データサイエンスを技術開発に導入するとどのようなご利益があるのか、40年以上前にはよくわかっていなかった。
技術開発を科学で進めることが常識の時代に、仮説も設定せずに集められたデータからどのような真実を見出すことができるのか懐疑的であっただけでなく、そのようなことを考えることさえ非科学的とされた。
研究は科学の方法で行うことが唯一の時代で、あみだくじ方式など行えば壮絶なハラスメントに晒された。21世紀になり、あみだくじ方式でノーベル賞を受賞した研究者が現れたので、データサイエンスを技術開発に導入しても許されると思っていたら、マテリアルズインフォマティクスのブームとなった。
さて、データサイエンスを技術開発に導入すると、どのような御利益があるのか。まず第一に問題解決のヒントを得るまでのスピードが速くなる。これは、電気粘性流体の耐久性問題について一晩でヒントがえられるとともに問題解決できた事例で理解できる。
博士2名を含む頭脳集団が解決不可能と1年かけて科学的に完璧な否定証明を完成させた問題について、たった一晩でその結論をひっくり返すぐらいの破壊力があった。
この事例では、二番目の御利益として科学的に見通せない問題についても解決の道筋のヒントを与えてくれることを示している。ただし、この時の見通しは決して科学的ではないので、別途科学的な証明が求められる。
科学にこだわらなければ、データサイエンスで見通せたヒントを基に技術開発を行えばよい。それで大成功したのが中間転写ベルト用半導体無端ベルトの技術開発である。
おそらくこの技術を科学で証明することは難しいだろう。しかし、データサイエンスで得られたこの技術は18年経った今でも立派に生産技術として稼働している。
3つ目の御利益として経験知の伝承を数理モデルを使って行うことが可能となる。科学の形式知であれば技術の伝承は容易である。しかし、AIの普及でこの形式知の伝承にあまり価値が無くなってきて、経験知の伝承に注目が集まっている。詳細は弊社に御相談ください。
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この10年第3次AIブームで、日本のアカデミアではマテリアルズインフォマティクスが流行している。しかし、これは科学としてはキワモノで、40年以上前は忌み嫌われた手法だった。
しかし当方はその手法の将来性、すなわちコンピューターが普及し誰でもそれを問題解決に利用する時代になると期待した。
すなわち50年近くマテリアルズインフォマティクスを研究に用いてきたわけだが、データで考える、という意味をよく理解していない人が多いことに早くから気がついた。
当方が転職する原因となった電気粘性流体の耐久性問題では、優秀なスタッフが1年かけて否定証明を展開している。彼らは、まさにデータをもとに否定証明を展開していたわけだが、それらのデータは仮説に基づき集められたものだ。
ところがデータサイエンスで問題解決する時のデータは、このような仮説に基づき集められたデータでなくてもよい。すなわち、何か現象から取り出されたデータがあればそれらを学習機械にかけて問題解決のヒントを得ることができる。
当方は40年近く前に、電気粘性流体の耐久性問題について、界面活性剤のカタログデータをMZ80Kに打ち込み、データサイエンスで処理して解決策を見出し、一晩でこの問題を解決している。
この時のデータは、当方の実験データでもなければ、誰かが仮説に基づき集めたデータでもない、公知のカタログデータである。
それを用いてデータサイエンスにより結論を出したことが非科学的だと電気粘性流体のリーダーから非難され、非難されただけでなく、その後壮絶なハラスメントを受けることになった。
それを隠蔽化する方針が研究所で出されたので、命を惜しみ転職している(注)。データサイエンスで問題解決することが命がけであった時代である。
データで考える、という時のデータは、科学の世界では仮説に基づくデータとなるが、仮説によらない現象を記述したデータを用いて考えても問題解決できるが、これは非科学的方法となる。
ところが非科学的方法ではあるが、データサイエンスを活用してデータで考えることが、コンピューターの普及で当たり前の時代になったのである。
今コンピューターリテラシーが進歩したので、データサイエンスで問題解決してもハラスメントを受けるようなことはないと思う。
ただし、そのためにはデータ処理方法の科学的知識が求められる。知識は科学的であるが、知識を活用する過程が非科学となるのがマテリアルズインフォマティクスである。しかし、今やこれも科学と呼ぶ時代になった。哲学者イムレラカトシュは科学と非科学の境界は時代ともともに変わると指摘しているとおりだ。
(注)当時このテーマに関わった3人の若手研究者が次々と退職している。転職後それぞれと面会しドラマが展開するのだが、企業内の悪人に対してそれが刑事事件となるような問題でも隠蔽化されれば被害者は常にハラスメントにさらされることになる。ゆえに自殺するサラリーマンが出てくる背景になっているのだが、命だけは大切にしたい。それに耐えれば出世できる、とアドバイスしてくれた人がいるが、ナイフが机に刺さっていたりしたら命の心配をする。インターネットを調べていただければ、その後の壮絶な事件が出てくるが。
