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2016.11/20 グライダーと飛行機

外山滋比古著「思考の整理学」ではグライダーと飛行機の例えが最初に出てくる。独力で知識の得られる人を飛行機に、そうでない人をグライダーに例えている。そして学校はグライダー人間の養成所で飛行機人間を作らない、と酷評している。
 
この本では、グライダー兼飛行機のような人間になるにはどういうことを心がければよいのか書きたい、と出だしで述べておられる。1986年に書かれた本であるが、今でも読まれ200万部突破したという。
 
この本に書かれている内容は、11月の講演で述べた内容とよく似ている。講演準備のために読んでみたのだが、大変わかりやすく書いてあって面白い。この本によると、テーマ立案は難しい作業となっている。しかし、それができるようにならなくては、コンピューターに仕事を奪われると。
 
これは大変良い表現で、講演会で使わせてもらった。独力で知識の得られることが現代において重要なのは、人工知能との競争があるからだ。この意味では、知識の獲得競争をやっていては絶対に人間は負ける。人工知能に勝つためには、そこそこの知識で人間特有の創造ができる必要になる。
 
このあたりになると、最初に紹介した著書には書かれていないので、当方の今後の講演に期待してほしいが、もしアカデミアの研究者でテーマ設定がうまくできない若い研究者も当方の講演を聞きに来てほしい。
 
先の著者も書いているような、学校では教えない、実務から獲得した知恵も含めて当方の考える創造とは何かについて語るとともに、創造をするにはどうしたらよいのかというノウハウを説明する。当方の講演を聞けばテーマ設定ができる研究者になれるはずだ。
 
評論家になるには、そこそこの知識ではだめであるが、独創は、そこそこの知識故である。ただし、生兵法では「独りよがり」となる。切れ味の鋭い独創力は問題解決のために必須である。今後の当方の講演予定あるいは講演の出前、マンツーマンによる指導など行っているので弊社へ問い合わせていただきたい。
 
 
 
 

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2016.11/19 ドラッカーの問題解決法

問題解決に関してドラッカーは著書の中で様々な表現でそのポイントを述べているが、残念ながら問題が設定された後の具体的な解決メソッドについては、まず「問題の理解」に全力をあげるようにとのアドバイスを述べているだけである。
 
ただし、問題設定までについては、「何が問題か」と問うことの重要性を様々な表現で述べている。すなわち問題解決法の前に、問題設定が極めて重要であり、「間違った問題の正しい答えほど役に立たないものはない」と大変わかりやすい表現をしている。
 
これは、いくら正しい問題解決法を適用し正しい答えを導いたとしても、問題そのものが間違っていたとしたら、そこから得られた正しい答えに対しどのような評価をしたらよいのか、と言っているのである。
 
例えば福島原発の状況は、果たして正しい問題設定がなされているのか疑問を持ちたくなる展開である。凍土壁などはその最たる例で、科学者の夢物語をそのまま実行してしまった。実務に長けた人ならばすぐにダメだとわかっていた。多少お金がかかっても周囲に止水板を作ったほうが確実だった。
 
増加していく水タンクを今後どのように処理してゆくのだろうか。5年経過して早くも老朽化が起きているタンクもあり、水漏れしているという。頭の良い人がしばしば成果をあげられない、とドラッカーは述べている。頭の良い人は正しく問題を解くが、正しい問題設定ができないことを言っている。
 
ドラッカーは問題を解く前段階について様々な名言を残しており、そもそも問題設定の前の仕事選択のルールとして、問題よりも機会を選択するように指摘している。すなわちあれこれ問題を考える前に機会についてまずよく考えることが大切である。そして問題解決に当たらなければいけない時に、その作業に入る、すなわち、機会や状況により何もしない、という意思決定もあるのだ。
 
 
 

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2016.11/18 模倣の勧め

イノベーションを引き起こす手法として、模倣と破壊が有効であることを技術開発の経験から見出した。問題解決法セミナーでも模倣によるイノベーション事例を扱っている。
 
無機粒子を焼き固めた材料をセラミックスというが、これを有機高分子から製造する技術を開発し、その技術は今でもゴム会社の事業として30年近く継続されている。製造プロセスが従来と全く異なるので、これは誰もが認める破壊的イノベーションで、日本化学会賞を受賞している。
 
