当方のノウハウでさらに社会に貢献しようと形式知の部分について学会活動も始めました。経験知につきましては、トラブル解析の実務について概略をまとめてみましたのでご活用ください。今後高分子材料の寿命耐久性評価法や破壊に対する考え方についてもまとめる予定でいます。また、セミナーも皆さんのリクエストにより行ってゆきますのでご相談ください。
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カテゴリー : 一般 電子出版 電気/電子材料 高分子
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χとSPを一緒に論じるとわからなくなるだけでなく、材料開発においてアイデアも出てこなくなる。新材料設計、あるいは配合設計において混合のプロセシングは重要である。
混合装置が伝承され、既存の混合装置で材料開発をしなければいけない、と勘違いしている。既存の混合装置でも邪魔板をつけたりする改良でプロセシング効果は変化する。
あるいはスタティックミキサーの設置はそれほど投資負荷とならないのでこれを検討して隘路を打開する、という方法もある。少し乱暴だが、金属球と一緒に撹拌すれば、剪断効果を生み出すこともできる。
設備の改良はリスクが大きいので混合物のSPについて考察をする技術者は多いかもしれないが、対象が高分子の流動であれば、χを考察すべきである。
低分子の混合だけであれば、SPを用いる。高分子と低分子の場合はSPとχの両面で考察するのが正しい。SPの求め方については様々な方法が知られているが、χはOCTAで計算するのが簡単である。
しかし、χやSPをどのように求めて、アイデアを練る時にどのように使うのか、教科書には親切に書かれていない。むしろアイデアを束縛するような説明となっている。
なぜなら、χが正でも混合プロセスの工夫で相溶する系は存在する。SPが異なっても分散剤を選んでやることにより溶解することが可能となる。またリアクティブブレンドを用いれば、全く混ざりそうもないものを混ぜ合わすことだってできる。
SPやχが分からなくても、混ぜてみてうまく混ざらないならば、何らかの工夫をする、これが重要である。混合について考えるときに、まず混ぜてみてよく観察すること、これをお勧めする。
カテゴリー : 一般
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昨日朝のニュースで愛知県旭丘高校天文部の宇宙へ挑戦する姿が紹介された。気球を成層圏まで上げて写真を撮った、ただそれだけのことであるが、手作り感たっぷりの装置がTVで紹介されびっくりした。
今の時代夢を実現することが容易になったことを示す事例であるが、さらにこれが200人以上のメンバーの集まるクラブでプロジェクト体制で行われたことにさらに驚く。
自分たちの力量を把握し、夢の実現に向けてゴールを明確に設定し、それを組織のテーマとしてやり上げることは大変なことである。
まず、最初のゴール設定が難しい。メンバーの目標としてワクワクするゴールでなければプロジェクトはまとまらない。さりとて天文学的数値の宇宙開発のようなゴールは、高校生にとっては単なる夢物語となる。
自分たちでできるかもしれないレベルで、わくわくする内容をうまくまとめている点が秀逸なのだ。今回報じられた内容は、潤沢な資金があれば町工場を動員してできるレベルであり、つまらないと思う人がいるかもしれないが、高校生が高校生の力だけで実現していることに驚く出来事である。
ただし、当方が高校生だった50年以上前に同じことができたのか、というと、GPSはじめ周辺技術が無く不可能な内容だ。夢を描く、そして実現できそうな形にまとめ成功させる、それが50年前には想像のできなかったレベルで実現できる、そのような時代に今我々は生きている。
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国民民主党のスキャンダルと「混ぜる」技術を同じコラムに書いても混同することはないが、χとSPの話を一緒に論じるとその使い分けに悩む。
SPは凝集エネルギーを論じるが、χでは自由エネルギー変化を議論している。そもそものパラダイムが異なるのに、χを見積もる時にSPを用いたりする。
ただし、フローリー・ハギンズ理論では、同じ格子の中に異なる高分子を押し込んで(凝集ではない、押し込んでいる)、その自由エネルギー変化でχを定義している。密着(凝集)しているかどうか不明なのに格子の中で密着した状態を仮定し理論展開してゆく。
