表題のセミナーがS&T社の企画で11月18日に開催されます。WEBセミナーの形式で10時30分から16時30分の予定で行います。弊社へ申し込まれますと割引価格となります。
さて、高分子の劣化と寿命予測も科学的に扱うと泥沼に入ってゆく難しい分野だ。金属やセラミックスでは科学的な成果がほぼそのまま実用化されているが、高分子材料では新入社員の研修発表でCTOに厳しく躾けられた経験があり、科学的に技術を作り上げることの難しさが身についている。
学会では高分子の酸化劣化機構の研究が十分に議論されたが、現場で起きているのは酸化劣化だけではない。タイヤならば実車試験を繰り返し寿命予測を行わない限り、正しい予測はできないとされている。
例えばタイヤトレッドゴムの寿命予測では、比較コンパウンドと新規開発コンパウンドを1本のタイヤに用い、それをタクシー会社にお願いして半年ほど使用してもらいデータを集めて予測することが行われている。
ようするにやってみなければわからない世界だ。研究段階では様々な模擬試験法があり、その試験結果で耐久性を見るのだが、その試験内容はノウハウである。
そのような世界を見てきた技術者にとって世の中の教科書はいい加減だと思う。ある10万円前後の本に樹脂とゴムでは耐久性が異なる、と大胆な結論がグラフとともに書かれていた。ここまで書かれると今回のようなセミナーを継続して行い啓蒙活動をしなければいけない使命感が起きてくる。
コロナ禍となって、ナノポリスを辞職し国内のセミナーに力を入れている。昨年末には2時間ほどWEBセミナーの練習として無料セミナーを数回行った。もし何かリクエストがあれば年末に有料でセミナーを企画したい。
カテゴリー : 未分類
pagetop
表題の結論は単純で、日本に仕事が無かったので中国蘇州にあるナノポリスでコロナ禍前まで仕事をしてきた。ナノポリスとは中国のナノテクの研究学園都市で、筑波学園都市の中心部ほどの広さがある。そこに中国の研究機関と関係する企業が集結している。
ここで、カーボンナノチューブ水分散液や、PPSの新規添加剤PH01などいくつかの新規な発明を実績として出すことができた。これらの成果は中国企業だけでなく日本企業にも還元することを当方は忘れていない。
日本人としての節操は守り、弊社あるいは弊社がコンサルティングを請け負った日本企業から特許を出願している。特許については毎年1件を目指したが、これは弊社の予算の関係である。
昨日TBSニュースWEB版に「なぜ科学の重鎮たちは中国を目指すのか「頭脳流出」だけでは語れない実態」という記事があったが、ニュースとすべきほどのことではない。
ニュースとすべきは、老人が中国へ出て行っても日本でそれを補う力が育っていない問題だろう。当方にしても現役時代には300件ほど30年間に特許を書いたが、今は1年に1件のペースである。年寄りのパワーは現役時代よりも落ちている。パワーの衰えた老人が中国に行っても大した問題ではない。
問題はその能力が落ちた老人よりも落ちてきた日本の若手の研究パワーである。一年に1件の特許も書けない高偏差値の大学卒業技術者がいるという。これ以外に、時間があれば今でも日本化学会や高分子学会の年会に出席して研究発表を見てきた経験からも心配事は多い。
また、この兆候は当方が一人で企画から研究のまとめまで実施した研究を、研究とは無関係のアカデミアの研究者がちゃっかり小生の名前を末尾に載せ、自分を筆頭にして論文として発表した話をここで紹介しているので20年以上前からあったのかもしれない。
最近では早稲田大学の学位授与の杜撰さの問題がニュースとなっている。若手が中国へ逃げて行ったならニュースとすべきと思うが、若手に声がかからず年寄りに声がかかっている実態を切り口としてニュースにすべきだろう。昨日のニュースの内容も当方が中国で活動した理由に近かった。
日本で働き口の無い元気な年寄りが海外に好条件で迎えられていることは大きな問題ではない。問題はそのような好条件で声がかからない現役世代である。そこをニュースとすべきではないか。もし現役世代がナノポリスはじめ中国の研究機関へ流れ出したら、それこそ事件である。しかしそれが起きないことも憂うことだろう。
カテゴリー : 一般
pagetop
高分子に可塑剤を添加すると、その量に応じてガラス転移点(Tg)は低下する。物性を微調整したおつりとして耐熱性の指標ともなるTgの低下が設計上問題となる時には、添加量の最適化実験がなされたりする。
ゆえに、可塑剤の添加はTgの低下を招くと経験知として体得することになる。可塑剤の添加は、樹脂の流動性の改良や樹脂の機能性向上が主たる目的だが、このTgを下げたくない場合にどうするかが教科書に書かれていない。
