科学の形式知や職人の優れた暗黙知や経験知について理解するには、ジョー・パスは最適である。なぜなら、形式知に相当する音楽理論や多数のジャズメンとの演奏による経験知や暗黙知を彼の演奏から学ぶことができるからである。
名人とか名演奏家の意味を持つイタリア語バーチュオーゾをそのままタイトルとしたソロアルバムが4枚ほどあるが、このアルバムを聴くとその音使いの多彩さにびっくりする。
おそらく耳のいい人ならば、複雑なコードが出てくるので難解に感じるかもしれない。しかし、彼はギターの指板にCAGEDシステムを導入した達人であり、このCAGEDシステムにより複雑なテンションのアイデア実現を容易にしている。
ギターと言えばカルカッシの教則本が有名であり、練習曲には拷問とさえ感じる指使いも出てきたりする。当方はそのためギター練習に挫折したのだが、ジョー・パスの教則本ではCAGEDシステムによる指使いの楽な運指が解説されている。
リーリトナーはじめロックギタリストの速弾きは、彼の考案したCAGEDシステムなしには不可能だろう。バッハが音楽の父ならば、ジョー・パスはギター演奏の父かもしれない。
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知識は情報と異なり、手っ取り早く習得することが難しい。情報を知ることを知識と勘違いしている人がいるが、項目をただ情報として頭に詰め込んでもすべてが知識とはならない。
知識とは何かは哲学の命題であり、ここで論じるには荷が重いが、当方の知識として知識を語る時に、形式知と経験知、暗黙知の3分類が重要と考えている。
すなわち情報を読むときにもこの3分類を意識し、情報を整理し、体系立てて知識として身に着ける努力をする。残念ながら当方は情報をすぐに知識へ転換できるほど頭の回転がよろしくない。
学生時代は砂漠状態だったので情報の吸収も早く知識へ転換するのも特に意識をすることはなかったが、50を過ぎてから、頭の回転が意識されるようになった。時々速く回したくなって首の運動をしたりするが駄目である。
回転の遅くなった頭を使いこなすために、新たな知識を入手したい時には、2種以上の著書を読むことにしている。例えば2005年に単身赴任しPPS半導体無端ベルトの押出成形を担当した時には、混練から押出成形までの専門書を揃えた。
約100万円ほど自腹で情報収集したのだが、これはこれまでの当方の習慣である。サラリーマン技術者の多くは会社で書籍を購入しているらしいが、当方は自前で購入することにしている。理由は簡単で、自分の読んだ本を手元に置いておきたいからだ。
話がそれたが、無端ベルト押出成形技術の知識を身に着けるために100万円近くかかったのは、混練技術の高価な本を多数購入したり、国会図書館の複写費用、そのための交通費がかかったからである。
すなわち加齢で頭の回転が遅くなった問題を補うために、同一課題について複数の著者による説明を集め、それらを比較して読み知識習得速度を速める努力をした。
ちなみにこの時には1か月で知識を習得し、混練技術に関する世間の説明が、30年前ゴム会社の指導社員から伝授された混練技術の説明と異なることに疑問を持ち、カオス混合技術の発明に至っている。
若いころに比べれば時間がかかっているが、当時の状況において100万円かけてでも1カ月以内に新技術を生み出したい(注)と考えていたので、十分に投資の目標を達成したと満足している。
ただし、新技術開発で給与が増えたわけではないので個人の赤字である。それで早期退職して赤字を取り戻そうと努力している。カオス混合にご興味のあるかたはお問い合わせください。
(注)コーチングが流行しており、上司が答えを出すのは好ましくない時代である。しかし6年近く研究開発されてきて完成できなかった技術なので、部下にコーチングで考えさせて1か月以内に新技術が出てくるとは期待できなかった。左遷された身の上だったので問題解決目標達成を第一に考え仕事をしている。
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ジョー・パスは1994年に亡くなった超絶技巧のギタリストだ。オスカーピーターソンとの録音が多いが、彼のソロアルバム「バーチュオーゾ」は、4巻アルバムとして発売されている。
リーリトナーやラリーカールトンのレコードを聴き始めたときにジョーパスを知り、第1巻はレコードだが2巻以降はCDのアルバムを購入している。
