昔からこの手の企画は存在した。今のようなAIのアルゴリズムが開発されていなかった時には、「コンピュータによる恋人選び」というのがタイトルだった。
昔はSNSなど無かったので、このようなことを書いていても堂々としていたが、今は怪しい交際が増え、ある調査では、妻帯者の半分の男性が不倫しているという。
結婚できない若者が増えている原因も案外このようなことも影響しているのかもしれないが、表題でいかがわしい話を想像しないでいただきたい。社会状況からこのような題材は少し躊躇するが、まじめな話を書いている。
データサイエンス黎明期にこのようなゲームが流行している。まだマイコンが普及する前にすでに多変量解析が心理学で活用されはじめ、判別分析などの手法で研究論文が登場していた。
当方がこのような分野に興味を持ったのは、ゴム会社に入社して同期に設立されたばかりの情報工学科の卒業生がいたからである。その卒業生から薫陶を受け、データサイエンスが趣味となった。
そして世間を見たら、「コンピューターで恋人選び」、とか「人工知能があなたの恋人を選びます」などという企画が週刊誌に載っていた。袋とじ企画が登場する少し前に応募券付何とか、という企画が週刊誌のおまけとしてついていた。
判別分析や主成分分析の手法を使っただけの大した企画ではなかったが、TVとの連動企画もあり、実際にそれで結婚されたカップルが登場したりしていた。
その時、今時ならば怪しい雰囲気なのに、当時は何か科学の最先端のような香りをまき散らせていたが、これは科学とは無関係な遊び、と気がつくのにそれほどの時間はかからなかった。
雑誌サイエンスに「サイエンス&トランスサイエンス」という論文が出たからである。日本ではセラミックスフィーバーが吹き荒れ、セレンディピティーが流行語となっているが、大切なのはトランスサイエンスという概念だった。
データサイエンスで恋人を見つけても、それが真の恋人とならないように、データサイエンスで結果を導き出しても常にそれが真とはならない。すなわちデータサイエンスで結論を導き出す方法は、科学の方法とは少し異なるのである。AIで導き出しても同様である。
AIによる恋人選びが、常に真となる解を出さないように、マテリアルズインフォマティクスによる解は、厳密な意味で科学的解ではない。このような視点で弊社はデータサイエンスの指導をしています。
今月もセミナーを開催しますのでリクエストをお待ちしております。企業単位のお申し込みも受け付けておりますので、是非お問い合わせください。
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日本における問題解決法は、名探偵ホームズのように仮説を立案し、その仮説の真偽を確認する作業が標準で、これを小学校から学ぶ。ただし、これはいまや日本だけではないか。
アメリカで刑事コロンボが生まれ、名探偵ホームズのような問題解決法で技術開発を行っていた日本は、世界一と持ち上げられたかと思うとバブルが崩壊し、失われた30年となった。
アメリカにあっという間に差をあけられ、刑事コロンボは、いつの間にか再々放送も無くなった。アメリカでは刑事コロンボが定着したが、日本では忘れられていった。
しかし、日本ではプログラミング教育の重要性が20世紀末から言われ始め、ようやくそれが普通に行われるようになって、あと5年もすると、刑事コロンボタイプで問題解決をする若者が世の中に出てくる。
このように書いても訳の分からない人は、弊社へ問い合わせていただきたい。問題解決法には少なくとも二通りあり、刑事コロンボタイプが迅速な問題解決を約束する。今月これに関してセミナーを開催します。土日参加であればサービス価格で提供いたします。
(注)当方はゴム会社でSiCの半導体治工具事業を立ち上げたあと、6年間研究が続けられても耐久性問題が解決されていなかった電気粘性流体の様々な問題をデータサイエンスで解決している。しかも、過去の研究データとか資料をリーダーから見せてもらえず、詳細な技術など分からない状態である。データサイエンスのデータは、カタログや静電気に関わる情報から集めている。
