セラミックスや金属材料は、おおざっぱに言えば結晶でその物性が決まる。非晶質であるガラスについては、長い間研究されてきたが、結局非晶質体それぞれの組成に応じた研究が展開されている。そして非晶質体の組成が分かると、物性予測がほぼできるところまで科学のレベルは来ている。
ゆえに結晶を非晶質相でかためたセラミックスでも結晶と非晶質相の組成が分かるとほぼ電気物性ならば予測がつく。力学物性ならば、欠陥の有無や分布からおおよその予測がつく。
しかし、高分子材料では無機材料のようにはいかない。無機材料でも実際は先に述べたような簡単な問題ではない、と言われる研究者がおられるかもしれないが、高分子材料とセラミックスの両方を研究した経験から、予測の困難さでは、高分子材料がセラミックスよりもけた違いに困難である。
例えば高分子材料の結晶について知見が得られたからと言って、その電気物性まで予測できない。不純物の影響や、高分子非晶質相の影響がかなりあるからだ。無機材料にも不純物の影響はあるが、高分子材料では不純物の影響の規則性や再現性までない。
無機材料の結晶に不純物をドープして格子欠陥を造ることができて、その電気物性を計測し、格子欠陥から電気物性を論ずることは比較的容易だが、高分子では、静置場でできる結晶はすべて球晶であり、その球晶の構造は、ラメラと非晶質相の集合体で何が何だか分からなくなる。
結晶成長の速度論すら無機結晶のようにきれいにいかない場合が多い。エチルシリケートとフェノール樹脂で均一に混合されたシリカとカーボンの前駆体を製造し、それを用いてSiCの結晶成長の速度論を展開すると、反応の最後まできれいにアブラミ式に載る。
これは当方の学位論文の半分を占めている成果なので希望者には学位論文の要約を掲載した機能材料の別刷りをお渡しできる。この別刷りに書かれたグラフのきれいな直線を見てほしい。しかし、高分子の球晶についてアブラミ式で解析すると途中で直線がおかしくなってくる場合がほとんどだ。
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高分子の帯電防止技術同様に添加剤の配合技術が重要な分野として、高分子の難燃化技術がある。下記予定でセミナーを行いますので、お問い合わせください。
高分子の難燃化技術は、帯電防止技術と異なり、偶然なんとなく難燃性が付与されることはないので薬物依存状態にはなりにくいが、それだけに正しい知識が無いと対策が難しい。
<セミナーのご案内>
日時 2019年3月29日
場所 大井町きゅりあん
<内容>
高分子の難燃化を科学で体系化するのは難しいですが、アカデミアのチャレンジ結果も出そろい経験からおおよその体系が見えてきています。混練技術にまで遡及し、経験知による体系を提示します。
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高分子成形体の帯電防止は、数値でスペックを決めないと薬物依存状態になる。なぜなら、単なる離型剤でも帯電防止効果が出る場合があり、このようなケースでは、製品が市場に出回ってから帯電故障が発生したりすることがあるので大変だ。
すなわち、たまたま離型剤の帯電防止効果が原因で製品の帯電故障が隠れていた場合、市場で問題が発生すると、もぐらたたきで他の添加剤を添加して問題解決に当たったりする。
このような対応の仕方をしていると、そのうち二種類三種類と添加剤を足してゆくことになる。実際にそのような状態になって品質対応に追われている現場を見たことがある。
このような安直な問題解決のやり方をやってはいけない。帯電故障については市場で発生している問題について、現象を確認しながら製品品質として目標とすべき仕様について数値化をするべきである。
この時表面比抵抗がよく用いられたりしているが、この表面比抵抗について悩ましい問題が存在する。すなわち、電子伝導性の物質で帯電防止をしている場合には悩まない場合もあるが、イオン電導性物質を帯電防止剤として用いているときには誘電緩和により、表面比抵抗のデータをどのように収集するのか悩むことになる。
また、湿度依存性について知識があればよいが、無い場合には測定雰囲気によるばらつきに悩まされることになる。離型剤で偶然帯電防止効果が得られた場合など湿度を変えて表面比抵抗を計測することをお勧めする。