この理論の怪しいところは、このように異なる高分子が同じ格子で密着しているのを見ているところから議論を始める点である。ゆえに凝集エネルギーから計算するSPも使える、と早とちりして知識の整理をしてしまい、混合の問題で新しいアイデアを出せなくなってしまう。
異なる成分の高分子を混ぜてポリマーアロイを製造するのだが、この時χが0にならなければ相溶しないことになっている。
すなわち、χが正の場合には異なる高分子どおしの密着は起こらず、海島構造に相分離してゆくことになる。これをSPの議論で行い、SPが異なる高分子の組み合わせでは、相溶が起きない、と結論したりする。
そして、ある本では、異なる高分子のSPについて引き算の項が示され、χがSPから計算できるような誤解を与える。高分子シミュレーターOCTAでは、異なる高分子を混ぜるときにSPの温度依存性やχの温度依存性を計算することができる。
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面白いのは系によっては両者のグラフの形が全く異なる変化を示す場合がある。恐らく内部でχとSPは異なるアルゴリズムで計算しているのだろう。
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化学工学の領域で撹拌は重要なテーマである。しかし、その研究において「材料の変性」だけでなく「ナノオーダー領域」のミキシングが目標になっていないことを御存じだろうか。
50年前当方が学んだレベルから現在に至るまでの進歩は、コンピューターの利用とスタティックミキサーの発明ぐらいだと思う。ポリマーアロイの大家、故ウトラッキー博士のEFMや当方のカオス混合機もスタティックミキサーの一種である。
これらの発明が混合技術のパラダイム変換に基づくことに気がつかれていないことを残念に思う。話が飛びすぎるが、国民民主党の党首による不倫事件は男女共同参画においてイノベーションを起こすかもしれない。
玉木代表は政党のあり方として、倫理観の高い人間の集団であることが必要で「絶対に私は不倫をしない」と述べている。不倫をしない人の不倫とは何か、報道されてからの流れを見ると従来の政治家の不倫騒動とは少し異なる流れが起き始めた。
そもそも不倫とは、などと論じるつもりはないが、今回の事件が男女共同参画の場で起きたとするならば、この扱いを慎重にすべきである。男女がミキシング状態で仕事を進めるときには、今後も起こりうる問題だからである。人間は誰もが聖人君主になれるわけでもなく、ましてや選挙でそのような人を選ぶことなど不可能だからだ。
また、今回報じられた写真を見る限り、事前にロケーションを調査したカメラマンによるものと思われる。これが何を意味するかは述べないが、ミキシングの実験でもしかるべき情報を基に準備をしてそこで起きている流動状態を観察することで、コンピューターのシミュレーション以上の経験知を得ることができる。
ゴム会社に入社した時に、指導社員からポリマーの流動で何が進行しているのか、このような実験を行うとよい、と言われ、ロール混練で実験しながら幾つかの技をご指導いただいた。
すなわち、混合とは溶媒に媒質を分散する、あるいはAとBの溶液を混ぜるときに発生する流動で進行する現象である。ミキシング装置が変化しなくても、被混合物が変化すれば流動も変化し、ミキシング現象は様々に変化する。
装置で現象を律することができなければ、それを中心にした材料との関係における形式知の構築は難しいのかもしれない。文学の世界になるが、渡辺淳一の「失楽園」では奇妙な不倫が描かれている。
初めて読んだ時に不倫小説として読めなかった。この小説が文学として評価される所以かもしれないが、不倫は文化だと言った芸人も不倫というパラダイムの変換を期待していたのかもしれない。
同様に概念の扱いを慎重にしないとミキシングの研究に今以上の発展を期待できない。ミキシング技術は装置や設備の学問以外の領域まで視野を広げるべきで、平衡状態だけ扱っている物質科学の限界を超えるパラダイムで研究を進めるべきである。
それがどのようなものであるのか、当方もうまく表現できないが、科学的にうまく説明できない混合現象で新材料を創出した努力が幾つか成功した経験から、非科学の研究も受け入れる寛容さが重要かもしれないと思っている。
不倫よりも非科学を論じる方が日本では怪しくみられるかもしれないが、その意識を変えない限り、ミキシングにより材料を変性しようというアイデア展開は難しい。
