今年もいろいろなことがあった。また年末になると各方面で一年の振り返りで様々な事件が取り上げられる。面白いのはその1位から10位ぐらいまでには、3つほどは共通した事件が取り上げられていることだ。
その中で当方が思い出深いこと一つ上げるとしたら、宇野昌磨選手を通じてコーチングの役割とその重要性を改めて知ったことである。
どこもこの事件を取り上げていないので、余計に思いで深いこととなった。誰も十大事件として取り上げないのに当方が取り上げる理由は、昔コーチングについて学習してみてもあまり有効性などを実感しなかったからだ。
転職して有機無機複合ラテックスの開発に成功した時に少しコーチングの魔力を感じたぐらいである。
しかし、宇野選手は今年一年の振り返りとしてコーチの重要性を大変わかりやすく回答してくれただけでなく、コーチが不在の時にどのような状態になるのかも身をもって教えてくれた。
実は組織活動においてはフィギュアスケートの様な厳しさが無いためにコーチングの重要さをあまり感じさせない。プロ野球でも張本氏にコーチなんて誰でもいいんじゃないの、と言わしめるようにコーチの効果や影響はわかりにくい。
しかしそのプロ野球でも、王選手はコーチングによりホームラン王になった話をかつて語っていた。
コーチングは誰でもうまくできるものではない。コーチングスキルとして取り上げられるように、これは意識して練習しなくては身につかないものである。
それゆえ一時期企業でもコーチングスキル向上のための研修がもてはやされたが、最近はあまり聞かない。
これが定着したために評判になっていないならよいが、パワハラやモラハラの事件がよく取り上げられるようにコーチングのありがたみが浸透していないために忘れ去られた感がある。
実はコーチングスキルとはコーチ一人のスキルアップで成り立つのではなく、コーチを受け入れる側のスキルにも依存し、その効果が影響を受けることが理解されていない。宇野選手はそれを教えてくれたのだ。
カテゴリー : 一般
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セラミックスでは、粉体の粉砕技術は重要である。それゆえ40年近く前のセラミックスフィーバーでも様々な粉砕機が開発された。
また、粉砕により粒子が正規分布するだけでなく、多分散系となることも確認された。そしてサブミクロンの粉砕を行うためには時間をかけなければいけないことが分かってきた。
高分子の混練の教科書を読むと粉体が解砕されてゆく機構が書かれているが、その時粒子がどのような分布になるのか言及していない。
ゴムにカーボンを配合するケースは多いが、カーボンは一次粒子が金魚のうんこ状態でつながっている。困ったことにうんこの形態まで変化する。
ロール混練では時間をかけてうんこ状態をうまく分散できるが、二軸混練機では一定時間で混練物が吐出されるのでさまざまな分布となっていることを容易に想像できる。
力学物性では、マトリックスの弾性率に依存し80から800μmまで許容される凝集粒子の大きさが異なる。
すなわち最大粒子径がある一定値を超えると靭性に影響が現れるので、引張強度が低下する。
電気物性では、分散状態の影響が力学物性よりも大きく現れる。パーコレーションの問題は力学物性にも存在するが、電気物性で大きな問題となるのは、パーコレーション転移前後でその物性が大きく変化するためだ。
カテゴリー : 電気/電子材料 高分子
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100円ショップで売られているお茶碗や湯飲みには、その価格に驚く。子供の頃親に連れられて行った瀬戸物市よりも安い。しかも品質が安定している。
瀬戸物の安物には、どこか欠陥があった。また、割れやすく、畳の上に落としても割れたものがあった。母親はそれを見て、打ちどころが悪かった、と嘆いていたが、品質が悪かっただけである。
100円ショップのお茶碗は射出成形で製造される。その後脱脂工程でバインダーを除去してから模様をシールで張り付けて焼結と同時に模様が焼き付けられる。
100円ショップのお茶碗の中には、お茶碗の形に焼結が行われた後、シールが貼られる場合もあるが、そのようなお茶碗は使用していると模様が薄くなってくる。
20年前にはこのようなお茶碗を見分けることができたが、最近は技術が高度化し、焼結時に焼き付けた模様との区別が難しくなった。
実は今事務所で使用しているマグカップの模様が少し薄くなってきたので、この様な事を書いている。