帯電防止についてスペックを数値化せずやたら添加剤の添加効果だけ追っかけていると薬物依存になりやすいのが帯電防止技術である。薬物依存はピエール瀧だけの問題ではない。科学的に現象を把握しようと努めず安直な姿勢の材料開発シーンでも起こりうる。注意が必要だ。
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多くの高分子は絶縁体である。ゆえに静電気を防止する必要がある時には帯電防止処理を行う必要がある。最も確実な方法は、商品の表面比抵抗を10の11乗Ω未満とすることである。ただし用途によっては、この程度でも不足する場合があるので実技評価が欠かせない。
すなわち、帯電防止技術は、科学の知識だけで考えていると商品設計に失敗する可能性のある技術分野である。用途によっては表面比抵抗を下げなくても昔から知られている帯電列を調整する方法もある。
この帯電列は経験則から得られた。そして、いくつかは科学的に説明が可能だが、やはり所詮経験則である。帯電防止技術で難しいのは用途に応じた評価方法である。
電気的評価だけでなく、帯電防止処理の結果生じる副作用についてもチェックする必要がある。例えばブリードアウト。
そもそも、樹脂成形体を界面活性剤や樹脂添加剤で帯電防止を行う時にはブリードアウトすることが前提になる。すなわちカタログに帯電防止剤と書かれていてもブリードアウト速度が低い場合には十分な帯電防止効果が初期に得られない。
時間がたてばブリードアウトにより帯電防止性能が出てくるが成形直後の評価では帯電防止性能が得られない。カタログに帯電防止剤と書かれているので添加量不足と考え量を増やすと知らず知らずのうちにブリードアウトの問題を抱え込むことになる。
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この3月末に高分子の難燃化セミナーを企画しているが、新技術について公開しようか迷っている。いくつかアイデアを中国で試してみて可能性を確認しているが、特許を書いていない。一部基本特許をあるメーカーから出願し先日公開された技術もあり、それは今回のセミナーで初公開となる。
判断で悩んでいるのは、特許を出願していない技術である。これは中国のコンパウンドメーカーにも教えていない方法でまだ実用化されていない。しかし、幾つかの現象を組み合わせると新しい難燃化機能が見えてくる。
難燃化技術は、科学の世界ではとらえきれない技術であり、元名古屋大教授武田先生もその難しさについて語っている。科学では難しくとも人類は経験で、ハロゲンとアンチモンの組み合わせやリン系化合物を見つけてきた。燃えるイメージの赤燐さえも難燃剤になるのだ。
高分子の難燃化技術で難しいポイントは、難燃剤を高分子にどのように均一に分散するのかという問題である。すなわち、難燃剤成分の分散プロセスがその機能発現に影響する。難燃剤を使わないで可燃性高分子を難燃化する技術もセミナーで紹介するが、この技術は難燃剤の分散というプロセスから解放された技術である。
従来の高分子の難燃化セミナーとは少し異なる視点で、科学で対応できない技術にどのように取り組んだら良いかと言う問題解決法的な要素も講演しようと考えている。ご興味のある方は弊社へ問い合わせてください。3月29日に東京で開催します。
<セミナーのご案内>
日時 2019年3月29日
場所 大井町きゅりあん
<内容>
高分子の難燃化を科学で体系化するのは難しいですが、アカデミアのチャレンジ結果も出そろい経験からおおよその体系が見えてきています。混練技術にまで遡及し、経験知による体系を提示します。
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プレジデントオンラインによると、最近ミドルの転職が好調とのこと。理由として就職氷河期に採用を手控えた結果、管理職の人材が不足してきた、と書かれている。
当方はゴム会社でFD事件があり、不本意ではあったが、立ち上げた新事業へ影響を避けるため退職を決意している。そして高純度SiCの開発を成功させて以来、会社として交流のあったヘッドハンティング会社にセラミックスのキャリアと異なる分野の調査をお願いし、写真会社の紹介を受けている。
