入江選手は残念ながら派遣標準記録に達せず、オリンピック内定とならなかった。池江選手は50mの代表切符を逃がし涙しながら「高校生の時は寝たら回復したけど、寝たら体が重くなる感じ」と体の変化を痛感したという。
大橋選手も瀬戸選手も得意の400mメドレーで失速し、200mでかろうじて代表切符を手に入れた。鈴木聡美選手は33歳という高齢で代表切符を2枚奪取している。
スポーツは才能と肉体の両者がうまく調和した時に最高の結果が得られる。水泳というスポーツならばさらに努力がその結果を左右すると言っても誰も否定しないだろう。
陸上で生活するように進化した人間が水の中で能力を発揮するためには、水の中での動きの工夫が必要である。陸上競技との大きな違いがここにある。だからと言って陸上に努力が不要とは言っていない。
100mを9秒台で走るためには、才能と肉体だけではだめなことは人生を通じて10秒台さえ出したことが無いのでよくわかる。
しかし、水の中では浮くことだけでも精一杯であることは、水の事故が多いことから知ることができる。陸上の交通事故の多さと比較しても意味が無い。水の中では人間の能力発揮に努力が必ず必要と捉えるべきだろう。
このように考えてくると、50m終了後の池江選手の涙は複雑であることが伝わってくる。凡人にそれが理解できるとは思わないが、瀬戸選手の笑顔より複雑であることが伝わってくる。
入江選手の笑顔には、どことなく悲しさがあった。大橋選手はわかりやすい笑顔だった。スポーツ観戦は生に限る。芸術同様に様々な感動を与えてくれる。
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科学的に証明されたホウ酸エステルとリン酸エステル併用系の技術について、データサイエンスを用いホウ素とリンの難燃化寄与率を40年以上前に求めている。
すなわち、マテリアルズインフォマティクスを40年以上前から実施していました、という内容が3月20日の発表です。これだけではつまらないので、今流行の深層学習の手法で解いた結果も加えました。
機械学習を研究対象にされている方の感情を逆なでするような発表になっては申し訳ないので、ここにタグチメソッドの結果も加え、3種類のデータサイエンスの手法の比較、という内容でまとめている。
30年以上前に転職した時の学びを活かして発表しましたところ、座長がツボをついた質問をしてくださった。樹脂補強ゴムの開発ではどのようにデータサイエンスを活用したのか、という、待ってましたと言いたくなる良い質問です。
データサイエンスを科学の研究に導入するときに注意しなければいけないのは、味噌糞一緒にデータを処理してはいけない、という点である。すなわち、データマイニングにより得たい知の目標に応じてデータを前処理する必要がある。
昔は、データベースなどという言葉でデータをひとくくりとしていたのですが、今はデータウェアハウスという呼び方になっているのはこのためだ。
すなわち、発表では詳しく説明できなかった、データサイエンスを研究開発で活用するときの大切なノウハウの部分を丁寧に回答しました。
40年以上前からデータサイエンスを活用していました、と自慢しているような回答となりましたが、発表を盛り上げていただき座長をやられていた斎藤先生に感謝しております。
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この10年、マテリアルズインフォマティクスの講演が多くなってきたが、中には学会で発表するには疑問のある内容を見かけるようになった。
そもそも、データサイエンスを科学の研究の場に導入する意味を正しく理解していないと思われる研究者も増えてきた。
まず明確にしておきたいが、イムレラカトシュが指摘しているように、科学の方法として完璧な方法は否定証明である、ということを充分に理解していただきたい。
当方は、「電気粘性流体の耐久性問題を界面活性剤で解くことができない」という否定証明された現象について、データサイエンスを用いて一晩で「耐久性のある電気粘性流体を界面活性剤の添加で実用化レベルまで仕上げた。」
その結果、非科学的方法で事業を立ち上げようとしたとして、ゴム会社の研究所で袋叩きに合い、写真会社へ転職している。30年以上前、科学こそ日本を発展させる、と多くの企業は盲信していた時代の事件である。
「技術の日産」と、明確に「技術開発で科学を利用しようと」している企業は、少なかった。科学を追及している企業が日本に多かったために失われた30年となった。事業を支えるのは技術である、とようやく声を出して言える時代が日本にも来た。
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当方のノウハウでさらに社会に貢献しようと形式知の部分について学会活動も始めました。経験知につきましては、トラブル解析の実務について概略をまとめてみましたのでご活用ください。今後高分子材料の寿命耐久性評価法や破壊に対する考え方についてもまとめる予定でいます。また、セミナーも皆さんのリクエストにより行ってゆきますのでご相談ください。
2024年3月現在、Amazonの電子書籍Kindle限定で販売中です。
価格は2,000円となっております。
下記は書籍目次と索引のサンプルになります。
