プログラミング言語は、人間の話す言語のように曖昧さが無いので習得は簡単である。英語でも簡単だという人がいるかもしれない。確かに中学程度の英語で日常会話は可能になるが、大学を卒業しても英会話のできない人はいる。
コンピューターとの会話は人間との会話よりも簡単である。ただ石頭なので言語仕様に反する話し方をすると、何もしてくれない。人間ならば、「ああだ、こうだ」と意味のない言葉を言っても、その場の流れから通じてしまう。
我が家の食事では結婚してから「ん」だけで希望した調味料が目の前に出てくるが、コンピューター言語では絶対にありえない。この意味では人間の会話は便利だが、汎用性はない。
さて、プログラミング言語であるが、大きなイノベーションはオブジェクト指向というプログラミングパラダイムである。
C++で実現されたオブジェクト指向プログラムでは、登場当時二段階のコンパイルが必要だった。それは、C++で記述されたプログラムを一度Cに翻訳し、そこからCのコンパイラーを起動して最終翻訳作業が行われた。
すなわち、C++はCの拡張仕様として開発された言語である。そのため、C++が最初に登場した時には、C++がCに変換された状態のプログラムを見て勉強している。
理由はオブジェクト指向のパラダイムについて分かりやすく解説された書籍が最初存在せず、学ぶのに苦労したからである。
当初は構造化プログラムの発展形かと勘違いしていたが、プログラム設計における考え方そのものがfortrunなどの言語では実現できないことに気がついた。同時にCの言語仕様設計者がオブジェクト指向の概念をすでに持っていたことにも気づかされた。
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1970年代の高分子材料開発の方法は、新たな高分子を合成してその物性を評価し、応用分野を考えるプロダクトアウト方式だった。
応用分野として選ばれた顧客に新しい高分子を売り込み、顧客が商品性能を評価し、気に入れば採用となる。しかし、新材料がいつでも顧客の商品スペックを満たしてくれるとは限らず、顧客から出たクレームを基に改良を行う。
顧客から見て魅力的な基本物性の材料では、顧客(例えば組立メーカー)と共同開発を行う場合もある。今も昔も高分子材料が事業化されるためには、材料価格相応の商品性能(商品あるいは部品品質ニーズ)が無ければならない。
商品あるいは部品品質を満たすための改良を材料メーカーが行うにあたり、目標となったのは商品の品質(以下部品品質)であり、材料そのものの物性ではない。
材料メーカーとしては材料の基本物性と部品品質の対応表が欲しいところだが、組立メーカーにとってそれはノウハウと見なしていた。ゆえに共同開発となっても部品品質の値は示されず、◎〇△×とxxを加えて五段階評価として示された。
材料メーカーにとって理不尽な扱いであっても組立メーカーの言いなりにならざるを得なかったのが1980年代までの両者の関係である。
このような両者の関係では、力のある組立メーカーに情報が集まる。一方材料メーカーは売り込むために材料物性表で魅力を伝えるためにそれを提供しなければならない。また、材料メーカー間の競争で有利に立つために材料の構造に関する情報まで技術サービスとして提供していた。
合成プロセス等は特許で公開されていたので、組立メーカーは合成プロセスから商品品質までの材料に関する情報を揃えることができた。
情報優位な立場にあった1980年前後の組立メーカーの中にはデータサイエンスに基づく研究開発を行うところも出てきた。そして、特許出願を行い材料メーカーに材料合成を依頼するメーカーまで現れた。
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研究開発と言えば科学的に行うことが常識となっているが、科学の無い時代にも技術開発が行われてきた歴史及びセラミックスフィーバーによるイノベーションを体験すると科学の方法とは異なる技術開発のパラダイムが存在することに気がつく。
キンガリーの教科書ではそれが中途半端に扱われていた。昨今のデータサイエンスの研究状況では、一見科学的に見えるがそこで展開されているマテリアルインフォマティクスは従来の科学とは少し異なるパラダイムである。
分かり易く言えば、データ中心に帰納的に展開している(この部分は科学)が、開発されるべきオブジェクトの機能を中心に据え、その現象を追跡している。
ただしこれは、昔ながらの技術開発で行われてきたパラダイムに近い。そこにデータの扱いこそ科学的ではあるが、予測されない因子も演繹的にデータ解釈に利用しようとする科学の方法である。
このあたりを擬人的に説明すると、職人ごとに異なる品質を均一にするために職人の動作をビデオデータとして撮影し、それを解析し因子を抽出、そしてそのデータ解析された結果で職人を教育し品質を高めようとするものである。
ここで、職人が技術者の場合には、わざわざビデオデータに落とさなくても技術者による自己学習で機能の開発を行える。
一部の技術者はそのような方法で技術開発を意識的に、あるいは無意識的に行ってきたが、科学的ではないという理由で評価しない経営者がいた。
