2月20日13時30分から3時間混練技術について無料WEBセミナーを行います。メール(info<>kensyu323.com <>を@に変更してください)にてお申し込み頂きたく。
1.2月20日無料WEBセミナー混練技術参加希望
2.テキスト購入希望の有無
3.書籍購入希望の有無
メールには上記を御記載ください。なお、テキスト(ダウンロード版)は、5000円です。書籍と同時購入の場合には、6000円、書籍だけ購入の場合には4800円(消費税及び送料サービス)となります。
なお、書籍購入希望者は、書籍送付先をお知らせください。なお、見積書や請求書の発行も必要な場合には、申込時にその旨御記載ください。
本企画は、通常1日コースで行っている内容を3時間に短縮したもので、混練の形式知である分配混合と分散混合の説明は最小限にしております。高分子のコンパウンドの品質問題でお困りの方は、是非ご参加ください。
カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子
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来月2月7日と8日に高分子の難燃化技術について、無料WEBセミナーを企画しましたので、高分子の難燃化技術に関する知識が必要な方は、ご専門に関わらずこの機会をご利用ください。
2月7日は高分子難燃化技術の概論について評価技術を中心に、高分子の基礎事項とともに解説いたします。ただし、限られた時間内ですので、高分子の知識につきましてその体系のすべてを解説できません。
ゆえに前日の日曜日の午後、高分子のツボに関して体系的に解説する無料WEBセミナーも準備いたしました。詳細は昨日までの活動報告を参照してください。
高分子の難燃化技術の無料WEBセミナーにつきましては申し込みサイトを準備いたしました。ただし、高分子のツボに関しては、特別なコーナーを設けずメールにより参加申し込みを受け付けております。
メールには「高分子のツボ無料WEBセミナー参加希望」と「テキスト購入希望、あるいはテキスト不要、のいずれか」をご記入の上、申し込んでいただきたく。また、無料セミナーについてご希望を書いていただくのは大歓迎です。
高分子のツボは、体系的に説明が難しい高分子材料について、経験知から知識を整理しましたので、実務で遭遇する問題を考えるのに役立つ内容になっています。
当方は無機材料と有機材料の両方を専門的に研究した経験があり、その経験から高分子の難しさは、その分類さえ決まっていないところに原因があると思っています。この視点で高分子のツボをまとめ上げています。
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住友金属工業(現在の日本製鉄)との高純度SiC半導体治工具のJVが計画されたころ、電気粘性流体開発プロジェクトのお手伝いを命じられた。命じられたが、電気粘性流体について業務説明も無ければ、研究論文の一切を読む必要は無い、という乱暴な扱いだった。
当時世間でいうところの係長職にあったのでそれなりの扱いをしてほしかったが、当時のゴム会社の研究所のスタッフにはそのような命令をする人が多かった。また、科学の研究者は、自説を押し通すためにそのような性格でなければリーダーが務まらないのかもしれない。
スタップ細胞の騒動をまとめた「あの日」を読んでも、そこに登場する人々は技術者から見ると不思議な人が多い。情報も何ももらえず、仕事を命じられる立場は、下僕と等しいのである。さて、そのような乱暴な扱いで命じられたテーマは「加硫剤も含め添加剤が何も入っていないゴム開発」だった。
当時すでに日本一になっていたゴム会社で非科学的なこのようなテーマを命じてきたのである。セラミッックスの研究を担当していた当方にこのようなテーマが巡ってきたのは、当時の研究所でゴム開発の経験があったのは当方だけだったからだ。
多少なりともゴムに詳しかった当方は1週間だけ時間をもらい、電気粘性流体の耐久性問題や電気粘性効果を安定にできる粉体などをアジャイル開発した。電気粘性流体がどのようなものかは詳しく知らなかったが、社内のプレゼンテーションで公開された情報程度は頭に残っていた。
その頭に残っていた情報程度で、ヒューリスティックな解を見出すことは簡単だった。換言すると情報が少なかったので材料合成のために考えなければいけない問題が絞られたのかもしれない。
驚くべきことに、データ駆動による一晩の実験で電気粘性流体の耐久性問題を解決できて、その後ほんの少しの実験で電気粘性効果を高める粉体を創造することができた。
この技術開発において、5年の歳月がかけられ研究所で蓄積された科学の成果を全く使っていない。セラミックスの研究で身に着けた経験知と暗黙知により創造された新技術を用いて、難問が解決され、世の中に存在しない傾斜機能粉体が生み出されている。
