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2012.12/24 押出成形

押出成形は、押出機で金型へ樹脂を押し出し、フィルムやベルト状、スティック状などの単純な形態を連続で成形する技術です。

 

光学用フィルムでは、表面の欠陥だけでなくフィルム内部の欠陥も問題になります。半導体フィルムではフィルムの導電性の分布の均一性が問題になります。単純形状の成形ですが、射出成形とは異なる難しさがあります。特に押し出した後冷却や延伸以外になすすべもないので、表面欠陥の問題は解決が難しい問題になります。

 

例えば、表面に小さなボツができた時にその原因が成形技術にあるのかコンパウンドにあるのか決定することは難しいですが、ボツの分析を行うと発生原因を推定でき決定することができます。しかし、ボツの分析を行って、異物が見つかれば異物の発生原因を追究し対策を打つことができますが、ボツ周辺に何も見つからないことがある。

 

このような場合にコールドスラッジが疑われるのですが、コールドスラッジは分析を工夫すれば原因として見出すことができます。しかし、どのような分析を行っても原因がわからないボツというものが存在します。これまでの経験でこのようなボツは混練工程に対策を打つのが有効と考えています。

 

すなわち原料の樹脂の見直しや混練条件の見直しです。混練条件につきましては、活動報告でも書きましたようにこれまでの二軸混練機では限界があり新しい混練技術を使用しない限り解決できない場合もあります。

 

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カテゴリー : 高分子

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2012.12/23 靱性

材料の脆さとか割れやすさの程度を表す物性を靱性と言います。K1cというパラメーターですが、この靱性という値が良くわからない、という材料系の人が多い。測定方法は、K1cを直接計測すればよいのだが、実際にはMITとかアイゾット衝撃試験の方法で計測されている。用途あるいは材料の形態に合わせて脆さを知る方法を選択している、と言ってもよい状況です。

 

簡便に知りたいならば、硬度試験に用いるダイヤモンド圧子で圧痕をつけてみる方法もよい。材料の脆さの比較程度はできます。ただしこの方法は靱性の大きな材料では用いることができない。他の方法でも靱性が大きくなるとその測定値は怪しくなる。唯一K1cだけが靱性の小さなものから大きなものまで計測できるパラメータのように思っています。思っています、と書きましたのはK1cですら怪しいと言われる方もいらっしゃいます。

 

靱性というパラメーターはこのように評価が難しいパラメーターですが、物性値として重要です。しかし物質固有のパラメーターかというと、材料の加工の履歴も反映されてくるので融点とかTgなどのようなパラメーターとかなり異なります。Tgに関しては物性値が存在しない材料、すなわちガラス以外の非晶質材料も存在するが、靱性はすべての材料で計測されるので重要だ、という意見もあるかもしれませんが、材料固有という意味で靱性をとらえることはできません。例えばその材料の結晶状態と非晶状態では靱性は変化します。

 

靱性は物性値として評価方法も材料の制御方法も難しいパラメーターですが、材料を実用化するときには重要なパラメーターになります。おそらく実務の中でうまく伝承すべきパラメーターなのでしょう。

 

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カテゴリー : 高分子

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2012.12/21 混練の実験施設

樹脂の混練について相談を受けたときに、どこか試験設備を紹介して欲しい、と言われました。かつて樹脂開発をしたいときに国内に受託施設がなく結局二軸混練機を1台購入し試作を行いました。ゴムでも樹脂でも手軽に混練の試作ができる施設の希望は多いのでしょうか?もし多いようであれば、そのような施設を運営したいと思っています。申し訳ないですが、ご希望の方はこちら(当サイトのお問い合わせ)からご相談ください。ご希望が多ければ、関東近辺に設立したいと思います。

カテゴリー : 宣伝 高分子

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2012.12/21 射出成形技術

射出成形技術の研究者として著名ななH先生は「どんな樹脂でも射出成形できる技術の確立が射出成形技術の目標だ」と言われました。それに対して樹脂のコンパウンディングの目標は、というと明確に表現できる専門家はいないように思います。少なくとも樹脂メーカーのエンジニアにこのような問いかけをしても品質の安定性という当たり前の回答しか返ってこない。

 

