昨晩高分子同友会月例会で物質材料研究機構名誉研究員原田幸明氏の講演があった。タイトルは「ISO化されるサーキュラー・エコノミーの動向と資源効率・物質循環」である。
要点は以下である。
1.世界は資源効率を考慮した循環型社会へ向かっている。
2.1の流れの中でサーキュラーエコノミー(CE)の動きが欧州から
提案され国際標準化として進められようとしている。
3.CEは欧州で始まり、資源効率を高めることが可能とわかってきたので
Paas(Product as a Service)やシェアリングなどの「モノ」から「コト」
への転換とそれを支えるプラットフォームの形成の方向が見えてくるに
つれ、新しいビジネス形態としてグローバル展開され始めた。
4.日本では、「モノ」つくりの国であり、CEをどのようにとりこんでい
くのかが課題。
すなわち、リサイクルや天然資源の活用は過去の概念となり、欧州ではサーキュラーエコノミーという新たなパラダイムが動き始めている、そしてすでにISO化の動きまでも出始めた、ということだ。
講演者は金属材料関係の専門家で高分子材料の問題についてはそのような視点から考察されていたが、CEを考慮するとこれまでの材料技術についてその設計方針にも影響を受ける。
例えば混練プロセスに対する考え方である。カオス混合技術について高分子学会技術賞の推薦を受けたときに分子量低下とか材料の焼けなどと知ったかぶりの質問が飛び、結局技術賞を逃がしたが、このようなプロセシングにおける高分子材料の変化に対する研究テーマがアカデミアの重要テーマになるのではないか。
高分子の劣化に関して、アカデミアの出した結論は一次構造の変化だけである。実際のプロセスの中で劣化が起きない条件や、あるいは耐久試験において試験片の内部の高分子の酸化度合いなどに議論が至っていない。
力のある企業ではそのような実験をしているが、データは公開されず、結果として適当な知ったかぶり意見が技術賞の審査で通ったりする。迷惑なことだ。
高分子材料の成形体については金属材料と異なり、ダイレクトリユースやリマニュファクチュアリングは難しい。練り直し程度の作業がどうしても必要になる。その時に機能維持をしたまま混練ができるかどうかは重要である。
さらには、射出成型機を改良し、そこに簡単な混練機能を付加することも考えられる。例えばカオス混合装置と射出成型機との組み合わせだ。このようなアイデアを練り上げるためにもポリマーの混練り活用ハンドブックはためになるので弊社へ問い合わせていただきたい。
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界面活性剤について教科書を読むとHLB値という値でその機能及び効果が決定されると書いてある。
HLB値とは、親水基と疎水基の比率を数値化したものであり、界面活性剤の界面効果を科学的に考察するときによく用いられる。
これは間違いではないが、等しいHLB値であっても界面活性効果の異なっている場合があることについて教科書には書いてない。
例えばポリウレタン発泡体の製造に界面活性剤が使用されるが、HLB値が等しくても代替できないケースが多い。すなわち、発泡反応における界面活性剤の機能がHLB値だけで決まらないことを示している。
今界面活性剤のカタログが手元にあるならば、カタログに書かれた界面活性剤の物性値を見ていただきたい。HLB値以外に曇点とか様々な物性値が書かれている。
このカタログデータについて主成分分析を行ってやると、第3主成分までで80%以上説明できるような結果が得られ、第一主成分の寄与率は60%を超える。
この時第一主成分はHLB値と大きく相関しており、第二主成分は曇点などと相関している。
この第一主成分と第二主成分の象限に主成分得点をプロットしてやると、第一主成分近くに分布するサンプル群以外にいくつか第一主成分の軸から外れた群が観察される。
これは界面活性剤の等しいHLB値の対であっても、同じ界面活性効果を示すとは限らないことを表している。詳しくは3月31日のセミナーで解説する。
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産業革命以降の技術開発を支えたのは科学であることを否定する人はいない。ただし、科学の方法が登場する以前から技術開発は行われており、それゆえ論理学をベースにしたパラダイムでその開発スピードが加速された、と科学の役割を捉えることができる。
