オーディオ市場が壊滅状態になったと思っていたが、JBLやBOSEは高級自動車用ステレオ分野で生き残っている。すなわち、存在感のあるブランドとして生き残っているだけでなく、エンジニアリングサービスを事業として行っているようだ。
その内容の詳細は知らないが、アメリカの大学の研究室から誕生したBOSEならば高度なサービスだろう。日本では、ONKYOとかパイオニアといったスピーカーで名をはせた総合オーディオメーカーはすでに無く、寂しい限りである。
少し良いスピーカを購入しようとすると今の時代ならば20万円以上の出費となる。50年以上前のテクノロジーの塊が、先端技術の塊である携帯電話より高いのである。
産業革命の総仕上げの時代と言われている。このような製品価格とテクノロジーとの関係が無いように錯覚する時代が次の時代の特徴のような気がしている。
宝飾品がすでにそうなっていた、とか芸術作品などは、という意見が出そうであるが、20万円のスピーカーは宝飾品でもなく、芸術品でもない。20年前ならば4-5万円の「工業」製品である。
この20年間物価はそれほど上がっていないので、工業製品が4倍になったととらえることができる。おそらく、次の時代はこのような工業製品が多数生まれてくるのだろう。
弊社では、このような視点で新たな事業企画を幾つか用意しています。ご興味のあるかたはお問い合わせください。
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女性管理職が次々と辞めた会社が話題になっている。また、女性管理職からの相談で悩んでいる企業もあるそうだ。女性活躍社会が目標となって、各社女性管理職を30%以上にしようと努力された結果のニュースのようだ。
あるコンサルタントは、 (1)過剰な期待と過少なサポート (2)ワークライフバランスの破綻 (3)昇進の天井と成長機会の欠如を女性管理職が退職する原因だという。
女性管理職を増やそうとして、そもそも企業の管理職という職群が抱えていた問題が顕在化したに過ぎないのだが、とにかく女性が生き生きと活躍していないと社会から企業が評価されないということで各企業は、この問題に必死に取り組んでいる。
しかし、ここで冷静に考えていただきたい。これまで管理職の登用とその処遇に問題は無かったのかということを過去にさかのぼり、整理してみる必要がある。
理由は、共通する課題と、企業の人事制度特有の課題と2種類存在するからである。後者は女性管理職に限らず、男性管理職でも問題があったはずであるが、それが顕在化しなかっただけである。
新入社員時代に男性の指導社員に3か月、女性の指導社員に1年半お世話を頂いた。その立場から感想を申せば、上司が男性であろうと女性であろうと指導能力が無ければだめである。
男性の指導社員の方は昇進の遅れた方であったが、それが能力が原因でないことは指導していただいてよく理解でき、ゴム会社の研究所における人事の問題を知ることができた。
すなわち、新入社員研修で能力主義の会社と説明があっても、能力や成果で昇進が決まっていない事実である。一方で女性の指導社員は冷めた方で、そのあたりを理解されていて、私が昇進できるように頑張って、と激励された。
美人に激励されれば男であれば頑張るのである。話がそれたが、明らかに研究所内の人事制度の運用をおかしく感じた。
それは高純度SiCの発明によりさらに顕在化し、入社し12年後には転職するのだが、「女性管理職特有の問題」として捉える前に、そもそもの人事制度が組織として誠実に運用されているのかどうかから見直す必要がある。
人事制度では、人が人を評価する矛盾を抱えている。それゆえ、多面評価が多く用いられるようになるのだが、この多面評価では評価者の選定、すなわち運用方法が問題となる。
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ミキシングプロセスに対する誤解は、科学が進歩した今でも存在し、混練技術の難しさの原因でもある。混練技術は、トランスサイエンスを含んでいる。
15年ほど前に混練のシミュレーターを1000万円前後で導入したが、使い物にならなかった。せいぜい温度分布が実際とうまく対応しただけであるが、温度については、慣れてくれば勘ピューターでも計算可能である。
低分子の混合であれば科学ですべてをリベールできるのかというと、そうでもない。理想溶液あるいは正則溶液という前提を忘れてはいけない。
低分子の分子量の上限については、明確ではない。高分子に対して低分子という用語があり、中間の分子量はオリゴマーという。
分子量が100を越えるあたりからその構造が混合の物理化学因子に影響を与えるので、必ずしも教科書通りとならない現象が起き始める。
