最近ソニーのミラーレス一眼カメラ新製品3機種が好調だ。また、ニコンの新製品D850も高額にもかかわらず品薄状態が続いている。一方カメラ雑誌では、時代はミラーレスへとソニーの後押しをするようなキャッチフレーズが並び、それを読むとソニーとニコンの二台を買っておけ、という結論が書いてある。
デジタル一眼レフカメラは、フィルム時代の技術をそのままに、フィルムの代わりに画像センサーをとりつけて販売されて20年近くになる。
ミラーレス一眼は、ソニーを中心に発展してきた。発展途上では、ペンタックスのようにデジタル一眼レフカメラのサイズそのままに、ミラーを取り外しただけのカメラや、ミラーレス=小型化容易という図式を実現したとても小さなデジタル一眼を開発したメーカーもある。
しかし今までミラーレスが一眼の主流になれなかったのは、ファインダーが一因と考えている。ソニーがその問題を解決し、昨年暮れから発売された新製品3機種のファインダーは、像の遅延が人間の目に検知できないレベルに仕上がっている。
但し、これは一枚撮った時だけで、連射を行うとミラーレス一眼の欠点、ファインダー像の遅延が人間に検知できるようになる。これに違和感を感じると、いくらカメラ雑誌があおってもミラーレス一眼を買う動機とならない。
旧来のTTL方式と電子ビューファインダーの比較は、写真を撮る、という動作に対する価値観の変更を迫られる。TTL方式では、自分で見た画像を映すことになるが、電子ビューファインダーは、画像センサーに写った像を確認してシャッターを押す行為である。
後者のほうが合理的ではある。しかし、自分の目に映った画像を撮るのが楽しみの場合には、なかなかミラーレスに移行できない。TTL方式の一眼レフは、小型が得意のペンタックスさえフルサイズセンサー付カメラは1kgを超える。年を取ってくると、体力もその選択基準となる。
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時代の空気感を読めばこのようなタイトルはタブーだろう。しかし、ゴム会社在職中の12年間は、写真会社の20年間に匹敵するような仕事量をこなしており、今からこの時を振り返ると、やや時間の流れがおかしなことになっている。
例えば、1983年4月に無機材質研究所へ留学しているが、その前年には、建築研究所へ通った思い出がある。そして、建築研究所へ通いながら、とんでもない仕事量だったフェノール樹脂製難燃天井材の開発を行っている。
3人のチームで担当していたテーマだが、一人が1年間病欠したために大変だった。正しいマネジメントならば人員の補強をすべきだが、セラミックスフィーバーやLi二次電池開発の影響で、研究所として日陰のテーマ扱いにされた。
建築研究所が新しい難燃基準を策定するお手伝い項目として、評価サンプルの提供があり、これが大変な作業だった。しかし1年後には、新しい難燃基準に合致した新商品として他社に先駆け市場に投入できたのだが、今から思えば寝ていた記憶が残っていない。
1979年に入社し10月に配属されて3ケ月で樹脂補強ゴムを用いた防振ゴム開発に成功したときも時間的に見れば不思議なことだった。しかし、指導社員による午前中の1:1の座学で寝ていた記憶が残っているので、まだましだったのだろう。
この3ケ月間の座学でカオス混合はじめ、ゴムや樹脂の混練技術について基礎から実務まで学んでいる。睡眠学習である。
1980年から留学するまでの3年間は、ホスファゼンジアミノ体とそれとイソシアネートとを反応させたオリゴマーの開発を行い、ホスファゼン変性ポリウレタンフォームを試作まで行っている。その他、ホウ酸エステルの開発とそれを用いた燃焼時にガラスを生成するポリウレタンフォームの開発、高防火性フェノール樹脂天井材の開発、ドリップ型自己消火性ポリウレタンフォームの開発、おまけに高純度SiC前駆体の開発まで行っている。
ホスファゼン変性ポリウレタンフォームやホウ酸エステル変性ポリウレタンフォームについては学会発表や論文発表を行なっているが、この準備時間も大変なことだったと思う。
またこの間に、JIS化される前のLOI燃焼試験法の改良を行い、社内の改善提案賞の社長表彰を受けている。その他、熱重量分析のデジタルデータ収集プログラムの開発も行っている。
まだ8ビットコンピューターの時代にAD変換ボードを使いデータをデジタル化しただけだが、プログラミング時間を考えると驚異的である。そして今廃棄しようとして事務所の隅で数多くの箱詰になっている写真は、独身時代に友人が休日に誘ってくれたテニスの思い出である。入社してからの4年間だけでもその成果を出した仕事量と遊び時間を考えると、いったいこの頃はいつ寝ていたのか不思議に思う。タフだった。
