例えば、山田さんが親しい友人である、と仮に決めますと、友人の無事を祈るのは自然な心の動きですので、あるべき姿は「無事である」となります。仮に決めた関係と、答のあるべき姿を加えると、曖昧であった情報は「親しい友人の山田さんが犬に咬まれた。しかし、無事である。」、と具体的になりますが、これはすべて仮に決めていますから真実かどうか不明です。この真実かどうか不明であることが、この場合の問題となります。
知人に山田姓が一人もいない場合には、この情報の曖昧さは親しい友人の場合よりも少なくなります。すなわち山田さんが一般化され、「人が犬に咬まれた」という情報になります。この場合の仮の答、あるべき姿は、平凡な答として「その犬の飼い主のモラル」と決められます。すると、「人が犬に咬まれた。その犬の飼い主のモラルは?」という飼い主のモラルを問う問題になります。
このほかにも問題は設定できる答の数だけ作ることができますが、問題の中には真か偽かを問う問題と、答=あるべき姿の実現を問う問題があることに気がつきます。ところが後者は、あるべき姿を実現できる、という仮の答を設定し、真偽を問う問題に変えることができます。前者は逆に、「無事である」と決めずに、「無事かどうかを明確にする方法」を問う問題に変えることもできます。
すなわち、問題というものは、情報に情報との関係で決めることができる答を付け加えて作りだすことができます。そしてその答となる「あるべき姿」の表現形式を工夫することにより、すべてあるべき姿を実現する問題形式に表現できます。このあるべき姿を使い問題を表現できることが問題の定義につながります。
(明日へ続く)
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二次電池の市場で現在成長しているのは自動車用途である。ハイブリッド車の普及がそれを牽引しています。ホンダは主にLiイオン二次電池を使用していますが、トヨタはニッケル水素二次電池を使用しています。トヨタは公知のようにコスト重視で車を設計します。スペース効率を求められる場合には、リチウム二次電池を使用していますので、そのあたりの設計思想が垣間見えます。
6年前の情報(L.T.Lam,R.Louey,J.Power Sources,158(2006)1140-1148)で恐縮ですが、鉛蓄電池を基にハイブリッド用に開発されたウルトラバッテリーについて。このバッテリーのどこがウルトラかと言いますと、価格の安さとLiイオン電池並みに1kWhの出力ができるという点です。それでいて、500Wh12Vバッテリーと組み合わせても価格が220US$です。ただし重量は55kg。これに対して1kWhLiイオン二次電池は、500Wh12Vバッテリーと組み合わせて価格は1020US$で重量は34kg。およそ20kg軽くなります。
ニッケル水素二次電池でこれらと同様の性能を達成しようとすると500WhSLIバッテリーと12Vスターターバッテリーを組み合わせる必要があり、重量はウルトラバッテリーと同様の55kgで価格は660US$となるそうです。ただしこの比較は、アイドリングストップ程度のハイブリッド機構における比較で、トヨタやホンダのフルハイブリッド機構で必要となる二次電池の容量レベルの比較ではありません。
しかしこの比較から現在のLiイオン二次電池の価格イメージを把握することができます。すなわちモバイル用途よりも安価になっている、ということです。ニッケル水素二次電池との価格差がモバイル用途では2倍以上(エネルギー密度を考慮すると4倍以上)ありますが、自動車用途ではおよそ1.6倍程度です。また、鉛蓄電池は、ニッケル水素二次電池の1/3程度というイメージになります。驚くのは鉛蓄電池の安さで、これは電解質が水であることが寄与している、と思っています。
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「山田さんが、犬に咬まれた。」という情報では、曖昧さがあるために様々な問題の可能性と、その問題解決のためのアクションを書き出すことができます。無意識でこのような曖昧な情報のまま曖昧な問題設定をして問題解決をしている場合があります。すなわち、問題を曖昧にとらえ、課題なのか問題なのかわからない状態でアクションを決めてゆく、そんな光景を見たことがあります。しかしこのような問題解決では、正しい問題を解くことも正しい答を得ることもできません。