オスカーピーターソンのレコードジャケットを読み彼の名前を見つけた程度なので、若い時にはソロアルバムを聞く程度の関心しかなかったことを思い出した。洗練されたリーリトナーの演奏にかぶれていた。
リーリトナーも超絶技巧で早引きギタリストだが、ジョーパスよりも音色にも新しさを表現していたので若い時にその刺激にひかれたのだろう。しかし、このコロナ禍にジョーパスの演奏を改めて聴き、コードの響きの斬新さを再発見した。
また、当方は今まで知らなかったが、演奏のアルバム以外に彼が指導する教則用のビデオ(VHS)も数種類発売されたようで、ユーチューブで公開されている。コロナ禍となり、友人に触発されて彼が執筆した著書や楽譜をオークションサイトでいくつか手に入れて2年間研究してみた。
3音の和音しか知らなかった当方にとって教則本そのものが難解だったため、改めて音楽を勉強しなおす心づもりで音楽理論書もオークションで手に入れなければいけない状況になった。
やさしいコードの本はじめ10冊ほど購入し読み比べてみたが、ジョーパスについて触れた本はあってもジョーパスの奏法について解説した本は無かった。
ジョーパスはよほど独特な個性の演奏者だったようだ。しかし、ユーチューブで語っている彼の説明は合理的であり、彼の考え方で練習したいと思うようになった。それゆえ研究を始めたが、科学の研究のようにはうまくゆかない。
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このコロナ禍で衝撃を受けた出来事の一つにデータサイエンスの大衆化がある。携帯電話などから発信された個人データをAIにデータマイニングさせ、その結果を番組で紹介し、パネラーが議論するという番組進行には大変驚いた。
パネラーにはいわゆるおバカタレントも参加し、データマイニングで見出された新たな知識で遊んでいるのだ。コロナ感染者の増加データやその原因らしきものを示唆するデータが遊びの道具になっている。
コロナ予防について大衆の啓蒙にこれが役立ったのだろう。日本では欧米と比較し「さざなみ」程度の感染者数である。某役人による「さざなみ」という表現が問題視されたが、日本の感染者数データから判断すれば座布団一枚出したくなる表現だ。
このようにAIを用いたデータマイニングの結果を利用しTVの娯楽番組が作られる時代になったことに驚いている。50年ほど前は、パンチカードにデータを打ち込み、カードデータの打ち間違いを探し、多変量解析を大型コンピューターで行っていた。
大型コンピューターは、時分割処理で動いていたので緊急性の低いデータは翌日朝まで結果の出力を待たされることもあった。45年前にはMZ80KにFDを接続し、100件のデータセットを2時間ほどで処理できるようになった。
独身寮で休日カチャカチャと響くFDの音に快感を感じ、婚期が遅くなることを悟った。40年前にはPC9801にハードディスクがつき、筑波のアパート(裏に地元の墓地があった)で、SiCのスタッキングシミュレーションを行っていた。
材料技術分野におけるデータサイエンスとは、このように息抜きで行う遊びと思っていたら、それが技術者だけでなく、大衆までデータサイエンスで遊ぶ時代になった。
データサイエンスから得られる知とは、科学の論理展開から得られる知と異なり、データに生まれた偶然による相関から導かれる根拠の怪しい知が含まれている。
その怪しさを大衆は楽しんでいるのだ。また、技術者は科学的というには少し気恥ずかしさがあるが瓢箪から駒の機能を見出せる可能性にかけて昔から遊び感覚で使用してきた。
それが最近ではマテリアルインフォマティクスなる分野が現れ、アカデミアが真面目に取り組んでいる。ただし、人間の頭を使わずAIに頼ってである。昔から技術者はそれが科学的かどうかという曖昧さゆえの気恥ずかしさもあって自分の頭を使い知を紡ぎだしていた。
科学者と技術者の違いがここにある。科学と技術の境界は時代により変わるという名言があるが、科学者が自分の頭ではなくAIに頼る時代が来るとは想像しなかった。人間の良心から生み出される知が大切で有用と信じてきたが。
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主成分分析を使用した成果で衝撃的な思い出は、電気粘性流体の耐久性問題を解決した仕事である。この仕事が原因でFDを壊されるような業務妨害を同僚から受け、研究所内で事件は隠蔽化された。
