昨日この話題を書こうとカレンダーを見たらエイプリルフールなのでやめた。新元号の発表はエイプリルフールと関係なく行われているが、誰もエイプリルフールだと騒がない。
すでにスーパーコンピュータにより強誘電体薄膜が負の誘電率を示すことが、最近シミュレートされている。
誘電率は正のパラメーターとなるのが普通であるが、30年ほど前に電気粘性流体の開発を担当した時に負の誘電率が測定されてびっくりした経験がある。
導電性微粒子にシリカの超微粒子を傾斜組成で分布させて表面から内部にかけて10の11乗Ωから10の4乗Ωまで体積固有抵抗の値を変位させた粒子や、
超微粒子の粘土鉱物の層間にグラファイトを挿入し、それを分散した微粒子、すなわちあたかもナノオーダーのコンデンサーが分散したような微粒子を合成して測定した時である。
誘電率は正だから測定法がおかしいのだろう、と周囲の研究者に笑われたのでそのままにしていた。しかし、転職した会社で中間転写ベルトの開発を行っていた時に、また負の誘電率と遭遇することになった。
世間でもメタマテリアルで誘電率が負になる、ということで2000年以降指数関数的にそのような論文が増加しているのでおどろかず、じっくりと頭の中で温めてきた。
カテゴリー : 電気/電子材料 高分子
pagetop
高校に合格してすぐに合格祝いだと言って、父親は約束通り築15年程度の南側半分を建て直してくれた。そして10帖ほどの2階を当方の希望通りに設計してくれるという。
北側半分を建ててくれた工務店の社長と日曜日に建築の打ち合わせをするときには当方も同席させてくれた。
当時オーディオがブームになり始めてきたので、勉強部屋をオーディオルームにしたい希望を話したら父親から猛反対にあった。あくまで勉強部屋だという。
その時工務店社長が気を使ってくれて、二階部分の影響で北側二階が陰になるから北側と廊下の幅ほど空けて屋根を斜めにするとよい、という提案をしてくれた。
工務店社長の提案を取り入れ、押入れを大きくとると間取りは6帖ほど残るので悪くない案だった。
出来上がった図面を見て驚いた。当方の希望を取り入れて、天井が斜めになっており、部屋の形状は理想的なオーディオルームそのものだった。
窓にはカーテンレールが二本設置され、お小遣いで吸音用のカーテンを内側につければよい、と耳打ちしてくれた。部屋の扉も重く設計してくれるという。
カテゴリー : 一般
pagetop
小学5年生の時、自宅が半分改築された。もともと自宅は、名古屋大空襲の後すぐに建てられた北側半分とその10年後建てられた南側半分の構造になっていた。
子供のころから、1件の家でありながら住み心地の違いに違和感を持っていた。しかし、終戦直後建てられた北側部分を壊している光景を見て驚いた。隣の家と一体建築だったのだ。
それだけではない。家の基礎などなく、柱は漬物石程度の大きさの石の上に立っていた。まるで木造船の様な構造の家だった。
建て替えられた家には立派な基礎部分があり、屋根瓦は大工が言うには耐震対策を考えた軽量瓦だという。
確かにスレート瓦よりも軽くて色合いが豪華だった。立派な基礎部分も大工が考えた耐震構造だという。大工の棟梁は工業高校卒で父親の後を継いで新たな工法で家を設計していると自慢していた。
そして、自分のことを大工ではない、工務店の社長だと言っていた。有限会社の工務店には若い職人が5名ほどそこで寝食を共にしていた。
工務店の社長が自慢していただけあって、新築の家は冬でも暖かく快適だった。今度は南側部分との住み心地の違いが気になった。
父親は当方が高校に合格したら南側部分を二階建てにして、勉強部屋を作ると約束してくれた。東京オリンピックも開催され、バブル経済へ向かって日本が走り始めた景気が上向きの時代だった。
カテゴリー : 一般
pagetop
高分子の混練は、混練機で発生するエネルギーを高分子が受け取り発生する剪断流動と伸長流動により進行する。
ここでよく知られた伸長粘度は剪断粘度の3倍と言う法則(Trouton則)があるが、実際の高分子の混練ではこの法則が成立しない。
その原因は伸長流動に弾性項も含まれるためだが、これはゴムひもを引っ張ってみれば簡単に体感できる。
