この逆向きの推論については、第一次AIブームの時に研究されている。そして、有機合成分野では、コーリーが逆合成という考え方を提唱し、第二次AIブームでは、それがエキスパートシステムとして登場している。
コーリーの総説も1980年ごろ発表されるのだが、第一次AIブームは1960年末から始まり、コーリーの最初の提案は1970年代初頭に行われている。
そして逆合成の考え方を実現するために、多くのシントンを合成する手法がブームとなっている。すなわち、逆合成を実現するためには、逆向きに考えられた多くのシントンについて、合成できなければいけない。
その結果多数の有機合成反応が開発され、その機構も明らかにされて、有機合成ロジックは形式知として1990年代に完成する。これが有機ELの発明にも寄与し、液晶から有機ELへの変革は急速度で進んだ。
第一次AIブームの日本へ与えた影響は情報工学という分野について大学学部新設ブームを促すにとどまっている。当方も学生時代であり、論文を読みシクラメンの香りについて逆合成で行って卒論とした程度である。
コーリーはノーベル賞を受賞するがAIの成果ではなく、プロスタグランジンの全合成という成果である。もっともこれが成功したのは、逆合成の成果であるが。
第二次AIブームで日本は国研をスタートしているが、ピンボケの結果に終わっている。TRIZもブームになっているのでご存知の方もおられるかも知らないが、科学の時代真っ只中の日本の状況で無駄なブームだったと思っている。アメリカではトランスサイエンスやインターネットの研究が行われていた。
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2月9日に執行された表題の結果が公開されたが、国民民主党の躍進を裏付ける結果となっている。自民党の候補がいない中で、国民民主党と共産党、立憲民主党、日本維新の会の4党の争いだった。
それぞれの得票数は、15250,11316,6386,5342である。立憲民主党と日本維新の会の得票数を足しても当選者の得票数に届かない。
現在の国民民主党の人気の高さを示すに十分な結果で、関東では日本維新の会の人気が無い中で立憲民主党に迫る得票数は、評価されても良いのではないか。
今回、投票率が23.8%と、前回の41.3%より低いのは自民党の候補がいなかったためだろう。この選挙結果は自民党の受け皿となる野党を占う結果であり、国民民主党がトップとなるのは現在の政局から予想ができたが、しかし立憲民主党の2倍以上の得票は凄い。
玉木代表の不倫報道があってもこれだけの得票率なので、国民民主党への期待感が高いと思われる。ローカルな選挙でありあまり報道されていないが、野党に期待されている方やアンチ自民党の方は注目すべき結果である。
共産党の得票率よりも立憲民主党が低いのである。日本維新の会については、立憲民主党の獲得した票数に近いので頑張った結果だと思っている。万博が始まった時に前売り券が残っていたら、恐らく日本維新の会の得票はもっと下がるのかもしれない。万博=日本維新の会という印象が強いので、前売り券の営業に頑張らないと参院選へ影響が出る。
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木曜日に別々の会見が行われたが、ホンダと日産の話し合いが決裂し、日産社長の資質がニュースになっている。良いことが書かれているニュースはない。ほぼダメ社長と各ニュースは伝えているのだろう。
しかし、ホンダも褒められたものじゃない。喧嘩別れに近い状態だった。別れ方をもう少し考えてほしかった。さらに日産社長はダメだとほのめかすことを記者会見で述べている。
昨日決めたことが、今日の会議でひっくり返っている、とホンダ社長は日産社長との話し合いの状況を記者団に打ち明けていたが、いわゆる伝書鳩社長と言っているようなものだ。
確かにダメな社長かもしれないが、一応日産で出世して社長になられた方なので、それなりの敬意を示してあげても、と思ったのだが、よほど腹が立ったのだろう。共倒れを恐れ日産に決断させるために早々と子会社化を持ち出した可能性がある。
日産の経営資産は、現在の企業規模とその位置づけから日産だけのものではない。ホンダ経営者はそこを考えることができなかったのか。せめてコニカとミノルタの統合のような円満な協議にできなかったのか。
このホンダと日産の提携話はご破算になったが、日産の今後の動向は、社長のリーダーシップだけでは難しい、というのが多くの記事で語られている。ホンダから無いに等しいと否定されたリーダーシップではなお厳しいのだが—
今回の提携破談において、このようにニュースで報じられてきたので、日産の経営実態を世間が知ることになった。せっかく良い製品を世の中に生み出していても、その良さがうまく伝わらないどころか倒産の危機である。
ゴーンが社長になった時、すぐにリストラが断行された。しかし、リストラしすぎたのでその舌の根の乾かないうちに、リストラした中堅技術者に「戻ってこい」という手紙をばらまいている。
当時はSNSが無かったので話題になっていないが、今なら笑い話になっていたかもしれない。リストラされて国の研究所へ転職された優秀な方から、ゴーンの署名の入った手紙を見せていただいたが、朝令暮改のような意思決定の速さだった。
かなり多数の方に配布されたので週刊誌で話題になってもよさそうだと当時思ったが、手紙を受け取られた方はそれを公開されなかったのだろう。ただ、社長とはゴーンのように節操がないくらいの意思決定と実行ができなければいけない。伝書鳩社長では迷走状態になるだけである。