2成分以上の混合ではSPが問題となる。界面活性剤を用いればHLBが、高分子が2成分以上入ってくるとχパラメーターが、とだんだん怪しくなってくる。
混合するときに粘性が発生するのでレオロジーも関係してくる。化学系の大卒であれば混合の科学についてすべてを学習しているはずだが、50年前と現在ではχの位置づけが変化していることをご存知だろうか。
χは今も昔も中身は自由エネルギーであるが、昔はその部分が明快に授業で説明されていない研究途上のパラメーターとして説明された。教科書にもχが説明されず、一言フローリー・ハギンズ理論という言葉が出てきただけである。
すなわち、この50年間でもこの分野では学問の進歩があったわけであるが、混練や混合について教科書には十分な説明がなされていない問題がある。
これが実務ではどのような問題を引き起こすのか気がついていない人が多い。適当に混合すれば何でも混ざると勘違いしている。料理でもその混ぜ方で味が変わるのだ。
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開発体制の陳腐化とは、時代の進展により従来の開発体制では、技術開発のスピードなり技術内容が市場に合わなくなってきた状態である。
ゴム会社に入社した時に1-2年ごとに、研究所内の組織が変わった。当方が高純度SiCの事業を始めたときなど当方の上司は毎年変わり、そのたびに仕事の説明をしなければならず、大変だった。
結局当方一人になって、住友金属工業とのJVとして高純度SiCの事業が立ち上がってゆく。本部長が交代し、突然おかしな事件が起きるようになって、当方含め3人が転職する事態になる。
このあたりの詳細については、書き残したいと思っているが、あまりにも小説よりも奇なる実話であり、人間の強欲がさらけ出されたような事件および顛末なのでその書き方には迷いがある。
おまけに論文や学会賞など公開情報と対応しているので人物名も明らかとなり、書くことに戸惑いがある。やや話がずれたが、U本部長の時、研究所の陳腐化した状態に悩まれており、毎年組織を変更されていた。
当時U本部長の悩みは、今から思えば管理職がそれなりの勉強をしていなかっただけの話で、企画会議で「女学生より甘い!」とU本部長が管理職たちを叱ったのも理解できる。
当時から時代は動き始め、そして現在の産業革命の総仕上げと言われる時代になったのである。この40年間は大きなイノベーションが起きていてU本部長はその変化の始まりを感じ取っておられたのだ。
U本部長の前のY本部長の時に「花王のOAパソコン革命」というとんでもない本がベストセラーになっている。そして、この本のおかげで当方は新入社員であり、その月給10万円の時代に80万円のローンを組まされてコンピュータを1セット購入させられた。
本には、16万円でOA化可能なパソコンが買える時代になった、というウソが書かれていた。今ようやくそのような時代になったのだが、当時はプリンターにFD、OSなどを揃えると100万円前後かかったのである。
ところが、U本部長と真逆な不誠実なY本部長の頭の中はお花畑であり、16万円なら少し残業すれば新入社員でも買えるような価格ではないか、と当方の上司に話したのがきっかけだった。
しかし、「花王のOAパソコン革命」のいいかげんな内容のおかげで、当方はデータサイエンスを必死で勉強する機会を得た。花王に感謝しなければいけないのかもしれないがーーーー。
イノベーションが起き、時代が変革している時の経営は大変である。「花王のOAパソコン革命」の著者は花王のコンピューター部門の部長で、同僚と面会しているが、「あのくらいの表現をしないと世間には伝わらない、ワハハ」と笑っていた。しかし、カローラデラックス1台分のローンを組まされた立場からすれば無責任に見えてくる。
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Pythonというプログラミング言語について全く知らない、という技術者は、今の時代を生きてゆけない。技術者でなくてもPythonが一般的に使われるようになってきた。
Excelにも実装されるようになったので、VBは将来使われなくなる可能性が出てきた。そのくらい浸透しているのだ。
さて、そのプログラミングパラダイムだが、オブジェクト指向言語として知られているが、スクリプト言語としての側面もあり、さらに構造化プログラミングのパラダイムも有している。
すなわち、マルチパラダイム言語であるために、初心者が最初のプログラミング言語として学ぶときにBASICより易しい。すなわち、スクリプト言語として学び、使うことができる。