うまく問題設定できない時に、探偵ホームズはベーカー街へ戻り、再度問題を考えています。情報を集めてから分析を行いターゲットとの関係を推理する探偵ホームズの問題解決法よりも刑事コロンボのターゲットを常に情報の中に置き問題設定し、ターゲットから逆向きに推論を進めるスタイルのほうが難事件を解決できる、と第一章で考察しました。探偵ホームズも刑事コロンボも問題設定する時には、犯人(答)を情報の中に置きます。情報を分析してから犯人を推定するのが探偵ホームズの方法で、刑事コロンボは、犯人(答)をそのままの情報の中へあてはめて問題設定しています。まず刑事コロンボのスタイルで問題設定します。
刑事コロンボのスタイルでは情報の分析を探偵ホームズのようにしません。情報と犯人との関係を考えています。そこで「山田さんが、犬に咬まれた。」という情報では、問題を解決しようとする人と情報との関係、すなわち山田さんとの関係をまず明確にしなければなりません。この関係が決まっていない段階では、答を決めることができませんので問題設定もできません。もし情報が少なくて関係が決められないならば、仮の関係を決めることになります。仮の関係は、この情報の重要度と緊急度から決めればよいと思います。
知人に山田さんがいたとした場合に、親しい知人であれば親友として決め、親しくない知人であれば他人の関係としても差し支えないと思います。山田さんとの関係が決まりますと、答を決めることができます。この時の答とは、この情報について本来の「あるべき姿」ということです。
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探偵ホームズと刑事コロンボを例にして、問題解決に使用する「考える技術」について調べてきましたが、推理には科学的方法だけでなく非科学的方法も使えることや、推論の向きが重要であることなどがわかりました。探偵ホームズも刑事コロンボも事件を問題として解いていたわけですが、そもそも問題とはどのようなものでしょうか。少し「問題」というものについて考えてみます。
問題につきましては、P.F.ドラッカー(以下ドラッカー)は、生前のインタビューで、「コンサルティングの最初の問いは、何が問題か、と問うことから始める」、と答えています。彼の多数の著書は、ビジネスマンの羅針盤あるいは人生の参考書として読まれていますが、インタビューの答えが示すように問題解決の指南書としても読むことができ、この「何が問題か」という問いの重要性は形を変えて彼の著作に何度も出てきます。間違った問題を解決することが、無駄な時間を浪費するだけでなく新たな問題を生み出す可能性があるからです。
例えば、「山田さんが、犬に咬まれた。」という事件の情報から何が問題となるのか考えてみます。
「山田さん」という名前の友人がいるならば、この情報の山田さんが友人なのかどうかという問題が最初に頭に浮かびます。山田さんが友人でなければ、他人事の一般情報で済むでしょう。友人の山田さんの身に起きた事件であれば、犬が狂犬病であったのかどうか、あるいは怪我の程度、現在の状況など複数の問題が心配になってきます。すなわちこの情報を個人の立場で考えますと、犬に咬まれた山田さんが親しい友人であるかどうかが重要な問題となってきます。
一方で、社会的な見地から、犬の飼い主の責任を問題としてとらえなければならない立場の人もいます。山田さんが病院にかかった場合には、各種保険の適用を考えることになります。医者ならば狂犬病の予防注射の有無を問題にします。それぞれの立場において問題のとらえかたが異なり、設定される課題も変わり、発生している事件は一つですが、最初にとるべきアクションは、それぞれの立場で様々に異なることが分かります。
このように「山田さんが、犬に咬まれた。」という情報そのものは問題のように見えませんが、この情報を問題のある情報、あるいは問題を生み出す情報と感じた時に様々な問題が出てきます。逆にこの情報で何も感じなかった人は、問題など考えずこの情報を忘れてしまいます。
刑事コロンボは、事件現場の観察から様々な問題を考えます。事件現場にあるのは、単なる情報です。そこから様々な問題を設定し、犯人につながる問題を解き、犯人を逮捕します。「策謀の結末」では、殺された闇の商人を自分で演じながらウィスキーのボトルが落ちる様子を再現するシーンが出てきます。何度もトライするうちに、闇の商人と犯人との特別な関係が無ければ死体の横のウィスキーのボトルの状態を説明できないことに気がつきます。
すなわち、いつも犯人の存在を仮定しながら闇の商人が倒れ、ウィスキーのボトルがテーブルから落ちる様子を演じていたのです。ここが探偵ホームズとの違いです。探偵ホームズは常に目の前の状態をそのまま科学的観察するスタイルです。情報が揃ってから犯人との関係について推理をめぐらします。しかし、刑事コロンボはいつも犯人(答)を情報の中に置き現場観察をしています。言い換えると刑事コロンボは事件現場(情報)に犯人(答)がいた状態にして常に問題設定をしているのです。