100円ショップの商品ではなく何かの粗品として頂いたマグカップだが、起業してから使用していた愛用品である。
普段使用していて気がつかなかったが、事務所の食器をすべて整理していて気がついた。昨日から大掃除をやっている。
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この本は、2005年に中間転写ベルト開発を担当した時に読みたかった本である。それが世の中になかったので今回自分でまとめてみた。
とりあえず、混練の本として盛り込むべき内容を盛り込んだつもりである。そして表題に「混練り」とつけたのは、既存の混練に関する書籍の大半が混合分散に終始していることにあてつけたものだ。
ポリマーの混練は、フィラーやポリマーをただ分散しているだけのプロセスではない。そこのところにこだわって「り」をあえてつけている。
また、この本では最先端のマテリアルインフォマティックに関しても一つデータを提示している。ただしこの研究テーマがどのように流れてゆくのか不明なのでマテリアルインフォマティックとは述べていない。
すなわち測定データ駆動型新材料開発を試みた実験結果を掲載しているだけだが、これは今東大の先生方が提唱されているプロセスインフォマティックに含まれるかもしれない。
ただ当方は、この手のはやりものにかぶれて書いている、と思われたくないのでひっそりと一つデータを掲載しているだけだ。
そのデータとは、射出成形体の強度は弾性率と靭性の関数になるという混練の神様が教えてくれた経験知をもとに、新たな材料開発を行ったときのデータだ。このデータ群から難燃剤を添加しないでリサイクルPETの難燃化処理に成功している。
このハンドブックには、このように最先端の香りも盛り込んでいるが、学術書ではない。あくまで経験知と形式知をハンドブックとした書籍である。
カテゴリー : 一般 高分子
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半年後に製品化を控え、外部の一流コンパウンドメーカーから購入していたコンパウンドでは歩留まりが悪く製品化立ち上げが困難と判断して参加した打ち合わせにおいて、「素人は黙っとれ」と言われた話は以前書きました。
一流コンパウンダーの技術者やPPSを供給していた一流メーカーの技術者の意見と当方の見解が全く異なり、打ち合わせの途中で当方が追い出されるような事態になりましたのが、高価な本を数冊購入した動機でした。
混練りの神様から指導された内容が間違っていたのか、世間の混練に対する見解が間違っているのかは、形式知が書かれた書籍を読むのが一番確かです。
しかし、高い金を払って購入した書籍には、どれも混練の神様から伝授された考え方が書かれていませんでした。ひいき目で表現すれば、混練機を設計する人には役に立つかもしれないような本でした。
ただ、それにしても混練の形式知と呼ぶには貧弱で、混練機構をモデル化しやすいように考え出された形式知のようにも見えました。
そこでゴム会社時代の手帳を引っ張り出し、混練の神様から受けた授業のメモを頼りに自分で勉強しなおし、カオス混合のプラントを設計して、たった3ケ月でそれを立ち上げることに成功しました。
そこから製造されたコンパウンドで、中間転写ベルトの歩留まりを90%以上と飛躍的に向上させることができました。そのラインは現在でも国内で稼働しております。
この学んでから20年以上経過したゴム会社の基盤技術(注)を写真会社で復刻させた体験は書籍にも少し書かれています。
(注)ゴム会社でのキャリアは、高純度SiC事業化を業務としていたのでセラミックスである。ただ新入社員時代に3ケ月間樹脂補強ゴムをテーマにゴム技術を指導社員から伝承されている。毎朝座学で午後は実習だった。定時後は指導社員が管理されていた設備について自由に使用してよいと言われていた。スペクトロメーターにロール、バンバリーの3機種を自由に使えたのは知を学ぶために有効だった。
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先ほど表題の書籍について、2020年1月下旬発刊との連絡が出版元のゴムタイムズ社から正式に入りました。価格は1冊4800円とのこと。
昨日、本欄で書きましたように年内は割引価格送料込み4600円で頑張りたいと考えております。
さて、この本は2005年にPPSと6ナイロン、カーボンの配合によるレーザーカラープリンターの部品である中間転写ベルトの押出成形を前任者から引き継ぎました時に、読みたかった内容の本です。