現物現場主義という言葉は、データ中心に現象をとらえよう、すなわちデータ中心にモノを考えようという姿勢を意味する言葉だが、これは科学者が現象を仮説中心に捉えるために新たな問題が生じたため言われ始めた。
身の周りの現象すべてを科学の形式知で解釈できるわけではない。そこでまず現象をデータとしてとらえて科学的手続きによりそこから新たな知識を得ようとしているのが最近言われているマテリアルインフォマティクスの方法である。
この方法は、これまで技術者が現象から機能を取り出すとしてきた方法と類似であるか、あるいは同じ方法である。データマイニングを人間ではなく機械AIにやらせようとしているところが異なる。
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雲の上の職場に配属された翌年あたりからセラミックスフィーバーが起きている。これは、その後ナノテクノロジーブームへつながるイノベーションだが、このフィーバーでセラミックス分野の形式知は大きく進歩した。
この変化は、1970年代に書かれたキンガリーによる無機材料の教科書を読むと理解できる。この時の教科書では、1/10程度は物理化学的な内容で構成されていたが、残りは、十分体系化されていないセラミックス工学の内容だった。
ゆえに大学院の2年間在籍した講座の研究スタイルが帰納的でありながらも電子顕微鏡写真観察が主体だったため、大学4年時に1年間学んだ有機合成化学と比較して職人芸的な研究に見えた。
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セラミックスフィーバーはこの職人芸的な教科書の内容を書き直すに十分なイノベーションを起こしている。また、窯業協会が日本セラミックス協会へと名前を変更している。
セラミックスフィーバーはエンジニアリングセラミックスが主役として起きたので、力学物性、とりわけ材料の破壊に関する学問が進歩し体系化された。
ワイブル統計も導入され、データサイエンスとしても研究が展開されている。例えば線膨張率データは結晶方位ごとにデータが採取しなおされた。また、略称JANAFと呼ばれる熱力学データ集(ビッグデータである)は、反応予測に用いられ専用のソフトウェアーも開発されている。
セラミックスフィーバーでは金属材料でも材料開発手法のパラダイムに変革が起き、セラミックス超伝導体では、金属まで含めた結晶系からの予測が可能なシミュレーション研究も行われている。
また、当方は無機材質研究所でマイコンを用いてSiCスタッキングシミュレーションプログラムを開発し、すでに大型コンピューターで実施されていた20層までの計算結果の続きを計算している。
ゴム会社では、大型コンピュータを活用したデータサイエンスによるタイヤ材料設計が試みられ一定の成功をおさめていたが、社外に公開されなかったので、その成果がセラミックスほどのイノベーションを起こすまでには至っていない。
1990年以降始まった第三の波による情報革命でデータサイエンスが注目され始めたが、セラミックス分野ではそれがイノベーションの一翼を担い、イノベーションを加速させた。
セラミックス材料ではシミュレーション技術を含むデータサイエンスにより新材料発見の成果も出ている。また、当方の学位論文にも一部記載しているが、SiC(6H)の結晶方位が異なると線膨張率に大きく異方性が出る問題について結論が出ている。
それは、シミュレーションで示されたスタッキングの状態からから予測されること、3C結晶では異方性が出ないことなどが確認された。セラミックスではデータサイエンスで研究が進むとともに新材料の開発に成果を出している。
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1970年前後の研究所建設ラッシュからバブル崩壊後の企業研究の見直し、そして今の情報化時代の技術開発に至る60年間を見てきて、と書きたいところだが、当方がゴム会社の研究所に配属されたのは1979年だった。
しかし、それ以前の話を知っているのは、配属された研究所があまりにもアカデミックだったため、びっくりして先輩社員に質問したからである。
最も大学院の2年間がセラミックスの講座で職人のような研究者集団の中で生活していたので、アカデミアよりもアカデミックな姿に見えたのかもしれない。
配属されてから、研究所の年配社員からゴム会社の研究所の歴史を伺っている。また、新入社員相手にそのような話を好んでしてくださる方もおられたので研究所の過去情報は簡単に集まった。
午後の3時間のんびりと小生にお話をしてくださった方もおられた。このような方々の一部は学位を持っており、高分子科学に精通しておられた。無機化学の講座で2年間過ごしたキャリアをのべると、大抵は高分子の授業になった。
入社後6か月間の新入社員研修で見学したゴム会社の研究開発部門は、勘と経験、度胸で業務が進められていた。しかし、見学対象となっていなかった技術センターの屋上から数えて1-3階部分を占めた基礎研究部門は、社内で雲の上の職場と呼ばれていた。