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PPSと6ナイロンはカオス混合により相溶する。これはフローリー・ハギンズ理論から説明できない現象であるが混練技術を工夫すれば起きるのである。
この実験のヒントは、東工大で行われたPPSと4,6ナイロンの相溶現象におけるその場観察である。すなわち、PPSと4,6ナイロンを二枚のガラス円板に挟み、それぞれ反対方向に回転させて剪断流動を発生する。
300℃近くになると円板の周辺部分が透明になってくる現象が観察された。すなわち、温度と剪断力でPPSと4,6ナイロンが相溶することを世界で初めて実証した扇沢グループの実験である。
この研究があまり注目されていないのはもったいないことである。この研究成果を思考実験により展開するとカオス混合装置が生まれる。そして4,6ナイロン以外のナイロンでも相溶するのではないかという妄想が生まれる。
この妄想が目の前で起きると感動に変わるが、当方の部下は当方を信じていなかったので腰を抜かした。当方は妄想で十分に理解していたので感動しただけであるが、彼はキャという悲鳴とともに腰を抜かしたのである。
PPSと6ナイロンの混練されて透明な樹脂液として二軸混練機の吐出口から流れている光景は、それくらい驚くべき光景なのだが、フローリー・ハギンズ理論の問題を理解しておれば感動の光景となる。
6ナイロン以外に12ナイロンとか数種類ナイロンをPPSとともに混練したがいずれも透明な樹脂液となった。面白いのはこの後である。
ストランドとして回収したサンプルを机の中に保管し、在職中こっそりと眺めるのが楽しみとなったが、5年ほど透明だった。2011年3月11日に最終講演が15時から予定されていたのでサンプルを準備していたが、ぐらっと来た。
その後忘れていたが、ストランドとして回収後のサンプルを数年後に見つけたら真っ白くなっていた。すなわち少しずつスピノーダル分解し、白くなったのである。白濁したが、ストランドの柔軟性は失われていなかった。これには腰を抜かしそうになった。
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この10年、マテリアルズインフォマティクスのブームだったが、相関関係による回帰が主に利用された手法ではないだろうか。データ駆動により見出された数式なり学習機械を用いて得られる回帰と分類の効果が、データサイエンスにより現象の理解に貢献する,というのがマテリアルズインフォマティクスである。
その中で線形回帰は、データサイエンスを意識せず昔から使われてきた手法であるが、せっかくこの10年データサイエンスを意識したので、もう一度基礎から見直していただきたい。
ポリマーアロイの設計においても線形回帰は、エクセルのソルバーで簡単に活用でき、新素材開発に貢献するので、その正しい意味をよく理解しておきたい。
y=ax+bは小学校の算数でも出てきそうな式であるが、あまりにも簡単ゆえに甘く見ている人が多い。線形回帰ではbに誤差項が含まれてくるのだが、2つの意味がある。
一つは誤差を認めたうえで、yを予測するための式、という意味であり、他の一つはyとxにはあらかじめ式で示された形式知に基づく関係があり、何らかの影響で誤差が発生している、という意味である。
前者と後者は同じことを言っているのではないかとか、前者と後者の意味の違いがよく分からない、と言ってはいけない。よく読み返していただきたい。
前者では、単なる誤差を含んだ予測を行うための式でしかないが、後者ではyとxの間に科学の形式知で保証された関係があるので、誤差項には、深く解析すると意味のある何らかの情報が含まれている、と踏み込んでyとxの関係を述べている。
すなわち、前者における誤差項は測定ばらつきなどの統計的に純粋な誤差であり、その誤差を解析してみても何ら現象に秘められた情報を取りだすことができないが、後者では誤差を考察することにより、単なる統計ばらつき以外の情報が見えてくる。
線形回帰で残渣分析を行う必要があるのはこのためであり、現象に隠れた何らかの情報が誤差に含まれていないか考察する習慣を身に着けたい。
来週開催される難燃化技術セミナーでは事例をもとにこのあたりを説明するので興味のあるかたは弊社へ問い合わせていただきたい。
50年近く前からマテリアルズインフォマティクスを実践し、それが原因でFDを壊されるような嫌がらせを受け、それを組織が隠蔽化するというので命が惜しくて転職している。マテリアルズインフォマティクスは半世紀ほど前には非科学として嫌われた手法である。
企業内の事件であり、なかなかすべてを表に出せないので、マテリアルズインフォマティクスと科学の微妙な関係について詳しく書けないが、昔はその手法を忌嫌う「科学こそ命」な研究者が多かった。