湾岸戦争の時であり当方はゴム会社で管理職昇進直前だった。写真会社からは研究管理部門の主任研究員と言われて転職したのだが、退職までにヘッドハンティング会社から伺っていた雇用条件を満たされていたわけではない。
原因は、バブルがはじけたために写真会社は転職の一年後にリストラを行っている。そして転職先の部門が無くなったり、分社化したり、他の会社との統合があったりと、転職時の約束がリセットされるような事情があった。
しかし、そのような雇用条件が異なっていた環境でも腐ることなく成果を出している。ライバル会社の緻密な特許網に穴をあけた金属酸化物を用いた帯電防止技術の開発やAPS用巻き癖防止PEN、高靭性ゼラチン、環境対応接着剤はじめ数多くの成果をフィルム事業で出している。
当方がいなければ写真会社に生まれなかった技術、と胸を張って言える。またライバル会社の方からもそのように褒められて悪い気がしなかった。
他の会社との統合時には左遷されて豊川へ単身赴任となったが、その時でもカオス混合装置を発明して転覆直前だったPPS製中間転写ベルトのテーマを無事事業化している。
さらに退職予定を一年延ばし環境対応樹脂の開発で成果をだして、退職予定日だった2011年3月11日は帰宅難民となり会社へ宿泊している。
日本の会社で転職者が成功する可能性は低い、ということをこれから転職される方は心しておくように。転職で成功するためには、成果を出そうと意気込まず、転職先の上司にまず気に入られるような仕事の進め方が、日本においては成果を出すよりも大切である。
すなわち、昇進よりもキャリア形成に力点を置くべきで、上司に便利に使っていただけるようにすれば、自己のキャリアアップのベクトル方向へ進むことが可能である。
写真会社では高分子技術の人材育成に尽力し博士を一名育成したが、成果を出しても評価されないと悟った50歳を過ぎてから退職までの7年間自己の高分子スキルを磨くことに専念し始めた。
PPSコンパウンドの生産ラインについては、卒業試験のつもりで半年で立ち上げている。基盤技術の無かった会社で、たった8000万円でカオス混合が可能な半自動化ラインを0から生産を立ち上げている。環境対応樹脂は、このようなチャンスを頂けたささやかなお礼である。
3月11日の退職記念パーティーは中止となり、総務部から頂いた非常食2食と誰もいない広い事務所で宿泊した。このサラリーマン最後の思い出は、転職というものがどのようなものかを理解するに十分だった。
転職先のリストラの嵐の中でゴム会社の御厚意で無機材研における高純度SiCの研究も含めた論文で学位を取得し、セラミックスのキャリアに終止符を打つことができた。
その後、福井大学客員教授の職はじめ外部の方々から頂いた御支援による様々な機会に理解を示してくださった内外の上司のおかげで高分子スキルを磨くことができた。PPSコンパウンド工場の決済をしてくださったセンター長には感謝している。
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今年度のナノテク展で高分子材料関係のシンポジウムを聴き、がっかりさせられた。詳細は以前のこの欄の報告を読んでいただきたいが、高分子物理に対する展望をシンポジウムでは聴きたかった。
1990年前後にレオロジーについて大きなイノベーションがあり、ダッシュポットとバネのモデルは忘れようと宣言されたのに、時折学会発表にゾンビのごとくバネとダッシュポットのモデルが登場していたりする。
バネとダッシュポットのモデルは技術では便利な考え方だが、科学ではもう使わないようにしてもらいたい。高分子物理は金属やセラミックスと異なり扱いにくい分野である。なぜなら高分子材料は、それら二つの材料に比較してプロセス依存性が大きな材料だからだ。
すでに特許が公開されたので話すが、オリゴマー添加剤という面白い添加剤がある。低分子可塑剤にはみられない挙動が観察される。例えば、オリゴマー添加剤を添加した処方について、カオス混合を行った場合と行わなかった場合では異なる物性のコンパウンドが得られる。
