1000Ωcm程度の導電性があれば、パーコレーション転移が起きたときに、どのくらいの添加量でどの程度の帯電防止性能を実現できるのかシミュレーションしたところ、15-18vol%の添加で10の10乗Ωcmという導電性が得られる、という結果が出た。
この値をゴールにしてバインダーとプロセシングの工夫をしたところ、酸化スズの量が18vol%でPETフィルムにタバコの灰付着テストに合格する、十分な帯電防止性能を持った薄膜を開発できた。ゴールの確認はインピーダンス法で行っている。
この開発を進めていた時に他のグループで帯電防止層を実現するためにライバル特許に抵触しないフィラーを探索していたグループもいたが、パーコレーション転移の制御ができず開発に失敗している。
写真業界は特許競争の激しい分野であり、高分子バインダーの開発をしなくてもよい(頭を使わなくてもよい、という意味かもしれない)利用しやすいフィラーについてすべてライバルに抑えられていた。
特公昭35-6616のおかげで、酸化スズゾルだけが唯一特許フリーの透明導電性フィラーとして残っていた。ゆえに技術開発の方向はバインダーの開発しか無かったのだ。
しかし、科学の視点では透明な無機物質は酸化スズ以外にも存在しフィラーを探索すれば特許抜けが出来そうに思われる。ここで使いやすいフィラーが容易に見つかると期待しフィラーの探索をするのか、高分子バインダーを開発するのかは技術者が責任を持って判断しなければならない。
現代は、インターネットでフィラーを検索すればいっぱい出てくる。しかし、目的に合う特性を持ったバインダー情報はフィラーほど得られない。このような状況で複合材料のいろは、とは高分子バインダーの設計法のイロハとなる。
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ひび割れの無い酸化スズゾルの単膜をガラス基板に形成する技術をディップ法で開発した。暗電流を評価したところ、その導電性は1000Ωcmで、さらに結晶性酸化スズでは観察されない導電性の準位が見つかった。
どうも単膜に水が含まれている可能性があり、熱分析結果から300℃前後でそれは抜けて、わずかに酸化スズ結晶が現れる。このような挙動の水は結晶の場合では構造水となるが、非晶質の場合では何と呼べばよいのか。
300℃前後で揮発する水分なので吸着水ではない。構造水のような水を含む非晶質酸化スズだが、とにかく結晶質の高純度酸化スズが絶縁体と言われているのに、非晶質の高純度酸化スズゾルが導電性フィラーであることが分かった。
酸化スズゾルは、そのまま単膜にして導電性を評価しようとするとクラックが入るため、絶縁体として誤解される可能性がある。またラテックスとともに薄膜を形成したときにはパーコレーション転移が生じにくいのでやはり絶縁体として誤解される。
写真会社の担当者はバインダーとしてゼラチンを用いていたので、さらにパーコレーション転移が起きにくくなっていたはずだ。もし酸化スズゾルという導電性フィラーの機能をフィルムの帯電防止層として活用するならば、パーコレーション転移が起きやすいバインダーを開発しなければならない。
フィラーを用いた高分子の機能化の考え方もこの事例と同じで、すでに開発された高機能フィラーについてその性能を活かしきるような高分子マトリックスの開発が重要である。
酸化スズゾルについては、信頼できる形式知が存在しなかったので、研究を行ったが、今やこのような怪しいフィラーを用いる研究開発は時代遅れだ。形式知で明らかにされたフィラーを用いて、マトリックスとなる高分子の開発を行うのが今どきの複合材料開発の方法である。
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11月7日に下記タイトルで講演を行いますので、ご興味のある方は詳細を問い合わせていただきたい。
「ゴム・プラスチックの劣化・破壊メカニズムと寿命予測および不具合対策」