まず、耐久性問題については、加硫剤も添加剤も入っていないゴムを開発せよ、とリーダーが依頼してきたことが原因である。詳細は過去の活動報告に書いている。ゴムがどのような機構でゴム弾性を発現しているか理解しておれば、このようなテーマがユニークという評価ではなく、技術者としても常識的なゴム会社の社員としても信じられない依頼であることを理解できる。明らかに住友金属工業とのJVの妨害をしてきたのである。当時の研究所は、BMと同様の信じられないことが多発していた。普通の感覚なら異常と感じるような出来事で、当方が転職した時に電気粘性流体に関わっていた他の若者2名も転職している。このような異常な風土の中での狂気のテーマだった。耐久性問題は、界面活性剤でなければ解くことができない、と誰もが思っていたのに、リーダー含め博士2名含む高学歴スタッフ数名が1年かけて界面活性剤で解けない、という科学的に完璧な否定証明を完成させたのである。
科学でものを考えることの危うさはここにある。この10年発達障害とかいろいろ騒がれているが、科学という哲学の弊害をイムレラカトシュが指摘しても、あまりそれが話題となっていない。科学の方法は彼が言うように素晴らしい方法である。しかし、それに人類が対峙するときに人間として考えなければいけないことがある。科学を完璧に実現しようとすると否定証明となる、とは彼が初めてだした警告である。科学は一つの方法であって、人類は科学の無い時代から技術開発をしてきたことを思えば、非科学的な問題解決法を現代でも活用すべきである。特にトランスサイエンスの問題はこのような姿勢でなければ問題解決などできない。
さて、電気粘性流体の話に戻るが、当方は界面活性剤のカタログデータをMZ80Kに打ち込んで、主成分分析を行い、界面活性剤がHLBだけでは説明できないいくつかの群に分かれることを発見した。この発見は大した発見ではない。8bitマイコンがはじき出したその結果を考察し、そこから選んだ界面活性剤を増粘した電気粘性流体に添加し、増粘が解消されることを見つけた。この検証が大切である。そして一晩耐久試験を行い、実用化できることを示すデータを出した。当時の電気粘性流体をゴムケースに入れて耐久試験を行えば2時間でヘドロ状態になったので、一晩徹夜して耐久試験に合格することを見定めれば十分だった。
ここでは、科学の方法を使用していない。ただ、データサイエンスでデータを整理しただけである。データサイエンスは、その手法の研究は科学で進められるが、その手法を適用したときに、それが科学である保証は無い。例えばデータサイエンスによる恋人選びを想像してもらえれば理解できるだろう。いくらコンピューターが選んでくれても心のときめきが無ければ、その結果は恋に発展しないのである。
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ゴム製品のトラブルでは、難易度が高い場合に解析困難となる。しかし、熱可塑性樹脂、いわゆるプラスチックでは、何らかの答えを出せる。
加硫ゴムでは添加剤の種類が多いだけではなく、ポリマーブレンドで設計されている場合もあるので、ポリマーの同定が難しくなる場合もある。このような問題では、経験知から推定することになる。
ゴム会社の研究所に勤務していたので、ゴムに関する高度な分析技術とレベルの高いスタッフでも科学的に解析できない問題があることを見てきた。
それでも品質問題では繰り返して起きるトラブルでは、情報が集まってくるので科学的な結論とはならないが経験知の蓄積から対策をとれるようになる。
このような現場を見てきたので、写真感材のさらに難解な品質トラブルに遭遇しても勘所を押さえ、問題解決できた。難解さには、情報が少ないために難解な場合と間違った問題を設定して自分で問題を難解にしている場合がある。
プラスチックのトラブルでは、間違った問題を設定しない限り、ゴムのように解決できない、という問題に遭遇したことは無い。20年近く前の話だが、なんでもケミカルアタックにしてしまうコンパウンドメーカーには驚かされた。
科学の形式知ができていないことに甘えてはいけない。そのような姿勢では、良い品質の製品を送り出すことはできない。
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昨日のニュースの中心は、政治倫理審査会だった。金曜日は大谷選手の結婚報道で政治倫理審査会のニュースの影が薄くなったためか、昨日は野党の反発を中心としたニュースが多かった。
知らぬ、存ぜぬ、を問題としているのだが、それではキックバックの詳細を正直に答弁したらどうなったか考えれば、野党の反発の記事を読んでいて、あまり頭の良くない野党の姿が見えてくる。
責められることが分かっているから、首相はじめ問題の無いことしか言わないのである。正直に答弁できるように、野党が環境を整えない限り、無駄な審議しかできないのだ。
