昨日書いたように、ダッシュポットとバネのモデルを用いた問題解決法は非科学的な経験知の体系である。しかし、粘弾性データを測定し、それを用いて高分子の問題解決ができるならば、積極的に活用すべきである。
同様に他のデータサイエンスの手法で得られる数理モデルも、それが正しく検証されるまでは非科学的となるが、問題解決に活用できるならば、利用すべきである。
技術開発において重要なのは、遭遇する問題を解決し、新しい機能を開発することであって、開発された新機能が科学的成果かどうかは無関係である。これを勘違いしている人が多い。
アカデミアさえマテリアルズインフォマティクスと称して非科学的研究を推進している時代である。一昔前ならば、その研究者は生卵をぶつけられるかもしれないのだ。当方は、電気粘性流体の耐久性問題を解決したとたんに机の上にナイフが刺さっていたり、データフロッピーを壊されたりした。
高純度SiCの半導体治工具事業を住友金属工業とのJVとして立ち上げながらも命の危険を感じて写真会社へ転職しているが、今はいい時代である。
アカデミアがマテリアルズインフォマティクスに夢中なのだから。7月4日にデータサイエンスを俯瞰するセミナーをTH企画主催で行う。参加希望者は弊社へお問い合わせください。
また、高分子の劣化と寿命のセミナーについて申し込みに迷われている方は弊社へご相談ください。1980年代にアメリカでささやかれ始めたトランスサイエンスをこのセミナーでは扱っており弊社が得意とする領域である。技術で問題を解決するお手伝いをします。
ちなみに高純度SiCの粉末合成技術は未だに非科学的状態である。当方は速度論的研究を行っており、前駆体炭化物からSiC化するところまで科学的結論を出しているが、前駆体合成技術について40年経っても非科学的なままである。これは、iPS細胞のヤマナカファクターと同様である。詳細は弊社お問い合わせください。
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現象を理解するために数理モデルを利用する場合がある。ただしこの時注意しなければいけないのは、仮に数理モデルでうまく現象を説明できたからと言って、すぐにそのまま形式知にしてはいけない。
その数理モデルが、過去の形式知と矛盾なく整合するかどうか検証されなくてはいけない。物理化学という学問は、1970年代に分子論的視点で教科書が書き直された。
バーローあるいはムーアの教科書が当時先端の物理化学の専門書としてベストセラーになっている。これらの教科書では、物理現象のいくつかについて分子レベルからの論理展開による解説が成されていた。
ところで高分子のレオロジーについてダッシュポットとバネからなるモデルによる研究が1980年前後まで活発に行われたが、このモデルではクリープを説明できないことがわかり、学問の世界から排除された。
しかし、過去の研究で得られたいくつかの数理モデルは特定条件における高分子のレオロジーをうまく説明していたので、技術分野で今でも使われている。
現象を数理モデルで考察する手法は、それが非科学的であっても技術分野で問題解決に活用すると迅速な技術開発に役立つ。
この時重要なことは、本質的な精度を求めて数理モデルを使おうとしているのか、あるいは現象の理解を進め問題解決のアイデアを得るために活用したいのか、その使用目的に注意する必要がある。
すなわち、形式知を目指す目的で数理モデルを研究するのか、技術開発の効率化のために利用するのかにより、数理モデルの扱いが異なる。
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現象を数式で表現して数理モデルが得られる。コンピューターの無かった時代には、物理現象を長さや重量でモニターして求めていた。計測されたデータが化学反応と量的に関係していることがわかると化学反応速度論が展開されるが、これが経験知であることをご存知だろうか。
当方は半導体治工具用高純度SiCについてフェノール樹脂とポリエチルシリケートとの均一混合物から世界で初めて合成に成功したのだが、この反応の均一性を証明するために1983年に超高速昇温熱天秤を開発している(注)。
SiCはシリカと炭素との反応で合成されるシリカ還元法が量産プロセスで用いられている。アチソン法もシリカ還元法の一種であるが、シリカ源と炭素源に高純度化合物を用いても高純度SiCを得ることができない場合がある。
