タイヤのゴムは、ゴムの高分子を加硫して製造される。加硫を簡単に説明すれば、ゴムの高分子の一部を互いに反応させて網目状にするプロセスである。
ゴムは、加硫してはじめてゴム弾性を示すが、加硫しなければ流動するので用途が限られる。
その昔、ゴムとイオウを混ぜた状態で暖炉の近くに置いていたら、流動性が無くなり硬いゴムとなったので加硫という反応が技術開発された。
昔は、ゴムと言えば加硫ゴムだけだったが、最近は、熱可塑性エラストマーというゴムと樹脂のハーフ高分子もゴムとして普及している。
この熱可塑性エラストマー(TPE)は二軸混練機で製造されるので加硫ゴムよりも安価である。車のワイパーのゴムは、高級車でない限り、TPEが使われている。
そのほかに、シリコーンLIMSから製造されるシリコーンゴムは、大半がスタティックミキサーで混練されており、プロセスコストは安い。
シリコーンゴムについて、昔は加硫ゴムだけだったので高級品以外使用されていなかったが、最近はシリコーンLIMSの普及でゲーム機のカバーなどにも使われるようになった。
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ゴム会社に入社したときに、なぜゴムを二軸混練機で練らないのか、という議論があった。
ちなみにタイヤ用の高性能ゴムは、当時より40年以上経っても、効率の悪いバンバリーとロールによるプロセスで今でも混練されている。
それなりの工夫をすれば、二軸混練機でもゴムを混練することは可能であるが、「それなりの工夫」が大変なので、バンバリーとロールで混練している。
二軸混練機を用いてプロセスを設計すれば、バンバリーとロールを用いた場合よりもコストダウンが可能であるが、高性能のゴムを製造する場合には、それができない。
身の周りにはゴム製品が多いが、運動性能についてそれほど高い要求が無ければ、二軸混練機を用いたプロセスでも製造可能で、ゴムの種類によっては、スタティックミキサーで済ませている場合もある。
このことから、二軸混練機の混練性能がバンバリーとロールを組み合わせた場合よりも低いことを理解できるが、それぞれの混練時間を考慮すると、この両者のプロセスに極端な性能差があるわけではない。
そのため、40年以上前にはゴム会社で二軸混練機に触れる機会は無かったが、最近は工程にそれを見つけることができる。
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大学入試問題はじめ、試験というものは唯一の答えが導かれる問題が採用される。それにより、試験担当官の意思が入って選別が不公平となるのを防ぐことができる。
唯一の答えが導かれる問題を作成できるのは、知識が科学的体系で構築されているからだ。換言すれば科学的体系で構築された知識、すなわち形式知の有無を試すのが試験問題である。
しかし、日常発生する問題では、必ずしも唯一の答えだけで解決できるとは限らない。例えば今回のコロナ禍では、日本の死亡者数変化が世界のどの国とも異なるグラフとなっている。
これは日本のウィルスバスターが、世界と異なる戦略をとり、都市封鎖をすることなく医療崩壊を防ぎ、感染者数の増大を防いだためだ。
この科学に時代に答えが二つ以上あるような大問題が起きたのだ。これは、また感染症の科学が他の科学分野に比較して遅れていたことにより生じている。
実は、感染症はじめ医学の世界は、未だ職人が活躍できる世界なのだ。包丁一本晒しにまいて料理人が活躍できるように、メスをうまく活用できればブラックジャックのような名医となれる時代である。
このような分野では入試問題のような科学的問題よりも非科学的問題に遭遇する事態が多い。そして今回のコロナ禍で明らかになったことは、我々の日常はこの科学の時代であっても非科学的問題の方が圧倒的に多いことだ。
そして一たび非科学的な大問題が発生すると認識の違いから様々な解が提案されることになり、混乱が引き起こされる。そして正しい問題すら見えなくなるのだ。ドラッカーは、「正しい問題は何か」を考えることが重要と半世紀以上前に指摘している。
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ゴムや樹脂を混合する技術は、粉末を混合する技術に比較し難しい。粉末の場合でも凝集粒子の問題があるが、高分子では分子の絡まり具合もそのプロセスで制御しなければいけない。
分子レベルのそのような制御が二軸混練機で可能かどうか、という議論があるが、仮に精密制御が不可能であっても、品質を安定にするためには管理できる程度の制御技術が必要になってくる。
