ゼラチンとシリカゾル、ラテックスの3種のコロイドを混合するときに、それぞれのコロイド溶液に分散している微粒子表面のゼータ電位が乱れる現象を避けることができない。このような多成分が分散しているコロイド溶液を調製するために一成分づつのコロイド溶液を用いたときには(成分数-1)の回数で混合することになるので、あらかじめ複数の成分が安定に分散しているコロイド溶液を一度に作成して、混合回数を減らす戦略が効果的である。
ゼラチンとシリカゾル、ラテックスの三成分のコロイド溶液を混合する場合、ゼラチンラテックスとシリカという組み合わせ、あるいはシリカゾルとラテックスがあらかじめ均一に分散しているコロイド溶液にゼラチンを組み合わせる方法、ゼラチンとシリカゾルが安定に分散しているコロイド溶液へラテックスを加える方法などがある。
ゼラチンを保護コロイドとしてラテックスを重合して製造されるゼラチンラテックスでは、シリカゾルをここへ加えるだけなので混合回数を1回に減らすことができたが、シリカゾルの凝集を防げなかった。ゆえにシリカゾルとラテックスが均一に分散している状態へゼラチンを投入した時にどのようになるのか期待されたが、シリカゾルとラテックスが均一に分散している状態を作り出す手段が問題となった。
この解決策としてシリカゾルでミセルを形成させてラテックスを重合する戦略が有効である。ただ、当時このアイデアで成功した人は世界で誰もいなかった。しかし、ゴム会社でゾルゲル法を検討していたときにこのアイデアが浮かび少し手掛かりが得られていた。その手掛かりとは粒子に界面活性剤を吸着させてミセルを形成する方法である。
ただゴム会社で実験したときには増粘したので、あまり筋の良いアイデアではないと思っていた。また、ゾルへ高分子を吸着させたときのレオロジーに関する川口先生の御研究を学会で拝聴したときにもこのアイデアの可能性はありそうだが、講演内容から推定するとゾル粒子と高分子の組み合わせを探索するのに時間がかかるだけでなく、試行錯誤で探索した場合に無限ループになるような予感がした。
しかし、写真会社へ転職し、ライバル会社の技術に抵触しない重合条件の探索実験を見ていて、あわよくばという気持ちが湧いてきた。それが先日この欄で紹介したホワイトボードを用いたコーチングの背景である。
科学は論理的ゆえに単なる思いつきのアイデアに対して、それを否定する時に強力な説得力をもつ。川口先生のご発表をうかがったときには自分のアイデアを一旦は否定的にとらえた。しかしあきらめかけたアイデアであったが、大事に頭の隅に寝かしておいた。頭の中に寝かしている間に熟成されて、コーチングで役立った。ホワイトボードの前で行ったコーチングでは、当方の発言に対して、否定証明の嵐が吹いたからである。
ただし自分でも一度は否定していた内容なので、嵐に立ち向かうことは容易だった。ある仮説なりアイデアについて科学的に否定証明を行うことは容易である。これゆえゴム会社では科学でモノを造ることはできない、と言われたりした。また、それゆえにできることについては、すなわち肯定的に物事を進めようとするときには、科学的ではなく直観に訴えるやり方が推奨された。いわゆるKKDによるモノづくりである。
開発現場で隘路に入ったときには、科学の制約を取り除くコーチングの進め方が大切である。科学は真理を導き出すには有効な方法だが、現象から機能を取り出さなければいけない技術開発では、現象をどのようにとらえるかが重要で、科学にとらわれない自由な発想で現象をとらえることができたときに新しい技術が生み出される。このことがよくわかっていない人が多い。科学にとらわれない自由な発想で現象をとらえるやりかた(問題解決法)について詳しくは弊社へ問い合わせていただきたい。アイデアを寝かせるという方法は一つの良い手段である。
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ゼラチンとシリカゾル、ラテックスの3種のコロイドを混合するときに、それぞれのコロイド溶液に分散している微粒子表面のゼータ電位が乱れる現象を避けることができない。
すなわち何らかの複数のコロイド溶液を混合するときに、この粒子表面のゼータ電位の乱れから偶然クラスターが生成する可能性が高くなる。ひどい時には沈殿が生じたりする場合もある。
