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2016.12/24 微粒子の粒径

一般の微粒子は、粒度分布があり、そのサイズにより扱いやすさが異なる。ここで問題となるのは、粒度分布の測定方法で、多くの方法では、適当な溶媒に微粒子を分散させて粒度分布計で測定する。

 

多くは水に界面活性剤を添加した溶媒を用いる。すなわち粒度分布の測定では、溶媒の中で微粒子が一粒ずつ分離し、分散していることを仮定している。これを忘れている人が多い。

 

細かい問題を問わなければ、多少凝集粒子が存在したとしても、その統計的分布は大きな影響を受けないので得られたデータをそのまま活用できる。

 

しかし、粒度分布には、これ以外に測定装置の影響も無視できない場合がある。測定装置の影響は粒度分布測定装置の営業マンも売込みトークとして用いる場合もあるのでご存知の方も多いと思うが、測定時に溶媒の中で微粒子が単離しているかどうかは、どの測定装置でも存在する。

 

ゆえに微粒子の粒径測定において、必ず電子顕微鏡観察との併用が重要になってくる。この時の観察では、少なくとも3視野以上みておく必要がある。

 

もし電子顕微鏡写真で求めた粒径分布と粒度分布系で求めた分布とが異なった結果であれば、粒度分布測定時に溶媒中で粒子がクラスターを形成している可能性がある。ただし、電子顕微鏡では狭い視野の範囲における粒度分布である点を忘れてはいけない。ゆえに少なくとも3視野以上観察する必要がある。

 

カテゴリー : 高分子

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2016.10/26 ホウ酸エステル(2)

燃焼時の熱でボロンホスフェートを合成し、基材の高分子を難燃化するアイデアは、当時として画期的であった。しかし、貯蔵安定性にすぐれたホウ酸エステルの分子設計が問題となった。すなわち、簡単な構造のジオールとホウ酸から合成されるホウ酸エステルでは耐水性が無いので、工場で使用できない。
 
しかし、この問題はたまたま実験室にジエタノールアミンがあったので、簡単に解決できた。もっともポリウレタンの研究開発を行う部門だったので、ジオール類は一通りそろっていた、という好条件が幸いした。運が良かったのだ。
 
ホウ酸とジエタノールアミンとの反応は簡単だった。両者を混合し、100℃で1時間程度攪拌するだけで合成された。水が副生するが、軟質ポリウレタンフォームでは発泡剤として水を使用するので脱水する必要は無かった。
 
面白いのは、脱水しなくてもホウ酸エステルの構造で安定に存在している現象だった。マススペクトルで、6ケ月経過後のホウ酸エステルを評価しても合成直後と変わらなかった。また、ポリウレタンの反応にもジエタノールアミンの効果を考慮すれば、影響がないと結論できた。
 
ホウ酸エステルとリン酸エステルを併用して軟質ポリウレタンに添加したところ、期待通りの高い難燃効果が得られ、燃焼後の残渣には材料設計通りボロンホスフェートが残っていた。
 
指導社員の指示で、市販の主だったリン酸エステルとの組み合わせについて実験を行った。50配合程度評価したので、その燃焼結果を多変量解析した。その結果、統計学的にもホウ素とリンとの交互効果が確認された。リン酸エステルについて主成分分析を行い、化合物の分類をしてはいたが、残渣分析の結果からは、リン酸エステルの構造の影響はほとんど無かった。
  
 

カテゴリー : 一般 高分子

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2016.10/25 ホウ酸エステル(1)

始末書を書くことになったホスファゼン変性軟質ポリウレタンの開発により、炭化促進型難燃化システム(インツメッセント系の難燃化システム)の設計法を見出した。その設計法が汎用的な考え方かどうか確認するために、ホウ酸エステルとリン酸エステルとの併用系の難燃化システムを研究開発した。
 
