温度変化で高分子は固体から液体まで状態変化をするのだが、レオロジーの現象論的な目的に温度は入っていない。
しかし、反応時間について温度をあげると短くなることを経験的に知っているので、レオロジーでは、時間と温度を変換できるのではないかというルール、時間温度換算則を取り入れている。
これは、周波数と温度の両方を変化させて粘弾性測定をすると、何万年という時間が必要となるデータが、実験室で短時間に得られる便利な方法である。
ここで、各温度のエネルギーに相当する高分子鎖の運動が起きていることを忘れてはいけない。
そこでは、結晶化や溶融という相変化、ガラス化という分子運動性の凍結などもこのルールとは無関係に起きる。
すなわち、ミクロの高分子鎖の運動からマクロの粘弾性の挙動まで、幅広いスケールで起きる現象を技術者が安心してシームレスに扱える完成された方法は、まだ存在しないので、形式知と経験知とをあわせて注意しながら混練プロセスの考察にレオロジーを活用しなければいけない。
それは、ダッシュポットとバネのモデルを紙に描きながらも、頭の中では高分子鎖のレピュテーション運動や局部の回転運動などを思い描くような方法である。このようにして高分子鎖のダイナミックな運動を夢想しながら混練の現象を眺めていただきたい。
カテゴリー : 高分子
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大河史上初の一桁で終わった同番組の最終回が日曜日放映され、WEBには視聴率の問題も含め様々な意見が出ている。
大半を視聴してきて感じたのは、難解である、ということに尽きる。主役3人をうまく話しの中で起用していることは理解できても、大河ドラマとして失敗だったと思う。
見ごたえは十分にあったが、日曜日の夜8時に視聴したくなるような軽い番組ではなかった。当方は番組を楽しむというよりも興味で見ていたようなものだ。
ドラマとして様々な工夫が凝らされており面白い番組ではあったが、気楽にみられる番組ではなかった。
また、いろいろ考えさせられる問題も提起されており、メッセージ性のある内容だった。
すなわちドラマ展開が難解すぎた番組のため視聴率を取れなかったのではないか。内容が良くても難解であれば視聴率は上がらない、という事例だろう。
当方が一つ褒めるとしたならば、これだけ低視聴率だったにもかかわらず、最初の方針を変えずに番組を作り続けた、良い番組をお茶の間に届けたいというNHKの姿勢である。
「いだてん」は人生の勝者とは、という問題を扱っていたように思われ、時として残酷と感じる展開もあった。
血糊など飛び出さなくても人生体験があると大変残酷に感じさせるシーンがあり、それゆえ視聴を辞めた人もいたかもしれない。
当方も気分が悪くなったシーンがいくつかあった。たとえそれが人生の真実であってもうまく処理しなければいけないのが大河ドラマである。
最終回も含め、自分で自分を褒めて生きてゆく以外に報われない社会であることを見せてくれたドラマであり、見たくなかった人が多かったのも納得できる。
カテゴリー : 一般
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研究開発業務は、大別すると、調査、企画と実験、特許等の成果のまとめとなる。これらの業務で、実験は会社でなければできない業務だったが、調査とか企画、業務のまとめは電車の中でもできた。
通勤時間が1.5時間ほど片道かかったので、電車の中で成果のまとめと企画を行っていた。今のようにノートパソコンなど無い時代だったので、手帳にあらすじを書くような作業である。
電車の中で文字を書いた経験のある方ならわかるかもしれないが、うまく書けない。ただ慣れれば記号の様な文字でまとまった内容を記すことが可能である。
他人様が読むことのできない文字は、機密管理に便利だった。こうして自分だけしか読むことのできないノートが貯まっていった。このノートを会社で整理したわけだが、報告書や特許を書く時間、企画をまとめる時間などは大幅に短縮された。
ところで電車の中で使っていた手帳は一冊だけだった。その一冊に業務のすべての下書きがなされていた。だから手帳の消費は激しく、だいたい1ケ月に1冊のペースだった。
手帳には小保方さんが書いていたようなハートマークも多数あったが、それだけではなかった。どくろマークも傘マークもあった。こうしたマークは後から読むときの手助けになった。
また、手帳はアイデアプロセッサーの様な役目もした。一冊に業務すべての内容が書かれるので、後で見たときの工夫が必要だった。実はこの工夫は作業改革を行っていることになる。
カテゴリー : 一般
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松阪大輔投手が西武へ入団した。あと残り30勝に迫った200勝という目標を達成したいという。
11日の入団会見では、「終わりというものがだんだん近づいている中で」と覚悟の表現をしている。
球速の低下も本人は認識しそこに触れており、厳しい入団である覚悟と、決意した西武への感謝が伝わる会見だった。
人間だれしも加齢という自然現象に逆らうことはできない。新庄氏の再チャレンジに驚かされたが、200勝という目標にこだわる松阪に涙が出てくる。