ほとんど新品に近く防湿庫で眠っていたニ〇〇社F100というカメラ(往年の名機である)の裏ブタフックがいつのまにか二つ破壊していた。フラクトグラフィーによる解析で、裏ブタを開きやすいようにバネで応力がかかっていたために、クリープ破壊したようだ。これは完全に設計段階のミスである。
講演会ではこの事例から入り、劣化耐久性評価の経験知伝承を講演形式で行います。
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酸化スズゾルに含まれている酸化スズが導電性か絶縁性か、あるいは結晶性か非晶性かは水を除去して酸化スズを取り出し分析すれば判明する。
ところが、ガラス基板に薄く塗布し自然乾燥させたところクラックが入り良好な薄膜を作ることができない。酸化スズゾルの営業担当から評価が難しいので苦労している、と説明を受けた。評価が難しい材料をどのように品質管理しているのか疑問に思ったが、指導する立場ではないので追及はしなかった。
何処かの大学の先生のご指導を受けたようだが、いい加減な先生に騙されたのだと思った。大学の先生の中には技術を理解せず適当なことを自信をもって説明される方もいるので注意しないといけない。
このゾルに分散している酸化スズが結晶かあるいは非晶かの判断については、ガラス転移点がないから結晶だと説明を受けたと営業マンは言った。どこの大学の先生か名前を出すと大学の名誉を傷つけるので書かないが、このような先生に指導を受けている学生がかわいそうに思えてくる。
高分子材料では、非晶質相はガラスと言ってもいいが、無機材料では非晶質体がすべてガラスとは限らない。ガラス相を形成しない非晶質物質も無機材料では存在するのだ。酸化スズゾルに含まれる酸化スズは絶対にガラスにならない。単なる非晶質体である。
ゆえに無機材料についてガラス転移点をもたないから結晶という判断は間違っている。ちなみに高分子の熱分析を行ったときにガラス転移点が現れないことが稀にある。
しかしそのような場合の対策については以前この欄で紹介しているのでそこを読んでいただきたいが、工夫すればそのような場合でも高分子材料では必ずガラス転移点を観察できる。
高分子は結晶化あるいはガラス化して固まるが、無機材料の中にはガラス化する組成とガラス化しない組成が存在することは、材料を扱う実務で重要な形式知である。この形式知をベースに積み上げなければいけない高分子に関する経験知が存在する。
また、実務ではこの形式知だけでは問題解決できない現象も多くあるが、形式知をベースにせず経験知を積み上げると、アカデミアとの議論がかみ合わなくなる。英語が公用語となっているように科学の形式知を整理しておくことは重要である。
形式知を整理せずに実務を進め品質問題を発生しがちなのが耐久試験のやり方である。11月7日に下記タイトルで講演を行いますので、ご興味のある方は問い合わせていただきたい。
「ゴム・プラスチックの劣化・破壊メカニズムと寿命予測および不具合対策」
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酸化スズゾルは、高純度の酸化スズが水に分散しているコロイド溶液である。高純度の酸化スズ結晶については1980年代のセラミックスフィーバーの時に無機材質研究所で絶縁体であるとの結論が出された。
だから写真会社の担当者がそれを評価して絶縁体であると1991年に結論したのは、形式知から正しいように見える。
ところが特公昭35-6616という特許には酸化スズゾルに含まれている非晶質酸化スズは導電性物質であると書かれている。小西六工業の特許だが、担当者はペテントかもしれないといった。
たしかにその特許のあと当方が1992年に特許を書くまでこの技術に関して出願がなされていない。そのかわりライバル会社からこの特許公開から1年後に結晶性酸化スズや非晶性五酸化バナジウムを用いた帯電防止層の特許が出ている。
特許の中にはインチキ特許もあるので注意が必要だが、子供の頃父親が愛用していたサクラフィルムで有名な小西六工業の出願している特許である。まず信用して追試をするだけの価値があると思った。