だからコロイド溶液を複数混合するときに、混合順序が問題になったりする。混合したときに沈殿が生じない条件を科学的に求める方法もないわけではないが、このような場合には試行錯誤で肉体頼りに体育会系的実験を行ったほうが早く問題解決できる。
そしてうまくいった条件についてゼータ電位測定などを行い、理論を後付けで行ういわゆる「せこい方法」が効率的である。世の中には「せこい方法」を毛嫌いする人もいるが、これでノーベル賞をとった人もいるので侮らないほうが良い。
特に高分子材料の開発では、清く正しく科学的に開発を進めるという人は、なかなか成果を出せないと思ったほうが良い。企業の研究開発では、科学を重視しすぎると組織の足を引っ張る場合もある。
適当に実験を行い成果を出してから、その成果の考察を科学的に行い、全体を科学的に見せるような開発手法が効率的である。写真会社ではこのような手法で開発を進め、学会発表にも力を割くことができた。
シリカゾルをミセルとして用い、ラテックスを重合する手法は、昨日まで書いたようにホワイトボードに書いた漫画がきっかけで誕生している。そして技術が出来上がってから三重大学川口先生のご指導を仰ぎながら科学的に新発明の手法について解析を行っている。解析結果でもシリカゾルがミセルとして機能しているという結果が出たので、改めて驚いた。
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硬いシリカゾルをコアに柔らかいラテックスでその周囲を覆った、写真バインダー用コアシェルラテックスは、ゼラチンの高靱性化と高弾性率化を狙って開発された材料である。コアシェルラテックスの合成技術そのものは優れた発明だが、それでもゼラチンの力学物性を十分に改善できていなかった。特許の追試を行ったところ現像処理で硬度がまだ不十分なため高速な現像処理プロセスで使用すると擦り傷がつきやすかった。
ところで、ゼラチンにシリカとラテックスを混合する従来のプロセスでは、シリカの凝集が生じ、それが1μmまで大きなクラスターとなっている問題があった。これは、コアシェルラテックスとの比較で電子顕微鏡写真を「そのつもりで」撮影したことにより見つかった。
余談になるが、写真が真実を写しているかどうかは巷の議論の種となり、TVのCMにも使われたりした。例えば、「美しい人はより美しく、そうでない人はそれなりに撮れます」という、写真フィルムの性能の高さを訴えたCMが20年ほど前にあった。
感光体の粒状性が著しく進歩し、アナログのカラー写真が現在のデジタル写真に匹敵するぐらいの美しさになった時代である。すなわち写真で描かれている画像情報は、撮影者の技量だけでなく感材の性能やその他にも影響を受ける。
他の研究者が撮影した高分子材料の高次構造写真を見るときに気をつけなければいけないのは、研究者がその写真を撮影した目的である。例えばラテックスで形成された薄膜について、そのままSEM写真をとれば、平滑な表面の写真が得られる。しかし、ラテックスに染色されやすい官能基が存在しているならばOs染色などの技法でラテックス粒子がくっつきあっている写真を撮影することが可能である。
また、混練で得られたコンパウンドの高次構造写真についても同様で、海島構造になっているはずの写真で島が見えない場合がある。このような時に、期待した高次構造となるよう染色操作も含め写真撮影の工夫をする。
すなわち、教科書などに掲載されている写真の多くは、研究者が期待した構造となるように処理を行い写真撮影をしている。これは高次構造について仮説を立て操作を行うのでねつ造とは異なるが写真を見るときに注意する必要がある。
話を戻すが、コアシェルラテックスの追試実験で得られた薄膜では、きれいにシリカのナノ粒子が分散している写真が得られた。この写真を基準に従来技術で作成されたゼラチンバインダーの写真を眺めてみると、ゼラチンバインダーの中でシリカのクラスターが生成しているように見えた。そこで、バインダーの断面について多数の視野を撮影し、それらをその気で観察したところ1μm規模のクラスターができている、と考えてもよいとの結論に至った。