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ドラッカーは、「教えることは、学ぶことだ」と述べていた。これは名言である。科学の形式知ならば教科書など公開されたものから学ぶことは可能である。
今ならばインターネットで検索エンジンを活用し、教科書が無くても信頼性の高い形式知を集めることが可能である。中には形式知として誤った情報も存在するので注意が必要だが、形式知の場合には、書籍があるので誤りかどうかの判定はできる。
さらに形式知であれば機密情報としての価値は低いものが多いので、容易にアカデミアの先生に懇親会の場で確認できる。最もアカデミアの先生の中には不勉強な先生もおられるので注意が必要だ。
30年以上前に、上司から形式知かどうかアンケートで確認してこい、と言われ、10人ほどの先生に確認したところ、4人の先生が明らかに怪しい説明をされていた。一人の先生は正直に形式知かどうかは知らない、と答えていた。
これ以上は書かないが、形式知の場合には無料で確認したり、容易に集められる時代となったが、経験知や暗黙知になるとそれが難しいことになる。
これはセミナーなどの集まりを見ていても分かる。形式知に関するセミナーでは集客ができなくなってきたが、経験知が多く占める技術セミナーでは未だに人が集まる。
このような状況を踏まえ、会員制により混練技術に限定してWEB相談に応じるサービスを始めようと考えている。年間20万円コースと50万円コースの2つで20万円コースはWEB相談のみである。50万円コースをどうするのかは、まだ検討中である。
大きな問題は、希望される顧客が国内にどれだけいるか、という点である。まだ詳細を準備中でありますが、サービスについて何かご希望があれば問い合わせていただきたい。
例えば機密保持契約をどうするのか、という問題では、統一内容とするのか、それぞれの事情に応じた内容にするのかで弊社の負担が異なってくる。
一日でも早く希望されるお客様にはすぐに対応したいと思っており、今日からでも一部受付を始めますが、当分の間弊社が発行する契約書に限定して対応させていただきます。
このような低価格の企画を考えているのは、当方が学ぶ目的も大きい。混練技術以外に高分子の難燃化技術やブリードアウト、高分子の破壊現象などノウハウがその技術レベルを決めているテーマは多い。とりあえず、多くのテーマの共通基盤技術として混練技術を事例に募集してみる。
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プログラミング言語に初めて接したのは大学1年生の時である。世界初めてのいわゆる高水準言語FORTRUNがそれだが、それから現在に至るまで、BASIC、PIPS、アセンブラー、C、パスカル、C++、C#、各種スクリプト言語などさまざまな言語を扱ってきた。
Pythonはスクリプト言語に分類されるが、ver3では今日のオブジェクト指向言語で必要な仕様をほとんど含んでいる。ジェネリックプログラミングもサポートされており、記述が簡単になるリスト処理もできる。
WINDOWS環境なので通常使用するのはC#だが、何故か最近Python を使い始めた。スクリプト言語という理由で軽視していたが、欠点だった実行速度の遅さもCPUの進歩で気にならないレベルである。
BASICやCよりも文法が簡単であり、無料ライブラリーが豊富なためむしろC#よりも使いやすい一面がある。変数の管理等に気をつければズボラなプログラムでもすんなり実行されてしまう。
変数の型など面倒な仕様(ただし、これがあるから変数のメモリー管理をできるのだが。)が無いので、気をつけていないとメモリーを食うプログラムや計算精度の落ちたプログラムを作ることになったりする問題はある。
C#に比較すると、画面処理ツールなどいくつか不満点はあるが、とりあえずプログラミングをやってみたい、と思われる人には学びやすい言語である。
オブジェクト指向の言語であるが、スクリプト言語なのでBASIC言語風の取り扱い方ですぐに使用することができる。もし、希望者がおれば「1日でわかるPython」というセミナーを5000円程度の受講料で企画します。弊社へ問い合わせてください。
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効率的な実験を目指すと、実験数が少なくなる。STAP細胞の騒動が起きたときに理化学研究所のある理事がたった一個のデータでよいからSTAP細胞ができたことを示してくれと発言をしていた。
結局その一個のデータが得られなかったので否定証明が展開され、STAP細胞は存在しないことになった。もしここでSTAP細胞ができた1個のデータでも得られたならば、STAP細胞の存在が証明されたことになる。
すなわち、仮説を設定して行う実験では、仮説の正しさを示す1個の実験データさえあれば良いことになる。その一個がどのような経緯で見出されたかは、厳しく問われない。再現性さえあれば良いのだ。
例えば4種類の遺伝子の組み合わせで細胞の初期化を行うiPS細胞の技術では、ただ1種類の組み合わせのヤマナカファクターについて論じた論文がノーベル賞の対象となっている。