詳細は問い合わせていただきたいが、面白い現象は、オリゴマー添加剤はそれなりの分子量があるので、ラメラから球晶まで育つのだ。すなわち可塑剤として機能しない、といえばご理解いただけるかもしれない。
高分子の融点だけは下げたいが、ガラス転移点を下げたくない時にオリゴマー添加剤を活用可能である。もちろんこの添加剤はそれなりのデザインが必要であるが、今この添加剤を用いて様々なコンパウンドを開発している。
高分子物理がまだ未熟なのでこのあたりの学術情報は存在しない。だから技術として好き勝手なことができる。すなわち特許を多数書くことが可能である。ご興味のある方はご相談ください。
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ミッドレンジの複合プリンターの中間転写ベルトには、一般にポリイミドが使用されている。理由は、ベルトの周方向の抵抗ばらつきに対して厳しいスペックが定められているからだ。
ポリイミドのベルトは溶媒キャスト成膜で製造するので、周方向の抵抗安定化は容易だった。これをPPSの押出成形で作ろうとすると強度の問題以外に周方向の抵抗安定性を管理する技術が必要になる。
強度の問題については6ナイロンを添加して靭性を高めることができたのだが、その代わり、6ナイロンの島相が動く問題が生まれ、抵抗安定化が難しくなった。
6ナイロンをPPSに相溶させれば強度と抵抗安定化の両方の問題が解決するのだが、フローリー・ハギンズ理論から、その考え方は科学的に否定される。
ところで自然現象に潜む機能には、科学的に不可能であっても技術で実現できる場合がある。そもそも非平衡状態で行われる生産で発生する問題を科学で忠実に考えようとする姿勢がおかしい。
しかしこのようなおかしさについて意外と気がつかないものである。現場で発見した現象を現場で再現させて、それをモデル化して改めて問題を考え直す作業は、それが非科学的であっても、また、たとえ思いつきであっても新たな技術を創り出すには良い方法である。
思いつきの技術を否定される方もいるが、形式知や経験知、暗黙知に裏付けられた思いつき技術であれば、科学技術に匹敵する。時には、この中間転写ベルト生産技術のように科学技術の成果よりもロバストが高い場合もある。
当然のことだが、なんら知識の裏付けのない思いつきは、技術と呼べない。正真正銘の妄想である。単なる妄想かあるいは知識に裏付けられた崇高な思いつきであるかの評価は、科学第一主義では、全部妄想に見えてくるから注意が必要である。
ゴム会社の新入社員時代に2ケ月現場実習を体験しているが、これは貴重な財産になっている。科学では説明できない数々の現場の技術を目にしたとき、科学とは何かという疑問がわいた。
一方そのような現場を見て、非科学的な技術があふれた会社を否定し、転職して会社の社長にまでなった人物がいる。技術が科学的に開発されることが最重要という価値観の社会では当方の様な考え方は受け入れられにくいが、科学を前面に出せば容易に評価される。
しかし、中間転写ベルト実用化過程で開発されたカオス混合装置は、科学的というよりも経験知と暗黙知の具現化された技術であることをあえて力説したい。そのような技術でもトラブルなく20年近く安定に稼働している。
同様に試行錯誤で完成したフェノール樹脂とエチルシリケートのポリマーアロイを前駆体として用いた高純度SiCの事業は30年続き、昨年暮れに名古屋の会社に事業移管された。また、この技術の概念はアカデミアでも受け入れられ、同様の手法で新しい材料を生み出している研究者も出てきた。これらに限らず当方の開発成果には非科学的な成果が多い。
ただし、新しいモノを創り出すときには非科学的ではあるが、できたモノの解析は科学的に行うのが当方の開発スタイルであり、学位論文はその科学的成果をまとめたものである。
過去の雑誌「機能材料」に、2ケ月間連載で当方の学位論文の要約版が掲載されている。当方の学位論文をどなたかが編集者に推薦してくださったようだが、光栄なことである。今の時代学位論文は大量に生産されているが、このような栄誉は数少ないと思う。