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この3ケ月間に下記講演会が予定されております。弊社主催ではございませんが、割引価格でご提供できますのでお問い合わせください。
記
1.高分子材料の難燃化技術と配合設計・プロセシング
(1) 日時:2018年5月18日(金)10:30~16:30
(開催場所、料金等後日掲載)
2.伸張流動に関する講演会
(1)日時:2018年5月30日(水)10:00-17:00
(2)場所:<東京・五反田>技術情報協会セミナー
(3)主催:技術情報協会
(4)参加費:弊社へお申し込みの場合には56,000円
(5)4人の講師による講演会です。当方はカオス混合について講演いたします。
3.その他
(1)ゴム樹脂の混練技術に関する講演会
日時:2018年6月15日(金)10:30~16:30
(2)デザインに配慮した樹脂設計
場所:中国上海
日時:2018年6月29日
(3)シリコーンポリマーに関する講演会
場所:台湾
日時:2018年9月11日
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赤だし味噌は、豆味噌100%の八丁味噌に米味噌をブレンドして食べやすくした味噌だ。八丁味噌は何か薬品のような味がするが赤だし味噌になるとそれが消える。また、赤だしとよんでいるが、だしは入っていない。だから、イチビキのだし入り赤だし味噌の意味は、だし汁と米味噌をブレンドした八丁味噌の意味だ。
八丁味噌だけでも、かつおだしを濃厚にして食すれば、独特のおいしい味噌汁になる。子供の頃から飲んでいたのはこの八丁味噌の味噌汁だ。かつおだしでは絶妙の味になるが、花かつおでは、やはり薬品臭さは残る。しかし飲み慣れると嫌な味ではない。
煮干しをだしにすると、独特の味になる。恐らく好き嫌いがはっきり分かれる。これが、赤だし味噌だとおいしくなるので不思議である。豊川へ単身赴任したときに八丁味噌を手軽に入手できたので、いろいろブレンドして楽しんだ。
例えば豚のばら肉でだしをとると、抜群のスープができる。またそこへ玉ねぎを入れると、何か洋風のスープになる。ルーを一切れ入れればもう味噌汁ではなくなる。赤だし味噌ではあまりこのようなことを考えなかったが、独特の味わいの八丁味噌だといろいろと遊びたくなる。
亡母の隠し味は蜂蜜だった。濃厚なかつおだしでとった汁に八丁味噌と蜂蜜少々、ひとにたちしたら、ネギをぱらぱら入れるだけで具は何も入ってなくても絶妙だった。もちろんそこに具が入っておれば、さらにおいしい。
八丁味噌ではだし汁の取り方や隠し味がその味噌汁の味を左右するが、赤だし味噌は手軽に楽しめる。東京方面で販売されている商品は、すでにだしの入っている赤だし味噌が大半(パッケージにだし入りと書かれている)なので、そのままお湯にとくだけでも味噌汁として飲むことが可能だ。
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セクハラ週刊誌報道で福田事務次官が辞任した。音声データまで公開されたが、この音声データの解析がなされ、どうも週刊誌報道が間違っているのではないか、という見解が出始めた。その中での辞任である。
昨晩の本人による記者会見を聞く限り、まじめそうに見える人である。ご自分の役職を意識したならば、公の場であのような発言をするような人物に見えない。
せっかく財務省の事務次官まで出世したのに、任期半ばでくだらない週刊誌の記事で辞職しなければいけない事態になった人生を目の当たりにすると、悲劇をみているような気がする。
もし週刊誌報道が誤りだった場合に出版社はどのような償いをするのだろうか。事務次官も裁判で争う姿勢をしているので、このような場合の慰謝料の金額が注目される。山尾志桜里議員の時に裁判を期待したが結局本人は週刊誌報道を認めたような終わり方をしている。
ところで公開された音声データは、素人が聞いても、とても女性記者に対して業務中になされた発言とは思えない。少なくともバックに聞こえるノイズはどこか飲食店のような場所を想像させる。そのような場所でタガが緩んで発言したとしたならば、これはセクハラとは異なる問題が存在する。
音声データを誰がどのような目的で週刊誌に持ち込んだのか、そこをまず明らかにしてほしい。少なくとも事務次官と同席していた人の可能性が高いが、財務省のトップとしてあのような会話をできる方が交際相手としておられるのはいかがなものか。
1998年に大蔵省ノーパンしゃぶしゃぶ事件が起きている。これはノーパンしゃぶしゃぶを舞台にした接待汚職事件だが、今回の事件がセクハラではなく、同様の接待の舞台であったとしたら、20年前よりも悲惨な状況である。