そもそもリン系の難燃剤では、燃焼時の熱と酸素でオルソリン酸が生成し、240℃以上で揮発する。リン酸のユニットが脱水と炭化反応の触媒作用を発揮しているのだが、燃焼時には炭化反応に寄与するやいなや揮発している。
 
リン酸エステル系難燃剤を添加し、難燃化した軟質ポリウレタンフォームの燃焼試験を行うとそのことを確認できる。すなわち、燃焼時のガスの中にはリン酸成分が観察されるし、燃焼後の炭化物について分析するとほとんどリンのユニットが残っていない。
 
ところがホスファゼン変性軟質ポリウレタンフォームの燃焼試験をして驚いた。まず煤の発生がほとんどなく(注)、ガス分析を行ってもリン成分が燃焼ガスに観察されない(注)。燃焼後の炭化物を分析するとホスファゼン分解物が添加量に相当する量で残っていた。
 
そこで燃焼時にリンを含む単位を揮発しないように固定化するアイデアを考案した。すなわちホウ酸エステルと反応させてボロンホスフェートの形態にすることを提案した。始末書に書かれたこのコンセプトは主任研究員に大うけした。始末書としては0点だったかもしれないが、とりあえずこのアイデアでご機嫌を取ることができた。
 
(注1)煤は不完全燃焼で発生する。しかし、煤として飛散するまえにチャー(燃焼面にできる炭化物のことをこのように呼ぶ)に変化させる機能がホスファゼンには(リンのユニットには)触媒作用として存在する。ホスファゼンでは、その耐熱性のある骨格で触媒作用を示すリンのユニットが揮発しない。一般的なリン酸エステルでは、熱分解してオルソリン酸に変化する。エクソリットのような金属イオンが存在したリン酸エステルでは、ホスファゼン同様にリンのユニットが揮発しにくい。

 

カテゴリー : 一般 高分子

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2016.10/24 ホスファゼンの高分子量体

ホスファゼンのポリマーには、P=Nを線状につないだポリマーと、環状のまま重合させたタイプとがある。ホスファゼン変性軟質ポリウレタンでは、ホスファゼン環(ジアミノ体)とイソシアネート系化合物を反応させて、有機無機ハイブリッドポリマーを合成している。
 
このハイブリッドポリマーに含まれるホスファゼンブロックは、難燃機能以外にポリマーの可塑化機能も有している。ポリエーテル系軟質ポリウレタンでは、ポリエーテル部分がエラストマーの機能を発揮するので、ホスファゼンブロックの可塑化効果は大きく表れない。
 
既存商品のスペックと同等の軟質ポリウレタンを開発する必要から、ホスファゼンブロックをポリエーテルセグメントに入らないように分子設計した。その結果、Tgも含め諸物性は未変性品とほとんど変わらない軟質ポリウレタンを合成できた。
 
社会に出て初めて学生時代に学んだ知識を仕事に適用したのだが、力学物性のコントロールには、この仕事を担当する前の3ケ月間に学んだ知識が活用された。ホスファゼンについては、大学院を修了し、就職までの二週間の春休み期間中に大学院で在籍した講座の先生に許しを得て、少し研究していた。
 
今時の学生は、社会人前に卒業旅行というのが定番のようだが、ドラッカーが愛読書だった当方は、社会に出る前に少しでも知識を詰め込んでおこうと努力していた。春休みの二週間では、一日24時間しかないのでいくら頑張ってもホスファゼンの精製と各種ジアミノ体の合成程度しかできなかったが、ショートコミュニケーションにまとめられる程度の実験データが得られた(注)。
 
ホスファゼン誘導体について当時の状況を一言で書くと、ファイアーストーン社でエラストマーの実用化が発表され、新素材として注目を浴びつつある時代だった。当方がゴム会社に就職したのもこの情報の影響を少し受けた。
 
ホスファゼン変性軟質ポリウレタンフォームの開発では、春休みに合成したホスファゼンが使われた。教授から記念品としていただいたのだが、35年ほど前にはこのあたりの管理はゆるかった。始末書を書きながら反省していた記憶がある。しかし、小保方氏の「あの日」を読み今でも管理がゆるい研究組織が存在していることに驚いた。
 