破壊的イノベーションは、見てくれも良くイノベーションの効果も高い。しかし、効率はというと、ゴム会社における成果は、事業が立ち上がるまで6年、いわゆる開発のdeath valleyを歩くことになった。日本化学会技術賞を受賞したのは、研究開始から15年後だった。この時当方は写真会社にいた。
 
写真会社における最初の成果は、酸化スズゾルをもちいた帯電防止層の開発で、これは搭載された商品が印刷学会から、技術については日本化学工業協会の二カ所から賞を頂いている、イノベーションを起こした技術だ。
 
しかし、これはゴム会社の経験を活かし、破壊的イノベーションのスキルを封印して模倣によるイノベーションでどこまでできるのか試してみた成果である。すなわち特公昭35-6616という今は存在しない小西六工業という会社の技術をそっくり真似たのである。
 
ただ、当時は、「模倣してます」と大きな声で叫べないので「温故知新」戦略と言いながら技術開発を進めた。それも1950年代に数学者が議論していたパーコレーション転移を看板に掲げて温故知新と叫んでいた。古いモノを寄せ集めまとめただけの技術だった。ただし、それらは新商品に搭載されイノベーションを引き起こした。
 
昭和35年の特許を真似た技術は、開発を始めて3年で商品になり、5年後に印刷学会から、8年後に日本化学工業協会技術特別賞を受賞した。模倣は効率が良いのである。そして模倣でもイノベーションを引き起こせるのである。
 
温故知新という言葉は、まさに模倣によるイノベーションを推奨していると思っている。そして模倣されて優れた技術が生まれ、次の時代に語り継がれると、不易流行となる。その時、物事の本質が解ってくるのである。
 
酸化スズゾルの技術では、確率過程のパーコレーション転移がプロセスの中でどのようにばらつくのか明らかにされた。化学工業協会からの受賞はこの一点が評価されたからだ。模倣により技術を作り、科学で本質を探る技術開発は、弊社問題解決法が提案している一つの方法で、TRIZやUSITよりも問題解決力は高い。
 
模倣なら誰でもできる。さらに下手な人が模倣すればオリジナルと区別がつかなくなり、独創になるかもしれない。

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2016.11/17 問題解決法セミナー

先日問題解決法のセミナーの講師を1日務めたが、それなりの反響があった。弊社創業当時研究開発必勝法として販売していた内容を作り直し、システムシンキング、非科学的方法、逆向きの推論、戦略図、戦術図などの特徴を明確にした。
 
問題解決についてはロジカルシンキングなどが流行したが、これは小学校から学んできた内容である。しかし、問題解決をシステムとしてとらえ、解いてゆく方法は学校で教えていない。ましてや非科学的方法など義務教育では禁じ手である。
 
しかし、それらが実務の現場ではもっとも重要である。TRIZもシステム指向的なところがあるが、あれは科学的で硬い頭の方がもちいる方法である。コンピューターに任せておけば良い。小生が推進するのは、ヒューマンプロセスである。
 
これからAIがどんどんビジネスの現場に入ってくる。コンピューターにもできる、というよりもコンピューターが得意なロジカルシンキングを学んでいてもコンピューターにはかなわない。しかし、コンピューターには不可能な柔軟なシステムシンキングで問題解決に当たれば、従来の科学的成果とは異なる新たな成果を生み出すことは間違いない。
 
当方は32年間のサラリーマン生活でこの問題解決法に取り組み、非科学的なPPSと6ナイロンが相容した中間転写ベルトの開発やなぜうまくできたのか不明なリサイクルPETボトルをもちいた環境樹脂の開発に成功(注)している。
 
後者の環境樹脂については、問題解決法で作成した戦術図に基づき、試行錯誤法で開発している。しかし、難燃剤が無添加でもUL94-V2を通過する樹脂という不思議な技術である。できているのは不思議ではあるが、それを作ろうとした意思決定は会社への貢献という一途な思いからである。
 
