データサイエンスを用いて問題解決した事例を例題として一つ紹介する。
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組み立てメーカーとコンパウンドメーカーとが、再生材を用いて難燃性コンパウンド(UL94-5Vb合格)を共同開発していた。
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組み立てメーカーは、製品の一部機能Aの仕様についてノウハウを理由にコンパウンドメーカーへ開示していなかった。その代わり、コンパウンドの成形体物性について機能Aと関わるシャルピー衝撃試験値X1、引張強度X2、引張弾性率X3、引張伸びX4、曲強度X5を仕様としてコンパウンドメーカーに伝えていた。
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すなわち、コンパウンドメーカーは、組み立てメーカーとX1,X2,X3,X4,X5をすり合わせ、コンパウンドの品質管理をしなければいけない。研究開発が終了し、量産試作を始めたところ、コンパウンドメーカーの品質管理のために測定した各ロットの計測値は、仕様を満たしていた。
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しかし、組み立てメーカーから合格をもらえたのは、20ロット中2ロットであった。組み立てメーカ-からは、機能Aに関わる独自評価結果に合格したのは2ロットだけ、と結果を告げられただけである。
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組み立てメーカーからは、研究開発ステージではないという理由で組み立てメーカーが測定したX1,X2,X3,X4,X5についてデータをもらうことができなかった(注)。
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コンパウンドメーカーは、20ロットのX1,X2,X3,X4,X5の値と、合格したロットの情報から、工程の対策を考えなければいけなかった。さて、どのようにこの問題を解くのか。
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当方はこの相談を受け30分後には、データサイエンスを用いて解析し回答を相談者へ送っている。それに基づき相談者は対策を行い、1か月後に生産試作を再開して、その後のロットで合格を得ることができた。
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この解答は、データサイエンスを用いた問題解決法セミナーの中で詳しく解説する。ご興味のあるかたは、弊社へお問い合わせください。
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(注)共同開発における組立てメーカーとコンパウンドメーカーとの関係は様々である。例えば、この例と異なり組み立てメーカーがコンパウンドメーカーへすべて情報を開示して共同開発を進めるとどうなるか。当方が退職前に担当した中間転写ベルトでは、共同開発においてコンパウンドメーカーに技術蓄積がなされ、組み立てメーカーがコンパウンドメーカーの指示で仕事を進めるような状態になっていた。ここまで書くと当時の担当者からおしかりを受けるのかもしれないが、少なくとも組み立てメーカーのリーダーが、コンパウンドメーカーへコンパウンドの設計見直しをお願いしても素人は黙っとれ、といわれたのである。赴任して間もない管理職がアドバイスできない状態だった。結局、当方は、部下の課長に権限を委譲し、1名若手技術者を中途採用するとともに現場で余剰人員だった職人を1名加えたプロジェクトで、新たなコンパウンド設計のため3か月でコンパウンド工場を立ち上げなければいけなかった。ゆえに、組み立てメーカーがノウハウと称して共同開発において一部機密を開示しない事情をよく理解できる。材料開発を伴う共同開発において、組み立てメーカーが情報管理をしない場合には技術はすべて材料メーカーに流れるのである。ちなみに3か月という短期間で立ち上げたにもかかわらず、カオス混合技術を導入したコンパウンド工場で生産されたコンパウンド(材料メーカーが供給していた原材料と配合組成はすべて同一で、コンパウンドのプロセシングだけが異なる)で無事中間転写ベルトの量産が可能となった。素人でも一流の技術を提供できる問題解決法が弊社の商品です。これはドラッカーの名言であるが、「しばしば優秀な人が成果を出せないのは、間違った問題を正しく解いているからだ」。素人でも正しい問題を正しく解けば成果が出るのだ。これは弊社の問題解決法の基本姿勢である。
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データサイエンスを問題解決の手法としてとらえた時に、それを使いこなすのは容易である。また、一部のプログラミングでさえ10年前に比較すれば、容易になった。
