昨日高分子自由討論会で頭がすっきりした話を書いた。すっきりしたのはポリカーボネートの問題だけではない。ほかにもいくつかあるが、母校の名古屋大学の先生が発表された3元系の共重合体ブレンドの講演は、先日この欄で紹介したラテックス生産プロセスでひしゃくを使った問題の理解に役だった。
今は使用されていないが、30年以上前に開発された写真会社のラテックスAは4元系で奇妙な分子設計だった。勝手な想像だが、3元系ラテックスの混合物ができているのではないか、と疑っていた。
20年前当方が担当して開発したラテックスBも少し難しい4元系のラテックスだった。しかし、これは必ず4元系になるようにいろいろと工夫した。過去に開発されたラテックスがあまりにも複雑であり、自分が担当したからには、と意気込んだが、特許を回避しようとしていたら結局4元系の複雑なラテックスになってしまった。
ラテックスAの製造釜を覗くと、表面に光が当たった時にいつもきれいな模様が観察される。ゴム会社に勤務していたときに出席した塗料のセミナーで人間の目はナノオーダーまで見ている、という話を聞いた。実際にナノオーダーが見えているのかというとそうではなく、ナノオーダーレベルの構造を変化させたときに表面の模様の変化として人間の目が認識するという意味だ。
ラテックスAでは偶然結晶構造のラテックスが一部できていたのかもしれない。名大の先生の講演は開会直後の最初の講演でまだ眠くなるような位置づけではないが、難解でありさらに技術としてどのような応用が考えられるのか分からない科学の講演だった。しかし、一つの真理を示しており、その真理のおかげで、ひしゃくを使った思い出が居眠りをしている頭の中に描かれた。
昨今では技術として応用できない研究を軽視する風潮があるが、自然界の新しい真理を生み出す科学の研究は実用性が無くても重要である。なぜなら技術は自然界の現象から人間に有用な機能を取り出し活用する行為であり、自然界の理解が不可欠だからである。
技術では、必要であれば科学で理解できていない現象から取り出された機能でも使わなければいけない状況もある。そのような状況における技術開発では新たな科学が生み出される可能性があるのだが、ラテックスAの事例から分かるように、たいていはほったらかしになっているのが現実である。
そして開発した担当者が行方不明になれば、技術は単なる行為として伝承されるがその意味が不明のためノウハウとして生かされなくなる。以前科学と技術で書いたが、技術を正しく効率よく伝承するためにはその科学的理解が大切である。そのために真理を導き出してさえいれば、科学の研究はそれだけでも価値がある、というとらえ方はいつの時代でも必要ではないか。
ひしゃくの使用回数を5回とした昔の技術者が直感で優れた人物と感じたのは間違っていなかった。ラテックスAでは、ラテックスBよりも規則正しい構造ができる可能性が極めて高い。ラテックスBよりもラテックスAでは必然的に捨て材が多かったはずだ。
(補足)ラテックスの合成を経験されていない方にはさっぱり分からない内容かも知れない。またその経験のある方でも4元系などの複雑怪奇な系を合成されていない方には馬鹿な話に見えるのかもしれない。技術開発で組み立てられ機能を発揮しているシステムの中には、その機能がなぜ発揮されているのか不明の技術が製品に使用されている例、として読んでいただければありがたい。当方は半導体用高純度SiCの技術を開発後、このような技術について科学で説明できることと説明できないことを分類しながら技術開発を行ってきたが、材料技術には科学で説明できないことが大変多いことにびっくりしている。最後に担当した電子写真システムは帯電現象を情報の書き込みに利用している。すべての部品を単純化したシステムではそのメカニズムの説明に成功しているが、実際に使用されている部品は複合材料であり、その帯電現象は複雑怪奇である。例えば当方の開発に成功した中間転写ベルト(PPS/ナイロン/カーボンの設計は前任者。当方はプロセシング設計と立ち上げを担当)は、押出成形で製造されているにもかかわらず、キャスト成膜で製造されるPI並以上の性能を発揮している。なぜ性能が良いのか不明である。科学で未解明な現象から機能を取り出し利用するという行為は、科学成立以前、すなわちニュートンが生まれる前の時代に人間が営みとして行っていたヒューマンプロセスである。弊社ではこのヒューマンプロセスの見直しを行っている。
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高熱伝導性高分子を微粒子分散系高分子として材料設計するときに、パーコレーション転移だけを考えているとうまく材料設計ができない。しかしその現象にはパーコレーションは関係している。複合材料の力学物性にもパーコレーションは関係しているが、その様子は電気抵抗測定の結果のように明確に観察されない。
微粒子分散系高分子において、微粒子の分散状態を科学的に論ずる場合には、クラスター生成を確率で取り扱うパーコレーションが科学の世界では一般的である。もう昔のような混合則で議論していては時代遅れである。
