昔購入したギターを修理しているが、その間エレキギターを弾いている。20年ほど前に購入したES335を手放したのでアイバニーズのメイプルのトラ目が美しい同タイプのギターを1週間ほど前に購入した。
ギターアンプ等は倉庫に保管していたので、それを使用している。LINE6のプリアンプPODも壊れていなかったのでプリアンプとして使用している。
20年ほど前には思いつかなかったが、なぜギターをオーディオアンプにつながないのか不思議に思った。
もちろんギターのピックアップの出力は小さいのでそのままではオーディオアンプにつなげない。20年前には深く考えなかったPODの出力切り替えスイッチが気になり、それを切り替えてオーディオアンプにつないでみた。
驚くべきことに大変美しい音がスピーカーから流れてきた。今回購入したギターはギターアンプにつないでもES335よりも美しい音がして感動したのだが、さらに美しくなったのだ。
ギターアンプには独特のノイズが乗った音に特徴があるが、オーディオアンプには、そのノイズ感が皆無である。これは当たり前のことなのかもしれない。
PODをジャズ・コーラスの設定にしてエフェクターを変量させてもギターアンプのような大きな変化は現れず、あくまでもその変化は穏やかだ。
おなじ増幅器でも、オーディオ用とエレキギター用ではアンプの設計が異なることを理解できたが、PODにはモデリングアンプの機能があるので、それで少し遊んでみようと思う。
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初めてギターを購入してから50年ほど経過した。最初のギターは、友人が欲しいといったので譲渡し、当方は現在修理中のギターを6万円で購入した。
当時6万円と言えば、大卒の初任給に近い。二度のオイルショック後当方が入社したゴム会社の大学院卒初任給が10万円ほどといえば、その4年ほど前の大卒の初任給をご理解いただけるか。
とにかく当方にとって高額な買い物だったわけだが、そのギターの下腹部が中年太りのように膨らんだ状態になっていた。先日書いたように木材のクリープという現象の結果であり、このまま使用を続けたら、恐らく表板にひび割れが入ったのかもしれない。
この膨らみを修理して50年という時間をリセットしてみようと考えた。人生100年である。残り約40年の人生を生きるにあたり、過去をリセットするのは断捨離よりも重要だと思った。
さて、ギターの下腹部は順調にへこみ、クリープ速度から恐らくあと2週間もすれば使えるようになると思われる。
ギターの修理と同時にレコードの整理も始めた。断捨離目的ではなくもう一度聞きなおすためである。
ボブディランの風に吹かれてS&Gの曲がアメリカから渡ってきて、日本では同時期に流行している。当方はディランよりもポールサイモンの楽曲が好きだった。サウンド・オブ・サイレンスを映画「卒業」(注)で聴き、すぐにファンになった。
この映画「卒業」の音楽監督はクロスオーバーの旗手デイブ・グルーシンである。フォークソングと、ブルース、ジャズ混然と一体になったブームが当時始まり、フュージョンとかクロスオーバーとかのカタカナで音楽シーンが語られるようになった。
音楽がカオス状態で、ゴム会社に入社してカオス混合である。高純度SiCの事業を立ち上げて、それでサラリーマン生活を送るつもりでいたら、写真会社で高分子技術の責任者となった。
その傍ら学位をまとめたが、その内容は、高純度SiCを軸に無機高分子変性軟質ポリウレタン発泡体の研究やLiイオン電解質の研究と研究対象はカオス状態である。
うまくまとめることができたのは中部大学渡辺先生のご指導の賜物であるが、学位取得後すぐに福井大学客員教授となっている。
客員教授時代に負の誘電率がキワモノであることを知り、研究内容をZの絶対値でごまかしていたら、今はセミナーで負の誘電率を講義している。そして、またギターを弾きたくなった。
(注)初体験が恋人の母親、というショッキングな映画が当方の高校時代に流行している。この映画、数回映画館で鑑賞したが、主人公の親戚が「プラスチック事業を始めよ」と語る内容がベッドシーンよりも印象的だった。1960年代のアメリカはプラスチック産業で成功をおさめる人が輩出した時代である。映画音楽はS&Gの曲がふんだんに使われジャズがその隙間を埋めていた。
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アコースティックギターの取り扱いにおいて、演奏後はギター弦を緩めておくことがギター本体のために良い。
確かにギター弦を緩める行為は、ギター弦の寿命を短くする。特に1-3弦が切れやすい。しかし、ギター本体を傷めないためには緩めて保管する習慣をつけたい。
ちなみに、ギター弦を張りっぱなしにしておくとブリッヂが常に引っ張られる状態となり、表板に応力がかかってクリープが発生する。そしてブリッヂ下部部分が膨れてくる。