例えば流動性が悪く射出成型性に難があるPPSについて、射出成型性を上げるために添加剤が開発提供されているが、これを用いるとTgは2℃以上添加量に応じて下がる。
せっかくの耐熱性が落ちるのであまり使いたくない技術である。6年ほど前に中国ナノポリスにある某企業から相談を受けてTgを劣化させないPPSの流動性改質剤を開発した。
すでに特許が公開されたので種明かしをすると添加剤としてオリゴマーを採用したのである。PH01と名ずけたこの添加剤は、PPSの流動性をあたかもそのTmを5℃前後低下させた以上に改善できる。市販の添加剤よりもMFRは2倍の値となる。
分子設計でオリゴマーに着目した理由を知りたい方は問い合わせていただきたいが、このような着眼点の特許が少ないことに驚いている。オリゴマーの分子量制御が問題となることも多いので、すなわちオリゴマーの設計が難しいために普及していないのかもしれない。
ただ、オリゴマーには高分子添加剤としてあまり知られていないメリットがあり、この研究はアカデミアでも行うべきではないだろうか。デンドリマーの研究とかも下火になってきたので研究時間にゆとりができた先生はチャレンジしていただきたい。
カテゴリー : 未分類
pagetop
データマイニングとは多量のデータ内の特徴を見出すプロセスを意味する。手法としてよく用いられるのは多変量解析である。多変量解析については1970年代に新QC7つ道具の一つとして広く知れ渡った。
1979年にゴム会社に入社した当方は、研修で新QC7つ道具を習い、その存在を知った。そして研修のグループテーマとしてタイヤの軽量化設計を担当した時に、当時の技術で165-SR13サイズのタイヤにおいて到達できる最軽量目標を多変量解析で求めている。
当時は8ビットマイコンが登場したばかりなので、ソフトウェアーはIBM3033という大型コンピューターに付属した統計パッケージを用いている。パンチカードに市販されていた各社のタイヤから収集したデータを打ち込み、コンピューターへ入力する。
すぐには答えが出てこず、大抵は翌朝だった。ただ、研修のまとめが近づいたところで何度も計算して確認する必要に迫られ、一日に段ボール箱一箱分の出力紙をコンピューターから吐き出させたので、指導社員が青くなっていた。当日計算はコンピューター使用量がかかり、出力紙の枚数で使用量が計算される仕組みだった。
タイヤ重量の最軽量予測は重回帰分析で行われたが、面白かったのは、主成分分析による各社のタイヤ設計の考え方がパターンとして出力されたことである。
弊社では重回帰分析と主成分分析のソフトウェアーを公開しているが、希望があればこれらのソフトウェアーの使用方法や当方のこれまでの実績からいくつか事例を公開したセミナーを企画しようと考えている。
カテゴリー : 一般
pagetop
何か楽器を弾ける人ならば、和音が3つの異なる音の組み合わせだけでなく4つ以上の音の組み合わせも含むことをご存知かもしれない。しかし、当方はこの年になるまでこのような事実を知らなかった。
義務教育で習う和音は、その響きが気持ちよく聴こえる3つの異なる音の組み合わせとして記憶するように指導される。それ以外の音の組み合わせは不協和音だ、という冗談を何度も聞かされた。
しかし、和音(コード)は、3つ以上の音の組み合わせも存在し、7thコードはじめテンションなど様々な和音の技法が存在する。しかし無限にあるわけでなく、そこにはルールが存在し限られた種類となっている。
昔アメリカンフォークが日本に輸入されてフォークソングブームとなった時には、3和音を中心とした循環コードの単純な曲が多かった。当時の楽器の教則本を読むと3和音に7番目の音を加えた7thコードという説明が出てくることから1970年代の音楽の常識は、3和音でもよかったのかもしれない。
しかし、最近のポップスの音の複雑な響きを理解するためには3つ以上の音の組み合わせの存在も知らなければ感動することすらできず、単なる騒音として認識し聞くことができないケースもある。
老人が若者の声を聞けなくなる原因には、価値観の断絶だけでなく知識や情報量の違いがあることを多くの老人は気がついていないので老害とも表現されたりするが、若い人たちの身に着けている情報量は、現在の40過ぎの人間の身に着けている情報量とは比較にならない。
ただ、現代の若者の問題は情報を消耗品扱いにし、それを知識に展開できない点である。音楽も今やポップス系は消耗品であり、20年前の懐メロといっても百花繚乱となる。昔のように各年代において数曲思い出されるという状況ではない。
この20年間のポップスではダンス音楽有り、ロックあり、ジャズ系あり、何でもありの状態である。ダンス音楽が一つの特徴かと思えばマイケルジャクソンのような大ヒットは平野ノラ以外に思い出せない。エグザイルは指摘されて思い出すような状況だ。
