高分子の混練は、混練したいゴムや樹脂が発生する剪断流動と伸長流動により進行する。ところがゴム業界と樹脂業界で混練に対する考え方が異なっていることを知らない技術者は多い。当方はゴム業界の考え方が妥当と思っているが、樹脂業界の技術者は自分たちの考え方が正しい、と信じている人もいるから問題が発生したときの議論が難しい。
まず、ゴムがTg以上Tm以下の領域で混練されていることを樹脂技術者は知らない。ゴムはバンバリーとロールで混練されるが、その混練時間もまちまちで、30分近くゴムのコンパウンドをロール混練することもある。樹脂よりも丁寧に混練している。
以前、パルプとポリエチレンとを混練したが、二軸押出機で混練した場合とロール混練した場合ではその物性が大きく異なった。ロール混練した場合にはポリスチレン並みの樹脂になったが、二軸混練機で混練した場合にはポリエチレンよりも物性が悪く臭かった。
ロール混練では異臭の問題を解決できたが二軸混練機を使った場合には臭くて臭くて改良する気も無くなった。へは5分もすれば匂いが無くなるが、この時の匂いは、なかなか取れないだけでなく、体にも匂いがついた。
痴漢として疑われるのも迷惑だが、異臭のため電車の中でじろじろと見られたのは嫌だった。この時ほどはやくテーマを辞めたいと思ったことは無い。だから二軸混練機にはあまり良い印象を持っていない。
だから、二軸混練機についてどうしても批判的な視点で見てしまう。ただこの偏見のおかげで13年前にカオス混合機を発明することができた。二軸混練機だけでは問題解決できない、とテーマを担当した時にすぐ決断できたからである。
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「個人的な興味としては、ピッチャーとバッター、それぞれを年間通して見てみたい。サイ・ヤング賞をとった翌年にはホームラン50本で本塁打王。そんな空想でもしないことを現実にできる可能性のある選手が、この先の未来に出てくるでしょうか?」
古いニュースも含めWEBを見ていて、イチローの大谷選手に対するコメントを見つけた。そこには、続けて次のコメントが書かれていた。
「もちろんそれは才能だけでは不可能でしょう。僕が見る限り、翔平にはその才能を磨いて生かす才能が備わっているように思います。実はほとんどの選手にそれが備わっていないのです」
スポーツでもなんでもトップを目指すには才能が恵まれていることが必要だが、トップ以上を目指すためには、その才能を磨いて伸ばす才能が必要だとイチローは言っている。
この才能を磨いて伸ばす才能とは、具体的な例として、「今日は自分をほめてやりたい」と名言を述べた女性マラソンランナーがいる。彼女のメンタル面も含め、自分に目標を課し、それを達成しようとする自己実現能力もその一つだろう。
才能を磨いて伸ばすコーチングスキルが話題となる時代である。暴力はいかなる状況でも許されないが、一方でその暴力によらなければイチローの指摘する才能を磨いて伸ばす才能に目覚めない選手もいるようだ。
コーチングで重要なのは、イチローが指摘している才能を磨いて伸ばす才能をいかに目覚めさせうまく機能させることではないか。それが難しいから暴力に走るコーチが出てくる。
スポーツに限らず会社のOJTにおいてもコーチングが重要視されるようになった。そのような場面では、セクハラやパワハラをするつもりが無くてもコーチが不注意にスキル以上の指導に深く踏み込むと、それが発生してしまう時代である。
全く無能な人間はいない、という説教を法事で聴いたことがあるが、自らの才能に気がつかせ、それをうまく生かせるような能力を目覚めさせるコーチングの方法は、現場で学ばなければ身に着かない。
すなわち名コーチにスポーツ選手が多いのは、みずからが実際にプレーを必死で行って結果を出した経験があり、実戦で勝つためのその努力の仕方を知っているからだ。実戦で成果を出そうと努力した経験が無ければ育たない、科学では見えないコーチングスキルがあると思う。
組織での仕事で成果を出すには、機関としての組織をうまく活用することが大切である。しかし、それだけで非凡な成果は出せない。結局非凡な成果は、日々磨かれるべき個人のスキルに依存する。今日本の組織で求められているのは、個人のスキルを育て伸ばせるような組織である。例えば、今年のプロ野球セリーグの状況を見ていると、ピッチャーをうまく育てたチームが来年の優勝チームとなる。
