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2024.11/16 技術と商品(2)

ガラス成分となる有機化合物をポリウレタンに分散し、燃焼時の熱でガラスを生成し、ガラスに固定化されたリン酸ユニットで難燃化するアイデアは大成功した。


この技術は、高分子をセラミックス前駆体に用いるアイデアに発展し、事業として最初に提案したのは1980年である。そしてゴム会社の50周年記念論文募集にこの技術を用いた事業シナリオを応募している。


残念ながら佳作にもならず、評価されなかった技術だが、1983年に無機材質研究所で実証し、炭素助剤だけでHPすれば高純度ヒーターという商品を開発できる、という研究者の助言に従い、実験している。


見事に助剤を炭素だけでHP焼結できて、半導体用高純度SiCヒーターという商品の可能性が出てきた。しかし、技術が実証されても事業化ができなければ商品を世に出すことはできない。


幸いなことにゴム会社で事業化が決定され、2億4千万円の先行投資が決まり、それから30年事業として続いて、当方が定年退職年齢となる時に愛知県にある(株)MARUWAに事業譲渡された。


技術があっても事業として成功しなければ商品を世に出せないのである。また、魅力的な商品を作る技術があってもそのシナリオが不十分では投資も引き出せない。2億4千万円の先行投資で学んだことは多い。ゴム会社の経営陣の力を示す事例だろう。

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2024.11/15 混ぜる技術の難しさ(4)

混ぜるには混合装置が必要である。混合装置とその運転条件により、発生する流動が変化する。この溶液で発生した流動により、2成分以上の物質が混ざるのである。

ここで、静置していても拡散で混ざるだろう、という人が出てくるかもしれない。その話は後日説明するが、拡散を主張される方は水と塩を混合せずに放置して均一になる時間を計測してみて欲しい。

見かけ上均一でも、10分ぐらいの放置では塩分濃度が不均一となっていることに気づく。また、すき焼きのシーズンになってきたが、砂糖を鍋の片隅に追加して放置してもすぐに皆が食べられる状態にならない。皆がおいしく食べるために攪拌操作が不可欠である。


ただし、その流動で混ざっているときの次元が問題となる。分子レベルで混ざっているのか、ある大きさのドメインを形成しながら混ざっているのか、という流動状態の構造サイズである。


分子レベルで混ざっている混合状態が、いつも良い状態とは限らない。創造したいオブジェクトに応じて、それを制御しなければいけない。例えば、単なる抽出操作を目的とする混合であれば、分子レベルまで混ぜると、不便あるいは不利な状態になる。


このとき希望する抽出相がうまく相分離してくれればよいが、溶媒和のため細かい懸濁状態で分散し、抽出に失敗する場合もある。あるいは、リアクティブブレンドで反応速度を制御したい時には、この混合時の次元は制御因子になる。


フェノール樹脂とエチルシリケートとの混合では、酸触媒を用いて高速剪断混合を行うが、反応が開始すると懸濁状態から透明になってゆく。酸触媒の種類や混合条件により、この現象は様々に変化し、反応を均一に進行させる混合状態を実現するためのOWは複雑で狭い。


これは、合成された前駆体を用いて高純度SiCの生成反応を速度論的に解析すると明らかになる。OWを外れた前駆体を用いると、高純度SiCの粒度分布が広くなったり、ひどい時にはシリカ不純物が残ってきたりする。

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2024.11/14 混ぜる技術の難しさ(3)

混ぜる技術を大学では化学工学として教えている。そして学ぶ目的としてエネルギー効率の高い混合技術に置いているようだ。混合技術により出来上がる材料を目標としていない。


しかし、企業における混合技術では、それにより創造される材料に着目する必要がある。すなわち、大学で教える内容と企業のニーズが異なっていることに気がついて頂きたい。


物理化学では、理想溶液を扱い、ある一成分で液体となっているA液とB液を混合する話から始まる。そして混合するとは、AとBとに何らかの相互作用があることを前提としている。


すなわち熱力学的に熱量の出入りが無い状態で、混合による自由エネルギーが負になる前提で論理が展開される。これが正となる時には、AとBが混ざりあった状態から相分離するという扱いである。