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20世紀には技術の世界で経験知や暗黙知がやや軽んじられていたように思う。形式知は重要だが、経験知や暗黙知も重要で、経験知を正しく伝承できるようメーカーはその仕組みを備えなければいけない。
PPSと6ナイロンの相溶は、形式知からは否定される現象だが、当方の暗黙知によれば発生しうる現象であった。また過去に経験知としてΧが正であっても相溶して透明になる現象を成功させた二つの経験知があった。
さらに、ゴム会社の新入社員研修で現場の職長から「押出成形は行ってこいの世界だ」という経験知を伝授されていた。すなわち、押出成形では、コンパウンドの完成度が低いと押出成形で狙った形状を付与することすらできなくなる、という。
これらの経験知や暗黙知から、PPSと6ナイロン、カーボンのポリマーブレンドの押出成形ではコンパウンドの完成度が低いことに着目し、パーコレーション転移の制御のためにはPPSと6ナイロンが相溶しなければいけない、とまで思っていた。
このような思いで中間転写ベルトの製造工程に立っていたので、音の変化に敏感に対応することができた。以上にのべた経験知や暗黙知が無かったなら、仮に音の変化に気がついたとしても、俊敏にDSC測定を行ったり、ベルトの廃材を集めさせる指示を出せなかったと思っている。
半年しかなかった開発時間において、形式知だけで対応していたら技術を成功させることはできなかった。また、カオス混合装置の発明はロール混練の経験知があったからこそ少ない実験で実用化可能な設備を完成させることができた。
退職直前に頂いたチャンス、高分子学会賞の審査会ではこのあたりを正直に述べて落選しているが、ポリマーフロンティアで講演できる機会を頂いた。またカオス混合装置については元神戸製鋼の技術者が自分の発明と称して講演されるぐらいの評価を頂いている。
ただし特許はコニカミノルタと、その別のバージョンが小平製作所から出願され登録されている。芸能界では物まねが出てくれば一流と言われているが、技術の世界でもパクリが現れれば一流である。しかも混練の世界では一流と言われている人にパクられたのだから技術者として本望であるが、偽物に騙されている人に同情する。
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コンパウンドを外部から購入しなければいけないという制約があったので、子会社の空き地に工場を建てられるように交渉を始めたら、運が良いことに豊川の近くの袋井の子会社に空き地があるという。
下見をしたところ、二軸混練機を2ライン置ける広さの空き部屋が偶然見つかった。その部屋の図面をもらい、形状だけ写し取って、根津にある中小企業の社長にお願いして、埼玉にその写しの形状と同じ広さを取れる空き工場を探してもらった。
埼玉の空き工場に、中古の二軸混練機1台設置し、ラインを組み始めた。1ケ月ほどでカオス混合ラインは完成した。そのかわり土日の休日は全部潰れるとともに、新幹線代が個人負担になった。
このあたりを細かく書くと愚痴しか出てこないので、ここでやめるが、問題解決の方法が見つかっても組織の協力が得られない場合には、このような個人の犠牲を払うのか、問題解決をあきらめるかの選択になる。
犠牲を払ったとしてもサラリーマンとして報われないことが分かっていたが、世界初のカオス混合ラインという魅力に自腹を切る覚悟をし、新たなテーマ企画をDRにかけて審議してもらった。
秘密の混練ラインで生産したコンパウンドを用いたところ、リサイクルコンパウンドよりも歩留まりが向上し100%に到達した。しかし、最初の企画提案で行ったDRの資料には、押出成形工程で作ったコンパウンドのデータを用いて説明している。そして、この押出成形工程を子会社の敷地にコンパウンドラインとして作り上げ3ケ月で完成させるシナリオを審議してもらった。
コンパウンドの生産ライン建設に本当はどれだけかかるのか知っている人などいないので、無事この企画は通過した。センター長は8000万円の設備投資を許可してくれた。この設備投資の許可を受けて、二回目のDRでは、カオス混合プロセスによる本格的なコンパウンドライン建設提案を行っている。(続く)
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