5年ほど張りっぱなしの状態で放置したら膨らんだギターの下腹部がそのままになった。それでも12フレットにおける弦高は3mm以下だったので、まだ弾くことはできたが、その後演奏後は緩めておいて10年近く放置したら、12フレットの弦高が3mmを超えていた。
この高さになってくると、5フレット以下を押さえるときに指が痛くなるので修理が必要となる。そこで先週から膨れたギターの下腹部を6本の棒で傷がつかないように抑え込み、少しずつネジを締めて行った。
昨日6本の棒を外し、状態を確認したら、12フレットの弦高は3mm以下となっていたが、10分後にはギター下腹部が少し膨らみぎりぎり3mmとなった。
半日放置しても弦高は3mmと変わらなかったので、再度棒でギターの下腹部を締めあげ、放置して2週間後にもう一度確認してみようと思う。
ギターのブリッヂ下の膨らみは、表板やその裏に貼られた力木のクリープ変形であり、それは修理可能である。また修理しないで放っておくと、おそらく最後はひび割れを起こすと思われる。
さて、ギター弦を緩めておいたのに、なぜクリープが進んだのか。これは緩める量が少なかったからだ。WEB情報では、チューニングペグを二回しほど緩める、とあるが、これでもまだブリッヂに応力がかかった状態である。
面倒でもほとんど応力がかかっていない状態まで緩める必要がある。特に長期保存するときには、弦を外しておいた方がよい。
WEB情報には、ネックのためには弦を張っておいた方が良いとも書かれているが、トラスロッドでネックのそりを治せるが、ブリッヂ下方のクリープ変形は、結構修理が面倒である。
中年のぜい肉を落とす苦労と同じくらいに考えた方が良い。ギターを壊さないようにクリープ変形を修理するというのは難しい作業である。生まれて初めての作業ではあるが、クリープという現象を理解しているので、何とか作業が進んでいる。
同じ悩みを持たれている方はご相談ください。アコースティックギターのブリッヂ下部の膨らみは、進行するとひび割れ(クリープ破壊)を起こす可能性がある。早めの対処がギターを壊さないためには重要となってくる。
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高分子材料の体積固有抵抗のばらつきと粘弾性測定データとが相関する、と聞いてびっくりされる方がいるかもしれない。
また、それを品質管理に利用していた、などと話したら、科学を知らない人だと当方をバカにされる方もおられるかもしれない。
実は高分子材料では、その高次構造を媒介変数として電気特性と力学物性とが相関してもおかしくないのである。
例えば、PPSと6ナイロン、カーボンという配合システムでは、混練がうまくいっているときのカーボンの分散状態は、PPSと6ナイロンの高次構造に大きく影響を受ける。
そもそもカーボンの分散状態も高次構造の要素ではあるが、成形体の電気特性が、カーボンの分散状態の影響を受けることに気が着けば、この現象を容易に理解できる。
一方粘弾性について高分子材料の高次構造に影響を受けることは、一般に知られている。このことから、高分子の高次構造を媒介変数として、力学物性と電気物性とが相関する現象を理解できるはずだ。
マテリアルインフォマティクスは、このような観点で高分子材料を研究してみようという試みとも言えるが、カタカナ言葉の常で、何か高尚なことを研究しているような誤解を生みだしている。
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プラスチックごみを資源ごみとして分別回収しようという方針が決まったようだ。名古屋河村市長のご意見を拝見したい。
理由は、10年以上前、名古屋では廃プラについて細かく分類し、資源ごみとして回収していた実績があるからだ。
ところが当時政府の専門家委員会とやらがサーマルリサイクルが最も経済的、という方針を出したので、それに河村市長はかみついた。
河村市長の希望に近い形になるかどうかは知らないが、10年以上前に決まった政府方針とは異なる方針であることは確かで、名古屋市長がどのような対応を取られるのか興味深い。
プラごみのリサイクルで問題となるのはコンタミである。仮にきれいに洗浄でき、樹脂だけうまくとりだせたとしても、バージン材同様の純度まで上げるにはコストがかかる。
多種類の樹脂のブレンドでも性能が出る様な手法があればよいが、非相溶系のポリマーブレンドでは、海島構造となり、島相の性質によっては強度の出ない樹脂となる。
多成分のポリマーブレンドについて過去に実験した結果では、一般の二軸混練機で混練しても良い物性が得られなかったコンパウンドが、カオス混合すると実用に耐える物性になった。
ある添加剤を添加したところ、さらに性能が向上した。樹脂の電顕写真を観察したら、二軸混練機だけで混練したコンパウンドは大きなドメインを形成した相分離構造だった。
