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2016.04/12 高分子の融点(2)

そもそもガラスの定義は、非晶質でガラス転移点を持つ物質、と無機の教科書には書かれているが、高分子の教科書でこの定義に触れていない場合がある。高分子ならばガラス転移点を持つ、ということが常識化しているためだろうか。
 
この常識が、そもそもなぜ高分子はガラス転移点を持たなければならないか、とか無機ガラスは高分子ではないだろうか、という疑問を埋没させてしまう。
 
1970年代末に無機高分子研究会が高分子学会に設立されたが、この無機高分子研究会の設立は10年遅すぎたと思っている。1960年代に無機ガラスの研究がかなり進み、ガラス工学という分野が生まれていたからである。
 
無機高分子研究会の設立が遅れた原因とこのガラス転移点の理解は無関係ではなく、高分子研究者のガラス状態に対する当時の理解が遅れていたため、と思っている。だから当時ガラスの定義をご存じない高分子の研究者が堂々と授業をできた。いまならば大問題である。
 
ちなみにガラス転移点を持たない無機物質をどのように物理的に加工してもその物質をガラス化することはできない。そもそも、金属のガラスが誕生したのは20世紀末なのだ。ガラス転移点を持たない無機物質をガラス化することは大変なことだったのである。
 
ところで1970年前後登場したアモルファス金属はアモルファスであり、ガラスではない。高分子が容易にガラスになることができたのは、やはりその一次構造が長い紐状だったからで、高分子がガラス転移点をもつ、ということを正しく理解することは高分子研究者にとって基本の「キ」であり、技術者には心眼の視点を正しくするために重要な作業である。

カテゴリー : 高分子

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2016.04/11 賭博問題

野球に続いてバドミントンでも賭博問題が起き、選手が処分された。先日の選手の会見を聞いていてもかわいそうに思う。ギャンブルは楽しいからだ。
 
当方も学生時代パチンコに賭麻雀というギャンブルづけになったことがある。地下鉄を降りて大学まで向かう道に、4件のパチンコ屋と無数の雀荘があった。友人の下宿も含めると雀荘の数は不明である。
 
不謹慎であるが大学の構内も雀荘になった。さすがにこれはエスカレートしたところで学長名で禁止令が出された。学内で行うときに当方は必ず毛布を敷いていたが、消音もせずに大胆にじゃらじゃらと音を立ててやる輩もいたので、これはまずいと思い、禁止令がでる前に大学構内の麻雀を自主的に辞めた。
 
人間とは不思議なものでギャンブルにはまる前には善悪の判断が出来るが、はまってしまうと麻痺をする。しかし、心の隅に悪いことをしているという負い目がある時に気づけば自分の意思で辞めることができる。しかし、それにはものすごい勇気がいる。
 
仲間の存在も大きい。パチンコは一人だが麻雀は4人で行うギャンブルである。パチンコを辞める決心をしてまじめに大学に向かっても、通学路にある雀荘から友人が手を振る。もうだめだ。
 
麻薬にしてもギャンブルにしてもなぜか他人に迷惑をかけていない、というロジックで自分に甘くなり、その行為を正当化してしまう罠がある。公営のギャンブルならば貢献になるのだろうけれど、それが私営の場合にお金がどのように使われるのか不明で、結局他人に迷惑をかけることになる。
 
パチンコも麻雀も一切やらなくなったきっかけは、4年生になった時である。通学途中のパチンコと麻雀が原因でドイツ語の単位を取得できず、英語だけで語学の単位を揃えていた。講座の教授から大学院進学を勧められ、ドイツ語の単位を取ってこなかった話をしたら、毎朝マンツーマンで指導するから、と言われた。
 
毎朝の指導でパチンコと麻雀の日々は、健全な学生生活になった。麻薬やギャンブルは習慣である。悪い習慣を身につけるとなかなかそれから抜け出せない。悪い習慣に変わる良い習慣をつけることが最良の策であるが、何らかのきっかけか第三者のサポートが必要である。
 
スポーツ界における賭博問題の根本原因は、指導陣の甘さにあると思っている。本当に選手が大切ならば、選手に良い習慣をつけさせる努力をすべきだが、それには大変な労力が必要になり、関係者にも厳しさが求められる。
 