(注)ゴム会社に就職して10月までは新入社員研修だった。この期間に、報文を二報ほどまとめ大学の先生に提出している。ホスファゼンを頂いたお礼である。ホスファゼンの原料は安価だが、ホスファゼンは日本で市販されたばかりで高価だった。ご指導してくださった先生は少しユニークで、バケツで大量に合成する方法を教えてくださった。数百円程度の原料で、数キログラム合成できたので購入するよりも安価だった。ファイアーストーンで研究しているなら同じような**ストーンという名前の会社も研究するだろうと、餞別がわりにその先生が精製物をガラスに封管してプレゼントしてくださった。これがホスファゼン変性軟質ポリウレタンフォームに活かされた。40年ほど前の思い出である。卒業旅行も楽しいかもしれないが、夢をみながらの研究も楽しい。
 

カテゴリー : 一般 高分子

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2016.10/02 高分子の難燃化技術講演会

創業から5年たち、いろいろな業務を経験することができました。その中で高分子の難燃化技術は、ゴム会社へ入社1年後から3年間担当した業務でした。ホスファゼン変性ポリウレタンやホウ酸エステル変性ポリウレタン、ケイ酸変性フェノール樹脂など燃焼時にリン酸ユニットを系内に保持する炭化促進型コンセプトで開発した技術は、40年ほど前では斬新な考え方で、学会の招待講演などでも高い評価を得ました。
 
その後、イントメッセント系難燃剤などが注目され、現在に至っておりますが、燃焼時にリン酸ユニットを固定し、炭化促進を行う難燃化手法は、三酸化アンチモンとハロゲンの組み合わせによる難燃化手法と同様現在でも主要な難燃化技術(イントメッセント系難燃剤も同様のコンセプトの発展形)として採用されております。
 
今回、この難燃化技術にさらに磨きをかけるため、新素材を開発いたしました。まだ特許出願中のため素材の詳細を開示できませんが、基本コンセプトについてわかりやすく解説する講演会を開催いたします。弊社へお申込みいただければ、新素材を開発した企業のご紹介等特典がございます。
 
なお、11月には科学にとらわれない思考法をベースにした問題解決法の講演会を予定しております。本講演会では、従来の科学的な問題解決法をおさらいし、そこに潜む問題点を明らかにし、新たな技術を創造するための誰でもできる発想法と当方がこれまで用いてきて有効だったノウハウを伝授いたします。
 
1.機能性高分子の難燃化技術とその応用
 
(1)日時 10月4日  10時30-17時30分まで
(2)場所:東京・西新宿
(3)参加費:48,600円
 
(注)評価技術に力点を置き、高分子物性を創りこむノウハウもご説明致します。
 
https://www.j-techno.co.jp/seminar/ID57NLFEZ15/%E6%A9%9F%E8%83%BD%E6%80%A7%E9%AB%98%E5%88%86%E5%AD%90%E6%9D%90%E6%96%99%E3%81%AE%E9%9B%A3%E7%87%83%E5%8C%96%E6%8A%80%E8%A1%93%E3%81%A8%E3%81%9D%E3%81%AE%E5%BF%9C%E7%94%A8/
 
2.高分子難燃化技術の実務
 
(1)日時 10月27日  10時30-16時30分まで
(2)場所:江東区産業会館第一会議室
(3)参加費:49,980円
 
(注)難燃性と力学物性、さらに要求される機能性をどのようにバランスさせ品質として創り込むのか、という視点で解説致します。

 
https://www.rdsc.co.jp/seminar/161026
 
3.11月度開催予定の講演会は下記

https://www.rdsc.co.jp/seminar/161116

カテゴリー : 学会講習会情報 電気/電子材料 高分子

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2016.09/29 問題となった、ある規格

昨日10月4日の講演会の紹介のためにかつて社会問題になった建築の難燃規格について触れた。これは、規格に定められた試験試料に着火する方法が問題で、試料をセットし、試験が開始され炎がこの試料に当たると燃焼し始める。

