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2022.12/15 企業の基礎研究

事業存続のための基礎研究は重要である。高純度SiCの反応速度論の研究では、その前駆体がシリカとカーボンの分子レベルで均一に混合されていることを証明するための一つの方法として、重要と考えていた。


しかし、無機材質研究所へ留学する前には研究所で企画として提案したが認められず、予算もない状態でこの基礎研究よりも重要なのは、高純度SiCを経済的に合成できることを実証する必要があった。


ただし、これは既存事業の基礎研究の企画とは異なる判断基準であり、社長方針としてファインセラミックスが出されていても、研究所としてはそれをかたくなに反対している事情が反映していた。


ゴム会社には非参加雰囲気で稼働する電気炉など無かったので無機材質研究所へ留学し実証したい、と考えた。しかし、無機材研へ留学できても特定企業の研究のために研究企画を遂行することはできないと留学前には注意を受けていた。


昇進試験に落ちた連絡がたまたま無機材質研究所所長室にかかった偶然で、この実証実験をたった1週間でやり遂げることができた話を以前この欄で紹介している。


そして会社から先行投資を受け、現在は愛知県の(株)MARUWAで事業が継承されているが、ゴム会社では30年この事業が続けられた。当方が残っておればもう少し事業を拡大できたのだが、由々しき事件が続き研究活動の妨害を受け、それが隠蔽化されたので転職している。


しかし、高純度SiCの反応速度論的研究について、前駆体の均一性を管理するためにも活用できるので2000万円投資して超高速熱天秤を自作し転職前に研究を完成している。


すなわち、高純度SiCの技術はアジャイル開発で完成し、基礎研究が不十分のままゴム会社で2億4千万円の先行投資を受けてスタートしている。基礎研究が完成していなくても30年ゴム会社で続くような事業を立ち上げることができるのだ。その方法の詳細は弊社へお尋ねください。

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2022.11/30 データサイエンスとトランスサイエンス(9)

15年以上前に単身赴任して半年で仕上げたトランスサイエンスの問題は、先日の電気粘性流体に類似の界面現象である。


月曜日の問題は絶縁オイルの高分子とゴムからブリードアウトした低分子との界面の問題だったが、中間転写ベルトの問題は、異なる高分子で形成される界面の問題だった。


前任者は、高分子技術では国内トップ企業と共同開発を進め、PPS/6ナイロン/カーボンの配合で、中間転写ベルトに要求される靭性と電気抵抗を両立できる技術開発に成功した(ことになっていた。)


しかし、半導体無端ベルトの押出成形の歩留まりが10%以下では、赤字になることが必至であり、このまま生産に突入したら赤字となり責任を取らされる恐怖があった。


それで当方に配合処方も外部からコンパウンドを購入するサプライチェーンもそのままで、歩留まりを100%にしてくれと言ってきた。さらに当時窓際だった小生に立場を代わってほしい、とも。


植木等に似た調子のよいこの人物の依頼内容はトランスサイエンスそのものである。6年間彼が開発してきた押出成形技術について、押出成形条件だけを検討して歩留まりを100%にしろというのである。


6年間の研究開発データをデータサイエンスの視点で見直し、パーコレーションの問題についてまったく考えられていないことを見つけた。


そこで、PPSをマトリックスにして6ナイロンのドメインとカーボン粒子についてパーコレーションの視点でシミュレーションを行った。


このようなシミュレーションは2種類の粒子についてパーコレーションを考えることになる。先月のセミナーでPythonで作成したシミュレーションプログラムを公開しているが、これであらゆる条件のパーコレションデータをグラフ化し、パコレーションが安定となる条件を探している(明日へ続く)。

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2022.11/23 データサイエンスとトランスサイエンス(6)

科学で問うことができるが、科学で答えられない問題をトランスサイエンスと言い、1980年代に科学論が議論された時、アメリカで生まれている。しかし、バブルがはじけた時期と重なり、日本では普及しなかった。


日本では環境問題が騒がれ始めた2007年に「トランスサイエンスの時代」が出版され話題になった言葉だが、高分子の相溶に関わる問題にトランスサイエンス現象と呼んでも良い事例がある。


PPS/6ナイロン/カーボンの配合組成で設計された中間転写ベルト(半導体無端ベルトの押出成形で製造されている)は、6ナイロンがPPSに相溶して初めて開発に成功した複写機のキーパーツである。