(明日に続く)
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政府系の投資ファンドである産業革新機構がソニーのLiイオン二次電池事業を核とした業界再編に乗り出したという(読売新聞。2013年1月25日)。内容はソニーの子会社「ソニーエナジーデバイス」とNEC・日産自動車の合弁会社「オートモーティブエナジーサプライ」との経営統合である。
Liイオン二次電池は、1980年代にブリヂストンがポリマー電池として実用化(日本化学会賞受賞)して以来日本が先行してきた分野である。しかし、現在そのシェアーは、サムスンがトップになり、日本のバッテリーメーカーはトップを守りきることができなかった。しかし、Li二次電池の部材に関しては、サムスンは日本企業から購入しており、部材の売り上げ規模でみると日本がいまだトップで、日本の電池メーカーが戦略を間違えなければ、まだ挽回ができる状況である。
公知のようにサムスンには多くの日本人技術者が引き抜かれ活躍している。Li二次電池事業のトップはホンダから流出した技術者と聞いている。グローバルに事業が展開されている状況だから、とやかく言うつもりは無いが、日本企業で育てられた優秀な技術者が、国外へ流出している現状は手を打つべきと思っています。
さて電池という商品は組み立て型商品で、部材を外部から購入すればどこでも事業を始められる。今部材メーカーは電池まで特許に権利範囲を記載しているので、Liイオン電池の基本特許が切れた状態では、組み合わせ特許さえ回避できればどこでも生産できる商品である。
一方今でも性能開発競争が続いており、CPUに似た商品でもある。すでに2020年ころまでのロードマップができており、インテル商法さながらである。CPUもハイkやローk材料が話題になったように、部材を外部から購入し組み立てている商品です。すなわち、二次電池とCPUはよく似た商品であり、CPUのこれまでの歴史が二次電池でも起きるということであります。
このままサムスンの独走を許せば、メインストリームはサムスンの一人勝ちになります。CPUのメインストリームをインテルが握り、なかなかその状態をAMDがひっくりかえせないのと同様の状態になります。おそらく2-3年で勝者が決まるでしょう。ただCPUと異なる一面があり、そこの特徴に気づき戦略を展開すれば日本の企業がトップに立てると考えています。詳しくはご相談ください。
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探偵ホームズも刑事コロンボも主に活用している「考える技術」は、演繹的推論です。観察により集めた情報で推論を展開する点は共通しています。さらに非科学的な消去法や思考実験、経験に基づく勘もこの二人は使います。
しかし、演繹的推論を行う時に、探偵ホームズは分析的思考で考察を進め前向きの推論を行い、犯人の特定、事件解決に至りますが、刑事コロンボは、犯人を逮捕するためのアクションを考える逆向きの推論を展開する点が異なります。
探偵ホームズと刑事コロンボが事件解決の対決を行ったら、おそらく刑事コロンボが取りこぼしなく事件解決を行い、勝利すると思います。なぜなら、探偵ホームズの場合には前向きの推論でいくつもの可能性を考えることには長けていますが、その推論の展開は、必ず事件解決にたどり着くという保証が無いからです。一方刑事コロンボの場合には、必ず犯人から逆向きの推論を用いて、犯人逮捕に結びつくアクションを考えています。ですから犯人がいる事件ならば刑事コロンボは必ず犯人逮捕できることになります。
例えば、難事件と思われた「策謀の結末」を探偵ホームズが取り組んだ場合を想像してみます。殺人現場には、密売人の死体とテーブルから落ちたウィスキーのボトルがあるだけです。このボトルはテーブルから落ちた後、犯人が裏切り者に対する贈り物の気持ちを込めて死体の手元へ蹴って転がした状態です。この状態に込められた犯人のメッセージに気がつくかどうかが犯人逮捕の決め手となります。
さっそく、探偵ホームズは、絨毯についたシミからウィスキーのボトルが落ちたテーブルの位置を特定します。つぎにボトルがその場所から落ちた後、死体の手元へボトルが転がる場合を科学的に分析して推理します。ボトルが落ちた時の角度をいろいろ試しながら、死体の手元に転がるための条件を求めてゆきます。犯人がある意図をもって蹴とばした、などとは考えません。現場には、死体とウィスキーのボトルとの位置関係以外に、そのようなことを示す情報が無いからです。