このパラダイムについては、名探偵ホームズが愛読された時代が示すようにすぐに一般にも受け入れられ現代は科学全盛の時代である。
一方40年前に登場した刑事コロンボでは事件解決にホームズとは異なるパラダイムが存在することを示しただけでなく、物語の最初に犯人と事件の情報を視聴者にすべて示すという手法で、ホームズとは異なる事件解決のプロセスを楽しませてくれた。
実は、マテリアルズインフォマティクスは、この刑事コロンボの登場と同様に捉えると理解しやすい。
すなわちホームズはベーカー街221Bで仮説を設定して事件に臨むスタイルを特徴としたが、コロンボは泥臭く情報を集めて事件を解決した。
マテリアルズインフォマティクスによる材料設計では材料データベース(情報)が問題解決の最初に位置し、その後のデータ処理に雀の巣のような頭(コロンボは癖毛)ではなくコンピュータを用いるのだ。
その用い方も従来の仮説を検証するといったパラダイムと異なり、シミュレーションで機能を確認するというパラダイムとなっている。
3月31日開催のセミナーでは、マテリアルインフォマティクスを実務に導入するにあたり、簡便に利用できる多変量解析やタグチメソッドの概略を「わかりやすく」説明するとともに、それらを用いて材料設計を行ってきた演者の事例を中心にマテリアルズインフォマティクスにより開発効率が加速される実感を伝授する。
無機材料から有機材料まで実用化した経験から幾つかの事例を選び、材料技術者以外の方にも参考になるセミナーを目指す。詳しくはお問い合わせください。
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2015年度の国勢調査で男性は23.4%、女性は14.1%という生涯未婚率が示された。この数字は増加し、2035年には男性29%、女性19%という推計がなされている。
おそらく結婚できない、という問題よりも、結婚しない選択をしている人が増えているのだろう。
一方婚姻件数を基にした離婚率も上昇しており、これは都道府県別の数値も出され、驚くべきことに40%を超える県がいくつも存在する。東京は予想に反して低く27.7%である。離婚率は地方ほど高い傾向がある。
昔適齢期になると見合いして、とにかく結婚することが重要視された時代があった。当方の適齢期でもその名残があり、東京から名古屋へ帰るとお見合いの予定が組まれていたりした。
残念ながらお見合いでは縁がなく、友人の結婚式がきっかけの結婚となったが、結婚に幸福を期待していてはいつまでも結婚できないだろうし、家庭を築いても幸福ばかりではない。
そもそも幸福の定義は人様々だから、このような話に結論を出せないが、亡父から言われた、「とにかく、結婚しろ。そうすればわかる」という言葉には一つの解があるような気がしている。
かつて著名な哲学者が、悪妻を娶れば哲学者になれる、という名言を残しているが、悪妻良妻に限らず、結婚すると独身時代とは異なる世界観になることは確かだ。それを夫婦で共有するのである。
著名な哲学者ほどではないが、結婚により人間として成長することは確かであり、この結婚による精神的成長は幸福とはあまり関係ない、と思っている。
独身者にアドバイスをするならば、一人でいるのはもったいない、早く結婚しろ、という言葉になる。経済的には家庭を築いたほうが楽になる。また、学びの機会も多くなる。
ただし自由な時間は減る。これは仕方のないことである。企業でも管理職になれば自由時間は減るのである。
もし企業の管理職で自由時間が増えたと感じたならば窓際が近い。自由な時間とは、組織を離れ組織に対する責任が全くなくなったときに得られる時間である。
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「日本の教育関係者は「リーダーには人望が必要」と説いています。ところが、輝かしい実績を上げたゴーンが逮捕・逃亡によって実は人望がまったくなかったことが明らかになり、「リーダーには人望が必要」という教えが揺らいでいるからです。」
これはある記事からの抜粋で、書いているのは教育関係者のようです。直接記事を読んでいただいた方が良いのでこれ以上書かないが、ドラッカーは「誠実な人をリーダーに」と言っています。