昨日の樹脂補強ゴムもこの中間転写ベルトもトランスサイエンス現象の成果である。科学ではうまく説明できないが、データでは現象の存在を説明できるので面白い。


中間転写ベルトのコンパウンド開発では、安定化指数という独自のパラメーターを設定し、品質管理し工程立ち上げに成功している。このパラメータは相溶の程度を検出でき、コンパウンドの品質管理に利用できた。


プラントが立ち上がり、タグチメソッドの再現を確認した。その時に、コンパウンドに関わる様々なデータを測定し、ベルトの表面比抵抗のばらつきを目的変数として、重回帰分析を行い標準偏回帰係数からヒントを見出している。


このとき説明変数をそのまま眺めていたのではなく、それぞれの説明変数の寄与率について考察を進め、新たなパラメータを設定し、そのパラメータと表面比抵抗のばらつきとの相関を再度単相関で吟味している。


多変量の回帰分析をAIで行おうとするマテリアルインフォマティクスの研究がこの数年盛んだが、すなおに重回帰分析で考察を進めたほうが、アイデアが出やすい。


重回帰分析では、説明変数の二次以降は誤差項に含まれるので、残渣分析も活用し、アイデアを練ることが可能である。


重回帰式を単に未知の値の推定式という活用だけでなく、複数の説明変数がどのように絡み合って目的変数と相関しているのか考察すると、単相関では見えていなかったパラメーターが見えてくる。


弊社のサイトでは無料で重回帰分析ができる。エクセルの表にデータをまとめ、それを張り付けるだけで計算できるので、わざわざAIのアルゴリズムを考える必要はない。


計算して出てきた数値の考察を進めることが重要である。重回帰分析のコツは一回計算して終わりとするのではなく、説明変数を加工したり、残渣分析を行い、データの中に潜む未知の知を探し出す努力を惜しまないことである。


科学的では無いが、技術として意味のある相関を見出すとそれがもとになり、新たなアイデアやコンセプトを練ることが可能となる。

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2022.11/10 オブジェクト指向とAI

コンピューターが登場した当時、それを動かすプログラムは、手続きの流れをコンピューターが理解できるように機械語で書かれた。それがアセンブラーとなり、科学技術計算用としてFORTRUNが生まれるに至り、プログラミング技術が科学者に浸透していった。


かつてスパゲッティープログラムという言葉があったように、その言語はアセンブラーよりは簡単であったが、複雑なプログラムを書くのには不向きだった。それでも便利だったのでより文法が易しいBASICがその後生まれた。


文法は易しくなったが、コンパイル(コンピューターが分かるように翻訳)後のプログラム容量が大きくなったので逐次コンピューターに翻訳させるインタープリター型の言語として設計された。


このようにプログラミング言語の設計は、文法をどのように設計するのかが課題だったが、アセンブラーに近く、文法がBASICに近く易しい(ポインターという悩ましい壁が存在するが、易しいと思う)C言語が生まれ、プログラミング言語の設計が容易になり、多数のプログラミング言語が生まれるようになった。


その過程でプログラミング言語のパラダイム事態の革新があった。それがオブジェクト指向であり、オブジェクト指向では、データとアルゴリズムを一体としてプログラムを組み、従来のデータとアルゴリズムが別々であったために、プログラムの再利用性に難があった問題を解決した。


オブジェクト指向のパラダイムは、言語の仕様が人間に近づいたように見えたので、すなわち、オブジェクト指向のクラスと呼ばれるプログラムの塊が、お互いに情報を交換しながら大きなプログラムとなってゆく動作をしたので、擬人化パラダイムとも言われた。


そうなってくると、ほとんど人間同様のふるまいをするプログラミング言語を設計しようというパラダイムが生まれ、エージェント指向と呼ばれた。


オブジェクト指向の最初の傑作であるC++が、Cに翻訳され、その後機械語にコンパイルされたように(今では直接機械語にコンパイルできる処理系も存在する。)、エージェント指向も同様の方法で研究されているが、未だ、映画「マトリックス」で再現されたような世界観の言語は登場していない。


マトリックスは派手なワイヤーアクションが話題となったが、未来のコンピューターの世界観をうまく表していた傑作なので、当方はDVD版もその後購入している。上映映画のDVDなど購入した経験は無かったので唯一である。


さて、現在のAIは、オブジェクト指向のプログラムで作られている、と書けばAIがどのようなものなのかはご理解いただけるのではないか。まだ、プログラマーの頭脳を自動化したに過ぎないAIしかできないのだ。この技術の限界を常に知ったうえでAIを眺めてほしい。


