この数カ月自動車に関する話題が多くなった。モーターショーの影響もあるかもしれないが、中国のEV墓場のニュースが今年初めから何度も報じられているのは少し気にかかる。
日本の自動車メーカーのEV化が遅れており、その関係もあるのか、と勘ぐってしまう。しかし、自動車の電動化は猛スピードで進行しており、マツダのロータリーエンジンもハイブリッド車における発電機として進化したニュースには驚いた。
日産が限定版のスカイラインNISMOを発売し、ガソリン車として最後のFR車として注目を集めている。マツダもガソリンのロータリーエンジン車を限定発売しても売れたのではないか。
スカイラインは1000台限定である。ロータリーエンジン車も1000台限定車で採算が取れたように思う。ガソリンエンジン車にあこがれている自動車愛好家は一定数いるだろう。
水平対向エンジンやロータリー以外ならば6気筒以上無ければモーターのようなしっとりした乗り味は得られない。アクセルに対する応答は、低価格車ではモーターの乗り味の方が良いことを多くの人は知ってしまった。
自動車の動力は今後すべて電動化されるにしても、水素燃料電池の将来動向が気にかかる。欧米ではインフラ整備を辞めたところもあるという。
トヨタとホンダは燃料電池車にも力を入れているが、他の自動車メーカーは消極的である。しかし、充電時間を考慮すると、燃料電池車のガソリン車以上に速いエネルギーチャージ速度は魅力的である。
中国で急速に電動化が進行し、EV墓場が現れたことをEV化の未来のように書いている記事は、中国という国をよくご存じない。あのEV墓場は、乱立しすぎたEVメーカーの倒産で現れたのである。
当方はEV墓場以外に、大なり小なりいろいろと産業の墓場を中国で見てきた。EV墓場のニュースで、電動化に竿さす内容で報じているニュースは不十分な取材記事である。
今中国のエンプラで伸びているのはPPSである。先日この欄に書いたが、コロナ禍前に当方は蘇州ナノポリスにある某ローカルメーカーを指導した話である。
すべてのEVメーカーで使われるPPSの納入に成功した、と挨拶状が届いた。PPSは日本メーカーの寡占状態の材料だったが、中国企業の生産量もEVの生産量拡大に呼応してのびてきた。
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科学では仮説を設定して、それに基づく実験をすべて実験者のコントロール下で行う。例えば仮説を実証するために誤差の問題が問われるような時には、必要とされる繰り返し実験を行い、平均値や標準偏差を求めたりしている。
そして、Nで割るのかN-1で割るのか悩んだ末、自分の都合の良い方で標準偏差を求めている科学者もいるだろう。ゴム会社の研究所では、このようなシーンが絶えなかったが、笑うことができなかった。
笑いをこらえる苦しさに気づき、裸の王様という童話における深い意味を学んだ。また、科学の実験において、サンプリングの意味さえ無視されているケースもゴム会社で見てきた。
これは、当時同僚の嘆き節だが、上司の提唱しているゴム網目理論に合致したデータ以外受け付けない上司で困った、という。すなわち、実験データをグラフ化した時に、理論式から外れたデータについて、理論式に合うまで実験をさせられたという。
データを捏造したくても、理論式に適合したサンプル提供を求められるので大変だという。プロセス条件をいじりながら、それらしいデータが出るまで実験しなくてはいけないそうだ。その上司はサンプリングの意味やプロセシングの位置づけを誤解されている方だと思った。
サンプリングが統計学上意味のある形で実施されたときに、そのサンプリング条件において平均値とその誤差が意味を持ってくる。すなわち、サンプリングについて学んだら、平均値と誤差、偏差等の統計パラメーターの意味を正しく学ぶことは大切だ。
すると自然に正規分布だの二項分布だのが分かってくるので学習時間の節約ができる。統計学の教科書では、正規分布の理解を最初に求められるが、難解な数学的理解よりもサンプリングから生じる誤差がどのようなモノか理解できれば、自然と誤差の分布からこれらを理解できるようになる。
数学的に厳密な理解よりもこの感覚的な理解は重要である。感覚的に理解できてから数式をみると不思議なほどすっきりと頭に入ってくる。
大学で6単位統計学の単位を取得しても、統計に基づく実験を大学でさせていただけなかった。研究とは新しいことを見つけることで、科学の方法で見出された新しいニュースを常に求められた。