このようなことを考えていて、企業内の不正の問題にも共通する点があることに思いがゆく。不正の問題だけでなく、企業では業務評価について査定委員会を置いているところが多いと思うが、政治の世界と同じような状態になっていると大変である。
すなわち、自分は一生懸命やっていて、問題発生は部下が能力がないからだ、というような管理職の会社は、不正にしろ業績にしろその状態が懸念される。
役員は管理職の任命責任あるいは推薦の責任があるから、またそれをかばうような発言をする。政治の世界と同じような運営状態となる。これを許すような風土では、一連の自動車業界の不正のような問題は無くならない。
そろそろ、皆で誠実真摯に生きてゆくことが幸福につながる世の中にする知恵に気がついたらどうだろうか。大谷選手の結婚発表や政治倫理審査会のニュースで、堂々と歌舞伎町で不倫し正直に謝罪のため国会へ出席していた50過ぎの女性議員のニュースの影が薄くなった。
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20年以上前の話だが、某大学で射出成形技術を研究されている先生に、その目的を伺ったことがある。すると、どのようなコンパウンドが納入されても安定した射出成形ができる技術、と言われた。
おそらく、多くの射出成形を研究されている先生方の目標かもしれないが、間違っている、と言わざるを得ない。高分子材料のプロセシングでは、どうしても前工程の影響を受けるのである。
すなわち、どのような努力をしても、良好な射出成形体を製造することができないコンパウンドも存在する。だからやらなければいけない研究テーマは、コンパウンドのトラブル発見法かもしれない。
40年以上前に、ゴム会社のタイヤ工場で工場実習を体験した。そこで出会った職長が押出成形を40年経験された方だった。その方曰く、押出成形技術は行ってこいの世界だ。
これはどのような意味かというと、コンパウンドの素性がそのまま押出成形で出てしまう、という意味である。すなわち、コンパウンドが出来損ないだったなら、良好な押出成形などできない、というのである。
これは射出成形でも言えるのではないか。良好な射出成形ができるコンパウンドの性能が本来研究すべきテーマではないだろうか。
当方は成形メーカーの立場でコンパウンドの問題をいろいろ見てきた。そしてコンパウンドメーカーがいつも誠実に対応してくれるわけではないことも体験した。
ドラッカーは誠実真摯に、と言っていたが、ダイハツの不祥事や当方のコンパウンドメーカーとの気まずい体験、それよりもひどいのが、当方の転職原因である。当時当方含め同じ職場の3人が転職している。
そのころから日本には誠実真摯という知識労働者の姿が怪しくなったのかもしれない。そのうえでの失われた30年だろうと思っている。株価が上がりだした。これから日本が浮上できるかどうかは誠実真摯な姿勢で仕事ができるかどうかだろう。
高分子材料の分析評価はセラミックスよりも費用がかかる。それを効率的に行いトラブルの解決をするにはコンパウンドメーカーの協力が必要である。
そのためには成形担当の立場でトラブルの解決法を知っておいた方が良い。今月技術情報協会とゴムタイムズでトラブル解決法のセミナーが行われます。弊社へお問い合わせください。
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自動車業界の不正をきっかけに少し調べてみたが、いわゆる優良企業の抱える問題の多さにびっくりしている。当方は転職時の事件がトラウマとなり今でも忘れられない思い出として残っている。
当時は担当者の立場だったが、写真会社へ転職後は管理者の立場となったので、当方のような被害者を生み出さないように管理者として努力した。
ただし、写真会社に20年勤務したが、60歳まで勤務せず早期退職している。貢献と自己実現が働く意味、とドラッカーは言っていたが、当時自己実現意欲が無くなったからである。
2010年に退職予定でいたが、環境対応樹脂の開発を依頼された。多少なりとも働く意欲がわいたが、どこかで区切りをつけたかったので、2011年3月11日を最終出社日に設定した。
驚くことに、再生PET樹脂80%品と20%品の2種に実用化の目途をつけて退職日を迎えたら、最終講演もパーティーも皆取りやめになった。
最終出社日に帰宅難民として会社に宿泊したのだが、最初に思い出したのは電気粘性流体の思い出である。同じ職場の二人の若者が当方の転職した時に同時に転職している。当方だけではなかったのだ。この若者の一人が客員教授の機会を小生に作ってくれた。感謝している。