かつて昭和の怪物と言われた江川投手はたった9年で引退している。平成の怪物のすごいところは、世間から何と言われようと、その肉体が燃え尽きるまで頑張ろうという姿勢である。
巨人入団のごたごたも含め余力を残して引退した昭和の怪物を好きになれなかったが、平成の怪物が苦しむ姿には声援を送ってきた。
苦しむ姿を見せることなくカッコよく引退するのもいいのかもしれないが、必死で力の限り努力しチャンスが無くなるまで頑張る人生が求められている時代のような気がしている。
カテゴリー : 一般
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東芝はじめ多くの企業で早期退職を募っている。また、再雇用では給与が下がるのが当たり前になっている社会だ。
昨日のTVの早朝講座でもこのあたりを切り口にもう少し有益な話をすべきだったと思う。
ここで問題となるのは労働者側の意識である。昔は会社にしがみついておればなんとかなった時代であるが、今はしがみついていても良いことは無い。
しかし、国内に就職するにも就職先が無い、と嘆いている人は甘い。今中国、台湾、東南アジアの企業において求人が多い。
当方は中国や台湾企業のコンサル業務を行っているが、管理業務の人材紹介を頼まれたりする。但し給与は年収500万円前後である。再雇用対象者ならば魅力があるかもしれない。
技術者ならばさらに高い。さてここで問題となるのが技術力である。これは国内で実際にあった話だが、某中小企業からスポットの相談を依頼されていったら、見かけたことのある技術者が同席していた。
名刺交換などした記憶が無かったので初対面としてあいさつしたが、相手もそのように対応していた。すなわち、中小企業に技術者として就職できたが技術が無くて問題解決できず、当方を紹介してくださったのだ。
これはこれでうれしいのだが、努力してスキルアップの勉強をしてもらいたいと思った。もし、技術に自信が無くて悩まれている方は弊社にご相談ください。
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朝午前3時に目が覚めてTVをつけてみたら、教養番組を放送しており、講師が日本のGDPを上げるには、日本人が付加価値の高い仕事をすればよい、と当たり前のことを講義していた。
しばらく見ていても何も有益なことを語らず、バブル崩壊後の産業界の話をしていただけだった。この講義そのものが日本のGDPを下げているような気がした。
20世紀に日本のGDPが飛躍的に上昇したのは先人の勤勉性とモーレツ社員のサービス残業によるところが多いと思っている。
特に10年以上中国で仕事をしてみると、日本の戦後の状況との差異を感じる。中国は安い人件費を武器に世界から工場を誘致しGDPを押し上げることに成功したが、日本では自ら技術開発をした歴史があるのだ。
今日本のGDPがなかなか上がらないのは、技術開発により新たな市場を生み出す機会が戦後30年間に比較し減っているからだ。
60年以上生きてきて、かつて新技術による新製品が街にあふれだしていた時代を懐かしく感じる。今そのような感動は無い。
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瀬古氏が、自分はリーダーなのにマラソンの情報をネットで知るような状態と嘆いている記事が掲載されていた。
組織活動においてこのような状態に置かれたリーダーは、1.リーダーとしての活動をしていないのか、あるいは、2.リーダーとして不適であると周囲が判断しているのか、どちらかだろう。
ぼやいている場合ではないのだ。積極的に情報を取りにゆかなければいけない。あるいは、2であると気がついたならば、さっさと辞表を提出し、組織に新たなリーダーを迎えられるように行動しなければいけない。
これは企業という組織の中においても同様である。自分の知らないところで管理している組織のことが決められている状態のリーダーは、すぐに反省した方が良い。
組織リーダーの役割は、常に全体の組織が有効に機能できるように責任を負っているのだ。おそらくボヤキの内容から、瀬古氏はリーダーという役割を理解されていないのかもしれない。
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科学成立以前の時代に、日々の営みの中で自然界から有用な機能を人類が取り出して技術を開発してきた。この自然界と対峙する姿勢について不易流行という思想がある。
ニュートン力学は物体の変形を伴う運動について取り扱う時の、いつまでも変わることのない「不易」の形式知である。
高分子のレオロジーに関しては、ソフトマターの物理学という分野が誕生しており、これは新しく変化を重ねてゆく「流行」である。
ソフトマターの物理学が永遠性を獲得し、不易と一体になろうとしているのが現代のレオロジーである。
さて、質点系の力学とは異なる連続体の力学では、弾性体と流体を扱う。これはニュートン力学の後に誕生した形式知である。
過去の高分子のレオロジーでは、この形式知を土台に築かれている。そこには、高分子鎖一本一本の運動が表現されていない。
高分子にレオロジーを適用した初期の研究では、ダッシュポットとバネのモデルを使っている。ただし、このモデルによる体系化が形式知として破綻したとはいえ、高分子材料のマクロ的な側面、弾性変形と粘性に基づく現象が無くなったわけではない。