高純度SiCの事業を住友金属工業(当時)とJVとして立ち上げたが、研究開発活動にも障害が生じ諸事情を鑑み転職している。バブル崩壊直前の出来事である。
電気粘性流体をゴム製のケースに入れて使用するデバイスの開発を検討していたチームがあった。社長方針の3つの柱(ファインセラミックスと電池、メカトロニクス)の一つ、メカトロニクスの目玉として高純度SiCの企画と同じころ、電気粘性流体の開発がスタートしている。
しかし、耐久性問題を解決できず性能も低かったので研究段階に留まっていた。新しく着任したゴムのことを知らない研究所出身の本部長が添加剤も何も入っていないゴムを開発せよと、技術者には信じられない指示を出した。
新入社員時代に樹脂補強ゴムを開発した実績から、高純度SiCの事業を住友金属工業とのJVとして立ち上げた当方にゴムの研究者でも考えないようなテーマが巡ってきたのだ。
なぜこのような馬鹿げたテーマが研究所で企画されたのか。原因は、電気粘性流体の耐久性劣化の原因がゴムに含まれていた添加剤が電気粘性流体に流出して増粘する現象だったからである。
この開発メンバーは界面活性剤を電気粘性流体に添加して解決しようとしたところ、あらゆるHLB値の界面活性剤で問題解決できなかったので、否定証明を用いて電気粘性流体の耐久性問題は界面活性剤で解決できない、という研究論文を本部長に提出していた。
その研究論文は、アカデミアよりもアカデミックな研究所で東大や京大はじめ高偏差値の大学院出身スタッフがまとめた科学的に完璧な論文で、本部長は高く評価した。その結果、添加剤も加硫剤も何も入っていないゴムを開発せよ、という指示になった。
当方は界面活性剤のカタログデータについて主成分分析を行い、界面活性剤の機能がHLB値だけで記述できないことを見出した。
すなわち、第一主成分はHLB値となったが、第二主成分に粘度へ寄与の高い結果が得られた。そこで、第一主成分と第二主成分の象限で界面活性剤の主成分得点を用い、分布を検証した。
驚くべきことに、第一主成分の軸の周りに60%前後の界面活性剤は分布したが、40%は、第一主成分の軸から距離のある所に分布していた。
この40%の界面活性剤を中心にして実験を行い、一晩で耐久性問題を解決できる界面活性剤を見出すことができた。ところが、上司はこれは界面活性剤と表現するな、とアドバイスしてきた。
アカデミックな研究を進め、界面活性剤とは異なる界面活性効果を持つ物質第三成分である、というのだ。新しい学問を創り出すことはアカデミアの重要な活動だが、これはいかがなものだろうか。
首を傾げつつ、第三成分として界面活性剤の見直しが進められることになった。上司は電気粘性流体の粒子についても性能の良いものを開発するように指示してきた。
1週間ほどで傾斜粉体はじめ特殊な3種の粉体を開発し電気粘性効果を測定したところいずれも高く安定な電気粘性効果を発揮した。研究開発の妨害がエスカレートしたのはそれからである。
今マテリアルインフォマティクスはAIを用いて研究が進められている。人間がデータサイエンスで科学により未解明な真実を見出すと研究者から嫉妬などの問題を生じるが、AIならばそのような問題は起きにくいだろう。
ただし、当方の経験ではAIに任せるよりも、人間がデータサイエンスを使いこなし、新たな知識を見出す活動のほうが楽しいように思っている。新しい知識の発見を快楽の一つにできるのは、知的動物である人間の特権である。
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主成分分析は因子分析の一つで、n(因子)xm(データ組)個(n<m)のデータをn個の一次独立の因子のデータ組に変換する。他の因子分析との違いは全変動との比較で、変動の大きな順に因子を整理してくれるところだ。
この特徴があるので技術分野で使いやすい。例えば昨日まで説明してきた重回帰分析の説明変数を一次独立に変換して使用する場合に、全部の主成分を使用するのではなく、上位から必要な主成分を選んでモデル式を組み立てることができる。
主成分の特徴づけができておれば、各主成分に対するモデル式との組み合わせで、データ群の説明を読み解くことができる。
