昨日も佐々木投手と白井球審の記事が目についた。その中に井口監督が佐々木投手を休養させるために選手登録を抹消したとの記事があった。
今時の若者はそれなりの実力があっても今回のようなトラブルで大きな精神的ダメージを受ける。パワハラ撲滅が叫ばれるゆえんである。
バブル崩壊後若者の精神の弱体化が進んだように思う。またそれにより社会全体の保守化が進み、イノベーションを避ける動きが出てきた。
ゴム会社は、1980年代第二の創業をスローガンに電池とメカトロニクス、ファインセラミックスを三本の柱に多角化を目指したが40年近く経ち、最近第三の創業と称してタイヤ事業一本に絞る経営が行われている。
井口監督はこのような社会の変化に敏感かどうかは知らないが、佐々木投手に対する配慮は今の時代の流れに沿った対応だと思う。
時代に沿った対応ではあるが、例えば巨人に移籍した中田のように成長できない状態になるリスクがある。佐々木投手が休養後、無事復活できるようにうまく指導できるかどうか。
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昨日は24日のロッテ-オリックス戦で見せた白井球審の態度についての記事が多かった。白井球審が大人げない、という論調の記事が大半だが、審判という立場であれば佐々木投手への配慮として誠実な対応と言う記事も少数存在した。
ただし多数の記事を読み見えてきたのは、試合の流れからあの場面で白井球審が佐々木投手に退場を命じても良い場面だったようだ。
当方は試合を見ていなかったので何とも言えないが、すべての記事に、公認野球規則8.01(d)に違反した佐々木投手の行動が記載されており、白井球審は規則を説明し佐々木投手に退場を命じておれば問題は発生しなかったようだ。
全ての記事で記載されたこの規則違反である彼の行動の評価について意見が割れ、規則違反の行動ではあったのだが、規則を知らないために意見が割れていた、というのが真相だろう。
ただし、試合中に判断を下すのは審判の役割であり、どのようなスポーツでも最初に下される判断は審判が出さなければいけない。想像するに白井球審は佐々木選手に不名誉な退場を命じることを我慢し、指導した可能性が高い。
指導ならばベンチに下がって見えないところでやればよい、と記載していた記事もあったが、公認野球規則に違反していても目こぼしをしなければならない白井球審にしてみれば、大人げないかもしれないが、職務上その場で審判として叱りたかったのだろう。
昨日の選手と審判とのトラブルでは様々な見解が出てくる。しかし、どのような見解でもそのよりどころとなる事実は同じで視点と知識情報量(今回は規則に対する無知)が異なるために見解が異なっているだけである。
ゆえに事実を追ってゆくと本来のあるべき姿が見えてきて、どのように問題解決すべきだったのか反省点が見えてくる(注)。
表現や見解は異なるがすべての記事に記載された「規則に反した行動」を球審は杓子どおりに退場としなかったので、佐々木投手は感謝しなければいけなかったのかもしれない。
心配なのは佐々木投手の精神面である。このようなごたごたは人生経験を積んでいない真面目な若者には少なからずショックを受けるものである。当方が監督ならばローテーションから外し、しばらく休養させる。今の若者にはそのくらい配慮した対応が必要だ。
(注)<科学と技術>
科学で見出された真理とそれにより導き出された定理は自然現象のルールブックのようでもある。1960年代に活発になった研究所ブームは、技術開発において科学に忠実に行うことが重視され、ゴム会社の研究所のようにアカデミアよりもアカデミックなところも存在した。しかし、技術開発ではこの投手と球審の問題の議論のようにルールブックの存在を一度忘れた方が新機能の発見が容易になる。スポーツではルールブックに厳格でなければ面白味が半減するが、技術では科学に縛られず自由な発想をしたほうが新しい機能創出が容易となる。
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科学の果たしている役割の一つに現象の体系化がある。例えば理論物理学の深化を見ればその美しさに感動する。生物化学は今発展途上であり、数年前に著名な研究者の自殺まで起きたSTAP細胞の騒動がその象徴だ。
知識が体系化されることによりその伝承が容易となる。これは学ぶ側に立ってみると体系化されていない知識では難解に感じることから理解できる。例えば高分子科学は、その分類さえも未だ確定していないのでセラミックスよりも学ぶときに難しい。
