電気自動車が自動車の未来の姿として本命視されている。しかし、電池の充電時間の長さは内燃機関と比較したときに解決されなければならない問題である。これに対して電池交換式のシステムが中国で稼働し始めた。
燃料電池車は、水素を充填すればよいのでガソリンと同様の短時間補給となる。しかし重い水素ボンベという問題がある。一方燃料電池よりもエネルギー変換効率は悪くなるが、水素をエネルギーとして用いた内燃機関というアイデアも古くから検討されてきた。
恐らく自動車メーカーでは未来の自動車像を描くのに苦労しているのではないか。例えば、トヨタはハイブリッド車以外に燃料電池車や電気自動車を品ぞろえしている。さらにマツダと提携しロータリーエンジンの検討もしている。
ロータリーエンジンは、20世紀にレシプロエンジンよりも水素を燃料とした場合に燃費が良い点が話題となっていた。ゆえにロータリエンジンを発電機に用いる日産自動車のeパワー式アイデアも注目されている。
未来の自動車は、モーターを動力とする車が主流になる可能性が高い。その結果エンジン組み立てという高い参入障壁が無くなるので、自動車メーカーは大変である。100年後には自動車メーカーランキングが今と全く異なったものになっている可能性を否定できない。
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「組織で働く」とは、いかに他のメンバーに対して気配りするのか、と同義だとサラリーマンを経験して学んだ。管理者が優秀であれば、メンバーはそのような気配り能力が無くても組織はうまく機能してゆく。
マネージメントとはそのために考え出された技術である。マネージメントを人間にあらかじめ備わっている能力だと誤解している人がいるが、これは学ばなければ身につかないし、組織で働く経験、すなわち実戦を経験しなければ理解できない部分もある。
高分子のコンパウンディングは、添加剤に対して気配りなどしない高分子を如何にマネージメントしたらよいのか、と考えるとうまくゆく場合が多い。必ずうまくゆくとまで言い切らないのは、当方の経験知だからである。
ところが混練の教科書にはこのようなことが書かれていない。物質を分散するためにどのようなスクリュー設計が、あるいは混練条件があるのか、などといった説明になっている。
だから、同じような混練条件で添加剤を分散していても、あるお客さんでは品質問題が起きているのに、他のお客さんでは起きていない、という一見不思議なことが市場で発生する。
あるいは、ある高分子では問題が起きていなかったが、他の高分子では問題が発生した、とか、従来のロットでは問題が無かったが、新しいロットで問題が発生した、といったことまで起きる。
これらは、高分子に気配りすれば、納得がゆく場合が多い。高分子にしてみれば、添加剤は異物である。できれば仲間と肌を合わせていたいのに、奇妙な物質を機械で押しつけられても排除したくなる。
添加剤の中には高分子とくっついていると気持ちの良いものもあるかもしれないが、大抵の高分子は仲間とくっついていたほうが気持ちが安定する。その結果、混練機から押し出された高分子は添加剤を排除したいと思いながら冷えてゆく。
冷えてゆくときにハイな気分の高分子から気力のない高分子まで様々な気分の集合体へとコンパウンドは変化してゆく。ガラス転移以下となっても体の一部が興奮してどうしようもない高分子がいるので部分自由体積なる空間ができる。
人間でさえどんなに寄り添おうとしても完全な理解はできないように、高分子についても完全にその気持ちを理解できるわけではない。しかし、「高分子を加工する」ではなく「加工される高分子」を見つめることでカオス混合装置を発明している。
科学的ではないが、それでも大手一流コンパウンドメーカーのコンパウンドよりも性能のとびぬけたコンパウンド開発に成功している。品質問題に悩まれている技術者は、もう少し謙虚になって高分子の気持ちを考えてみてはいかが。
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高分子を高機能化したいときに機能向上のための添加剤を添加する必要がある。そのとき多くは混練プロセスが利用されるが、高分子の立場に立って技術者がプロセス設計できるかどうかが問題である。