重回帰分析との組み合わせ以外に、主成分分析だけでも多変量データ群の整理に有効に活用できる。マテリアルインフォマティクスが盛んだが、人工知能を使わなくても人間の頭と多変量解析でデータマイニングが可能である。
マテリアルインフォマティクスはAIが登場して初めて考え出されたような説明がなされているが、人間の頭と多変量解析の組み合わせやタグチメソッドによるデータマイニングは50年近く前から行われえいる。
日科技連の新QC7つ道具の一つとしても紹介されているので確認していただきたい。アカデミアよりもアカデミックな研究所で新QC7つ道具を使って仕事をやっていたところ馬鹿にされたりしたが、今その馬鹿にされた手法がアカデミアから提案されているところが面白い。
今は、マテリアルインフォマティクスをやっていても馬鹿にする人はいない。長く生きているとこのような面白い光景を見ることができる。今はパソコンで簡単にできるが、昔はパンチカードにデータを打たなければいけなかったので大変だった。
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重回帰分析において説明変数は一次独立であることが求められるので、説明変数間の相関係数を評価しながら重回帰分析を行う手法も存在する。
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段階式重回帰分析がそれだが、ユーザーが希望する説明変数がはじかれる場合もある。一方、説明変数間の相関が高くても重回帰分析を行いたい時には、説明変数のマトリックスを主成分分析により一次独立のパラメーターへ変換して行う手法がある。
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主成分分析では、データマトリックスを一次独立の主成分因子に転換することが可能なのでこれを用いるとすべての説明変数を取り込んだ重回帰式を組み立てることができる。
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ただし、この手法では目的変数を予測する場合に面倒である。説明変数間に技術的な相関関係が知られている場合には、やはり一方の説明変数を取り除いて重回帰分析を行うのが簡単である。
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そのほかに目的変数と特定の説明変数の間に数学的な関係がある場合には、説明変数をその数学的な関係式で変換してから重回帰分析を行う工夫も必要な時がある。
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重回帰式は多数の説明変数で組み立てられた関数をテイラー展開し、その一次の項だけを採用している。二次以上の項を誤差としているので、目的変数と特定の説明変数との関係について変換した値を用いることは邪道のように見える。
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しかし、技術開発で重回帰分析を行うシーンでは目的変数を予測できる数学モデルを期待することが多いので、邪道と思われるこの方法を試してみるとその有効性を理解できる。
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重回帰分析で求められた重回帰式に説明変数を多く入れると重回帰式の目的変数に対する寄与率は上がるが、汎用性が無くなるので好ましくない、とよく言われる。
これは、舌足らずな説明である。説明変数が少なくても重回帰式に採用された説明変数間の相関が高ければ、汎用性が無くなる。汎用性の高いモデル式とするためには、説明変数間の一次独立が重要である。
説明変数間で相関が高い時には、相関のある説明変数において一方の説明変数は他方の説明変数を用いて一次式を組み立てることが可能、すなわち相関のある説明変数のどちらかが重回帰式に取り込まれておればよい。
相関のある説明変数を両方取り込んだ重回帰式で、この説明変数に相関から外れた値を入れたときには誤差が多く取り込まれている結果で予測することになる。
しかし、重回帰式を組み立てるときにすべての説明変数を従属性の無い一次独立のデータとすることは容易ではない。
