高分子の結晶化速度論についてアブラミの式で解析されるが、いつも不思議に思っている。PPSを扱って10年以上になるが、この材料の結晶化速度は、単純にアブラミの式で解析できないのでは、と思ってしまう。
そもそも高分子の結晶化速度論は、無機材料の結晶化速度論からの借り物ではないか。無機の結晶について、その速度論の論文を読むとデータとの対応が美しくわかりやすい。SiCの速度論的解析を行ったときにもたいへんきれいなデータが得られ、解析結果もアブラミ式でうまく整理できた。
しかし、高分子の結晶化速度論の論文を読むと、速度式からのずれがすっきりと説明されない、という欲求不満になる。無機の結晶化に比較してその機構が複雑なためであるが、ここで一つ大きな問題が出てくる。
速度論の解析では、その結晶化の機構を暗黙のうちに仮定して行う。換言すれば、結晶化機構が不明な場合には、速度論の解析が難しくなる。
シリカ還元法によるβSiCの速度論的解析を当方が行うまで誰も成功しなかったのは、シリカとカーボンの均一な前駆体が無かったからで、不均一な場合にはSiOガスの発生など反応機構が複雑になり速度論の展開が難しくなる。
無機材料の場合、その単結晶はひずみを内蔵しているが、一応シャープなX線回折信号が得られる。しかし高分子結晶ではこのようなシャープな結果が得られない場合が多い。
13年ほど前にコンパウンディングしたPPS/6ナイロンの透明ストランドがいつの間にか真っ白になっていた。おそらくPPSが結晶化したためにスピノーダル分解が進行し6ナイロンが析出したためと思われるが、その結晶化速度は極めて遅い。
Tg以下でも結晶化するのか、と驚かれる方もいるかもしれないが、障子のノリに使用されるPVAが一年かけて球晶となる姿を観察していただくと、この事実を納得できると思う。朝目が覚めて頭がすっきりしていないときに書く話ではない、と思いながら書いている。
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過去に高分子の難燃化についてこの欄で書いているが、リンについてその効果を今日は書いてみる。リン系難燃剤については大八化学が有名で1980年ころ縮合リン酸エステル系難燃剤を多数開発している。ポリウレタンの難燃化を2年間担当していた時に多くのサンプルを頂いた。
このリン酸エステル系難燃剤の大半は燃焼時に熱分解し揮発する。その分解挙動は様々だが、600℃まで熱処理を行ったときにほとんど残らない。それでもポリウレタンはじめ多くの高分子を難燃化できているので、300℃前後で炭化物生成反応が開始していそうなことが推定でき、たいていの教科書には、その触媒作用の機構が書かれている。
面白いのは、ホウ酸や水酸化アルミニウムなどを組み合わせてやるとホウ素やアルミがオルソリン酸と反応し、600℃に加熱しても難燃剤由来のリン酸が残っている。また、ホウ酸や水酸化アルミニウムの併用でリン酸エステル系難燃剤添加量も半分程度に減らすことが可能である。
ただこれには多少ノウハウが必要で、高分子材料を扱うスキルが低い場合には再現しないようだ。このような少し怪しい技術だが40年近く前にいろいろと実験を行い、科学的に正しそうな知見を得た。
まず、多くのリン酸エステル系難燃剤は、280℃前後で熱分解し、オルソリン酸を発生する。オルソリン酸はこのあたりが沸点なので600℃で難燃剤由来のリン酸のユニットが存在しない理由を説明できる。また、ホウ酸や水酸化アルミニウムが均一に分散しておればオルソリン酸と反応し、これを系内に保持することが可能である。
ボロンホスフェートは耐熱性が高いので600℃までリン酸ユニットを保持していることも説明可能である。面白いのは、ボロンホスフェートの構造でポリウレタンに添加しても難燃効果は低いが、ホウ酸と縮合リン酸エステルの組み合わせでは難燃効果が高くなることである。
これは、300℃前後でオルソリン酸の構造をとっていないと炭化促進の触媒効果を示さないのでは、ということを想像させる。オルソリン酸が炭化促進効果で触媒作用を示すことは知られており、この想像は間違ってはいないだろう。この想像を膨らませると未知の難燃剤システムを設計可能で、高分子の難燃化技術は奥が深いと改めて感じる。
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学生時代に高分子科学の授業といえば高分子の合成が中心で、高分子物理については大学院2年間でその香りに触れることすらなかった。ただ、フローリー・ハギンズ理論が教科書に一言書かれていたという理由で、それが試験問題として出た。