 

すべての試料が手順通りに着火してくれればよいが、試験試料の中には余熱や試験炎が着火した瞬間の熱で、もちのように膨れ始める材料があった。最初この発見をした人は、高卒の技能員の方で、これは面白い発見ということになった。
 
ところが、試験試料がもちのように膨れ、試験炎から逃げるために試料へ着火することができないので、本来ならば試験は失敗のはずだ。ところがこの規格では試験試料の変形について炎から逃れるほどの大変形あるいは着火しない場合についてどのような判定にするのか決めていない。これは評価法がおかしいのだが、お国の偉い先生方が考えられた成果ということで疑われることはなかった。
 
その結果、もちのようにうまく確実に膨れる材料の研究開発が行われ、材料設計手法について特許出願がなされた。他メーカーもリバースエンジニアリングと特許情報から同じような材料設計の商品を特許回避して製造するようになった。
 
このような場合に、現在の企業ならば、評価法の問題を疑い、本来規格が目指しているあるべき姿を想定し、改良された新評価法を開発する。そしてその評価法を権利化するとともに、その評価法で必要となる材料群の特許を押さえ、評価法は無償で開放しその評価法を標準規格にする戦略をとるのが正しい。
 
しかし、当時はそのような発想が無かったので、狭い範囲の特許出願しか行われず、他社が類似技術で追従することが容易となり、難燃性に問題を抱えた商品が主流になる事態になった。
 
責任は問題のある規格を制定した国にあるわけだが、実際には問題とわかっていてもそれを是正せず普及させた企業も同罪である。社会に出て経験が浅い当方は問題の是正を上司に提案しているが、逆に誤った指導をされた。ただその指導方法にも少し問題がったので、反骨精神で難燃化技術について評価技術も含め、あるべき姿を追求するようになった。
 

カテゴリー : 学会講習会情報 高分子

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2016.09/28 高分子の難燃化技術講演会(10・4)

10月4日に高分子難燃化技術に関する講演会を予定している。高分子の難燃化技術は科学で扱いにくい分野である。40年以上前にはアカデミアで積極的に研究されたテーマだが、30年ほど前から研究発表が少なくなっていった。
 
また、そのころから、LOIとかULなどの規格が普及していった。規格の中には科学的に決められたにもかかわらず、火災を普及させるようなものも登場している。それは、社会問題となってから規格の見直しが行われ,現在は使われていないが、当時は新聞にも取り上げられ大問題になった。
 
これは、科学的に決められた規格に対して、企業におけるある発見がもとになり規格を科学的に解析し、規格を通過できる材料設計を科学的に推進したことが原因で問題が大きくなった。すなわちその規格を採用した各企業で同じような材料設計の商品が販売されたために日本全国に問題が広がった。
 
当方がゴム会社に入社して2年目の出来事だったが、LOIのJIS化が制定されようとしていた時である。そのLOIを用いて、先に述べたとんでもない材料設計の問題を指摘したのだが、上司の主任研究員は、LOIは商品規格ではないので問題とはならず、自社の商品は国の規格に通過しているので問題ではない、と涼しい顔をしていた。
 
このような問題は、今の時代では涼しい顔は許されない。企業の社会的責任として、仮にお上が制定した規格であってもその間違いを積極的に指摘しなければいけない。さらに規格に問題を見つけた場合には、本来のあるべき姿を想定し、知財戦略を展開するチャンスでもある。
 
難燃化技術に関しては科学的に扱いにくい、という理由以外に、その手段が限られる問題がある。未だに炭化促進型がドリップ促進型のいずれかの手法の材料設計となり、用いる添加剤もほぼ定型になりつつある。
 