ゴム会社に入社し、工場実習で品質管理を担当し、工程管理手法を学んだ時にはじめて大学で6単位取得した内容を理解できたと感じた。工程管理手法は中卒の担当者にご指導いただいた。大学の先生より説明がわかりやすかった。
統計学に基づき収集されたデータでサポートされたモデルが技術開発には重要である。そのモデルが科学的に説明できるかどうかよりも、統計的に再現確率の高い技術が重要である。
科学でサポートされていないカオス混合プラントは、現在も収率100%で稼働しているという。科学的な品質管理が行われている、トランスサイエンスの世界である。
カオス混合技術はタグチメソッドにより開発されたのでロバストが高い。トランスサイエンスを理解できれば科学的に開発できなくてもタグチメソッドで新技術を開発できるのである。このあたりについて、後日書きたいが、とにかくサンプリングを正しく理解し、そのデータを正しく処理できるように各統計パラメータの正しい意味を記憶することが大切である。
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2023年10月5日(木)にCMCリサーチ主催の下記セミナーへ弊社経由でお申し込みされますと昨日告知いたしました土日特別セミナーを無償で受講できるサービスを提供いたします。下記セミナー参加希望のご連絡と同時に、サービスで提供いたします土日特別セミナーの参加予定候補日3つご指定ください。詳細は、弊社へお問い合わせください。
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昨日お問い合わせがございまして、急遽土日限定のセミナーを企画することにいたしました。統計手法を中心としたデータサイエンスの入門セミナーです。
ディープラーニングも含めたデータサイエンス全体セミナーにつきましては、これまでセミナー会社の要望を受けまして講師を努めてきました。
その経験から、統計知識の基礎を含めた入門セミナーの必要性を感じ、「まず、何から学ぶか」という連載を書き始めました。
1日ですべて習得する前提ではなく、セミナーを受講していただいて、セミナーテキストを参考に受講後自学自習をできるような構成を考えています。
内容は、多変量解析まで含み、Pythonの自学自習も可能なような濃厚なセミナー内容を提供したい、と考えています。また、テキストには文章を多くしてセミナー終了後に見直せる様な構成とします。
セミナーで解説するプログラムはすべてPythonで記述し、テキスト購入者にはプログラムコードを配布するとともにPythonの詳しいインストール方法をまとめたpdfを配布いたします。
受講料はテキスト無し5000円、プログラム付テキスト(電子ブック)含む受講料は1万円を予定しています。10月8日以降の土曜日と日曜日に開講予定ですのでお申し込みください。
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統計手法を正しく理解することは、データサイエンスにおいて大切なことである。しかし、この全体を習得するには3年かかるだろうと思われる。専門に勉強しても1年半はかかる。これは大学のカリキュラムを見てみれば理解できる。
当方の学生時代に統計学について2単位は必須であったが、残り4単位は選択となっていた。当方はカリキュラムのすべてを習得しただけでなく、文学部で行われていた心理学における統計学の応用の学問も教養部時代に学んでいる。
幸運なことに大学院では授業料が免除されたが、学部では授業料を支払っていたので、取得できる単位をすべて取得しようと努力した結果である。その結果、単位をとりすぎて教務課から注意を受けている。
このような学生時代に学んだ経験から、統計学について何が重要であるのか公開したい。すなわち、それを学び理解できたならデータサイエンス全体の学習に入ることが可能となる。
最近のデータサイエンスに対する説明を読むと統計学は、データサイエンスの一部として扱われている。しかしこのようなとらえ方そのものが誤解を生むことになっている。
まず、統計学とは何か、という教科書に数ページ書かれていることをしっかりと理解することだ。そうするとサンプリングの重要性に気がつく。
もし、タグチメソッドを実務で使われてきた方ならば、この気づきでノイズの水準がなぜ必要なのか理解できるはずだ。調合誤差まで設計して実験をしなければいけない理由に気づけばサンプリングについて理解できたと思ってよい。
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当方がデータサイエンスのスキルを身につけた体験談を書いてきたが、30年ほど前までデータサイエンスに対する技術者の関心は低かった。また、高学歴で科学の方法を十分に学んだ人ほどデータサイエンスを毛嫌いしていた傾向が強い。