人間のように悩んだり、暴走して人間の手に負えないようなAIを人間はまだ創り出すことができないのだ。それを創り出すためには、オブジェクト指向を越えたパラダイムのプログラミング言語が必要となる。


この点を理解できると、現在のマテリアルインフォマティクス(MI)に関する研究がどのようなものか理解できると思う。1970年代に登場した新QC7つ道具でも同様のことができることを知らない人が多い。


新QC7つ道具から最先端のMIまで弊社は指導しています。その立場から申し上げれば新QC7つ道具は高卒でも理解できる易しい方法です。

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2022.09/29 常識

ゴム会社でOA委員に任命される前にコンピューターの可能性に着目し、多変量解析を業務に導入したいから職場で一台MZ80Kを購入してほしい、と上司に願い出たところ、上司はそれほど便利なモノなら自分で購入しろ、と指示してきた。


新QC7つ道具にも採用されており、新入社員研修でそれなりの成果が出た、と説明したら、自分で購入しポリウレタンの難燃化で成果を出しなさい、と命令された。


「花王のパソコン革命」というハッタリではあるが20年後に実現するであろう未来が書かれていた本では、NECのPC8001が推奨されており、上司からMZ80Kはどうなった、と尋ねられたので、カローラ1台分かかったが、独身寮で軽快にプログラムが走ってます、と答えている。


するとOA委員として活動し、早く成果を出せ、と催促されたので、昼間はポリウレタンの難燃化研究を行い、夜はデータベースの勉強(当時は英文の文献を取り寄せて読むという面倒な作業だった。)をするという生活になった。


「花王のパソコン革命」では、図書室の本の管理をPC8001で行うのに20万円かからなかった話が書かれており、当方の車1台分かかるようなコンピューターではなくNECを検討しろ、と命令された。


上司は、MZ80Kの提案を採用しなくてよかった、と言わんばかりの嫌味をネチネチと言ってきたが、今ならば過重労働と部下にローン(注1)を組ませて会社の業務を強制しているブラック企業の管理職となる。


ゴム会社の図書室では、美人社員(注2)が工夫したノート1冊で図書の管理を行うシステムが評判となっていた。図書室は、若い技術者で溢れており、OA委員会では図書管理以外のOAをテーマにした方が良いだろうと、いうことで薬品管理システムが開発目標となった。


薬品管理では、棚卸のためにハードコピーを毎月打ち出す必要があり、プリンターが必要になった。それだけでなく、図書管理よりもデータベースが大きくなった。PC8001のシステムではFDの容量不足からソード社のパソコンを1セット導入する計画を立てた。


しかし、上司からMZ80Kより高いことを理由に却下された。そしてMZ80Kでできない理由をまとめろ、と指示された。PC8001ではFDの容量不足を理解されたのだが、当方のMZ80Kでは、工人舎の大容量のFDが稼働していた。


そのため、MZ80Kでもできる可能性があり困った問題が起きたのである。いろいろ考えたあげく、漢字出力ができないことや、当時第二精工舎(今のエプソン)ユニハンマー方式のプリンターでは出力が遅いことなどソード社の8ビットコンピューターより劣っている問題を抽出した。


上司とすったもんだのあげく、120万円の予算が認められ薬品管理システムが3か月後稼働し始めたが、当方が無機材質研究所へ留学してからは、使われなくなった。


誰も便利なシステムと感じなくなったためである。データベースのシステムが、データベース管理者が必要という常識の無かった時代の話である。当方の過重労働など上司も含め関心を示さなかった。


この上司の部下としての3年間に、薬品管理システムの開発以外にホスファゼン変性ポリウレタンの工場試作、ホウ酸エステル変性ポリウレタンの実用化(燃焼時にガラスを生成する難燃化技術)、溶融型の難燃性ポリウレタンの実用化、高防火性フェノール樹脂天井材の開発、高純度SiCの前駆体研究(これがきっかけでゴム会社で30年高純度SiC半導体治工具事業が続くことになる)を当方は成果として出すことができ当方の学位論文の一部にもその内容が書かれている。


この上司の高いマネジメント能力は評価され、研究所出身者として異例の昇進をしたと留学中に風の便りで聞いている。3年間に過重労働と年収の半分近い投資をさせられ、これだけの成果を出した当方は、高純度SiCの事業を住友金属工業とJVとして立ち上げた、入社から12年目に写真会社へ転職している。