豊富なモジュールが存在し、それらを並べるような感覚でプログラミングができるのだ。重回帰分析のプログラムならば数行で完成する。
このように簡単なプログラミング言語でありながら、データサイエンスの難しい解析まで可能だ。さらに株価の分析もできる。今や猫も杓子もPythonの時代であり、もしプログラミングについて全く初めてで誰に聞いたら良いのか分からない方は弊社へお問い合わせください。
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産業革命終焉の時とか産業革命の総仕上げの時代とか言われ始めた。また、最低賃金1500円を支払えない企業は国が守らなくてよい、という意見が経済同友会から飛び出した。
変革の時代である。このようなときに技術者は何を勉強したらよいのか。どこかへ転職するためにリスキリングをするにしても何を勉強するのか。
簡単である。自分に見についていないスキルを勉強すればよいだけである。何を勉強したらよいのかを技術者が考えるときには、自分の身についているスキルと身の回りで要求されるスキルを比較し、身についていないスキルを学ぶのである。
身についていないスキルが多すぎて目移りするという人は、データサイエンスを勉強しとけ、とアドバイスしたい。データサイエンスの分野は底なし沼であり、勉強し始めるとその沼にはまり抜け出せなくなる。
これは当方がその状態なので大変理解できている。その辺の有名大学の情報工学科を卒業しても沼全体を理解できたことにならないのだ。卒業生の中には無事沼にはまる人もおれば、沼を避ける人もいるので面白い。
単身赴任した時に情報工学出身の部下がいたのでプログラムを作ってもらおうとしたら、情報工学科を出たけれど担当してきた仕事が押出成形なので、と断られた。
賢い男である。沼にはまるのを避けて、押出成形技術のスキルだけを身に着けて満足していた。今の時代このような技術者は生きてゆけない。データサイエンス沼でもがき苦しみながら生き延びている技術者が活躍できる時代である。沼は深いーーー
沼にはまりたい人は弊社へご相談ください。
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昔、「24時間働けますか」というCMがあった。今はこれが「24時間働きますか」となり、働き方改革が進められている。
ところが、働き方改革は、今始まったことではなく、昔からあった。ただ、バブル崩壊後は、労働時間短縮に視点がおかれ、働き方改革が進められている。
バブル崩壊前は、労働時間など無視して、とにかく働き稼ぐことが奨励された。それがバブル崩壊で労働時間を短くする方向へ振れたのだ。
ワークライフバランスという言葉が流行し、家庭や人生そのものを大切にする働き方が提案され、そのノウハウを伝授するという怪しいコンサルティングが流行している。
そもそも人生は個人個人価値観が異なるので様々な人生があっても良いと思う。ドラッカーは50年以上前に、二つの世界を持つように提案していた。
この程度の考え方で十分であり、労働時間云々の話ではないのだ。知識労働者の場合、雑用の時間管理が重要であり、総労働時間の管理が重要ではない(違反すれば法にひっかかるが)のだ。これ以上は書かない。
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当方が学生時代に流行ったものとして、フォークソングにギターがある。街を歩くと若者の二人に一人がギターを持って歩いていた。当方の10年上の世代はフォークダンスの時代だった。
当方の学生時代にオリンピック競技にもなったブレークダンスが生まれ、サタディーナイトフィーバーが大ヒットした。社交ダンスがちょっとしたブームで、どこかの集会場でダンスパーティーが開かれていた。
オーディオもブームで、DENONやONKYO以外にトリオ、ケンウッド、オーレックス、オットー、ローディー、パナソニック、ビクターなど多数のオーディオ総合メーカーが誕生し、街にはショールームが溢れた。
音が先端技術の具現化された姿として街に溢れ、科学を大衆が意識し始めた時代で、科学論に関する本も溢れていた。皆科学がバラ色の未来を約束するような論調だったが、アメリカでは、雑誌サイエンスに、「サイエンスとトランスサイエンス」が発表され、イムレラカトシュなどにより科学に批判的な、それでいて擁護している難解な論文が出ている。
しかし、日本では以外にも無視された。そしてセレンディピティーという楽観的な言葉だけが輸入され、本来のトランスサイエンスという言葉は黙殺された。
学生時代にパチンコをやりながら今一つそれに没入できなかったのは、日米の科学観の相違であり、日本では、頭の中がお花畑の科学評論家が雨後の竹の子のごとく生まれていることに違和感を感じていた。