日本のリーダー伝、例えば松下幸之助氏や土光敏夫氏の話が、日本人には愛読されるが、わざわざドラッカーがリーダーの誠実さを最初に挙げているところから推察すると、欧米では誠実なリーダーが少ないのではないか。
事件が起きたときに、ゴーンは典型的なグローバル企業のリーダーとの解説もあったが、その後日産自動車内部からゴーンの批判が噴出した。
ゴーンが重用した西川氏からも辛辣な批判が飛び出している。ゴーンは、よほどひどい人物だったように思われる。
さて、リーダーに人望が必要かどうかは、今回の事件で結論が出たのではないか。ひどい人格であっても経営の数値をよくできるリーダーなら構わないといえるが、そのような人物がリーダーの会社では多かれ少なかれ今回の日産自動車の様な事件がやがて起きる可能性が高い。
また、当方が転職した時の研究部門のリーダーは、前任者と異なりやや人望の無いリーダーで、ある事件を隠蔽化した。
高純度SiCの事業は前任者の功績であり、事件を隠蔽化したリーダーのもとでは、電気粘性流体の事業化が推進された。
そのため当方はSiCの事業化と電気粘性流体の開発を業務として担当することになった。
実用化の壁となっていた増粘問題をデータ駆動型の手法で解決したために業務の妨害が起きるようになったが、それでもくじけず、傾斜機能粉体はじめ電気粘性流体実用化に貢献するため開発業務を進めた。
事件隠蔽化という事態になって写真会社へ転職したが、その後SiCの事業は2018年まで続き愛知県の企業へ事業譲渡されている。電気粘性流体の事業は、いつの間にか消滅していた。
人望の無いリーダーを社会が信用できるかどうか考えると、冒頭の結論は出るのではないか。企業は社会の一組織である。そしてリーダーはその顔である。
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AIの普及によりスペシャリストの労働だけになり、失業者があふれるという予測をする人がいる。人類がAIの発達を放置しておればそのような時代になるかもしれない。
しかし、これまでの歴史をながめると、ただ不安をあおっているよりもAIにより新たに生まれるビジネスに期待しそれを具体化する努力をした方が良い。
唐突かもしれないが、芸能人の不倫に対する社会の厳しい反応を見ていると、一つの解がそこにある。芸能人だけでなく、一般人にも不倫が増えているという。
海外出張でコネクティングルームを確保してバツイチ女性と海外出張をする役人まで出てきた時代である。
すなわち国民の税金で疑わしいことをしても罪に問われないし、堂々とコネクティングルームで宿泊していた女性は自分の職務だと国会で答弁しているのだ。
これはAIが中心となった社会よりもびっくりする光景で、答弁に少し恥じらいが欲しかった。あれでは開き直りである。
一方で、不倫は文化だ、と名言を吐いた俳優は今不倫とは無関係な幸福な家庭を築いている。この不倫の帝王をマネジメントする奥さんの能力には感心する。
これらの風俗が未来の夫婦像だとすると不倫監視や保険などのビジネスは一定の社会ニーズが出てくると予想される。
文春などがすでに実施している不倫監視にはその道のスペシャリストが求められるかもしれないが、これは大学の偏差値とか形式知とは異なる今は存在しない社会の新しい尺度によるスペシャリストだろう。
法律の整備も進み始めた。夫婦別姓は、おそらく現代の夫婦の関係だけでなく社会の価値観を変えてゆく。その時子供たちはどうなるのか。
家庭が無くなり、家族の関係は崩壊し、社会への奉仕を忘れた犬猫のような官僚が跋扈する社会において、社会秩序をどのように構築してゆくのか、と考えたときに新しいサービスが見えてくる。
ドラッカーは誰も見たことのない未来が始まる、と遺作の中で述べていたが、一方で未来は今の時代にその姿があることも指摘している。
AIに恐れおののくよりも人間中心の幸福な社会をどのように築いてゆくのか夢を描けば、未来のビジネスのヒントに気がつく。
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最近のアンケートによれば保守層の間でも夫婦別性に支持層が増えてきたという。おそらく将来は、夫婦同一姓と別姓が混在した世の中になるのだろう。