書籍タイトル及び最終ページをクリックすることで、販売先サイトへと転送されます。
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金属やセラミックスでは非破壊検査が可能なので市場におけるトラブルを防止できる。また、その努力を怠ったときには、それなりのペナルティーを受ける。
いわゆるPLの問題なのだが、破壊に関する形式知の成果として、圧力隔壁の破壊により御巣鷹山で墜落した飛行機事故における裁判がある。
この裁判では金属のフラクトグラフィーが証拠として活用された。すなわち、材料の破壊に関する科学の偉大な成果である。ところが、高分子材料では未だにこのような成果が出ていない。
出ていないというより、未だ出せないのだ。そのあたりの話を来週火曜日に開催される技術情報協会のセミナーで詳しく解悦する。また、デンソーのガソリンポンプのトラブルで発生したホンダのリコール問題についても触れる。
PPS成形体の密度管理を怠ったために発生したリコールだが、実はそれだけではない問題についても解説する。弊社の開発したPh01という添加剤は一つのソリューションだが、来週火曜日(3/26)のセミナーに参加希望の方は弊社へ問い合わせていただきたい。割引券がございます。
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日本でマテリアルズインフォマティクスが流行して10年になるが、うまく活用されているだろうか。マテリアルズインフォマティクスと舌を噛みそうな分野名だが、要するにデータサイエンスで材料科学に新たな知を確立しましょうという意味である。
この10年は第3次AIブームでもあり、深層学習の手法花盛りとなったが、必ずしもその手法がベストではないことを御存じだろうか。
もし、現象に潜んでいる機能が単相関でグラフ化できるならば、多変量解析でさらっと問題を解いた方が良い。またデータも少なくて済む。
当方が、科学で否定証明された電気粘性流体の耐久性問題を主成分分析で解いたのは、300個ほどのデータを使っている。一番時間がかかったのはMZ80Kにデータを打ち込む作業だった。
8ビットCPUで300個のデータを多変量解析するのに1時間もかからなかった。これを例えば深層学習で良く用いられるアルゴリズムを使用するならば、その最適化のために1週間はかかったかもしれない。
本日日本化学会の年会で昔開発したホウ酸エステルとリン酸エステルの組み合わせ難燃剤の解析について、今の時代考えられるデータサイエンスの手法3種で行った結果を発表している。
この時、深層学習のアルゴリズム最適化には1日もかからなかった。1週間程度の研究成果をB講演で行っては顰蹙を買うかと思っていたら、それなりに関心を持っておられる方から挨拶を受けて感動しました。
若い時に小生が学会で発表した講演では、必ず部屋が満員になってそれなりに満足していましたが、本日は休日の朝いちばんの影響もあるかもしれないが、まばらでした。それでも丁寧に聴いてくださった方がおられ聴講者の数ではないことを改めて納得しました。
若い時には、ゾルゲル法やセラミックスフィーバーの最先端研究をテーマとしていたのでそれなりに小生の研究に関心が集まっていたと思われる。またセミナーを依頼された時にも40人以上集まるほどの人気者でした。
コニカへ転職後、部下にもこの感動を、と思って学会活動に力を入れようとしましたが、ゴム会社とは異なる風土のため、少し遠慮しました。それでも部下の一人が講演賞を受賞してくれたり、写真学会の招待講演のきっかけを作ってくれたりと、あまり書きますと自慢話になりますのでここまで。
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ダッシュポットとバネのモデルシミュレーションから、ゴムを樹脂で補強すると架橋密度とカーボン量の調節では難しい物性を実現できることが分かっていた。しかし、ゴムと樹脂を組み合わせてもTgが大きく異なるので、混練で樹脂をゴムに分散するには工夫が必要となる。
工夫して樹脂をゴムの中にうまく分散できても耐久寿命まで満たした良い物性のゴムとするためには、ゴムに適した樹脂の選択が重要だった。
うまく分散できるゴムに適した樹脂とはどのようなものかはシミュレーションからは出てこない。フローリー・ハギンズ理論から相溶性の良い樹脂がよさそうなことは想像でき、いくつか樹脂の候補を選択することはできる。
しかし、それ以上の情報をえるためには、やってみなければ分からない世界である。この時、科学にこだわれば仮説を立てながら実験を進めることになるのだが、仮説が外れたときのデータは無駄になったりする。
ところが、仮説が外れたデータにも役に立つ情報が隠れている。それは、うまく物性を満たしたデータとダメなデータを主成分分析すると予期せぬ分類がなされた因子として見えてくる。これが、新たな仮説を立てるためのヒントになる。
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本日から日本化学会春季年会が始まる。当方は20日9:00の発表に備えて、本日は手続きのみで帰宅予定だが、学会の参加手続き等がこれほど面倒になったのか、とため息をついている。
発表申し込みから何もかもがインターネットでできるので便利に感じる。また、予稿集その他もインターネットからダウンロードでき、重たい冊子を持ち歩かなくても良い。