同僚に情報を出さない、という信じられない扱いのおかげで、電気粘性効果に関する科学の形式知が乏しい状況となったので、経験知と暗黙知をフル活用する必要が生じた。そこで使われたのは演繹論理である。
ただし欠落した知を補う必要から創造が行われる。そこでは非科学的あるいは未解明な科学的現象に潜む知などが混在し、推論が展開される。演繹論理では科学の一部であるが、その展開は非科学的だった。
マッハ力学史において、ニュートンの力学は非科学的成果に位置づけられている。その理由は、当方が電気粘性流体で展開したような推論だったからである。当方はマッハ力学史を読んでいたので、ニュートンの論理展開を学び電気粘性流体のアジャイル開発ができたのである。
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バッハは平均律を発明している。ちょうど科学が誕生する直前である。ドレミファソラシドから和音が創られる過程において周波数解析を利用できる環境ではなかった。しかし、美しいハーモニーの曲がその時に創造されている。
今では、音楽理論が体系化され、周波数解析や心理学などが動員されて、気持ちよい音楽を科学的に創造することができるようになった。例えばコンピュータで作曲されたα波を出す曲集というCDも販売されている。
ただしそれを聞いても本当にα波は出ているのか不明だが、何故か味気ない。お気に入りの渡辺貞夫のCDをかけた方が気持ちよく仕事に集中できるし、リー・リトナーのスリリングな響きはCD一枚聞けば心地よい疲労感からよく眠れる。
また、MIDIが発明されてW95が登場しデスクトップミュージック(DTM)なるジャンルが生まれ、多くの人に作曲の機会が普及しているが、それでもヒット曲のすべてがDTMの成果となるような時代になっていない。
コロナ禍となり、仕事が減ったので音楽理論を真剣に勉強してみた。それで作曲ができるようになっても、作ってみた曲がヒットするとは思えない。すなわち、音楽理論を用いて、体裁の整った曲を作ることはできるが、その結果生まれた曲は、どこかで聞いたような曲である。
形式知を活用して、とりあえず何か作り出すことができても、形式知に従い出来上がった創造物は当たり前のつまらないものになるのかもしれない。また、創造物とは呼べないような作品になる可能性がある。ひどい場合には明らかな盗作を作り出す恐れがある。
最近購入したジャズの教則本には形式知に基づく説明が詳細に記述されている。そこには、これにとらわれる必要は無い、という著者の注釈がよく出てくる。例えばテンションという技法があるが、ルールにとらわれず自分で良い響きと思ったらそれを使え、と書いてある。
すなわち、形式知に従って演奏していてもつまらない、と行間に書かれているようなものだ。音楽と技術は異なる、と言われると当方の1年以上の努力が無駄だったような気分になる。当方が音楽理論に取り組んだ背景は、経験知や暗黙知が乏しい分野における形式知による創造とは何かを考えてみたかったのである。
ちなみに、当方は自信をもって音楽の才は無い、と胸を張れる。その実力レベルを理解しているので、国内のカラオケにおいて人前で歌った経験は無い。このように音楽の才能が無くても、形式知を身につければ、とりあえず作曲ができるようになる。
本に書かれているコード進行のルールに従いコードを配置し、リズムに合わせておたまじゃくしを並べてゆくと一応それなりの曲ができる。ゆえにそのためのプログラムが搭載されたコンピュータによる自動作曲が可能となっているわけだが、出来上がった曲のどこかで聞いたような味気無さをどうしたらよいのか。
この経験から、形式知があれば、とりあえずやりたいことを実現できる便利な知であることを理解できた。ただし、形式知から生み出された曲は、どこかで聞いたような不満が残る。
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新技術を生み出したり、イノベーションを引き起こしたりするのに科学が必須と誤解している人が多い。これは産業革命が科学の成立とともに引き起こされたイノベーションとして理解されているために生じている誤解である。
産業革命における科学の役割は大きかったが、それゆえイノベーションが科学の進歩だけで引き起こされる、という考え方では、今日起きているイノベーションに追従さえできない(バブル崩壊後30年日本のGDPが上がらない原因かもしれない)。
ここで、今起きているイノベーションとは、「第三の波」(アルビントフラーが名付けた情報革命)で始まったデジタルトランスフォーメーション(DX)で進行しているイノベーションである。
このイノベーションの30年の過程を振り返っていただきたい。従来の科学の方法とは異なる方法により、新しい技術が生み出されている。しかし、その方法の正体について日本では誰も声高に言わない。言わないのではなく、言えないのかもしれない。