当方が子供の頃、毎月の月命日の日にお坊さんが自宅までお経を唱えに来てくれた。その習慣は、父親が亡くなるまで続いたそうだが、大学に通い始めた頃、ご近所でもお坊さんが毎月訪れる家庭は、すでに少なくなっていた。
亡父の説明では、ご近所も子供の世代になると仏様を大切にしなくなった、とのこと。このような会話をしていた時代は、夫婦が同一の姓であることは重要だった。
今、お寺は檀家が少なくなってつぶれるところも出てきた、と嘆いておられる住職が多いというが、古典的な家族制度が戦後教育により崩壊してゆく過程で僧職にある人たちの工夫努力が足りなかったのだろう。
小此木啓吾氏が「家庭のない家族の時代」を著したのは1980年代であり、夫婦別姓ともなれば、家庭が無くなるだけでなく家族の形も大きく変貌しやがては無くなってゆくのである。
同一姓とすることが家族のために必要とまで言わないが、姓は少なくとも家族の名前である。そしてお墓には家族の統一された姓が刻まれている。
夫婦別姓の前に新しい家族の在り方だけでなくお墓の問題までよく考える必要がある。最近墓参りに行って気になるのは、空いている墓地が増えてきたことである。
夫婦別姓の問題は、ただ姓を別々にする、という単純な問題ではないのだ。社会に残っている暗黙のルールについてどうするのかもよく考えなければいけない。
すべてのしがらみを取り払ったときに、日本人というアイデンティーはどのような形で残るのか当方には想像できない。
グローバル化の流れにおいてそのようなものは無駄と言う意見もあるが、本当に不要だろうか。無くすのは簡単だが、復活するのはかなりの労力が必要になるのは文化遺産で十分に勉強しているのだが。
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5日に富士フイルムが公開したコンパクトデジタルカメラ「FUJIFILM X100V」のPR動画に「盗撮を推奨するような内容」などと批判の声が寄せられ、まもなく削除されたらしい。
動画を見ていないので、いくつかのWEBニュースからの想像となるが、とんでもない時代になった、というのが実感である。
動画では写真家の鈴木達朗氏が「X100V」を手に渋谷の街を歩き、ストリートスナップを撮影している様子を映し出したものだったらしい。
10年以上前になるが、秋葉原でニュースに表現されたような同様の撮影スタイルでスナップ撮影をした経験があり、びっくりしている。
当時は事件になっていないし、そのような撮影スタイルで撮られた写真は、写真雑誌や展示会でも多かったスナップ写真の一手法である。
だからX100Vというカメラを手にしたときに、当方はすぐにこのカメラのコンセプトを理解できた。まさに日常を映すために設計されたカメラなのだ。
撮影に必要な条件は、ダイヤル操作ですぐに設定できるし、設定状態はダイヤルの表示ですぐに確認できる。銀塩カメラを彷彿とさせる設計でコンパクトである。
しかし、今そのカメラを持ち歩き日常で撮影できるエリアはかなりの制約を受ける時代になったようだ。肖像権の問題で許可なく人物を撮影することは許されないし、また撮影した画像を公開することも許されない。
街の撮影で許されるのは、ネコかカラス、雀、そしてたまに道路を走るネズミぐらいしか動的な被写体は無い。X100V、いいカメラだが時代を読み間違えた企画かもしれない。
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今回ゴムタイムズ社から発刊された混練の本は学術書ではない。当方が2005年にPPS無端ベルトの開発を担当したときに、たった半年でコンパウンディングプラントを立ち上げた。その時に活用した知識で構成した内容である。
当時一流コンパウンドメーカーからコンパウンドを購入し、押出成形で半導体無端ベルトの開発が進められていた。
しかし、一流メーカーの混練技術者が開発したコンパウンドでは歩留まりが上がらず事業に失敗すると思われたので、コンパウンドの改良を一流技術者にお願いした。
その時に一流混練技者から「素人は黙っとれ」と言われたので、しかたなく、ド素人の当方が10万円前後の混練の本を数冊買い込んでコンパウンド工場を建てるために勉強した。