この方法は、高分子のミクロブラウン運動や塑性変形を無視できるマクロな時間スケールの現象を扱う場合に問題があったとしても、経験知として使用可能である。また、このモデルを使った説明は直観的で単純であるという長所がある。
すなわち、目の前の現象について自由に頭の中で高分子鎖をイメージし、過去のレオロジーの道具を用いてコンパウンドのおさわりをしながら、高分子の運動を感じる、というつきあい方が賢明である。
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昨日のNHK「あさイチ」で大人のいじめを扱っていた。しかし、そこで展開されたのは無難な内容であり、実際の組織内の複雑ないじめまで踏み込んでいなかった。
また、先日7日には三菱電機新入社員が上司のパワハラで自殺したニュースが報じられた。そして上司は書類送検されたらしいがトカゲの尻尾きりの感じがしないでもない。
これだけパワハラやセクハラが社会で叫ばれていても社会でこのような事件が無くならないのはなぜか。
当方はゴム会社で高純度SiC事業を立ち上げているが、異業種の新事業を立ち上げたことで推進中に研究所で様々な「いじめ」に会っている。
転職の引き金になったのは会議前日に大切なデータが入っていたFDに他人のデータを上書きされた事件であり、これは隠蔽化されようとした。
ここまでくると犯罪であり、命の危険を示すサインもあったので転職を決断している(注)。
転職後は管理職の立場となったが、特許に履歴が残っているような多大な成果を出していたにもかかわらずリストラや単身赴任を経験している。
それでも部長職まで昇進しておればラッキーなのかもしれないが、ゴム会社のサラリーマン生活も含め、サービス残業までして成果をだす貢献をしても苦労の連続だった。
ただ、その苦労を今から思い出すと楽しい思い出となっている。倉庫に使用していた部屋をあてがわれ給与をもらいながら自由に仕事を選べたのである。そしてゴム会社で学んだカオス混合技術を実用化できた。
また、ゴム会社におけるいじめの数々は、人との交流における学びの機会であった。32年間のサラリーマン生活を通じて現役世代にアドバイスできるとしたならば、「誠実真摯に生きる」ことである。
また、死にたくなるようなことは何度もあったが、殺されそうになったら会社を辞めることである。命は大切にすべきである。
どのように社会が進化したとしても善人ばかりの社会にはならないだろう。仮に周囲が悪人ばかりになったとしても、自分だけは誠実真摯に生きる努力をし続けたい。
もし、NHK「あさイチ」に紹介されたような、あるいは転職した当方の様な陰惨な事件に巻き込まれている方にはご相談にのります。
(注)ここまでの経験をしてもゴム会社に恨みは無い。また、ゴム会社に特許の実施報償やサービス残業代その他深夜勤や休日出勤手当などそれらを申請できる証拠が残っていても転職後に要求していない。転職後ゴム会社では週刊誌や新聞を騒がせる事件が起きているが、その事件については社長に同情している。組織におけるいじめの難しさにはこのような複雑なところがあるが、犯罪を防止するよういじめる方もいじめられる方も仲良く努力すべきである。いじめる方は越えてはいけない第一線があることを知るべきである。そのために誠実真摯に生きる必要がある。世の中悪い人ばかりでなく、転職して20年経過した時にはゴム会社から年金の一部未払いについて手続き書類が送られてきたり、無機材質研究所に支払われた特許報奨を当方に送りたいから、といった涙が止まらない経験もある。生きておれば良いことの一つや二つはあるので腐らず挫けず努力することが大切である。
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身の周りで観察される高分子材料は、何らかの運動をしている。例えば、手元で操作しているプラスチック製のマウスの自由体積部分では、体温に相当するエネルギーで紐状の分子の一部が運動している。
そして、その運動はセグメントのミクロブラウン運動であったり、紐の末端あるいは側鎖基の回転運動だったりする。
また、高分子は、その分子の一次構造の方向に垂直な円盤を仮定して分子がうまくすり抜けられる直径を基準に考えた管の中を、あたかも蛇のごとく、一定の分子の長さを保ちつつ運動している。
この動きをレピュテーション運動というが、蛇やウナギの動きを想像すると少し不気味である。
このレピュテーション運動について次のような経験がある。すなわち、非相溶系のPPSと6ナイロンをカオス混合で混練すると相溶し、透明な樹脂液が混練機から吐出されるが、それが10年近く経過したら白濁してきた。
これは、カオス混合(非平衡状態)で一旦は相溶した組成物をTg以下に強制冷却して相溶状態のままガラス化しても、レピュテーション運動でゆっくりと平衡状態になろうとスピノーダル分解が室温で進行し、相分離した結果である。
この現象は、カオス混合装置の発明で得られた発見であり、21世紀になっても高分子分野ではこのような新しい現象が見つかる。形式知が完成していない分野では、過去の知の遺産の活かし方次第で研究開発の効率は変わる。
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