あのとき何故本部長が隠蔽化の判断をされたのか、やはり納得いかなかった。湾岸戦争が始まった時に辞表を提出したが、その1年後の10月1日に写真会社へ転職している。
結局被害者の当方はずっと複雑な悩みとして、それ以来抱え込むことになった。一連の公開された企業の不祥事の陰に当方のような悩みを抱えたサラリーマンはいるのではないだろうか。
企業活動の中で悩み傷つき、自死を選ばれる人もいるが、生き残った人の中には、トラウマとして抱えこむ人もいる。
今企業活動の中で起きる各種ハラスメント撲滅の方向に社会は動いているが、目に見えるハラスメント以外に企業活動の下敷きになって悩んでいる人もいることを社会は考えなくてはいけない時代になったのではないか。
一連のトヨタグループの不祥事を考えながら、不祥事の陰で悩まれている人に気がついた。不祥事は解決されなければいけないが、不祥事に巻き込まれた人の心のケアも考えなければいけない。
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公開されたトヨタグループの不正の内容を見ると、数値の捏造ではなく代用実験を行っている。恐らく科学的に妥当と判断し、不正の意識が低かった可能性がある。弊社はこのような問題が起きないように取り組んでいます。お問い合わせください。
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高分子材料の分析に熱分析は重宝する。分光分析のように分子構造の同定まではできないが、コンパウンドが同じものかどうか、ばらつきはどうかの分析ができる。
TGAやDSC、TMA、動的粘弾性を駆使すると、ゴムやプラスチックのトラブル解析で迅速に結果を出せることをご存知ない方が多い。
ここで問題となるのは、ペレット一粒一粒のばらつきである。同じロットの中で調べてみると、密度は結構ばらついている。DSCでTgのエンタルピーをこの密度と相関を調べてみると、相関のある場合と無い場合があったりする。
TGAで重量減少カーブを調べるとある温度領域の重量減少カーブのところで差異が観察されたりする。こうしたデータを積み上げると、ペレットの生産においてトラブルがあったかどうかが見えてくる。
20年近く前の話だから少し詳しく書くと、某大手の樹脂メーカーが中国のローカルメーカーに委託生産していたコンパウンドの射出成形体でボス割れというトラブルがあった。
外装部品を固定するボスが出荷して1年も経たず割れて外装が外れるトラブルが起きた。コンパウンドにエラーがあって発生しているとおもわれたのだが、コンパウンドメーカーはケミカルアタックを原因として主張してきた。
当方はデータからコンパウンドにエラーがあるので改善を要求したのだが、無視されて同じロットのコンパウンドを納入してきたので、一袋についてペレット一粒一粒検査した。
このようなことを若い人にお願いしたら嫌がることが分かっていたので、土日に当方が実験したのである。単身赴任だったので暇つぶしに楽しめた。数粒評価したところでスが入っているペレットを見つけた。そこで、袋から全部のペレットを床に広げ、すの入っているペレットを拾い出した。
約1割ほどすが入っていたペレットを見つけたので、月曜日にコンパウンドメーカーの営業を呼び、すの入ったペレットだけ見せて意見を聞いた。
さすがに山積みされた劣悪ペレットを前にケミカルアタックとは言えなかったようだ。技術担当と調整して、と言い始めたので、工場の監査をやりたい、と要求した。
詳細を省略するが、中国ローカルメーカーの工場は、5Sに問題は無かったが、熱電対が1本壊れた状態で生産をやっていた。これ以上書かないが、熱分析データから予想されたばらつきだけでなくスが入る原因も理解できた。
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セラミックスは、1980年代に起きたセラミックスフィーバーにより、材料科学としての形式知が完成した。1980年以前に書かれた教科書と1990年以降に書かれた教科書とを比較するとそれがよくわかる。
このセラミックスフィーバーは日本発の材料科学におけるイノベーションだが、これがアメリカを刺激してクリントン大統領がナノテクノロジーとバイオケミストリー、バイオリファイナリーの国家戦略プロジェクトをスタートしている。
現在バイオマテリアルがアメリカ中心に展開している所以だが、日本では2000年ごろから高分子材料を巻き込んだナノテクノロジーへセラミックスフィーバーが発展している。