選手の自主性に任せる放任主義は、無責任だと思う。一流選手として悪い習慣を断ち良い習慣を身につけられるようにするには、選手の周囲の関係者にも努力する厳しさが要求される。4年に進級する前に配属講座を決めるとき、当方が配属された講座は厳しい講座と評判だったので不人気だった。
 
しかし、講座の雰囲気は未熟な研究者を生みださないように教授が先頭に立って当たり前の厳しい指導をしてくれる親切で優しい講座だった。おかげで大学院では授業料免除と奨学金付きで優雅に勉強することが出来た。但し研究者として良い習慣が身につくよう厳しい毎日が一年続いた。そして麻雀もパチンコも忘れた。

カテゴリー : 一般

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2016.04/10 北島選手引退

北島康介選手が金曜日引退表明した。100m決勝は大変残念だったので200m決勝ではドラマが起きるのでは、と期待してみていた。前半100mは盛り上がったが、残念ながら5位で終わった。
 
残念な結果だったので、特にこの欄で取り上げるつもりは無かったが、NHK「深読み」で人工知能について取り上げていたので、残念な気持ちを書き残したいという気になった。
 
昨日残念な感動のためブログで書こうという気になれなかったが、今日突然書いてみようというちゃらんぽらんな行動はAIにはとれないだろう。また、33歳になっても肉体の限界を顧みずチャレンジする、という行動にAIならば感動しないだろう。しかし、当方は人間で大いに感動した。
 
彼はインタビューでオリンピックが特別な舞台であり、苦しい練習をしてでもそこにチャレンジしたくなる夢舞台だと言っていた。金曜日にそれは夢で終わったが、視聴者は、たとえ夢が実現しなくても、あるいは失敗のリスクが高い目標でも、チャンスがある限り精いっぱいの努力をする大切さを学んだのではないか。
 
火事場のバカ力もそうだが、人間の能力は環境で大きく変わる。ゴールに向かって真摯に努力をした結果、仮にゴール未達になったとしても努力しただけの能力向上があることを32年の技術者生活で学んだ。
 
高いゴールを設定しそれを達成するために努力することは大切である。そのゴール実現が難しい、と悟ると適当にお茶を濁してゴールを目指すのをやめてしまう、あるいはゴールのレベルをさげてしまう優等生をたくさん見てきた。サラリーマンという職業では、組織力という隠れ蓑でそれが許される環境である。
 
しかし、失敗するリスクが高いとしても成功する可能性が少しでもあるならば、チャレンジする勇気を絞り出す人生が大切(注)だと思う。北島選手の200m決勝は、残念な結果ではあったがチャンスがある限りチャレンジし続ける重要性を改めて確認できたレースだった。
 
(注)2005年に中間転写ベルト開発のため豊川へ単身赴任した。樹脂の混練や押出成形などはド素人だったので赴任前猛勉強した。大学受験以来の、あるいは学位試験以来の集中度で勉強した結果、科学的に考察すると半年後に必ず失敗するテーマだと理解できた。しかし、赴任前現場で真剣に開発に取り組んでいるメンバーを見て、技術で成功させる道を探す気持ちになった。そしてその道を見つけることができた。なんでも科学で解決しようと考えているとAIに勝つことはできないが、仮にAIがどれだけ進歩したとしても情緒や感情、ヤマ勘、ド勘を発揮できる人間には勝てないだろう。弊社の販売しています研究開発必勝法には従来のロジカルシンキングの手法以外にAIが到達できないヒューマンプロセスも取り入れております。AIの進歩におびえるよりもAIにできない道を弊社は探索しています。

カテゴリー : 一般

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2016.04/09 高分子の融点(1)

物質の熱的変化については、材料を実用化する上で重要な情報なので古くから研究されてきた。今でも研究テーマとして存在し、アカデミアで研究される永遠のテーマのように思われる。
 
金属材料についてはほとんど解明されているが、高分子についてはまだ科学的に解明されていない部分が存在し、高分子学会の年会でも必ずこのテーマの発表がある。
 
ところが、高分子の熱的変化を考えるときに、まずその状態変化を正しく認識することが必要だが、科学的に解明されていない部分も存在するので大学の先生に説明を伺うと歯切れの悪い答えが返ってくる。
 