仮説ではなく学習機械で問題解決する方法は50年近く前から行われていた。来週のセミナーではその証拠もご披露する。それだけではない。最近のAIの手法についてプログラムを組み実験を行った結果との比較も交えて、「ある手法」の優位性を解説する。
「ある手法」とは、アレである。ただしここでは阪神の優勝の意味ではない、50年以上前から知られているアレである。アレとAIとの比較は、珍しい発表だと思っているので問い合わせていただきたい。アレのほうが使い方によりAIより便利である。
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同一配合で異なる物性のコンパウンドをプロセス設計により作り分ける、これができない技術者は新材料開発能力が低い、と言わざるを得ない。
また、配合と物性は1:1に対応すべき、と某国家プロジェクトの目標に書かれていたようなことを信じている技術者はもっと材料技術について勉強すべきである。
PPS/6ナイロン/カーボンを二軸混練機で常識的な混練をしている限り、押出成形で半導体ベルトの歩留まりが100%となるコンパウンドを製造することは不可能である。
力学物性を犠牲にすれば、二軸混練機を二回用いることで、電気抵抗の安定したコンパウンドを製造可能である。例えば6ナイロン相にカーボンを分散し、それをPPSと混練すると得られる。
しかし、カーボンの分散したナイロン相のドメインが硬いので、そのようなコンパウンドで製造した無端ベルトは紙のような靭性のベルトとなる。
力学物性も電気物性も両方目標物性を満たしたコンパウンドを製造するためには、現在のところカオス混合しかない。すなわち、カーボンの凝集相が6ナイロンの相溶したPPSに分散した高次構造を有するコンパウンドなら電気物性も力学物性もその品質が良好な半導体無端ベルトを押出成形できるようになる。
ただし、PPSと6ナイロンのχは大きいので、これはフローリー・ハギンズの理論に反する、と考えた方は優秀である。カオス混合は、科学の形式知に反するような現象が発生するトランスサイエンスの混練方法である。
カテゴリー : 一般 電気/電子材料 高分子
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早期退職を決意したとたんに難しい仕事が舞い込んできた。配合を変えずに半導体無端ベルトの押出成形歩留まりを10倍にする仕事である。
某国家プロジェクトの目標として、配合と物性が1:1に相関し、などと間違ったことが書かれていたが、もしこれが形式知となるならば、この仕事の解は無い。
しかし、無機材料でも有機材料でも配合と物性は、1:1で対応しないことの方が多い。ゆえに国家プロジェクトの目標とされたのだろうが、これを1:1で対応させようとするセンスでは、新材料の開発など難しい。
しかし、そのような感覚のテーマに数億円の予算が毎年ついてプロジェクトが進められている日本の研究開発においてその任にある人は、弊社のセミナーで少し勉強した方が良い。
配合が同一でも高分子材料ではコンパウンディングプロセスが異なれば、物性は変化する。これは常識であり、それゆえ新たなプロセシング技術の研究は、いつの時代でも求められている。
PPS/6ナイロン/カーボンの単純な組成で半導体コンパウンドを製造するときに、少なくとも2種類の全く異なる高次構造のコンパウンドを作り分けることが可能だ。
技を磨けばこの単純な組成で3種類以上の高次構造を創り分けることができる。負の誘電率を有するコンパウンドまで製造できた、と書くとウソだという人がいるかもしれないが、電気技術者にコンパウンドの評価をお願いしていたら、彼が見つけてくれたのである。
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絶縁体高分子に導電性微粒子を分散すると半導体高分子が得られるが、この時に発生する現象がパーコレーションで、導電性微粒子の体積分率が増加した時に体積固有抵抗がある体積分率で急激に減少する領域ではパーコレーション転移が起きている。
このシミュレーションプログラムをPythonで作成しながらパーコレーション転移について学ぶセミナーを常時開設しているので、関心のあるかたは問い合わせていただきたい。
帯電防止技術と複合プリンターのキーパーツ開発事例をもとに、パーコレーション転移のシミュレーション方法とそれを活用した製品開発技法を解説し、同時にPythonによるプログラムの解説を行う。
このプログラム解説は、単なるPythonの文法解説以外にプログラミング言語としてのPythonの特徴をクリアにし、発展的独習が可能なように指導している。
プログラミング言語は、名古屋弁や大阪弁よりも易しく、コツさえつかめれば自学自習が可能であり、そのコツを弊社のセミナーでは伝授している。
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シミュレーションには現象を数式で記述する方法と現象のモデルをコンピューターの中で機能させる方法とがある。