その中にはTVアイドルとして活躍したり、男性誌のグラビアにも登場したりした薄っぺらな女性評論家もいた。そして、科学がファッションのようにバブルがはじけるまで普及していった。
消しゴム収集が趣味の女性科学評論家は司会者としても活躍していたが、今はどうしているのか不明である。バブルがはじけて、失われた10年などと言われてもGDPは回復せず、いまやそれが失われた30年といわれている。これを選挙カーから訴えている候補がいたからびっくりした。
もう何が失われたのかも忘れられているが、それでも科学という言葉が未だに魔法の言葉のように使われている。もうあえて科学などという必要はないのではないか。科学は技術を発展させる一つの手法であり、他の手法にも目を向けるべきではないか。
そもそも科学をもう当たり前の時代としなければ、新しいことを生み出せないことに気がつくべきである。来年ゴム協会のシンポジウムに招待講演者として依頼された時に、2時間ならば引き受ける、と回答したら2時間枠を用意してくださった。
気合を入れて科学が常識の時代の技術開発法を講演するので是非聞きに来てください。50年近く前のトランスサイエンスを説明するとともに科学で解けない問題を解く方法について講演します。
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フォーラムのコーヒーブレークの時間に併設された再生材製造機器メーカーと再生材メーカーによる50社以上の展示を見ることができた。しかし、会場は満員だったため、27日の早朝に見学している。
驚いたのは、金属からプラスチックまで再生材を製造するプロセス技術は中国国内で完結しており、PETボトルのリサイクル材製造プラントも販売していた。これら各機器の外観から日本メーカーの設備と同等以上の性能を発揮するのではないかと推測している。
例えば、PETボトルのリサイクル材製造プロセスは、日本で一般的に行われているプール式ではなく、タンクを並べた流動層式プロセスであり、全体にコンパクトに設計されている。
設備の断面説明を見ると、設置面積を小さくする工夫がなされ、独自の技術が開発されているのではないか。
再生プラスチックメーカーの中には、廃プラスチックの回収から再生プラスチックの製造まで手掛けているメーカーも存在していた。
今日本では、廃材回収業者による再生プラスチック生産が立ち上がり始めたところであり、中国におけるこの分野の企業の技術レベルは日本よりも高い可能性がある。
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しかし、問題が無いわけではない。賀氏の講演で、2019年に一連の新しい法律や規制が施行されたことにより、適格企業の急速な増加と、それに伴いスクラップ量の急速な増加が起きていることが紹介された。
その結果、自動車リサイクル業界の規模が急速に拡大し収益も増大しているのだが、廃車業界には、高いリサイクルコスト、高い解体コスト、低い販売利益などの問題が内在している。
リサイクル・解体事業者間の熾烈な競争と技術革新が不十分なため、適格企業の存続が厳しくなっている。輸出禁止政策をとりはじめた国際情勢も業界に変化をもたらしており、それに対応する国内政策で今後廃車業界が発展し、健全な廃車産業チェーンが構築されるだろうと説明があった。
但し、他の講演者から、EV車の解体・資源処分産業はまだ大規模な市場を形成しておらず、リサイクルや解体の技能が不十分で開発の余地があることが指摘された。
そして、帯電酸素制御粉砕技術、電磁誘導酸素制御温度制御熱分解技術、効率的な乾燥粉末ストリッピングおよび選別技術によるリチウム電池のリサイクルおよび選別プロセスが紹介され、サプライチェーンの構築とともに今後の課題が提示された。
再生材として、プラスチックに限れば、現在主流の物理的リサイクルは低コストで推進しやすいが、リサイクル後の価値が低いので、プラスチックリサイクル技術の展開方向として高付加価値化が必要という見解を多くの講演者が指摘していた。
これに応えるように仇(Qiu)氏の講演では、再生プラスチックの特徴をデザインとして活かしてゆく提案がなされていた。そして、再生プラスチックを積極的に取り組みブランド戦略として推進している例を紹介していた。
また、フォーラムの最後にロジテック社の技術責任者が登壇し、環境問題に対する企業の姿勢と将来への展望が語られたが、製品の大半に再生材が使用されているとの説明には驚いた。まだ、ここまで再生材を製品に導入できている企業は日本に少ないのではないか。
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