ゴムひもは加硫されている高分子だから、それは違うだろう、などという細かいことは考えず、少し引っ張るだけでも伸長流動が単純に粘度だけでは説明がつかないことに気がつく。
この段階で、さらに細かい突っ込みを言いたくなる人は、この先を読んでいただく必要はない。
なぜなら科学の難しい話をするつもりはなく、現象をうまく捉えるコツをお話しするのが目的だから。
世の中にはいろいろな人がいる。教科書に書かれていることは絶対に正しくて、それに反したことをいう人を無知と決めつけるような人から、最初から教科書など信用せず、経験こそ命、といった職人肌の人までさまざまである。
これは、知識に対する認識の違いから来ていると当方は考えているが、ある現象に対峙したときにこの認識の違いが大きく影響するから技術開発において問題となる。
剪断流動と伸長流動について、前者の理解についてはそれほど認識の違いでばらつかないが、後者については弾性項の存在を意識するかどうかで混練で引き起こされる現象から機能を拾い上げる能力に差ができる。
すなわち、現代でも科学で十分に説明しきれていない分野について、過去の形式知の延長線上で現象をとらえようとする姿勢と、過去の形式知を批判的にとらえ、目の前の現象との比較に努力する姿勢では、発明や発見の機会に大きな差が出る。
手元のゴムを引っ張るという作業においてもそこに現れる現象に過去の形式知と異なる知を見出せるかどうかは、その作業に対する姿勢で決まる。
その姿勢に対して、過去の形式知を振り回して批判ばかりするような人には、遭遇した現象から新たな機能を拾い出せない。これについてはドラッカーも「頭の良い人ほど成果を出せない」とばっさり切り捨てている。
カテゴリー : 高分子
pagetop
日産「リーフ」は電気自動車としてよくできている。「走る」「止まる」「曲がる」の基本機能において、「止まる」にイノベーションを起こした。1ペダルで踏み込めば発進と加速、緩めれば減速と停止まで行える。早く減速したければ、そのためのブレーキもついている。
これまで、ハイブリッド車でペダルを踏み間違えたときにそれに気がつきにくいこと、それゆえ踏み間違いは暴走につながるので危険だが、その原因について、二つのペダルで機能の振り分けがうまくされていないことを指摘している。
リーフの様な形式であれば、踏み間違えることはない。すなわち、加速と停止動作が異なるからだ。ガソリンエンジンのオートマチック車の場合には、エンジンブレーキを使用して減速する習慣にしておれば、踏み間違いに気がつく。
そもそも動力が変わる時に、なぜ各種操作方法を安全側に見直さなかったのだろう。ハイブリッド車が現在の様な操作方法を今後も続けるならば、押しやすいところに「非常停止ボタン」をつける必要があると思っている。
あるいは「止まる」機能について、安全側に考えられた新しいシステムに変更すべきである。昔、ハイブリッド車には興味があったが、今は、とりあえず試乗をしてみるが、「止まる」機能の改善がされない限り購入しない方針である。
自動車は、昔ペダルが3つもついていた。しかし、踏み間違いの暴走が起きにくい仕組みだった。これは設計者が意図したのではなく、レシプロエンジンの特性から自然と生まれたものだ。すなわち、ペダル操作を誤ればエンストを起こし、車は止まる。止まることが優先されていた。ハイブリッド車は燃費優先のペダル機能である。
カテゴリー : 一般
pagetop
本日は、高分子の難燃化セミナーを品川区大井町きゅりあんで行います。ところがセミナーの前にショッキングなニュースが飛び込んできまして、あせりました。このショッキングなニュースとは、大塚化学がホスファゼンの国内販売を中止する予定というメールである。
大塚化学は、ホスファゼンが無機高分子として注目されていた1980年代初めから事業を行ってきた企業である。おそらく会社のホームページでも詳細発表があると思われるので、この件はここまで。
高分子の難燃化技術においてホスファゼンは臭素系難燃剤よりも環境負荷が小さく重要な素材である。しかし、価格が高いので、1980年代に多くの会社が参入したにもかかわらず、現在国内で事業を展開しているのは3社だけである。