ゴム会社では、新入社員に1人50万円ほどかけて日本科学技術連盟のベーシックコースを1年間学ぶ機会を提供していたが、それでも研究所では統計手法は普及しなかった。それゆえタイヤ開発部門と研究所とはQCに対して意識の違いが大きくなった。
これは、非タイヤ部門の化工品事業で品質問題が多かったことと無関係ではないだろう(注)。研究所では非タイヤ部門のテーマが研究されており、タイヤ部門の基礎研究については、タイヤ基礎研究部という組織が存在していた。
すなわち、基礎研究部門がゴム会社には二つあり、タイヤの研究テーマを扱っていなかった研究所では、徹底して科学の方法が重視されていた。新入社員として配属された時に大学よりもアカデミックな雰囲気でびっくりしたぐらいである。
ゆえにアカデミアよりも研究レベルが高い分野も存在していた。とりわけ分析技術については世界一ではなかっただろうか。高分子の難燃化研究グループには、世界中の難燃性評価装置が揃っていた。
科学一色の中でデータサイエンスの研究を開始した経験から、まず何を学ぶべきか、と聞かれたならば、統計手法の基礎を勉強することが大切とお伝えしたい。
ただし、統計手法も全部を学ぼうとすると社会人ならば1年以上かかると思う。ちなみに日科技連のベーシックコースは1年で統計学の基礎を学べるようになっていた。
基礎のコースでも毎月の課題消化に大変だった。上司経由でテスト結果が届いただけでなく、修了証をもらえなかった場合には、研修でかかった費用を給与から天引きされるルールとなっていた。
ゆえにデータサイエンスを使いこなすために必要な統計学について、すべてを学ぼうとするとデータサイエンスを実務で活かせるようになるには3年かかるのではないか。
実際に当方は3年かかっている。3年かかって統計手法および多変量解析を自由自在に使えるようになって、科学で解けない問題を短時間でデータサイエンスで解けるようになった。
そしてそれだけのスキルを身につけたら殺されそうになったのである。会社方針を真面目に実践するのに、研究所では命がけだった。
その体験から言いたいのは、統計学でも学ぶべきことを選択し身につけてゆかないとデータサイエンスを使えるようになるまでに時間がかかってしまう、というアドバイスである。
また、データサイエンスについては、マテリアルズインフォマティクスのような側面と、科学で解けない問題を何とかして解きたいというニーズに応える側面とがある。
順次、これらについて経験談を書いてゆこうと思うが、すべてを書かないことを了解していただきたい。すべてをここに書いたら、弊社としてセミナーを開催している価値が無くなる。
弊社ではデータサイエンスを実務に適用しようと奮闘努力した経験から、そのスキルを短時間に身につけるカリキュラムを用意している。
(注)タイヤ部門のスタッフと化工品部門のスタッフでは、明らかに品質に対する考え方が異なっていた。研究所では品質を口にするだけで軽蔑される風潮があった。しかし企業の研究所がアカデミアよりアカデミックであることなど自慢できない。企業では、研究部門においても品質重視こそが重要で、そのうえでアカデミックであることを自慢すべきだろう。もし研究所の経営に困っている企業があれば、ご相談いただきたい。かつてU本部長が書かれた3冊の著書の続編にあたる技術経営について指南いたします。
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ABS樹脂はポリマーアロイの未来を感じさせるに十分なブレンド系だった。また、組成がずれると問題を起こす点も「アロイ」という呼称にふさわしかった。
しかし、ABS樹脂製のスキー靴の不良品で骨折事故が多発した社会問題から、ナイロンザイルの事故のように小説は生まれていない。これはすぐに材料メーカーで技術的対応がなされ、問題解決されたことが大きいと思われる。
電子製品の外装材としてABS樹脂は普及したが、難燃性を付与するためにコストがかかった。そこで、PC/ABSが生まれている。PC/ABSは、ABSの難燃性を改善するとともに、ABSよりも外観が良好な成形体が得られた。
PC/ABSのコストダウン品として、PC/PSや廃材を用いたPC/PETが生まれている。特に後者は当方の写真会社最後の仕事として社長賞を受賞した思い出の材料である。