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若い人は、あまり考えていないかもしれないが、今健康な日本人は80歳以上まで生きる。それより早く亡くなる人もいるが、少なくとも健康であれば70歳くらいまで現役時代と変わらない体力で働ける。
先日報じられた国民民主党玉木代表は55歳で2日間徹夜し、翌日ホテルに行っていたことが騒がれている。若い人も真っ青になる元気さである。当方は大学受験に合格した翌日友人たちと徹夜マージャンを2日間行い、くたくたになり、1週間ほどだらだらと過ごしている。
健康には個人差があり、またやる気につながる精力も個人差が大きい。さらに、これが何歳まで維持されるのか、といった問題は、平均値で議論してもしかたがなく、個人で判断しなくてはならない。
当方は玉木代表のような自信は無かったので、50歳ほどになった時に興味のある研究で仕事にできるようなことを考えていた。体力に自信が無ければ頭脳労働、というと学生時代に体力が無ければ頭脳労働もできない、と言っていた先生を思い出す。
夕方5時になると当方が忙しくてもキャッチボールの相手をさせられた。30分のキャッチボールでどれだけの体力が養われたのか知らないが、70歳を過ぎても、研究意欲は衰えていない。
意欲さえあれば70歳を過ぎても働けるのである。最近のデータでは70歳以上で45%以上が仕事をしているそうだが、納得のゆく数字である。この数字から老後も働かなければ食べていけない日本、と見てはダメである。
老後も仕事のある日本と考えるべきである。住むところがあれば、70歳以上なら年間50万円あれば生きて行ける。これは、生活保護費よりも低い。生きていて必要になるのは生きがいであり、その生きがいとして働ける職場がある。
働くとは貢献と自己実現であると意味づけたのはドラッカーであり、働くことは十分に生きがいなのだ。当方は、サービスセミナーを開催しているが、これは若い人限定である。リスキリングを考えている人やスキルをレベルアップしたい人は休日に利用していただきたい。
若い人は学ぶ意欲を失ってはいけない。当方はそのような若い人の意欲をサポートできるように頑張りたいと思っている。
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ガラス成分となる有機化合物をポリウレタンに分散し、燃焼時の熱でガラスを生成し、ガラスに固定化されたリン酸ユニットで難燃化するアイデアは大成功した。
この技術は、高分子をセラミックス前駆体に用いるアイデアに発展し、事業として最初に提案したのは1980年である。そしてゴム会社の50周年記念論文募集にこの技術を用いた事業シナリオを応募している。
残念ながら佳作にもならず、評価されなかった技術だが、1983年に無機材質研究所で実証し、炭素助剤だけでHPすれば高純度ヒーターという商品を開発できる、という研究者の助言に従い、実験している。
見事に助剤を炭素だけでHP焼結できて、半導体用高純度SiCヒーターという商品の可能性が出てきた。しかし、技術が実証されても事業化ができなければ商品を世に出すことはできない。
幸いなことにゴム会社で事業化が決定され、2億4千万円の先行投資が決まり、それから30年事業として続いて、当方が定年退職年齢となる時に愛知県にある(株)MARUWAに事業譲渡された。
技術があっても事業として成功しなければ商品を世に出せないのである。また、魅力的な商品を作る技術があってもそのシナリオが不十分では投資も引き出せない。2億4千万円の先行投資で学んだことは多い。ゴム会社の経営陣の力を示す事例だろう。
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混ぜるには混合装置が必要である。混合装置とその運転条件により、発生する流動が変化する。この溶液で発生した流動により、2成分以上の物質が混ざるのである。
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ここで、静置していても拡散で混ざるだろう、という人が出てくるかもしれない。その話は後日説明するが、拡散を主張される方は水と塩を混合せずに放置して均一になる時間を計測してみて欲しい。
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見かけ上均一でも、10分ぐらいの放置では塩分濃度が不均一となっていることに気づく。また、すき焼きのシーズンになってきたが、砂糖を鍋の片隅に追加して放置してもすぐに皆が食べられる状態にならない。皆がおいしく食べるために攪拌操作が不可欠である。