しかし、せっかく買い込んだ高価な本から得られた知識では、改良されたコンパウンドを生産できる工場を生産できないという問題に遭遇したのである。
高価な混練の本に書かれた形式知を駆使して技術サービスしているのだから、一流コンパウンドメーカーの技術者は優秀だ。しかし、残念なことにお客の問題解決ができない。
ドラッカー流にいえば、「困ったことに優秀な人がしばしば成果を出せない」状態だった。すなわちコンパウンドの何が問題であるのかさえも高価な混練の本は教えてくれなかったのだ。
具体的には、分配混合と分散混合で混練について論理展開する従来のパラダイムでは、パーコレーション転移を安定化するために何をしなければいけないのか、という問題について明らかにできなかった。
そもそも混練とは、高分子を混合し練り上げるプロセスである。そこで問題となるのは、高分子のレオロジーであり、相溶現象であり、諸々の高分子ゆえに生じる現象である。
これはゴム会社で初めて混練を学んだときの指導社員の言葉だ。分配混合や分散混合によるパラダイムとは異なる世界である。
高価な本を読み、巷に常識となっている混練技術の問題に気がついた。すなわち、そもそも高分子のプロセシングとして考察するためのパラダイムがおかしい。
そこで、とりあえず当方が学んだ混練のパラダイムを公開するために本を書いてみた。混練技術者だけでなく、広く高分子の実務に関わる方にも読んでいただきたい。
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武漢受け入れ業務を担当していた内閣官房職員の自殺が報じられた。ただ右から左へ仕事を受け流すことができない、生真面目な人だったらしい。
自殺された方が、内閣官房と武漢帰国者との板挟みになられ、ストレスで自殺に至った様子を組織で類似の板挟みについて経験された方なら理解できるかもしれない。
社会における組織業務では程度の差こそあれ、責任ある立場になれば、誠実真摯に仕事を遂行しているときにこのような板挟みが生まれる。
板挟みを解消するためには、第三者がどちらかの板を取り除かない限り、挟まれている本人は、自殺するか退職するか、二者択一以外に逃げ場が無くなる。
組織のあるべき姿は、本来このような板挟みを解消できるような運営ができていなければいけないが、組織を運営しているのが人間である限り悲劇的問題が起きたりする。
例えば、板を取り除く役割の担当者が不誠実であると自殺者が生まれる。板を取り除く役割の担当者に勇気が無く、板挟みにあっている人に生きる勇気があれば辞職者となる。
STAP細胞の時にも職場における自殺者がでたが、職場を死に場所とする自殺の多くは組織に対する沈黙の抗議というメッセージと言われている。
新入社員時代に半年もかけずに開発したホスファゼン変性ポリウレタンフォームを工場試作まで行い始末書を書かされた経験があったが、これは、本来書くべき人が下位職者に責任を押し付け、それが最下層まで落ちてきた結果だ。
テーマ決定権の無い新入社員に始末書を書く資格があるかどうか不明である。女性の指導社員によれば新製品会議で課長が新入社員がやりたいといったのでやらせたと応えたそうだ。
当方がごねれば、指導社員が板挟みになったのかもしれないが、指導社員は始末書の書き方について課長に相談するように、と板挟みとなるのを回避しているので誠実ではないが賢明な人だった。
当方は、ごねる代わりに、始末書で新テーマの提案(注)を行って製品化という成果を出したが、学会発表の役割を頂く以外の評価はもらえなかった。
ただ、当時は板挟みとなってもそこからするりと逃げ出す判断ができるだけの余裕があった。
他社買収後はそのような逃げ道はふさがれ、とんでもない事件が起きている。右から左へ受け流す仕事が許されるような風土は今回の事件を防ぐ一つの運営方法かもしれない。
しかし、組織のあるべき姿を目指しそれぞれの職位が誠実真摯に業務に当たればこのような事件は起きないだろう。組織運営では板挟みを発生させてはいけない。
(注)燃焼時にガラスを生成し、ポリマーを難燃化する、という斬新なアイデアでできるかどうか不明だった。しかし、始末書の相談時にそのプロトタイプを用意していたので課長は納得した。課長が右から左へ流しやすいように相談をしたのである。
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