ドラッカーが知識を習得したいならば体系に着目せよ、と述べているので、体系が存在しない学問はそれができず知識習得に際し苦労することになる。
当方はセラミックスと高分子の両方分野で研究者として、世間に貢献するレベルの技術を生み出した実績がある。
前者については、高純度SiC治工具事業を基盤技術が0のゴム会社で住友金属工業とのJVとして立ち上げ、この事業はその後日本化学会技術賞を受賞している。またこの受賞のエンジン部分について学位論文としてまとめている。
後者については、一流コンパウンドメーカーのコンパウンド技術では困難であった半導体無端ベルトの量産をカオス混合プラントを開発し立ち上げ、それを実用化している。
この仕事について、ゴムタイムズ社から混練の書籍として出版されたが、そこには当方の技術論に基づく混練の体系についてヒントをまとめている。
これらの経験から、学ぶときだけでなく、技術としてまとめる時にも体系が不明確な高分子分野は、いつでも苦労すると感じている。
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コロナ禍となり、学生時代ブームに流されて購入したギターの練習を始めた。学生時代は簡単なコードを押さえ、伴奏程度しか弾けなかったが、「禁じられた遊び」を暗譜して一応弾けるようになったのは驚きの成果である。
調子に乗って本格的に音楽を勉強しようと本を買いこんで勉強を始めたのだが、なかなか身につかない。2年近く繰り返し本を読んでも内容が頭に残らないのだ。
社会に出てから読書は習慣となっていたが業務に無関係の分野について真剣に勉強したことはなく、唯一業務外の趣味で始めたプログラミングは情報化時代の技術者の常識スキルとなり、これが業務に活かされた。
ただし、プログラミングの勉強でこの音楽を学んでいるような苦痛を味わったことが無い。MS-DOSの時代にオブジェクト指向の論文を読みながらC++を習得している。
音楽についての勉強は楽しくないという先入観があり趣味でジャズやブルースを聞いていただけである。また、それを今更勉強してみても残り少ない人生の時間を無駄使いするようなものだ。それを理解していても、学習成果が上がらない原因を考えるのによい機会と思い、努力している。
努力してみて一つ理解できたことは、60歳過ぎに学んだことは忘れやすい、という加齢に伴う記憶力低下の問題がかなり大きな障害となっている点だ。
そして納得できたことは、記憶力が落ちてもまったく記憶できない状態ほど低下していない、という事実である。とにかく繰り返し繰り返し、忘れてもあきらめず努力すれば記憶として定着する自信が「禁じられた遊び」の暗譜の努力でついた。
「禁じられた遊び」は、こうした努力により弾けるようになったのだが、無駄と頭で理解している知識でも繰り返しの学習で記憶できることを理解できたのは収穫である。
しかし、音楽理論はなかなか頭に入らない。物理の体系から和音というものが理解でき、多少の周波数のずれがあっても人は快く聞こえるらしいのでテンションという概念ができたことまでは理解できた。
しかし、それでアドリブが弾けるようになったわけではない。おそらく、音楽理論には一応の体系らしきものがあるようだが、科学の体系と異なり、専門家により微妙にその説明が異なる。
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小学生のころ、洗濯用の粉石鹸は紙の袋に入っていた。紙の袋の荷姿で店頭に並べられていたのだが、購入後はブリキ製の缶にそのまま入れられた。
何時のころからか記憶はないが、それがプラ容器になったのだが、防水性の紙箱容器に入った商品も併売されていた。すべてプラ容器に置き換わったのは液体洗剤も登場してきたころではないか。
就職し、自分で洗濯をするようになってから紙製の容器を見た記憶はない。おそらく水回りで使用される洗濯洗剤の容器として紙製はユーザーに敬遠され淘汰されたのだろう。
しかし、プラスチック削減が叫ばれる時代に、昔使われていた紙による包装が見直されても良いのではないか。液体洗剤でもRCペーパーを用いれば商品として販売可能に思える。
RCペーパーにも樹脂が含まれているが、含有率はわずかである。紙の包装で問題になるのは耐久性であるが、これは昔のように購入後金属容器に商品の荷姿のまま保管すれば問題解決できる。