副生成物としてSiCウィスカーが得られたり、未反応のシリカが残ったりするからである。分子レベルの均一性が実現されない限り、高純度SiCの合成は難しい、と判断し、フェノール樹脂とポリエチルシリケートとの反応システムを開発している。
そして、その反応の均一性を証明するために2000℃まで1分以下で昇温可能な超高速昇温熱天秤を開発した。そしてシリカと炭素の反応で生成するCOの量を重量減少としてモニターし、高純度SiC生成の数理モデルを得ることに成功した。
反応は核生成が最初に起きるアブラミ・エロエーフの式と一致し、シリカと炭素が分子レベルで均一に混合されていることが経験知から求められた。
過去の反応速度式も含め、速度論的研究で得られている成果は大半が経験知である。高純度SiCの生成についても核生成の直接の確認は難しく、反応進行とともにモニターされた重量減少曲線を解析し誘導期間の存在を見出すことが精いっぱいできることである。
1650℃で反応している途中の物質を室温まで冷却し、核生成を観察してもわずかなSiCの生成とシリカと炭素の混合物以外を見出すことができなかった。
すなわち化学反応で数理モデルを組み立てたときのその証明が難しいのは、活性化状態の検証である。ゆえに得られた成果は経験知とせざるを得ないのだが、一部の有機化合物の反応では活性化状態で反応を停止させることが可能で、その活性化状態の観察に成功している事例も存在する。
(注)SiCの反応速度論については中部大学でまとめられた当方の学位論文に詳しく解説している。この研究は、ゴム会社で単独で行われたのだが、某国立大学の先生が学位を出すからデータを見せよというので見せたところ、勝手に論文を出されてしまった。一応末席に当方の名前はあるが、研究には全く関与していないこの先生はその後自分の成果の如く学会でも講演された。その後写真会社へ転職した時に他の先生から写真会社から奨学寄付金を、と言われたので丁重に学位の件をお断りした。その後についてはドラマのような話が展開されるのだが、当方はこのような経緯からSTAP細胞の一連の騒動について大変心を痛めている。小保方氏が本当に学位に値しないかどうかは当方の判断するところではないが、小保方氏にはもう一度学位にチャレンジしていただきたいと期待している。学問とは、他人の研究を自分の研究のようにしてしまう優秀な人により進歩しているわけではないのだ。今朝ドラで放送されている小卒の学者や雑草のようなたくましさで現象にチャレンジしている多くの無名の研究者の努力がその裏にあることを知っておくべきである。半導体治工具用高純度SiCの発明では、学位以外の栄誉を当方は受けていないが、この仕事では日本化学会技術賞をはじめセラミックス協会などからも多くの受賞がある。ただし、いずれの受賞にも住友金属工業とのJVについては触れられていない問題がある。日本化学会技術賞においては、当初無機材質研究所も入っていなかった。これも偶然であるが、その時審査委員として当方が自分の発明を評価することになった。省略するが当時審査員を途中で辞退している。この一連のささやかな醜いドラマのように日本における研究成果の扱いはいい加減なところがあり、小保方氏はその犠牲になったのかもしれない、という見方もできる。彼女の発表された著書ではマネジメントの正確な姿が見えにくいが、当方の体験では、マネジメントの視点で幾つか改善すべきところを学んでいるので、いつか体験を基にした研究開発マネジメントについての著書を書きたいと思っている。日本企業でイノベーションが生まれにくい原因の一つに研究の進め方とその成果の扱いにあると思っている。ゴム会社で高純度SiCの事業が30年続いた背景には、CTOらの経営努力がある。30年間進歩しなかった基盤技術フェノール樹脂とポリエチルシリケートの反応で高純度SiCを製造したり、炭素だけを助剤にして高純度SiC治工具をホットプレスで製造する技術は、ゴム会社で企画され無機材質研究所で芽を出した成果だ。当方は当初米国留学の話があったが人事部長のはからいで無機材質研究所留学の承認が得られている。その後研究所トップは「研究開発マネジメント」の著者である浦川卓也氏になり、住友金属工業とのJVとして事業が立ち上がっている。この名伯楽だったCTOが退職して交代後様々な事件が当方にふりかかり写真会社へ転職している。イノベーションにおいてトップリーダーの役割は重要である。当方が退職後は技術が進歩することなく30年間続いた。前駆体の処方は未だにフェノール樹脂とポリエチルシリケートと有機酸の組み合わせである。