例えば、当方が発明した高純度SiC製造用に用いるフェノール樹脂とポリエチルシリケートとは混合により自由エネルギー変化が正となるだけでなく、変化量も大きいので混合しようとしてもすぐに二層に相分離する。

さらにホモミキサーを用いて高速剪断で混合していても目視で判別できる相分離状態が現れるほど混ざらない系である。


χパラメーターの実体は自由エネルギーであり、フェノール樹脂とポリエチルシリケートのχが極めて大きいことが両者を混ぜてみるとすぐに理解できる。どのような混合装置を用いても混合後は即座に相分離する。すなわち、仮に最先端の混合機を用いてもこの系は混ざらないのだ。


これを分子レベルで均一に混ぜたいならば、リアクティブブレンドを使用しなければいけない。国立T大の某先生は物理化学の御専門だったが、学位論文のために当方が一人で行った研究論文を見た瞬間に混合技術のパラダイムの新規性に気づいた。

そして、ご自分は何もやっていないのに、当方単独で実施されたリアクティブブレンドの研究成果を勝手に自分をトップネームにして論文を発表している。


研究者の倫理感の視点で許されないことだが、それぐらいインパクトの大きい混合技術についての学びが1990年前後にあったのだろう。当方はこの被害者だが、被害に遭ってみて混合技術のアカデミアにおける研究の問題に気づいた。


ちなみに学者の倫理の視点でも問題となるその論文は、今もその先生がトップネームで当方がセカンドネームのまま他の研究者に引用されたりしている。

当方はこの事件を抗議し、旧7帝大の一つ国立T大での学位審査をお断りしている。その後、中部大学で学位を取得したが、すでに30年経った。

ゴム会社における隠蔽化されたFD事件やこのような倫理観の無い学者の悪行を個人として訴えるには、訴えた個人がその後失う機会があまりにも大きい時、問題を大きくしない方向に判断する。自己の可能性とクズ研究者のインチキ栄誉とを混合せず、自己の貢献を大切にする。


日本の大学の国際的地位の低下が言われたりしているが、このような事実が放置されている現実があるので仕方がないことだろう。


混合技術から話が少しそれたが、学位問題は、当方が混合技術の問題を形式知と経験知の視点で考え始めるきっかけとなった事件である。勝手に論文を出されたショックよりも、全人格教育が目標となっている高校の先輩にあたる人が倫理観も忘れるほど、当方の研究で受けた学びが大きかったのだろうと思っている。


混合技術は、材料の変性技術にも用いられているのだ。エネルギー効率の視点だけで混合技術を研究している状態では時代遅れである。


攪拌すれば混ざる、と安直に考えていては、例えばPPのリサイクル材を二軸混練機だけで混練した時に強度低下が起き、二軸混練機にカオス混合装置を取り付けると強度アップする現象を説明できない。カオス混合装置で発生している乱流に着目すべきである。

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2024.11/13 「混ぜる」技術の難しさ(2)

低分子の溶液論について、化学系の学生であれば、1年生の下期に物理化学の授業で学ぶ。物理化学については、50年前にバーローあるいはムーアの教科書が登場し、それまで熱力学中心の学問に量子化学も含めた分子論の視点で学ぶようになった。


50年前の授業では、宮原先生はご自分の書かれた書籍で授業を進められ、補助教科書として、バーローあるいはムーアの教科書を読むように勧められた。


写真会社に転職し、就職試験の面接官を始めて担当したときに、都立大学出身の女性受験者が、得意科目として物理化学と答えたので、バーローかムーアどちらで勉強したのか質問したら、バーローだと答えてきた。


それでは教科書の表紙の色は、とすぐに質問を返したら答えられなかった。ここはすぐに会社の制服と同じ青と答えてほしかったところだが、彼女には難しい質問だったのだろう。


バーローの教科書では、量子化学を1セクション割いて説明しているが、2000年に出版されたマッカーリとサイモンの分子論的アプローチと名ずけられた物理化学の教科書では、全編が量子化学である。