その気で写真を眺めた考察から、高い靭性のバインダーを製造するには、ゼラチン中でラテックスやシリカが絶対にクラスターを形成しない条件や状態を創りだすプロセスを探せばよいというヒントが得られた。
見合い写真ではアバタも笑窪に見えるような気持で見なければだめだ、とよく説教されたが、高分子の高次構造写真も同様で、問題解決の答えが必ずそこにあると信じて眺め続けると不思議にも悩んでいる問題の答えが浮き上がって見えてくることがある。写真が真実を写しているかどうかという議論は大切だが、その気で気合を入れて写真を見るという姿勢は、高分子の高次構造と物性を考察するときにもっと大切である。
例えそれが偏見で仮説から期待される構造に見えたとしても、見えている事実が存在する。技術者ならばその見えている事実を大切にして機能を設計し創り上げる努力をしなければいけない。このような努力を続けた時に新しい技術が誕生する。高靭性バインダー以外にも酸化スズゾルを用いた帯電防止技術や発がん性の懸念がある物質を使用しない接着技術、中間転写ベルトの開発などは電子顕微鏡写真からアイデアが生まれている。
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高分子材料の力学物性を改良するときに、その高次構造を漫画で表現してみるとアイデアを出しやすい。この時、500から800nm以上のサイズは靱性に影響を与える因子になる。
逆に100nm未満の構造は靱性に影響を与えない。界面がうまくデザインされれば、靱性向上効果が現れることもある。また、クラスターが形成されたときも同様に考えるとよい。クラスターのサイズがどのくらいまで大きくなるのかということに注意する。大きくなればやはり靱性に影響を与える。
ゼラチンの改良では、この漫画がきっかけとなり開発が一気に進んだ。すなわち、シリカのナノ粒子とラテックスが凝集することなく分散している様子をホワイトボードに書いたところ、一人の担当者が、コアシェルラテックスの合成実験で失敗した時の材料が同じような状態になっているかもしれない、と発言したからだ。
この発言に対して、当方は、それが正解だ、すぐにその材料で研究開発を進めろ、と指示した。すると、一週間ほどでホワイトボードに描いた漫画と同じゼラチンバインダーができた。驚くべきことにこのバインダーは、何も添加されていないゼラチンバインダーよりも靱性が高かった。
コアシェルラテックス開発過程の失敗した実験がきっかけとなり、新たな技術が生まれたのだが、これはコーチングの成果であり、当方がコーチングをしなければ絶対に誕生しなかった技術だ。写真会社で感材用高分子技術開発を指導していた時に、このような当方がそこにいなければ生まれなかった発明で多くの成果を出している。
面白いのは当方が所属した部門は高分子技術開発を担当していた部門で、メンバーの大半は当方よりも高分子技術に詳しかった。しかし、皆教科書どおりの考え方で仕事を進めていた。当時は高分子物理が発展途上であり、教科書よりも学会で生のデータに接することの方が重要な時代だった。
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シリカをコアにしたコアシェルラテックスの発明は、硬くても脆くないゼラチンの究極の技術とみなされ、この技術に追従する開発がすぐに業界で活発に行われた。
このような場合に技術を開発した会社が特許戦略に詳しくない会社ならばよいが、このコアシェルラテックスを最初に開発した会社は業界トップの会社で特許戦略に長けており、追従開発は、至難の道だった。
ちょうど転職したころがこのような状況で、担当者が苦労して開発している姿を見てかわいそうだと思った。当方ならさっさとあきらめて他の技術を探す。高分子材料技術では、大抵の場合に同じカテゴリーでなくても異なるカテゴリーのアイデアで同様の力学物性を達成可能だからだ。
すなわち少なくともABC3つの複合化カテゴリーがある。さらにコアシェルラテックスを用いたゼラチンの高次構造は、シリカの周りにラテックスが必ず存在し、その周りにゼラチンが海となっている構造で、シリカが直接ゼラチンを補強しているわけではない。