このようなモノを作りたい、このようなモノとは、PETが80wt%でマトリックスを形成していても難燃剤不要で難燃性能を持った樹脂、と具体化し、そこから逆向きに推論を展開して設計している。できあがった樹脂の科学的解析を行っていないので、どのようなモノができているのか不明である。しかし、繰り返し再現性は存在する。技術の成果だからである。科学の成果ではない。
 
試行錯誤で本当にできるのか、と聞かれると、何も考えない試行錯誤では無理だが、システム思考により制御された試行錯誤なら可能である、という答えになる。これが弊社の問題解決法である。
 
(注)この新しい樹脂には二つのバージョンが存在する。一つはPETが80wt%含まれるが、他の一つは30wt%含まれた樹脂で、後者はPPAP式の成果である。

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2016.11/16 宮間あや選手の退団

「サッカー女子・岡山湯郷ベルの“顔”として長年活躍した宮間あや選手(31)の退団を受け、岡山県内関係者からは14日、湯郷を愛し地域活性化に貢献したことへ感謝の声が聞かれた一方、主力選手が相次ぎ退団した騒動についてチームに説明を求める意見も上がった。」と、ヤフーニュースで報じられていた。
 
このニュースをこの欄で取り上げるつもりは無かったが、WEBには岡山湯郷ベルについていろいろ悪いうわさが書かれていた。ニュースには、「湯郷温泉女将(おかみ)の会の峯平滋子会長(73)は「これだけ貢献してくれた人。後ろめたい気持ちで去ってほしくない。最後は退団セレモニーで送り出してあげたい」と声を詰まらせる。」とまである。
 
表に出ている情報によれば、二部降格となるこのチームの監督に問題がありそうだが、監督の更迭の話は出ていない。ただ半年ほど前に宮間選手との確執があり、契約が切れる先日まで引き止め、円満退団としたニュースがでていた。サラリーマンの早期退職も大抵は円満退職となる。当方がゴム会社を退職する時もそうだった。
 
当方は、上司からキャリアを汚さないために、との説明を受けたが、大抵は組織の都合だ。組織の都合で問題があってもそれを隠すために円満退社とする。6年間過重労働の死の谷を歩き、住友金属工業との契約もまとまり、たった一人で努力してきた高純度SiCの事業がこれから順調に立ち上がってゆく状況を前に円満退職するサラリーマンなどいない。
 
岡山湯郷ベルは二部降格であり、状況は当方の場合と異なるので、この欄で取り上げるつもりが無かったが、WEB情報では組織の問題が指摘されている。
 
ヤフーニュースにも「チームは今年、監督代行の確執が原因とされる宮間ら主力選手の退団騒動で揺れ、日本代表でともに活躍したGK福元美穂選手(33)は移籍の道を選んだ。8年前からチームを応援しているサポーターの松本信幸さん(44)は「何がごたごたの原因だったのか。何の説明もなく、フラストレーションばかりがたまった。サポーターをないがしろにしないでほしい」と訴えた。」とある。
 
チームの責任は監督にあるので、おそらく問題は監督にあるのだろう。今の時代、組織の問題を隠そうと考えるリーダーは、根本の考え方を変えなければならない。情報は必ず漏れるのである。悪い情報は必ず洩れることを前提としなければいけない。すなわち組織の問題を積極的に開示できるリーダシップこそ重要である。サポーターに支えられているスポーツではなおさらである。悪い情報を隠そうとするとさらに悪い事件へと発展するものである。過去の企業事件を見ればほとんどが過去に問題を隠すという行為を行っていた。
 

 
 

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2016.11/15 浅田真央GP第4戦フランス杯の結果

 浅田真央選手が「自信を失った」と涙をこぼした。ショートプログラム(SP)で8位と出遅れていた浅田真央選手は、フリーでもジャンプにことごとく精彩を欠き、100・10点(技術点39・64+演技構成点60・46点)、合計161・39点で9位に終わった。
 
この話題について取り上げるかどうか迷ったが、彼女の試合後のインタビュー記事を読み、感動したことを書くことにした。今季彼女が膝を痛めたらしいことは以前ニュースで報じられた。しかし浅田選手の方から詳しい情報が出されていないという。だから今季の試合を見るまで不確実情報だった。
 