さらに、この社長賞は当方が退職後の栄誉だが、元部下がその記念品をわざわざ忘れずに当方へ送ってくれた感動的なエピソードがある。ゴム会社では、当方が退職後成果を独占しようとした人たちで争いが起き、転職後に相談に乗らなければいけなかったが、そのような暗い話ではない。
また、このような争い以外に、学会賞の推薦書には当方の転職後に開発が始まったようなウソが書かれて提出されている。このような後味の悪い技術開発と異なり、PC/PETの開発では、生産委託した中国ローカル企業の総経理との交流もあり、人生の良い思い出となっている。
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2010年から始まった第3次AIブームでマテリアルズインフォマティクスが定着したが、1990年から日本で普及が始まったタグチメソッドや、それより前から存在した統計手法との関係について誤解されているか、あるいは理解できていない技術者は多い。
ゴム会社の研究所の技術者のように科学こそ研究開発の唯一の方法と信じている化石のような技術者にとって、これはどうでもよいことかもしれない。
第3の波が始まった50年近く前の冗談のような信じられない実話を書くと、ゴム会社では新入社員に統計手法のスキルを身に着けさせようと力を入れていたが、それでも研究所の技術者の中には、「人事部に従って真面目に統計を学ぶア〇」と言っていた人が多かった。
当方は、品質管理に重要な統計手法としてだけでなく、問題解決法として公開されていた新QC7つ道具の有効性に気づき、愛用していた。ゆえに研究所では大いに馬鹿にされて、実験計画法で求めた最適条件が外れたときには、周囲から大声でからかわれた。
研究所はこのような調子だったが、タイヤ開発部門は人事部方針に従い、すべての技術者が真面目に統計手法の活用に取り組んでいた。ゆえに設計段階から高品質のタイヤを創り出し世界一になれたのだと思う。
しかし、研究所では当方が転職した頃でも科学の方法こそ唯一の技術開発方法とされ、タイヤ開発部門はKKD開発部隊と軽蔑していた。
さらに、電気粘性流体の耐久性問題は界面活性剤で解決できない、という結論を導いた報告書が素晴らしい報告書とされたように、否定証明が最高の科学という本部長が誕生している。
電気粘性流体の耐久性問題については、それを解決できる結論を非科学的と排除しようとしたので、すぐにデータサイエンスで見出された界面活性剤を用いて、科学の方法の問題を示したのである。
I本部長ご指導の元、東大から阪大まで、博士2名を含めた優秀な6人のスタッフによる否定証明は1年かかかっているが、データサイエンスによる肯定的な結論は、MZ80Kにより一晩で出され、その実証に3日とかからなかった。なぜなら、当時の電気粘性流体をゴムケースに入れて耐久促進試験を行うと半日で失活していたからである。
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会社で開放されていた大型コンピューターの統計パッケージは使いやすかったが、その使用料は各組織に配賦されたので、グループメンバーはじめ上司から毎月費用対成果を問われた。
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また、とんでもない本がベストセラーとなり、急遽OA委員会が組織されてそのメンバーとなり、パソコンの無い状態で薬品管理プログラムを作成するよう指示された。
このような流れから、ローンで購入されたMZ80Kのシステムが独身寮の1室で稼働するようになったのだが、このシステムで業務データの解析ができるようになったのは、半年以上経過してからである。
薬品管理プログラムの作成やハードウェアーとシステムソフトの理解に時間がかかったためであるが、データサイエンスの研究のためにハードウェアーからソフトウェアーまですべて勉強できたことは、その後の「コンピューターで問題を解く」習慣に役立っている。
特に転職後フィルム技術の知識が無い状態で仕事を行う時に強みとしてそれらのスキルが役立った。なぜなら、転職した職場の担当者レベルで当方と同じコンピューターの知識を持っていた人が一人もいなかったからである。
データサイエンスでは、データをどのように収集するのかが重要になってくる。一つの方法は、アナログデータをデジタルへ変換し、測定器からコンピューターへデータを取り込みそれをコンピューターの中で解析する仕組みを作ると便利である。
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PC9801用AD変換ボードやGP-IBボードの扱いができれば簡単に実現できる。転職した時にはLattice Cを使用しており、これらの制御用ライブラリーも自前で揃えていた。