(注)イチロー氏は時々コーチングの重要なポイントを発言しているが、必ずしもニュースではそれを伝えていない。イチロー氏に限らずそれなりの成績を残してきた野球選手の発言にはコーチングで育った経験からの発言が多い。
カテゴリー : 一般
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混練は剪断流動と伸長流動で進行する。これは混練を考えるときの基本である。このとき教科書の説明で信じてはいけないのが、剪断流動では分散粒径に限界があるので、伸長流動を用いなければナノオーダーまでの分散ができないとするキャピラリー数を用いた実験結果である。
2000年に推進された精密制御高分子プロジェクトでもこの点に果敢に挑戦した研究者がいる。産総研の研究者は、1000rpm以上で高分子を混練可能な混練機を設計開発した。その装置で実験を行ったところ、剪断流動でもナノオーダーまで混練できたのだ。
残念ながらその混練機は量産機に展開できない構造で、あくまで実験機だったが、剪断流動に分散粒径の限界が存在するとした従来の説を否定できたのは評価すべきである。
もっとも何も考えず二軸混練機を使っていると教科書に書かれた内容に納得できる結果しか得られない。山形大学の研究者による剪断力を高める混練方法が特許として公開されているが、この特許に注目すると、剪断流動の可能性を広げることができる。
当方はこの技術を剪断混練と呼んでいるが、高分子学会賞の審査会では分子の断裂が起きてダメだ、と笑われた。混練技術を実務として経験していなくて耳学問だけと思われた審査員の発言だが、その指摘を受けてから高分子を剪断混練したときに分子量分布を測定してみたが、決して分子量低下はしていなかった。
世の中にはステレオタイプ的な思考で新しい考え方や教科書に反した考え方をすぐに否定する人がいる。このような人は今回の本庶先生の受賞時の言葉をどのように批判するのだろうか。
カテゴリー : 高分子
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シリコーンゴムにはミラブルタイプとLIMSの2種類のゴムが存在する。ミラブルタイプは、通常のゴムと同じように高分子量のゴム分子を架橋して得られる。
LIMSによるゴムは、低分子量のシリコーンを重合しながら同時に架橋を進めて製造される。ゆえにLIMSのメーカーが異なるとできあがるゴムの構造は一次構造が大きく異なっている。
すなわちLIMSでは液状のシリコーンを用いるのでフィラーを添加しても高粘度とならず、注型による成形が可能となる。
しかしミラブルタイプは高分子量のゴムを用いるので、一般の架橋ゴムと同様に金型に入れてプレス成形を用いて製品となる。
このプロセシングの違いが生産性に影響する。ゴムの物性を問わなければ、一般にLIMS成形品のほうが低価格となる。
ところで困るのはLIMSについてシリコーンメーカーによりその設計思想が異なる点である。信越化学は、二官能のシリコーンと架橋剤でゴムとなるように設計している。
しかし他の2社は、三官能のシリコーンを用いて架橋もそれにゆだねている。教科書に即して考えると信越化学の設計に軍配があがるが、製造時の品質安定性という指標でみると他の2社に軍配があがる。
信越化学の製品が劣っているのかというとそうではなく、用途により最適なLIMSメーカーが存在する、という書き方で本日はお茶を濁す。LIMSの成形技術で困っている方はご相談ください。
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高分子の混練をなぜ行うのか真剣に考えてみた。混合目的でなくても一組成の高分子を混練しても意味があるのか、とまず考えて、光学用ポリオレフィン樹脂だけを混練してみた。
写真会社で、倉庫だった場所を改造した部屋が居室になった時である。丁寧に両袖机が窓際に置かれた。何をやっていてもよいと言われたので、ゴム会社の新入社員時代に学んだ混練の技術についてまとめてみようと思った。