技術の世界では、現象をシミュレートするのにパーコレーションだろうが混合則だろうがかまわない。もし、ある微粒子分散系高分子にうまくフィットする混合則の式が見つかれば、それを用いて材料設計を行えば良い。現場の不良を考察するときには電卓を活用するが、そのようなときに混合則は便利である。
プロセスに異常があり、微粒子の添加量にエラーが生じているかどうか混合則で結論を出すことができる。技術では、機能が重要であり、微粒子のクラスター生成を議論することが目的ではない。このあたりを勘違いして大騒動になったのは、理研のSTAP細胞である。
STAP細胞を技術として扱っておれば、あのような結末にならなかった。もし技術として扱っていたならば、繰り返し再現性が上がるまで発表を控えただろうと思われる。STAP現象から再現性よく機能を取り出す手段が見つからなければ、STAP細胞ができないことは技術者ならばすぐに理解でき、実験をそのために計画する。
科学の研究を行っているのか技術開発を行っているのか自分の行為を明確に認識して取り組まなければ良い結果が生まれないのは高熱伝導性高分子の開発の場合も同様である。技術開発をやっているつもりで、パーコレーション理論にうまく合わないから、といって研究に取り組んでみるのは「時間とお金」があるならば良いことかもしれない。
しかし、パーコレーション理論にうまく合わない現象としてあきらめ、技術として試行錯誤で取り組むのも技術者ならば間違いではない。もしSTAP細胞についてそのように技術として取り組み技術として完成してから発表していたなら、あのような大騒動にならなかったろう。
技術開発の現場で面白い現象に遭遇すると科学の世界に目を奪われたりするが、そこをぐっとこらえて技術開発ができるようになりたいと思っている。科学の世界は技術開発が終わってからの楽しみにするようなストイックな技術者でありたい、と努力してきた。
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高分子は絶縁体であるとともに熱を伝えにくい材料でもある。ゆえに高分子を熱の良導体にするには、半導体高分子の設計と類似しているが、微粒子を分散することになる。
面白いのはパーコレーション転移と同様の現象が現れることである。しかし、半導体材料を設計するときとその現象の様子は少し異なる。エレクトロンとフォノンでは性質が異なるためだが、これも教科書にうまく説明されていない。
具体的な現象として、高分子に電気抵抗が低い微粒子を分散すれば、その導電性に応じて、微粒子分散系高分子材料の抵抗が下がる。しかし、熱伝導性樹脂の場合には、いくら熱伝導性が低い粒子を添加しても、その微粒子の熱伝導性に見合うほど樹脂の熱伝導率が下がらないのだ。
この現象に初めて接するとパーコレーションのいたずらか、と考えてしまう。しかしそれだけではない。電子伝導はトンネル効果のおかげで微粒子が多少離れていても起きるが、伝熱では微粒子の不連続点で極端に伝わりにくくなるのだ。
その結果、熱伝導率が異なる微粒子を集めてきて添加量と熱伝導率の関係をプロットすると、皆同じ曲線にのってしまう。ゆえに効率よく熱伝導樹脂を設計したいなら、科学的に考えるよりも技術的に考えた方が良いアイデアが出てくる。実際に特許なども公開されており、この分野の特許は読んでいると少し面白い。
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ペンタックスから新しいデジタル一眼レフカメラが発売された。K-3Ⅱと名付けられたそのカメラには、面白い技術が使われている。リアル・レゾリューションシステムと呼ばれている技術がそれで、ベイヤ配列のイメージセンサーで泣き所と言われたモアレの発生を0にして画像を高精細化する技術である。
原理的にモアレの発生が無いイメージセンサーとしてカメラメーカーシグマが採用しているFOVEONが知られている。これは、RGBの各色のセンサーを縦に層状に形成した構造で、イメージセンサーの一つのセルでRGB各色の情報を得ることができる。ベイヤ配列の欠点を克服するために科学的に考え出された技術であることは容易に想像できる。
しかし、ペンタクスのシステムは、その方式から根性で考え出されたような技術に見えてしまう。ペンタクスの一眼レフは、K-7と名付けられた機種からイメージセンサーを磁気浮上状態で振動させる手ぶれ補正機構を採用している。K-7、K-5、K-5Ⅱ、K-3と手ぶれ補正の効果を順次改良してきた。
このメカニズムを使用して画像の水平を補正する機能までつけたりして、磁気浮上センサーを活用する方法について、とことん考えている。少なくとも製品を通してみえる技術者の頭の中には、イメージセンサーを磁気浮上で制御することだけが常にあったように想像される。
そしてセンサーを制御してベイヤ配列の各RGBの素子へ光を導くシステムを発想したのだと思う。FOVEONについては科学的な雰囲気が漂っているが、リアル・レゾリューションシステムには技術者の根性のようなモノが見え隠れするのは当方だけだろうか?