コンパウンディングの技術目標はどうあるべきか。樹脂の品質の安定性は一般に樹脂製品のスペックの偏差が工程内で小さいことを意味し、多くの場合、工程とはコンパウンディング工程だけを考えています。しかし樹脂は成形加工されて初めて実用になるので、「射出成形前後で樹脂が変化していないこと」は重要な目標の一つだと思います。

 

しかし分析していただけばご理解いただけますが、この目標は簡単なようで大変難しい目標です。特にポリマーアロイでは通常使用されている混練工程ではこの目標を達成できません。一成分の高分子の樹脂でも自由体積の量を射出成形前後で測定すると変化しています。複雑形状の射出成形体であれば、成形体の各部で自由体積の量が変化しています。

 

カオス混合は究極の混練技術と古くから言われており、その達成手段が検討されてきました。実はもちつきやパイ生地の製造プロセスがカオス混合に似ているのですが、これを樹脂の混練工程で実現するのはいままで困難でした。しかしカオス混合に極めて近い効果を発揮する混練技術が開発されました。

 

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2012.12/20 ポリマーアロイの射出成形における問題

射出成形だけで光沢のある外観ができる、という長所からPC/ABSの需要がこの10年伸びている。この材料は、ABSがブレンドされているので、靱性も向上している。すなわち力学物性も外観も良好なポリマーアロイである。

 

しかしこの材料は4成分の高分子のブレンドからできているため、混練技術に問題があると、射出成形プロセスで外観不良の問題を引き起こす。外観不良だけでなく、ひどいときには、材料スペックの半分以下の強度しか出ないという品質問題を発生する。

 

射出成形メーカーにコンパウンド技術が充分にあれば品質問題の解析が可能だが、射出成形メーカーの技術者は化学工学あるいは機械系の技術者が多いために本質的な原因解明ができなかったりする。仮に本質的な原因解明ができても、コンパウンドメーカーからコンパウンドに詳しい技術者が説明にきて丸め込まれたりする。

 

かつて、射出成形体に外観不良の問題とボス割れの問題が発生したためにその原因解析を行いました。その結果、コンパウンドの製造プロセスに問題がある、というデータが得られたので、中国の現場まで出向き工場の様子を視察したところ、案の定シリンダーの温度が高いところがあり、できあがったペレットに時々「す」が発生していた。証拠品を持ち帰り、某コンパウンドメーカーへ注意をしたところ、分析データをめぐり3時間にわたる議論となった。

 

分析データだけでは結論を認めていただけなかったので、証拠品の「す」の入ったペレットと温度異常を示す写真を最後に見せて決着がついたが後味の悪い議論でした。コンパウンドと射出成型性の問題は、お互いが譲らなくなった場合には結論を出しにくくなる問題であるとその時学びました。ただし、分析値にへりくつをつけることができましても現物は動かぬ証拠となります。

 

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カテゴリー : 高分子

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2012.12/19 PETの射出成形

樹脂と各種成形との関係について教科書を調べてみても明確な説明がされていない。成形技術分野は主にハードウェアーの説明がほとんどである。特許を調べてみると様々な条件が記載されている。中には同じ条件であるにもかかわらず表現が異なるために成立している特許もある。

 

PETは射出成形しにくい樹脂で、主に押出成形やブロー成形用に使用されてきた。ある教科書では、射出成形できない、とまで明確に書かれている。PETの押出成形を20年近く前に体験したが、Tダイから出てくる樹脂を見て射出成形できないと直感した。粘度変化が激しいのである。また、この粘度が低くなるおかげでフィルム成形しやすい樹脂という言い方もできます。

 

特許にもPETに添加剤をブレンドし、温度に対する粘度変化を緩やかにする技術が出願されている。ただPETの射出成形の難しさは、粘度の温度変化を調整しただけではだめで、もともと遅い結晶化速度を制御しない限り、表面のきれいな成形体が得られない。すなわち添加剤の中には結晶化速度を速める化合物も有り、その結果粘度調整ができているのだが、これが実際の射出成形では結晶化しすぎて表面のなめらかさが阻害されたりする。

 

PETは結晶化速度が遅いのでブロー成形やフィルム成形に向いているのだが、結晶化しにくいわけではない。結晶化度の低いフィルムを延伸すればすぐに結晶化する。PETの射出成形を可能にするためには、結晶化速度を速めながら結晶化度が上がらないようにして粘度調整する必要がある。まったく結晶化しないように変性し粘度を上げるのも射出成形性を改善できる方法でそのような技術も存在するが、この場合には弾性率が低く柔らかい成形体となる。故にフィラーを添加して弾性率を上げなければ実用性の無い樹脂となる。フィラーを添加せず樹脂だけで弾性率の高い射出成形体を製造する技術の難易度は高い。