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7月5日に日刊工業新聞主催により表題のセミナーが開催される。(https://corp.nikkan.co.jp/seminars/view/6553)
開催間際のPRとなるが、高分子材料の破壊と劣化の問題で悩まれている方は、ぜひ受講されることをお勧めします。
製品の信頼性について、損失関数を用いて許容差設計する方法はタグチメソッドとなるが、タグチメソッドを適用する以前の問題が高分子材料の耐久性問題では存在する。
20年ほど前の高分子学会誌にその特集があったが、あまり話題になっていない。金属やセラミックスに比較し、高分子材料の寿命予測はトランスサイエンスの問題となる。
タイタニック号の観光船、タイタンが爆発し沈没したが、FRP製だったという。金属ならば非破壊検査により疲労状態を予測できたが、FRPでは難しい。
御巣鷹山の飛行機事故では圧力隔壁の疲労状態から、墜落原因が特定されたが、材質が金属だからフラクトグラフィーを活用できたのである。さて、高分子材料ではーーーー。
セミナーでは教科書に書かれていない経験知も体系化し、形式知が不十分な高分子材料の劣化の問題に関して実務を進めるために知っておかなければいけない問題を整理して解説する。
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コンピューターで問題を解くときにはプログラミングスキルが必要になる。MS-エクセルのような表計算ソフトウェアーにもソルバーが用意されているので単純な問題であればそれで解くことができる。
少し込み入ってくるとビジュアルBASICを立ち上げる必要が出てくるが、一応MS-エクセルはそれなりの道具として使える。オブジェクト指向も実装しているので昔よりはバグを抱え込みにくくなっている。
もし、オブジェクト指向で問題を解きたいならばC#をお勧めする。おそらく安価なプログラミング環境としてC#はビジュアルBASICよりも使いやすい。
お金をかけたくないというならば、Pythonが唯一の選択肢となる。理由は各種ライブラリーも無償提供されているので、C#よりも費用がかからない。
Pythonを使うならばエディターはVisualStudioCode(VSC)をお勧めする。ジュピターノートブックとかその他無料エディターがあるが、VSC環境でもジュピターノートブック的プログラミングが可能だ。
おそらくPython用エディターとしてVSCが最も使用されているのではないか。無料にもかかわらず、どんどん機能アップされている。
C#とPythonの比較はナンセンスである。無償でガンガン使いたいならPythonと決まるからである。それではC#は不要か、というとそうではない。計測器の制御とか行おうとすると、PythonよりもC#の方が便利だ。
また、大規模プログラミングを行いたいならば、C#の方が安全だ。Pythonでもオブジェクト指向が実装されているので大規模プログラミングが可能だが、C#との比較になるとやはりC#となる。
ゆえに今の時代、大人がプログラミングスキルを学びたいならば、まずPythonを学び、それでオブジェクト指向に慣れてきたらC#を学ぶという手順が良いかもしれない。
Pythonが不得意なところをC#で記述し、両者の混合プログラミングも可能な仕掛けがそれぞれに用意されている。C#でPythonを呼び出す方がプログラミングしやすいので当方はC#で大枠を書き、細かいところをPythonで記述し、それを呼び出す手順であるが。
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コンピューターを使って問題を解くことは、大型コンピューターの時代には専門家しかできなかった。それがマイコンの普及により、専門家以外でも可能となった。
ただし、誰でもそれが可能となったわけではなく、専門家以外の人の場合には、オタクとか呼ばれ一部の物好きか趣味人に限られた。日曜プログラマーなる言葉も普及し、コンピューター関係の雑誌が多数発刊された。
16ビットの時代にはCマガジンという特定の言語についての雑誌も刊行されている。しかし、Windowsが普及すると、次第にそれらの雑誌も廃刊になっていった。