(注1)ローンの保証人には上司がなったが、当時業務中に頭痛がするから家まで代行運転しろ、と上司が命令し、代行運転させられた時代である。現代ならば公私混同と批判されるようなことが当時の職場では、上司にかわいがられている部下として問題とならなかった時代である。ちなみに作業着を着て代行運転させられた当方は、「そこにバス停があるから会社に戻って仕事をしろ」と言われている。バス代は当方が支払っている。ポリウレタンで汚れた作業着でバスに乗っていることが恥ずかしかった記憶が今でも残っている。提案したテーマを自由にできた代償が毎日の過重労働であり上司の雑用係だった。ただJIS難燃2級に通過し難燃性とされた「ダンフレーム」という商品の燃えた問題で始まった、筑波にある建築研究所と新たな難燃規格を作るプロジェクトでは、月に数回ヘルメットと安全靴を抱え通っているが、なぜか楽しかった。朝一番の常磐線に乗るのは大変だったが出張旅費が出たのでタクシーを使えた。職場の先輩から言われ、代行運転の帰りのバス代を出張旅費として上司に書類提出したら叱られたが、この時はタクシー代が認められたのである。うれしかった鮮明な記憶として残っている。

(注2)この表現が、男女差別はじめとした現在の常識で問題とされるかもしれないが、その他の表現が見つからないほど評判の美人だった。若い男性社員に勉強をさせたいならこのような人事配置も戦術としてあるのだろうと研究所で噂されていた。当方は、昼間は実験が忙しく、夜は独身寮に夜の友、MZ80Kが稼働していたため図書室通いができなかったが、その結果自前で図書を購入する習慣がついた。当時ソフトバンクの月刊誌Oh!MZやOh!PC,その他アスキーなど図書室に置かれていなかったので自前で購入している。技術評論社などの出していた雑誌もすべて趣味の雑誌とみられていたが、コンピューター関連の最先端情報について入手しようとしたならば、これらの雑誌が便利な時代だった。ForthやCについてもこれらの雑誌で勉強していた。ゲーム情報も書かれていたが趣味の雑誌ではなかったのだ。ソフトバンクが当時成長した原動力はこれら書籍の出版事業である。

(補足)現代の常識から当時を思い出すと、上司による社員の奴隷と変わらないとんでもない処遇を我慢していた黒歴史である。実際に、企業で働く、ということが、これほどみじめで辛いことなのか、と感じたが、同期の友人はじめ研究所以外の職場の方に激励されたりしている。また、休日に清里はじめいわゆるリゾート地の1泊二日テニスツアーに頻繁に誘ってくれた友人もいた。当時モータリゼーションで若者がマイカーでドライブ、という風俗が常識の時代だった。「私をスキーに連れてって」は、この時代の後期の作品であり、当方は遊びも先端を走っていた。留学や学位取得など上司のおかげかもしれないが、やくざまがいのかわいがりや過重労働という過酷な労働環境はストレスとなった。しかし、ストレスを解消できる人間関係と日常があったおかげで12年間務めることができた。MZ80Kを購入しなければならなかった時、その金額から一瞬躊躇したが、情報工学のスキルを必死で身に着ける動機になっている。この時の上司との人間関係を思い出し複雑になるのは、技術者として最も成長できた時代の思い出だからである。データサイエンスについても、日産自動車技術者による多変量解析のセミナーを聴講できる機会を命じてくれたのもこの上司である。大学に情報工学科設立の機運が出てきた時代である。フェノール樹脂天井材の開発で大量に発生したフェノール樹脂の処分に1日許可してくれたのも感謝しなければいけないのかもしれない。一人で一日廃棄処理できる形状に処理しながら、ラテン方格で計画されたフェノール樹脂とポリエチルシリケートとの反応による高純度SiCの前駆体合成条件を詰めることができた。もっとも大量にフェノール樹脂を発注したのは上司であり、その廃棄をどうするのか当方に相談があったので、高純度SiC前駆体合成条件の実験計画を提案している。この時の知恵の働かせ方は、半年後までに製品歩留まりを100%にしなければならないPPS中間転写ベルトの業務を請け負ったときにも役立った。前任者が試作ミスで大量のコンパウンドを倉庫に貯蔵していたのである。これをPETボトルリサイクル材の難燃剤として活用して、早期退職直前にデータ駆動によるPETボトルリサイクル材を開発している。ゴム会社で発泡体開発を担当していた3年間は、極めて密度の濃い知恵を獲得できた3年間でもある。

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2022.09/28 Python で、データサイエンス