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コンピューター関係のソフトウェアーを自前で購入し、会社の仕事で使うというのは企業の情報管理の観点で好ましいことではないが、ゴム会社の研究所の考え方は少し常識からずれていた。
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しかし、会社の仕事で使用するソフトウェアーを自前で購入していたおかげで、転職時にすぐにそのスキルを写真会社で活かすことができた。
フィルムの帯電防止評価技術開発では、当方のコンピューターに関する知識を活かすことができて、インピーダンスを用いた評価技術を新たに開発し日本化学工業協会から技術特別賞を頂いている。
また、日米国際写真科学会議の講演でトリを務めさせていただいた。この研究ではインピーダンス測定データ群と実技テスト結果をデータサイエンスで処理し、新たな評価技術を生み出した手順だけでなく、パーコレーションとの関係を考察し、方法の科学的妥当性を考察している。
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データサイエンスのスキルについて、ハードウェアーからソフトウェアーまでコンピューターに関するすべての知識を持っていると便利だった。
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しかし、DXの進展により生成系AIが登場したので、技術者が持つべき知識量は激減した。わずかな努力で効率的にデータサイエンスのスキルを身に着けることが可能となった。
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IBM3033には統計パッケージが用意されていたが、80万円のローンで購入したMZ80Kのシステムには、本体に標準で搭載されたテープメディアのBASIC言語とFDOS、ゲームで有名になる前のハドソン社が販売していたHuBASIC、パスカルに似たPerl、特殊なFoth等開発用のツールだけであり、すぐに業務で活用できる状態ではなかった。
ゆえに最初に行ったのは、これら開発ツールの勉強である。コンパイラーも用意されていたHuBASICは、FDをサポートしており、標準搭載されていたBASICよりも本格的なBASIC言語だった。
少しの学習で、FDOSに用意されていたアセンブラーとのLINKにより言語機能の拡張もできた。データサイエンスの研究やOAシステム開発のためにMZ80Kを自腹を切って購入したのだが、このようなFDOSはじめ各種開発ツールについて学ばなければ、薬品管理プログラムはじめOA委員として課せられた業務をこなせない状況に少しあせった。
このような不便なシステムが当時のパソコン環境であり、ベストセラーとなった書籍に述べられていたような16万円のマシンを購入すればすぐに職場のOA化をできるという話は、極めて無責任な意見だった。
しかし、そのような見解を信じることが先端のコンピューターリテラシー溢れる社会人という風潮があり、「花王のーーー」はベストセラーになっている。パソコンにソフトウェアーが必要だとは、ほとんどの人が知らなかった時代である。
さて、MZ80Kのシステムで薬品管理プログラムを開発できたときに、ソード社から8ビットではあるがCPUを二基搭載した本格的なマシンが登場している。
8ビットCPUの時代に日本では、ソード社がすぐに活用できるソフトウェアーを搭載した本格的なOAマシンを販売していたが、皆100万円前後であった。
しかし本体が10万円台であったNECやシャープのパソコンでもソード社同様のコンピューター環境にすると80万円前後の費用が必要だったので、ソフトウェアーとハードウェアーがOA用に準備され、漢字表示も可能だったソード社のマシンは妥当な価格である。
さらにPIPSという簡易言語も搭載されていたので、OAで必要とされる簡単なシステムであればこの簡易言語で用を足せた。しかし、ベストセラーになった「花王の」とタイトルがついた書籍には、このような説明などされていないひどい本だった。
この本のおかげで、その後さらにひどいハラスメントにあう。そして組織の中でうけたハラスメントによる心の傷は、容易に洗い流せない。バブル崩壊直前に転職する遠因にもなっている。
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