日曜プログラマーがいなくなったわけではなく、オフィス系のソフトが普及し、例えばエクセルではビジュアルベーシックを立ち上げれただけでなく、ソルバーという仕掛けがアイコンとして用意され表計算機能も充実したので、実務家の誰でもコンピューターを使って問題を解けるようになった。
そして、学校教育でプログラミング教育の必要性が議論されるようになった。かくして数年前からプログラミング教育が始まったのだが、その子供たちが社会人となる前に生成系AIの時代になり、キーボードを叩ける人の誰もがコンピュータを利用して問題を解く時代になった。
生成系AIでは、ラブレターも書けてしまうのだ。かつては、悶々と一晩かけて、それでも満足できず、最初に紙くずとしたものを広げ、悩んでいた時代ははるか昔になった。
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沈没したタイタニック号を観光する目的の潜水艇タイタン号は、信号が途絶えた瞬間に破壊していた可能性がある。すなわち救助隊の活動が始まる前に水圧で破壊していた可能性があるとのニュースが報じられた。
タイタン号の構造について詳細は不明だが、これまで何度も深海の潜水に使われたが事故が無かった、と観光の主催者は述べていたが、点検をどのようにやっていたのかという発表はない。
さて、まだ詳細な事故に関する発表は無いが、潜水途中で水圧で破壊したならば、潜水艇の構造体が疲労破壊した可能性が高い。
潜水艇は十分な圧力に耐えうるように設計されていたというが、何度も潜水に使用されて構造体が疲労破壊する可能性まで考慮されていなかったはずである。
なぜなら構造体はFRP製とニュースに記載されていた。金属やセラミックスの疲労破壊に関してほぼ形式知が完成したと言われているが、それでも御巣鷹山の事故が起きている。
未だ疲労破壊の形式知が完成していない非金属材料の高分子複合体でどのように検査していたのか疑わしい。金属では非破壊検査の手法が知られているが、高分子及び高分子複合体については未だ手探りの状態である。
材料科学の形式知に詳しい人であれば、3500万円も支払ってタイタン号に乗って観光しようという気分になれないはずである。7月5日に高分子の劣化と破壊について日刊工業新聞社主催のセミナーが開催されます。
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7月5日に日刊工業新聞主催により表題のセミナーが開催される。(https://corp.nikkan.co.jp/seminars/view/6553)
高分子の破壊と劣化については、金属やセラミックス同様に1970年代まで線形破壊力学として研究されてきた。当方が社会人となった時に、その研究方向の雲行きが怪しくなってきたときである。
その3年後にセラミックスフィーバーが起き、セラミックス分野では破壊と劣化に関する研究が急速に進歩した。これは、当時高効率ガスタービン開発を目標としたムーンライト計画の寄与するところだが、信頼性工学も導入されて、いすゞ自動車は世界初のオールセラミックスエンジン車の開発に成功している。
セラミックスアスカがその車で、その疾走する姿を映し出した「日本の先端技術」と言う番組は、日本中の技術者が視聴した。そのナビゲーターだった当時慶応大学学生宮崎緑氏は一躍技術者の憧れのマドンナとなった(あれから40年過ぎているので—。)。
また、セラミックス事業を行っていないメーカー1000社近くが新たにセラミックス市場に参入している。当方の在籍したゴム会社も高純度SiCを武器に半導体治工具事業へ参入し30年事業が行われた(今は愛知県にあるセラミックス事業の会社MARUWAに事業譲渡された。)。
セラミックスや金属では線形破壊力学の延長線上で形式知が体系化され、御巣鷹山の飛行機事故の裁判では、判例にフラクトグラフィーが使用されている。
ところが高分子材料の破壊と劣化問題については未だトランスサイエンス領域の学問である。日本におけるマテリアルズインフォマティクスの黎明期に線形破壊力学を持ち出し、高分子の破壊を説明していた学者がいたが、この分野の研究について無知な学者と言いたくなるような講演を行っていた。
さて、7月5日のセミナーでは、当方がSiCの破壊について研究した成果も含め講演する。すなわち改めて材料の破壊の歴史的背景から丁寧に説明し、実務でどのように対応したらよいのか、当方の体験を基に解説する。
実務で高分子材料を扱っている技術者は是非この機会に受講していただきたい。そこでは、某大学の先生のご指導を受け、アーレニウスプロットで考察を行い寿命予測した高分子材料の機能部品でとんでもない品質問題を起こした事例を紹介する。
