情報化時代となり、ビッグデータを活用した成果が連日ニュースになっている。
世界一のスピードを誇るコンピューター「富岳」によるコロナ感染シミュレーションは、おなじみになった。
材料開発にもAIを導入してこの手法を使っていこうという動きがマテリアルインフォマティクスだが、高分子の世界では1970年代にゴム会社で行われている。
二度のオイルショックで燃費改善をタイヤの材料開発で実現しようとしたテーマが企画された。このテーマでは、転がり抵抗の低減とグリップ性能とは二律背反となり、科学的に解を得ることが難しく、多変量解析による最適化が行われた。
IBMのビジネス用大型コンピューターの統計パッケージが使われたのだが、当方は新入社員実習テーマ「タイヤの軽量化」でこれを使用し、データ入力から結果を得るのに一日かかった記憶がある。
今となっては文明の遺物、パンチカードでデータ入力するのだが、このパンチカード作成も大変だった。さらにデータカードができてもすぐに答えが出てくるわけではなかった。
OSはマルチタスクで処理されていただけでなく、ジョブの優先度も決められていた。POSシステムのデータや経理処理の後に解析が行われたので、結果が翌朝でてくるということもあった。
当時3033という型式で呼ばれたコンピューターを使っていたのだが、今のマイコンに比較すると赤ん坊のような頭脳なのに20帖ほどの快適な部屋で大きな顔をして2台鎮座していた。
また、セラミックスでは無機材質研究所でこのような手法で研究を行っていた人もいた。JANAFの熱力学データやASTMカードのデータを打ち込んでデータベースを作成し、研究をされていた。
当時はデータベースを作るところにも一山超えなければいけない手間がかかった。それだけでなく、AIの代わりに、職人並みの経験知を有した研究者の頭が頼りであった。
高分子学会誌6月号でもビッグデータの話題が載っていたが、温故知新と言ったら叱られるか?無料セミナーでも実例を使って少し説明いたします。
無料セミナーでは、多変量解析による難燃化因子の解析結果から、なんちゃってデータ駆動による難燃性環境対応樹脂の開発事例などを説明します。
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下記予定で、試験的にWEBで無料セミナーを開催します。受講希望者はお申し込みください。なお各講座6名と人数制限を設けていますので、先着順とさせていただきます。また、テキストは有料(5000円)で、7月16日までにお振込みください。但しテキストの購入は必須ではありません。
1.7月17日(金)9時30分から11時30分
「高分子の混練技術概論」
講師の著書(定価4800円)がテキストです。
2.7月17日(金)13時30分から15時30分
「高分子の難燃化を事例にマテリアルインフォマティクス概論」
ただいま作成中です。
3.7月18日(土)13時30分から15時30分
「高分子の混練技術概論」
講師の著書(定価4800円)がテキストです。
以上
今回のセミナー参加者募集は終了しました。
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樹脂を混練するときの温度について誤解をしている人が多い。例えば、ある学会賞の審査会で、カオス混合によるコンパウンドで製造された中間転写ベルトの技術について、樹脂の溶融温度(Tm)以下で混練している点を指摘し、その温度では混練できない、と頭ごなしに否定され、カオス混合技術は受賞を逃がしている。
学会賞の審査会では、科学的に納得が得られるように嘘を書いてでも世間の常識に合わせて資料を作らなければいけない、などと誤解したくなるような経験だが、樹脂をその溶融温度以下で混練する、とは、そのくらいの認識である。
当方は、この溶融温度以下の混練条件で樹脂を混練する技術について剪断混練と名付けているが、この技術を否定する人はステレオタイプに分子の断裂が起きて低分子量化する問題を指摘する。学会賞の審査会でもこの指摘があった。
この学会賞の審査委員は高分子のことを知らないのか、と突っ込みたくなったが、**学会の審査会だったので高分子の専門家がそろっており失礼になると思って、素直にその場の空気に従ったら落選した。
PIで製造された中間転写ベルトよりも性能の良い複写機部品を製造できた技術なので、当時審査にかけられたライバル技術と比較して遜色がないどころか環境や経済への波及効果は極めて大きかったので、カオス混合技術が落選したのは*******である。推薦してくださった先生に申し訳ないことをした。
さて、このように剪断混練技術は、学会賞で否定されたぐらいの技術だが、この二十年間に当方以外の技術者からも特許が出願されている。ご興味のある方はお問い合わせください。
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混練技術の難しさは、ゴムの混練に携わっている人と樹脂の混練を二軸混練機で行っている人で,その視点が異なることからも理解できる。
高分子という同じカテゴリーの材料を混練していても、混練条件に対する考え方が異なっている、と表現した方が良いかもしれない。
最近でこそゴムの混練に二軸混練機が使われるようになってきたが、40年ほど前には、ゴムの混練はバンバリーとロール混練あるいはニーダーによる混練が常識だった。
樹脂は、コンパウンドが一般に知られるようになったときに二軸混練機で混練されていた。もっとも昔は、練る能力など殆どない二軸押出機が使われていた、といった方が良いかもしれない。すなわち、混ぜることだけを樹脂技術者は経験してきたのだ。
ゴム技術者は、とにかく練ることを考えてきたので、例えば混練温度に対する考え方が樹脂技術者と異なる。樹脂技術者は、混練温度と言えば樹脂の溶融温度しか考えないが、ゴム技術者は、幅広い温度領域で考えている。