学生時代にびっくりしたのは、ガラス転移点(Tg)の説明を授業で聞いたときに、高分子だけではなく物質すべてに存在する、と教えられた。この先生はおそらくガラスの定義をご存じなかったのだろう。
 
物質の固体状態には、結晶と非晶の二つの状態が存在し、非晶状態にガラス状態とそうでない状態が存在する。ガラス状態で観察されるのがガラス転移点であり、ガラス状態ではない非晶状態では、ガラス転移点が存在しない。
 
だから、無機物質でガラス状態をとらない、あるいはとることが出来ない材料(注)にはガラス転移点が観察されない。高分子の先生だから無機材料のことをご存じなくても良い、という話にはならないだろう。
 
技術者なら知らなくてもアイデアが出にくくなる程度で済まされるが、高分子科学の研究者ならば、なぜ高分子にはすべてガラス転移点が存在するのか、という疑問を持つ必要がある。
 
(注)例えば非晶質酸化第二スズにはTgが存在しない。ちなみに高純度二酸化スズ単結晶は絶縁体であるが非晶質酸化第二スズは半導体から導体までの様々な電気特性を有する。また、ATOやITOと異なる導電準位も見出された。DSCとTGA、ガスクロによる解析から微量の水分が効いている。またインピーダンスや活性化エネルギーの考察から、電子とプロトンの両者がキャリアであることも実験で見出したが、データの信頼性に問題があったので発表していない。非晶質の研究は難しい。しかし、帯電防止剤として実用化している。ロバストを確保できれば科学で信頼性が乏しくても実用化できるのである。科学と技術の相違点である。

カテゴリー : 高分子

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2016.04/08 高分子のレオロジー(2)

高分子材料の物理的挙動については、大まかに昔ながらのレオロジーで解釈でき、バネとダッシュポットのモデルによる理解は便利である。岡小天著「レオロジー入門」や村上謙吉著「レオロジー基礎論」は材料技術者にとって今でも役立つ、と思っている。
 
クリープや一部の現象について注意する必要があるが、昔のバネとダッシュポットのモデルによる理解が無駄だとは思わない。実践知としてその適用の仕方を身につけておけば、現場で材料の問題を解決するときに直感で対策しやすい場面もある。
 
今高分子材料の力学物性について分子一本から積み上げて、どのような高次構造が作られ物性が発現しているのか研究が行われている。高分子シミュレーター「OCTA」はその思想を目指したソフトウェアーだ。まだ実験例は少ないが、引張試験で得られるSS曲線をシミュレーションすることが可能で、その時の分子挙動も動画として得られる。
 
おそらく将来「OCTA」で材料設計できる時代が来るかもしれないが、現在はまだ試行錯誤の状態である。試行錯誤の状態ではあるが、この「OCTA」の重要な点は、時として暗黙知を刺激するところである。モヤのかかったような高分子のレオロジー挙動について「OCTA」がヒントを与えてくれる点に高分子技術者は注目すべきだろう。
 
高分子材料のプロセシングにおいて困るのは可視化が難しいところである。かつて射出成形の金型の一部を可視化した設備や二軸混練機の一部を可視化した設備を見たが、残念なのはいつもその設備で可視化された現象が起きている、という保証が無いところである。
 
しかし、コンピューターでは自由に高分子融体の画像を書くことが出来る。時として役立たない漫画となる場合もあるが、プロセシングでトラブルが起きアイデアが何も無いときにはヒントになるので「OCTA」はそれなりに役立つソフトウェアーである。
 
学生時代に「シシカバブ」という構造を見せられたときに、おもわずその構造の名前の由来を授業中に質問したが、先生はご存じなかった。ラテン語を調べても出ていなかったが、これが料理の名前とわかってずっこけた。テストのためには丸暗記で記憶しそれで済ませることが出来るが、もう少しポリマーに関係したわかりやすい名前をつけておいて欲しかった。
 

カテゴリー : 一般 高分子

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2016.04/07 混練と配合設計に関する講演会

この3年間、弊社が中国で活動してきました成果を踏まえ、5月までに3件ほど混練技術に関する講演会を開催致します。いずれも異なるセミナー会社で開催されますが、申し込みは弊社で行いますのでご案内をさせていただきます。
 