その弟分のグループと言われても名前は出てこない。孫グループがあるかどうか知らないが、AKBはじめとする女子集団になってくるとパターン認識でかろうじて**坂が思い出される程度である。しかしこれら女子集団もすでに下り坂46であり、世の移り変わりのスピードは速くなっていることを感じる。
カテゴリー : 一般
pagetop
バッハが平均律を発明したのは科学誕生の直前だった。バッハの平均律により現代音楽の音階が決められた話を以前活動報告に書いている。最近新しい音楽としてコンピューターで人が歌えないような、あるいは歌いにくいような音階の曲が注目を集めている。
このような展開は、科学がコンピューターの登場によりシミュレーション技術を発展させた流れとよく似ている。シミュレーションにより科学の問題を解いていったように、コンピューターにより新しい歌唱の世界を創り出した。
コンピューターの発声による歌ではあるが、それをカラオケで人間が歌うことも流行しているようだ。歌いにくい歌をわざわざ歌う、という興味を持つ人がいるのも驚くべきことだが、承認欲求と言うものがそれを促しているのかもしれない。SNSでそれを公開している。
マテリアルインフォマティクスでは、AIを使ってデータマイニングし、その結果をシミュレーションや実験に展開することが行われている。
歌いにくい曲をわざわざ歌おうとしているように、このマテリアルインフォマティクスのプロセスをAIではなく人間がやる、という発想が出てきても良い、と考えたら、当方は社会に出てからそのようなデータマイニングをして研究開発をしてきたことに気がついた。
昔はAIが無かったので多変量解析などを行ってもその結果を自分の頭で処理しなければいけなかった。その経験から言えることだが、マテリアルインフォマティクスでAIを使うよりも自分の頭で考えた方が面白いアイデアが浮かぶ。
例えば、電気粘性流体の耐久性問題を多変量解析で解いているが、同僚は科学により否定証明を行い、解決できない、と結論を出していた。AIに任せて科学的に解くときには否定証明の存在に気を付ける必要がある。
音楽と科学の関係を考えていて、マテリアルインフォマティクスに飛んでしまったが、音楽を単なる芸術の一分野と考えるのではなく、人間の営みの一つとして技術と同じまな板に載せると面白い世界が広がってくる。
カテゴリー : 一般
pagetop
ペルチェ素子は、直流電圧をかけると一方が冷却系で他方が加熱系となるデバイスである。すなわち片側の熱量を反対側へ運ぶことが可能な素子で、小型冷蔵庫に活用されている。
また、最近は自動車用電池その他のデバイス冷却用の特許出願が多い。古くから存在した素子だが意外と使い勝手が悪い。すなわちうまくデバイスを設計してやらないとうまく冷却ができないからだ。
特許もそのあたりの技術を狙った発明が多い。しかし、いずれも冷却側は冷やしたい媒体に直接接触している。ペルチェ素子を冷蔵庫に用いる場合にも熱伝導性の金属を冷却側に接着して用いている。
この理由をよく考えず、ペルチェ素子で空間を直接冷却しようとして技術を設計すると失敗する。これ以上書かないが、弊社へご相談に来られた方は、この点で失敗していた。
それでは、ペルチェ素子で空間を直接冷却できないのかと言うとそうではない。それを可能とする技術が存在する。それが当方による発明である。
科学的には発想が難しい技術である。なんでも科学で解決できると思っている人では考えつかないアイデアであるが、技術が出来上がってみると、その動作を科学的に説明可能である。
カテゴリー : 一般
pagetop
ただ扇風機を2基つけただけの空調服がヒットしているという。もうすぐ冬になるので来年の夏用に売れているのかもしれない。この扇風機をつけただけの空調服の問題は、外気温が高い時に温風が服の中に吹き込まれる点である。
それを冷風とするためにペルチェ素子で空気を冷却する空調服が考案された。しかし、ただペルチェ素子を組み込んだだけでは冷却できないことがわかり、発明者が弊社へ相談に来たのが2年前である。
ペルチェ素子デバイスを提供していたのはKという中堅の電子デバイス製造メーカーだが、そこでもペルチェ素子を扱うノウハウが無かったようだ。
すぐに特許を調べたところ、最近ペルチェ素子を活用した冷却システムに関する特許出願が多くなっている。おそらくペルチェ素子の価格が安くなってきているからだろう。
小生はネットで150円で購入したペルチェ素子を用いて実験を行い、1か月もかからず改良技術を作り上げた。3か月後にはプロトタイプを作り上げ冷却できることを証明できた。
今年のオリンピックに間に合わせるように開発を急いだが相談者の会社の経営が傾き、とん挫した。結局3件特許出願しただけで終わったが、もしペルチェ素子を用いた空調服に興味のあるかたは弊社へ問い合わせていただきたい。