今SDGsがTVでも叫ばれ浸透してきたので、かつてユーザーの利便性からプラ容器へ変化した商品について、1950年代の包装形態へ戻すことを検討しても良いのではないか。
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小学校から科学的思考方法を学ぶので科学の思考方法を社会人ならば常識のはずだが、大学まで進学しても身についていない人が多いため、ロジカルシンキングのようなセミナーが未だに開催されている。
科学の思考方法は論理学に基づくが、技術の思考方法は芸術に近い。芸術との違いはそこに不正確な論理が展開される点である。科学は論理学が完成してから誕生しており、技術はそれ以前から存在していたので、技術における論理とは風が吹けば桶屋が儲かる式のように不完全である。
それでは芸術の場合の思考方法とは何か。それは、技術のような縛りは無く自由で感じるままの思考方法である。ゆえに先日この欄で河瀬氏の祝辞の問題点を思考法が間違っていると指摘している。
河瀬氏の祝辞の批判について言葉尻をつかんだ批判という批判があるが、東大内部でもその内容全体を問題視した見解が出ている。また、当方も公開された祝辞を読んだうえで思考法の問題という指摘をしている。
会社において問題の捉え方が異なると困るのでロジカルシンキングなる研修が流行するのだが、それでも立場が異なれば、意見の相違が生まれるとドラッカーは指摘している。
ところが河瀬氏や文春砲が炸裂した映画監督たちは思考方法が自己中心的な共通点がある。芸術では自己中心的に思考を展開しても弊害は少ないが、技術では機能が動作しないというペナルティが発生するので自己中を反省する機会に遭遇でき成長できる。
これも技術者と芸術家と異なる点だが、大学の入学式の祝辞を依頼するときにこのようなことを考えなかったのだろうか。今更このようなことを説明する必要は無いと思うが、東大という日本を代表する大学で起きた今回の出来事に危機感を感じるのは当方だけだろうか。
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体操クラブの名門朝日生命体操クラブが撤退するそうだ。同社は1974年に朝日生命がスポンサーとなり体操クラブを発足し、東京都内を拠点に体操選手育成に尽力してきた。
元オリンピック選手塚原光男氏と千恵子氏夫妻が指導者となり、半世紀にわたり数々の実績を残してきたが、一方でこの20年夫妻に権力が集中したために発生する問題が絶えなかった。
一時期息子の直哉氏が総監督についたが、今は再度ほとぼりが冷めたと判断した光男氏が代表についている。問題が起きるたびに、この夫妻のリーダーとしてふさわしくない発言に注目していた。
今回の撤退では、千恵子氏は「もう体操界、嫌になっちゃいました。権力なんて欲しくない」と答えたそうである。
実績のある体操クラブで、現在も750人の生徒を抱えるそうだが、リーダーがこのような感覚では撤退するかリーダーを交代するしかないだろう。
夫妻が一生懸命努力されたことは、92年バルセロナ大会における小菅麻里選手や08年北京大会の鶴見虹子選手の活躍を見ればわかる。
しかし、強引な他クラブからの引き抜きが問題視されてから、低迷し実績を残せなくなったことから、夫妻の努力のベクトルをうかがい知ることができる。
もし、本当に体操界のために誠実真摯な貢献にベクトルが向いていたなら、おそらく問題を起こさなかっただろうし、もし、ベクトルの向きに間違いを感じたならば、もっと早くそれを修正し、問題の発生を防ぎ、クラブを存続できたのかもしれない。
ドラッカーは、リーダーの誠実さと真摯さの重要性を説き、大切なのは社会に貢献する事業だと述べている。これを正しく理解し、常にリーダーたるものは活動のベクトルの方向を確認し反省する必要がある。
当方は、高純度SiC半導体治工具事業を住友金属工業とのJVとして立ち上げたときに、電気粘性流体用ケースゴム材料の開発を担当させられたが、スペックが何も添加剤の入っていないことだった。
研究のための研究が好きなスタッフが否定証明を行い、電気粘性流体の耐久性問題はケースゴム開発で行うという企画を提案したためだが、当方は一晩で電気粘性流体の耐久性問題を解決したり、実用的な3種の粉体を開発し、ヒューリスティックなアイデアで一気に事業化できるレベルまで技術を高めた。