本書では従来の書に書かれた分配混合や分散混合の考え方も取り上げているが、従来の書に不足していた高分子を練るという視点に立って経験知を取り入れて混練プロセスについて解説している。
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中国武漢の騒動は、昨年末突然現れた。しかし、ウィルスの問題については、ダスティンホフマンの映画を持ち出すまでもなく、起こりうることなのだ。
セラミックスフィーバーが社会現象として起きて、社長方針まで出されても従業員は他人事のようにしていたが、世界5位の会社が3位の会社を買収し、1位を目指すとなった時に、社内は大変な騒ぎになった。
内部留保は0となり、本当に会社は大丈夫だろうか、という心配をしなければいけない状態になった。追い出し部屋ができ、すさまじいリストラが進められてゆく。そして社長方針の事業を推進していた当方のFDを壊されるような事件が起きる。
サラリーマン時代に尋常ではない体験をしていると、今回のコロナ禍がどのように社会を変えてゆくのか不明でも、それなりの覚悟はすでにできている。
実は、環境の変化に対して、恐怖感を持つよりもそこに希望を見出すような生き方をした方が、精神衛生上よいことは多くの人は分かっていても、環境変化を受け入れる段階で挫けてしまうものだ。
当方も左遷された時にそれを変化として受け入れることがなかなかできなくて、挫折しそうになった経験がある。ギブソンES335を衝動買いしたのは、何とかそれで自分を支えようとした行動だった。
よく成功体験の重要性を言われるが、成功体験をしていてもそれを思い出せないほど挫折した時にどう対処したらよいのか。当方は、ギターの練習をしながらただひたすら学生時代を思い出した。
おそらくポストコロナ禍の社会変化は大きいだろうが、人間は生きてゆかなければいけない。もしそうならば、そこに希望を見出せるように、過去の人生経験から今を見つめなおしてみるのは良い方法と思っている。
その時成功体験があろうがなかろうが、楽しかった思い出の一つや二つぐらいは誰でもあると思う。その思い出を今一度実現するにはどうしたらよいのか考えるのは、ポストコロナ禍を考えるときのヒントになる。
小さなことでもよい。何か一つ変化した環境の中で再現するための方法を考え出すことができれば、それをほかのことにも応用してゆけばよい。過去の楽しい経験の再現であれば、それは立派な希望である。
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高純度SiCの事業を住友金属工業とのJVとして立ち上げながらも大変な目にあって写真会社へ転職した当方なので、当時のことを書いても許されると思うが、当方がゴム会社で高純度SiCのシナリオを最初に提案したのは、ゴム会社の50周年を記念する企画の一つである全社論文募集の機会だった。
当時のゴム会社は、世界5位のタイヤメーカーだったが、日本でダントツトップとなり次なる目標を模索している時だった。そこでCIを導入し社員の意識改革を狙って故服部社長は50周年記念論文の募集を行った。
世の中はセラミックスフィーバーが吹き荒れていた時代で、社長方針に未来のゴム会社の3本の柱の一つとしてファインセラミックス事業が盛り込まれていた。
だから、論文は、社長方針の3本の柱であるメカトロニクスや電池、ファインセラミックスに関わる内容が幾つか集まると社長は期待されたかもしれないが、最初の締め切りで集まった論文数は片手にも満たなかった。再募集をかけてようやく8件集まるという期待外れの結果だった。
当方は8件ならば、何か良い結果でも、と期待していたら、高純度SiCのシナリオは、審査員の眼鏡にかなわず、3位以内に入らなかった。ちなみに1位は、豚の繁殖力と牛のうまさを掛け合わせたとんぎゅ-なる生きものを事業とする内容を提案した人物の作品だった。
審査員は有名大学のタレント教授だったが、この教授にボツにされたシナリオがその後社長の先行投資を受けて、新事業として30年続いたことを思うと、タレント教授に審査委員としての能力が無かった、というしかない。
その数年後ゴム会社は、世界3位のタイヤメーカーを買収し、世界一位の会社を目指すのだが、名実ともに安定した1位になるまでに20年近くかかっている。その間、社内は大変だった。
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ウィルスバスターは、ワクチンがあればそれを利用し集団免疫による戦略をとれるが、新型コロナウィルスに対してはワクチンが無いので行動変容すなわちウィルス出現前の行動と出現後の行動を変える方法でウィルスに対抗している。
すでに衆知なった、3つの「密」を掲げた行動変容がそれである。ワクチンによる集団免疫は科学的に理解しやすいが、行動変容は科学的にとらえにくい。