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学校では教えない逆向きの推論について、受験参考書は丁寧に解説していた。すなわち、逆向きに推論を行えば、答えのみを考えることになり、その考えた道筋を逆にたどれば、問題の答えになる、という。
すなわち、「AならばBである」という証明問題を考えるときに、Bから考えてAにその推論を展開したあと、Aから逆向きにBへたどるとそれが答えになる、という仕掛けである。
そして、仮定から前向きに推論を進めるときには、可能性のある推論を幾つか建てることになり、効率が悪い、とも説明していた。すなわち、受験という限られた時間で戦う場合には、いかにして早く正解にたどり着けるかが勝負である。
学校教育では、科学の方法を指導しなければいけないので、そのような一見手抜きに思えるような指導の仕方はできないというわけである。日本人はこのようにして教育され、科学を実装する大人になった。
形式知だけを学んだり、伝承したりする社会であれば、それでよかったかもしれない。しかし、形式知以外の多数の有象無象の問題を解かなければいけない社会では、チャート式に書かれていたような逆向きの推論は生きてゆくためにも重要である。
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推論には向きがあることを知ったのは、大学受験参考書「チャート式数学」のチャートに「結論からお迎え」というのがあったからである。
数学の文章題は、「AならばBであることを証明せよ」という定型があった。すなわち、義務教育で科学の方法を学ぶのだが、その論理展開の基礎を数学で指導している。
ところが、学校では、前向きの推論展開を指導し、Aがどのようなことを意味しているのか書き出し、そして考えてBであることの証明をどのように論じるのか方針をたてる、といった具合の教え方だ。
科学の方法を教えることが学校教育であり、そのため指導要領にも推論展開の指導については事細かに書いてある。ところが、受験参考書では受験問題をどのように早く解けるようになれるかが勝負である。
そのような方針の参考書はベストセラーになる。例えば「試験に出る英単語」というその名前も受験生の心をくすぐる新書版の本はベストセラーになった。
同じ時期にコンピューター解析による試験に出る順の参考書よりも良く売れた。さて、数学の参考書のベストセラーと言えば数研出版のチャート式で、数学の問題の解き方をチャートとして簡単な標語にまとめていたのが受験生に受けた。
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問題を前にしたときに、科学の方法で仮説を立てて解くよりもオブジェクト指向の方が簡単である。すなわち、オブジェクトである問題をそのまま受け入れて解けるからである。
まず、オブジェクトである問題のふるまい、「何が問題か」を考える。これは、ドラッカーの教えでもある。問題を前にしたときに、偏差値の高い人はすぐに問題を解きはじめる。
そして、正しい答えを出してくれるのだが、その問題が間違った問題だった時に、どうする?間違った問題の正しい答えほど無益なものは無い、とドラッカーは語っている。
まず、オブジェクトとなる正しい問題を探すことから始める。正しい問題が見つかれば、80%問題が解けたようなものだ、とドラッカーは述べている。
目の前の正しい問題について、その振る舞いを観察する。そのためにはデータを取る必要があるかもしれない。あるいは、問題のふるまいを起こしている機能あるいはメソッドを探るのである。
その前に、オブジェクトが一つなのか、複数のオブジェクトで構成されていないかを探る必要もあるかもしれない。とにかく正しい問題について、オブジェクトとして捉え、そのふるまいが、複数のオブジェクトかどうかが決まったら、一つのオブジェクトについて、属性とメソッドを決めてやるのである。
属性とはどのようなデータを収集するのか、ということである。メソッドとは機能とか現象を支配する関数である。これが基本機能一つであれば信号因子を探して収集する。
このとき、制御因子や誤差因子といった属性データを基に、データを収集するとタグチメソッドとなる。タグチメソッドはオブジェクト指向の方法だった。
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複雑な振る舞いは隠蔽化して、オブジェクト全体の振る舞いを見ながら、複数のオブジェクトを組み合わせてプログラミングする手法は、オブジェクト手法の説明であるが、この概念は技術開発でも有効である。
すなわち、求められている技術に必要な要素の振る舞い(動作)を考える。それらのオブジェクトを組み合わせて、まず、モノを組み立ててみる。モノ全体もオブジェクトであり、改めて全体のオブジェクトの中のパーツとなるオブジェクトの振る舞いを観察する。
するとパーツである各オブジェクトの振る舞いを実現するための機能及びその実装すべき用件が見えてくる。機能の一部については、とりあえず見えなくしていても良いものもあるので、それは隠蔽化してみる。
ここで各パーツの基本機能が決まる。その結果その基本機能を制御しているであろう因子がわかる。それだけではない。他のパーツからのノイズも見えてくる。