当方のカオス混合技術も科学ではなく根性のたまものだが、PPSと6ナイロンを相容させるなど科学では説明できない現象を引き起こし、ナノオーダーの混練まで可能にするびっくりするような技術ができた。但しど根性ではなく、由緒正しい再現性のあるヒューマンプロセスの根性で考案された。ちなみに高純度SiCの前駆体合成技術も、ゾルをミセルにしたラテックス重合技術、PENの巻き癖解消技術などの成功体験も同様である。
もちろん酸化スズゾルを用いた帯電防止技術や、防振ゴム、ホスファゼン変性ポリウレタンフォーム、フェノールフォーム天井材、ポリマーアロイ下引き、再生PETを用いた射出成形体など科学的に出した成果も存在する。科学的プロセスとヒューマンプロセスをうまく使うことが大切である。
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パワー半導体の市場拡大とともにSiCウェハーの需要が伸びている。パワー半導体にはシリコンウェハーに代わりSiCウェハーが使用される。しかしシリコンウェハーのような大径化が難しく、現在は昇華法で製造されている6インチが最大である。
自動車分野では現在はハイブリッド車が主要なお客さんであるが、将来は燃料電池自動車や電気自動車の普及が見込まれ、SiC半導体分野は確実に市場が大きくなると言われている。
SiC結晶成長法には、昇華法とガス成長法、溶液法の3種類が存在し、古くから行われている昇華法が現在の主流で、ガス法では、成長速度が3mm/hと高いがなかなか大径化できていない。溶液法では炭素の溶解度をあげたり金属の混入を防いだりと、まだまだ課題が多い。
成長速度が遅い昇華法には限界があり、ガス法や溶液法が将来の主流、という見込みが立てられ、現在の開発の中心はガス法や溶液法であり、特許出願の主流である。ガス法はデンソーが、溶液法は新日鉄住金がトップランナーと思われる。
不思議なことに昇華法の成長速度を上げようという開発があまり行われていない。昇華法では公開された情報が多くその技術の限界が見えてきたからだが、それは科学的な視点による評価である。技術的視点では、昇華法にまだ可能性が残っている。弊社に問い合わせていただきたい。
すべての条件で、結晶成長速度の限界を昇華法では解決できない、という完璧な科学的な証明がされているならば昇華法の技術開発をあきらめても仕方がないかもしれない。しかし、この否定証明は現在のところ困難だろう。ガス法で成長速度の速い現象が見つかっているからだ。
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セラミックスとは、熱で焼き固めたもの、という意味の言葉が由来であり、材料を高温度で加工する技術に特徴がある。ゴムや樹脂の温度レベルではない。金属やセラミックス、ゴム、樹脂など材料開発をすべて経験してみると、温度の重要性を身にしみて理解できる。
セラミックスを高純度化したいときにどうするのか。高純度の原料を使用すればよい、という解答になる。原料がセラミックスの場合にはどうする?というように、実はセラミックスの高純度化技術というのは難易度の高い技術なのである。また必要とされる純度により、技術手段も変化する。一般的な話をするのも難しくなる。
例えばSiCという地球上に存在しないセラミックスを例に高純度化技術を説明すると、昇華法か、原材料の高純度化法という二つに大別される。昇華法はSiCウェハーにも利用されているが、2000℃以上の高温度で行われるプロセスでエネルギーコストがかかる方法である。
原材料の高純度化では、ケイ素源と炭素源の材料を高純度化することになるが、この時ケイ素源は比較的安価に高純度材料が手に入る。炭素源で高純度原料というと有機物を使うことになる。有機物から炭素がどれだけ得られるのかその割合によりコストは大きく左右される。
SiCの高純度粉体(例えば99.9999%程度の純度)を得ようとしたときに、安価なSiCインゴットから高純度化を行った方が良いのか、原料に有機物を使用した方が良いのかは難しい問題で、使用量が少量ですでに工程が存在するならば、前者が経済的であるが、新たに量産工程を作るのであれば、後者が容易で経済的に有利である。このプロセスで30年近く事業が続いており、実績のある方法だ。