これは、生涯忘れることのない高分子物理の苦い味だった。授業中に寝ていたのか、あるいは友人との交流に時間を取られ授業に出られなかったのか記憶にないが、授業では聞くことがなかったその言葉と試験用紙でいきなり遭遇し慌てた。
就職したゴム会社の研究所はアカデミアのような雰囲気で、知識の多さが第一という風土だった。ある日フローリー・ハギンズ理論について知っているか、と尋ねてきた先輩社員がいた。先輩社員は、当然当方のトラウマなど知らないので、完璧な説明にびっくりしていた。
1970年代の高分子科学の状況は社会人1年目でフローリー・ハギンズ理論を知っていることができる技術者の証の様な時代だった。今書店で大学の高分子科学に関する教科書になりそうな参考書を見れば、たいていは1ページ以上この理論の説明がある。
昔のように、一言教科書に触れていた程度の理論ではないのだ。高分子材料を扱う技術者には必須の知識の一つになっている。この40年間の高分子材料科学の進歩は著しい。
一方無機材料科学も1980年代のセラミックスフィーバーで著しい進歩をしたのだが、教科書の状況は高分子科学ほどの大きな変化はない。無機化学は、コットン・ウィルキンソンの著書である教科書に代表される錯体化学が中心のようである。
ただ、無機化学の教科書は、結晶関係やセラミックスなどが独立して存在し、おそらく大学の授業では基礎科学の一つとして授業が行われ、昔あったガラス工学などの授業は無くなったのだろう。
書店で教科書の類を眺めていると、実務で要求される材料科学という有機材料から無機材料まで俯瞰した優れた書籍が無い。一方で40年前優れた材料科学の教科書と言われた複合材料入門がいまだに書店に並んでいたりする。
結局材料技術については、セミナー会社が開催するセミナーでそれぞれの分野の技術について学ぶ以外に方法が無いようだ。セミナーの講師として呼ばれるときにはこのあたりの事情も考えて講義をしなければいけないと思っている。
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起業して7年が過ぎたが、面白い仕事として、お弁当箱事業市場調査というのがあった。お弁当箱の市場がどのようなものか全く知らなかったが、未知の分野でも事業を前提にした調査手法は同じなので苦労はしなかった。調査したところ日本のお弁当箱は今や世界的に有名で欧米に多数輸出されていることを知った。
そのデザインが海外でも受け入れられているためで、原宿でお弁当箱を持ってそうな外人にヒアリングすると一人で2-3個持っているとのこと。キーワードは「かわいい」であった。昔お弁当箱と言えばアルミ製だったが、今は樹脂製で様々なデザインの商品が存在する。
技術調査でもそうだが、現在の市場調査だけでなく将来予測がこの手の仕事では腕の見せ所となる。ネット情報として弁当箱の将来動向が公開されていたが、これだけでお茶を濁していては当社の能力を疑われてしまう。そこで某大学芸術学部の先生にご相談し、調査結果を基に将来流行しそうな新デザインの設計を実施した。
数十人の学生に課題を与え、各種デザインをお願いしたところ、奇抜なものから実用性があって面白い新製品が出来そうなデザインまで集まった。その中から数点、プレゼンテーション用に精密立体図を作成してもらった。これらの成果をまとめお客様に提出したのだが大変喜んでもらえた。残念だったのは弊社が少々赤字になったことだ。
赤字になっても大学に依頼したのは、単なる市場調査ならば今どきネット情報でもできてしまう。弊社としての特徴を出すために何をやるか、と考えたときにどうしても新デザインの提案をしたかったので、予定外の出費を決断した。
赤字が予想されても実施したのは、昔アメリカの有名なコンサル会社にゴム会社が依頼したファインセラミックスの市場予測レポートがあまりにもお粗末だった思い出があったからだ。1000万円前後支払ったそうだが、厚みこそ値段相応でありながら中身は単なる数値情報の山だった。
それらを解析してみても結論は通産省の役人が作成し公開されたレポート以上の内容は得られなかった。早い話が、当時の通産省から公開された情報だけで十分だったのに、さらに1000万円前後かけて、恐らくお役所と同じ情報源と思われる情報を集めていたのだ。