今物理化学を学ぶならば、この本が分かり易い。ただし、この本でも溶液論は熱力学による説明である。そして、バーローやムーア同様にSP値を扱っていない。


SP値やχを学ぼうとしたならば、溶液論の専門書か高分子物理の教科書を学ぶことになり、一気にレベルが高くなる、と表現すべきか、形式知から外れてくる、というべきか悩む。

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2024.11/12 混ぜる技術の難しさ(1)

日常でも「混ぜる」という動作は、毎日行われている。例えば料理をしている人ならば、すぐにその動作を思い浮かべるだろう。料理をしていなくても、排泄ぐらいは毎日している。今や水洗便所は常識であり、排泄物の始末では、水流で排泄物を混ぜながら流している。


いや、あれは流しているだけだ、という人は、よく眺めていただきたい。水流は勢いよく乱流として流れている。それにより便器の水洗も行っている。すなわち汚れを水流に巻き込みながら流れているのだ。


これに気づくだけでも混ぜる技術の本質が見えてくる。ちなみに「混ぜる」と「混ざる」は異なり、後者は自然に進行してゆく現象であり、後述するSP値やχパラメーター、そして拡散係数が関わる問題である。


「混ぜる」技術の難しさは、「混ざる」かどうかとも関わる難しい問題である。これを味噌糞一緒に考えてはいけない。後者は熱力学の問題であるが、前者は熱力学とレオロジーの複雑な問題となる。


残念なのは、昔から大学で「混ぜる」技術は化学工学として教えられている。その結果、装置があれば、何でも「混ぜる」ことができる、と考えている人が多い。


装置があっても流動が起きなければ、2種以上の組成を「混ぜる」ことが難しい。みかけ、混ざっているように見えても混ざっていないことがある。


そもそも「混ざった」状態さえも理解できていない人がいるし、50年前の化学工学ではそれを教えていなかった。1990年代に入って「混ぜる」ことをコンピューターシミュレーションで行うようになって、学者も「まざった状態」の数値化を真剣に考えるようになった。

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2024.11/11 技術と商品

今や技術が無くても商品を出せる時代であるが、無形の付加価値をサービスだけで補う難しさもある。自動車という商品を技術の塊と思っていたら、中国でも簡単にEV車を出せる時代になった。


自動車という商品を支えていたのが、すなわち参入障壁となっていたのがエンジンだけになってしまっていた。その他は、適当に作れる部品を集めても自動車という商品を作れる。


技術のコモディティー化の姿であり、産業革命の終焉と言われるゆえんなのかもしれない。面白いのはe-Powerという日産の技術である。エンジンを発電機として用いた自動車用動力の愛称である。


良く知られているように、トヨタのハイブリッド車は、エンジンとモーターがそれぞれエネルギー効率を考慮してパワーを発揮する科学技術の成果である。


それに対して、日産の技術はナンチャッテハイブリッドと呼んでも良いように見えるが、過去に日産はe-Powerにより、自動車エンジンのエネルギー効率を最大限に引き出し、熱効率40%以上のガソリンエンジンが可能になる、と発表している。


自動車用ガソリンエンジンの熱効率の壁は40%と言われ、1980年代に起きたセラミックスフィーバーでは、セラミックス製のガスタービンエンジンが日産ブースに飾られ、熱効率が40%を超えるエンジンとして紹介されていた。


しかし、そのガスタービンエンジンを用いた車は登場しなかった。今の日産車に搭載されているe-Powerは第二世代と言われているが、少し燃費が改善しているだけで、トヨタのハイブリッド車に追いついていない。いつになったら熱効率40%を超えたガソリンエンジンを積んだe-Power車を出してくるのか。


今ハイブリッド車が世界的に注目されている背景には、EV車の充電に係る時間を始め細かい問題が市場でEV車の商品価値を下げている事情がある。やがてはEV車になるので、熱効率40%以上のガソリンエンジンの技術開発を早めないと、商品として世に出せなくなる。

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2024.11/10 日産自動車

今回9000人のリストラを行うという。ほとんど経営危機状態である。何故このようになったのかは明白だ。国内や世界市場で販売されている車種を見れば明らかである。


国内では、ゴーン体制となってから車種が少なくなった。そしてグローバルに戦略を考えるようになったとか言われているが、例えば今回北米で「売れる車」が一台も無いような状態である。