 

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カテゴリー : 高分子

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2012.12/18 酸化スズの面白さ

高純度酸化スズ単結晶は絶縁体です。しかし、InやSbがドープされると透明導電体になります。ただ、Sbドープされた場合には若干青みを帯びた透明、Inは黄色みを帯びた透明です。InやSbのドープは半導体物性論から大変理解しやすい。しかし、Fをドープしても同等の導電性が得られ、こちらは色味もなく無色透明と特許に書かれています。

 

実際にFをドープした酸化スズを合成してみますと、ドープの効果が不明な結果となります。すなわち、Fをドープしなくとも酸素欠陥を多くして結晶性を落としてゆくと酸化スズに導電性が表れます。この事実に基づく最初の発明は特公昭35-6616で、非晶質酸化スズゾルを写真フィルムの帯電防止剤として使用した特許です。

 

非晶質酸化スズの導電性については、酸素欠陥の量と関係しているように思われますが、実験を行うと必ずしも酸素欠陥との相関が高くない。DSCやTGAを行うと300℃前後にわずかな水が失われる現象が観察される。酸化スズの中に水が含まれているのか調べてみると水の分子は観察されない。おそらくスズ酸の形式になっているのでしょう。

 

ならば、プロトン導電体として導電性が出ているはず、と活性化エネルギーを求めてみると1eVとなる。また、0℃近辺にわずかな変曲点が存在し、電子伝導性も疑われる。InやSbがドープされた酸化スズは電子伝導性であることが確定しているが、酸化スズゾルに含まれる粒子の公開された研究報告を探しているがまだ見つかっていない。おそらく酸化スズゾルの合成条件で物性が変化するので論文を書きにくいためと思われます。またある種の酸化スズゾルから取り出したゲルでは、エレクトロクロミズムも現れブルーになったのでびっくりした。公開された研究報告に書かれていない面白い現象が酸化スズには観察されます。来年酸化スズを用いた帯電防止層の電子セミナーを販売する予定を立てています。

 

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カテゴリー : 電気/電子材料

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2012.12/17 選挙のシミュレーション

昨日の衆議院選挙では自民党は294議席を占め、無所属で自民党入党予定の1議席を追加すると295議席となり、事前に新聞各社が独自のシミュレーションで行った300議席とほぼ一致した。事前予測の300議席についてはS社のコラムで新聞5社が一致した数字となるのは珍しいこと、と書いていたが、投票先を40%の有権者が決めていない状況における事前の民意がそのまま反映した形である。

 

有権者の投票行動をどのように予測するのか勉強不足で説明できませんが、TVの報道では電話による世論調査が一般的である。すなわち無作為にサンプリングした有権者の意見を電話で聞くのである。サンプリング集団の値が母集団と近くなるのは、確率や統計の学問における基本であるが、今回の結果は日本人が正直なことを示している。

 

今回のようにたくさんの政党が乱立し、有権者が事前調査で皆がウソをついた場合には、事前予測は大きく外れるはずです。すなわち事前に投票先を決めていない有権者までどこかの政党をランダムに回答したならば事前予測の値は大きくずれたと思われます。面白いのは、自民党は事前予測の結果を見て、立候補者の引き締めを行ったとのこと。自民党はこの事前予測に驚いたのだろうと思われますが、小選挙区と比例代表制の選挙制度では、その選挙の第1党が有利となる結果が出やすいといわれています。

 

おそらく日本人の正直な人間性と確率統計学の進歩の結果が選挙の事前シミュレーションの精度を上げているのでしょう。弊社も来年販売に向けて30年後の技術の未来予測やパーコレーション転移のシミュレーター、高分子シミュレータ-の開発も行っています。選挙シミュレーターほどの精度をめざしたいと思っています。本日は昨晩夜更かしをされた方も多いと思われますので、車を運転される方は居眠り運転に注意してください。