フィルム技術は、写真会社に技術者や職人が余っている状態なので誰かがまとめるだろう。しかし、混練技術は、基盤技術も無ければ知っている人は当方しかいない。
ゴム会社ではセラミックスを担当していたので高分子材料技術の担当となる会社を転職先として選んだ。そのような気配りのためゴム会社の元役員にご相談したら、20年以上前の技術なので転職先で扱っても問題にならない、と言われた。確かに20年とは二昔であり、ゴム会社の混練技術も相当進んでいるはずだ。
そのときカモがネギしょって部屋に訪ねてきた、と言っては失礼になるかもしれないが、まさにそのようなタイミングよく相談の内容も至れり尽くせりの訪問だった。詳細な内容は少し差し支えるので省略するが、光学用樹脂の改良を相談されたのである。
写真会社には混練装置が無いので、試験用混練装置でよいから一式そろえてくれたらテーマを担当してもよい、と答えたら鍋から調味料まで一式用意してくれた。
この試験用混練装置で光学用樹脂だけを混錬したら驚くべき結果となった。これは当時学会でも発表しているのでここに書くが、部分自由体積の量が混練時間とともに減少するのだ。
そしてもっと驚かなければいけないのは、それが減少し安定化するのに30分程度かかるのである。一般のL/Dが40や50程度の二軸混練機では材料を投入してから出てくるまで3-5分程度である。
バンバリーでゴムを練る時なんかは3分程度である。すなわち部分自由体積の量が安定化するまで一般の混練プロセスでは、高分子を混練していないことになる。指導社員がロール混練を重視していた意味をよく理解できた。
この実験結果が頭にあったので、中間転写ベルトを開発していた時に、ペレットの一粒一粒の密度ばらつきを計測してみたら、大きくばらついていた。
この結果にはカーボンの添加量のばらつきも含まれているので、熱重量分析でカーボン量のばらつきを求めてみたらそれよりも大きくばらついていたのだ。
50歳前後のサラリーマンが窓際の席になり、時間を持て余す話はよくあるが、その後、この時ボーっと考えてみようと思っていた問題で忙しくなった。そして退職までの仕事は、それを特に希望していたわけではないが、混練が中心の仕事になっていった。
しかも、考える時間など無くなり、樹脂補強ゴムを開発していた時の様な本能的な仕事の進め方で肉体作業の連続のまま退職を迎えた。退職後は中国ナノポリスで窓際で考えたシナリオに基づき研究を進めた。中国で研究しなければいけなかったのは、日本で政府の補助金事業に応募しても何度も落ちたからである。
当方は重要だと思っているが混練など日本では必要のない技術と思われているのだろう。自信は無いが、この退職後6年間得られた成果から見ると、このような見識は間違っているのかもしれない。
しかし、自信のないことを積極的に提案するつもりは、もうないのでせめてセミナーや講演会だけでも活用して日本に貢献しようと努力している。来年には混練技術に関する書籍を出版する。
何も考えず肉体労働で仕事をやっていて少しある種の恐怖感を覚えたのは、新入社員時代の指導社員との会話で出てきたカオス混合を指導社員の期待通りに試行錯誤で実現できたことである。
30年前に現在の自分の姿を予測していたかのような感覚になると同時に、30年前の何もわからず指導社員に言われたまま活動していた時の記憶が鮮明に甦ったかのようだった。
また、当方がゴム会社でたった3ケ月しか担当しなかった混練技術について、もし、まとめようとしなかったなら、中間転写ベルトや環境対応樹脂など迅速に市場へ出せなかったかもしれないので、今から思い出しても不思議な体験である。
また、単身赴任中はよく徹夜をして過重労働を自らかして仕事をしていたので、正真正銘夢の中で仕事をしていたような気分である。
人生とは常に前向きに、そして腐ることなくチャレンジしてゆく姿勢が大切だと思った。また、どうしたら良いかわからなくなったなら、過去の成功体験を思い出してみるとよいかもしれない。すなわち温故知新である。
何か役に立つヒントをそこで見つけるはずで、若いときの厭世的な白日夢と異なり年寄りのそれは生きるための活力を求めるという意味で建設的である。