すでに佐川氏が辞任しており、財務省の組織の問題が議論されているような状態なので、一個人のセクハラ問題よりも大きな問題に発展する可能性がある。20年前の事件では大蔵省解体に至っている。
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例えば、A→B→Cというオペレーションの流れを前向きの推論で考えたとする。この時、BもCも実行できる条件が整っているならば、Cだけを実施して結果を出せば業務は終わりである。
しかし、A→Bという流れでCにつながるような結果がでるかどうか知りたい、という人がいる。もし、CのオペレーションがBの結果しか利用できないならば、Bを実行してからCをすることになる。このような場合でも、A→Bに固執する人がいる。
もし、CのオペレーションがB以外の簡便なオペレーションで実行できることが調査の結果わかれば、Bなどやらずに、いきなりその簡便な結果を使い、Cのオペレーションを実行して結果を出せばよいのである。
計画段階でCが具体的に見えず、A→B→Cという計画を立てなければいけないことは多い。しかし、仕事の最終ゴールを具体化する努力を行うと、Cも具体化されるはずだ。
仕事を進めるときに計画は大切である。しかし、ゴールが具体化され、そのゴールを実現するオペレーションまでも具体化できたなら、Cのオペレーションを最初に行う勇気を持ちたい。
これは、仕事のゴールから逆向きの推論を使って考える方法である。科学の推論でよく用いられる前向きの推論では、ゴールに向かうときに可能性のある方法をいくつか考えることになるが、ゴールから推論を行うと、ゴールを実現できる方法だけ考えることになる。
仕事では成果を出すことが重要である。まず成果の確認をしてから(成果をあげてから)、必要に応じて成果をあげるためのプロセス情報を収集すると失敗することはない。
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課長は、現在のコンパウンドメーカーとともに開発をやりとげることが方針として決まっている、という。ただし、どこか他のコンパウンドメーカーが現在のコンパウンドメーカーよりも優れたコンパウンドを提案してきて、それで仕事がうまくいったのなら、それは社内的には許されるだろう。ただし、現在共同開発しているコンパウンドメーカーは、共同開発を理由にそれを問題にするかもしれない、と語った。
まじめな男である。半年後に成功を保証できるコンパウンドを何とか当方に調達してほしい、しかし、自分にはその知恵が無い、と正直に言っているようなものだ。当方はこの課長の当たり前のまじめな説明を真摯に聞いた。
課長の説明を聞いた後、もし子会社が優れたコンパウンドを供給してきたら外部のコンパウンドメーカーは文句を言うだろうか、と質問した。
彼らは、この写真会社は高分子の素人ばかりでコンパウンド技術が分かっていない、自分たちの方法が最良だと会議で言っている。議事録にもきちんとそれが残っている。
さらに、当方の技術提案を彼らは排除しているのだから、その排除された技術で製造された子会社のコンパウンドを採用しても問題は起きないだろう、と当方の考えを説明した。
課長は、現在の状態で開発人員が不足しているのに、コンパウンド開発をどのように行うのか、と質問してきた。開発をやらなければよいだろう、子会社で最初から生産立ち上げを行ったら開発人員はいらない、生産要員を手配するだけだ、と回答した。生産技術のスタッフならば、今からでも1-2名程度の増員は予算上可能だ。
課長は納得したが、いきなり生産ができるのか、少なくとも子会社の生産したコンパウンドを事前に評価した結果が必要になる、とISO9001のDR(デザインレビュー)手順をまじめに語りだした。どこまでも真面目な課長である。
多少は上司の気持ちも忖度してほしい、と言いたかったが、当方が一人でDRを各ステップすべて行う、そのためのデータ収集から資料作成までたった一人で行うからそれでよいか、と言ったら驚いた顔をして、こんどはグループのマネジメントは誰がやるのか、となった。
課長は当方が一人で業務をやることを納得した、と判断して、君にすべて権限を委譲すると答えたら、課長は驚いたが、納得したのかまじめな顔をして、具体的な計画書を作成してください、と早速上司に指示を出してきた。
マネジメント上では、当方の提案で役割が逆になったので課長が指示を出したとしても問題は無い。給与だけは高いままで役割は自ら下になって業務を推進し、結局半年後に中間転写ベルトを新製品に搭載することに成功するのだが、この成果は当方の評価につながらなかった。
