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2020.02/04 右から左へ受け流す

お笑い芸人が反社会勢力の宴会に出ていた問題で自粛していた芸人の復帰をめぐり、NETにいろいろな見解が出ている。

 

40年以上前に出版された「花王のパソコン革命」という本が引き起こした騒動の思い出について昨日書き上げたが、その時の上司の特異な能力がムーディー勝山の歌の面白さであることに気がついた。

 

実は、最初にこの歌を聴いたときにただ右から左へ受け流すと生真面目に歌っている姿に面白さがあると思っていたが、WEBに公開されている歌を改めて聞いてみたら、「左から右へは受け流さない」と面白いことを歌っていた。

 

おそらくムーディー勝山の歌を聴いて笑っていた人の中には、組織で見かけるただひたすら右から左へ仕事を必死に流している上司を思い浮かべ聴いていた人もいるのではないだろうか。

 

残念ながら当方は最初にこの歌がヒットした時にそれほど面白い歌と思っていなかったが、「花王のパソコン革命」の思い出から、上司の特異な能力に気がつき、改めてこの迷曲を聴いて笑ってしまった。

 

ただひたすら右から左へ仕事を流している人にお願いをしなければいけない時には、右側からお願いをすればうまく成果を他の人に受け流してくれる。

 

組織活動において、とにかく組織外へ成果が出ていかなければ大きな成果とはならない。右から左へしか仕事を流せない上司ならば、右から話をすればよいのである。

カテゴリー : 一般

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2020.02/03 花王のパソコン革命(4)

信じられないことだが、上司は全社の事務管理がどのように行われているのか、ご存じなかった。

 

全社の事務管理が大型コンピューターで行われ、給与計算から従業員管理、設備管理、予算管理までゴム会社ではすでにOA化されていたのだ。

 

これは、新入社員の研修で創業者の先見性の事例として学ぶ同時に、職場配属された時にOA化された職場でどのように事務を進めるのか訓練された。

 

ただ、研究所では庶務の女性が数人いて、端末の操作含め研究員が一般事務に触れる機会は無かった。

 

管理職に至っては、毎月打ち出された事務関連情報が回覧されてくるので、事務管理の仕組みなど知らなくても仕事ができた(驚くべきことだが、この出力さえも大型コンピューターから打ち出されたものであることを上司は知らなかった。)。

 

このような背景があったので、研究所でOA化のプロジェクトが立ち上がった時に、大型コンピュータで管理されていなかった、試薬管理のデータベースをまず構築することになったのだ。

 

プロジェクトの司会を上司が行っていたので、当然理解されていると思ったら、プロジェクトの流れすらも理解していなかった。

 

試薬管理で100万円かかるのなら、本に書いてあるような従業員の住所管理からやったらどうか、などと言い出した。

 

そして毎月回覧されてくる従業員の勤怠表がすべてカタカナだからこれを漢字表示するようにしてくれ、と続けてきた。

 

さらに、漢字表示させるだけなら、本体と漢字プリンターがあればよいだろう、と訳の分からないことを言い出したので、せっかくの機器調査の説明がとん挫した。

 

一緒に説明していた元指導社員が、とりあえずそうですね、と言い出したのでびっくりしたが、打ち合わせを終えてから、もう一回日をあらためて、時間を4時間ぐらい取って、説明しようと、覚悟を話してくれた。

 

すなわち、全社の事務の状況とOA化のプロジェクトにおける流れ、当方の努力などをまとめ上げ、購入前の説明に3時間ほど費やしてこの上司の理解を得ることに成功した。

 

企業における上司とのコミュニケーションのコツは、幼稚園の生徒に話すつもりで、と教えてくれた人がいたが、サルに芸を教えるつもりで説明すると腹も立たない、とこのプロジェクトで学んだ。

 

その心は、時にはエサが必要、である。元指導社員は、上司が安全管理責任者である点に着目し、試薬管理のデータベースが出来上がった時に、職場の安全管理にどのように役立つのか、という点を中心に説明していた。

 