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パーコレーション転移という現象が顕著に品質へ影響するケースでは、混練工程でパーコレーション転移が安定になるまで混練されていないと、成形工程で痛い目に遭うだけでなく、成形工程だけで品質問題の解決を行うことは難しい。コンパウンド段階でパーコレーション転移の問題を解決しておくのが技術的に正しい方法と思っている。そのためのプロセシング技術を心がけてきた。
特に押出成形は、ゴム押出工程の現場で「行ってこいの世界」と表現されているように、混練された材料の性質がそのまま成形体に現れる。押出成形で材料の性質を変える、あるいは成形体に発生した材料起因の問題を解決することは不可能である。
樹脂に導電性のカーボンを分散し、半導体ベルトを製造するときに熱可塑性樹脂を用いたい場合には、押出成形が使用されるが、ベルトの周方向における抵抗の安定化という問題が必ず起きる。金型で解決できる場合もあるがその対策にも限度がある。キャスト成膜で製造されるベルト以上に精度を上げることができない。キャスト成膜でも乾燥工程で均一に保つことが難しく、どうしても周方向の抵抗偏差が現れる。
実はコンパウンドさえうまく製造できれば、押出成形のほうがキャスト成膜よりも精度の高いベルトを容易に製造可能である。コンパウンドに配合された導電性微粒子の分散状態が成形温度まで安定になっているように、すなわちパーコレーション転移が完結した状態になっているように混練を進めておけばそれを達成できる。
導電性微粒子の分散が樹脂の溶融温度を過ぎても変化しないコンパウンドを製造するためには、混練で材料が平衡状態に達するまで時間を掛ける必要があるが、経済的な制約のため不可能である。混練効率を上げる以外に方法はない。ご興味のあるかたは問い合わせていただきたい。
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高純度SiCの応用分野としてダミーウェハーやるつぼ、ヒーターなどの半導体冶工具がある。さらにハイブリッド車に採用されているインバーター用のパワートランジスタとして最近用途が広がってきたSiCウェハーがある。
SiCウェハーを製造するには、シリコンウェハーと同様に大口径の単結晶が必要である。最近はレーリー法(昇華再結晶法)で6インチの口径の単結晶が作られているが、この技術が開発されたのは1980年前後であり、現在に至るまで30年以上かかっている。
最近レーリー法以外にSiCの液相から育成する方法やメタンガスとシランガスを用いる方法が登場し、検討が進められている。特にガスを用いる方法は結晶成長速度が速く生産性が高いので有望視されている。
現在SiCウェハーに必要な単結晶を製造する方法は3種類が注目され検討が進められているが、この3種類とも高温度で製造する点において大同小異である。これを大同小異と表現したのはイノベーションの観点からである。
詳細を省略するが、レーリー法の結晶成長速度がガス法よりも遅い科学的理由があるが、これを技術で改善するのもイノベーションの一つである(注)。また、ガス法や液相法を改善して今すぐにレーリー法同等の単結晶を製造するのもイノベーションである。あるいは単結晶を育成する第4の方法、それも低温度で生産性の高い方法を開発するのイノベーションである。
SiCウェハー分野にはこのように多くのイノベーションの機会があり、さらに不連続な破壊的創造を行う方法も複数存在する。ここでどのようなイノベーションを狙うのか?新たな第4の方法を狙うのは研究者ならば興味深いターゲットであるが、技術者ならばレーリー法の結晶成長速度をガス法並みに高めるイノベーションを狙いたい。マネベーションで容易にできそうだからだ。
イノベーションは困難な課題に立ち向かうことが要求されているのではない。破壊的創造を行う課程で困難な課題に遭遇する”場合もある”のだ。ドラッカーはイノベーションは単純でなければならない、と述べている。
最も単純で成果が得られそうだからといって価値が低いのではない。イノベーションを起こすことができたときに高い付加価値が生まれるのである。すなわち実現できそうな易しい課題でイノベーションを起こすことができれば効率よく付加価値を高めることが可能である。
高純度SiCの技術開発から約20年離れていたが、某国立大学で取得予定だった学位の問題もあり勉強を続けてきた。途中ですばらしい機会があり無事学位を取得できたが、内容の半分はSiCの反応速度論である。