しかし担当者は無駄だと言った。理由は昔の特許に書かれている酸化スズゾルと実験室の隅に放置されていた、市販の酸化スズゾルは同じものだったからだ。
ところが市販されていた酸化スズゾルのカタログには結晶性酸化スズゾルと書かれていた。また、その製品に関係している特許も出願されており、小西六工業の特許があるにもかかわらず成立していた。
これは市販の酸化スズゾルが特許製品であることを主張するためにインチキ特許を出願していた可能性が高い。実際に酸化スズゾルを販売していた会社の担当者に話を聞いたら、インチキ特許であるとまでは白状しなかったが、苦しい言い訳をしていた。
しかし導電性の高純度結晶性酸化スズゾルでは、高純度酸化スズ結晶が絶縁体だと発表されているので誰も買わないだろう、と言ったら、実は全然売れていません、と回答してきた。
早い話が、当時酸化スズゾルを販売していた会社の特許がインチキ(注)でインチキ特許で事業をやろうとした事情は不明だが、形式知と矛盾している説明が書かれた商品カタログでは売れないのは当たり前だ。
なんやかやと酸化スズゾルメーカーの担当者とやり取りしていたら、結晶性という言葉がカタログから消えた。
(注)このメーカーのために少し補足すると、この会社の特許に書かれた実施例を実施しても非晶質酸化スズゾルしか合成できない。しかし、導電性は悪い。ただし合成条件を変えると特公昭35-6616と同程度の酸化スズゾルになる。この酸化スズゾルについては、合成条件を変えることで100000から1000Ωcmまで100倍程度変化する。またアンチモンを添加した酸化スズゾルも販売されており、こちらは導電性が10倍程度悪くなる。これは面白い発見だった。なぜなら結晶性酸化スズでは、アンチモンをドープしない限り導電性は出現しない、すなわち高純度結晶性酸化スズとアンチモンドープの結晶性酸化スズでは、絶縁体と導体の差があるのに、コロイド溶液では導電体と半導体の差程度であり、高純度非晶質酸化スズのほうが若干導電性が高い。高度な材料評価技術を持っていないとこの材料の真の姿を見ることができない。これはアカデミアでも同様で、当方は電気物性の測定については、その評価サンプルを当方および当方の部下が完璧な状態で作成し、二か所の大学に測定依頼している。そして、それぞれの大学で一致した結果が得られているが、サンプル作成を当方らが行った背景はそれぞれの先生がサンプル状態で測定結果が変わるとの、「正しい」アドバイスをしてくださったからだ。この結果は学会発表を行っていないが、非晶質ゾルの電気特性評価は難しい。
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(昨日の続き)実は高分子を高機能化するためのフィラーの表面処理技術は20世紀に出そろった。また各種導電性フィラーも市販されている。たとえばカーボンナノチューブも20世紀の遺物である。
ゆえにフィラーの導電性を損なわないような表面処理ができれば、あとはバインダーである高分子とプロセシングの工夫をすればよいだけである。
1990年代にすでにこのような状況だったが、パーコレーション転移という概念が浸透していなかったので一生懸命フィラーの探索をしている技術者が多かった。
このような状況で、パーコレーション転移の概念を半導体高分子の分野に持ち込み、昭和35年に開発された酸化スズゾルを用いて、高分子バインダーとプロセシングの工夫で写真フィルム用帯電防止膜を開発し日本化学工業協会から技術特別賞を頂いた。
フィラー(分散質)では無く、それを分散する分散媒とプロセシングの工夫がミソである。酸化スズゾルを用いたことに新規性はなく、バインダーとその形成過程を制御し、機能を実現した技術(技かもしれない)が評価されたのだ。
酸化スズゾルという導電性フィラーは子供の頃に開発された材料だったが、その導電性について疑いがもたれていた。しかし38歳の時に写真会社へ転職し実験室の隅に放置されていた酸化スズゾルの導電性を評価してびっくりした。1000Ωcmだったのだ。
しかし、それを評価した担当者は絶縁体だといった。物性評価の仕方が悪かっただけだが、この続きは明日述べる.