 
お申し込みは、弊社インフォメーションルームへお問い合わせください。詳細のご案内を電子メールにてさせていただきます。
 
 
1.混練技術のトラブル対策に関する講演会

(1)日時 4月21日  10時30分-16時まで

(2)場所:高砂ビル 2F CMC+AndTech FORUM セミナールーム【東京・千代田区】

(3)参加費:27,000円

(4)http://ec.techzone.jp/products/detail.php?product_id=4152

2.混練の経験知を伝承する講演会

(1)日時 5月19日  10時30分-16時まで

(2)場所:江東区産業会館  第1会議室

(3)参加費:49,980円(税込)

(4)https://www.rdsc.co.jp/seminar/160522

3.シランカップリング剤に関する講演会

*日時等弊社へお問い合わせください。

カテゴリー : 学会講習会情報

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2016.04/06 高分子のレオロジー(1)

レオロジーとは流れに関する学問であり、高分子においては粘弾性学として発展してきた。面白いのは、1980年前後までダッシュポットとバネのモデルを用いて研究されてきたのが、21世紀になりそれらのモデルを学会ではほとんど見かけなくなったことである。
 
ゴム会社で優秀なレオロジストの指導社員に出会ったのは幸運だった。この方は電卓でマックスウェルの方程式を解き、粘弾性のシミュレーションをやってのける強者で、表向き理論派の科学者で内側は現物現場主義の技術者だった。
 
さらに驚いたのは、ご自分の強みであるレオロジーについて10年後にはこのような方法論は無くなるだろうと言われていたことだ。やや斜に構えた人で、カッコづけでダッシュポットとバネのモデルが無くなると言っているのか、と初めて聞いたときに感じたが、自分の強みがやがて科学の世界で無くなる、と真剣に悩まれていた。
 
ただ、物理学者は自然現象を数値で捉える力に優れており、レオロジーだけでなくパーコレーションやフラクタルなど面白い数学の世界をわかりやすく指導してくれた。未だかつてこの方のように科学と技術のバランスがとれた物理学者に会った経験が無い。
 
さて高分子のレオロジーはこの方が言われたように、科学の世界では今やダッシュポットとバネのモデルで議論されていないが、技術で高分子材料を扱うときには便利な考え方である。特に粘弾性の温度分散データを眺めるときに現象を直感的に捉えることが可能である。
 
今、分子一本の粘弾性を研究している科学者もいるが、実用ではバルクの性質が問題になり、そのようなときには昔ながらのバネとダッシュポットのモデルが欠かせない。一種類の高分子でも、結晶部分と自由体積部分、ガラス部分の3つの構造が出来るので、バネとダッシュポットを組み合わせたモデルに無理があることがわかるが、手っ取り早く材料の改良効果を予測するには便利である。
 

カテゴリー : 一般

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2016.04/05 再燃するSTAP細胞の騒動

「あの日」が25万部を突破した、とWEBニュースで報じられている。また著者によるSTAP細胞に関するホームページ(HP)も開設されたという。そしてそのHPに対し、ネイチャーの編集者が立腹された、というニュースまで流れている。
 
このSTAP細胞の騒動はせっかく理研が迅速な幕引きを図ったのにいつまでも組織の問題を問うような形で再燃している。それとともに未公開であった山梨大に引っ越された先生の機密書類無断持ち出しまで明るみになった。
 
いずれの情報もニュースで報じられた内容だが、組織にとってあるいは組織内部の人間にとって出されたくない内容だろう。またその幾つかは組織と個人の阿吽の呼吸で、従来であれば表に出されずそのまま隠れてしまった事柄である。
 
「あの日」の著者には、組織に責任を押しつけられているような被害者意識の発言が目立つ。しかし、公開されている著者の発言を読むと、常識的な組織が当然とるであろう当たり前のアクションに対して被害妄想に陥っているように当方には思われる。
 
理研所長が「未熟な研究者」と評したように、STAP細胞の騒動は、科学の研究を推進するには不適切な未熟な研究者を特別待遇として処遇した理研の責任と、未熟な研究者の自己責任感の欠如が絡まって起きている。
 
不幸だったのは理研という組織に教育能力が欠如していたことだ。教育機関ではない理研でも組織を維持するための最低限の教育機能は必要だが、新聞報道を読む限り、大手企業の社員教育よりも貧弱な状況である。
 