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ブリードアウトは、日常で接する高分子材料の品質問題と関係する現象だ。例えば、べたべたネバネバしたマウスやハンドバッグ、ケミカルシューズ等のブリードアウトによる表面状態の変化した品物は身近にみられる。
あまり気がつかないが、タイヤは毎日ワックスがブリードアウトしているので耐久性が確保されている。すなわち、ワックスがブリードアウトし表面に薄い膜が張った状態なので紫外線(UV)からタイヤのゴムが守られている。
昔子供のころ、よく粉を吹いたようなタイヤを見かけたが、最近はそのようなタイヤをまず見ない。ここにもイノベーションがあったのだ。すなわちワックスはブリードアウトしやすいように低分子のものが使用されるが、これが表面で結晶化すると粉を吹いたような状態になる。
この状態になるとタイヤ表面を均一にコーティングできていないのでUVによる劣化が進行することになる。この結果、昔は粉を吹くだけでなく、ひび割れの起きたタイヤも見かけた。
話が脱線するが、タイヤは多少ゴムが劣化し、ひび割れ状態になってもすぐには壊れないように設計されている。すなわちタイヤはタイヤコードが応力を支えているので、空気が漏れない限り、多少ひび割れても走行に支障をきたさないが、危険なのでこのようなタイヤは交換すべきである。
タイヤは皆黒くて同じに見えるが、品質の信頼性は今の時代でもやはり差がある。これは、自動車の運転を始めてずっとあるメーカーのタイヤを使い続けてきたが、1年前車を購入した時にタイヤのメーカー指定を忘れた。
冬場は、昔なじみのメーカーのスタッドレスをはいていたが、これを交換しようと新車時についていたタイヤを触ったら、何とも言えぬ肌触りだった。すなわち夏場のタイヤを保管していた間にワックスがブリードアウトしていたわけだが、それが不均一だったのだ。ブリードアウトの状態でワックスの設計を感じることが可能である。
昔は、夏場も冬場も気にしないで同じタイヤを使っていたが、最近の夏場タイヤは転がり抵抗が低くなっている。おそらく東京の冬ならばスタッドレスタイヤに交換する必要もないかもしれないが、昨年東京でも雪が大量に降るとの長期予報を聞き、11月にブ社のスタッドレスタイヤへ交換してみた。
天気予報はあたり、2回ほどタイヤ交換の恩恵と凍てついた道路でも安心して車を運転することができた。このタイヤ交換のおかげで、新入社員時代に座学で聞いたワックスの話を思い出した。同じ状態で保管したスタッドレスタイヤの表面が年末にどのようになっているのか楽しみだ。
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難燃性ポリウレタン発泡体や、フェノール樹脂断熱天井材、そして高純度SiCの前駆体高分子までリアクティブブレンドを用いて開発して、高剪断と高速回転による分散が分子レベルまでの混合を可能にすることを学んだ。
このリアクティブブレンドで何がどのように変化し均一になってゆくのかは、用いた原材料の配合から推定できた。ポリウレタン発泡体やフェノール樹脂断熱天井材では均一なセルを実現するために界面活性剤が必要だった。
しかし、高純度SiCの前駆体高分子では、反応を進行させるための触媒だけを添加すればよく、非相溶系の組み合わせでリアクティブブレンドにおける分子レベルの混合を検討するには適したモデルだった。
フェノール樹脂とポリエチルシリケートのχは大きいので、そのまま攪拌しても均一にならない。酸触媒が存在すると反応が進行し、攪拌している溶液が透明になってくる。しかし、どのような酸触媒でも分子レベルの均一化を実現できるのかというとそうではない。
また、その他の条件も同様で、混合条件だけでなく、組み合わせるフェノール樹脂や酸触媒により、リアクティブブレンドで得られる物質の均一性は影響を受けた。
これは、無機微粒子の混合と比較した時に高分子の混合における特徴を示している。また、低分子の溶媒を用いた分散ではSP値が用いられ、その値で推定されるおおよその分散状態と実際は大きな差異は生じない。しかし、高分子のブレンドではSP値から期待される均一性は、経験では50%程度しか再現されない。
また、高分子ではSP値よりもχを用いたほうがよいとされるが、このχについてフローリーハギンズ式から推定される結果とスピノーダル分解速度とは相関しない。このような状況なので、実際の混合プロセスにおける現象は、それを実施してみないとわからないというのが現実である。