シリカが直接ゼラチンを補強し、そのもろさをラテックスが改善しているような構造はライバルの特許に含まれない。この内容を最初に話したときに、その構造ならば旧来の技術と同じで何も改善されない、とすぐに担当者から否定された。これは科学という哲学に毒された若者の典型的な意見だった。
科学は技術開発を行う上で重要な哲学である。しかし、科学に囚われない自由な発想はもっと大切である。その発想から生まれたアイデアが実現可能かどうかは、科学で完璧な証明は難しいが否定証明は容易である。ゆえにしばしば自由な発想のアイデアは否定されることになる。
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靱性の低い(脆い)高分子としてゼラチンがある。このゼラチンの脆さを改善するために柔らかいラテックスと複合化する技術が写真フィルムのバインダー技術として開発された。
面白いのはラテックスの種類により、脆さの改善具合が変わるのである。そこでゼラチンを保護コロイドに用いたゼラチンラテックスという材料まで開発された。この材料技術ではラテックスの組成の範囲が広がったので、複合化においてラテックスとゼラチンの界面の性質が重要であることがわかる。
ゼラチンとラテックスの複合化で問題になったのは、この両者の界面だけではなく、現像処理時にゼラチンが水で膨潤し弾性率低下が起き、ラテックスの柔らかさが傷のつきやすさと考えられたことだ。
この考え方が正しいかどうか知らないが、とにかくゼラチンを硬くしたいというニーズが生まれ、シリカゾルの添加という技術手段が考え出された。ところがシリカゾルを添加したところ、せっかくラテックスと複合化して高靱性化したゼラチンの靱性が下がってしまった。
その結果、ラテックスとシリカゾルの添加量のバランスをとりながら、硬くて脆くないゼラチンの開発が進められた。このような技術開発は、すぐに限界が見えてきて、シリカをコアにしてラテックスでシリカの周りを覆ったコアシェルラテックスをゼラチンに添加する技術が開発された。
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靱性とは、材料の脆さを表す指標であり、線形破壊力学ではK1cという値で表現される。高分子材料の靱性は、金属同様に高いものから低いものまで幅広い。セラミックスは、部分安定化ジルコニアや、繊維補強セラミックス程度までである。
靱性が低い高分子材料の物性を改善する方法として複合化があり、他の高分子と複合化する方法はポリマーブレンド(B)、他の材料と複合化した場合にはコンポジット(C)と呼ばれれている。またポリマーブレンドにおいて二種の高分子が相溶したものはポリマーアロイ(A)と呼ばれている。
高分子ABC研究会というのがあって何をやっているのか覗いたら、複合材料の研究会だった。この研究会では、とにかく混ぜ物をした高分子について討論しており、初めて参加した人には、あまりにも扱う範囲が広いので戸惑う。
しかし慣れると高分子を学ぶために大変有益な研究会だとわかってくる。なぜなら、高分子はABCとして使われている事例が圧倒的に多いからだ。だからこのような一見ごった煮の様な研究会は重要である。
高分子の靱性をあげる方法は、と問われたら複合化と答えれば間違いではないが、実際にはその答えだけでは不十分で、ABCの中からまずひとつ選び、選んだ中で最適化を行うことになる。
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一次構造が異なる二種類の高分子AとBをブレンドすると大半は島が海に浮かんでいるような、あるいはサラミソーセージのような海島構造となる。このときどちらが島になるのかは、比率で変化するが、添加割合が少なくても海になる場合もあり複雑である。
この時、AとBの構造を有する分子を添加すると両者がよく混ざり合って島が無くなり均一になる場合がある。このとき高分子は相容した、と表現され、AとBの二種類の構造を持った材料を相容化剤と呼んでいる。
このあたりの現象は、水と油の二相分離しているところに界面活性剤を添加し、エマルジョンとする操作と類似している。材料科学を考えるときに、異なる分野の現象で類似しているような操作方法と対応させて眺めると面白いだけでなくアイデアも出やすい。