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9月は台湾ITRIからの依頼で講演会がありましたが、国内の参加者はいらっしゃらないと思い、案内を掲載しませんでした。10月には下記3件の講演会が開催されますのでご案内いたします。参加ご希望の方はお問い合わせください。また、弊社にて特別価格で行うセミナーもございますのでお問い合わせください。例えば高分子の専門外の方が高分子について学ぶ特別少人数セミナーを弊社事務所で休日の午後を利用して安価(15000円/1名、基礎の基礎編は時間が短く10000円です。)に開催しておりますのでお問い合わせください。また、企業向けの講演会も随時受け付けておりますのでお問い合わせください。
1.テーマ:リチウムイオン電池の信頼性向上・難燃化技術
開催日時:2018年10月9日(火)10:30~16:30
会 場:ちよだプラットフォームスクウェア 5F 503
〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-21
参 加 費:50,000円(税込) ※ 資料代含
弊社へお申し込みの場合には2割引きでご案内しております。
* アカデミック価格は 25,000円(税込)
2.テーマ:プラスチック/ゴムの劣化・破壊メカニズムとその事例および寿命予測法
開催日時:2018年10月19日(火)10:30~17:30
会 場:日本テクノセンター研修室
参 加 費:48,600円(税込) ※ 資料代含
3.KRIワークショップ’18
2018年10月24日京都リサーチパークで開催されますが詳細は直接KRIへお尋ねください。本件につきましては弊社で受付できません。
以上
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本庶先生は科学の研究を推進する姿勢について良いことを言っておられた。すなわち、自分の知りたいことを研究するという姿勢である。
科学とは真理を追究するのが使命の哲学であるから至極当然の言葉である。
しかし、研究者の中には自分のできることを繰り返している人がいる、とたしなめている。
当方もアカデミアの先生方の中に本庶先生が指摘されるような研究者がいることを残念に思っていた。自分のできることを繰り返しているならば、それは職人である。
これが分かっていない人が多いのではないか。企業の研究開発を担当している人にも職人は多い。
以前科学と技術についてこの欄で連載を書いているが、科学が真理を追究するのが使命ならば、技術は現象から機能を取り出すことが使命、と説明している。
この技術者の使命については、これまで著名な技術者が書かれた書籍を読んできて、その思想から思いついたコンセプトである。
技術者にとってそれが真理かどうかはともかくも、繰り返し安定に動作する新しい機能を取り出すことができれば大成功で、そこに進歩性があれば発明となる。
真理が不明な場合が多いので機能の動作にばらつきが生まれたときにその解決手法が要求されるが、真理の追究をしなくてもそれをできるようにしたのがタグチメソッドだ。だからタグチメソッドは科学というよりも技術の手法である。
技術者と自称している人の中にも職人の人が多い。すなわち技術者は自分のやりたいこと、やらねばならないこと、使命として求められていることを実現できる機能を取り出すことが仕事であるが、自分のできることあるいは自分のそれまでの経験の組み合わせで機能を実現しようとする人である。
技術者は自分の実現したい動作について諸事にとらわれることなく自然現象も含め多くの現象の中から、使える機能を取り出す努力をしなければならない。
このとき温故知新は凡才でもうまく機能を取り出すコツのコンセプトである。不易流動の現象をまえに俳句を詠むような気持で機能を取り出せばよいのだ。少し古くなったがピコ太郎のPPAPもよいヒントだ。
カテゴリー : 一般
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本庶先生に触発されたわけではないが、教科書を疑うことの必要を少し連載で述べてみたい。まず、高分子の混練技術について良い本が無い、というのが正直な感想である。設備屋により書かれた書物には二軸混練の実務で誤りを犯す危険のある書籍も存在する。また、間違いと言ってもよいようなことまで書いてある。