さて、金属やセラミックスでは、その機械的性質に関し形式知の体系が完成したが、高分子ではまだ未完成のままである。ゆえに、金属やセラミックスでは当たり前の非破壊検査法が確立していない。
このことが意外にもあまり知られていないので驚いている。50年も材料科学をセラミックスから高分子までまんべんなく扱っていると、この落差が、高分子技術の難しさにあると思うようになった。
高分子科学を理解するためには、アモルファスとは何か、を知らなければならないが、これが難しい。無機ガラスを理解していると少しその取扱い方と高分子の特殊性が見えてくる。
そもそもアモルファス=ガラスと誤解している人がいる。ガラスではないアモルファスも無機材料では存在するが、高分子のアモルファスはすべてガラスである、と理解している人はよく勉強している。
また、高分子の結晶と無機材料の結晶と少し異なる、いや大いに異なることをご存知か。そもそも結晶成長速度をアブラミ式一発で整理しようとしている問題も気づいてほしい。
3月には技術情報協会で高分子の耐久性と劣化寿命、および材料の破壊についてセミナーが開催されます。是非参加し、勉強していただきたい。また、ゴムタイムズでも企画されており、特にゴムの破壊について学ばれたい方は、こちらのセミナーへご参加ください。弊社へお問い合わせいただければ、サービスさせていただきます。
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昨日外観不良のブリードアウトについて書いたが、製造段階では検査で見つけられないので、内部不良と捉えた方が良い。
製造段階で起きれば、金型などを汚染するので気がつく。この不良はプレートアウトと呼ばれており、ブリードアウトと区別している。しかし、ブリードアウトが速めに起きただけである。
プレートアウトでも開発設計段階で気がつかないことがある。1000ショットほど射出成形して起き始める、などという悩ましいトラブルだったりする。
ゴムやプラスチックのトラブルで困るのは、季節要因が入ったりする時だ。冬に開発を完了し、春先試作を繰り返し大丈夫と判断したところ、初夏に温度が上がり、トラブルが起きる、ということもある。
ブリードアウトは物質の拡散で起きている現象なので環境温度に左右されやすいトラブルだ。コンパウンド段階で赤道をまたいだだけで起きることもある。
赤道をまたがなくても、中国のような広い国土では、産地によりトラブルの起き方が変わったりする。華南の工場で製造されたコンパウンドで問題が起きたが、華東のコンパウンドは大丈夫だ、などと騒いでいても、本質的な解決になっていない。
高分子のトラブルに対してどのように解析し、対策をしたらよいのか。1か月後に技術情報協会とゴムタイムズでセミナーが行われる。技術情報協会の講師割引券があるので問い合わせていただきたい。
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高分子材料の製品で購入してから1年以上経つとべたべたしてくるトラブルがある。昔は、塩ビ製のバッグでこのような製品が多かった。
最初は部分的にベタベタしているだけなので汚れだと思いふき取っていたら、全体がべたべたし、気持ち悪くなって捨てた、という体験は無いだろうか。
コンピューターのマウスで高級品には手触りが良いようにラバーがついていたりするが、これがべたべたしてきてホコリがつき、汚くなってドブネズミになった体験がある。
無線で玉無しで使いやすかったのだが、手触り感が悪く2年も使えなかった。ブリードアウトは高級品でも起きるのである。高分子材料には製品に求められる機能に合わせ添加剤が処方されるが、これが染み出してくる現象であり、どの高分子材料でも起きるトラブルである。
室温で液状の添加剤を大量に用いると必ず起きるので、材料設計段階で添加量の調整とSP値の検討がなされる。室温で固体でも融点が室温付近にあると起きる場合がある。
ブリードアウトの対策では、SP値の選択と量の最適化以外にブリードアウトしてもべたべたしないようにごまかす対策がとられる。マトリックスの高分子に反応させる方法もあるが、マトリックスにより制約がある。
3月に技術情報協会主催のゴムとプラスチックのトラブル対策に関するセミナーがあり、このあたりも少しお話しする。講演者割引があるので問い合わせていただきたい。
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