その結果FDを壊されるようになったのだが、この仕事のやりすぎを反省し、事件の問題解決のため誠実真摯に反省し転職したところ高純度SiCの事業は30年近くゴム会社で継続され、ゴム会社の事業方針転換により愛知県のセラミックスメーカーへ事業譲渡された。
全く異業種の事業が30年続いた経験から、ドラッカーが力説したように事業に対しどこまでリーダーが誠実に貢献できるのかが重要というのは誠に至言だと思っている。
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加硫ゴムと樹脂では耐久性が異なるような感覚を持っている技術者は多い。脆性破壊する樹脂が多いためにそのような感覚になるのだろう。
また、当方は14年間気にいった車に乗り続けたが、その間にタイヤを一度も交換しなかった。5万kmも乗らなかったのでトレッドも摩耗しなかったためだが、ゴムの耐久性の高さに驚いた。似たような体験をした人もいるかもしれないが、感覚的にゴムの耐久性は高い。
しかし、ゴムと樹脂の期待されている機能に着眼すると、耐久性が材料の機能により異なる点にあることに気がつく。言い換えれば、単純にゴムと樹脂の耐久性の差を論じることはできない。
このことに気がついていないと、時間温度換算則を活用した耐久性試験を実験室で行い、そこで得られた耐久寿命を鵜呑みにして失敗するリスクが高い。
ゴムでも信頼性の低い材料設計を行えば耐久性は低くなり、樹脂でも信頼性の高い設計を行えば耐久性は高くなる。すなわち、材料の耐久性は、機能のばらつきの分布が故障分布に重ならないように安全率高く設計されているかどうかに依存する。
タグチメソッドはそれを実現できる手法の一つだが、一般には信頼性工学を導入して材料設計を行えば耐久性の高い材料を開発可能である。
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人生の思い出と問われて夫婦の出会いの感動や我が子の誕生を答える日本人は過去において少なかったが、最近のTVのインタビューでは増えてきた。ワークライフバランスの影響かもしれない。
当方はゴム会社における新事業立ち上げ時に同僚に妨害された思い出がトラウマとなるぐらいに強烈に残っている。また、転職後も業務引継ぎのために転職先の業務終了後1年尽力したにもかかわらず、「もうゴム会社へ来るな」という内容の手紙まで頂いたので散々な思い出である。
手紙は理不尽な扱いを受けた証拠として保管してある。このほかにもこの思い出には幾つか証拠を保管している。転職条件としてセラミックスのキャリアを捨てるように言われ、とにかく技術者生命を賭けた壮絶な思い出となった。
その事業は30年近くゴム会社で継続後、愛知県のセラミックス企業へ売却されたのだが、当方への妨害は企業内部で隠蔽化され写真会社へ転職している。
この新事業立ち上げ業務時における転職の出来事は精神的に辛かったが、エンジンマウント用樹脂補強ゴムの開発は、天才的な指導社員との出会いや、ゴム会社で初めて担当した研究テーマという理由だけでなく、その成果が実用化されたこともあり、これとは対照的な楽しい思い出である。
ところがこの仕事の成果が原因で、転職のきっかけとなった電気粘性流体を担当しているのだから皮肉である。電気粘性流体とは、電気のONとOFFにより、流体から固体までそのレオロジーを制御できる流体である。
電気粘性流体の開発は、故服部社長の時代に電池とメカトロニクス、ファインセラミックスを新事業の3本の柱とする方針が出されたときにスタートしている。すなわち当方が前駆体高分子を用いる高純度SiCの企画を提案した時と同時期である。
高純度SiCの事業は社長承認を経て住友金属工業とのJVとして起業されたが、電気粘性流体はその耐久性について問題解決できず、基礎研究段階にとどまり研究所内で風前の灯状態だった。
ところがファイアーストーン社の買収でシナジーを期待できるとして、耐久性について大型研究プロジェクトが実施された。そこでは、界面活性剤では問題解決できないという否定証明の研究が推進され、添加剤が入っていない電気粘性流体のケースとなるゴムを開発する、という企画が新たに提案された。
ゴムについて少しご存知の方ならば、これがいかに馬鹿げたテーマであり、実現できない企画であることをすぐにご理解いただけると思う。