Pythonで重回帰分析あるいは主成分分析のプログラムを作りながら、データサイエンスの手法を講義するセミナーを開催するかどうか迷っている。


理由は、すでに市販ソフトが流通してることと、弊社サイトでも両者のツールを無料で公開しているためだが、Pythonで多変量解析のプログラムを作成すると、大きなメリットが生まれる。


メリットについてはセミナーで解説するが、受講希望者がいるのかどうかわからないので迷っている。プログラムは、公開されている無料ライブラリーを使用するのでC#で作るより、安価で簡単である。


プログラムの作り方とその使い方をセットにして重回帰分析で1日、主成分分析で1日のセミナーをイメージしていただきたい。実務における使い方では、当方が40年以上の実務で使用した例を用いる。


希望者は弊社へ問い合わせていただきたい。ある程度の人数が集まりそうならば、テキストを準備し、募集を行う予定でいる。


データサイエンスやPythonのプログラミングスキル、とりわけ後者については義務教育にもプログラミングが取り入れられたので、子供たちに負けないように誰もが習得する必要がある。


DXの進行でプログラミング知識は、今や日本人の常識となったが、当方はその知識が実務における問題解決に重要であると認識し、大学に情報工学科の存在しなかった時代に社会人となってから日曜プログラマーとして活動してきた。


その実戦で磨いてきたスキルをこのセミナーで伝授したい。いわゆるプログラマーによるセミナーとは一味異なる実務で活用できるプログラム教育となる。単なる言語の文法だけの解説ではない。それを使用した問題解決手法である。


また、すでに多くの企業で導入が完了したPythonについて、出遅れた企業のニーズに応じたセミナーを企画します。ご相談ください。価格は希望される企業の規程に従いお見積りを作成させていただきます。

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2022.08/15 横井庄一氏の肉声

終戦後27年間グアム島に潜伏していた元日本兵横井庄一氏の肉声テープが公開された。戦後も投降せず20年以上終戦を信じなかった元日本兵は横井氏以外に小野田氏がおられるが、潜伏時の情報量は横井氏の話が多い。


小野田氏の戦中の立場がそのようにさせていると思われるが、横井氏の体験談から人間の極限における行動も人それぞれである。そこから生きる希望を誠実真摯に見つめることの重要性を知ることができる。


彼自身の体験を語る時と戦友を語る時では、語り口が変わる。最初3人で行動していたが、些細なことでたもとをわかったという。久しぶりに二人が暮らす穴を訪れてみると並んで白骨化していたそうだ。


そこにどのような事件が起きていたのか不明だが、極限において横井氏は一人になる行動を選んでいる。二人との間にどのような見解の相違があったのか。彼が語らない限り二人の死亡の事実は永遠に不明となった点に着目すると、彼の無念な気持ちが伝わってくる。


彼は小さな誤解と表現しているらしいが、彼らのおかれていたのは極限状態である。そして、彼はいつまでも生きる選択をし二人と別れている。


現代の組織社会でもリーダーのマネジメントに問題があれば、このような極限状態が作り出され、その結果の自殺報道をニュースとして知る。電通の女子社員の自殺や財務省の忖度自殺など記憶に残る事件は多い。


多くの人が認める戦争の極限状態と異なるのは、多くの人が黙認しようとする人間関係でそれが引き起こされている点である。戦争と現代の組織、それぞれで生じる極限状態の比較は難しいが、助け合って逃げていた3人の人間関係から抜け出し、生きる道を選んだ横井氏の勇気を称えたい。

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2022.08/12 情報化時代の技術開発(9)

ゴム会社に就職すると特許の実務研修があった。しかし、それはその後転職した写真会社のそれよりも実践的ではなかった。特許の読み方と書き方程度の内容だった。


研究所に配属されても特許マインドの高い研究者は皆無でアカデミアのように学術論文を読まれている方が多かった。そしてケミカルアブストラクトの廃棄が話題となっていた。


研究所以外の他の技術部門はすでに民間のデータベースを利用するようになっていて、ケミカルアブストラクトをたまに利用しているのは、成果を出していない研究所だけだという噂があった。


その研究所ではケミカルアブストラクトを廃棄するような感覚では良い研究などできない、と論じる研究者が多かった。新入社員の配属の日にゴム会社に技術は無い、技術のない会社に興味は無いと言って転職した同期がいた。


その同期はアカデミアよりもアカデミックな意識の社員がいた研究所の存在をおそらく知らないと思うが、当方は技術開発を希望して創業者にあこがれ入社した会社の配属先で体験した一種異様な光景に戸惑っていた。