この論文について山中博士が語っていたことは省略するが、科学では仮説が真であることを示すたった一つのデータがあれば良い。
イムレラカトシュはこの論を展開して、完璧な科学的証明とは否定証明だけである、と述べている。換言すれば、否定証明以外には非科学的要素が存在することを意味している。実際にヤマナカファクターの発見プロセスはあみだくじ方式であり、山中博士はそれで当たりを引いたのである。
一方ビッグデータを用いるデータサイエンスは科学的と言えるか。データサイエンスにおけるデータの取り扱いは数学で進められるので科学的と言えるかもしれない。ここから先は8月22日の技術情報協会で行われるセミナーで解説したい。
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科学の論文で現象の変化をグラフ化して議論を展開するためには3点以上データが必要である。また、3点あれば回帰分析が可能となる。
アーレニウスプロットでさえも3点あれば寿命予測可能となる。これを2点でやっていた猛者もいたが、寿命予測に用いるためには再現性の確認のためにもやはり3点は必要だろう。
ゴム会社の研究所でも多くの研究者は少ないデータ数で帰納論理を展開し結論を出していた。ところが新入社員時代の当方の上司は多数のデータを要求してきた。
美人の指導社員は最低5点グラフにないと納得してもらえない、と言われた。多数のデータを要求するところが、当方の上司は評価されていたのだろう。アーレニウスプロットでも3点では叱られている。
ある日二種類のサンプルのLOI比較グラフをそれぞれ3点でプロットして同一平面に並べて提出したら、すんなり受け取っていただけた。上司の名誉のためにこれ以上の事例を書かないが、どうもグラフの同一平面の点が3点以上であれば納得する人だった。
ゆえにどうしても実験データが増えるのだが、ホウ酸エステル変性ポリウレタンフォームでは50種類ほどの試験用ポリウレタンフォームを作らされた。
あとから分かったことだが、D社からリン酸エステル難燃剤の新製品評価を依頼されていたためだった。ただ、この実験のおかげで多変量解析の可能性についていろいろと検討することができた。
この経験から、データ解析に必要なサンプル数に興味がわき、実験計画法で最適条件を求めた場合に再現性が落ちる問題を解決している。
実験計画法を経験された方ならご存知かもしれないが、因子や水準の選び方で最適条件が変わる場合がある。ところが、相関係数を実験計画法に用いると最適条件の再現性がほぼ100%となる。
相関係数を用いるので、一水準の実験が3水準増え、例えばL9であれば9個の実験が27個必要となる。実験数は3倍となるが、最適条件が外れる問題は解消できるので、ゴム会社で実験計画法を用いたときにはこの方法で行うようになった。
タグチメソッドを経験されている方は、これが感度重視のタグチメソッドであることに気がつかれたかもしれない。田口先生がどのような経緯でタグチメソッドを考案されたのか存じ上げないが、実験計画法の問題に気がつくと外側因子として信号因子を振り実験を行う発想は自然と出てくる。
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ザイログ社の8ビットCPUを2MHzほどの周波数で駆動していたため、MZ80Kの性能は今日のパソコンに比較すると月とスッポンほどの差があるが、それでもFDOSを稼働させれば多変量解析が可能だった。
重回帰分析と主成分分析のプログラムを作成し多変量解析を行い、IBM3033の統計パッケージで計算された結果と比較したところ、等しい結果が得られたので高分子の難燃化研究を担当していた3年ほど実戦でMZ80Kは活躍した。
多変量解析以外に実験計画法はじめ統計プログラムをいくつか作り、業務に活用していた。今の時代のような情報管理の考え方は無く、上司も当方が独身寮で仕事をすれば残業代を支払わなくても良いから、と喜んでいた。
アカデミアよりもアカデミックな研究を行っていた研究所であり、研究成果はすぐに学会発表されていた。先端の機密に対する考え方が現在とは異なっていた。
また、会社の業務を行うにあたり、社員に高額の出費をさせてマイコンを購入させてフィージビリスタディーを命じるような上司だったので、そもそも情報の扱いがいい加減だった。
かくして独身寮は当方の計算機センターになった。ただし、朝8時半から夕方4時半までは使用できなかった。上司から業務時間中寮へ戻ることを禁じられていたのである。そこで、やや意地もあり、MZ80Kを使っていくつか成果を夜中に独身寮で仕事をして出していた。
ホウ酸エステル変性ポリウレタンフォームの成果は学位論文にも掲載されているが、そのほかに熱分析データのグラフ化やこのデータを用いた反応速度論の研究、組成分析手法の開発、組み合わせの限られた化合物の構造推定法、フェノール樹脂LOIの残渣分析による最適処方の決定などデータサイエンスと呼べる成果が出ている。
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