評価につながらないことが分かっていても仕事を成功に導くためにはこの方法しかなかった。危ない仕事をうまくやれるかどうかは、成功させるために思い切った意思決定を誠実真摯にできるかどうかだ。
そして意思決定をしたのなら全責任を負う覚悟をしなければいけない。全責任を負うと言っても組織で行う仕事なので、組織の全責任を負えるレベルまで合意が得られるよう調整し、誰もが納得できるそれらの記録をコンプライアンスを遵守しながら残してゆく作業が重要になる。もちろん後で修正しなければいけなくなる内容はダメだ。
これが一番大切だが大変だ。大変な作業で、誠実真摯に仕事を進めなかったのが、いわゆる「森掛問題」である。国民に対して責任を負う覚悟をした役人がいなかったために問題となっている。官僚は公僕であることを忘れてはいけない。危ない仕事でも誠実真摯に意思決定をし、進めれば問題は起きない。
(注)この仕事では、土日も返上し、時には徹夜もしてDR資料作成を行っている。当方の意思決定に対し、予算の決済をしてくださったセンター長は、おそらく綱渡りの気分だったに違いない。当方に賭けてくれたその心意気に報いるために必ず仕事を成功させたい思いだった。ゴム会社で高純度SiCの事業立ち上げをしていた頃の気持ちを思い出した。ただし、組織風土の違いが仕事の進捗を加速した。仕事は大変だったが、気持ちよくできた。ただしデータが少ないために満足な体裁が整うまで何度もDRの資料が却下されたのは苦い思い出である。が、財務省の書類問題を思うときに、問題となるような資料を残さなくてよかったと安堵している。
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働き方改革が議論されているが、今回の財務省の文章書き換え疑惑の状況を見ているとずいぶんと無駄な作業をやっている、と感じた。忖度により書き直したといわれているが、書き直した部分を見ると、決定事項の正当性を主張するための方便が書かれていたように感じる。
議事録等の決定事項は、客観的に見て問題のない状態で表現されるべきである。これは財務省の議事録に限らず企業の業務でも同様だ。仮に鶴の一声で決まったとしても、鶴の一声に客観性が求められる。
退職前の5年間は、豊川に単身赴任し、中間転写ベルトその他電子写真機の部品開発に従事した。早期退職宣言後一年間は東京に戻ったが、この単身赴任中の部下の課長の一人が大変まじめな人物で助かった。
半年後に部品としての製品化が決まっていた仕事を引き受けたが、どうみてもそれは失敗する仕事だった。
この仕事を担当する前に、やはり失敗する可能性が高い仕事を引き受け、すぐにそのプロジェクト方針では失敗すると言ってプロジェクトを外された。(これは予想した通りうまくゆかず、失敗した、と風のうわさで聞いている。)
この経験から、中間転写ベルトの仕事を引き受けた直後に仕事内容を精査し失敗することが分かっていても、失敗するとは言えなかった。
前任者の業務を引き継ぎ、このままの方針で継続していたら失敗すると判断した中間転写ベルトの仕事では、最後まで周囲を忖度し、失敗すると言わない決意でいたので大変だった。
外部からコンパウンドを購入し、ベルトの成形技術を開発する方針で業務が進められていたので、コンパウンドを内製化すれば、すなわち自分で開発すればうまくゆくと自信があっても言い出せなかった。
業務を進めていて運よく、コンパウンド納入メーカーとミーティング最中に衝突する事態となった。ここでは、部下の課長が、機転を利かせて当方が席を外せるように議事を進行してくれた。
しかし、この出来事でこの課長は当方がうまくゆかないと判断していることに気が付いた。(明日に続く)
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あまり生々しく書くと問題になるといけないので、公開された事実だけで話をする。写真会社ではコンパウンドの基盤技術などなかったので、R社からコンパウンドを購入し、押出成形して半導体ベルトを開発していた。
あと半年で製品化の目途をつけなければいけない、というときにこの仕事を担当することになった。仕事のゴールは明確で、ベルトの周方向の抵抗が均一であり、柔軟な転写ベルトを製造することだった。
R社は一流のコンパウンドメーカーということで誰もコンパウンドの出来の悪いことなど疑わず、数年開発を続けていた。しかし周方向の抵抗が不均一で、歩留まりは一向に上がらず、とても生産できる状況ではなかった。
高分子材料の成形体は、プロセスの履歴をすべて取り込んだ物性に出来上がることは高分子技術者ならば誰でも経験知として持っている。長年開発を担当してきた人たちの誰もがコンパウンドには問題がないという。そこで、実用性は無いが、バンバリーを使って当方が理想としたコンパウンド、すなわちベルトの構造とコンパウンドの構造とが変わらないコンパウンドを製造し、ベルトを作らせてみた。