刑事コロンボの場合は、あくまでも死体が中心です。死体とボトルの位置関係があまりにも良すぎることに気がつきます。すなわち、犯人がわざわざその位置にウィスキーのボトルをおいた、という推定をしております。この現場では、ボトルと死体が結論に相当します。刑事コロンボは、最初に探偵ホームズと同じようにテーブルからボトルを落として考えますが、ボトルの置かれた位置の不自然さに着目し、ボトルと死体を一つの結論という見方をして推理を展開します。このシーンについてドラマを見ていただきますと納得のゆく逆向きの推論が展開されています。
おそらく探偵ホームズは密売人が殺された時の面会者を推理することができず、事件を解決できなかった可能性があります。分析的思考を用いて前向きの推論を展開する方法では、途中の情報が得られなかった時に結論にたどり着けない危うさがあります。しかし、結論から逆向きの推論を行った場合には、結論にたどり着けるアクションがある限り、必ず事件を解決できます。
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「忘れられたスター」では、刑事コロンボは真犯人の逮捕をしませんでしたが、そのほかの事件では、完全犯罪となるような難事件まですべて解決しています。
例えば「死者の身代金」では、「銃弾は下から上へ突き抜けるようにあたった、なぜ口径の小さい銃を使ったのか、銃弾が体を突き抜けると困る、など一つ一つは絵空事だけど全体を見ると絵解きができる」と、思考実験の過程を継母レスリーに説明し、「顔見知りに打たれた、と結論でき、犯人は身近にいる。あなたが犯人だ。」、と告げます。しかし、犯人に結びつく証拠はアリバイも含め、何一つありません。
この難事件では、犯人しか持っていない身代金を娘マーガレットへ渡すように仕向けたお芝居を娘に演じさせると、継母レスリーは、早く娘を追い払いたいため25000ドルを隠していた身代金から払ってしまいます。それが証拠となり犯人は逮捕されます。
「策謀の結末」では、銃を販売する闇の商人が殺され、犯人との接点もつかめない状況です。しかし、死体の脇に落ちていたウィスキーのボトルの不自然さに着目します。刑事コロンボは銃殺された時の倒れ方とボトルがテーブルから落ちる様子を実際に何度も自分で演じながら、死体の脇に置かれていたボトルの状態にメッセージが隠されていると気がつきます。そして、ダイヤモンドの指輪でつけられたウィスキーの特徴的なボトルの傷を手掛かりに詩人の活動家逮捕につながってゆくのですが、「上司の教えとして、眼力が大事だ」、という決め台詞を残しています。このあたりは、探偵ホームズと同じく観察に基づく推理の展開を武器にしている様子が伝わります。
同様の観察眼で犯人を見つけた「秒読みの殺人」では、支社長マークが、殺された時に遠近両用メガネをかけていなかった点と死体の姿勢から顔見知りの犯行と推理し、捜査を始めてすぐに殺人の動機と結び付けてアシスタントディレクターに注目します。そして巧妙なアリバイ工作に利用した現場で、犯人の思惑とは逆に証拠を見つけ出し、犯人逮捕に結びつけております。
刑事コロンボは、いずれのドラマでも犯人に近づき、犯人と対話をするのが特徴で、その中で「うちのカミさんがネー」というセリフは、ドラマの見どころでもあります。刑事コロンボが難事件を解決できたのは、いつも犯人(結論)に近づき対話していたから、と思います。結論から推論を逆向きに展開し、常に結論と対話をする姿勢は、「考える技術」として重要です。
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アジアにおける日本の評価、特に親日的であるかどうかは極端に分かれています。先日の高分子同友会における報告会でもアンケート結果で示されていましたが、ある二か国は極端に反日的で、他は親日的です。特に旧ビルマのミャンマーは親日度が高いです。
これは先の戦争だけでなく、元寇の時代あるいはもっと古くの時代の戦争も考えなければいけないのでしょう。とにかく最も長くお付き合いしてきた国が最も反日的というのは不幸なことです。
C+1という戦略が改めて話題になっていますが、完全に生産場所をタイやインドネシア、インドに移すという案も出てきています。しかし、インフラが整っていない状況では制約があります。海外生産の悩みはともかく国内の経済活動をどうするのか、20年以上たちましても妙案が出てきません。一応就職率は改善しつつありますが、まだ100%ではありません。