後者はPythonで無料のライブラリーが豊富に公開されているためだが、前者は、例えば多変量解析のプログラム完成品を無料で利用できるようになったからである。
10年以上前にはプログラム開発から行わなければいけなかったが、弊社でも主成分分析と重回帰分析のプログラムを公開しているように、無料の解析環境が整っている。
ゆえに、データをポンと入力し結果を解析するだけである。結果の解析でも解析のコツを学べば誰でもすぐにできるようになる。
弊社のセミナーで公開しているノウハウを学べば、データサイエンスが必要な9割の問題で利用できると思う。残り1割は自分でモデル化してプログラムを作る必要があるかもしれないが、その時のコツも披露している。
ただ、Pythonのプログラムを自由自在に、となると、当方が講師を勤める5月開催の技術情報協会Python入門セミナーを受講する必要があるが、すでにPythonをかじった経験があれば、このゴールデンウィークのセミナーだけで大丈夫かもしれない。
ゴールデンウィークをデータサイエンスのリスキリングに費やすのは、DX時代に生き残りたい技術者として選択肢の一つ。頭を休め栄養補給するために弊社へお問い合わせください。
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昨日表題のニュースが報じられた。三木秀夫弁護士は、あの理研STAP細胞事件において小保方氏の弁護人を務められた方である。
就任後のインタビューで当然のごとくSTAP細胞の存在を問う質問が出たそうだ。回答は弁護人を務めただけあって、その存在を信じている、と答えている。
理研STAP細胞事件では、優秀な研究者笹井氏が研究所で自殺している。その遺書には、マスコミなどの不当なバッシングに疲れ切った、と言うようなことが書かれていたという。そして、小保方氏には、STAP細胞を再現してくれるようにお願いの一言まであったという。
この事件では、自殺の場所などから組織の問題を原因とする指摘も当時あったが、組織とマスコミとの板挟みになっていたことは、容易に想像がつく。ところが、自殺に追い込んだ組織の責任者は沈黙したままだった。
さて、三木氏がどのような弁護士なのか、あるいはその人柄について、マスコミが時折報告している記事から想像がつく。その記事には、小保方氏が今ささやかながら幸せな生活(注)を送っている、と書かれている。
小保方氏まで自殺に追い込むような悲劇を防ぐことができたのだから、判断力と指導力の優れた方だろう。理研が否定証明を行ったSTAP細胞の存在を信じていると、当方でさえこの欄で書きにくい非科学的な内容にもかかわらず、堂々と答えられている。
一連の当事者の苦しみについて、当方は、2億4千万円の先行投資を受けてスタートした高純度SiC事業が5年近く立ち上がらず、類似の体験をしたので理解できる。
マスコミと組織の板挟みではないにしても、身内であるはずの組織から生存すら否定される扱いを受けることがどれだけ苦しいことか、実際に味わったものでなければ理解できないと思う。理研でも当方が経験したような事件が起きていたかもしれない。
社長方針だった、電池、メカトロニクス、ファインセラミックスの3本の柱のうち、ちょうど世界初のLi二次電池事業が立ち上がったころ、そのリーダーが、SiCの事業テーマも管理するから二次電池事業を拡大するため、ファインセラミックスの研究棟を明け渡すように命令されている。
しかし、高純度SiCの事業成長をヒーターや切削チップのサンプルを作って見せて研究棟の存続必要性を訴えたりしていたら、日本化学会化学技術賞を受賞後、この事業をすぐにリーダーはたたんでしまった。さらに、研究を推進していた責任者の一人は受賞を勲章にして某社へ転職している。
学会の受賞が目当て、ともとれる行動だが、売り上げが予想よりも少なく事業に対する風当たりが研究所内で強まっていったことが大きい。当方もセラミックス電極開発や電解質用ホスファゼン難燃剤開発を提案したりしたが、検討すらされていない。
ホスファゼン難燃剤については、その後電気粘性流体用オイルとして自ら研究開発し特許出願を行っているが、この成功でLi二次電池用難燃剤として改めて研究開発が再開されている。
事業撤退により電池のテーマが縮小化された後、当方は一人で高純度SiCの事業化テーマを何とか建て直そうと無機材質研究所との共同研究プロジェクトを立ち上げている。このプロジェクトの後、住友金属工業小島氏と出会い、JVの準備を進めることになる。
しかし、ゴム会社の研究所で一人で活動する当方が針の筵状態であることは変わりなかった。ファインセラミックス棟以外に置いてあった実験設備は、小型電気炉も含め他の管理職の印で当方へ相談なく強制的に廃棄されたりもしている。
努力が実り住友金属工業とのJVについて社長印を頂くことができ、JVが立ち上がった時に、U本部長からI本部長へ交代し、さらに過激な事件が起きるようになって、JVの業務そのものを推進できなくなるような状況へ追い込まれてゆく。