例えば二軸混練機で混練するときのスクリュー設計について考え方がいろいろあることを御存じない技術者がいる。二軸混練機の老舗の一つコペリオンと日本を代表する混練機メーカーのKOBELCOでは、同様の効果が得られるとされているスクリューセグメントの形状が大きく異なる。
形状は異なるが、確かに同様の効果が得られることを確認している。面白いのはコペリオン社のスクリューセグメントでは、トルクがあまり高くならないのだ。
これをどのように考えたらよいのか。コペリオン社はその特徴からローターよりも優れている、と説明しているが、結果だけを見ていると正しいように見えるが、いつもこのような結果が得られるわけではなく、配合系が変わるとトルクが上がっても練りが良く進むローターの方が扱いやすい場合がある。
これは二軸混練機の難しさであるが、高分子の立場に立ってみれば、スクリューは混練で発生している剪断流動と伸長流動にエネルギーを伝える機能に過ぎない。スクリューで添加剤を分散している、と錯覚してはいけない。
確かに無機微粒子などはスクリューの剪断力により解砕が進行するのでスクリューで分散していると思いたくなるが、高分子が濡れたくないような無機微粒子では分散が進みにくい。すなわち、ある配合系で分散がうまくいったスクリューセグメントで異なる配合系を混練したらうまくゆかなかったケースとはこのような場合だ。
落ち着いて高分子の気持ちを考えてやると、濡れたくない無機微粒子の存在や、濡れたくても自分の都合で濡れにくい現象を理解することができる。
委託混練を行っている中小企業の社長に頼んでPPS/6ナイロン/カーボンの配合系を混練してもらったときに、PPSはカーボンの噛みこみが悪い樹脂だから6ナイロンを添加しているのか、と聞かれた。
当方は初めて担当したので理由は不明だと答えたが、カーボンが逆流して軸の隙間からこぼれてきたのを見て、この社長は6ナイロンが入っていても嚙み込みが悪いのか、とぶつぶつ言っていた。
この社長はPPSの混練は慣れている、と言っていたが、その慣れている社長がこの有様である。もちろん誰でも失敗はあるが、失敗の原因はPPSという樹脂の気持ちを理解していなかっただけだ。
PPSは、その気持ちに合わせて混練条件をうまく選定してやるとカーボンとはよく濡れる。当方が3か月で立ち上げた混練ラインではカーボンが逆流するような現象は発生していない。
これは高分子の相手が無機微粒子の場合だが、相手が低分子の場合には、混練条件でブリードアウトの傾向が変化することも高分子の気持ちになって想像してほしい。
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転職してびっくりしたことは多い。企業によりその風土の異なることは覚悟していたが、研究開発部門でありながら「企画をやりたい」と申し出る人が多かったことである。ゴム会社で受けた研修では、日々の仕事に革新の意欲をもって取り組んでほしい、と教えられた。
「かくしん」には「確信」もあるので聞き間違いだろう、と言われると困る。話の前後から、また研修内容から「革新」すなわちイノベーションであることは間違いない。当時イノベーションと言う横文字は今ほど使われていなかった。
そもそも、研究開発部門では、毎日の仕事にイノベーションの要素が必要なだけでなく、一つ実験を行う時にもそこには企画の要素が入ってくる。
そこが理解できておれば、企画部門に異動したい、などという不満が多くの人からでてこないはずだ。ところがいろいろ話を聞いてみると、日々の仕事は混ぜて塗っての繰り返し、と言うのである。大学院まで出てきた高学歴の社員が作業者のような感覚で仕事に取り組んでいたのだ。
確かに塗布技術において処方開発では、混ぜて塗っての繰り返し業務が増えるのは仕方がない。しかし、配合設計には、日々イノベーションが求められていることを理解していない。
そもそも配合設計という技術分野があることを転職した部門では、あまり意識されていなかった。タグチメソッドのブームの始まりの時期であり、イノベーションを起こすには転職者として良いタイミングだった。