科学の方法以外を信じることができない技術者が日本では多い。このような技術者にはアジャイル開発など理解ができない許しがたい方法となる。実際にそのような見識の人物に、アジャイル開発により新素材を生み出した時、当方はFDを壊されるなど嫌がらせを受けている。
新しいことを生み出すために科学の方法が唯一の方法であるのか今一度考えなおしていただきたい。演繹論理により仮説を設定し、それを証明するために実験を行い、帰納法的に仕事を進める。このような手法で完璧さを求めた場合に、仮説を否定する実験結果が得られた時に否定証明となるイムレラカトシュが指摘した問題に気がついていない。
また、科学の進歩は、古い技術開発手法に影響を与え、心ある技術者はその手法を改良してきた。タグチメソッドはその一つの成果である。ただしタグチメソッドでは基本機能について技術者の責任としている。すなわち新しい基本機能を見つけ出すのは技術者の責任なのだ。
新しい基本機能を見つけ出すために科学の成果を活用できるが、知識労働者が多くなった現代では誰でもそれを行うので世の中に科学的に当たり前の製品が溢れてくる。しかし、今求められているのは新たな科学を生み出す新技術である。
(注)30年前に実用化された電気粘性流体の開発過程では、当時科学的に未知の現象を引き起こした3種の粒子がその開発を促進している。また劣化問題では、今話題となっているデータサイエンスを応用した手法で発見された界面科学の未知の領域で技術が誕生している。また、高純度SiCの製造技術では、高分子科学で否定される現象を活用したセラミックス前駆体が使われている。この開発にはラテン方格を用いた試行錯誤法が寄与しているが、これもデータサイエンスと呼べる方法である。データサイエンスというと科学的に聞こえるが大量のデータから新機能を見出す、ある意味「なんちゃって」技術である。今これを科学的に研究しようという学部の新設ラッシュである。当方はマイコンの登場した時代に計算機科学の未来を信じ、いわゆるデータサイエンスの手法を科学的手法と併用して材料開発を進めてきた。来年それらを事例として用いたセミナーを企画しています。
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N社F100の裏蓋フックは、クリープ破壊で壊れた可能性が高い。それはフラクトグラフィーにより、明らかだった。フラクトグラフィーとは、御巣鷹山の飛行機事故の裁判でも墜落原因を特定するために使われた科学的方法である。
御巣鷹山の飛行機事故では、重要部品の圧力隔壁が壊れこれが飛行機の制御系を壊し、制御不能となった飛行機は御巣鷹山の峰に衝突した、という原因が解明されている。
圧力隔壁が壊れた原因について解明するためにフラクトグラフィーが使われ、墜落した飛行機がかつて羽田で尻もち事故を起こした時の修理方法が悪く、疲労破壊を速めた、というところまで明らかになっている。
フラクトグラフィーという手法では破壊した個所の観察が重要で、その破壊した個所に現れる材料特有の模様から、破壊に至る過程を明らかにしてゆく。
N社F100のフックの破断面をD2Hへマクロレンズをつけて接写して、拡大して得られた画像を見たところ、ゆっくりゆっくり破壊が進行したところと急速に破壊が進行したところが連続的につながっていた。
すなわち、最初に何らかの原因で、ピシッとヒビが入り(この時急速に破壊が進行した波面の状態となる)、樹脂はそれを何とか持ちこたえたが、その後クリープでゆっくりゆっくり破壊していった破壊の様子が一つ思い浮かぶ。
しかし、カメラは防湿庫に静置されていたので、最初の破壊原因としてピシッとヒビが入る情景を想像しにくい。それよりも、裏蓋フックには常時それを開けようとするスプリングの負荷がかけられている。この機構ゆえにフックが外れると裏蓋が勢いよく開く。
すなわち、フックに応力が常時かかっていたが樹脂密度が低いためフック全体のクリープ速度が速くなり、わずかに変形して応力集中が起きたところからゆっくりゆっくりとクリープ破壊が進行した。
その後、裏蓋を開けようとするスプリングの強度に持ちこたえられなくなったところで、ピシッと割れた、という破壊機構の方が波面の模様を説明するために妥当性がある。
すなわち、新たに購入したN社フラッグシップD2Hを使用するようになったため、1年以上防湿庫にF100は眠っている状態となった。この眠っていた間に裏蓋フックの樹脂の分子はバネの応力でクリープを起こし、破壊に至ったのである。
おそらくF100を使い続けていたら、もっと早くフックは破壊し、使用条件の悪い使い方か、製品の設計が悪いために破壊したのか原因不明となっていたかもしれない。しかし、1年以上使わずに放置していて壊れたのである。設計ミスか製造時の品質管理ミスかは明らかだった。
ラインに流れる裏蓋フックに関しフックの密度が低いことを見落としていたならば製造側の品質管理ミスである。もし、スペックで決められたバネの応力が強すぎた、あるいはフックの成形体密度について仕様が決められていなかったならば、これは製品設計におけるミスである。