当方はホスファゼンについては、大塚化学が研究開発をスタートする以前から大学で研究をしていたその道の専門家の一人であるが、ゴム会社でこの化合物で変性した難燃性軟質ポリウレタンを開発して始末書を書いた実績がある。
始末書の原因は、試作がうまくいったために上司が川下部隊へ喜んで報告したためだ。当時ホスファゼンが市販されていなかったために、それが大問題となった。
市販されていなかったホスファゼンを当方は自分で合成し、上司もそれを見ていたはずであるが、企画提案から試作成功までが4ケ月という短期間だったために、当方が合成していたことなど忘れてしまったようだ。
もっとも当方はホスファゼン変性軟質ポリウレタンフォームという魅力的な発明のために昼夜実験を行い、ほとんど徹夜状態で工場試作まで持ち込んだのだが、工場試作を決定したのは上司である。
しかし、なぜか試作を行った責任が新入社員にある、ということで、当方は最初で最後の始末書を書くことになった。ただ、この始末書では普通に書いては面白くないので、ホウ酸エステル変性軟質ポリウレタンフォームの提案を始末書で行っている。
面白いのは、ホウ酸エステルも市販されていない化合物だったのだが、ただホウ酸とジエタノールアミンをかき混ぜているだけでできる、ということで企画が採用された。
矛盾を感じつつもこの仕事も一生懸命過重労働で半年もかけずに試作を成功させて、そして実用化された。ちょうどそのころ大塚化学よりホスファゼン開発のニュース発表があった。
カテゴリー : 高分子
pagetop
熊本地震に関する論文において、京都大学で捏造や盗用があった。中には東大の研究者の写真をひっくり返して盗用していた悪質な捏造もあったという。
それを指摘された研究者は、事実を認めたけれど、「結論は間違っていない」と寝ぼけたことを言っている。このような場合には、謝罪だけが社会に受け入れられる研究者として真摯な姿勢である。
京都大学の調査結果は、「林教授は東京大教授らが作成した地下の断層の状況を推定した図を引用したが、左右を反転させて掲載していた。地震を引き起こした地下の震源の位置が大きくずれるなど、結論を導き出す前提に問題が見つかった。防災科学技術研究所が公表している図を書き写している箇所も複数あった。」(3/27日経電子版より)
科学では結論を導き出すための論理について厳格でなければ結論の信頼性がゆらぐ。調査結果は単なる不注意ではないと認定した結果と思われるが、研究者に対する厳しい処分が必要である。
この場合に研究者が指導者であった場合には、その後の発言内容も含め降格もしくは退職勧告をアカデミアはすべきだろう。企業同様の厳しい対応をしなければアカデミアを守ることができない。
約30年前になるが、学位を出すから生データを見せてほしい、と言われ、生データを渡したところ、当方を第二著者として論文を書いた失礼なアカデミアの研究者がいた。
大変良くできた研究だから論文として早く発表すべきなので書いてあげた、第二著者でも学位論文に影響は無いから、と訳の分からないことを言っていた。
アカデミアには昔から常識はずれなおかしな研究者がいる。それだからアカデミアだ、という方もおられるが、今は、アカデミアにも社会常識が要求される時代である。だから論文捏造に対しても厳しくなってきた。
STAP細胞事件では学位取り消しになっている。ちなみに、論文を勝手に出された当方は、奨学寄附金も要求されたのでその大学に学位審査をお断りし、スタッフがそろっていて高純度SiC合成法はじめ新概念のプロセシングを正しく審査できる中部大学で、審査料8万円だけで学位を取得している。
かつては学位審査にかこつけた悪質バーのような国立大学もあった。今は国際的な大学の格付けが発表されたりする時代である。不祥事の対応は重要である。
カテゴリー : 一般
pagetop
ドラッカーは、20世紀に人間の寿命が組織よりも長くなった問題を指摘している。
すなわち、昔は平均寿命が短かったから、企業を退職して10年から20年で人生を終えることができたが、今や人生100年時代である。
65歳で定年退職してから、まだ35年も生きてゆかなければならない。70歳定年制が議論され始めたのは、単なる労働人口の問題だけでなく、人生が長くなった問題も含んでいる。