しかし新しくリーダーとなった研究開発本部長はこのテーマを認めただけでなく、この企画のもとになった否定証明の報告書を科学の研究として秀逸である、とほめあげたのである。そして、研究所内でゴムに詳しい研究者として小生を指名した。
そこで指名された当方は、添加剤の何も入っていないゴムなど実用性は無いから1週間考える時間を欲しい、と申し出て、一晩徹夜して電気粘性流体の耐久性問題を解決している。
そもそも当方に白羽の矢が立った理由は、ゴム会社の研究所でありながら、ゴムについて詳しい研究者が当方以外にいなかっただけでなく、材料の耐久性問題について否定証明を推進するようなレベルまで研究者の技術力が落ちていたからである。
当方にとって不運だったのは本部長がかつて防振ゴムなども担当しており、樹脂補強ゴムの成果をご存じだったことだ。運が悪いと諦めた当方は、電気粘性流体の耐久性問題を解決しただけでなく、実用的な電気粘性流体用3種の粉体を開発している。そして一気に実用的な電気粘性流体を完成させた。
この電気粘性流体はアクティブサスやアクティブエンジンマウントなどに採用されそれらデバイスが試作されたのだが、コストの問題があり、当方が転職して数年間事業として行われたこのテーマは消滅している。
ゴム会社では自ら企画した高純度SiCを用いた半導体治工具事業の業務が職歴として長く、これで学位も取得している(注)が、防振ゴム材料の研究開発で技術者としてスタートし、最後は電子制御の防振ゴムに用いる電気粘性流体が最後の仕事となったのは皮肉である。
高純度SiCの研究については学位としてまとめたが、ゴム技術者としてのまとめは、2年ほど前にゴムタイムズ社から混練の書籍を出版している。弊社にご注文いただければ送料消費税サービスで4800円お振込みいただきますと郵送いたします。学位論文は100冊印刷したものが売り切れましたが、雑誌「材料技術」に2か月間の連載で20年ほど前に発表されました。ご興味のあるかたはお問い合わせください。
(注)音と振動の研究者だった本部長は、経営の視点で研究所を運営していなかったが、このリーダーの前任者は、優れた研究所経営を行っている。その結果、住友金属工業とのJVとして高純度SiCの事業を立ち上げることができ、さらには当方の学位にもつながり、人材育成と事業立ち上げという経営者として理想のマネジメントを行っていたが、厳しく事業を求められたので研究所メンバーには評判が悪かった。しかしリーダー交代後、研究所から30年続くような事業が誕生していないことから、研究所リーダーのマネジメントには事業を意識した厳しさが求められるのだろうと思う。ドラッカーも「それが何になるか、常に考えろ」と述べている。とかく研究所に所属していると、研究のための研究を研究者はしがちである。電気粘性流体の否定証明はその典型例である。面白いのは「科学的にできない」と証明されたにもかかわらず、機能を技術で実現できたことである。科学と技術は異なる行為なのである。
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射出成形体の強度は、C-C結合の強度から計算される値よりも低い。ゆえに引張試験を行ったときの破断強度が他の要因により低くなっていることを想像できる。
欠陥がその一つの要因だが、欠陥以外に様々な歪や巨大化した球晶も強度を低める要因だ。例えばPPSを200℃で6時間熱処理すると強度は低下するが、これは球晶が成長したためである。
弊社で開発したPH01という添加剤を添加してやると球晶の成長を抑制するので強度の低下を抑えることができる。また弾性率は下がるが、カオス混合により6ナイロンを10%程度相溶させても同様の効果が得られる。
また、シャルピー衝撃試験も改善される。この高分子の結晶成長で強度が低下する現象はあまり知られていないのか21世紀でもポリ乳酸の劣化問題について球晶の巨大化であると考察した論文があった。
結晶成長はX線の小角散乱を行えばその成長をモニターできるので強度低下との関係を論じやすいが、樹脂内部に生じた歪については研究が難しくなることがある。
この場合は電子顕微鏡でうまく破断面の写真を撮る技術が必要になる。また、どのような電子顕微鏡を使用するのか選択眼とその顕微鏡に適したサンプル作成技術が必要になる。
射出成形体の強度を測定するだけであれば簡単に見える作業だが、そのデータの背景を詳しく知ろうと思うと途端に難しくなる。
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