コンピューターの説明などほとんどせず、試薬整理のために毎月1日行っていた棚卸が不要になることや、庶務の女性を1名減らせるなどと、100万円のコンピュータシステムを導入することにより生み出される効果が5000万円とぶちあげた。

 

以上はオフィスにコンピューターが登場したころの実話である。上司が無能に見えるのはいつの時代でも同じで、上司が無能である、と嘆く前に上司を動かすことのできるコミュニケーション能力を部下は身につけなければいけない。

 

ドラッカーは知識労働者の活躍する社会では、自分のアウトプットを他の人に活用してもらえるように活動する責任がある、と説いており、相手の無能さに責任は無く、相手の理解を得ることのできないコミュニケーションスキルの責任を指摘していた。

 

若い時にはなかなか理解できないかもしれないが、有能な先輩のコミュニケーションスキルを観察すると見えてくるものがある。組織のあるべき姿はメンバーの能力に依存せず機能し、成果を出せる仕組みである。有能な社員とは、どのような組織体制であっても成果の出せる人である。成果の出ない組織とはメンバー全員が無能とみなされる。

カテゴリー : 一般

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2020.02/02 販売好調混練の本

弊社担当分を売り切ることができました。サービス期間にお申し込みされた方に感謝いたします。来週から書店に並ぶかと思われますが、本体4800円です。ゆえにご購入時には5280円となります。弊社でも購入可能ですのでお問い合わせください。但し郵送料180円必要ですの5460円となります。

180円必要となりますが、おそらく書店に注文するよりも弊社に発注をかけられた方が速いかと思います。

カテゴリー : 一般 宣伝 高分子

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2020.01/31 花王のパソコン革命(3)

花王では、8ビットのPC8001で事務管理をやっている、と本に書かれていた。ゴム会社では、事務の一部はIBMの大型コンピューターで管理されており、各部門にその端末が一台置かれていた。実態は、花王よりも進んでいたのである。

 

大型コンピューターの端末の価格は、当時300万円前後と言われていた。PC8001は、すでに12万円程度になっていた。但しこの価格はCRTその他が付属していない仕様の価格である。

 

もしデータベースプログラムが稼働し、そのメンテナンスができるようにするには、本体以外にCRTやフロッピーディスク、プリンターなどが必要で、NEC製で揃えても50万円以上となった。

 

ただし、このセットでもIBM大型コンピューターの端末同様に漢字表示できないので、これを漢字表示可能にするには、インターフェースボックスと漢字ボードが必要となる。

 

それならば、ソード社の100万円前後で売られていたシステムが有利であり、漢字表示できて、8ビットCPUが二つ付いており、PC8001よりも速く動作した。

 

さらにOSやワープロなどのソフトもついていたので、当時のコンピューターシステムでは、最も安価だった。PC8001で同様の仕様まで揃えると100万円を越えた。

 

以上の調査結果を一覧表にして上司に説明したら、一言「君たち花王のパソコン革命という本を読んだかね。PC8001一台でOA化ができたと書いてある。」となった。

 

CRTやフロッピーディスクの必要性を説明しても理解してもらえなかったばかりではなく、研究所に設置された大型コンピューターの端末よりPC8001が優れていることを知らないのか、と言い出した。

カテゴリー : 一般 連載

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2020.01/30 バブル崩壊後の停滞

バブル崩壊後、失われた10年と言われていたのが、20年となり、最近では、失われた30年という記事まで散見される。

 

これらの記事の多くは、日本の構造改革の遅れを指摘している。そしてその原因として多くの補助金制度がゾンビ企業の延命を創り出している問題を指摘している。

 

この論法は一見正しいように見えるが、これはただ現象を記述したに過ぎない。今必要なのは対策であり、その対策を導き出す原因を探ることだ。

 

ところで、大企業の経営者および経営陣のベンチャースピリットの欠如とベンチャー企業の育成をうまく行う社会システムが存在しない点は、バブル崩壊前から指摘されてきた。

 

後者について政府の補助金などを見ると見かけ上ベンチャー育成のインフラが整えられてきたように見えるが、実際に起業してみると、使えるシステムが皆無なのだ。

 