この2年間に投入された車種はエンジン車だけで、ハイブリッド車のような売れ筋の電動車が一台もない。国内で評価の高いe-Powerは、長距離走行で燃費が向上しないという理由でアメリカ市場に投入しないといっている。


トヨタ方式のハイブリッド車に比較してe-Powerが長距離で燃費の悪くなることはエネルギー保存則から自明で、長距離では内燃機関だけで走ったほうが燃費は良い。


日本のような道路ではe-Powerの方式は効果が出るが、長距離運転が主な北米ではだめなことは10年以上前からわかっていた。その対策の技術開発を行っているはずで、例えば、フロントをエンジンで駆動させ、リアをモーターで駆動させる車の開発は日産ならば容易である。


e-Powerの動力でFR、長距離はFFで、という車ならば、構造も単純で今の日産の技術で実現可能である。そしてトヨタのハイブリッド車と互角以上に戦える。外から見ていると、経営陣は、市場の変化に無頓着のように思えてくる。


e-Powerが登場して、その欠点も分かっていたのに、その欠点を克服する技術もありながら、商品として世に出せないのは、経営者の怠慢である。それなのに、給与50%カットと胸を張った社長は、カットしても3億円を超える年収である。どうする日産社員?

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2024.11/09 全自動酸素指数測定装置の思い出(4)

自動化のための装備をすべて外した全自動酸素指数測定装置は、単なる酸素指数測定装置と同じである。ただし、全自動酸素指数測定装置では、燃焼速度の速いフィルムや発泡体を測定することはできない。


ゆえに手動でそれらを測定可能にした改良は、機能アップしたことになる。さらに発泡体のLOIを精度よく測定できるアルゴリズムを考案したのだから改善提案賞を受賞したのは当然、と思われた。


しかし、推薦してくれた上司から、当方の説明に騙されたと叱られた。しかし、審査したQC部門の管理職は、全自動の装置を手動で動作させた発表内容をユニークと評価したのである。


専門外の管理職には正しく内容が伝わっているのに、専門家である上司に誤解されたことを奇異に思っていたら、指導社員から今回の件だけでなく業務上そのようなケースが多いので注意しなければいけない、と教えられた。


指導社員の話では、市販されていた酸素指数測定装置の10倍のお金を投じて試作した全自動酸素指数測定装置が、ダンフレームBの開発に使えず悩んでいたので、その装置が使えるようになっただけでもうれしくてアピールするためにQC大会へ推薦したのだという。


しかし、全自動の装置を手動に改良したことがユニークと評価されたことに腹をたてられたそうだ。上司は、フローチャートとして手順が書かれていたので、何らかの自動化がなされていると勘違いしていたそうだ。


上司は研究所のOA委員長に任命され、当方はその事務局を任されていた。そして80万円のローンを組まされてMZ80Kを1セット購入したばかりだった。


初任給10万円の時代に80万円の買い物である。必死になって当方はコンピューターなるものを勉強していた。情報の無い時代に勉強する苦労は、今の若い人には理解できないだろうが、お金がかかるのである。


80万円以外に勉強するための専門書を購入する費用も自前だった。フローチャートの書き方を覚えた頃だったので、マニュアルを見事なフローチャートでまとめただけなのだが、それを上司は自動化手順と勘違いしたのである。



その後、このLOI測定装置が活躍し、ホスファゼン変性ポリウレタンフォームや燃焼時の熱でガラスを生成し難燃性の機能を発揮する難燃化システムが短期間で開発できたのだが、LOIを測定しているところを上司に見つかると、「その装置は君のために購入したのではない」とか、「趣味で仕事をするな」とか様々なパワーハラスメントを受けた。


プロジェクトリーダーからFDを壊され業務妨害を受けた思い出やら、このような叱責は、いくつになっても心の傷として残り忘れない。世の管理者は部下に対していじめとか嫌がらせを慎んだ方が良い。