すなわちこれは実務に使えない教科書だ。そのような教科書の内容で頭がいっぱいになった技術者と議論し、らちが明かないので結局自分で混練のあるべき姿を追求し、数か月で二軸混練のプラントを稼働させて、中間転写ベルトの押出成形技術を開発した話を以前書いている。
この時二軸混練機を使うのは初体験のことであり、スクリューのセグメントを自由に取り換えることができることを知り感動している。なぜなら前任者から引き継いだ押出機ではスクリューは一本の金属棒からの削り出しで作られていたからだ。
前任者は長年押出成形だけを開発しており、スクリューの構造については自信を持っておられた。この前任者のすすめてきた開発方針をすべて見直し、中間転写ベルトの押出成形を成功させたい、それを実現するためには自分のできることだけでなくあらゆる可能性も含め何をやらなければいけないかを真摯に考えた。
その結果世の中のコンパウンド技術が教科書通りに発展しているので、それでは技術開発の成功は無いと判断し、外部のコンパウンダーに技術コンセプトの変更をお願いしたら「素人は黙っとれ」と言われた。
そこで、コンパウンドを外部から購入し、成形技術だけを開発していたスタイルをやめて、コンパウンド開発から成形技術開発まですべて行うスタイルに変更したのだ。
開発期間が1年もない中で、これは勇気のいることだが、ゴム会社の指導社員から指導された哲学、「混練はこのようにすべき」、という強い思いがあったからできたことだ。
これは自信ではない。ゴム会社の指導社員の哲学とその知識を信じての決断である。相撲道を追及して相撲協会を飛び出した貴乃花親方には及ばないが、ゴム会社の指導社員が目指していた混練道を少しこの欄で書いてみたい。
そもそも現在の二軸混練機は、豚肉や牛肉の加工機を元に発展してきた装置であることを知っておいてほしい。すなわち高分子のあるべき姿を追求して考え出された装置ではないということだ。
高分子に添加剤を混ぜるのによい機械が無いかと探したら、ミンチを大量生産している良い機械があったのでそれを改良して作り出されたのが二軸混練機である。
ハンバーガー程度であれば多少の混練機の違いで味が変わることは無いが、高分子のブレンドは、スクリューセグメントも同じで同じ型番の二軸混練機を用いても、レオロジー特性を評価すると異なる場合が出てくる微妙な技術である。
繊細な感覚の持ち主でなければわからない、というものではなく、射出成形体のばらつきとなって現れるから、誰でも気が着くはずだ。誤った内容が書かれた教科書で頭が満たされた技術者には、頭の中の知識でその感覚を阻害されたりする。頭の中が空っぽだった当方は混練技術者との議論の内容のおかしさにすぐ反応できた。
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9月は台湾ITRIからの依頼で講演会がありましたが、国内の参加者はいないだろうと思い、案内を掲載しませんでした。10月には下記3件の講演会が開催されますのでご案内いたします。参加ご希望の方はお問い合わせください。また、弊社にて特別価格で行うセミナーもございますのでお問い合わせください。例えば高分子の専門外の方が高分子について学ぶ特別少人数セミナーを弊社事務所で休日を利用して安価(15000円/1名)に開催しておりますのでお問い合わせください。
1.テーマ:リチウムイオン電池の信頼性向上・難燃化技術
開催日時:2018年10月9日(火)10:30~16:30
会 場:ちよだプラットフォームスクウェア 5F 503
〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-21
参 加 費:50,000円(税込) ※ 資料代含
* メルマガ登録者は 45,000円(税込)
* アカデミック価格は 25,000円(税込)
2.テーマ:プラスチック/ゴムの劣化・破壊メカニズムとその事例および寿命予測法
開催日時:2018年10月19日(火)10:30~17:30
会 場:日本テクノセンター研修室
参 加 費:48,600円(税込) ※ 資料代含
3.KRIワークショップ’18
2018年10月24日京都リサーチパークで開催されますが詳細は直接KRIへお尋ねください。本件につきましては弊社で受付できません。
