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2019.07/21 どのように問題解決するか

「まず正しい問題を見つけよ」は、ドラッカーの言葉だが、この言葉には、さらに、「間違った問題の正しい答えは意味が無い」と続く。

 

さらに、「頭のいい人ほど仕事ができない、成果が出せない」と手厳しい。問題解決の前に、まず、正しい問題を見出すことが如何に難しいのかをドラッカーは語っている。

 

しかし、残念ながらドラッカーは正しい問題を見つけた後の問題の解き方について多くの著書の中で示していない。おそらく、正しい問題が見つかれば、問題解決は簡単だということのようだ。

 

唯一彼が言っていた言葉で、正しい問題を見つけた後、「何もしない」というのも答えの一つだ、という問題解決の方法は、秀逸である。

 

頭のいい人は、問題には必ず答えがあると思って解いてしまうが、正しい問題を見出だした時に、「何もアクションをとらない方が良い」と判断されたなら、「何もしてはいけない」のだ。

 

このような問題解決法は、科学的ではないが、問題解決を科学的にやろうと考えている人にはなかなか決断ができない方法かもしれない。

 

ドラッカーの言葉ではないが、この「何もしない」決断から考えなければいけないのは、ヒューリスティックなあるいは経験側的な即答の重要性である。

 

これは仮説設定とは少しニュアンスが異なる。まったくの正解ではないにしても、一つの答えを用意し、問題解決にあたる問題解決法があるのだ。これは技術でも使える。詳細は弊社へお問い合わせください。

カテゴリー : 一般

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2019.07/20 モンスター部下

日経ビジネス版にモンスター部下が原因で管理職が鬱になった話が紹介されていた。そして、現在は上司によるパワハラではなく部下オリエンテッドの時代で管理職がストレスにさらされている実態を解説していた。

 

上司と部下の関係で最も記憶に残っているのは、入社2年目の時の管理職である。この欄ですでに書いているが、当時先端技術のホスファゼン変性ポリウレタン発泡体の工場実験を成功させた結果、新入社員である当方に始末書(注)を命じた管理職である。

 

この2年後には、年末に行う上司と部下のコミュニケーションシートに部下全員がこの課を出たい、と書いていたことをこの管理職は当方に相談されている。すなわち、全員に書かせた犯人は誰だ、という犯人探しの相談である。

 

この上司によると、この課を出たいと書いていなかったのは当方だけだと褒めてくれた。当方は、もうすぐ留学しますから同じことです、とそっけない回答をして、打ち合わせ後に当方は上司を喜ばせる気の利いた回答ができなかったことをあとで反省していた。

 

とにかくこの管理職は部長まで昇進されているが、部下から見ると子供のようなずるがしこいところがあっただけでなく、責任感の欠如した人だった。それでも部長まで昇進したので皆がやさしい会社だと噂していたのが記憶に残っている。

 

このころの記憶を頼りに日経ビジネス版を読んでみると、上司と部下とのコミュニケーション不足が見えてくる。

 

組織管理職は相手が嫌がったとしても一日1回はあいさつ程度でも部下全員に声掛けしなければいけない。1分程度でもすべての人と雑談ができれば合格である。それができないような人を組織管理職にしてはいけない。

 

当時、だめな管理職と部下から見えていてもその管理職の上司からは評価されて部長まで昇進しているのだ。どこか高く評価されていたところがあったのだろう。だれでも部長まで昇進できるような甘い会社ではなかった。

 

この管理職と部下との日常は、ひそひそ話の対話がほぼ毎日のようになされていた。そして当方はいつも声がでかい、と叱られていた。大きな声で話せないようなコミュニケーションでもマネジメントに役立っていたのだ。

 

ひそひそ話の共有化がなされた結果、メンバーの団結力は高まってゆき、仕事でお互い助け合い、2年間難燃性ポリウレタンフォームやフェノール樹脂天井材などのアウトプットがでていた。管理職はともかく、経営から見たら決して悪い組織ではなかった。そして皆が自然と団結してコミュニケーションシートに「この課を出たい」と偶然書いたのだ。

 