しかし、今季の試合結果を見る限り、スポーツ選手としてやや厳しい状況であることは誰の目にも明らかだった。かつて金妍児選手とトップを争った姿がそこに無かったからだ。にもかかわらず、彼女はインタビューで世界選手権に向けてチャレンジするという。先日ヒラリークリントンの敗者の弁に感動した話を書いたが、負けるかもしれないけれど自分の大切にする価値のためにチャレンジする姿勢は人生で大切である。
 
「自分が何によって覚えられたいのか、それを考えて努力せよ」とは故ドラッカーの言葉である。才能あふれる選手生活のまま、そのスポーツ人生を終われる選手もおれば、才能があっても運悪く怪我でそれを活かすことができず終わる選手もいる。選手には悪いが、スポーツの楽しみ方の一つに「運命」という命題がある。
 
スポーツは勝敗のはっきり出るショーであり、勝つために選手が努力する姿は美しい。どれだけ壮絶で過酷な練習をしていようとも、そこには過重労働という言葉は無い。自己実現努力であるからだ。
 
労働者もこのスポーツ選手のような働き方はできないのだろうか。仕事を人生と切り離す考え方では無理だろう。仕事を自己実現の努力の一環とした時にそれはできるのではないか。知識労働者はその能力として身に着けている知識を仕事に適用して成果を出す働き方が原則にあり、自己実現目標として、知識をどのように仕事へ適用するのか、というノウハウを磨き上げる働き方が理想である。
 
32年間のサラリーマン生活では、故ドラッカーのいうところの知識労働者と言う言葉の意味を考えてきた。その結果、専門領域では無くても共通に存在する知識の働かせ方(注1)、すなわち知識を成果に結び付ける方法について書かれた教科書が無いことに気がついた。知識労働者は、仕事を目の前にした時に専門知識が無いことを成果が出せない理由にしてはいけないのである。そして成果を出したからと言って、あるいは会社に十分貢献しても報われないのは、そのような会社(注2)を選んでしまった運命とあきらめなければいけない。
 
専門外で初めての仕事を担当するのは知識労働者にとって無謀なチャレンジとなるが、知識労働者の本質がその知識を仕事に適用する能力であれば、仕事で成果を出すためにトレーニングし仕事に必要な専門外の知識を獲得すればよいだけである。知識が乏しいことを成果が出せない理由にしてはいけない。浅田選手を見習え!
 
(注1)当方は、大学時代有機合成化学を専門知識として学んだが、工学博士の学位論文の中身は半分以上がセラミックスの知識である。そしてサラリーマン最後に担当した仕事は、初めての押出成形や射出成型であり、それぞれで不足する知識をいわゆる「過重労働」と「休日業務」で補い、知識を補強し成果を出すことができた。豊川への単身赴任は知識労働者としての卒業試験のようなものだった。単身赴任先では部下の課長を定年退職で送別する機会があり、その課長からは知識の補強で助けられたのでお礼のため二人で食事をする機会を設けたが、この席での会話は機会があれば紹介したい。彼は専門家として自己実現されてこられた方だった。そして科学に忠実に仕事をされていた。その結果、成果を十分に出せなかった。科学は哲学の一つであり、技術のコミュニケーションでは唯一の共通言語となるが、必ずしも技術開発に不可欠ではない。科学の無い時代でも技術開発が行われていた事実を示す遺構はたくさんある。
(注2)就職氷河期と言われた時代に、それでも求人が来ないと嘆いておられた中小企業主がおられた。優良中小企業である。求人企業率が1以下でも人材集めに苦労している会社があった。就職氷河期は求職者側にも責任があるのではないかと当時感じていた。起業という選択もあった。

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2016.11/14 知識労働者の仕事

故ドラッカーは、現代を知識労働者の時代と表現した。昨日も少し書いたが、AIが普及したときに、AIにできない仕事とは、あるいは人間らしい知識労働のやり方とは、と考えてゆくと、仕事は人生と関わってくる。あるいは、人生との関わりをもてる仕事をしているのが知識労働者という言い方もできるのかもしれない。
 