いずれにせよ消費者の責任ではない。1年以上防湿庫に放置していて重要機能部品が勝手に壊れる様な製品を作っていてはだめだ。ますます製品の売れゆきは悪くなる可能性が高いのですぐに弊社に相談してほしい。設計段階からのロバストを高める手法を伝授します。
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フィルムカメラF100の裏蓋フックはプラスチック製だった。樹脂の材質は不明だが、壊れた断面は、典型的なクリープ破壊の破断面を示していた。
すなわち、その破断面を観察すれば、裏蓋を押し上げるためのスプリング強度が強すぎたためフックのクリープ速度が速くなり、フックが壊れたと理解できる。
ただし、これはフックが常に目標スペック通りにできていた前提の仮説である。
1970年代の低密度ポリエチレンのクリープ速度に関する研究では、密度が0.02大きくなると、クリープ耐性が2倍になるという報告がある。すなわち、密度が大きくなるとクリープ耐性が非常に大きくなるのだ。
これは逆に密度がたった0.02小さくなっただけでクリープ耐性が著しく弱くなることを意味している。スプリング強度が仕様通りだったとすると、F100の樹脂製裏蓋フックの成形体密度がばらつきで小さくなっていた可能性がある。
樹脂の成形体密度は0.02程度のばらつきを生じる場合があり、注意を要する。低密度ポリエチレンのクリープ速度と樹脂強度との関係を調べた研究の動機でもある。
ところで、このF100の裏蓋フックについて高分子材料のツボを読んでいた技術者ならばおそらく密度のばらつきに注意が向いたはずである。
そして組み紐のモデルを思い出し、密度が下がれば著しくクリープ速度が速くなる可能性があるとの想像ができて、品質問題を未然に防げた。
なぜなら密度が低いということは、自由体積の部分が多い樹脂成形体を意味しており、自由体積部分では高分子がぴくぴくと運動している。高分子の運動にレピュテーション運動というのがあるが、これは分子の鎖方向にウナギの如くくねくねと動く運動である。
自由体積が多くなり、レピュテーション運動も活発にでき、そして外力がかかったならどうなるか。紐がずるずるとほどけてゆく様子を頭に描くことができる。クリープ破壊とはこのように進行する。
ただしこれは当方の妄想であり、科学的ではないことを注記しておく。但し、高分子材料開発ではこのような妄想が重要な場面として役に立つケースが多い。品質問題という悪夢と思いたい現実に遭遇するよりも妄想を描きながら慎重に材料開発を進めた方が精神衛生上よい。
後日、中間転写ベルトでは頭に浮かんだ妄想からカオス混合装置を開発した実話を紹介する。科学的な知識では否定証明となってしまう場面でも妄想により掻き立てられた開発欲求により、科学を超越した発明が生まれる可能性が高いのは高分子分野である。
健全な妄想により、悪夢のような現実を起こさないように進むのが、大人の技術開発である。不健全な盲目的科学崇拝では現実否定ばかりしている場合にも、健全な妄想は希望の光を見つけ出す。健全な妄想は健全な精神と誠実で前向きな生き方により生まれる。健全な肉体は、ここぞという勝負時に必要である。
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昨日NHKスぺシャルで自動車のEV化について解説していた。セミナーで紹介しているが、CASEをコンセプトとしたDXが自動車業界で起きている。そして日本を代表する自動車メーカー、トヨタとホンダで真逆の戦略がとられている。
2015年に地球環境問題は新たなステージになりSDGsの合言葉が日常でも聞かれるようになった。SDGs実現のためにはEV化が世界の潮流だが、トヨタはLCAの観点と雇用の安定化のために急激なEV化に関し、異を唱えている。
企業の社会的責任を考慮した時にトヨタの戦略は正しい。しかし、ガラバゴス化するリスクを抱えている。国内の自動車メーカーで最も進んだEV技術を持っているのは、ルノーの子会社日産である。
ここで政府が考えなければいけないのは、日産をいつまでもルノーの子会社としておいてよいのかという問題である。日産のEV技術がルノーに吸い上げられている実態も昨日のNHKの番組で紹介されている。
バブル崩壊後日本の産業は、自由競争と日本政府の無策のために自動車産業以外国際競争力が無くなった。1980年代に「Japan as No.1」がベストセラーとなったが、今日本はGDPで中国に抜かれ、No.1どころか坂道を下っている状況である。
自動車産業が世界で戦える状況にあるのは、トップメーカーであるトヨタが頑張っているからで、政府の政策が後手に回っていることは明らかである。