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愛知県特産の八丁味噌を作る岡崎市の『まるや八丁味噌』と『カクキュー』ブランドを展開する『八丁味噌』の老舗2社の製品が、国の保護登録からはずれたことを受け、2社は14日、国に不服を申し立てている。
国は去年12月、農林水産物や食品を地域ブランドとして守るGI=地理的表示保護制度に、愛知県内の味噌業者で作る『愛知県味噌溜醤油工業協同組合』の製品を『八丁味噌』として登録している。
しかし、この組合に所属していない岡崎市の2社の製品は、登録から外れた。これに対し2社は、「味噌溜醤油工業協同組合の製品は、歴史、製造方法、品質において我々と大きな違いがある」と国に登録の見直しを求めた。
お客様混乱させるものであり、極めて不当。今回このような判断をした理由は、長年お客様に受け入れられてきた八丁味噌を守りたいためだ、と八丁味噌協同組合・早川久右衛門理事長は怒っている。
この不服申し立てに対して国は、岡崎市の老舗2社の製法を変えることなく、そのまま追加のGI申請をしてもらえば、我々で審査して登録もありうる、と農水省・尾崎道調査官が語っているが、まさにこれはお役所仕事である。
まるやにカクキューは、八丁味噌ブランドとして愛知県民であれば知らない人はいない超有名な老舗ブランドである。今回の国の対応は、わかりやすく言えば、野球保護のために野球チームを国で登録・保護しようとしたときに、巨人と阪神を登録せずに仕事を完了しました、というものだ。
本来ならば国の担当者は、まるややカクキューに頭を下げてでも登録してくださいとお願いしてもいいような立場なのだ。我々で審査して登録もありうる、とは、担当者は何様のつもりでいるのだろう。
これは、みそとくその違いを食べてみないとわからない、と言っているようなものだ。あるいは、このお役人は、みそとくそを食べ比べてもわからない人かもしれない。今回の森友問題で書類の改竄があったが、赤味噌問題もお役人の傲慢さ、無神経さが現れた仕事の事例かもしれない。
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9日、佐川宣寿国税庁長官が辞任した。森友問題に関連した国会対応に丁寧さを欠き審議の混乱を招いた点や、行政文書の管理状況について様々な指摘、さらには今回取りざたされている文書の提出時の担当局長だったことの3つの責任を感じて辞職を申し出たという。
さて、この問題は、森友側へ破格の安値で土地売却を行ったことから始まっている。その後「忖度の連鎖」で、最後はこの改ざんという不正、担当者の自殺まで起きた。
現在のところ、まだわからないことが多いが、ドラッカーの組織論の観点で、これまでニュースで報じられた事実をもとに、財務省という組織を眺めると、腐った組織と言わざるを得ない。
まず、「組織の優劣は、平凡な人間をして非凡なことをなさしめるか否かにある」、とドラッカーは述べている。
しかし、財務省には高偏差値の優秀な人材が集まっているにもかかわらず、森友問題では、「安倍」を「安部」と書類に書いていたりする凡ミスをはじめとして、常識では考えられない業務状況である。
また、「組織の目的は、均衡と調和ではなく、人のエネルギーの解放と動員にある」とドラッカーの著書には書かれているが、エネルギーの解放どころか、「忖度」という束縛が働く内向きの高エネルギー状態で、とても国民のために成果の出る仕事をしているとは思えない。
はたして、財務省は現在のままの組織でよいのだろうか。そのマネジメントも含め、国民は森友問題の推移を見ながら検証しなければいけないと思う。
佐川長官の辞任がやや早すぎるのではないか。もし彼が本当に責任を感じているならば、自らの処遇を国民にゆだねるべきだろう。公務員のリーダーとはそのような覚悟があってこそ高給が保証されているのだ。
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貴乃花親方が9日、部屋の担当弁護士を通じて内閣府に対して告発状を提出した、とニュースで報じられた。これまでの一連の成り行きから、ほぼ予想された行動である。貴乃花親方を批判しているのではなく、日本女子レスリング協会でも起きていることだからとりあげた。
やや異なるカテゴリーに思われるかもしれないが、昨年報じられた燃費計測における不正や材料の品質データ改ざんが明るみに出た問題も同じような時代背景があるととらえている。すなわち、一昔前ならばいずれの問題においても、大人の対応なり、長いものに巻かれろ的発想が重宝され、何か問題が発生した時に事を荒立てないことが良しとされた。