現代の人間が生きてゆくためには、働かなければいけない。その働き方は、ただ指示されたことを指示されたとおり、機械的にこなしているだけでは面白くない。故ドラッカーはどのような仕事でも現代の仕事では知識が求められている、と語っている。もし、自分の仕事には知識がいらない、と思っている人は、働き方が悪いのかもしれない。
 
このあたりについては、故ドラッカーの少年時代の話が大変参考になる。まさに知識などいらないような仕事をドラッカー少年が担当していたときの話である。そのような仕事に対しても、ドラッカー少年は「知識を適用した」のである。
 
この「知識を適用」する働き方が知識労働者の働き方であり、どのような職種でもこのように捉えると知識労働者の仕事になる。言い換えると、仕事が知識労働者向けかどうか、ということではなく、どのような仕事にも知識を適用する働き方ができる人を知識労働者という。
 
このようにドラッカー流に考えると、いくらAIが進歩しても、人間の働き方が知識を適用する働き方である限り、そしてその知識の源泉を人生に求める限り、人間がAIに取って代わられる時代とはならない。
 
逆に仕事を自分の知識と切り離して働くような働き方をする人は、仕事の現場からAIによりはじき出される可能性がある。ここで「知識を適用」する働き方とは、というのが問題になる。
   

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2016.11/13 原子力発電の問題

11月15日に開催される問題解決法のセミナー( https://www.rdsc.co.jp/seminar/161116 )については弊社へお申し込み頂ければ割引価格で受講可能です。
 
ところで、政府が廃炉を含めた抜本的な見直しを進めている日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)で、配管などに残っている放射性物質を含むナトリウムが約760トンに上ることが6日、原子力機構への取材で分かったそうだ。処分方法は未だ決まっておらず、廃炉が決定した場合は大きな課題になりそうだという。
 
現在進められている東電福島原発の後処理の問題も同類だが、原子力技術関係の研究者や技術者は、その問題解決能力が極めて低いと言わざるを得ない。すなわち、今の時代、どのような技術でもそれが搭載された商品について環境アセスメントをしないメーカーは存在しない。PL問題を事業存続を左右する最大リスクとして捉えているからだ。
 
原子力技術について、5年前起きた福島原発の問題で初めてその実体を知ったが、発電所で事故が起きたときや、発電所を閉鎖するときの方法や経済性について考えられていない、いい加減な技術だった。そして未だこの問題に対して誰も国民の満足できる回答を出していないのである。
 
そのような状態で原発再稼働などできるはずがない。福島原発のようなことを想定して、国民がその対策に満足したときに原発再稼働が可能かどうか結論を出せる。福島原発の40年以上かかる後始末について、東電の負担ではなく大半は国民の負担で進められている(注)。その他の原発についても同様の事態が想定されたならイデオロギーやアレルギーは別にしても、論理的に考えてみても再稼働賛成派が多数にならないことは明らかである。
 
少なくとも福島原発の後処理について、東電一社がすべてを犠牲にして行っています、という状態を国民に見せなければ、いくら発電所のアセスメントを完璧に行ったとしても国民の納得は得られない。すなわち原発再稼働の問題は、すでに答えが見えている問題なのだ。
 
それにしてもその商品を廃棄するときの処分方法を考えずに販売しているような間の抜けた事業をどうして原子力事業者は行ってきたのだろうか?納得できる答えを知りたい。問題解決法のセミナーではこのような問題を起こさないノウハウも指導致します。
 
(注)原発の再稼働できない状態でも何とか電力供給は滞っていない。もし、原発を再稼働しない限り現在の生活を維持できない、という状態になれば、考え方が変わる人が出てくるのかもしれない。しかし、再稼働すれば経済負担が増すリスクが高まる状態では、電気を節約してでも再稼働して欲しくない、というのが多くの国民の意見ではないだろうか。東電の退職者には未だに東電から企業年金が支払われたり、給与水準も高い状態であり、これだけでも国民の理解は得られない。本来ならば経営者の報酬0で運営されるべき状態の会社である。日本にはそのような中小企業が多くあり、少なくとも東電の経営もそのような中小企業と同様にすべきである。これは厳しい意見ではなく、先週日曜日NHKで放送された内容では、暗にそのようなメッセージを伝えている。この問題について国民は「あるべき姿」を真剣に考え政府に求めてゆくべきである。
 