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国内の電力事情を考慮し、LCAで評価した時に国内で自動車メーカーが生産を行う前提に立てばトヨタが日本のための戦略で戦おうとしていることは自明であり、昨日の番組はもっとその点を明確に伝えるべきだった。すなわち日本政府の産業政策のままであれば、ホンダも日産も海外シフトどころか会社ごと海外へ出てゆく可能性すらある。
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そうなった時、日本の雇用はどうなるのか。現在起きている変化を日本政府は正しく理解すべきであり、トヨタの戦略を後押しする政策を進めなければいけない。
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技術的視点に立った時、EVは一部の現象であり、ケンシューが予測する未来では多糖類化学工業が産業構造を変革する力となっている。これについてはセミナーで紹介している。
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多糖類化学工業が産業の中心となった時、EVは必ずしも主役ではない。日本政府は今石油化学メーカーをたばね、多糖類化学工業化する長期国策プロジェクトを立ち上げるべきだ。10年前に要素技術はすでにそろっていたので、弊社は、日本の未来のためにヒントとして公開特許を1件出願している。
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5Gはじめ情報通信分野でPPSの売り上げが世界的に伸びている。当方も5年ほど前に米国で問題となった通信会社向けにコンパウンド開発を中国で指導した経験がある。
その時、射出成型用添加剤としてPH01という新材料を開発している。この添加剤をPPSに添加すると流動性が著しく向上して0.5mm以下の薄肉射出成型が可能となる。
これはPPSの結晶化も抑制した効果もあり、割れにくくなったからである。さらに200℃で熱処理しても強度低下しない。この温度で24時間保持すると無添加のPPSと同様の強度低下を起こすことから、結晶化を抑制していると推定している。
おもしろいのは、このPH01を架橋タイプのPPSへ添加してやると繊維を引くことができた点である。これは某大学で繊維化装置を借りて実験して得た結果である。大学教授もその結果に驚かれていた。
もっと驚くべき結果は、この添加剤は一般の可塑剤と同じような効果がありそうな物性データが出ているにもかかわらず、この架橋タイプPPSが繊維化できたという結果以外にTgを下げない点も驚くべき結果である。
すなわち、高分子に可塑剤を添加すると可塑化効果により緩和速度の指標となるTgは添加量とともに低下する。しかし、この添加剤はそのような挙動を示さない。
この原因は、電子顕微鏡観察で明らかとなったのだが、ご興味のあるかたは弊社へ問い合わせていただきたい。弊社ではこの添加剤の特許に関してこれから審査請求をするところだが、事業として生かせる企業に特許を売却したいと考えている。日本でそのような企業が現れなければ、海外企業への売却も考慮中である。
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50年ほど前に耐熱性高分子の研究が盛んに行われた。そして一次構造の耐熱性への寄与について結論のようなものが出されている。ここで「ような」と書いたのは、一部研究者により見解が異なる点があるからだ。
そもそも耐熱性高分子と言っても空気中における耐熱性なのか、非酸化雰囲気における耐熱性なのかにより視点が変わる。空気中の耐熱性であれば耐酸化性を考慮しなければならず、不飽和構造は酸化されやすいので非酸化性雰囲気で耐熱性が高いと判定されても空気中では耐熱性の順位がさがる。
ゆえに耐熱性高分子と簡単に表現してもどのような高分子を耐熱性高分子と呼ぶのかは、「耐熱性」の条件により変わってくる。簡単に耐熱性高分子について論じることができない。
さらに一般使用の状況を考えたときに、ガラス転移点(Tg)が耐熱性の指標となる場合もある。例えば高分子構造材料では、Tg以上で緩和速度が上がるので、Tgの高い樹脂が選ばれたりする。
食洗器で洗浄可能なプラ容器かどうかはこのTgで決められている場合がある。すなわちTgが70℃以下の材料でできた容器を食洗器で洗浄すると変形する。但し、Tgが70℃以下でも一部架橋構造の導入された樹脂であれば変形しにくい。
この架橋構造も食洗器レベルであれば、結晶構造がその役目をできる。ただしこの時には結晶の融点が高く結晶化温度が十分に低い必要がある。
耐熱性高分子の開発は40年ほど前まで盛んに行われたが、以上の問題もあり研究は下火になっていった。また、当時の研究成果でも耐熱性=燃えにくさと一般化できないことも分かり、燃えにくい高分子の研究は難燃剤の開発へ中心が移動した。
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