特に成果を正しく評価できない管理者は、部下に嫌われることを知っておくとよい。この上司は、3年後当方以外の部下全員に、異動希望を出されている。


当方は留学が内定していたので異動希望を出していないが、上司から造反の首謀者を聞かれた。当方は、上司の質問で初めて全員が異動希望を出していることを知ったので答えることはできなかった。指導社員の説明では、偶然の出来事だったようである。

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2024.11/08 全自動酸素指数測定装置の思い出(3)

当時の燃焼試験機としては最先端の科学の塊であったが、発泡体の測定ができない木偶の坊だった。そこで発泡体を熱プレスし、密度を上げて測定サンプルとしてこの試験機でLOIを求めたところ、自動でLOIを測定できた。


さっそくこのことを上司に報告したところ、科学的に意味がない、という。発泡体と熱プレスでできたサンプルとは等価ではないことがその理由である。


しかし、熱プレス品で難燃性レベルを上げる研究ができるのでは、と提案してみても非科学的方法だという。ダンフレームBの熱プレス品がLOIで19という値が得られており、これを21以上になるように改良しなければ大問題となる、と主張しても、非科学的データなので、と片付けられた。


そこで、全自動酸素指数測定装置の自動化用装備をすべて外し、マニュアル測定ができるようにした。指導社員がびっくりして壊しているのか、と尋ねてきたので、発泡体でも使えるようにしているのです、と答えている。


全自動酸素指数測定装置には燃焼挙動を正確に把握するために、測定時に黒いケースで覆う仕掛けとなっており、このケースをセットしないとすべてが機能しないようになっていた。


それで、各種センサーを外すとともに、この黒いケースもばらすことになって、大掛かりな作業となり、指導社員はびっくりしたのである。


自動化測定に必要な装備をすべて外し、マニュアル測定を行ったところ、発泡体でもLOIを測定できるようになったのだが、少しコツが必要だった。それは最初に粗い方法で概略のLOIを求めておいて、2回目に精度の高いLOIを測定する、という手順がコツだった。


これをフローチャートで表現し、酸素指数測定装置のマニュアルとして装置に貼り付けた。そして、発泡体と熱プレス品とのLOI比較データを求めたところ、ほぼ一致した。


上司に報告したところ、測定しているところを見せてくれ、と言われたので、披露したところ、フローチャートのマニュアルを見つけ、改善提案として社内のQC大会で発表しようと言われた。


そして、発表し見事改善提案3級を射止め、報奨金を頂いたのだが、ある日上司から、あれはすべてマニュアルで測ったのか、と信じられない質問を受けた。ダンフレームBも含め、測定を数回見ていただいていた。


だから、十分な理解が得られていると思っていたら、そうではなかった。上司とのコミュニケーションは、幼稚園生にも分かるように説明するのがコツ、と言われていたが、全自動酸素指数測定装置を発明された方なので、測定手順と実演の披露で理解されていると思っていた。


それよりも、黒いケースも含め、各種実装されていた部品が段ボール箱に入っているのを見ていたはずで、マニュアルで測定していることを理解されていると思っていた。

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2024.11/07 全自動酸素指数測定器の思い出(2)

酸素指数(LOI)測定法は、すでにJIS化されているが、50年近く前は登場したばかりで研究段階だった。学生時代に開発したホスフォリルトリアミドのホルマリン付加体について難燃剤としての機能を確認するためにLOIを測定し論文を書いている。


名古屋大学と同じ東山地区にある椙山女子大被服科でLOI測定を行っている。そこの美人教官のご指導を受けながら測定したが、サンプルの状態に応じて工夫が必要な装置だった。


そのためJISではサンプル形状が定められているが、当時は規格が無く測定結果にサンプルの状態を付記する習わしだった。フィルムや発泡体は燃焼速度が速いので、測定テクニックも要求された。


このような経験があったので、発泡体を研究していた研究室で全自動酸素指数測定装置を見つけたときに腰を抜かすぐらいに驚いた。さすが、最先端企業だと感心したのだが、ホコリをかぶっている理由を聞いてがっかりした。


科学的評価装置を目指して開発したのだが、発泡体について測定不能のため使い道がなくなったそうだ。使えない装置だが、高価なので簿価が下がったら廃棄する予定であり、自由に使ってよいと言われた。

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