しかし、ある添加剤が添加されてカオス混合されたコンパウンドでは、サラミソーセージのような複雑な構造をしていた。
ブレンド系高分子の設計は、セラミックや金属などのブレンド技術よりも難しい。理由は、セラミックスや金属では、結晶を目標に設計してやれば、そこそこの材料が得られるが、高分子ではそのような設計方針を取ることができない。
しかし、難しいように見えるが、ある形式知に着目すると簡単に面白いアイデアが出てくる。ご興味のあるかたは問い合わせていただきたい。
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高分子の分析手法として、熱分析は1980年代までに学会で積極的な議論がされていた。そして、トリッキーな測定方法も開発されたりしたが、最近はあまり話題にならなくなった。
高分子を実務で扱っている人が驚くのはその分析費用であり、社外で分析をお願いするとサンプルの処理時間も含め2時間程度で終わっても10万円以上する。
もし、高分子材料を品質管理しなくてはいけない企業では、TGAやDSC程度は自前で持っていた方が経済的である。できれば粘弾性装置もそろえておきたい。うまく使用すれば、今時の装置は30年使用できる。
転職した写真会社には製造された年代から20年前の装置と思われる熱重量分析装置があったが、十分使用できた。
ところで、品質問題の原因を探るために高分子材料を分析しようとしたときに、まず何から始めるのか?これは問題の内容により様々であるが、問題の内容にかかわらず、TGAとDSCは測定しておきたい。できれば、カスタマイズした粘弾性データも取っておきたい。
品質問題の原因となったロットと正常なロットでは、これらのデータのどこかに差異が現れるからだ。その差異について、必ずしも形式知から考察できる必要はない。
データが蓄積されて、品質問題の傾向との関係が見えてくれば、その相関関係を考察するとノウハウが生まれる。
これは今話題になっているマテリアルインフォマティクスという概念のカテゴリーであり、詳しく知りたい方はご相談ください。
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高分子に機能を付与するために添加剤を添加する。その結果、添加剤のブリードアウトの問題や添加剤の可塑化効果で弾性率の低下に悩まされたりする。
そのために配合設計技術が重要になってくる。ゴムや樹脂における配合設計技術は各社各様である。
そもそも市場品質の考え方も様々で、JIS規格が決まっていても独自評価技術を採用している企業もある。
例えば、DSCの測定条件について、昇温速度は20℃/minとJIS規格に書かれているが、TGAの測定結果と同時に比較したい時には、DSCの測定条件は10℃/minとしたほうが良い。
理由は、TGAの測定条件として昇温速度20℃/minは早すぎるからで、両者のデータを比較したいならば10℃/minの昇温速度で揃えて測定した方が好ましい。
TGAとDSCのデータを比較するときに昇温速度を揃える必要があるのは、それぞれの測定結果が昇温速度の影響を受けるからである。
熱分析を事例に、JIS規格が決まっていても独自評価法が生まれる状況を書いてみたが、熱分析において昇温速度の影響があることを知らない人には訳の分からない説明となる。
同様に独自評価法を社外の人が知ってもわけのわからない評価法に見えることがある。ノウハウとはそのようなものである。
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学生時代にアコースティックギターを買ったのだが、社会人になった時に独身寮生活だったので、周囲への騒音配慮で弾く機会がなかった。
その後、無機材質研究所へ留学していた時に、少し弾いていた。しかし、結婚して忙しくなったら、また弾かなくなってしまった。
写真会社で50を過ぎたときに倉庫をパーティションで区切っただけの部屋で仕事をするようになって、暇になった。そこで、ギターを弾こうとしたら弦高が高くなって演奏性が悪くなっていた。
しかし、当時の気持ちとして学生時代の思い出を捨てる勇気もなく、ギターを弾きたい思いだけ残り、ボーとしていたらギブソンES-335を購入してしまった。
このあたりの脈絡のない行動は今でも理解できないが、コロナ禍で高校時代の友人たちとメールで語り合ううちに、学生時代に購入したギターを修理してみようという気持ちになった。
このような気持ちになった理由は後日書くが、今日は弦高が高くなった原因が、表板の膨らみにあり、それが表板スプルース材のクリープによるもので、これを防ぐことは難しいという話題。
前置きが長くなったが、アコギの弦は、演奏後緩めておくべきか、張ったままにしておくべきかの議論について、材料科学の立場から前者が正しいと思われる。