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大半の高分子は絶縁体である。高分子に導電性を持たせるためには、白川先生がノーベル賞をとられた導電性高分子を用いるか、絶縁体高分子に導電性フィラーを混ぜて半導体高分子あるいは導電性フィラーの充填率を60vol%以上添加して導電性高分子を開発する。
この時1000Ωcm前後の導電性でよければ60vol%未満でもカーボンを用いて導電性高分子を開発可能である。以前この欄で紹介したパーコレーション転移を活用すればよい。
繊維状のカーボンを利用すれば5vol%未満でも導電性高分子を製造できる可能性がある。ここで可能性があると書いたのは、実用化された商品では、まだこの程度の少ないカーボン添加量の高分子商品が開発されていない。
これはシミュレーションの結果であってこれを実現するためには、パーコレーションという現象を制御するための導電性フィラーと絶縁体高分子、そしてそれらを混ぜて成形するためのプロセシングの工夫が必要である。
この工夫の仕方はほぼ科学的に解明されており、機能実現の技術開発を行えばよいだけである。導電性フィラーについては繊維状物質を用いればよいのだが、高分子との相性の問題が出てくる。さらに繊維状物質を高分子に添加したときに混ぜるのが大変難しくなる。
ゆえに、この技術の難しさは導電性フィラーよりもどのように高分子を設計するのかという問題とプロセシング開発にあるのだが、良い導電性フィラーが無いのか、と考える傾向にある。
導電性フィラーについては、その表面処理技術が確立されているのでその情報を探すだけで済むが、絶縁体高分子とプロセシングの技術については、まだ開発しなければいけない課題が多い。
ただし導電性フィラーの表面処理については、電子のホッピング伝導ができる程度の厚みという条件が付く。
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様々な樹脂の物性がWEBを探すと出てくる。樹脂の成形体の商品を企画するときに、樹脂のカタログをまず探すが、カタログには簡単な樹脂物性しか出ていない。
同じ材質で、同じ力学物性のペレットを異なるコンパウンドメーカーから購入して成形体を製造したときに、同じ物性の成形体ができる、と思っていないか。科学的には同じものができてくれなければ困ったことだが。
しかし、ISOに準拠して全く同じ条件で計測されたデータが示されていたとしても、メーカーが異なるコンパウンドを用いて射出成型をしたときに、たとえ射出成形条件までそろえたとしても同じ力学物性の成形体ができない可能性がある点が、樹脂やゴムなどの高分子材料の世界である。またセラミックス材料も同様である。
だからベテランはそれぞれの平均値を比較して、その平均値に多少の差が現れても、ほぼ同じとして処理するが、業務に慣れていないと慌てて騒いだりする。ときにはベテランの事務処理を等しくないものを同じレベルと処理したデータについて捏造と密告したりするかもしれない。
高分子材料やセラミックス材料の成形体を製造する時に、ばらつきを0にすることは不可能である。この材料のばらつきをどのようにコントロールしているのか、これはメーカーのノウハウである。もちろん捏造はあってはならないが、どの程度の許容差を認めるのかは伝えられないときもある。
以前樹脂ペレット一粒の密度を50個測定したことがある。密度が大きくばらついている製品とばらつきの小さい製品では、小さい製品のほうが力学物性で良い結果が得られそうに思われたが、そのようにならない場合があったのでこれら材料の問題は複雑と思っている。
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昨日25日は久しぶりに忙しく、夜9時帰宅時には東武東上線の事故(プリウスと電車の衝突事故)で帰宅の足が無くなるなどトラブルにも巻き込まれた。東京モーターショープレス発表に朝7時30分から参加し、その後土浦、東京と往復したためだが、満足な食事もとれなかった。
ところで、東京モーターショーは、20世紀に比較すると少しずつシュリンクしているような印象を受ける。上海モーターショーの影響もあるのではないかと思われるが、一時は世界のモーターショーの一つとして幕張メッセで開かれていた時とは印象が異なる。
前回は水素をエネルギーに使った燃料電池自動車が大々的に扱われていたが、今年は全体の印象として電気自動車シフトであり、日産ブースはリーフ一色だった。もっともこれはプレス用の展示で一般公開では展示を変えるとの説明があった。
面白いのは自動車周辺機器メーカーでこれまで内燃機関エンジン部品メーカーだったところが電装品に力を入れてきているということだ。材料メーカーの技術者は、是非今年の東京モーターショーを見学してほしい。必ず業務に役立つはずだ。業務出張として参加する価値がある。
また東京モーターショーに新規出品している異業種もある。ゴクミ(もう死語?娘が日本デビューした)のいるオスカープロモーションのモデルをコンパニオンに採用しているところもあり、展示に気合と意気込みを感じる。
材料技術者にとって、こうしたメーカーは新たな市場を形成する大事なお客さんである。ブースにはそのメーカーの技術者も控えているので悩みを聞くとよい。技術開発のヒントが得られるはずだ。キーワードはエンプラとプロセスであり、他の技術展示会と異なり写真撮影はOKなので具体的な商品のカットモデルを撮影できるチャンスでもある。
どこが新規参入組かは見学するとわかる。分からない人はこの東京モーターショーで展示会見学の練習をしてほしい。このような展示会ではノイズの中から自分に必要な情報を取り出す情報処理テクニックが要求される。東京モーターショーでは、ノイズ信号が大きいために感度を磨くことができる。
おそらくコンパニオンの写真を撮っている時間など無くなるはずだ。「モーターショー」という名称通りにモーター及びその周辺機器の勉強をするのに大変良い展示会になっている。一般公開日にぜひ一日出張で見に行かれては?