例えば、電気粘性流体の耐久性問題を解決するため、加硫剤も添加剤も何も入っていないゴムを当方一人で開発しろと言う無茶な指示である。アメリカのタイヤ会社立て直しに研究員が動員され、気がつけば研究所で混練技術はじめゴム材料に詳しい研究者は小生一人になっていたそうだ。
会議前になるとFDを壊されたりする業務妨害まで受けて追い詰められた小生は結局転職している。転職後八重洲本社でとんでもない事件が起きたように当方が自殺を選ばなかった理由は、転職後も一年近くJVのフォローをするように頼まれたからである。
これは、手紙が証拠として残っているが、今から考えるとそれはふざけた内容であり、またそれにもかかわらず、誠実に技術の伝承をした当方は、大変なお人よしでもあった。弁護士会会長の話で思い出さなくてもよい話を思い出した。
(注)マスコミが報じるような幸せな状態であってほしいが、著書を読む限り心の深い傷は癒されていないと思う。STAP細胞の否定証明だけでなく、卒業された大学の仕打ちなど、彼女に対する周囲の対応をみると、それらを研究者が当然負うべき責任の結果とするには疑問の余地が大きい。例えば学位剥奪の問題について、彼女にその力量が無かった、とすれば、力量の無い人間に割烹着まで着せリーダーへ祭り上げた理研の責任を問わなければいけない。また、コピペの問題を取り上げるならば、それを見抜けなかった教官、あるいはコピペを防ぐ対策をとらなかった大学の責任は、彼女の力量と無関係である。彼女の学位審査よりも10年以上前にその対策をとっていた中部大学が存在しているので大学の教育組織としての責任が大きいことがわかる。
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故ドラッカーは、働く意味を「貢献と自己実現」として語っていたが、まことに至言である。ただし、この意味をどれだけ多くの人が理解されているのか疑問である。やりがい詐欺などという某有名大学の先生もおられる。
働く意味は、個人により様々だ、と言ってしまえば結論が出たように見えるが、実はこれが結論ではなく無責任な見解であることに気がついている人は少ない。
道徳を小学校では教えなくなったが、やはり社会で生きてゆくときの価値基準のようなものは教えるべきだろう。「働く意味」については、個人の自由でかたずけるべきではない。
サラリーマンでも50歳を過ぎれば、会社に役員として残れる人とそうでない人に分かれる。この時モチベーションをどのように維持するのか、という問題が出てくる。
給与をもらうために65歳まで会社にぶら下がる、という人生の選択肢もあるが、65歳退職してからどうする、という新たな問題が出てくる。65歳過ぎてから新しいことを行うにはかなりの苦労を覚悟しなければいけない。
年をとってみないとわからないことだと思うので、若い人のために書けば、50歳を過ぎるころから、確実に能力が落ちてくる。どのくらい落ちるのかと言うと、50歳であれば12小節程度のブルースを1か月で習得できたのが、70近くになると半年練習していても楽譜を見ないと弾けないのだ。
さらに、初めて出会った楽譜に取り組むために1週間ほど練習意欲がわかない状態が現れるようになる。老化とはこのような状態である。ただ面白いのは50歳まで身に着けたことについては、日々それを繰り返しておれば劣化はしない。
例えば、社会に出てからデータサイエンスを研究してきたが、今でもこの分野の論文を読むことに抵抗感はない。楽譜は1週間眺めないとギターを手にするまでに至らないが、データサイエンスはすぐに自分でも試してみる意欲がわく。
鉄は熱いうちに打て、と言われるが、50歳を過ぎるとほとんど新しいことに取り組む意欲は冷めてしまう。自己実現で新しい分野に無理なく挑戦できるのは50歳以下である。
もっとも冷めてしまっても、老体に鞭打ち熱くする方法もあるが、能力の低下を補うことができるかどうかは、不明である。ギターの練習を能力低下の実験として取り組んでいるが、才能の無さに暗くならないように意欲を持ち続ける(注)だけが精いっぱいである。
このようなことを考えていると、「貢献と自己実現」という働く意味において、「自己実現」の中身を若い時から充実できるように仕事に取り組むことが人生で重要だと理解できると思う。
自己実現の意味が分からない人は、弊社にご相談ください。意欲の高さで語られることが多い自己実現ですが、高さよりも持つことの重要性に気づいて頂きたい。
(注)この苦労をしたおかげで、意欲を持ち続ける方法に気がついた。やる気のない新入社員にどのようにやる気を出させるのか、弊社にご相談ください。
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タグチメソッド(TM)の普及が日本で始まったのは、バブル崩壊直前の1990年前後である。転職してすぐに故田口玄一先生の無料講演会に参加している。
その後写真会社でTMの導入が始まり、田口先生から3年間直接ご指導を受けている。面白いのはTMの導入を反対する人がいたことだ。導入後もTMの使用を敬遠する人が多かった。