昔読んだギターの入門書には、演奏後緩めると弦が切れやすくなり寿命を短くするので緩めない方が良いと書いてあった。しかし、ギター弦の価格とギター本体の価格を考えたら、緩めておくのが正しい。
なぜなら、材料に一定応力をかけていると、必ずクリープが起きる。いくら木材のクリープ速度が遅くても、クリープという現象は避けられないので演奏後ギター弦を緩めておかなければ表板はやがて膨れてくる。
このような初歩的なことを学生時代には理解していなくて、ギターの入門書に書かれていたことを信じて高価な楽器を扱っていた無知を反省している。
もっとも、クリープという現象は、材料の専門家でなければ理解できない。一般教養では「コーヒーにクリープ」が常識なので仕方がないのかも。
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日産自動車が社運をかけて開発したアリアが先日発表された。昨年のモーターショーで公開された姿そのままである。
この車、あまりWEBで騒がれていないが、テスラのライバルの位置づけである。日産はそのようにPRしていないが、当方はテスラの顧客まで奪う勢いを持ってほしいと願っている。
このアリアの価格は、トヨタ高級車ブランドレクサスのRX同等であり、レクサスRXを買うぐらいだったら、先進性の高いアリアを買った方が良い。
おそらく世界で最も先進的な車ではなかろうか。スペックのこまごまをここで述べるつもりは無いが、CASEの目標を最も満たした車であることに間違いない。
電気自動車が話題になってから、すでに20年経過している。リーフが登場したのは2010年だが、中国ではすでに電気自動車が日常の足として走っていた。車だけでなく、オートバイも電気モーターで走っていた。
エンジンよりもモーターは構造が簡単であり、誰でも製造できる。ゆえに中国で電気自動車や電機オートバイが2010年に庶民の足として普及していたのだ。
ただし、その性能は2010年発売されたリーフに及ばない。足回りに至っては、車軸式でサスペンションはついていないものもあったぐらいである。
リーフは世界で最も売れた電気自動車として世界中で知られている。アリアはリーフ同様にエポックメーキングな車としてもう少し注目されても良い。
ガソリン車から電気自動車へ転換してゆくのは歴史の流れでだれも止めることはできない。しかし、電気スタンドの普及が国内で遅れているのは政府の怠慢だろう。
中国では、会社へ電動オートバイで乗り着け、会社のコンセントから充電している風景を見たが、交通費を会社が支払っていると思えば、驚くようなことではない。
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情報化時代となり、ビッグデータを活用した成果が連日ニュースになっている。
世界一のスピードを誇るコンピューター「富岳」によるコロナ感染シミュレーションは、おなじみになった。
材料開発にもAIを導入してこの手法を使っていこうという動きがマテリアルインフォマティクスだが、高分子の世界では1970年代にゴム会社で行われている。
二度のオイルショックで燃費改善をタイヤの材料開発で実現しようとしたテーマが企画された。このテーマでは、転がり抵抗の低減とグリップ性能とは二律背反となり、科学的に解を得ることが難しく、多変量解析による最適化が行われた。
IBMのビジネス用大型コンピューターの統計パッケージが使われたのだが、当方は新入社員実習テーマ「タイヤの軽量化」でこれを使用し、データ入力から結果を得るのに一日かかった記憶がある。
今となっては文明の遺物、パンチカードでデータ入力するのだが、このパンチカード作成も大変だった。さらにデータカードができてもすぐに答えが出てくるわけではなかった。
OSはマルチタスクで処理されていただけでなく、ジョブの優先度も決められていた。POSシステムのデータや経理処理の後に解析が行われたので、結果が翌朝でてくるということもあった。
当時3033という型式で呼ばれたコンピューターを使っていたのだが、今のマイコンに比較すると赤ん坊のような頭脳なのに20帖ほどの快適な部屋で大きな顔をして2台鎮座していた。
また、セラミックスでは無機材質研究所でこのような手法で研究を行っていた人もいた。JANAFの熱力学データやASTMカードのデータを打ち込んでデータベースを作成し、研究をされていた。
当時はデータベースを作るところにも一山超えなければいけない手間がかかった。それだけでなく、AIの代わりに、職人並みの経験知を有した研究者の頭が頼りであった。
高分子学会誌6月号でもビッグデータの話題が載っていたが、温故知新と言ったら叱られるか?無料セミナーでも実例を使って少し説明いたします。
無料セミナーでは、多変量解析による難燃化因子の解析結果から、なんちゃってデータ駆動による難燃性環境対応樹脂の開発事例などを説明します。
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