カテゴリー : 一般

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2012.12/16 Liイオン二次電池

Liイオン二次電池は、1992年にソニーが実用化し、つい最近まで日本が世界のシェアーの大半を占めていた商品と言われ、国のグリーン戦略で二次電池のシェアー50%以上と設定されている。そしてLiイオン二次電池はエネルギー密度が高いので二次電池の本命とまで言われています。しかし、この世間で言われているLiイオン二次電池に対する考え方には誤解があります。近々人数限定のクローズドセミナーを開催しようと考えていますがいくつかの誤解についてここで簡単に説明します。

 

Liイオン二次電池を初めて世の中に出したのは、ブリヂストンで、ブリヂストンとそれを生産していたセイコー電子工業は1988年に日本化学会から化学技術賞を受賞している。白川先生が導電性ポリマーの発明でノーベル賞を受賞し、ブリヂストンは導電性ポリマーの実用化対象としてポリマー二次電池を企画した。用いたポリマーはポリアニリンで、この材料を正極に用い、カーボンを負極に用いた電池を発明した。電解質の不燃化のためにイオン導電性ホスファゼンまで開発している。しかし、エネルギー密度が低かったのでやがてソニーの新電池に市場を奪われた短命の商品である。何故か電池を研究されている方々は、ソニーのLiイオン二次電池を元祖と位置づけられる方ばかりですが、ブリヂストンが最初です。

 

6年ほど前からLiイオン電池の負極の熾烈な合金化競争が行われ、昨年末負極の活物質をカーボンから合金に変えた電池が登場し、エネルギー密度の低いカーボン負極のLiイオン電池に置き換わりつつある。この合金化競争は、現在はSn系であるがSiOが本命とまで言われこの方面ではサムスンが挽回してきて日本のシェアーは今年は50%を切るとも言われている。特許を調べてみるとサムスンは確かに良い発明を出願し、日本危うし、という状況です。

 

ただLiイオン二次電池が高エネルギー密度電池の本命と考える限り、サムスンの快進撃は続きますが、現状のLiイオン電池レベルならば、それを置き換えることが可能な二次電池の研究はすでに完了している。また現状のLiイオン二次電池よりも高エネルギー密度の二次電池もすでに研究が進み始めています。来年弊社の電脳書店では、世間で言われている誤解に挑戦し新技術開発に挑戦する未来展望企画をスタートします。Liイオン二次電池の問題もそこでとりあげ、日本がこれから立ち上がる新市場、スマートグリッドあるいはホームバッテリー分野の二次電池市場でシェアー50%以上をとるシナリオを提示したい、と考えています。人数限定で開催するクローズドセミナーでもそのあたりの最前線も大胆に講演します。

 

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カテゴリー : 電気/電子材料

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2012.12/15 問題解決のコンセプト

弊社は研究開発必勝法プログラムをクライアントの研究開発マネジメント基盤に合わせてカスタマイズし、提供中です。このプログラムのエンジンである問題解決法は、逆向きの推論と独自のK0チャート、K1チャートそしてこれらをまとめ上げて実施する思考実験が特徴となっています。問題と言えば、ドラッカーの「何が問題か」というフレーズが有名ですが、彼は正しい問題を設定することの重要性を指摘しましたが問題の解き方までは提示していません。しかし、問題そのものが引き起こす問題について、多数の著書の中で述べられています。問題は解決されなければなりません。

 

さて、表題の問題解決のコンセプトは、弊社の場合について説明しますと、技術の問題であれば商品のあるべき姿を重視し、そこから逆向きの推論を展開することを重要視しています。そして分析的思考で問題解決するのではなく、商品を作り上げる創造的思考で問題解決を進めます。ここがこれまでの問題解決法との大きな違いです。

 

例えば普及し始めたUSITでは、成果が個人の能力に依存しやすいオブジェクト指向にも似た問題解決手順で分析的思考を用いて行います。苦労して問題解決を行った結果、科学的に当たり前の結果が得られた時に正しく解けた、と考えています。冷静に考えれば、この問題解決法では、当たり前の結果が出ることを期待して苦労する問題解決法である、と気が付かれるかと思います。しかし、不確実性の時代とか誰も見たことのない時代とか言われる今日の問題解決法として少し物足りません。イノベーションを期待できないからです。

 

弊社の問題解決法では、あるべき姿を挑戦的に設定すれば、新しいイノベーションを引き起こすソリューションを出すことができます。すなわち企業のイノベーションを引き起こす問題解決法が弊社の方法のコンセプトです。

カテゴリー : 一般 宣伝

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