この問題を当方が1か月程度で火消を行った自慢話となってしまうかもしれないが、実務の参考になる事例と思っている。
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カオス混合装置についていろいろと実験をしてきた。その中で配合が同一でもカオス混合の有無で全く異なる物性のコンパウンドが製造されることに注目している。
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すでに本欄で書いてきたが、プロセシングの影響を受けるので配合組成と高分子物性は1:1対応の相関をしない場合がある。しかし、高分子の高次構造と高分子物性とは1:1の相関をすると説明してきた。
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ゆえに、カオス混合装置使用有無で異なる物性のコンパウンドが得られる理由は、カオス混合装置で高分子の高次構造が変性されているからと説明できる。
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しかし、このような説明は一般の二軸混練機の混練能力が不十分であることも示している。このような話をゴム技術者に話すと同意が得られるが、樹脂技術者の中には異を唱える人がいる。
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もっとも、数十年前の古い論文にバンバリーとロール混練において、ゴムの繰り返し引張耐久試験におけるロール混練時間の問題を議論していた研究があるので、カオス混合装置の取り付けにより、二軸混練機単体よりも混練が進行する事実を説明できる。
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それでもなお異を唱えた部下がいたので、カオス混合装置を取り付けない二軸混練機で4回ほど混練したコンパウンドと1回しか混練しなかったコンパウンドの比較を行い、混練回数が進行することにより動的粘度の周波数依存性が小さくなることを示して納得してもらっている。
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この時カオス混合装置を取り付けた二軸混練機では、たった1回の処理で4回処理した場合よりも混練が進行していた結果が出ている。
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生成系AIが話題である。ただし、あまり期待してはいけない。新しいアイデアを必要とする解答が得られないからである。今騒がれているAIを使っても、解として利用できる情報が存在しない場合には、適当な答えしか得られない。
当たり前であるが、これを当たり前と捉えていない人もいるから大変である。そもそも人間よりも記憶容量の多いだけの機械を人工知能と呼んでいるのが誤りである。
科学に問うてみても科学で解答が得られないトランスサイエンスが溢れてきた世の中で、やはり頼りになるのは人間の自由な発想力なのだが、その能力を伸ばすための環境が悪くなっているらしい。
小学校や中学校の先生の質が落ちてきたことは以前より言われてきたのだが、その質の低い先生でさえも不足しているそうだ。しかし、これがあまり社会問題化していない。
先生の代わりをAIで、という発想が数十年前にもあったが、マイコンの時代にすでに結論が出ていた。やはり、人間の教育には生身の人間が必要らしい。
しかし、問題を解く技術を教えるだけならばAIでも可能で、eラーニングにもAIが導入されている。ただここで注意しなければいけないのは、問題を解く技術が身についても正しい問題を解かなければ宝の持ち腐れである。
コンピューターで問題を解く時代になってもドラッカーの名言、「間違った問題を正しく解いた答えに意味があるのか」は、まず最初によく理解しておきたい。
仮にコンピューターがどのような問題でも解ける時代になったとしても、イノベーションの方向を決める創造が必要な解答や、正しい問題を解いているのかどうかという判断は、人間が責任を果たすべき領域だろう。
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