すなわち高分子材料を考えるときに、界面活性剤の科学も一緒に勉強しておくとその見方が少し広くなる。
当方は写真会社に入社して高分子科学を真剣に勉強したが、その時に役だったのがセラミックスで泥しょうを設計する技術だった。豊富な界面活性剤に関する経験と知識で高分子材料の理解が容易となったのは、高分子材料は単品で実用化されることはなく、必ずブレンド物として実用に提供されるからと思っている。
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界面活性剤について、1970年代の教科書に不適切な記載がある。それは、その定義であり大変狭い。実は分子内の構造に親水性の部分と親油性の部分の二つが存在すると、どのような分子でも界面活性剤として利用しうる。用途によっては効果が低いだけだ。
当方がゴム会社を転職するきっかけとなった事件は、ゴムからの抽出物で電気粘性流体の粘度が増粘する問題を界面活性剤を用いて解決してから起きている。そしてその解決方法について、界面活性剤を用いて、という言い回しは禁句とされ、第三成分と呼ぶように指導された。
今から考えるとばかげた話だが、これは、電気粘性流体の増粘問題を界面活性剤で解決できない、という結論の報告書が出されたばかりだったからだ。すなわち界面活性剤で解決できない、と結論した直後に、その手段で解決できた、とは報告しにくかったからだろうと思う。
1991年の転職間際にこの否定証明の典型的な事例ともいえる報告書を記念に読んでみたが、科学的方法で忠実に研究が進められその考察も大変レベルの高い内容だった。当方が手持ちの200種類以上の材料を増粘した電気粘性流体に放り込んで一晩放置し、粘度を下げることができた化合物を発見した方法に比較すると天と地の差がある。
ただ、当方は界面活性剤の科学について危うい側面が存在することを知っていたので、界面活性剤として機能しうる化合物を常にコレクションとして持っていた。持っていた理由は、セラミックスの泥しょう開発に界面活性剤が欠かせなかったからである。当時はこのようなノウハウを集めていたセラミックス分野のプロフェッショナルだった。
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界面活性剤は、油に溶けやすい構造(親油基)と水に溶けやすい構造(親水基)とを一個の分子内に有する構造の分子である。そしてその構造の比をHLB値と呼び、それぞれの用途で必要となる界面活性剤を選択するときの指標となっている。
ただし界面活性剤の指標はHLB値だけでは無い。水に界面活性剤を分散したものを加熱していったときに曇ってくる温度、すなわち曇点も界面活性剤選択の上で重要な指標となる場合がある。
界面活性剤は、身近の例では石鹸や洗剤などの形態で見ることができる。界面活性剤がいつ頃から使用されてきたのか歴史的には諸説あるが、界面活性剤として呼ばれるようになったのは、少なくとも20世紀になってからではないか?
そのはるか昔、油脂を石鹸代わりに使用していた痕跡が見つかっているので、紀元前から使用されていた可能性もある。ただ、テルマエロマエでは石鹸を使用している光景は現代へワープした後だった。
いつ頃から使われるようになったのか当方は知らないが、その科学的知識が明確に確立された、すなわち教科書に書かれている内容にばらつきが無くなったのは、つい最近の20世紀末である。
界面の科学は、意外と遅れていたのである。これは恐らく界面活性剤の利用技術が先行しており、その科学的知識の整理が遅れたためだろうと思う。すなわち技術が先行すると科学ですべて解明されているような気分になり、科学の問題設定が難しくなる。
例えばシリカゾルをミセルに用いたラテックス重合技術は1996年に実用化されたが、ある科学雑誌にイギリスの研究者から同様のコンセプトの論文が2000年に発表され、そこには世界初と書かれていた。
その論文に書かれた内容が世界初であれば、当方らの技術開発が本当の世界初であり、慌てて学会発表を行った。学会発表が遅れた理由は、ゾルをミセルに用いる研究はすでに誰かが発表していると勘違いしたからである。
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