換言すれば、補助金制度があってもそれを利用できる条件が合わなかったり、応募しても落選し、落選となってもその理由が知らされない。

 

一方、ある落選した補助金について、当選企業のテーマの状況を追跡してみてもイノベーションに役立っていない。これでは補助金審査委員の能力を疑いたくなる。

 

弊社は、青色吐息で何とか9年続けてきたが、スタートアップが難しい社会環境に呆れている。

 

少しずつ前に進みながら思いだすのは高純度SiC事業をゴム会社で起業した経験である。

 

当時は経営陣の応援があり頑張ることができたが、周囲の妨害が激しく実験データを記録したFDを繰り返し壊されるに至り転職している。

 

それでもこの事業は、他社へ譲渡されるまで30年間ゴム会社で続いた。これは、創業者のマインドが伝承された経営陣の成果である。ちなみにゴム会社に入社すると全員に創業者の伝記が3種類配布される。

 

大企業で新規事業を推進するためには、まず経営陣が一枚岩となり、10年続ける覚悟をしなければいけない。

 

また企業風土にもよるが、大企業で成果を奪い合うような風土のある会社では、新規事業を独立した組織としなければいけない。これは研究所でいわゆる「いじめ」にあいながら推進した経験からの提言である。

 

 

 

カテゴリー : 一般

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2020.01/28 混練の本

1月末までに料金をお振込み及びお申込みいただきましたお客様には、サービス価格送料及び消費税込み4600円で提供させていただいております。

1月末に出版されましたなら本サービス含めクリスマスサービス等すべて終了させていただきます。

2月以降は本体価格4800円となりますので消費税480円および弊社へお申し込みの場合には送料180円が必要となります。合計5460円となります。

是非今月中のサービス価格をご利用ください。

本書は実務における高分子について勉強したい方にも役立つ内容になっています。

カテゴリー : 一般 宣伝 電子出版 高分子

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2020.01/26 指導される側の問題

人は気づきと学びで成長するという。21世紀になりパワハラに対して厳しくなり、指導方法の研修が多くなった。

 

コーチングブームはその一つであるが、最近はスポーツ指導にも浸透し、「怒らない指導」として実践されている、とTVで報じていた。

 

一方で首をかしげたくなるようなハラスメント訴訟がニュースで報じられるようになった。

 

おそらく怒らない指導がスポーツだけでなく広く社会の標準になってゆくのだろうが、それが効果を表し、成長する社会となるには、指導される側の準備も必要だろう。

 

かつて指導と言えば、声を荒げて叱咤激励するスタイルが標準だった。当時のスポコンドラマを今放送したら批判を浴びるに違いない。放送禁止用語も溢れていた。

 

良いところを褒めて成長を促す指導法が世界標準となったが、これが効果を上げるためには、指導される側の準備も必要と思われる。

 

世の中には根本的な生きる姿勢が間違っている人もいる。このような人には喝入れが手っ取り早くその人の根性を矯正できるのだが、今はそれが許されない。

 

性善説が前提となっている褒める指導が効果を上げるためには、自己実現意欲も影響する。指導者は指導される側の特徴をよく見極める必要がある。

 

(注)大学4年の卒業研究はアメリカ化学会誌4月号に一応掲載されたが、英文は助手の方が書かれた。しかし、その掲載された論文を読み自己実現意欲が湧いてきた。せっかくやる気が出てきたのだが、在籍した講座は教授の退官とともに閉鎖された。大学院は好きなところに行って良い、と言われたので無機材料の講座へ進学した。そこではSiCウィスカーやガラスの研究が行われていた。しかし、教授がホスホリルトリアミドの研究テーマを課題として設定してくださったので、調査研究から始めなければいけなかった。調査して驚いた。1970年までにその分野の基礎的な研究はほとんど終わっていた。仕方が無いので有機合成手法でホスホリルトリアミドをスタート物質として無機高分子合成を行い、2年間に4報ほど論文を書き、修士論文をまとめている。PVAの難燃化や、ホスファゼンとの共重合体など当時としては先端の研究で、ゴム会社で始末書を書くことになったホスファゼン変性ポリウレタン発泡体のベースとなった。高分子の難燃化技術のセミナー講師を20代から依頼されて、ホスファゼンはじめ耐熱高分子などを講義してきたが、講義しつつ修士2年間に寝食忘れ勉強しておいてよかったと思いだすことがある。人生において勉強だけを落ち着いてできるのは受験生時代ぐらいで大学に入れば様々な誘惑がある。社会人になれば勉強だけできる時間は確実になくなる。