2ケ月前3月22日に放映されたNHKの特番で、ウィルスバスターは毎日のデータを見て考えながら対策を練っていると回答している。
すなわち今取られている戦略は、どちらかと言えば科学的ではなく技術的と表現したほうが正しいのかもしれない。
当方はサラリーマン時代に科学的ではない方法で高純度SiCの新規合成法の開発やカオス混合プロセスの発明、帯電防止層の開発、そして転職する原因となった電気粘性流体の耐久性問題の解決などの成果を出してきた。
当方の成果だけでなくノーベル賞を受賞している山中先生もヤマナカファクターをあみだくじ方式という非科学的な方法で開発している。
すなわち、科学的ではなくても成果を出せる方法があるのだ。行動変容という戦略では、科学的に議論を進めにくいので、当然担当している研究者以外からは批判が出てくることもある。
しかし、相手は見えない敵であり、科学的に100%勝てる方法が無い限り、非科学的方法でも明るい未来が見えるならば、一致団結して日本のウィルスバスターに協力した方が良い。
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無機材料科学は20世紀にほぼその体系は出来上がったが、高分子材料科学は、ダッシュポットとバネのモデルのレオロジーが破綻したように、現在もその体系を模索中である。
そもそも科学の一分野としての化学は、非平衡状態についてまだその体系が出来上がっていない。統計熱力学で議論できるという人がいるが、それはほんの狭い領域だけである。
実務の世界、例えば高分子材料の世界では、非平衡プロセスで材料が作り出される。そして製造された材料の品質は、結晶状態ではなく非晶部分で左右される。
実用化されている無機材料の物性が結晶の特性で品質が決まってくるのと比べると、高分子の世界では、話が複雑というよりも形式知が無いので科学的議論さえできないケースが多い。
これら以外に、例えば力学物性を取り上げても高分子材料では科学的にそれを議論できない場合も出てくる。
それゆえ、その材料設計には、どうしても経験知や暗黙知を動員する必要が出てくる。
最近アカデミアの世界でマテリアルインフォマティクスという概念が出てきたのはこのような背景があるのでは、と思っている。
ゴムタイムズ社から発刊された小生の著書では、マテリアルインフォマティクスも意識した事例を紹介しているのでご興味のある方はコロナサービス期間中に購入されると消費税と送料分安くなります。
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ギブソンES335の品質についてもう一つ面白い話がある。東海楽器製造というピアニカで有名なメーカーは、昔マーチン社と技術提携し、マーチン社の安価なギターをOEM生産していた。
その技術を活用して製造されたキャッツアイブランドのギター(ドレッドノート)は1970年代マーチン社のギターよりも品質が高く安いと評判になり、よく売れた。しかし、ギターブームが去り、今キャッツアイブランドのギターは全品韓国製である。
それでは東海楽器はギター生産をやめたのかというとそうではない。エレキギターの生産が中心である。そしてES335タイプのコピーも製造しており、これがギブソン社よりも品質が高いとしてマニアの間では評判である。
しかし、素人が東海楽器のES335コピーモデルを購入するとがっかりすると言われている。
実は東海楽器はES335の1959年モデルのコピーを製造しており、現在ギブソン社から販売されているモデルES335のコピーではない。すなわち、ギブソンのES335には古いタイプと新しいタイプでピックアップが異なり音色が違うのだ。
ただ、古いタイプのES335を好みの方には、東海楽器のコピー品は最高らしい。実際に楽器店で東海楽器製のES335を見てみると、細部にわたり丁寧に処理がされており、本家のギブソンES335よりも高品質である。
機械化された木工技術において日本と外国との品質差が生じるのは、恐らく職人のモラルが影響していると思われる。当方は技術者として現場で仕事をする機会が多かったが、日本の職人のモラルは諸外国と比較し高い。
人件費の高騰で日本から中国、そして今はASEANへ工場が出て行ったが、高いモラルを維持できる日本の工場のメリットを生かせる製品であれば、生産現場を日本に戻しても良いのではないか。
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コロナ禍で今年の高校三年生は、進路についてかなり心配されているのではないか?「今がすべて」とまで思い込んでいる人もいるかもしれない。