後者では、現象の動作を数式で記述する必要が無く、思考実験と類似の方法なのでプログラミングスキルがあれば、だれでもコンピューターシミュレーションが可能である。
数式で記述する場合も、現象をデフォルメしたモデルを仮定することがあるので、この両者の違いが分かりにくいが、後者では機能の数学表現を考える必要が無い点が容易である。
ここに最近はディープラーニングすなわちAIの手法も入ってきて、後者はますます便利になった。Pythonを用いれば豊富な無料ライブラリーが存在し、プログラミングもますます易しくなる。
このあたりを体感していただくためにパーコレーションのシミュレーションセミナーを開講してます。詳細はセミナーのページをご覧ください。
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かつて高分子のレオロジーについてダッシュポットとバネのモデルを用いて研究していた時代があった。しかし、クリープという現象についてこのモデルでは説明できないことが分かり、1980年代に頓挫している。
ゴム会社では、1970年代に数理モデルによる高分子研究は否定され、研究者はひどい目にあったらしい。当方のようなセラミックス事業を研究所で住友金属工業とのJVを起こしたケースでは会議前になるとFDを壊されたりという妨害を受けたので、当時のレオロジー研究者は大変だったのではないかと想像している。
さて、2010年代に第3次AIブームが始まって、日本でもマテリアルズインフォマティクスが流行したので、慌てて飛びついた企業が多いのではないか。
マテリアルズインフォマティクスという何か魔法のような名称だが、1980年前後に情報工学の講座設置ブームが起きた時の流れであるデータサイエンスの一分野である。
第三次AIブームでAIが導入されたデータサイエンスと書けばわかりやすいかもしれない。コンピューターという学習機械を用いてビッグデータで機械学習を行い、答えを見つけようという手法である。
これで新しい知を見つけられるとアカデミアが騒ぎ、マテリアルズインフォマティクスを推進する会社まで生まれている。弊社はこのブームが起きる前から問題解決法の一手法として多変量解析を指導してきたが、この多変量解析は、機械学習の一手法に組み入れられている。
これは少し問題である。確かに機械学習の側面もあるが、多変量解析には多変量解析の解析方法が存在し、その中には単純に回帰を求めるだけではない方法もある。
50年近く多変量解析を利用してきて、この手法を気軽に機械学習の一手法として説明しないでいただきたいと思っている。多変量解析の一部に機械学習もある、そして機械学習には多変量解析以外の方法もある、ぐらいのほうが誤解を生まない。
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絶縁体高分子に導電性微粒子を分散し抵抗測定を行うと、その添加率(体積分率)に従い、抵抗が減少する。そしてある添加率のところで急激に抵抗が減少する現象が観察される。
これがパーコレーション転移と呼ばれる現象で、電気抵抗だけでなく、弾性率や線膨張率でもその変化を確認することができる。ただし、電気抵抗のように桁数が大きく変動する変化ではないので、あまり注目されていない。
ただ、昔から混合則とか複合則というルールがあり、未だにいいかげんな教科書でこのルールを見かけることがある。1990年ごろ、当方が日本化学会で研究発表を行ったときに、パーコレーションという言葉を用いたが、会場がシーンとなってびっくりした。
他のセッションでは、複合則とか混合則という言葉が常識的に使われていたので、奇異に思われたのだろう。当方は1979年に指導社員からパーコレーションの説明を受けている。
当時はスタウファーの教科書が頼りであったが、化学系の人でこの教科書を読んでいる人は皆無だった。その教科書によれば、カリフォルニアの山火事について数学者たちがボンド問題とサイト問題として議論したのが最初だという。1950年代で当方が生まれた頃の話である。
それが高分子の世界で一般的になるのに40年以上かかっている。数理モデルを数式で理解することが難しかったからである。この数式はコロナの流行でよくテレビで見たようなクラスター理論と通じている。
無限クラスターが生成するところがパーコレーションの閾値である。微粒子が真球であれば、体積分率で30%前後のところである。長径と短径の比、アスペクト比が大きくなるにつれこの閾値は小さくなる。
数式で数理モデルを理解しようとすると大変であるが、コンピューターの中で実際に微粒子が分散する状態を再現して計算すると理解しやすい。
このシミュレーション法についてエンジン部分のPythonプログラムを配布してWEBセミナーを弊社で行っています。Pythonのプログラミングを学ぶには良い教材ですのでお問い合わせください。パーコレーションを理解できるとPythonが身についている、というセミナーです。
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