イチロー選手が引退したからと言って野球をやめるわけではない、といった発言はサラリーマンに参考になる。彼はさらに、明日も忙しく運動をしているでしょうね、とも発言している。
亡父は100歳で死ぬまで読書を続けていた。また、郵便局のポスター書きを80歳前後までしていた、と話していた。
たいしたお金にはならない仕事でボランティアだったが、それでも体が動く間は社会に貢献したい、という思いだったのだろう。
ドラッカーは知識労働者の寿命が長くなる問題を社会問題として提起していたが、自分の強みを組織の中で見いだせることが重要とその一方で語っている。
すなわち、組織で働いている間に自己の強みに早く開眼し、それを人生の中心にすえることが人生100年時代に重要になってくる。
カテゴリー : 一般
pagetop
先週末のイチロー選手の引退会見における発言には、よく考えるとサラリーマンに参考になる考え方が多い。
野球というスポーツは個人のスキルの優れていることがチームにとって大きな貢献をもたらす特徴がある。
他の多くの集団スポーツでは、ある一定の水準以上のスキルを持った選手が集まった場合にチームワークの強いチームが勝利の確率が高くなる。
野球ももちろんチームワークは重要だが、ずば抜けた力量のピッチャーや4割を打つようなバッターが一人おれば、勝利の確率は高くなる。
企業活動は野球に似たようなところがあるので、一時期企業研修にプロ野球関係者がもてはやされた時代があった。
イチロー選手の発言のなかで特に今の時代のサラリーマンに参考になるのは、「引退したからと言って明日から何もやらないわけじゃない、明日も野球をやっていますよ」という発言である。
ここでイチロー選手が今回の引退を野球選手の引退として捉えていない考え方に気がつく。
シーズンを戦う野球選手を引退しても、それは野球選手を引退するわけではなく、自分の人生すべてが野球選手、という自信すら彼の発言から感じることができる。
現代の労働者は知識労働者、と指摘したのはドラッカーだが、会社を退職したからと言って、知識人でなくなるわけではない。
カテゴリー : 一般
pagetop
世界選手権が土曜日に終了し、昨日はエキシビジョンが行われた。今回の世界選手権は、結果の話題に事欠かない。
日本人女子選手は、残念ながら3位以内に誰も入れず、男子は羽生選手が銀メダルで終わった。
日本開催にしては少し寂しい結果となったが、新陳代謝の激しいフィギュアスケートの世界では、日本スケート連盟の思い通りにはなかなか進展しない。
女子フィギュアスケートも4回転時代が到来し、4回転が飛べない選手として優勝したザギトワは、16歳にして引退を考えることもできる。
何も引退をしなくてもまだ戦える、という人がいるかもしれないが、それは選手本人が考えることである。
おそらく当方がザギトワならば4回転にチャレンジする道を選択するだろう。しかし、彼女は16歳の少女でこれから体形変化でジャンプに苦しむ年齢になる。
さらに、厳しいチャレンジの道を歩む必要もないほど彼女はすでにトップスケーターに必要なすべてのタイトルを16歳にして獲得している。ゆえに未練なく引退を選ぶことができる。
同様の理由で、今回負けた羽生選手についてオリンピックで金メダルを取った時に引退の話題が出たりしている。
ところで、彼についてファンは今回の結果を残念に思う必要は無い。彼のこれまでのキャリアと年齢、そしてケガの状態から、もし今回優勝していたら引退を言い出していたかもしれないからだ。
おそらく彼のチャレンジ精神により今回2位という成績で引退を考えないだろうから、来シーズンも羽生選手とネイサンチェンの戦いを見ることができる。
ライバルのネイサンチェンは、「幸いにも今日はくまのプーさんもリンクの片側に寄っていたので、ウォーミングアップがしやすかったです。」と挑発的な発言をしている。
おそらく羽生選手は、この発言を聞き、来シーズンはスケートリンクをクマのプーさんで埋め尽くす決意をするかもしれない。
勝負について日本人には残念だったかもしれないけれど、そこから来シーズンを予想すると夢を持てるかもしれない。
カテゴリー : 一般
pagetop