(注)市販されていないホスファゼンを工場実験に使った、ということで後工程の部門に管理職が叱られたらしい。詳細な経緯は知らないが、女性の指導社員が課長から当方に書かせるように、ときつく伝え聞いた話が記憶に残っている。樹脂補強ゴムを3カ月で仕上げたところ、指導社員が交代し、天使のような指導社員になったと思っていたら半年後に始末書である。当方はモンスター社員ではなかったので天使のような美しい指導社員に命じられるまま、始末書を書くことにしたが、その始末書でホウ酸エステル変性ウレタンフォームの企画を提案している。新入社員テーマ報告会では、樹脂補強ゴムのテーマとホスファゼン変性ポリウレタン、ホウ酸エステル変性ポリウレタンの3テーマを報告するのかと思っていたらこの始末書に書いた企画だけを新入社員報告会で報告している。天使のような美しい指導社員は当方の気持ちを理解されており、ホスファゼン変性ポリウレタンフォームの話題も一枚だけプレの話題に挿入することを許してくれた。今から思えば一年間に3テーマこなしたことになる。天使のような指導社員はこの時のテーマの学会発表にも管理職にうまく許可を取ってくれたので、入社二年目と三年目で日本化学会でこの時のテーマを小出しに報告している。その後高分子の難燃化セミナーの講師として招聘されるきっかけとなったが、フェノールフォーム天井材の上市まで高分子の難燃化研究を2年半担当することになった。その後無機材質研究所へ留学、高純度SiCの開発と事業化を9年近く担当することになった。始末書は良い思い出となっている。おそらくこの時の2.5年間はサラリーマン生活で最も幸せなときだったのかもしれない。部下の評判は悪かった管理職だがマネジメントができていたのかもしれない。マネジメントとは人を成して成果を出させることであり、ひそひそ話の内容は決して良くは無かったが、結果はマネジメントになっていた。

 

カテゴリー : 一般

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2019.07/18 被害者に同情する

山陽新聞デジタル版のニュースがヤフーニュースで昨日取り上げられていた。ローカルニュースとは言え、とんでもない事件である。また、ルールを破っている点で弁解など意味のない、あきらかに犯罪である。

 

ニュースでは「誤って刺した」となっているが、規則を守っておれば、誤って刺してもケガをしなかったはずという事実を基に考えなければいけない。ニュースの報じ方もおかしい。

 

これは、業務上の事故ではなく、明らかにケガをさせることを意図していた、すなわち、模造刀から本物のサバイバルナイフに変えた瞬間に、そのような意図が働いていた、と考えるのが常識である。

 

「岡山県警察学校(岡山市北区玉柏)で昨年12月、刃物を持った犯人と対峙(たいじ)する実践訓練の際、犯人役をしていた教官の男性警部補が、昨春県警入りした初任科生の男性の胸を本物のサバイバルナイフで誤って刺してけがをさせた。」という事件である。

この事件の結末は、初任科生はその後、岡山西署に被害届を提出して退職している。すなわち、被害者が退職し、加害者は組織に残ったのだ。

 

本事件は異常である。すなわち、訓練では模造刀を使うことになっていた(規則で決まっていた)のに、本物のサバイバルナイフを使用していた点(注)と、ケガをさせた事実が、隠蔽化されたこと、初任科生が被害届を出していたこと、加害者がまだ組織に残っていることなど常識的感覚からずれている。

 

最近どこかのニュースで、いじめ問題において、いじめられた側が転校していじめた生徒はそのままの日常を送っている矛盾を指摘していた。

 

今回の県警の事件で異常に思える点は、被害者が被害届を出していたことと、それを隠蔽化していた組織である。

 

被害者が退職していたことも異常であるが、被害者の気持ちを考えると理解できる。そして被害者の気持ちを理解したうえで、退職しなければいけない異常性を社会は問題にしなければいけない。警察がそのような異常な組織であると思うと安心して生活できない。

 

(注)ニュースでは、模造刀を捨てて、用意していたサバイバルナイフを取り出した、と詳しく書いてあった。ここまで書かれているのに事故というのはおかしい。社会の中で起きれば明らかに犯罪となるケースが、組織の中であれば犯罪にならない、という法治国家であるまじき事件である。日本ではこのような事件が時々起きる。

カテゴリー : 一般

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2019.07/13 高分子のプロセシング(17)

自由体積分率がばらつくと、高分子成形体の密度もばらつくことになる。密度がばらつけば、弾性率や誘電率もばらつく、という具合に諸物性の連鎖を理解できると、自由体積の正体だけでなくそれを制御する方法を知りたくなる。

 

 

ところが、自由体積分率は、コンパウンドの配合で変化するだけではなく、プロセスで設定される条件や、そのばらつきなど様々な要因によっても変化する。

 

 