 

カテゴリー : 一般

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2020.01/25 卒業研究

パワハラやセクハラ、モラハラなどハラスメントという文字を見ない日は無い。当方の大学4年時を思い出すと、今の物差しならばアカハラの極みだったように思われる。

 

大学院まで進学するつもりが無かったので、第二外国語の単位を取っていなかった当方は、まず研究室に入った日に助手の先生からその姿勢について叱られた。

 

すぐに雑誌会の資料としてドイツ語の論文を渡された。化学分野を勉強するならばドイツ語の論文程度は読めなくてはいけない、と再度叱られた。

 

教授がその年に退職するのでその研究室で大学院には進めない、と噂されていた。当方は大学院の進学を考えておらず、ただ1年ぐらいは真剣に勉強しようと選んだ研究室だった。

 

厳しい研究室とうわさがあり、教授の退官で研究室が存続するのかどうか不明と言う理由で、第一希望としてこの研究室を選んだのは当方だけだった。

 

しかし、教授から大学院の受験を勧められ、毎朝マンツーマンによるドイツ語の指導が始まった。

 

ありがたいことだが、その気がない学生にとっては地獄である。しかし不思議なもので1ケ月も勉強を続けたら、大学院を受けてみようという気になってきた。

 

卒業研究は、何か合成したいものを選び、その全合成を完成させてアメリカ化学会誌にその成果を発表することと言われた。当時天然化合物の実験室における全合成が流行していた時代である。

 

ちょうど野依先生の不斎合性に関する研究が理学部で盛んに研究されていた時でもある。野依先生からは指導なのか叱られたのかわからないアドバイスを頂いた体験もある。

 

パチンコ屋にはシクラメンの香りが流れていた。そこでシクラメンの香りの全合成をテーマにしたいと申し出た。実験は大変だったが、卒論提出締め切り1週間前に全合成ルートの実験結果と卒論の下書きを完成することができた。

 

ところが、卒業論文の提出締め切り前日に、100報近くの論文を渡され、それをまとめて第一章とするように指示された。

 

指導してくださった助手の先生は、毎日読んでいなかったから悪い、と言われたが、それらの論文の存在を知らされてなかった。

 

4年生ならばみな自分でケミカルアブストラクトを調べて論文を毎日読んでいるが、君は毎日実験しかしていなかった、と叱られた。

 

シクラメンの香りをその研究室の開発した化合物をスタートに合成ルートを見つける作業は難しく、さらに実験量も膨大だった。結局E体とZ体の分離をカラムで行い、何とかゴールまでたどり着いたのが卒論締め切りの1週間前だった。

 

泣いている時間も惜しいので徹夜して100件近くの英文の論文をまとめたが、その自分のパワーと知力に驚いた。アカハラの毎日がパチンコやマージャンの日々から解放し十二分に成長させてくれたのだ。

 

朝の座学のおかげで大学院には無料で進学でき、奨学金もあったのでゴム会社の12年間よりも裕福な二年間を過ごすことができた。先生に感謝している。

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2020.01/24 事業企画推進の難しさ

以前事業企画においては、企画書の書き方よりも他の要因対策の理解が重要と指摘している。それは大なり小なり、組織内で提案される事業企画では、少なからずイノベーションを起こす内容となるからだ。

 

イノベーションとはどのようなことかは詳細説明を省くが、それが起きれば現状からの変化を組織に所属する人間は受けることになる。

 

とかく人間は、現状のまま平穏に暮らしたいと考える傾向にある。年をとればますますその傾向は強くなる。

 