ただし、その流動で混ざっているときの次元が問題となる。分子レベルで混ざっているのか、ある大きさのドメインを形成しながら混ざっているのか、という流動状態の構造サイズである。
分子レベルで混ざっている混合状態が、いつも良い状態とは限らない。創造したいオブジェクトに応じて、それを制御しなければいけない。例えば、単なる抽出操作を目的とする混合であれば、分子レベルまで混ぜると、不便あるいは不利な状態になる。
このとき希望する抽出相がうまく相分離してくれればよいが、溶媒和のため細かい懸濁状態で分散し、抽出に失敗する場合もある。あるいは、リアクティブブレンドで反応速度を制御したい時には、この混合時の次元は制御因子になる。
フェノール樹脂とエチルシリケートとの混合では、酸触媒を用いて高速剪断混合を行うが、反応が開始すると懸濁状態から透明になってゆく。酸触媒の種類や混合条件により、この現象は様々に変化し、反応を均一に進行させる混合状態を実現するためのOWは複雑で狭い。
これは、合成された前駆体を用いて高純度SiCの生成反応を速度論的に解析すると明らかになる。OWを外れた前駆体を用いると、高純度SiCの粒度分布が広くなったり、ひどい時にはシリカ不純物が残ってきたりする。
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混ぜる技術を大学では化学工学として教えている。そして学ぶ目的としてエネルギー効率の高い混合技術に置いているようだ。混合技術により出来上がる材料を目標としていない。
しかし、企業における混合技術では、それにより創造される材料に着目する必要がある。すなわち、大学で教える内容と企業のニーズが異なっていることに気がついて頂きたい。
物理化学では、理想溶液を扱い、ある一成分で液体となっているA液とB液を混合する話から始まる。そして混合するとは、AとBとに何らかの相互作用があることを前提としている。
すなわち熱力学的に熱量の出入りが無い状態で、混合による自由エネルギーが負になる前提で論理が展開される。これが正となる時には、AとBが混ざりあった状態から相分離するという扱いである。
例えば、当方が発明した高純度SiC製造用に用いるフェノール樹脂とポリエチルシリケートとは混合により自由エネルギー変化が正となるだけでなく、変化量も大きいので混合しようとしてもすぐに二層に相分離する。
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さらにホモミキサーを用いて高速剪断で混合していても目視で判別できる相分離状態が現れるほど混ざらない系である。
χパラメーターの実体は自由エネルギーであり、フェノール樹脂とポリエチルシリケートのχが極めて大きいことが両者を混ぜてみるとすぐに理解できる。どのような混合装置を用いても混合後は即座に相分離する。すなわち、仮に最先端の混合機を用いてもこの系は混ざらないのだ。
これを分子レベルで均一に混ぜたいならば、リアクティブブレンドを使用しなければいけない。国立T大の某先生は物理化学の御専門だったが、学位論文のために当方が一人で行った研究論文を見た瞬間に混合技術のパラダイムの新規性に気づいた。
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そして、ご自分は何もやっていないのに、当方単独で実施されたリアクティブブレンドの研究成果を勝手に自分をトップネームにして論文を発表している。
研究者の倫理感の視点で許されないことだが、それぐらいインパクトの大きい混合技術についての学びが1990年前後にあったのだろう。当方はこの被害者だが、被害に遭ってみて混合技術のアカデミアにおける研究の問題に気づいた。
ちなみに学者の倫理の視点でも問題となるその論文は、今もその先生がトップネームで当方がセカンドネームのまま他の研究者に引用されたりしている。
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当方はこの事件を抗議し、旧7帝大の一つ国立T大での学位審査をお断りしている。その後、中部大学で学位を取得したが、すでに30年経った。