混練では、混練機とその運転条件や動作のばらつきで自由体積分率は変化していると思われる。混練プロセスでばらつき、さらに成形プロセスでもばらつくので、高分子の成形体物性のばらつきを抑える技術は難しい。

 

 

このプロセス段階で制御できない自由体積について、高分子を説明するときに無視できない。しかし、厄介なことに非晶質構造のため、形式知が乏しく気軽に測定したり設計段階で予測したりすることができない。

カテゴリー : 一般 高分子

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2019.07/12 技術者の怠惰

技術者の使命は、自然界の機能を取り出し、人類に役立つ新たな道具なりサービスを生み出すことである。

 

この時、他の技術者による優れた製品の機能をまねて使命を実現することもできる。温故知新はまだ許されるが、パクリは許されない。

 

この20年日本のGDPは、横ばいである。すなわち付加価値が生み出されていないような状態で、これは技術者の怠惰が数値に現れたような結果となっている。

 

この20年学会に一度も出席したことのない技術者は、怠け者の上位にランクされる。自然界から新たな機能を取り出すためには、自ら実験を行うのか、学会で発表される新たな知を活用しなければいけないはずだ。

 

特許調査は機能取り出し作業として、良い悪いの判断を出しにくい行為である。学術論文を読むのとは少し意味が異なるからである。

 

特許調査のうまいやり方は、不易流行の世界を新たなコンセプトで旅し、温故知新で特許を味わう方法である。

 

特許をただまねる技術者は、やはり怠け者である。技術は科学の真理と異なり、いくつもその可能性があるはずである。

 

不易流行の意味が分からなければ、まずまねてみることは良い方法であるが、そこで終わってはいけない。

 

機能が同じでもその機能の働かせ方が異なれば、異なる技術となる。視点を変えろとよく言われるが、視点を変える前に、機能をよく観察する作業が重要である。

 

怠惰な技術者は、このような作業でも手抜きをする。まったくアイデアが浮かばないならば、徹底して観察することである。

 

カテゴリー : 一般

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2019.07/11 科学者の使命

技術者は人類に役立つ機能を自然界から取り出し実用化することが使命であるが、科学者は常に新しい知を自然界から見出し、それを人類に示さなければいけない。

 

その新しい知が人類に役立つかどうかは、評価の問題であって、科学者の使命ではない。その意味で、昨今のアカデミアの研究者が置かれた環境には同情する。

 

新しい知について有用無用の視点は、科学の研究をミスリードする。これを防ぐために科学者は、新しい知について、わかりやすく伝える使命を同時に持つことになる。

 

新しい知を分かりやすく伝えることは大変難しい。新しい知を機能として表現できれば、少し伝わりやすくなる。さらに、それをモノまで仕上げれば、さらにわかりやすくなる。

 

今社会は科学者に過剰な期待をしているのかもしれない。本来は技術者の仕事を科学者にまで求めている。科学者の使命を考えていると、技術者の怠惰が見えてくる。

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2019.07/10 研究とは(3)

研究とは、新しい知を見出すために行う。これは研究者だけでなく技術者もよく意識しなければいけないことである。

 

もしこれを正しく意識したならば、捏造という行為が研究の世界にはいってこないはずである。

 

STAP細胞の騒動では、新しい知を明確に示すために、データの改ざんが成された。余分なシグナルを消したり、図を借用したりした捏造は、およそ新しい知に対する姿勢として不適切なものである。

 

新しい知は、真実である。これを示すためには、「真理」であることが大切である。技術では、実際に機能していることが重要なので、製品を手にすれば「真理」であることを確認できる。

 

科学の研究者は、新しい知を論文で示さなければいけない。これが技術者よりも研究者を不適切な道に導くことになる。

 

技術者は機能している「モノ」を作らなければいけないのでごまかせばすぐ品質問題となるが、研究論文ではごまかされてもすぐに問題が明らかとならないことがある。

 

この意味では、技術者の方が新しい知を見出した時にそれを示すのが難しく、研究者には、問題をごまかすことができるゆとりがあるという意味で易しい職業と感じたりする。

 

しかし、問題が起きたときに、科学の研究者はその職を一切失うことになる。技術者はお金で解決がつくので、研究と言う仕事を遂行するときに技術者は研究者より気楽な職業なのだ。

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2019.07/09 研究とは(2)

研究とは、新しい知を発見するために行う、恐らく故小竹先生はそのように伝えたかったのだろう。ただし当方は、伊藤先生から冊子を頂いただけであり、故小竹先生とは直接お会いしていない。