あるいは、裸の王様のごとく真実を指摘すると子ども扱いにしたり、その場あるいはその組織から摘まみだされたりした。それは社会全体が誠実さを大切にしながらも誠実さでは現実を生きてゆけない、とあたかも誠実さを時には忘れることが大人の社会では大切という誤解をしていた時代だから許された。
しかし、振る舞いも含めた組織の価値が重視されるようになり意識は変わりつつある。企業はコンプライアンスを重視し、組織活動そのものがドラッカーが指摘したように誠実さを求められる時代になった。
また、情報化時代になり、過去には躊躇された匿名の告発が容易になった。その結果、大人の対応を求めていたのでは組織の不誠実さを社会にさらけ出すことになり、企業価値を損ねるリスクが大きくなった。
燃費のごまかしや、品質データの改ざんでは、インターネットの世界に内部告発の情報が出るや否や経営者による謝罪の記者会見が迅速に開かれるようになった。そして1社だけでなく組織内にその疑いのある会社は競って謝罪会見を開くという、不謹慎かもしれないがやや滑稽な光景がTVに映し出された。
相撲協会は、隠ぺい工作をしていたことが社会に明らかにされていてもそれを無かったことのように解決をはかる大きなミスを犯した。さらに第三者機関が間の抜けた対応をした結果今日の事態に至っている。
レスリング協会にしても被害者は伊調選手であるにもかかわらず、その事情聴取も行わないで、告発されるや否やそのような事実は無い、と否定するミスをした。パワハラなどの問題では、従来の対応では誠実さを欠くので誤解を招くことを知るべきである。
誠実さが無ければ解決できないセクハラやパワハラなどの撲滅が社会で真剣に取り組まれている時代である。組織で何か問題が起きたときに、昔の様な対応をしていたのでは、社会から組織そのものが罰せられる。
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ロール混練を行っていると、あたかも高分子の混練の進行が目に見えるような錯覚に陥る。オープンロールはその名の通り、丸裸の状態でゴムを混練しているのだが、微妙なしわの入り方や表面の光沢感でそのような錯覚を起こすのだ。
この錯覚が生々しく脳裏に残っている状態で、リアクティブブレンドによるポリウレタン発泡体の開発を担当できたのは幸運だった。すなわち高分子を混ぜるという高分子のプロセシング技術で重要な経験知を整理することができた。
経験知は、乱雑に身に着けていても「思いつき」という形で役立つかもしれないが、形式知と経験知とを関係づけ、さらに形式知で明らかにされていないところをモザイクの消去を行うような感覚で経験知で埋める作業を行うと、見えていないところが見えてくるから不思議だ。
とかく見えないところをリベールする作業は怪しい作業に見られがちだが、このような自然現象のリベールは、十分な好奇心を満たしても他人に後ろ指をさされることはない。ただ、その結果を形式知のように話してしまうと軽蔑される。
高純度SiCの前駆体合成をリアクティブブレンドで行うアイデアは、単なる思いつきではなく、フローリーハギンズ理論で相溶が否定される材料を安定に相溶させる手段がそれしかないこと、と頭の中に整理されていた結果生まれているが、最初に研究所の先輩社員にアイデアを話したらバカにされた。
高純度SiCの前駆体合成技術は、高純度SiCの新生産プロセスを開発できただけでなく、カオス混合でどのような結果が得られるのかを検証した成果でもある。この成功で高分子を相溶させるには、フローリーハギンズの理論よりも、高分子を「混ぜて」(ΔSの変化)「安定化」(ΔGの減少)させるイメージが重要であることに気がついた。
このイメージを実践し成功したのが、光学用ポリオレフィン樹脂にポリスチレンを相溶させた実験である。この実験では、錠と鍵の関係(ΔSの偶然による制御とΔGの減少)にあるようなイメージを持ってバンバリーで高剪断をかけながら混錬したところ、アペルと新たに合成したPSとが相溶し、透明になった。
これは高剪断と分子の一次構造の組み合わせ効果で相溶に至った事例である。この成功で高分子を相溶させる方法がリアクティブブレンドだけでなくプロセスを工夫すれば可能であることが見えてきた。そしてカオス混合における伸長流動は高分子の引き伸ばしにより相溶を促進するかもしれない、という妄想を持つに至った。
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