小生が高校生の時に安田講堂事件の余波で1969年の東大入試が中止になった。浪人も含めた東大生の合格者数が3桁の高校だったので、先輩たちに激震が走った記憶は、この先輩たちの影響を自分たちも受けることになるということで今でも鮮明に思い出せる。
東大を目指していた現役生の中には、浪人を早々と決めた人もいたが、その方たちの感想を50年経った今聞いてみたい気がする。
人生の捉え方は、人それぞれであり価値観も異なるので東大入試中止の人生に対する意味はおそらく人それぞれ異なるだろうと思われる。
ただ、その時東大を目指さず他大学を受験した先輩の話では、他大学でも悪くはなかった人生、ということである。
半世紀たっても「東大入試中止」にこだわっている先輩もいるかもしれないが、仮にこだわっていたとしても、東大入試中止を結果として受け入れた運命を一生懸命生きている。
コロナ禍で受験勉強に影響を受けるかもしれないが、その後の長い人生をどのように生きたのか、というほうが重要だ。
例えば、当方はゴム会社で基盤技術も何もない状態で高純度SiCの事業を立ち上げているが、FDを壊され妨害される事件が起きて、それを隠蔽化しようとした研究所の動きを受け入れることができず転職している。
高純度SiCのテーマを推進していた時の死の谷における苦労はそれだけではなかったので、今でもそのトラウマは残っているが、転職を決意したことやその後の人生について悔いてはいない。
また、転職後の写真会社では、ゴム会社で身に着けた専門を捨て写真フィルム開発を担当したが、デジタル化の波を受けリストラされている。
倉庫をパーティションで区切った部屋で仕事をしていたわけだが、早期退職を決意し、単身赴任した豊川で、ゴム会社の新入社員時代に担当したテーマの続きを実行できる環境に恵まれた。
カオス混合技術を量産プロセスでどのように実現するのか、という指導社員から頂いた課題を解決することができて、フローリー・ハギンズ理論では否定される現象を機能として活用し、PPS中間転写ベルトの製品化に成功した。
大学院で学んだ強み(注)を生かしたセラミックス技術者としての人生ではなく、転職左遷単身赴任と順調ではないサラリーマン人生だったが、ゴム会社の新入社員研修で学んだ強みでサラリーマン人生の最後に技術者として高純度SiCの事業化と同様の満足できる成果をあげることができたのは幸福だった。
(新人テーマも含めゴム会社の新人育成プログラムは秀逸だった。大学6年間の教育を凌ぐ濃度の濃い内容は、この会社が世界6位から1位になる必然性を示していた。転職してみて人材育成の考え方や仕組みが会社により異なり、昨今は当時よりも人材育成に力を入れなくなったという。今弊社ではポストコロナの社会変化を配慮した人材育成プログラムの企画を考えている。)
高純度SiCの事業化成果やカオス混合技術の開発成果について会社からそれらにふさわしい評価は受けていないが、誠実真摯に推進し成功に至った過程において、素晴らしい人生の出会いがあった。
科学者としての専門性を語ることは恥ずかしいが、とりあえず住友金属工業とのJVとして事業化できた高純度SiCのテーマで学位論文をまとめることができたのは小さな成功の一つである。
技術者として、製品化における様々な問題解決に勝利してきたのは誇りであり、その成功の体験の一つを書籍として出版できたのも幸福だ。
ところで何をもって人生の成功とするのか難しいことは、当方の人生体験を語らなくても、このコロナ禍における政治の状況を見れば明白である。
正義も誠実さも無い生き方で出世し検事長までなって、定年退職の準備をしていたら、時の権力者が保身のために総長の道を開いてくれた。
「すごろくのあがり」にたどり着いただけでなく、景品の選択肢まで与えられた。そこで、大きなつづらを躊躇せず選び、文春砲が炸裂した。さて、その後どうなるか、高校生はこの続きをぜひ見届けて欲しい。
(注)第二次オイルショックで就職状況が悪く、専門に囚われず車に興味があった、と言う理由だけでゴム会社に就職している。これまでの人生経験でコツを一つあげるならば、まずその時の自分の人生を受け入れ、最悪の事態を避ける誠実な選択をすることである。誠実な選択をしておれば、誰かがそれを見ていてくれる。不思議なことにタイミングよく、どなたかが叱咤激励してくれるのだ。また、高純度SiCの発明において、無機材質研究所の電気炉暴走は神様のいたずらである。その科学で説明できない出来事で高純度SiC技術は生まれている。人生思いがけない出来事が起きるので、まず一生懸命誠実に生きることが大切である。
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