ただまだ新しいアイデアの出てくる余地はあり、今回の講演会では、電子材料に焦点をしぼり、その考え方を説明したい。1日では難燃化技術全体を講義できないので、10月下旬にも異なる視点の講演会を予定しているので、両方の講演会に参加することをお勧めしたい。
  

カテゴリー : 一般 学会講習会情報 高分子

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2016.09/26 高分子の難燃化技術講演会

創業から5年たち、いろいろな業務を経験することができました。その中で高分子の難燃化技術は、ゴム会社へ入社1年後から3年間担当した業務でした。ホスファゼン変性ポリウレタンやホウ酸エステル変性ポリウレタン、ケイ酸変性フェノール樹脂など燃焼時にリン酸ユニットを系内に保持する炭化促進型コンセプトで開発した技術は、40年ほど前では斬新な考え方で、学会の招待講演などでも高い評価を得ました。
 
その後、イントメッセント系難燃剤などが注目され、現在に至っておりますが、燃焼時にリン酸ユニットを固定し、炭化促進を行う難燃化手法は、三酸化アンチモンとハロゲンの組み合わせによる難燃化手法と同様現在でも主要な難燃化技術(イントメッセント系難燃剤も同様のコンセプトの発展形)として採用されております。
 
今回、この難燃化技術にさらに磨きをかけるため、新素材を開発いたしました。まだ特許出願中のため素材の詳細を開示できませんが、基本コンセプトについてわかりやすく解説する講演会を開催いたします。弊社へお申込みいただければ、新素材を開発した企業のご紹介等特典がございます。
 
なお、11月には科学にとらわれない思考法をベースにした問題解決法の講演会を予定しております。本講演会では、従来の科学的な問題解決法をおさらいし、そこに潜む問題点を明らかにし、新たな技術を創造するための誰でもできる発想法と当方がこれまで用いてきて有効だったノウハウを伝授いたします。
 
1.機能性高分子の難燃化技術とその応用
 
(1)日時 10月4日  10時30-17時30分まで
(2)場所:東京・西新宿
(3)参加費:48,600円
 
(注)難燃性と力学物性、さらに要求される機能性をどのようにバランスさせ品質として創り込むのか、という視点で解説致します。
 
https://www.j-techno.co.jp/seminar/ID57NLFEZ15/%E6%A9%9F%E8%83%BD%E6%80%A7%E9%AB%98%E5%88%86%E5%AD%90%E6%9D%90%E6%96%99%E3%81%AE%E9%9B%A3%E7%87%83%E5%8C%96%E6%8A%80%E8%A1%93%E3%81%A8%E3%81%9D%E3%81%AE%E5%BF%9C%E7%94%A8/
 
2.高分子難燃化技術の実務
 
(1)日時 10月27日  10時30-16時30分まで
(2)場所:江東区産業会館第一会議室
(3)参加費:49,980円
 
(注)評価技術に力点を置き、高分子物性を創りこむノウハウもご説明致します。
 
https://www.rdsc.co.jp/seminar/161026
 
3.11月度開催予定の講演会は下記

https://www.rdsc.co.jp/seminar/161116

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2016.09/21 高分子の難燃化技術講演会

創業から5年たち、いろいろな仕事を経験することができました。その中で高分子の難燃化技術は、ゴム会社へ入社1年後から3年間担当した業務でした。担当業務の中で自ら企画したテーマ、ホスファゼン変性ポリウレタンやホウ酸エステル変性ポリウレタン、ケイ酸変性フェノール樹脂など燃焼時にリン酸ユニットを系内に保持する炭化促進型コンセプトで開発した技術は、40年ほど前では斬新な考え方で、学会の招待講演などでも高い評価を得ました。
 
その後、イントメッセント系難燃剤などが注目され、現在に至っておりますが、燃焼時にリン酸ユニットを固定し、炭化促進を行う難燃化手法は、三酸化アンチモンとハロゲンの組み合わせによる難燃化手法と同様現在でも主要な難燃化技術(イントメッセント系難燃剤も同様のコンセプトの発展形)として採用されております。
 