 
 

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2016.11/12 ヒラリー・クリントン氏敗戦の弁

11月15日に開催される問題解決法のセミナー( https://www.rdsc.co.jp/seminar/161116 )については弊社へお申し込み頂ければ割引価格で受講可能です。
 
今回のアメリカ大統領選ほど世界中から注目され、その結果で世界に衝撃を与えた選挙は無いだろう。そのアメリカでは選挙終了直後に反トランプデモまで起きるほどの混乱である。
 
選挙戦を通じて世界中の多くの人たちが初の女性アメリカ大統領の誕生を信じていたに違いない。ヒラリー・クリントン氏は敗戦の弁として、次のように語ったという。
 
「皆さんに、特に若い人たちに聞いて欲しいんです。私は、自分が信じるもののために、生涯をかけて戦ってきました。勝ったことも、負けたこともあります。辛い思いもしました」
 
「あなたたちも、勝つこともあれば、負けることもあるでしょう。負けることは辛い。でも、決して、信じることをやめないでください。正しいことのために戦うことは、価値のあることです。やるべき価値のあることなんです」
 
年齢を考えると、ヒラリー氏にとっては大統領になる最後のチャンスだったに違いない。一度目のチャンスは党代表にもなれなかった。彼女が若い人に語った言葉はおそらく本心だろう。研究開発には勝ち続けたが、サラリーマン人生としては敗者に分類される当方にとって勇気が与えられた言葉である。
 
人生の節々で勝負しなければいけない瞬間は多い。それを逃げていてはだめで、常にチャレンジせよとヒラリー氏は語りかけているのだ。チャレンジで負けることは辛い。敗者の経験の多かった当方には、今回負けてもなおかつチャレンジすることの価値を訴えたヒラリー氏の言葉が負け惜しみに聞こえなかった。
 
弊社が提案している問題解決法とは、ただ問題を解き答を求める方法ではない。意志決定までも促す方法なのだ。意志決定しチャレンジした結果負けることもある。だからと言って答えが間違っていたのではない。自分が価値あると思ったことには、生涯をかけて戦う必要があり、それゆえ意志決定はその場しのぎではだめで、正義を信じて行う。その時ドラッカーが言うところの誠実と真摯さが表に出てくる。
 
 

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2016.11/11 水の電位窓が1.2Vより広がった!

11月15日に開催される問題解決法のセミナー( https://www.rdsc.co.jp/seminar/161116 )については弊社へお申し込み頂ければ割引価格で受講可能です。
 
昨日二次電池関係のセミナーに招待されて講演したが、他の講師の方の講演で面白い内容があった。当方の前にアカデミアの先生二名が講演されたのだが、その二名の先生方の御研究成果を組み合わせるとものすごい発明になる、という発表だった。
 
当方の講演の時にそのアイデアを少しご披露させていただいたが、講演後質問があった。PPAP式アイデア展開による即興説明だったが、講演しながらも少しもったいない話をしたような気分になった。
 
帰り道、さらに面白いアイデアが浮かんだ。PPAP式アイデア創出法は、展開の仕方で広がりができるので便利だ。テンポの良いリズムに合わせてアイデアが出てくる。
 
さて、その基になった科学的成果だが、一つは水の電位窓が1.2Vから3V程度に広がるというもの。公知のように、水を電界質として二次電池に用いると、水の電気分解が始まる1.2V以上の電池を組むことができない。これが3Vに広がれば、水系Na二次電池や、さらに放電容量が大きいMg二次電池を作れる。
 
詳細は弊社へ問い合わせていただきたいが、科学の情報に対して知識を適用し成果を出す一つのパターンとしてPPAPは有効である。ピコ太郎のリズムネタをただ笑っているだけではもったいない。
 
   

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