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ゴム会社における隠蔽化されたFD事件やこのような倫理観の無い学者の悪行を個人として訴えるには、訴えた個人がその後失う機会があまりにも大きい時、問題を大きくしない方向に判断する。自己の可能性とクズ研究者のインチキ栄誉とを混合せず、自己の貢献を大切にする。
日本の大学の国際的地位の低下が言われたりしているが、このような事実が放置されている現実があるので仕方がないことだろう。
混合技術から話が少しそれたが、学位問題は、当方が混合技術の問題を形式知と経験知の視点で考え始めるきっかけとなった事件である。勝手に論文を出されたショックよりも、全人格教育が目標となっている高校の先輩にあたる人が倫理観も忘れるほど、当方の研究で受けた学びが大きかったのだろうと思っている。
混合技術は、材料の変性技術にも用いられているのだ。エネルギー効率の視点だけで混合技術を研究している状態では時代遅れである。
攪拌すれば混ざる、と安直に考えていては、例えばPPのリサイクル材を二軸混練機だけで混練した時に強度低下が起き、二軸混練機にカオス混合装置を取り付けると強度アップする現象を説明できない。カオス混合装置で発生している乱流に着目すべきである。
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低分子の溶液論について、化学系の学生であれば、1年生の下期に物理化学の授業で学ぶ。物理化学については、50年前にバーローあるいはムーアの教科書が登場し、それまで熱力学中心の学問に量子化学も含めた分子論の視点で学ぶようになった。
50年前の授業では、宮原先生はご自分の書かれた書籍で授業を進められ、補助教科書として、バーローあるいはムーアの教科書を読むように勧められた。
写真会社に転職し、就職試験の面接官を始めて担当したときに、都立大学出身の女性受験者が、得意科目として物理化学と答えたので、バーローかムーアどちらで勉強したのか質問したら、バーローだと答えてきた。
それでは教科書の表紙の色は、とすぐに質問を返したら答えられなかった。ここはすぐに会社の制服と同じ青と答えてほしかったところだが、彼女には難しい質問だったのだろう。
バーローの教科書では、量子化学を1セクション割いて説明しているが、2000年に出版されたマッカーリとサイモンの分子論的アプローチと名ずけられた物理化学の教科書では、全編が量子化学である。
今物理化学を学ぶならば、この本が分かり易い。ただし、この本でも溶液論は熱力学による説明である。そして、バーローやムーア同様にSP値を扱っていない。
SP値やχを学ぼうとしたならば、溶液論の専門書か高分子物理の教科書を学ぶことになり、一気にレベルが高くなる、と表現すべきか、形式知から外れてくる、というべきか悩む。
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日常でも「混ぜる」という動作は、毎日行われている。例えば料理をしている人ならば、すぐにその動作を思い浮かべるだろう。料理をしていなくても、排泄ぐらいは毎日している。今や水洗便所は常識であり、排泄物の始末では、水流で排泄物を混ぜながら流している。
いや、あれは流しているだけだ、という人は、よく眺めていただきたい。水流は勢いよく乱流として流れている。それにより便器の水洗も行っている。すなわち汚れを水流に巻き込みながら流れているのだ。
これに気づくだけでも混ぜる技術の本質が見えてくる。ちなみに「混ぜる」と「混ざる」は異なり、後者は自然に進行してゆく現象であり、後述するSP値やχパラメーター、そして拡散係数が関わる問題である。
「混ぜる」技術の難しさは、「混ざる」かどうかとも関わる難しい問題である。これを味噌糞一緒に考えてはいけない。後者は熱力学の問題であるが、前者は熱力学とレオロジーの複雑な問題となる。
残念なのは、昔から大学で「混ぜる」技術は化学工学として教えられている。その結果、装置があれば、何でも「混ぜる」ことができる、と考えている人が多い。
装置があっても流動が起きなければ、2種以上の組成を「混ぜる」ことが難しい。みかけ、混ざっているように見えても混ざっていないことがある。
そもそも「混ざった」状態さえも理解できていない人がいるし、50年前の化学工学ではそれを教えていなかった。1990年代に入って「混ぜる」ことをコンピューターシミュレーションで行うようになって、学者も「まざった状態」の数値化を真剣に考えるようになった。
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