ゴム会社で3か月防振ゴムの開発に取り組んだが、そこではダッシュポットとバネのモデルによるシミュレーション結果と配合設計技術とのつながりの悪さをつなげる工夫が必要だった。
すなわち科学的に研究開発を進めなければいけない環境において、技術開発をどのようにしてその香りにするのか、日々イノベーションが求められた。
今では素直に科学と技術では実験のやり方が、また現象の捉え方が異なる、と指導できる。しかし、20世紀の科学の時代には、猫も杓子も「科学、科学」と叫んでいた。大切なのは社会にイノベーションを起こしうる技術開発なのだ。科学は一つの哲学に過ぎない。
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実験計画法やタグチメソッドで用いるラテン方格は、試行錯誤を統計的に効率よく実施できるようになるので便利なツールである。当方は、高純度SiC前駆体の合成方法の開発や、電気粘性流体、SiC基切削チップの開発でラテン方格を用いた試行錯誤により、成果を出している。
試行錯誤というと科学的ではないという理由で軽蔑される人がいるが、科学的に業務を進めていては天文学的工数が必要となる仕事でも短期間に成果を出すことができる、侮れない方法である。
但し、そのためには少し頭を使う必要がある。頭の使い方として、ラテン方格はその一つである。ほかにもヘディングを含め頭を使う方法があるので、機会があればこの欄で紹介したいが、ラテン方格は、説明しやすく、また多くの人に納得いただけるツールである。
ここで、「多くの人」としたのは、世の中には「科学こそ命」と、科学的方法以外を排除する人がおられるので、少し気を遣った表現である。
ラテン方格の使い方は簡単であるが、試行錯誤でありながら実験の「計画」を立てる必要があるので少し面倒である。しかし、少しの手間暇かけただけの効果はある。
例えば、SiC基切削チップの開発では、開発成果を用いて旋盤で鋳鉄を削ることに成功している。昔日本化学会で発表しているが、ほとんど注目されていないので、発表する場を間違えたと思っている。
SiCチップで鋳鉄を削れないことをそもそもご存じない方が多い、鉄とシリコンの化学反応が起きてあっという間にチップが摩耗し、その表面は独特の形状になる。昔、東京工業技術試験場の先生にご指導されながら、切削チップの評価を行ったが、SiCでは、鉄系の鋼材をほとんど削れなかった。
しかし、試行錯誤で見出したSiC基多成分セラミックスアロイ切削チップでは、面白いように鉄系の鋼材を削ることが可能だった。当時は、高純度SiCを用いていたが、その辺の研磨剤クラスのSiCでも製造可能な切削チップなのでコストの安いセラミックスチップを提供可能である。
残念ながらこのテーマは、切削チップの事業を認められなかったので、試作までで終わっている。ご興味のあるかたは問い合わせていただきたいが、試行錯誤でもびっくりするような成果を出せる一例である。
この時、SiCに組み合わせるカーバイド系化合物をラテン方格に割り当てて組成を決定している。セラミックスの配合を決めるときに相図を使用するのが常識であるが、相図が不明な場合の科学的方法では時間がかかるので躊躇なくラテン方格を持ち出している。
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昨日のあさイチで廃プラ問題を扱っていた。日本人一人当たり年間30kg以上のプラごみを廃棄しているらしい。このプラごみは、海洋投棄されると50年以上たっても分解されず、そのまま海をさまよっているとのこと。
さて、そこでプラごみを少なくする生活とは、ということで、各国の取り組みなどが紹介されたが、全体の印象として当方の小学生(低学年)の経験と重なることが多いのにびっくりした。
昔、豆腐や生魚などは近所の豆腐屋なり魚屋へ鍋を持って買いに行った思い出がある。あるいは、近所の八百屋は、古新聞で作成した袋を持ってゆくと、10枚1円で購入してくれた。アンパン1個15円の時代であり、50枚袋を持ってゆけば、アンパンが10円で購入できることになる。10円は当時の子供の1日の平均的お小遣いの額だった。