カテゴリー : 一般
pagetop
イノベーションにはインクリメンタルイノベーションとラディカルイノベーションがある、と一般に説明されるようになった。これはシュンペンター博士著「経済発展の理論」で有名になった言葉である。
1980年代には、染み出しイノベーションと落下傘イノベーションという表現をしていた経営者がいた。当方はゴム会社で高純度SiCの半導体治工具事業を1980年代に起業しているが、これは高分子から高純度SiCを製造するという従来とは異なる概念の技術であり、またゴム会社からセラミックス事業へ進出するようなイノべーションなのでラディカルイノベーションである。
GDPが30年も伸び悩んでいるのでラディカルイノベーションが検索ワードで目立つようになったが、ことばなど無くても40年ほど前からイノベーションの二つの形態については知られていたのだ。
ゴム会社でラディカルイノベーションを行った経験からいうと既存の事業と異なる事業を起業するときには、死を覚悟するぐらいの気持ちで決断せよ、と言う一言に尽きる。また、従業員を自死に追い込みたくなければ、経営者は自ら腹を切るぐらいの覚悟をせよ、と申し上げたい。
なぜなら、当方は自死か転職かの2者択一を迫られた経験があるからである。また当時当方が転職後、理由は不明だがゴム会社で切腹事件が実際に起きニュースになっている。サラリーマンが組織でイノベーションを起こすときにはそのくらいの凄惨な事態も覚悟する必要がある。
安直に自社でもラジカルイノベーションを、と言っている経営者は少し頭を冷やした方が良い。また従業員は従来と変わらぬ風土の中でラジカルイノベーションを求められた時に死あるいは転職を覚悟しないで手を挙げてはいけない。
これは公的研究所も同様で、STAP細胞の騒動では著名な研究者の研究所における首つりという結末で終わった事件が21世紀に起きている。イノベーションが求められる日本の公的研究所の中でも死ぬほどの覚悟が要求されるのである。
イノベーションの素を創り出すのが研究所のミッションの一つだが、日本の研究所の体質はイノベーションを好まないという風土のところが多い。ゴム会社の研究所はアカデミアよりもアカデミックで科学の殻に閉じこもるような保守的な体質だった。
これは日本人と言う国民性も関係しているのかもしれない。SNSに見られるように不特定多数の顔も見えないような状況で他人を責める状況があってもそれを社会で容認するところがある。
ゆえに社員にイノベーションを求める場合には、それなりの手順なり仕掛けで風土改革を行わなければいけない。もしイノベーションを希望される企業があるならば、弊社へご相談いただきたい。ラディカルイノベーションを成功させ転職により生き延びた経験からの学びを伝授したい。
カテゴリー : 一般
pagetop
ギターの教則本と言えば、昔はクラシックギターの定番、カルカッシの教則本ぐらいしかなかったが、最近はいろいろ発売されている。当方は何冊もそれらを買い込んだ話を以前書いている。
それらを読んでみると面白いのは、それぞれ筆者の世界観が見えてくるのだ。ジャズのアドリブと言っても無茶苦茶に弾いているわけではなく、曲の流れで要求されるコードを展開しているわけだが、まずコードというものを学校で習った概念から解き放つ必要がある。
学校で習ってきたコードと言えば3和音になるが、ジャズでは団子を並べられるだけ並べるのだ。ただ、無茶苦茶並べても不協和音になるのでそこにはルールが自然とできている。また、並べる音の個数もドレミファソラシドと制限があるから限られてくる。
テンションという概念は和音のルールの一つで、まず和音が3和音ではなく4和音を理解し、そしてテンションへの理解と流れると学びやすい。このテンションは、良い響きを選ぶという観点では感覚的になるがこれまでの経験知から一定の規則が出来上がっている。
ここで出来上がっていると書いているのは、マイルスデイビスが登場した当たりの頃は、このような規則など無かったように思う。神田の古本屋でジャズのアドリブについて説明した本を見つけて読んでみたが、そこには今の教則本に書かれているテンションのルールなど出てこない。
学生時代からただ好きでジャズを聞いてきただけだが、ジャズという音楽の世界で和音のインクリメンタルイノベーションがあったのだ。その結果、40年以上前の教則本と最近の教則本では書かれている内容が異なってきている。
ただ、最近の教則本では、コードを中心に解説する派とスケールから解説する派があるように思われる。イノベーションを理解しやすいのは、コードから解説している教則本であるが、眠くなるような展開になっている書物である。
カテゴリー : 一般
pagetop