他社の状況を聞いても同様で、TMを敬遠する人の存在がやはり問題となっていた。研修などを行い、導入努力を行ってもそれが定着しなかった会社もある。
ゴム会社ではその導入が写真会社よりも遅かったが、20世紀に導入を行っている。しかし、基礎研究部門では、やはりTMは定着していない。当方は基礎研究部門にいたときにTMもどきを発明している。
このTMもどきは、ラテン方格の外側に相関係数を配置した実験計画法だ。この手法で、高純度SiCヒーターや切削チップの処方開発を行っている。そしてこのことを田口先生にお話しし褒めていただいた。
その時に電気粘性流体の耐久性問題を主成分分析で解決した話など当方の転職理由をお話ししている。田口先生は企業で犯罪まがいの事件が起きながらそれを隠蔽化した研究所の姿勢に驚かれていた。
ところが、統計手法はじめデータサイエンスの手法が基礎研究所で排除されたことに関しては、頭のいい人が多かったのだろうと言われた。
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技術者のプログラミングスキルは、今やどのような分野でも常識となった。スキルの有無で仕事の効率が大きく変わるためである。同時にデータサイエンスも常識となりつつあるが、それに気がついている人が少ない。
この10年にTVでビッグデータを扱う番組が増えた。この状況を単なる一過性の流行と見ていてはいけない。
ソフトウェアー分野から始まったアジャイル開発も一般的になったのでデータサイエンスもプログラミングスキル並みに普及し定着すると思っている。
弊社では数年前からこれらの分野のセミナーやサービスを心掛けてきた。今年度からは日曜日のセミナー受講料は1万円とし、平日は3万円とする大胆なサービスも始めた。
プログラミングスキルを身に着けていない人やデータサイエンスを活用できていない人は、是非弊社のセミナーを活用していただきたい。
ただし、弊社の業務の関係もあり、3月は土日以外にセミナーを割り当てていない。4月以降は土日以外も割り当てようと検討中である。
プログラミングスキルの教材にはPythonを標準としているが、希望があればC#やC++、VBAも可能である。問い合わせていただきたい。
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ラテン方格の外側に機能を調整できる因子の機能に対する相関係数を割付けて実験計画法を行うと、その相関係数を大きくできる因子を見つけることができる。当方は新入社員時代にこの方法を考案している。
すなわち、ここで機能を調整できる因子とは、TMでいうところの基本機能の制御因子の一つである。TMでは、制御因子を見出した後、制御因子の中でSN比に影響を与えない因子を調整因子と呼んでいる。
また、TMで基本機能の感度やSN比を求めるために外側へ配置するのは、信号因子である。この信号因子を変化させて計算されるSN比を外側に割り付ける。そして、SN比を向上できる制御因子を見出し、調整因子で感度をあげるのが、TMでおなじみの二段階の実験法である。
実験計画法においてラテン方格の外側に測定の生データを割り付けて分散分析を行うと、誤差が小さくても最適条件を見出せないことがあったが、外側に相関係数を割り付けた実験計画法を行うようになってから、面白いように最適条件が当たるようになった。
また、このような実験を行うようになって、日科技連で指導された因子の見方以外に、誤差因子を意識するようになった。
TMではラテン方格の内側に割り付けるのは、制御因子だけだが、実験計画法では制御因子かどうか分からないものまで割り付けることがあった。
これは実験計画法を経験されている方ならばご理解いただけると思う。制御因子かどうか考えずにうっかりと誤差因子を割り付けて誤差因子が有意となるような笑えない結果が出たこともあった。
これは、実験における因子にどのような種類があるのか考えていないためにおこる。科学で仮説を立てるときにこのようなことは特に意識しないのでTMの視点では科学の実験姿勢に問題があることになる。
しかし、改善したい機能の相関係数をラテン方格の外側に割り付けるようになって、最適化するためには、それができる制御因子とその水準を知りたいと自然に考えるようになり、その結果誤差因子を意識するように変わった。
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半導体治工具用に高純度SiC成形体(高純度SiC100%の成形体)を世界で初めて市場に提供したのは住友金属工業である。この事業はブリヂストンとのJVとして1990年に始められた。共同出願特許も出されている。
住友金属工業から提案が無ければ、ブリヂストンでこの事業は始まらなかった。彼らは反応焼結により高純度SiC成形体を製造することを提案してきた。当時ブリヂストンは、ホットプレス焼結技術と常圧焼結技術によりパイロットプラントで成形体開発を行っていた。
高純度SiC成形体のこれらの技術は、無機材質研究所との共同研究として進められ報告書も当時発行されている。無機材質研究所では、当方が留学中にすでにカーボンだけ添加したホットプレス焼結に成功していた。