青年期の悩みの書は昔から多いが、中高年の悩みの書を扱っている本は少ないし、あっても老化からくる悩みに関するものだ。

 

自ら変革の嵐の中に身を投じた中年あるいは老人(一般に老人がそれを行うのは無謀あるいはバカとして扱われる)の悩みを扱った書は無い。

 

もしあればどなたか紹介していただきたいが、年配者ほどイノベーションを嫌う、ということは、死というゴールを意識すれば自然なことである。

 

ゆえに経営に関わる人間が若手にプロジェクトを任せたと言っても、内心は大きなイノベーションを怖がっているぐらいに考えて事業企画を練る必要がある。

 

但し、これを忖度してはいけない。あくまでも事業企画については、まっすぐあるべき姿を目指すべきであるが、その表現方法に工夫する必要がある。

 

例えばイノベーションの組織に与える影響を正しく評価し、それを補う対策を十分に行わなければ企画の立案さえも大変な苦労をすることになる。

 

これは実際に苦労を体験してみないとわからないかもしれないが、年配者だから苦労を理解して協力してくれると期待していると痛い目に合う。

 

ゴーンが一つの事例である。カリスマ経営者と持ち上げられたが、その実態は説明の必要が無い人物だった。

 

一方、タイヤ会社で出会った誠実真摯な経営者もいる。しかし、そのような経営者でも定年には逆らえないのだ。2年以上の長期の企画では、実行期間中の組織体制にも配慮しなければ良い企画にならない。

 

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2020.01/20 若手育成が難しい時代(2)

当方はゴム会社で3年のアメリカ留学の機会を得た。同僚には、上司が当方を追い出したいからチャンスが生まれた、と噂された。

 

上司には年に一度の面談で伝えていたSiCの研究を希望していたのに、ゴムの研究で名の知れた大学が留学先とされたので、そのような噂がでてもしかたがない。

 

そこで、当時SiCの研究で世界のトップを走っていた無機材質研究所へ留学先変更を上司に申し出た。

 

今回は語学留学と考えしばらくSiCのことは忘れろ、と上司に言われたが、もし留学の成果を真摯に考えるならば、無機材研こそふさわしい、と当方は回答している。

 

また、社長方針にもファインセラミックス市場への進出が、メカトロニクスと電池事業と並び重要課題と示されていた。

 

上司からそこまで言うならば、留学の話をつぶすぞ、と脅されたので、当方は、どうぞ、と回答している。

 

これは、今ならばパワハラ面談であるが、当方は新入社員研修の発表会で常務から受けた「科学的結論で造られたタイヤはタイヤではない」というパワハラ説教で免疫ができていた。

 

しばらくして、人事部長から呼び出され、上司ともめている理由を聞かれた。当方は、社長方針とセラミックスフィーバーの世間の状況も含め説明し、最後に上司から留学の話をつぶすと言われた話まで丁寧に回答している。

 

人事部長は苦笑しながら、予算が決まった後なので上司も留学先変更は大変と考えたのだろう、と話していた。

 

結局当方の留学を企画した上司の真意は不明だったが、無機材研留学の話を人事部と調整してくださったことには驚いた。

 

その後昇進試験に落ちたことがきっかけとなり、高純度SiCの合成実験のチャンスが生まれ、社長の2億4千万円の先行投資を受けて半導体治工具の事業がスタートしている。その成果で学位論文をまとめた話は以前この欄で書いたので省略する。

 

企業で留学の機会を与えられる、ということは、企業の立場では留学期間中人件費以上の赤字になっているはずで、留学する社員もそれなりの覚悟が必要だ。

 

企業で若手育成が成功するためには、若手の意識改革も必要となる。今は昔の様なパワハラで抑え込む技は禁じ手なので、若手の自己実現意欲を高める様な研修も必要である。

 

当時のゴム会社の役員は、第三者から見れば今でいうところのパワハラ体質そのものだったが、若手を鼓舞するエネルギーはすごかった。

 

留学先変更も役員から叱咤激励され、無機材質研究所を上司に申し出ている。役員が新入社員の指導のために現場まで出ていた、管理職にとって大変な時代だった。

 

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