以上
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貴乃花親方の提出した書類が退職届ではなくて引退届だったので受け入れられない、と相撲協会から発表の後、貴乃花親方側は粛々と廃業の準備を進め、昨日は講演会の方たちとの送別会が行われたという。
相撲協会側の慌てぶりが見える。サラリーマンの場合には、業務引継ぎなどを行う必要から退職の半年前に退職届を出すことになっている会社が多いが相撲協会のルールはどうなっているのだろうか。
また貴乃花親方は、記者会見で組織にいじめられていた報告をしているが、相撲そのものに対する不満を述べていない。むしろ弟子たちを思いやった言葉を述べており、そのあたりを中途半端だと指摘される方がいるが、当方は貴乃花親方の「本当はやめたくないが、今の組織体制では辞めるという選択しかない」という気持ちがよくわかる。
当方は二つの会社で退職願いを出しているが、ゴム会社には38歳の時であり、写真会社には56歳といずれも世間の常識からは中途である。いずれの会社も理由があったので中途であるが、後者は55歳から権利ができる早期退職制度を使い円満退社である。
すなわち、55歳になったところで担当部長という役職であり、ゴム会社では55歳役職定年にあたるので早期退職制度を使い辞めることを考え、役員と人事部に相談した。役員から環境対応樹脂の進め方の相談を受けたので、それを最後の仕事にしましょうということになった。
人事部は事務的に、定年では誕生日月となるが早期退職制度では3月と9月が退職日となります。どちらを選択されても、57歳で辞められるとちょうど20年です、と伝えてきた。そこで2011年3月11日を最終日と決めて直属上司に退職日の報告をしたら、早期退職制度では引き留めてはいけないルールなので残念だ、ともったいない言葉を頂いた。
当方も会社が嫌で辞めるわけでなく、ゴム会社で入社面接のときに社長になりたいと応えた思いを実現したいので起業することを伝えた。ゆえに写真会社は円満な早期退職であり、退職日には最終講演を2011年3月11日15時から準備していただいた。
ゴム会社の退職状況は貴乃花親方と似ており、それゆえ貴乃花親方の引退における一連の行動や無念の気持ちがよくわかる。もし協会内部でいじめが無ければ彼は退職という選択をしなかったと思われるし、協会のリーダーになる夢を持っていただろうと思う。
退職届ではなく引退届を出しているのもその表現のつもりだろう。彼は相撲を退職する気持ちは無いのだ。当方もサラリーマン研究開発職を辞める気持ちは無く、一方で高純度SiCの仕事を推進したセラミックスのキャリアからくる制限で高分子材料の研究開発を行える写真会社への転職を一年近く前に申し出ている。ただし、転職マニュアルに沿い会社名は伝えていない。
上司からは転職先を言わなければ退職届を受理しないとか、提出した退職願いは会社の所定の形式ではない、とか当初貴乃花親方状態だった。また、カーボンを製造している子会社の見学やらいろいろと会社に残る道を提示してくださり、遅々として退職手続きが進まなかった。
挙句の果ては、それまで一人で電気粘性流体と高純度SiCの住友金属工業とのJVの業務を担当していた状態を改善し、10名程度のプロジェクトの話が持ち上がった。ちょうど湾岸戦争がはじまったころである。
煮え切らないまま日々が過ぎたが、写真会社から10月1日までに入社すれば年末のボーナスを支給すると言われ、ゴム会社から年金手帳など退職の手続きが順調に進行しておれば頂ける書類一式を頂けないまま転職している。
当方が提出した退職届の日付は半年以上前であり、一応サラリーマンとして手順に則っていたが、すっきりしない退職だった。それでも転職した理由は、貴乃花親方の置かれた境遇と結局同じだったからである。
創業者の理念にあこがれた会社であり、その方針に沿って新事業を起業し、決して中途で退職などしたくなかった。また会社への悪い印象は持っていない。しかし研究所の組織風土があまりにも会社全体の風土と体質とは異なりすぎていた。
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