ここまで書くとわかる人には見えてくるかもしれない、タグチメソッドの基本機能の決め方と、制御因子と誤差因子の捉え方である。すなわち、タグチメソッドは、オブジェクト指向の方法だったのである。
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会社の仕事をやるために部下に80万円の1年ローン(月給10万円の時代である。オプションの無いカローラDXが1台買えた)を命じた主任研究員は今なら大問題となるだろう。
当方は保証人の欄に印が押された時に、指導社員とともにびっくりしたが、「頑張りなさい」と言われて、何も言えなかった。頑張るしかなかった時代の話である。
今から思えば、データサイエンス黎明期に勉強する環境ができて良かった、というよりもこのようなことが無ければデータサイエンスを必死に研究しなかっただろう。1年間生活費にも困ったのである。勉強する以外日々の癒しは不可能だった。
日本を代表する一流企業に通いながら、時々親に仕送りをしていただいていた。しかし、その時の苦労が、電気粘性流体のいかがわしいテーマをひっくり返す結果を一晩で出すことができ、報われたと思った。
夜自宅で一晩徹夜して、界面活性剤の解析とグラフ、報告のためのレポートを作成していた。翌朝出社して、300種類の界面活性剤を添加した電気粘性流体を観察したところ、データサイエンスで解析した結果と一致していた。
すぐに主任研究員に報告したところ、界面活性剤ではない、第三成分といえ、と言われた。理由は界面活性剤では問題解決できないと結論したので、これは第三成分だというのだ。頭が良いというかずるいというか、釈然としない説明だが、いかがわしいテーマを担当するよりも良い、と判断し受け入れた。
同時に、電気粘性流体用粒子のアイデアを話したところ、面白いから企画書にまとめよ、と言われたので、U本部長時代と同様に企画書ではなく、傾斜機能粉体や超微粒子分散微粒子、コンデンサー分散微粒子を合成し、データとともに提出している。その後いかがわしい事件が起きるようになったのだが。
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1970年代から20年間空前のオーディオブームだったが、DXの進展でそのブームは去り、2000年あたりからオーディオメーカーの倒産が目立つようになった。
アメリカの大学発ベンチャーボーズ社もオーディオ向けスピーカーの生産を辞めてしまった。音空間の再現では、この会社のスピーカーを越えるものはなく、家を新築した30年ほど前に天井からボーズ社のスピーカーをつるしたのだが、その寿命が来ても代わりの製品が無くなった。
このスピーカーについては、スピーカー専用メーカーやキットを販売するメーカーなど21世紀になり注目されるようになったが、早い話、アンプなどの機器に比べ、スピーカーは数字で議論しにくくスペックを決めにくい。
同じスピーカーユニットを用いても箱の設計で音が大きく変わる。分かり易いのは、密閉型とバスレフ型の違いである。キットではダブルバスレフ型なる箱もある。同じスピーカーユニットを用いても低域の迫力が大きく改善される。
それ以外に箱の外観でも音の印象は変わる。箱だけでなくスピーカーの設置方法や部屋の形状などでも音が変化するので、結局オーディオ製品を自宅で楽しむためにはどこかで妥協が必要になってくる。
妥協せずに理想の音を追い求めると、これが底なし沼になる。ボーズスピーカーはライブハウスのような錯覚を提供してくれるので、代替スピーカーを時間をかけて探してみようと思っている。
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管理職研修で印象に残っているのは複数の顔を使い分けよという指導。すなわち、家庭では家庭の顔、会社では管理職の顔、社会では社会の顔などそれぞれの場にふさわしい顔をするように指導を受けた。
せっかく受けた研修であったが、意外と複数の顔を使い分けるのは難しい。他の研修では分かり易く管理職を演じることが重要、と指導してくれた。
当方はこの手の研修が苦手だったが、それでは社会で生きてゆけない、との説明に不思議に思った。ドラッカーはこのような説明をしていない。誠実真摯に職務に励めと、これが基本である。
この複数の顔の指導はどこから出てきたのか、と当時疑問に思ったが、最近日産の社長の顔色が悪いのに気がついた。どこがどうだと書くと失礼なのでそれ以上書かないが、大変なのだろう。
今回の日産とホンダの対等合併は破談になったのだが、現在の日産の状況では、ゴーンが社長になった時のように、容赦なくリストラを進めるのか、ホンダに頭を下げてでも提携を進めるのか、どちらかしかない、という論調の記事が多い。
ホンダ側の発表では、思うように日産のリストラが進んでいないので子会社という提案をしてきたのだ。会社存続を願うのであれば、社長は我慢して笑顔で受け入れなくてはいけない。
しかし、社員の前でどのような顔をしたらよいのかわからなかったので、提携を断ったのだろう。困ったことに円安状態で今のままでは、また外資に狙われることは必至で、ホンダの子会社になっていた方が良かった、というようなことにならなければよいが。
実は今の日産に一つV字回復の特効薬がある。それにおそらく一部の社員は気づいているはずだが、それが社長まで届いていないのだろう。日産にはまだ可能性が残っているが、それを生かすも殺すも経営次第でどうなるか?
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