうないのだ。
(注)この論文が某大学の先生がファーストネームとなり勝手に提出されたのは、この経緯からも許されないことだと思う。この先生は、研究や事業に全く関わっていない。学位論文の下書きを見せたところ勝手にそこから自分の研究として論文を書いている。当方は、抗議のためその大学で学位を取ることを辞退し、中部大学で審査を受けている。
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身の回りに使用されている高分子材料には、用途により異なる様々な添加剤が添加されている。例えば燃えにくさを要求される部品には難燃剤が添加されその機能性を発揮できるように高分子は変性されている。
帯電防止が要求される部品には、導電性の添加剤や界面活性剤が添加され、屋外で暴露されて使用される部品には、紫外線防止剤やその他劣化防止剤などが添加されている。
しかし、高分子材料の難燃性向上や帯電防止の目的以外の添加剤について正しくその機能が明らかにされている添加剤は少ない。すなわち、その機能性が不明のまま添加されている薬剤がある。
これはゴム会社に入社して混練の指導を受けたときに教えられた。ゆえに配合設計するときにこれだけの薬剤は必ず添加するように、という具合である。
人間の疲労回復材なら理解もできるが、高分子材料にその機能性が不明な添加剤を添加しなければいけない、というのは、科学の時代に不思議なことである。
そこで、いつか劣化防止剤も老化防止剤も何も添加せずに樹脂設計をやってみようと思い続けて30年、写真会社でそのチャンスがおとづれた。PETボトルのリサイクル材を80%含む樹脂には、5種類の高分子廃材を添加している以外何も余分なものを添加していない。
この5種類の高分子廃材は、当時勤務していた事業所から出る廃材をPETの射出成型性を改良するために添加した。添加量の上限を20%とし、その配合量の最適化をデータ駆動で実施している。
今時のAIと同じ手法で開発したのだが、それから15年、窓際にその樹脂を置いて観察してきたが劣化しない。これは大変面白いことである。ご興味のあるかたはお問い合わせください。
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コンパウンディングの難しさについて、品質問題を経験しないと気づかないのではないか。少なくとも20年前はそのようだったが、この数年間に受けた幾つか質問の中にもコンパウンディング技術を軽く見ていると思われる質問がある。
どの技術も難しさを秘めているが、コンパウンディングプロセスでは100点満点の状態について見えにくいところが他の技術と異なる。すなわち、成形プロセスでコンパウンドの出来具合を評価して初めてコンパウンドの完成度が分かる、という難しさである。
動的粘弾性の測定でもわかる、という人がいるが、それは成形体との相関関係が分かってはじめて明らかになる。
カオス混合に成功した時に悩んだのは、その混練効果をコンパウンド段階で示す評価方法についてだった。レオロジーの知識から剪断速度依存性は一つの尺度とわかっていたのだが、カオス混合を行ったコンパウンドはそれが小さくなっていた。
しかし、コンパウンドの用途が電子分野であった。押出成形で半導体無端ベルトを製造した時に、その抵抗ばらつきが小さくなるようなコンパウンドとはどのような評価を行えばよいのか。
一つはコンパウンドのインピーダンス測定があったが、これはカーボンの添加量のばらつきを管理するのには役立った。しかし、この値だけでベルトの抵抗の偏差の大小をコンパウンド段階で品質保証できなかった。
いろいろ試行錯誤を繰り返し、ある条件で動的粘弾性を測定すると、得られたパラメーターが、電気特性の偏差と相関することを発見した。すなわち、力学特性と電気特性に相関がみられるという驚くべき結果だった。
PPS中間転写ベルトのコンパウンド工場を3か月で立ち上げているが、一番悩んだのが、このようなコンパウンドの品質管理方法だった。この発見で成形歩留まりが100%となるコンパウンド生産が可能となった。クレーム0のコンパウンド技術を開発したのである。
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材料には、金属やセラミックス、高分子があり、それぞれ材料設計された原料を用い、賦形して機能材料として活用されている。
この時、金属やセラミックスと高分子ではそれぞれの流儀で材料設計が行われている。高分子でも、ゴムと樹脂では少し考え方が異なるだけでなく、水性塗料のようなラテックス材料では設備も大きく異なる。
金属から高分子材料まで扱い、それぞれで成果を出した経験から、材料設計という観点で高分子材料の難易度は際立っている、と思っている。
日常ゴムや樹脂を扱っているとそのように感じないかもしれないが、結晶構造で機能性が支配されている金属やセラミックスでは、「設計」という言葉がうまくあてはまるが、高分子材料で設計を行ってみるとわかるが、少し神様にお願いをしたい気持ちになる。
材料設計しても設計通りの物性が発現するかどうか、少し神頼みのところが残る。それならばいっそのこと運を天に任せてデータ駆動によりPETの新ポリマーアロイを15年ほど前に開発し実用化しているが、3か月ほどで予期せぬ高性能のポリマーアロイができたのでびっくりしている。
当時開発した部品を窓辺に置き、紫外線による劣化を観察しているが、なかなか劣化しない。5種類ほどの廃材を20%ほどPETにカオス混合で混ぜただけである。老化防止剤などコストアップになるので添加していないが、窓辺の暴露試験に耐えている。不思議だ。
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