一見良くなったように見えるが、実はこれが不便なのだ。いや、以前より不便になったことに気がついた、と言った方が正しいのかもしれない。
以前は郵便を投函し参加申し込みすれば、参加証も含めすべて郵送されてきたが、この参加証を自分で印刷しなければいけないのだ。
また、事前に参加申し込みをした場合に限るが、当日の会場その他の情報が記された冊子が送られてきて、それを見れば発表当日までの行動について、情報の漏れなど気にする必要は無かった。
今は、それらをインターネットのしかるべきサイトで調べなければいけない。また必要に応じて自分でプリントアウトしなければいけない。便利になったように見えるが、いくつかのサービスが無くなっている。
それを合理化と言ってしまえば聞こえが良いが、実は「不便」になっている。一つ一つは少しの不便だが、学会の参加に関わる個人の処理を見てみると大変不便になっている。
久しぶりに学会発表をやろうと燃えて準備をしてきたが、過去の手続きとの比較でサービスが極端に悪くなっていることに気がついた。
おそらく大学の先生方は毎年手続きをされてきたので、少しずつの変化だったかもしれないが、20年ぶりの手続きでサービスの低下ばかりが気にかかる。
学会のサービスに驚いたついでに、日々の生活について見渡してみると、郵便事情が極端に悪くなっている。昔1日か2日でついた手紙が今は最低3日かからないと都内でも届かない。
子供のころ東京から名古屋までの郵便物は3日かかっていた。それが郵便番号の導入でいつの間にか1日となった。この時は技術の進歩の恩恵を感じたが、最近の郵便事情は何と表現したらよいのだろう。
DXの進展で世の中サービスが進歩しているような錯覚に陥るが、細かく見てみるとサービスが悪くなったり、知らずにいると何もできなくなる社会に向かっているような、そんな錯覚を学会の手続きで味わった。錯覚であってほしいが。
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データサイエンスを用いると大量の数値データに存在する隠れた機能なり因子を見つけることができる。すなわち、データに対して処理を行い、回帰式を求めたりデータの分類を行うことによりそれが可能となる。
多数のデータの中から因子を見出す方法としてマハラノビスのタグチメソッドが有名であるが、因子に優先順位をつけて整理したい時には、主成分分析が便利である。
研究所で集められたデータは、ある仮説に応じて実験が組まれ、その結果得られたものである。そのような、データ群に対してもデータサイエンスは有効であり、仮説に隠れていた因子を見出してくれる。
新入社員のスタートをゴム会社の研究所で研究員スタッフとして配属された。初めての指導社員は優秀なレオロジストで、ダッシュポットとバネのモデルを使ったシミュレーションにより新しい防振ゴム用のゴムを設計し、その実際の配合を行うのが小生の仕事となった。
シミュレーションデータから防振ゴム用のゴムのあるべき姿が描かれた。それを実現するために従来技術であるカーボン量と架橋密度のコントロールが行われるが、この方法では限界があるので、樹脂とゴムのポリマーアロイを開発するのがテーマの目標だった。
しかし、樹脂とゴムをただブレンドしただけで、いつでもあるべき姿を実現できる配合とはならなかった。そもそもTgが大きく異なる樹脂とゴムを均一に混練するスキルが必要だった。
スキル向上のため混練を繰り返すことになる。同じ配合だけ練っていてはもったいないから、様々な樹脂との混練を繰り返した。データが多数集まった。
このデータの中には、スキルに関する因子以外に樹脂の種類やその他の因子が含まれている。ばらつきも含め、ただデータ群だけを分類するならば、判別分析やマハラノビスの距離を求めることになる。
しかし、全体の変動に大きく寄与している因子を探すならば主成分分析となる。混練の練習を2週間しただけで、樹脂補強ゴムの特性やその設計因子がデータサイエンスにより見出された。
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現象を眺め、そこから新しい機能を取り出したい、あるいはそこに関わる未知の因子を見つけたい時には、現象から得られたデータについて回帰と分類ができれば目標を達成できる。
そのために、重回帰分析と主成分分析を学ぶのである。回帰と分類であれば、機械学習という説明をしているデータサイエンスの教科書もあるが、それは偏り過ぎである。
このあたりの考え方について実例をもとに来週の日本化学会春季年会で発表する。多くの現象から機能を取り出したいときに線形一次で機能する現象以外を取り出しても使いにくい。タグチメソッドでも線形一次の現象を暗黙に前提にしている。
それでも要因効果図には不思議なグラフが現れたりするので、自然現象を把握し解明することは難しい。難しいので、それを解けるようにモデル化する考え方が大切になってくる。
このモデル化は仮説立案作業とは同義ではない。自由に現象を捉え、みたままをモデル化するのである。キャンパスに向かう画家は、いつも自由であるので名作の鑑賞はこの訓練となる。
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