今回、この難燃化技術にさらに磨きをかけるため、新素材を開発いたしました。まだ特許出願中のため素材の詳細を開示できませんが、基本コンセプトについてわかりやすく解説する講演会を開催いたします。弊社へお申込みいただければ、新素材を開発した企業のご紹介等特典がございます。
 
なお、11月には科学にとらわれない思考法をベースにした問題解決法の講演会を予定しております。本講演会では、従来の科学的な問題解決法をおさらいし、そこに潜む問題点を明らかにし、新たな技術を創造するための誰でもできる発想法と当方がこれまで用いてきて有効だったノウハウを伝授いたします。
 
1.機能性高分子の難燃化技術とその応用
 
(1)日時 10月4日  10時30-17時30分まで
(2)場所:東京・西新宿
(3)参加費:48,600円
 
(注)難燃性と力学物性、さらに要求される機能性をどのようにバランスさせ品質として創り込むのか、という視点で解説致します。
 
https://www.j-techno.co.jp/seminar/ID57NLFEZ15/%E6%A9%9F%E8%83%BD%E6%80%A7%E9%AB%98%E5%88%86%E5%AD%90%E6%9D%90%E6%96%99%E3%81%AE%E9%9B%A3%E7%87%83%E5%8C%96%E6%8A%80%E8%A1%93%E3%81%A8%E3%81%9D%E3%81%AE%E5%BF%9C%E7%94%A8/
 
2.高分子難燃化技術の実務
 
(1)日時 10月27日  10時30-16時30分まで
(2)場所:江東区産業会館第一会議室
(3)参加費:49,980円
 
(注)評価技術に力点を置き、高分子物性を創りこむノウハウもご説明致します。
 
https://www.rdsc.co.jp/seminar/161026
 
3.11月度開催予定の講演会は下記

https://www.rdsc.co.jp/seminar/161116

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2016.09/15 高分子の難燃化技術(10月に2件講演をします)

高分子の難燃化技術はアカデミアで取り扱いにくいテーマである。燃焼は酸化反応の急激に進行する現象だが、急激に不均一に進行するので再現性のあるモデルをどのように立案し、それを解くのかという難しい問題がある。
 
この問題は、難燃性の評価技術についても同様で、結局高分子の用途に応じていろいろな規格が生まれてくる背景になっている。今となっては昔の話だが、建築研究所が科学的に研究して得られた結論を用いて制定した建築用高分子発泡体の難燃化規格があった。ところがこの規格に合格した材料が原因で大火になった事件が起き問題となったが、これは火災と言う現象において科学が万能では無かったことを示した事件である。
 
まず、
 
10月に豊富な実務経験に基づく難燃化技術について、2件講演会を企画しています。
 
ご興味のある方は、弊社へお問い合わせ、並びにお申込みいただければ、特典がございます。
 
特典その1:考案されたばかりの高分子の難燃化システムの情報が得られます。
 
特典その2:電子ブック「高分子のツボ」を進呈します。
 
という宣伝をさせていただきましたが、このたび、難燃助剤として高い効果のある新規化合物を開発しました。この化合物の特徴として、難燃剤の添加で問題になる樹脂の変色が軽減される実験結果が見つかっています。まだ開発されたばかりで、今後応用事例を増やしながらこの新難燃化システムの第一の特徴と言えるように開発を進めたいと思っています。
 
なお難燃剤セミナーは10月上旬と下旬に企画されており、難燃化技術の基本的な内容は共通ですが、それぞれの講義の趣旨は異なりますので両方を受けていただくと、難燃化技術のノウハウの全体像がご理解いただけます。もちろん片方だけでも他社の1日のセミナー同様以上の受講効果はございます。このようにセミナーを二種企画しました背景は、異なる視点でこの技術を眺めると見えてくるものがあるからです。二種受講される方には割引特典が付きます。ぜひご検討ください。

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