それでも15年ほど前にある樹脂技術者から混練について素人は黙っとれ、と恫喝されたが、その方は最後まで顧客の満足できるコンパウンドを製造することができなかった。
ド素人が中古の二軸混練機を買い集めてコンパウンドを生産しなければいけない状態になった経験を思い出すたびに、混練技術では議論さえ難しい、と感じるようになった。
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下記予定で、試験的にWEBで無料セミナーを開催します。受講希望者はお申し込みください。なお各講座6名と人数制限を設けていますので、先着順とさせていただきます。また、テキストは有料(5000円)で、7月16日までにお振込みください。但しテキストの購入は必須ではありません。
1.7月17日(金)9時30分から11時30分
「高分子の混練技術概論」
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コロナ禍でズームが流行しているが、ズムキャバのニュースには驚いた。連日満員と書いてあったが、本当だろうか。そもそも満員とは何を基準に満員としているのだろう。
どの程度の人数を満員と言っているのか大変気がかりである。弊社は今オンラインセミナーのアンケート中であるが、ズムキャバのニュースが本当ならば、オンラインセミナーのアンケートが少ない原因を真剣に考えなければいけない。
痴ではなく知が得られるオンラインセミナーは、ズムキャバよりお徳である。このニュースで、オンラインセミナーにどれだけ集客できるのか不安になってきた。
一度7月無料で5人限定としたオンラインセミナーを開いてみようと思う。5人と限定しているので、5人集まれば満員である。無料で募集しても満員にならなければ、オンラインセミナーをあきらめた方が良いだろう。
とりあえず、高分子材料に悪戦苦闘している高分子の専門外の方々を対象とした「高分子のツボ」2時間バージョンとか、プロセシングで困っている方を対象とした「混練のツボ」とか考えている。
あるいは、時間制限があり難しいが、「高分子の難燃化技術」2時間バージョンとかもチャレンジしたいと思っている。
7月だけの限定なので突然ここで告知をすることになるが、もしご希望のタイトルがございましたらアンケートに書いていただけるとありがたい。提案者には優先して無料券を配布いたします。
満員になりそうな無料セミナーを募集してみたいと思っている。無料セミナーなのでズムキャバより確実にお徳である。アンケート備考欄にご希望を書いていただきたくお願いします。
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混練は混ぜることと練ることのプロセスを表す熟語である。
混ぜることは一般に理解できるが、練ることのイメージをうまく伝えることが難しい。高分子を理解している人に説明するならば、高分子どおしを絡ませてゆくプロセスと言うだけで伝わるが、高分子をよく理解していない人には、絡まることのイメージがうまく伝わらない。
目の前に何本かの紐を用意して、手の中でくちゃくちゃと練ってみる。その時紐はどうなるか、を見ていただくとイメージをつかみやすいかもしれない。
実際の高分子は、回転運動や変角運動、さらにはレピュテーション運動など環境の温度に応じて様々な運動を行っており、練りを加えても紐よりも複雑な状態になる。
そんなことも理解しやすいように本書は努力して書いている。
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学部の卒論には、当時流行歌だったシクラメンの香りの全合成を書いた(JACSにショートコミュニケーションが載っている)のだが、大学院はSiCウィスカーで有名な講座で無機高分子の研究を行っている。専門を聞かれたなら学位論文の中身を考慮すれば無機材料となる。あるいは、セラミックスである。
ゴム会社に入社して、最初の指導社員が優れたレオロジー研究者だったのは幸運だった。当方が無機材料の講座出身ということで3か月間毎朝3時間高分子材料について座学を開いてくれた。
ある時は大学教授のようであり、ある時は事業コンサルタントのようなバランスの取れた講義は、新入社員の指導講座として一つのお手本となるような内容だった。ただ、QC手法には批判的で独自の統計理論をご指導くださったのは役立った。
マテリアルインフォマティックスが今話題だが、データ駆動の高分子材料設計手法は40年以上前からその概念が存在したのだ。この指導社員は、いったい何者だ、という疑惑も生徒の立場として感じていた。
ダッシュポットとバネのモデルによるレオロジーを説明しながらも、このような手法は、あと10年もすれば使われなくなる、と言って分子論に基づく粘弾性モデルを説明してくれたが、どこにも書かれていない難解な内容で理解できなかった。
当時京都大古川先生や東北大村上先生らのケモレオロジーという考え方があった。指導社員によれば、高分子融体のレオロジーを検討するときれいな理論を組み立てられない問題が大きい、と説明してくれた。
今から思い出すと死ぬ気でこの指導社員の説明について勉強しておけばよかった、という反省になるが、毎日4時間以下の睡眠で死ぬほど樹脂補強ゴムのサンプルを混練していた当方には不可能だった。
指導社員の講義内容をすべて理解できなかったが、手帳に残った講義録をこの10年近く眺めて混練活用ハンドブックとしてまとめ上げた。難解なワラビやゼンマイについては書き間違いもあるといけないので省略し、数式を可能な限り文章で表現する努力をしている。
カオス混合技術については、指導社員から原理を学んだが、その実現方法が宿題とされたので、この本は40年前の卒業論文のような位置づけになる。
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