当時8万円以上する専門技術書を自腹で5冊ほど購入しました。資金源は以前この欄で書きましたが、高純度SiCの基本特許に対してゴム会社が旧無機材質研究所に支払った使用料です。
このお金の出所につきましてはドラマがあるのですが、ケンシューを退職するときに公開したいと考えています。
怪しいお金ではありません。人情噺に近いかもしれない美しい話です。誠実真摯に生きておればよいことがある、という事例の様な実話です。
さて、高額な専門書を購入して勉強したところ、驚いたことにゴム会社に入社して樹脂補強ゴムの開発を担当した時にご指導いただいた混練の神様と呼んでも良いような指導社員から毎朝座学で習った内容と異なっていたのです。(明日に続く)
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昨日書籍購入を申し込まれた方にはお礼申し上げます。予想外の申込数ため、4000円のサービス価格は昨日だけですが、年内は送料込みで4600円で申し込みを受け付けたいと思っています。
おそらく来年には値段も確定し、1月下旬には全国の書店に並ぶかと思いますが、昨今の書店の倒産などの状況を考慮し、弊社のホームページでもt年明けしばらくは販売前のサービス価格でがんばろうと思っています。
発刊後は諸事情あり定価販売送料サービスとします。著者割引価格も決まっていない状況ですが、とりあえず年内は送料込み4600円として申し込みを受け付けることにいたしました。
1月下旬ころ出版され次第申し込まれた方には郵送にて発送いたします。本日は昨日申し込まれました方の整理の最中です。
昨日申し込まれた方にはお礼申し上げるとともに、発送が1月下旬になることをお許しください。なお、定価は5000円前後となりそう、と昨晩連絡が入りました。
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今年内の出版を目指し準備を進めている本がある(先ほど出版社から発売が1月下旬になるとの連絡が入りました。申し訳ございません)。多くの方に読んでいただきたいので、可能な限り安く出版していただきたい、とお願いしているが、1冊4500円前後になりそうである。
本日弊社にお申し込みの方には、送料費込みで4000円で年明けに発送したいと思っています(注)。弊社としては赤字となりますが、皆さまへのクリスマスプレゼントです。
ところで、その本とは高分子の混練りについて経験知と形式知をまとめた内容で技術書です。当初その内容から一冊80、000円と言う意見もございましたが、社会への提案としたい気持ちもあり、可能な限り安くしてほしい、と出版社と交渉しました。
しかし、内容が技術書であり、巷の高価な書籍には書かれていない経験知が書かれているので読者が限られる、という理由でどうしても発行部数が少なくなり、価格を高くしなければ経営上難しい。
結局著者割引価格が決まらないまま現在に至り、弊社で赤字覚悟の本日限りの価格を公開した次第です。
内容は高分子の混練り技術ですが、専門外の方にもその香りを面白く読んでいただけるようセラミックスの話や、序文にはサイモンとガーファンクルやダスティンホフマンも登場する。
この本で目指したのは、高分子の混練り技術の教科書と同時にこの科学の時代に形式知ですべてを理解できない分野の存在を多くの人に知っていただきたい、という思いを伝えることです。
例えば2年前、大手で品質データの改ざん事件が相次いだのですが、なぜ気楽に現場で数値を捏造してしまうのかは、材料に詳しい人ならばすぐにわかると思います。
だから、材料に詳しい人が現場の管理者としていたならばあのような事件は起きなかったとも言えます。材料のことが分からず測定だけを行っておれば、捏造したくなる衝動が起きるのが高分子材料、という表現もできるかもしれません。
このような社会現象も懸念し、今回の高分子の混練りの本をまとめた次第ですが、内容が専門的になりすぎましたので価格を安くできないというパラドックスに陥りました。
(注)
弊社へ、住所氏名連絡先(Eメールアドレス)と混練りの本を4000円で購入したいと送ってくだされば、手続き方法を送付いたします。
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昨晩の全日本フィギュアの大会では、宇野選手が4連覇した。羽生選手のミス連発がこのような結果をもたらしたという解説もあったが、GPシリーズの宇野選手の不調を考慮すると、羽生選手のミスよりも宇野選手の復活にスポットライトを当てるべきだろう。