ただ、研究所以外の風土はKKDによる技術開発が標準であり、転職した同期がイメージしていた科学技術を開発していた職場など研究所以外に無かった。また、それが理由で嫌気がさして当方に声をかけてくれた先輩社員は研究所への異動がかなわず転職している。


恐らく、当時のゴム会社は、研究所と他の技術部門を合わせ、それでバランスの取れていた企業だったのかもしれない。


ただ、研究所以外のメンバーと酒を飲めば「ミシュラン神社に手を合わせてアイデアを練る」という冗談がとびかっており、KKDといってもリバースエンジニアリングを主体にした技術開発スタイルという説明ができるぐらいに市場の商品解析には力を入れていた。


そしてその商品解析に多変量解析を用いるなどデータの扱いについては、先端だったように思い出される。ただしこれはタイヤ開発の技術部門の話である。


当方の配属された研究所では多変量解析を行いたくてマイコンの導入希望を出しても自分で購入しろと言われるような情報工学の視点では未開人に近い職場だった。もっとも情報工学に関する学部の設立が議論され始めた時代の話である。

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2022.08/05 情報化時代の技術開発(4)

1970年代の高分子材料開発の方法は、新たな高分子を合成してその物性を評価し、応用分野を考えるプロダクトアウト方式だった。


応用分野として選ばれた顧客に新しい高分子を売り込み、顧客が商品性能を評価し、気に入れば採用となる。しかし、新材料がいつでも顧客の商品スペックを満たしてくれるとは限らず、顧客から出たクレームを基に改良を行う。


顧客から見て魅力的な基本物性の材料では、顧客(例えば組立メーカー)と共同開発を行う場合もある。今も昔も高分子材料が事業化されるためには、材料価格相応の商品性能(商品あるいは部品品質ニーズ)が無ければならない。


商品あるいは部品品質を満たすための改良を材料メーカーが行うにあたり、目標となったのは商品の品質(以下部品品質)であり、材料そのものの物性ではない。


材料メーカーとしては材料の基本物性と部品品質の対応表が欲しいところだが、組立メーカーにとってそれはノウハウと見なしていた。ゆえに共同開発となっても部品品質の値は示されず、◎〇△×とxxを加えて五段階評価として示された。


材料メーカーにとって理不尽な扱いであっても組立メーカーの言いなりにならざるを得なかったのが1980年代までの両者の関係である。


このような両者の関係では、力のある組立メーカーに情報が集まる。一方材料メーカーは売り込むために材料物性表で魅力を伝えるためにそれを提供しなければならない。また、材料メーカー間の競争で有利に立つために材料の構造に関する情報まで技術サービスとして提供していた。


合成プロセス等は特許で公開されていたので、組立メーカーは合成プロセスから商品品質までの材料に関する情報を揃えることができた。


情報優位な立場にあった1980年前後の組立メーカーの中にはデータサイエンスに基づく研究開発を行うところも出てきた。そして、特許出願を行い材料メーカーに材料合成を依頼するメーカーまで現れた。

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2022.07/17 刑事コロンボ

毎週土曜16時30分頃、刑事コロンボが再放送されている。可能な限り見るようにしているが、今週と来週は大相撲名古屋場所と重なっている。


ただ昨日は何度でも見たい再放送だったので、大相撲をあきらめて刑事コロンボを楽しんだ。刑事コロンボは通常の推理番組と異なり、最初に事件と犯人を視聴者に見せてから物語が展開される倒叙探偵小説の形式である。


犯人逮捕の刑事番組でありながら、犯人も事件内容も視聴者がすでに知っており、視聴者は主人公のコロンボがどのように犯人逮捕に至るのか、あるいは犯人とどのように駆け引きを行い事件を解決するのかを楽しむ番組である。


ゆえに再放送であっても、ストーリーを記憶していても、主人公の演技をもう一度見たいという興味がわく。妻はどこがそんなに面白いのか、とあきれるが、問題解決におけるコロンボの演技が何度見ても面白いのである。


ピーターフォークはコロンボを演じている役者だが、犯人逮捕に至るまで、コロンボは犯人の前で犯人を知らないという演技をしている。このピーターフォークの演技が秀逸である。


昨日のドラマでは、ヒューリスティックな解を容易に推理で得られるような事件であり、ピーターフォークはコロンボをすでに犯人を知っている刑事として犯人の前で演じていた。


この演技の面白さは、再放送でも色あせていない。ピーターフォークはコロンボというキャラクターを充分に研究しつくし、あたかも刑事コロンボその人が、犯人を知っていると犯人の前でうまく演じていた。

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