40年以上前にホウ酸エステルとリン酸エステルの組み合わせ難燃化システムを発明した時に上司から組み合わせ効果を数値で示すように指示された。
アカデミアよりもアカデミックな研究を要求されるような研究所だったが、残念なのは指示を出している上司が内容を理解せず指示を出している場合が多く大変だった。
この苦労のおかげで企業の研究所で学位をとれるほど育つことができたのだが、コーチングというよりもガマの油を搾りだしているような指導だった。
重回帰分析で示すアイデアまで浮かんだのだが、当時リン酸エステル系難燃剤には塩素が含まれており、塩素の効果を取り除いて評価しなければいけない問題が生じた。
そこで、塩素だけの難燃剤やリンだけの難燃剤についてもデータを収集してリンと塩素の相関係数を下げる努力をした。結局50件をこす実験を行いデータを集めることになった。
努力が実り、リンと塩素の相関を下げることができ、リンとホウ素の組み合わせ効果をうまく説明できる重回帰式を組み上げることができた。
今ならばタグチメソッドでL18実験を行う。ただ、当時実験計画法も行ってリンとホウ素の組み合わせ効果を確認していたのだが、上司が統計手法を充分に理解していなかったのでその説明は却下された。
データサイエンスは当時先端手法で人間の頭によるマテリアルインフォマティクスを研究しているグループもあったが、合成グループの主任研究員は数学に弱かった。今の時代は、多変量解析ぐらいは専門外でも身に着けておきたい。
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2022年5月19日(木)にゴムタイムズ社主催でWEBセミナーが開催されます。
【WEBセミナー】事例から学ぶプラスチック/ゴムの劣化・破壊メカニズム (gomutimes.co.jp)
このセミナーでは、金属やセラミックスとは異なり、未だ学術において明確な結論の出ていない高分子の破壊について、技術の視点から問題解決する方法を解説します。
高分子材料の耐久性あるいは寿命予測は難しいノウハウが存在し、各社それぞれの技術を開発していると思われます。また、アカデミアの指導を受けた場合には、アーレニウスプロットによる寿命予測法を指導されるかと思います。
アーレニウスプロットよりもラーソン・ミラー型の予測式の方が好ましい、といった議論などが聞かれますが、高分子材料が使用された製品について信頼性工学からの考察は実務を経験していないとその理解が難しい。
高純度SiC技術の開発とその事業立ち上げや電気粘性流体の劣化問題の解決など高分子材料だけでなくセラミックスまで幅広く材料の実務を経験してきたノウハウをこのセミナーでご説明します。
ご興味のあるかたは、直接ゴムタイムズ社へお申し込み頂くか弊社へお問い合わせください。
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重回帰分析では、得られる重回帰式の2つ以上の説明変数間において、相関の無いことが重要である。数学的に表現すると説明変数が一次独立であることが求められる。
データサイエンスが普及し、パソコンで多変量解析が手軽にできるようになったが、データ整理に便利な重回帰分析の有効性を見出せない原因の一つにこの基本が十分理解されていない点があるのではないかと思っている。
説明変数間で全く相関が無い時に導かれた重回帰式のある説明変数αの偏回帰係数は、その説明変数α1個と目的変数で導かれる1次回帰式における単相関係数と一致する。
このことから説明変数間に相関がある場合の重回帰式の問題を理解できる。そもそも説明変数間に相関があれば、その相関のある説明変数どおしで単相関の一次式を組むことが可能である。
すなわち、相関のある二つの説明変数のいずれか一つが重回帰式に組み込まれておればよいことを意味するとともに、それら二つの説明変数を組み込んだ場合には、二つの説明変数間の相関から外れた値を入力して重回帰式で推定した時に誤差を抱え込むことになる。
重回帰式で説明変数を多くするとその式の相関係数は上がるが、予測式として使えない式になる、と説明されたりしているが、これは不十分な説明である。説明変数が少ない重回帰式でも、その式に含まれる説明変数間に相関が高ければ、予測式として説明変数に入力する値によっては誤差が大きくなる。
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