古新聞半ページで袋を一つ作成する作業は子供でも簡単にできる作業であり、少し頑張れば、100枚ぐらいは1時間もあればできてしまった。包装容器にプラスチックなど高価なものは使われていなかった。名古屋市立科学館では射出成型機が見世物になっていた時代である。
振り返れば、当方の子供時代はプラ容器とは無縁の時代を過ごしていた。醤油や食酢などは一升瓶を持っていって購入する量り売りだった。また、洗剤の類は皆固形だった。容器は紙かブリキ、陶器、ガラスなどで作られていた。
さらに夏になれば殺虫剤が町内で配布されたが、それは町内会長のお宅へ何か空瓶を持って行って詰めてもらっていた記憶がある。それをブリキ製の噴霧器に水で希釈して入れて庭に噴霧していた。
サプライチェーンもこの時代は町内会が機能しており、容器が無ければ町内の誰かが適当な余った容器を使いまわすといった生活だった。環境問題とりわけプラごみ問題は昭和時代を振り返ると面白いアイデアが出てくるかもしれない。温故知新戦略で環境問題を解決できる!
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コロナ禍でマスクをつけるのが常識となり、新しいマスクの提案や、マスクの機能比較、さらには富岳によるシミュレーションなどマスクに関する話題が多い。
ここで日ごろ疑問に思っているポリウレタン製マスクは60%程度の飛沫を通過するだの、防御性能がマスクの中で一番低いなどという富岳のシミュレーション結果を基にしたコメントが多い。
あの富岳のシミュレーションがどのように行われたのか存じ上げないが、昔ディーゼルエンジンの煤を取り除く触媒開発を少し手伝った経験からシミュレーション結果に驚いている。
その時には、マスクに使われているポリウレタン発泡体よりも大きな開孔サイズでありながら100%近くナノオーダーの煤を取り除くというシミュレーション結果が出ている。そして実際に実証データも示されていたのでシミュレーション結果が正しいことが確認され開発が進められた。
この技術はトラップレストラップと名ずけられ、圧力損失の少ない触媒システムだった。富岳のシミュレーションに疑問を持ったのはこの時の経験知からである。科学的シミュレーションとNHKなどでも紹介されたが、実証データを未だに見たことが無い。
ポリウレタンマスクは他の一般的マスクに比較してカラフルであり、ファッション性が高い。また装着感も悪くない。ウィルスを取り除くためには、開孔率を下げなければだめだ、とか開孔面積を小さくするとかいろいろ書かれているが、これに従うと通気性が高く快適でありながらウィルスを透過しないマスクを開発できないことになる。
最近東工大名誉教授が発明した、と宣伝しているナノファイバーマスクは、装着してみると快適である。これで99.9%以上の微粒子をトラップするという。
富岳のシミュレーション結果ではポリウレタン発泡体マスクの性能が悪い結果であったが、実はポリウレタン発泡体製でも正しい実験を行えば富岳のシミュレーション結果よりも良い値が出るのではないか、と思っている。世の中には科学的なようで科学的ではない情報が溢れている。
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高分子材料技術において混練機は、技術者にとって何かと悩ましい装置の一つである。さらにこの装置について正しくわかりやすく説明できる技術者は少ないと思う。教科書さえも視点を変えると嘘が書かれていると言いたくなるような記述がある。
簡単そうに見える色材の分散でもばらつきを抑制するにはそれなりの技術が必要で、ポリマーブレンドあるいはポリマーアロイになると混練機の選択の段階から物性に影響する。
樹脂材料は二軸混練機で混練するのが当たり前、と思っている人が多いが、ロール混練やバンバリーあるいはニーダーで混練してもよい。ただこれらの混練機では生産性が悪くなる。
生産性は悪くなるが、二軸混練機では絶対に得られない物性の材料ができることがある。PPS中間転写ベルト用コンパウンド開発を担当した時に、バンバリーでコンパウンディングし、電気抵抗の面内ばらつきが極めて低い半導体ベルトを製造することに成功した。