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安倍晋三・首相と小池百合子・希望の党代表は総選挙前、口を揃えてこう語った。「政権選択選挙になる」(注)。ところが、一旦は燃え上がった小池劇場は、小池氏の「排除」という一言で一気に萎んだ、と多くのマスコミが報じている。
一部には、「小池氏の出馬は次の次」という若狭氏の発言が原因、という論調もあるが、その若狭氏が政治グループを立ち上げながらも、小池氏が「私がリーダー」と言わんばかりに希望の党を立ち上げたところから、当方には先が見えていた。
サラリーマン時代に同様の体験を当方はしたからだ。そしてうまく行かなくなると、当方にまたリーダーの席が戻ってくるような展開である。少なくとも今回の選挙における一連の流れを、二大政党制の仕組みを作る仕事として捉えたときに、まずい仕事の流れになった、とその時感じた。
以前にも指摘しているが、小池氏の仕事の進め方は、戦術こそ長けているが、全体戦略、政治ならば日本にどのように貢献するのかという志が見えていない。何か「コト」を成すためには、志が必要であり、その志に向かってわき目もふらず一直線に進むのか、志実現戦略を立てその戦略を確認しながら負け戦でも臥薪嘗胆し進むのかしなければ、大成しない。
高純度SiCの事業立ち上げでは、スタート時に一人目の上司が亡くなり、管理職が短期にくるくる変わる悲劇が続いた。そして1年半ほど長期にわたり管理職になられたエリートの方は小生を組織の隅に追いやり、小生はまだ若いのに特命担当となった。悲しかったが、事業がうまく行くならば、と隅で様々なセラミックス事業の企画提案をしていた。
しかし、そのリーダーは無責任にも仕事をただかきまぜ整理しただけで、最後は小生をたった一人高純度SiCの担当者にしてタイヤ関係の部署へ移っていった。
その後小生は一人で事業の出口を探すために営業活動も行い、住友金属工業とのJV立ち上げに至るのだが、その事業が現在も続いているという自己満足程度以外に得られたものは無く、一人悩み苦しみ長期戦を覚悟して独身生活に終止符を打った記憶を今でも忘れられない。
今回の希望の党は、明らかに惨敗であり、その原因解析が様々に言われているが、戦略の無い戦術だけに頼った進め方がいかにダメなのかを示した事例で、立憲民主党では国体委員長に辻本清美氏を抜擢するなどの動きもあり、あたかも「55年体制」に戻ったかのような状況を作り出した。
かつては春日一幸の民社党が希望の党に近い改革保守的位置づけで自民党との連立政権が誕生したりしたが、その民社党の地盤では、証拠の揃った不倫報道を全否定した不誠実な女性議員が当選した。
そして民社党とはベクトルが異なる旧社会党のような立憲民主党に入党するという。愛知7区の有権者には女性議員の不誠実さが見えなかったのだろうか。一方でこの選挙区では1万票以上の無効票があったというが、それをことさら指摘しているのは「おっさん」連中と書いた差別報道があった。
おっさんは、選んだ議員が社会党に行くとは思っていなかったのだ。おっさんの一票の重みを不誠実な議員はよく考えなければいけない。もし所属政党を選ぶならば有権者の気持ちを忖度し希望の党にすべきだろう。この女性議員はどこまで不誠実なのか。
このような喧騒のなかで行われたクライマックスシリーズは、レギュラーシーズン3位のDeNAが同1位広島に4連勝し、日本一になった98年以来19年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。過去の体制に戻った政治の世界で、下剋上は起きるのか。
(注)もし戦略があったなら今回の選挙で多数の候補を擁立するような戦術をとるべきでなかった。無理に形を整えた結果、希望の党は分裂するかのような状態になっている。有権者は当選した候補者の言動を十分に観察し、ダメな議員を見極める機会でもある。
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