また、インタビューではコーチの重要性とその意味について彼が語っていたことから、彼の金メダルが羽生選手のミスではなく、コーチの寄与が大きかったことを示している。
昨日のサンデーモーニングでは、張本氏が元スケータ鈴木明子氏にコーチなんてどうでもいいでしょう、と言うようなことを述べていたが、フィギュアスケートに限らず、どのような分野においてもコーチの役割は必要である。
ビジネスの世界ではパワハラやセクハラが話題になっているが、実は役職者がコーチングスキルを持っていないためではないかと思っている。
平等や機会均等が当たり前になってきて、さらに自己責任が前提の社会になってくると、単なるティーチングよりも気づきの機会を増やすためのコーチングが重要になる。
昨晩、宇野選手はそれをわかりやすくインタビューで応えていた。自分の行動について良いところを承認し、行動の向かう方向が幸福の方向かどうか、考える機会を示すコーチが必要な時代である。
上司が単なる管理者で務まる時代は終わった。組織活動で個人の能力を最大限に引き出せるようなコーチングスキルを身に着けるためには訓練が必要である。
OJTでそれを実現しようとするならば、上司は最良のコーチとならなければいけない。最良のコーチとパワハラとは無関係であるが、組織のベクトルを合わせる厳しい視点は業務効率を上げるために重要である。
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今年のフィギュアスケート界は、フィギュアスケートという競技がスポーツとして特異な側面を持っていることを気づかせてくれる話題が満載である。
そして宇野選手の事件(労働あるいは仕事として捉えたときにスケート協会の大きなミスである!)からコーチングの意味を学び、マネジメントに活かした人もいるのではないか。
多くのスポーツ競技は、相手と戦うことで勝敗を決め勝者を称える。しかし、フィギュアスケートを世界との国別競争として捉えてしまうと、多くのスポーツ競技とその違いを見出せず、楽しみが半減する。
これは、現在放映されている全日本フィギュアスケートの中継を見ればわかるように、相手と戦うことよりも自分の力を最大限発揮することが求められている競技であることを理解できる。
具体的にはザギトワ選手の引退発言に対する反論や高橋大輔選手の全日本における演技がそれを示している。
ザギトワ選手について4回転やトリプルアクセルができないので明らかにロシアの1歳年下の若手選手に勝てない。高橋選手に至っては33歳というその年齢から羽生選手に勝てないことは明らかである。
高橋選手はシングルをようやく引退する宣言をしたが、ザギトワ選手は周囲の引退発言を打ち消す声明を出している。
もっとも過去に引退を否定しながらも結局引退を余儀なくさせられた選手も多いので、ザギトワ選手の場合も今後は不明だが、彼女の発言や一部のロシアコーチたちの発言を聞く限り、選手を継続する可能性は高い。
勝てる可能性が低くても彼や彼女たちが選手として続ける意思を持とうとしているのは、フィギュアスケートが純粋に自己との戦いの競技であることを見出しているからに違いない。
ゴルフも自己との戦いだと言われるかもしれないが、ゴルフにはホールインワンのような運の要素が入ってくるが、フィギュアスケートでは、運の要素は明らかに低く、逆に運に頼っていては相手に勝てない。
例えば女子で初めて4回転ジャンプを成功したのは安藤美姫選手だが、彼女は運に頼って成功させたのかもしれない、というには無理がある。
確かに4回転成功後の彼女の成績を見ると4回転ジャンプを運の結果と捉える人もいるかもしれないが、その後の彼女の成績が落ちた原因はその私生活にあったのはニュースに報じられたとおりである。
フィギュアスケートを他のスポーツ同様に相手との競争と捉えてみていると楽しさが半減する。
このスポーツでは選手一人一人が自己の最大のパフォーマンスを追求し戦っている姿を観戦するところに最大の面白さがある。
また、その姿には働くときの自己の姿勢における、多くの学びのための教訓を見出すことができる。
例えば高橋選手がショートで見せた年齢を越えたやりすぎの演技は、逆にパフォーマンスを落とすことを教えてくれた。
年をとったなら年齢相応の動きでパフォーマンスを最大にできるよう努力しなければいけない。今日の彼のフリーの演技が楽しみである。
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