結局未熟な研究者として認識しつつもそのまま組織から追い出してしまった。未熟な研究者は、働く意味も分かっていない知識労働者だったので、そこから生じる当然の行動をとる。これは組織も個人もこれまでの行動を反省し、両者が歩み寄らない限り収まらない騒動かもしれない。
 
ただ、理研は「STAP細胞は存在しない」と結論を出し、未熟な研究者は「STAP細胞は必ず存在し、それを見つけたのは私だ」と主張しているので、STAP細胞の存在が科学的に肯定されたときにどうなるか心配である。この問題は、組織と個人の関係において、組織が組織の利益のみを追求し問題収拾しようとした時に企業でも発生しうる問題である。

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2016.04/04 科学で未解明の現象から機能を取り出す(続き)

必要とする機能について、自然現象として起きることが分かれば、科学的に未解明でも自然現象から機能を取り出すことが可能である。例えば試行錯誤で機能を人工的に再現してみて機能を動作させる方法を見つけることが出来る。
 
あるいは、過去の経験から考えられる方法について全部試してみて機能を動作させることができるか見れば良い。経験から考えられる方法が、科学的に見てすべての方法を取り上げているならば、消去法という手段が有効である。
 
とにかく不完全でも科学的にはそのメカニズムは不明でも動作する機能が見つかったならば、あとはタグチメソッドでそれを最適化してロバストの高い機能にできる。
 
すなわち科学的に未解明な機能でも、その手がかりが見いだされれば人類は活用することが可能で、科学誕生以前の人類は皆そのようにして技術開発を進めてきた。
 
ところが1970年代の研究所ブーム以来企業では科学以外の方法を禁じ手として封印し、科学的に技術開発を進めることに注力してきた。ここで、科学的に技術開発を進めることは間違っていないが、科学的以外の方法を禁じ手にしたのは技術開発の可能性を自ら捨てたようなものだ。
 
当方は、新入社員の研修でS専務に技術の意味を教えられカルチャーショックを受けた。現場現物主義で時には科学的データさえ信じないような意味を込めた説教は、大学で6年科学を学んできた若者には刺激的な説教だった。
 
しかし、そのおかげで「マッハ力学史」や「技術者の心眼」などの著書に目を向けることができ、技術について真摯に考えることが出来た。但し、配属された研究所はアカデミアよりも科学一色であり、たまたま巡り会った優秀な指導社員が斜に構えた人でなかったならば、今日まで技術というものを考え続けることが出来なかったろう。

カテゴリー : 一般

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2016.04/03 科学で未解明の現象から機能を取り出す

自然現象を前にして、なぜ、と問いかけることは科学の心の芽生えである、と昔聞かされた。一方自然現象から儲かる機能を見つけようとするのは、技術者の本能である、と誰も教えてくれなかった。
 
科学では真理を追究するのが使命なので、未知の自然現象に対して「なぜ」と問いかけることは大切だが、技術者は目の前の現象について人類に役立てることができないかを考えなくてはいけない。
 
このように技術者は、科学で未解明の自然現象でもそこから機能を取り出すことが求められてきた。しかし、1970年代の研究所ブーム以来日本の研究所では、アカデミア同様の運営がなされ、科学の研究が重視されている。
 
一企業の社内における技術論とは別に、公的な場所において企業で技術開発が重要と言われたのは、故田口先生が最初の様な気がする。しかし、田口先生は基本機能は技術者の責任と言われるだけで、どのように自然現象から機能をとりだしたらよいのか言われなかった。
 
ところで、市場で要求される機能をマーケティングで見つけることはできるが、それが基本機能である保証はない。これは、ドラッカーが「何が問題か」と問うことの重要性を指摘しているように、田口先生も基本機能が間違っていると、タグチメソッドは正しい解を与えない、と言われていたので重要である。
 
ゆえに自然現象から機能を取り出すことを考える前に、市場で要求される機能を基本機能までブレークダウンする作業が最初に必要となり、基本機能までブレークダウンできたときに、それが科学的に解明された機能なのかどうかを吟味することが最初となる。
 
未解明の時には、それが自然現象として起きるかどうかが重要になってくる。自然現象として起きることが確認されると、新たな機能を技術者は見つけたことになる。熟練した技術者であると、この一連の動作を本能のように行う。弊社ではそのトレーニングプログラムを提供しています。

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