今、新しい形態の農業が見直されています。また、メタンハイドレートなどの資源エネルギー分野にパラダイムの変換が必要なネタが出てきています。石油リファイナリーからバイオリファイナリーへの転換が数年前言われましたが、国内の資源見直しを進め新たな産業を興すことが急がれています。研究開発のやり方も考えなければなりません。
バブルがはじける前にステージゲート法を採用してきた企業も多いかと思います。研究開発の成功率を上げるのには成功しましたが、イノベーションの可能性は下がってきたのではないかと思います。研究開発は投資配分をうまくいやれば、ステージゲート法でなくともよいように思います。研究開発の成功率よりも研究開発投資の効率を上げることが重要と気がつきますと、ステージゲート法でなくとも研究開発管理はうまくゆきます。今イノベーションを引き起こす研究開発が大切です。
労働集約的な生産場所が人件費の安い地域へ動くのは仕方のないことです。国内では、付加価値の高い産業をどんどん興してゆく必要があります。
カテゴリー : 一般
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刑事コロンボは、そのほかに「5時30分の目撃者」では「対偶の関係は真である」という「考える技術」を用いています。すなわち、このドラマの事件では殺人事件の犯人である精神科医コリア―が車で逃げる時に門扉へ車をぶつけ、たまたま盲導犬と歩いていた盲目のモリスと遭遇しますが、このシーンが犯人を追いつめる決め手となっています。
刑事コロンボは、「目撃者が盲目ならば、事件の目撃者になれない」という推論の対偶である「事件の目撃者になれるならば、目撃者は盲目ではない」を考え、モリスの兄デイビットを目撃者にしたて、精神科医コリア―に紹介します。精神科医コリア―は、目撃者は盲目だったはずだ、と証言し、その場で逮捕されます。
事件の唯一の目撃者が盲目だったために刑事コロンボがどのように犯人を追いつめる証拠とするのかが、このドラマでの見どころになっています。犯人を目撃者として使う逆転の発想は、対偶を用いる「考える技術」以外に、常に犯人(結論)から事件を見ようとする刑事コロンボの思考方法のなせる業だと思います。
余談ですが、「忘れられたスター」では、刑事コロンボは犯人を追いつめながら真犯人を逮捕をしていません。犯人の女優グレースが脳に手術不可能な動脈瘤ができており、余命いくばくもない記憶を失う病気になっていたからです。状況証拠では、女優グレースが犯人であることは明確なのですが、すでに犯罪の記憶が無くなっており、それに気がついたコロンボは、女優グレースを愛していた演出家ダイアモンドの提案を受け入れ、彼を誤認逮捕承知で連行します。ここで示した刑事コロンボの情は、常に犯人の位置から事件を見る刑事コロンボならではの味と思います。
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昨日高分子同友会第一次東アジア化学企業調査団報告を拝聴いたしました。
この活動は、高分子同友会が1979年以来5年ごとに行っている化学企業の調査ですが、以前は先進国の調査が目的でした。しかし、今回は成長著しいアジア諸国が対象で、その第一回ということだそうです。
アセアン地区のベトナム、タイ、マレーシア、インドネシアが候補で今回はタイとインドネシアの状況報告です。
詳細内容は高分子同友会で訪ねていただきたいが、タイではPPT Global Chemicalという巨大コングロマリットが生産活動を行っており、その規模と技術に驚きました。基礎化学品の生産能力があれば20年後日本の企業はいらなくなるのではないか、と思われるような状況です。
インドネシアではPT.Chandra Asri Petrochemical社へ訪問したそうですが、ここは天然ゴムベースのABSを製造している会社で興味を持っていたのですが、詳細説明はありません。
終了後の懇談で事務局に問い合わせましたら、今回はバイオ関係のテーマは調査からはずし、基礎化学品に絞ったとのこと。ベトナムも含めこの地区の特徴はケナフやジャトロワ、そして古くからある天然ゴムという非可食バイオポリマーの産地であり、それを利用した産業が重要と思います。
しかし、研究開発力が未成熟の為、バイオケミストリーまで手が回らないとのこと。感心したのは、これだけ化学工場が活発に生産活動を行っていても、公害が起きていないことです。訪問団の感想として、日本よりも空気がおいしかったとのこと。おそらく日本をよく勉強したのだと感じました。次回は2年後。
カテゴリー : 一般 高分子
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