また、プロチャスカの配合系よりもホウ素の添加量が少ない常圧焼結にも成功していた。これらは無機材研の二人の先生によるご指導による。当方含め3名の連名による発明者として無機材研から特許も出願されている。
あれから40年近く経ったが、高純度SiC成形体を製造する技術は、ホットプレスか反応焼結、あるいはHIP(当方のアイデア段階)程度しかない。常圧で焼結体を製造したいならば反応焼結プロセスを選ぶことになる。
反応焼結プロセスについて、この仕事を離れてから眺めているが、さほどの進歩は無い。もし、コストを下げたいならば、アイデア段階であるが、面白い方法がある。ご興味のあるかたは問い合わせていただきたい。
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劣悪な環境で働いていても上司を襲わない日本人を外国人は不思議に思う、という記事があった。記事には日本人の労働に対する考え方が紹介されていたが、腑に落ちなかったのは日本人は仕事が嫌い、ということを前提にしたような内容だったことである。
もしそれが現在の風潮であれば、仕事は好きになった方が良い、とアドバイスしたい。あるいは、好きな仕事をした方が良い、のほうが適切かもしれない。
好きな仕事であれば、どんな環境でも楽しめるのだ。当方はその楽しむ時間さえも奪われたのでゴム会社を転職している。同様に写真会社は早期退職している。
以前ここに書いているので詳細は過去の記事を参照していただきたいが、高分子の難燃化研究を担当していた時の上司は最悪だった。しかし、仕事の中身は自分で楽しくできたのでそのような上司の下でも我慢して仕事ができた。
ましてや襲撃してやろうとなどと思ったことはない。たとえ新入社員でありながら世界初の技術について工場試作を成功させて始末書を書けと命じられても、せいぜいその始末書に新しい企画を添付してほしいと要求したぐらいである。
仕事を長期間続けるためにはそれを楽しめることが大切である。仕事を通じての人間関係とか、仕事の内容そのものとか楽しめる要素はいろいろある。それを見出すためには若干の知識が必要になる。
今の時代、何の知識もなく楽しめるような仕事は皆無である。ハンバーガーの売り子にしてもマニュアル通り挨拶していてはだめなのだ。
マニュアルをベースにしてお客さんに笑顔でお金を支払ってもらえるような応対ができるためにはやはりそれなりの教養が必要になる。
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300kg/h以上の吐出量の二軸混練機は、既製品として常時在庫がある商品ではない。1980年前後まで日本には混練機や押出機の製造メーカーが多数存在したが、それらの多くは倒産したか中国へ生産場所を移したかのどちらかである。今国内に残っているのは一流と呼べるメーカーだけである。老舗コペリオンさえ中国で活動している。
中国にはコペリオン始め著名なメーカーが混練機の生産を行っているが、皆注文生産である。コペリオンは日本で生産していた時よりも安価な価格で良質な混練機を販売している。
面白いのは、コペリオン社から中国人技術者がスピンアウトして始めたメーカーはコペリオン社と全く同じ混練機の生産を行っているのだが、品質は落ちる。
外観やスペックはそっくりであるが、難燃性PC/ABSを混練してみるとその差異が明らかになる。コペリオン社の装置で混練するとUL94-V0に合格するのだが、このメーカーの混練機で混練した場合にはUL94ーV2レベルに性能が落ちる。
混練機を押出機として使用しているだけならば問題は小さいが、混練機として使用する場合には大きな問題となる。スペックやスクリューセグメントの配置が同じでありながらこのようなことが起きるのは科学で説明ができない。
某ポリエチレンメーカー技術者が、メーカーが同じでも混練機のロットが異なると全く同じ条件でポリエチレンを混練してもレオロジーが異なったポリエチレンが得られることを高分子自由討論会で発表されていたが、混練では科学的に説明できないような現象が起きる。
これをただ混練に関わる制御因子をすべて把握していないためだ、と簡単に思っているとコンパウンドのプラント設計に失敗するリスクが高くなる。
中国で3つほどコンパウンド工場建設の指導をしてきたが、注意を払ったのはコンパウンド品質の再現性である。10kg/h程度の吐出量の混練機だけを扱っていては理解できない難しさがある。
PPS中間転写ベルト用コンパウンド工場をたった半年で立ち上げた実績はゴム会社で樹脂補強ゴム開発を行った経験を活かすことができた運のよかった経験である。
「運が良い」理由は、混練機では高性能で高級機にあたるメーカーの中古機を見つけることができたからである。それも新古機に近く、過去の履歴が混練機メーカーに残っていた。おそらく新品の価格は世界一高いだろうけれど「信頼できる」メーカーだったことが幸運だった。
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