 

伊藤先生も故石井先生も恐らく故小竹先生とは仲が良かったのかもしれない。そうでなければ、講演録を渡すのではなく、ただ学生であった当方にそのままの言葉を自分の言葉として伝えていたかもしれないからだ。

 

この冊子を渡された当方は読み始めたときに、言葉で伝えてくれてもよいように感じていた。むしろ、文章を読む面倒な作業を疎んだ。

 

しかし、古い冊子を読み終えた後、それをわざわざ渡された先生方の気持ちも伝わってきた。わかりやすい言葉で書かれた冊子そのものをこの先生方は尊重されていたのだ。

 

それが、この冊子を余計に重くしていた。この冊子を読んでから実験に対する姿勢も変わった。研究者として実験に向かうようになり、シクラメンの香りが完成した。

 

 

 

 

ジケテンを不飽和カルボン酸のシントンとして用いたテルペン類の合成、という論文をまとめ、アメリカ化学会誌に投稿した。

 

 

 

残念ながらショートコミュニケーションとして学会誌に採用されることになったが、短時間に研究をまとめ上げた喜びを今でも覚えている。

新しい知を見出すのが研究であるが、その知の価値が厳しくジャッジされる世界があることも同時に学んだ。

技術者は機能を製品にまとめ上げる能力が要求され、製品が多数のユーザーに支持されるかどうかが勝負である。

エディターによる論文の厳しいジャッジとユーザーのジャッジでは厳しさのベクトルが異なる。その結果、研究のベクトルも、科学者と技術者で異なる。

残念ながら学校で教えてくれるのは科学者の研究で、技術者の研究については、技術の伝承で学ぶ以外に方法は無い。

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2019.07/08 研究とは(1)

研究とは何か、という問いに、故小竹無二雄大阪大学教授の講演録が的確に答えている。大学4年生の卒論を指導してくださった伊藤健児先生が故石井義郎先生から頂いたので読んでおくように、といわれた冊子である。

 

学部で卒業する予定で第二外国語も受講せず卒研を遂行していた当方にとっては無用の冊子だったが、それを読んでから時間を惜しんで実験をするようになったことを記憶している。

 

研究とは、という問いに対して難解な哲学ではなく、「何か新しいことを見つけるために」研究をする、と簡単で分かりやすく説明していた。

 

この冊子では、化学者が研究する意味を、そしてその時化学実験が重要な役割をなしていることなどわかりやすく説明していた。おそらく阪大の学生向けに語られた内容なのかもしれないけれど、感動したことを覚えている。

 

化学実験が面白くて小学生の頃から遊びの一環で実験をしていた。近所に実験器具の問屋があったのも影響していた。試験管やらビーカーをお小遣いで買っていたので、今から思い出すとこの問屋の社長が不用品を当方にくれていたのかもしれない。

 

実験と言っても難しいことはしていない。当時「子供の科学」という本に連載されていた実験をトレースしていただけだった。それでも十分に面白かった。

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2019.06/21 AIが普及する前に考えなければいけないこと(5)

研究開発部門にAIが導入されたなら、30年前の体験の様な事態があちこちで起きるかもしれない。

 

AIに問題解決させたら、既存の方法ではできません、と回答してくる、そして人間はその回答を見て、荒唐無稽な企画を行い、悪戦苦闘する光景である。

 

自分が自信を持って立案した企画だから、いきなり実行しようとする。ただし、添加剤が入っていないゴムにERFを封入したらどうなるかをAIに尋ねたら、やはり増粘しない、という回答を出すに違いない。

 

当たり前に予想されるからだ。ただ、老化防止剤や耐候剤、可塑剤が添加されていないゴムでは実用化できないと教えられているAIならば、注意点としてそのようなゴムは実用化できない、とアドバイスしてくれるかもしれない。

 

しかし、このアドバイスをAIができるためには、添加剤が全く入っていないゴムがどのような状態になるか、教えられていなければいけない。人間ならば経験から十分に想像できるが、教師データにそのような経験が入っていなかったなら、AIはアドバイスできない。

 

ゴム会社の学者肌の研究開発本部長は「それは良い考えだ」と、使い物にならないゴム材料の企画を当時大絶賛したそうだ。

 

そしてまずモノを持ってこい、と言っていた本部長を批判していたような人だから、ゴム会社の誰も思いつかないものをよくぞ思いついた、と常識のない企画者を誉めたに違いない。

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