(注)科学では真理が一つであるが、技術では機能を実現する方法がいくつもある。この意味が不明であればwww.miragiken.comをご覧ください。
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セラミックスの成型方法はいろいろ用途に応じて使い分けられている。その泥漿を練り上げるにも今日では連続式混練機が一部で使用されている。30年ほど前にその話を初めて聞いた時には驚いた。その泥漿を練り上げる専用の混練機も存在する。
主に剪断混練が使用されていると思われるが、スクリューの摩耗が心配である。知人の技術者に聞いたところ、専用の材料が使用されているとのこと。昔は摩耗が激しかったが最近は良い材料も開発されたとも言っていた。
中間転写ベルトの開発を行っているときに、セラミックス材料の混錬で使用されている、と言われたKCKと呼ばれる、いわゆる石臼型混練機を使用する機会があった。PPSとカーボンを混練するためにそれを用いたのだが、一般の二軸混練機に比較して混練効率は悪いと感じた。
剪断混錬は効率が良いはずだが、機械の消費電力の割に生産性が悪い。同一電力に換算して比較した時に時間当たりの混練される量が6割ぐらいだった。PPSにカーボンの咬みこみが悪いからだ、と装置を貸してくれた会社の技術者は言っていたが、不思議に感じた。
面白いのは混練して得られたカーボンの分散状態で、二軸混練機のそれと異なっていた。1台購入し材料開発に使用したが、得られた混練物の性能は二軸混練機が60点とすると70点前後で100点に到達できなかった。
ただカーボンの分散状態は特徴的でもう少しその特徴が完璧に発揮されればゴールを達成できたが中途半端な状態であった。今改めて思い出してみるとセラミックス材料の分散でもこの「中途半端さは問題になるはずだがそのような情報はWEBに落ちていない。セラミックス協会誌を読んでいても出てこない。
もしセラミックス業界でKCKを使用されている方で何か疑問を持たれたらご相談していただきたい。どこまで期待に応えられるか不明だが、問題解決のヒント程度は出せるかもしれない。
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特公昭35-6616(以下特公昭35)を軸に特許戦略を立案し、実験計画を立てた。タイミング良くパーコレーション転移のシミュレーションソフトウェアーも完成した。産学連携で進めた研究結果では、特公昭35の実施例に記載された酸化スズゾルの体積固有抵抗は、20年近く前ライバル会社から出願された特許に書かれていたような絶縁体に近い物性ではなく、10の3乗Ωcmという導電体レベルの導電性で電子伝導性の材料だった。
それでは、なぜライバル会社や転職した写真会社でこの材料の導電性が悪いとされたのか?学術論文では高純度酸化スズの導電性は絶縁体と結論されていた。しかしこれは「結晶性」高純度酸化スズの場合である。
非晶性酸化スズの場合はどうか。学術論文が発表されていない。そもそもまともな研究論文は見当たらず特許程度に記載された情報だけである。産学連携で進めた実験結果が学術としては世界で初めての実験結果であった。この実験結果は日本化学会で発表されたが、非晶性材料における導電機構が問題にされた。
学術では導電機構が重要であるが、技術では電子伝導性で10の3乗Ωcmという導電体レベルの材料である、という結果、すなわち機能の存在を示す結果が重要である。幸いなことに世間は学術と技術の違いを認識していない、ということも分かってきた。
産学連携で見つかった導電体の機能がどうして特許や転職した写真会社では否定されているのか。それはパーコレーション転移という現象が存在するためだ。公開された技術情報や転職した会社の実験結果では、塗布膜の電気物性を評価している。バインダーに酸化スズゾルを分散し塗布するとパーコレーション転移が生じる。
また添加率を上げてゆくとひび割れしやすくなる。クラックは異方性が大きいので電気抵抗を高める方向に機能し、これもパーコレーション転移を生じる。すなわち導電性粒子のパーコレーション転移とバインダーの微小クラックが原因で導電性が低くなっていたのに酸化スズゾルに導電性機能が無いと結論していたのだ。
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