この時のデータを見た関係者は、コンパウンドの問題の大きさに驚いた。すぐに何故今までその混練方法を検討しなかったのか、という議論になった。カオス混合装置の開発を提案しやすい雰囲気となった。
混練技術とは、ただ高分子を混ぜる技術ではないのだ。要求される機能を作りこむために高分子を混練するのだ。原料の高分子と混練されたコンパウンドとは主成分の高分子一次構造は同じでもその成形体の機能は変化している。
また、機能を向上するために混練をするのである。だから混練機の選定は重要な作業である。もっとも中国での経験だが、性能の低い混練機にカオス混合装置を取り付けたところ、性能が向上してびっくりした。びっくりした理由はここでは書けない。
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科学的に開発を進めるのは当たり前であるが、科学的に進めていたら長時間かかるような場合にどうするのか。すなわち科学的に進めておれば、目の前の開発テーマについてどれくらい時間がかかるのか、科学的に見積もることが可能である。そのために新QC7つ道具があり、アローダイアグラムでボトルネックとなる部分を検討したりする。
仮に科学的に研究開発を進めたときに3年かかると見通した時に、残された時間が半年ならばどうするか。一つの方法は、時間を短縮するために人や物、金を投入して3年と言う時間を半年にする方法を科学的に考える。
これは優等生がこれまでやってきた方法で、ヒトモノカネの経営資源を湯水のように投入して、可視化経営が叫ばれているのにコミュニケーション能力により、それを見えにくくして出世された方もいるかもしれない。
また、大企業の研究所では、経営資源をあらかじめ大量に使用する企画でなければチャレンジの価値が無い、と評価するところもあった。ただし、これは過去の高度成長時代ゆえに許された方法である。
今のような低成長時代には、経営資源の節約を研究開発部隊に求めているところが多いという。そうすると、ノーベル賞の山中博士がやられたようなもう一つの方法が、今の時代開発手法として重要になってくる。
すなわち、まず開発で成果を出しておいてから、科学的に研究を行う方法である。そんなことができるのか、と言うと小生はそのような方法で研究開発を行ってきて、学位も取得している。
この方法のコツはヒューリスティックな方法で解を求めるスキルを磨くことである。例えば多変量解析はそのスキルの一つで、小生はゴム会社に入社してからそのスキルを身に着けた。今弊社のサイトでは、よく利用される主成分分析と重回帰分析についてツールを無料公開している。
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科学と技術、芸術それぞれを比較した時に、科学の異質性が浮き彫りになる。やはり、科学は哲学であって、技術や芸術のように人間の営みの中に組み込まれ、連綿と伝承されている活動とは異なる。
技術や芸術では、形式知だけでなく経験知や暗黙知も重要視される。科学では形式知を如何に正確に論理展開できるのかが能力として重要になってくる。芸術では形式知など知らなくても、例えばジャズギターを弾こうと思ったならば、カルカッシギター教則本を読まなくても名演奏家になれる。
しかし、コードやリズムなど音楽の形式知と思われるものを知っていると、理知的なアドリブを展開でき、聴衆に理解されやすい。ただしその時でも科学のように厳密な形式知の展開が求められているわけではない。
ニュートンと同時代を生きたバッハが平均律を考案したように音楽も科学の影響を少なからず受けながら発展してきたように思われる。しかし、技術が科学の影響を受けるだけでなく科学に支配され急激な進歩をするような悲劇の時代を経たが、音楽はじめとした芸術は独自にゆっくりと発展している。
科学技術として技術が科学の支配を受けて急激な進歩を遂げたのは良いが、経験知と暗黙知を活用した自由な開発方法論を犠牲にした。科学の限界が見え始めた21世紀は改めて技術開発の方法論を考えなければいけない時代かもしれない。
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