当時歩留まりに最も影響を与えていた電気的特性だけ評価すれば、一気に歩留まりがあがり、100%に近い状態まで到達した。ただ、靭性が低いので製品には搭載できない。しかし、長年電気特性の品質均一化に担当者は苦労していたので、この結果を見れば誰でもコンパウンドの問題に目がゆく、と期待した。
しかし、R社の技術者は前向きの推論を展開し妙なことを言い出し、写真会社の担当者もそれに同調した。せっかくゴールに肉薄するヒントが目の前にあっても、もう少しこれまでやってきた手順で続けたい、となった。優秀な連中の議論では、改めて材料設計を見直し、もう一度従来の方法で進めるという結論になった。
当方は仕方がないので、若い人を外部から採用し、職人を一人従え、カオス混合によるコンパウンド開発を進めることになるのだが、このときばかりは、科学的思考が時として仕事に悪い影響を与えることを苦々しく思った。仕事というものは、いつもゴールから考えて進めるのが正しい。
科学で慣れ親しんだ前向きの推論というのは、いつでもゴールにたどり着けるとは限らないのだ。ゴールから逆向きの推論を行い、そこから導かれたオペレーションを実行して初めてゴールにたどり着けるのだ。
(注)押出成形の経験知として、「いってこいの世界」というのがある。すなわち、コンパウンド段階で成形体と同じ構造になっていないときにはどうなるかわからない、という意味だ。ただしこれは経験知であって、科学的に証明された真理ではない。これに対し、コンパウンドの構造が金型内の流動で変化するのは当然であり、という意見は、コンパウンドの構造と金型内で観察された処理途中の材料の構造や、出来上がった製品の構造との科学的な比較議論から導かれた真理であった。このような真理を覆そうとして、コンパウンド状態から製品になるまでその構造が変化しないようなコンパウンドをわざわざ設計し実験したのだが、この結果を、金型内の流動でこの構造になるようにコンパウンドの処方を設計すればよい、と妙な屁理屈をつけられて説明された。この屁理屈はもっともらしく聞こえるが、金型内の流動で構造が変化するという意味が、コンパウンドの構造が安定ではない、ということをしめしていることに気がついていないし、それを指摘しても、前向きの推論を何段階か展開し、ゴールに近づけるような意見を言ってきた。ゴールに直結していない仮説や推定は怪しい、と疑う習慣を身に着けたい。
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「成果をあげることは、一つの習慣である」とはドラッカーの名言である。また「頭の良い人ほど成果をあげられない」も同様で、この名言と並んで出てくる。写真会社で管理職として20年勤務して、確かにそうだ、そしてその原因は子供の頃から学んでいる科学に原因がある、と思った。
部下からの質問で困ったのは、仕事のゴールを無視して、オペレーションだけを聞いてくる時だ。オペレーションを実行すれば何か結果が出る。大切なのは、その結果が、仕事のゴールとどのような関係にあるかということだ。オペレーションの結果がいつもゴールと密接に関係しているとは限らない。
例えば、業務計画を立てたとする。この計画は必ず仕事のゴールを目指して立案されているはうだが、途中のオペレーションで得られる結果が、必ずゴールと密接に関係しているかどうかは保証されていない。オペレーションがゴールから逆向きに推論されたものならば、ゴールに関係した結論が得られるが、ゴールに対し、前向きの推論で考え出されたオペレーションでは、いつでもゴールに関係した結論が得られるとは限らない。
また、仕事の進捗によっては、仕事のゴールに肉薄した状況になり、当初計画に盛り込んでいたオペレーションが不要になることだってある。また、業務途中でアイデアが浮かび、ゴールに肉薄できるオペレーションが実行できるならばそれを優先したときなど途中のオペレーションが不要になる。
こうしたら、こうなるかもしれない、だからこれをやりたい、というのが口癖の人もゴールを意識して考えていないことに気がついていない。いくら途中のオペレーションについて細かい議論をしてみても、そのオペレーションで得られる結果がゴールではなかったときに細かい議論が無駄になることがある。途中のオペレーションの議論よりも常にゴールにどれだけ近づけるのか、という議論が重要だ。具体的な事例を明日示す。
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